【発明の詳細な説明】
液体及び気体の濾過処理用自己洗浄式フィルター
本発明は、液体及び気体の濾過処理用自己洗浄式フィルターに関するものであ
り、特に、請求の範囲第1項の公知部に記載のように、製紙・パルプ産業におけ
る液体の濾過に関するものである。
加工産業全般を通じて、原料の損失を最小限に抑えること及び環境汚染に全く
影響を及ぼさないことの要件を満たす加工方法を用いることが共通の課題となっ
ている。
例えば、パルプを脱水処理する際、パルプは異なる大きさの繊維を含んでいる
ので、多少なりとも水に固体粒子が同伴してしまうことになる。
これらの粒子(繊維)が水に同伴することが原因となって、後続の装置に問題
が生じることがある。一般に濾液は、再度濾液を排出した装置に送られるかまた
は、フラッシングノズル、フィルターケーク除去ノズル及び洗浄用ノズル等を使
用する他の工程に送られる。このようなノズルは、水の消費を抑えるために噴射
口が比較的小径(0.5乃至0.7mm)に形成されているので、濾過により固体
粒子を除去する必要がある。
今日では、液体から固体粒子を分離する装置は数多く提案されている。通常、
このような装置は、異なる種類のフィルターエレメントを含む大気圧または加圧
タンクである。このような装置のうち、
連続作動式のフィルターは大型で円滑に作動ができないばかりか、フィルターエ
レメントが高圧を受け易い。一方、非連続式のフィルターは、フィルターエレメ
ントのバックウォッシュ(back washing)や他の洗浄のため、装置の作動が中断
されることになる。
請求の範囲第1項の公知部に記載されたような自己洗浄式フィルターは、デン
マーク特許公開第117,288号より公知である。しかしながら、この種のフ
ィルターでは、ハウジング内及び回転体の溝部、特にバックウォッシュ時のリジ
ェクトの排水用溝部が複雑な構成となっている。さらに、回転体を貫通する溝部
は流動方向に円錐状にテーパーしており、製造の際の複雑さを別にしても、圧力
降下や濾過する液体に同伴する粒子による詰まりの原因となり得るものである。
本発明の目的は、上述したような欠点を解消し、小型で、フィルターエレメン
トが抵抗性を有し、さらに実質的に連続的に作動するフィルターを提供すること
であり、実質的に連続的に作動するフィルターとは、濾過処理をほとんど中断す
ることなく詰まりを生じたフィルターエレメントの洗浄を行うことが可能フィル
ターを意味するものである。さらに本発明では、保守の容易なフィルターを提供
することも目的とする。
上述の目的は、請求の範囲に記載された本発明の特徴を備えたフィルターによ
り達成される。
本発明を添付の図面を参照することで、以下に詳述する。
図1は、本発明の第1の実施例を示したものであり、回転体を有するフィルタ
ーハウジングの垂直断面図である。
図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。
図3は、本発明の第2の実施例を示したものであり、図1に対応した回転体を
有するフィルターハウジングの断面図である。
図4は、図3のIV−IV線に沿った断面図である。
図5は、本発明によるフィルターの制御を示した略図である。
図1及び2に示した本発明の実施例は、壁(2,3,4,5,6,7)により
形成された実質的に立方体のハウジング(1)を含んでいる。通し孔(8)は、
壁(2)及び壁(4)の間を延びている。壁(5)に開口された交差孔(9)は
、通し孔(8)と接続している。壁(2)における通し孔(8)の口部は、流入
ポート(10)を形成しており、壁(4)における口部は、第1流出ポート(1
1)を形成している。壁(5)における交差孔(9)の口部は、第2流出ポート
(12)を形成している。
ハウジング(1)に設けられた球状凹部(13)には、軸(15)を中心に回
転可能な球体(14)が収容される。第1端部(16a)及び第2端部(16b
)を有する第1孔部または流路(16)は、球体(14)を径方向に貫通してい
る。孔部(16)は軸(15)に垂直で、通し孔(8)と実質的に同径である。
軸(15)に実質的に同心で、交差孔(9)と実質的に同径の第2孔部または流
路(17)は、球体(14)の外面から延び、端部(16
a)及び端部(16b)間の孔部(16)に開口している。球体(14)には、
ハウジングの壁(3)を貫通するスタブシャフト(18)が設けられており、こ
のシャフトにより球体(14)が軸(15)を中心に回転可能となる。
孔部(16)の各端部(16a,16b)には、濾過手段または篩(19a,
19b)がそれぞれ配されている。このような篩は、バスケットの形状を呈して
いることが好ましい。孔部(16)が円柱状の断面形状であるために、該バスケ
ットは強度を考慮して、球体の断片形状等が有益である。
シャフト(18)により球体(14)を回転することで、孔部(16)の端部
(16a)は選択的に流入ポート(10)または第1流出ポート(11)に接続
され、同時に、孔部(16)の対向端部(16b)は第1流出ポート(11)ま
たは流入(10)にそれぞれ接続される。第2孔部(17)は、第2流出ポート
(12)と連通したままとなっている。
流入導管(20)は流入ポート(10)に、第1流出導管(21)は第1流出
ポート(11)に、さらに第2流出導管(22)は第2流出ポート(12)にそ
れぞれ接続される。第1流出導管(21)には、さらに遮断手段として遮断弁(
23)が設けられる。
本発明によるフィルターの機能を以下に詳述する。球体(14)が図1に示す
位置にあると、流路(16)の第1端部(16a)は流入ポート(10)と、第
2端部は第1流出ポート(11)とそれぞれ連通し、例えばペーパーミル内のプ
ロセス水などの濾過処理する液体が、導管(20)から流入ポート(10)へと
流れる。この
状態で弁(23)は閉じられたままである。従って、流体は篩(19a)を通っ
て第1流路(16)へと流れ、ここから第2流路(17)を通って第2流出ポー
ト(12)、さらに流出導管(22)(濾液流出口)へと流れる。何度も使用を
繰り返すうちに、繊維等の固体成分により篩(19a)は詰まりを生じ、流量が
減少することになる。このような状態で、球体(14)は、矢印Aに示す方向に
180°回転し、流路(16)の第1端部(16a)は第1流出ポート(11)
と、第2端部(16b)は流入ポート(10)とそれぞれ連通する。結果として
、これまで未使用であった篩(19b)が流入ポートと接続され、第2流路(1
7)は流出導管(22)と連通したままとなっているために、直ちに濾過処理を
再開することができる。詰まりを生じた篩(19a)は、第1流出ポート(11
)に位置している。球体(14)の回転と同時かまたは回転後に、弁(23)は
開かれ、流入ポート(10)からの流れの一部が第2端部(16b)から篩(1
9b)と流路(16)を通って第1端部(16a)へと流れ、ここで篩(19a
)には濾過方向とは逆方向の流れが作用することになる。従って、濾液による篩
のバックウォッシュが行われ、洗浄された固体成分は流出導管(21)を通って
流出する。その後、比較的短時間で弁(23)を閉じ、全体の流れを濾液流出口
(22)側へと向ける。
篩(19b)に詰まりが生じた際には上述した動作を繰り返す。
図3及び4に示した実施例は、上記の実施例と比較すると、主に回転体が異な
っているものである。両端に篩(19a,19b)を有する第1孔部(16)と
は別に、該孔部(16)と直交しさらに
両端に篩(32a,32b)を有する孔部(31)が設けられている。先述の実
施例と同様に、ハウジング(1)は流入ポート(10)、第1流出ポート(11
)及び第2流出ポート(12)を有している。この実施例によるフィルターを作
動すると、篩(19a)に詰まりが生じた際、図4に示すように、回転体(14
)は矢印Aの方向に90°回転し、篩(32b)が占めていた位置に移動し、篩
(32a)が流入ポート(10)の位置で作用することになる。篩(32a)に
詰まりが生じた際は、回転体(14)はさらに90°回転し、篩(19b)が流
入ポートと接続される。この位置で、始めに詰まりを生じた篩(19a)は流出
ポート(11)と接続され、上述した方法によりバックウォッシュが行われる。
この実施例では、先述の実施例よりもさらに円滑な連続濾過処理を行うことが可
能である。
図4に示すように、ポート(10,11,12)を有する孔(8,9)の他に
、ハウジングはポート(34,35)を有する孔(33)をさらに含んでいる。
これらにポートは、図示していないカバーにより通常は被覆されているが、保守
のためにカバーは取り外しが可能であり、従って流入導管(20)及び流出導管
(21)をそれぞれ取り外すことなく各ポート(10,11)から篩の交換を行
えるように構成されている。
図5には、本発明によるフィルターの制御図を略式的に示す。符号41は流入
導管(2O)内の圧力を検知する圧力センサーを、符号42は流出導管(22)
内の圧力を検知する圧力センサーを示す。符号43は制御装置(コンピューター
)を、符号44はシャフ
ト(18)の駆動装置を、そして符号45は弁(23)の制御装置を示す。フィ
ルターを作動する間、流入導管(20)及び流出導管(22)内の圧力は常に計
測される。計測された圧力差が所定の設定値に達すると、制御装置(43)は、
回転体(14)を180°(図1及び2に示すフィルターの場合)または90°
(図3及び4に示すフィルターの場合)回転するように駆動装置(44)に信号
を送る。これと同時か若しくはこの後に、制御装置(43)は、流出ポートに位
置する篩のバックウォッシュを行うために短時間弁(23)を開くように制御装
置(45)に信号を送る。
回転体(14)として球体以外の他の回転対称体を用いることも可能である。
一例として、直円柱を挙げることができる。
これまでに詳述及び図示した実施例においては、1つまたは2つの貫通流路を
有し、回転体が段階的に回転することを特徴としている。しかしながら、このよ
うな流路を2つ以上有する実施例も可能である。流路の数が増えると隣接するポ
ート間の円弧上の距離が短くなり、結果として篩の交換に要する距離と時間が短
くなるので、濾過処理の連続性が向上することになる。多数の流路を用いると、
各流路はほぼ重なり合うように流入ポート及び第1流出ポートと連通し、回転体
は低速で連続回転するような状態で駆動される。このような実施例では、制御装
置(43)と圧力センサー(41,42)とを用いずに、篩が流出ポート(11
)を通過する際に弁(23)を短時間開くように、制御装置(45)による簡単
な制御を行えば良い。
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