【発明の詳細な説明】
タンパク質単離方法における炭水化物の酵素的分解
技術分野
本発明は、植物性(vegetable)タンパク質材料から、タンパク質を単離する方
法に関する。さらに詳しくは、本発明は、植物性タンパク質材料から、タンパク
質を単離する方法であって、植物性タンパク質材料に1または複数の炭水化物分
解酵素を作用させ、それによってタンパク質および加水分解された炭水化物を含
んだ混合物を得る過程、および加水分解された前記炭水化物からタンパク質を分
離するために、最初の過程の混合物に分離工程を施す過程を含んでいる、前記方
法を提供する。
背景技術
タンパク質単離物(protein isolates)とは、タンパク質源、多くは植物性タン
パク質源から得られる、天然の、加水分解されていないタンパク質産物を意味す
る。タンパク質単離物とは、タンパク質濃縮物または精製タンパク質産物も指す
。タンパク質単離物は、様々な産業のために、主に食品産業において、例えば人
間および動物用の栄養食品、特に小児(human infants)および子動物(young anim
als)用の製品を製造するために利用される。
様々な炭水化物特異的な酵素を利用して、タンパク質単離物を製造する方法が
報告されている。US 4,478,856には、精製した植物タンパク質の製造方法が、そ
してUS 3,958,015には、大豆タンパク質を濃縮する方法が記載されている。
水溶液による抽出と膜による単離技術とを合わせて、タンパク質
単離物を製造することもできる。例えばLawhon et al.が、この様な方法を記載
している(Lawhon JT,Rhee KC & Lusas EW;The Journal of the American Oil c hemists Society
1981 58(3)377-384;and Lawhon JT,Manak LJ,Rhee KC,Rh
ee KS & Lusas EW;Journal of Food Science 1981 46(3)912-916+919)。また
、US 4,420,425およびUS 5,086,166には、タンパク質を可溶化すること、および
ウルトラフィルトレーション膜によってタンパク質分画を分離することからなる
、脂肪種子を加工する方法が記載されている。
膜による単離技術を利用することによって、併存する副産物、特に多糖類から
タンパク質を回収する。
炭水化物分解酵素作用と分離技術とを合わせて、タンパク質単離物を製造する
方法は、これまで記載されていない。
発明の要約
本発明によれば、植物性タンパク質材料に1または複数の炭水化物分解酵素を
作用させた場合、分離技術を用いて植物性タンパク質を単離する工程が、より効
率良く進行し、そして品質が向上した産物が得られることが明らかになった。
従って、本発明は、植物性タンパク質材料からタンパク質を単離する方法であ
って、
(i)植物性タンパク質材料に1または複数の炭水化物分解酵素を作用させ、そ
れによってタンパク質および加水分解された炭水化物を含んだ混合物を得る過程
;および、
(ii)加水分解された前記炭水化物から前記タンパク質を分離するために、過程
(i)の混合物に分離工程を施す過程、
を含んでいる、前記方法を提供する。
発明の詳細な説明
本発明は、植物性タンパク質材料から、タンパク質を単離する方法であって、
植物性タンパク質材料に1または複数の炭水化物分解酵素を作用させ、それによ
ってタンパク質および加水分解された炭水化物を含んだ混合物を得る過程、およ
び加水分解された前記炭水化物からタンパク質を分離するために、前記混合物に
分離工程を施す過程を含んでいる、前記方法を提供する。
炭水化物分解酵素を添加することによって、主要な副産物である併存する多糖
類が、より小さな断片に加水分解され、それによって主産物(タンパク質)と副
産物との間のサイズ差が増す。従って、本発明の酵素処理工程によって、分離工
程の効率が向上する。この分離工程において、乾燥物含有量がより高い溶液を加
工することができ、そしてこの生産物の品質が、特に純度および感覚的な特性に
関して向上し、すなわち好ましくない香味(flavor)、臭気(odor)および色が無く
なる。
「タンパク質単離物」
本発明の工程による生産物は、大抵、タンパク質単離物、タンパク質濃縮物ま
たは精製タンパク質産物と呼ばれる。このタンパク質は、本質的に天然タンパク
質であり、本工程中に加水分解されず、そして酵素的に修飾されない。
本発明の工程によって得られるタンパク質単離物において、タンパク質成分は
、重量で、乾燥物含有量の80%より多く、好ましくは重量で90%より多い。
本発明の方法によって単離されたタンパク質は、特に、食品に添加するために
有用である。
「植物性タンパク質材料」
本発明の方法を施す植物性タンパク質材料は、タンパク質を含ん
でいる任意の植物素材(material of vegetable source)、およびそれから得られ
る材料であってよい。好ましくは、この植物性タンパク質材料は、穀類(cereal)
、メイズ、コメ、モロコシ類(sorghum)、小麦、大豆、マメ科植物(faba bean)、
ササゲ(cowpeas)、カッサバ、ゴマ、ラッカセイ、エンドウ、綿、脂肪種子およ
びヤムイモ(yams)である。植物素材(vegetable source)、あるいは、例えば製粉
、粉砕または臼ひきした植物性材料、例えば穀粉(flour)、脱脂大豆または大豆
フレークから、この植物性タンパク質材料を得ることができる。
この植物性タンパク質材料は、本質的に繊維を含まないものが好ましい。
「炭水化物分解酵素」
本発明の工程は、前記の植物性タンパク質材料に、1または複数の炭水化物分
解酵素を作用させることを含んでいる。
好ましい実施形態では、本工程に用いられる1または複数の本酵素は、グリコ
シダーゼ酵素(EC 3.2)である。
より好ましい実施形態では、本工程に用いられる1または複数の本酵素は、ア
ミラーゼ、特にαアミラーゼまたはβアミラーゼ、アラビナナーゼ、アラビノフ
ラノシダーゼ、ガラクタナーゼ、αガラクトシダーゼ、βガラクトシダーゼ、ポ
リガラクツロナーゼ、ペクチン・メチル・エステラーゼ、ラムノガラクツロナー
ゼ、ラムノガラクツロン・アセチル・エステラーゼ、ペクチン・リアーゼ、キシ
ラナーゼ、セルラーゼ、βグルコシダーゼ、セロビオヒドロラーゼ、キシロシダ
ーゼ、マンナナーゼ、および/またはグルクロニシダーゼである。
天然タンパク質の単離物を得るためには、本酵素調製品には、実質的にタンパ
ク質分解酵素が含まれないべきである。なぜなら、そ
れらによって問題のタンパク質が分解され、このタンパク質が修飾されるからで
ある。
「微生物原材料」
本発明のグリコシダーゼ酵素は、任意の既知の原材料から得ることができる。
好ましくは、本グリコシダーゼ酵素は、微生物から、特に糸状菌または酵母から
、あるいは細菌から得ることができる。
アミラーゼは、特に、アクレモニウム属(Acremonium)の菌株、アルカリゲネス
属(Alcaligenes)の菌株、特にA.ラタス(A.latus)、アスペルギルス属(Aspergill
us)の菌株、特にA.カワチ(A.kawachii)およびA.オリゼ(A.oryzae)、バチルス属(
Bacillus)の菌株、特にB.アミロリクエフェイシェンス(B.amyloliquefaciens)、
B.リシェニホルミス(B.licheniformis)、B.ポリミキサ(B.polymyxa)、B.サブチ
リス(B.subtilis)およびB.ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)、デ
スルフロコッカス属(Desulfurococcus)の菌株、特にD.ムコサス(D.mucosus)、フ
ェルビドバクテリウム属(Fervidobacterium)の菌株、ラクトバチルス属(Lactoba
cillus)の菌株、ミクロコッカス属(Micrococcus)の菌株、シュードモナス属(Pse
udomonas)の菌株、特にP.アミロデラモサ(P.anlyloderamosa)、ピロコッカス属
(Pyrococcus)の菌株、特にP.フリオサス(P.furiosus)およびP.ボエセイ(P.woese
i)、ピロジクチウム属(Pyrodictium)の菌株、スルフォロブス属(Sulfolobus)の
菌株、スタフィロサーマス属(Staphylothermus)の菌株、またはサーモコッカス
属(Thermococcus)の菌株から得ることができる。
アラビナナーゼは、アスペルギルス・アクリータス(Aspergillus aculeatus)
の菌株から得ることができる。
ガラクタナーゼは、アスペルギルス属の菌株、特にA.アクリータス、ヒュミコ
ラ属(Humicola)の菌株、特にH.インソレンス(H.insol
ens)、ミセリオフソラ属(Myceliophthora)の菌株、特にM.サーモフィラ(M.therm
ophila)、またはメリピルス属(Meripilus)の菌株、特にM.ギガンテウス(M.gigan
teus)から得ることができる。
ガラクトシダーゼ酵素(αガラクトシダーゼまたはβガラクトシダーゼ)は細
菌由来であってよく、大腸菌の菌株、またはバチルス属の菌株、特にB.ステアロ
サーモフィルスおよびB.サブチリスから得ることができる。あるいは、これは真
菌由来であってよく、アスペルギルス属の菌株、特にA.アクリータス、A.フィッ
クム(A.ficuum)、A.ニガー(A.niger)およびA.オリゼ、クレブシエラ属(Klebsiel
la)の菌株、特にK.プランチコラ(K.planticola)、ニューロスポラ属(Neurospora
)の菌株、またはリゾプス属(Rhizopus)の菌株から得ることができる。あるいは
、これは、酵母、好ましくはサッカロミセス属(Saccharomyces)の菌株、特にS.
セレビシエ(S.cereviciae)およびS.オリーギノサス(S.oleaginosus)から得るこ
とができる。
ポリガラクツロナーゼ酵素は、アスペルギルス属の菌株、特にA.アクリータス
およびA.ニガー、またはエルビニア属(Erwinia)の菌株、特にE.カロトボラ(E.ca
rotovora)から得ることができる。
ペクチン・メチル・エステラーゼ酵素は、アスペルギルス属の菌株、特にA.ア
クリータスから得ることができる。
ラムノガラクツロナーゼ酵素は、アスペルギルス属の菌株、特にA.アクリータ
スおよびA.ジャポニカス(A.japonicus)、またはイルペクス属(Irpex)の菌株、特
にI.ラクテウス(I.lacteus)から得ることができる。
ラムノガラクツロン・アセチル・エステラーゼ酵素は、アスペルギルス属の菌
株、特にA.アクリータスから得ることができる。
キシラナーゼ酵素は、真菌由来であってよく、アスペルギルス属
の菌株、特にA.アクリータス、A.アワモリ(A.awamori)、A.カワチ、A.ニデュラ
ンス(A.nidulans)、A.ニガーおよびA.ツビゲンシス(A.tubigensis)、アウレオバ
シジウム属(Aureobasidium)の菌株、チャエトミウム属(Chaetomium)の菌株、特
にC.グラシル(C.gracile)、コクリオボルス属(Cochliobolus)の菌株、特にC.カ
ーボナム(C.carbonum)、ジスポロトリカム属(Disporotrichum)の菌株、特にD.ジ
モホスポラム(D.dimorphosporum)、ヒュミコラ属の菌株、特にH.インソレンス、
ネオカリマスティクス属(Neocallimastix)の菌株、特にN.パトリシアラム(N.pat
riciarum)、オルピノミセス属の種(Orpinomyces sp)の菌株、ペニシリウム属(Pe
nicillium)の菌株、特にP.ジャンシンエラム(P.janthinellum)、サーモミセス属
(Thermomyces)の菌株、特にT.ラヌギノサス(T.lanuginosus)(ヒュミコラ・ラヌ
ギノサ(Humicola lanuginosa)と同義)、またはトリコデルマ属(Trichoderma)の
菌株、T.ロンギブラキアタム(T.longibrachiatum)およびT.レシ(T.resii)から
得ることができる。あるいは、これは、細菌由来であってよく、バチルス属の菌
株、特にB.シルクランス(B.circulans)、B.プミルス(B.pumilus)、B.ステアロサ
ーモフィルスおよびB.サブチリス、セルロモナス属(Cellulomonas)の菌株、特に
C.フィミ(C.fimi)、クロストリジウム属(Clostridium)の菌株、特にC.サーモセ
ルム(C.thermocellum)、ジクチオグロマス属(Dictyoglomus)の菌株、特にD.サー
モフィルム(D.thermophilum)、ミクロテトラスポラ属(Microtetraspora)の菌株
、特にM.フレクスオサ(M.flexuosa)、ストレプトミセス属(Streptomyces)の菌株
、特にS.リビダンス(S.lividans)、S.オリボクロモゲネス(S.olivochromogenes)
、またはサーモモノスポラ属(Thermomonospora)の菌株から得ることができる。
あるいは、これは、酵母由来であってよく、アウレオバシジウム属(Aureobasidi
um)の菌株から得ることができ
る。
セルラーゼ酵素は、バクテリオイデス属(Bacterioides)の菌株、セルロモナス
属の菌株、特にC.フィミ、クロストリジウム属の菌株、特にC.サーモセルム、エ
ルビニア属の菌株、特にE.クリサンセルミス(E.chrysanthermis)、フサリウム属
(Fusarium)の菌株、特にF.オキシスポラム(F.oxysporum)、ヒュミコラ属の菌株
、特にH.インソレンスおよびH.ラヌギノサ(サーモミセス・ラヌギノサスと同義
)、ミクロバイスポラ属(Microbispora)の菌株、特にM.バイスポラ(M.bispora)
、ミセリオフソラ属の菌株、特にM.サーモフィラ、ネオカリマスティクス属の菌
株、特にN.フロンタリス(N.frontalis)、ピロモナス属(Piromonas)の菌株、P.コ
ムニス(P.communis)、シュードモナス属の菌株、ロビラルダ属(Robillarda)の菌
株、ルミノコッカス属(Ruminococcus)の菌株、スフェロモナス属(Sphaeromonas)
の菌株、特にS.コムニス(S.communis)、トリコデルマ属の菌株、T.ビリデ(T.vir
ide)、T.レセイ(T.reesei)およびT.コニンギ(T.koningii)、またはサーモノスポ
ラ属(Thermonospora)の菌株から得ることができる。
より好ましい実施形態では、多重の酵素活性を含んでいる酵素調製品、例えば
ヒュミコラ・インソレンスの菌株から生産される多重活性を有する(multi-activ
e)βグルカナーゼ調製品を用いる。この様な調製品は市販されていて、Novo Nor
disk A/S,Denmark社から、UltrafloTM、ヒュミコラ・インソレンスの多重活性β
グルカナーゼ調製品として入手できる。
別の好ましい実施形態では、アスペルギルス属から得られる、アラバナーゼ、
セルラーゼ、βグルカナーゼ、ヘミセルラーゼおよびキシラナーゼを含んでいる
広範囲のカルボヒドラーゼを含んでいる多酵素複合体を用いる。この様な調製品
は市販されていて、Novo N
ordisk A/S,Denmark社から、ViscozymeTMとして入手できる。
別の好ましい実施形態では、トリコデルマ・レセイの液体発酵から得られる酵
素調製品を用いる。この様な調製品は市販されていて、Novo Nordisk A/S,Denma
rk社から、CelluclastTMとして入手できる。
「工程条件および装置」
本発明の工程は、過程(i)植物性タンパク質材料に1または複数の炭水化物
分解酵素を作用させ、それによってタンパク質および加水分解された炭水化物を
含んだ混合物を得る過程;および過程(ii):加水分解された前記炭水化物から
前記タンパク質を分離するために、過程(i)の混合物に分離工程を施す過程、
を含んでいる。
過程(i)および過程(ii)は、2段階の過程(two succsseive steps)として
行ってもよいし、または同時に行ってもよい。また、本発明の工程は、バッチ(b
atch)工程または連続(continuous)工程として行うことができる。本発明の工程
を連続工程として行う場合、過程(i)および過程(ii)を同時に行うことが好
ましい。
本発明の工程は、当分野で報告されている様に、植物素材からタンパク質を単
離および修飾するために通常用いられる工程条件において、既存の装置によって
、行うことができる(Olsen HS;Continuous Pilot Plant Production of Bean Pr
otein by Extraction,Centrifugation,Ultrafiltration and Spray Drying;Le bensm .Wiss.u.Technol.
1978 11 57-64;and Olsen HS & Adler-Nissen J;App
lication of Ultra- and Hyperfiltration During production of Enzymaticall
y Modified proteins;American Chemical Society Symposium Series,1981 154
(10)133-169)。
分離工程は、従来の任意の分離技術、特に膜による分離技術、例
えばウルトラフィルトレーション、ダイアフィルトレーション、マイクロフィル
トレーション、ナノフィルトレーション、ハイパーフィルトレーションなどを利
用して行うことができる。
膜による分離技術は、問題のタンパク質に適するカットオフ値を有する膜を用
いて行うことができる。多くの適用において、この膜の理論的な分子量カットオ
フ値は、約2000−約200000、より好ましくは約5000−約150000、最も好ましくは
約70000−約100000であってよい。
過程(i)を行った場合、過程(ii)のpHは、約4−約9の範囲内であってよ
く、その温度は、約5−約65℃、好ましくは約50−約65℃であってよい。過程(
i)および過程(ii)を同時に行う場合、pHおよび温度は、過程(i)で用いる
炭水化物分解酵素の要求条件に合わせる必要がある。
本発明の工程は、炭水化物を分解するために一般に用いられる適用量の炭水化
物分解酵素を使用して、行うことができる。現在、酵素の適用量は、乾燥混合物
中の酵素タンパク質の割合として、約0.1%−約10%(w/w)の範囲が適当であると考
えられる。
「産業上の応用」
本発明の工程によって得られるタンパク質単離物を、様々な産業分野で利用す
ることができる。このタンパク質単離物は、人間および動物の栄養食品、特に小
児および子動物のための製品に配合するために、特に有用である。
従って、本発明の別の側面には、本発明の工程によって得られるタンパク質単
離物を含んでいる食品を提供することがある。
実施例
以下の実施例において、さらに本発明を説明する。この実施例は、特許請求し
た発明の範囲の限定された部分である。
実施例1
「大豆タンパク質単離物の調製」 NSIの高い(>70)脱脂大豆タンパク質(UnisoyT
M800,Loders Crooklaan)55kgを、55℃の水305kgに加える。20分間に、NaOHによ
ってpHを8.5に合わす。
この混合液を、遠心分離にかける(スラッジ:上清=60:40)。このスラッジ
に水を加えて、最初の容積にして、再度遠心する。
ブリックス計から乾燥物重量を621gとして、2回分の上清(420litres,7.4Bri
x)に、2%のUltrafloTM(Novo Nordisk A/S,Denmark)を加えた(OltrafloTMは、
選択されたヒュミコラ・インソレンス菌から生産された多重活性βグルカナーゼ
調製品であり、この中の主要な活性は、セルラーゼ、キシラナーゼ、ペントサナ
ーゼおよびアラバナーゼ活性である)。
この混合液を、ダイアフィルトレーションを含めて、ウルトラフィルトレーシ
ョンにかけた。用いた装置は、FC100膜(理論的な分子量カットオフ値100000)
を装填したPCI Membrane SystemsTMである。濃縮およびダイアフィルトレーショ
ンを行い、12-13Brixにした。
気流および噴霧乾燥処理(flash treatment and spray drying)を行った(Tin=2
00℃,Tout=80℃)。
この最終産物が、大豆タンパク質単離物であり、その乾燥固体物中に、タンパ
ク質が90%(w/w)より多く含まれ、溶解度が非常に高く、そして感覚的特性が良好
である。
実施例2
「大豆タンパク質単離物の調製」
焼いていない(untoasted)脱脂した大豆の粗引き粉(PSI 55%,pH6.5)を、乾燥
物含有量が10%になる様に、温度62-63℃で、水と
混ぜ合わせる。スラリーのpHを、4N NaOHで8.5に合わす。
乾燥物重量を基にして、2%のUltrafloTM(Novo Nordisk A/S,Denmark)を加え
る(UltrafloTMは、選択されたヒュミコラ・インソレンス菌から生産された多重
活性βグルカナーゼ調製品であり、この中の主要な活性は、セルラーゼ、キシラ
ナーゼ、ペントサナーゼおよびアラバナーゼ活性である)。30分間放置した後に
、2回遠心を行い、スラッジから可溶性タンパク質を抽出する。この抽出効率は
、約90%である。
1回目の遠心後に、スラッジに脱イオン水を加えて再希釈し(温度は62−63℃
のまま)、そして2回目の遠心を行い、その後スラッジを捨てる。
2回の遠心から得られる上清(centrifugate)を、最初のウルトラフィルトレ
ーション装置の供給タンクに入れる。
混合、抽出および最初のウルトラフィルトレーションの最中では、細菌増殖を
抑制するために、本工程の液体の温度は、約60℃以上に保つ。混合および抽出中
では、タンパク質変性、過剰の着色および感覚的特性の崩壊を抑制するために、
この温度を64-65℃以下に保つ。
タンパク質抽出液から炭水化物および塩を洗い出すために、遠心上清をウルト
ラフィルトレーションにかける。この上清を最大5.5%DSまで濃縮し、次に脱イオ
ン水を加えて、%DS(通過液(permeate))/%DS(残存液(retentate))=0.09に
なるまで、ダイアフィルトレーションする。
この残存液を、9-10%DSまで濃縮する。
生産物中の細菌数を減らすために、この残存液を125℃、3-4秒間で低温殺菌す
る。
この液体を、55℃で、AFC30膜を装填したPCI Membrane Systems
によってナノフィルトレーションを行い、濃縮および脱塩する。低浸透性を希望
する場合、脱イオン水を加えてダイアフィルトレーションを行い、最終的な濃度
になる前に止めることができる。
30Brixの時点で、流速の低下のためにナノフィルトレーションを止める。
このタンパク質単離物を、Tin200℃で噴霧乾燥して球状化する。噴霧乾燥した
粉末において、満足できる安定性を得るためには、この粉末の水分含有量は、好
ましくは6.5%未満であるべきである。
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