JP2001500123A - ε―カプロラクタムの製造法 - Google Patents

ε―カプロラクタムの製造法

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Abstract

(57)【要約】 ε−カプロラクタムの製造法において、工程(a)で、一般式:O=CH−(CH2)4−C(O)−R (1)[式中、Rは−OH、−NH2または−O−R'を表し、ここで、R'は炭素数1〜10の有機基を表す。]を有する化合物を、適切な溶媒中、高められた圧力下、水素添加触媒の存在下でアンモニアおよび水素と接触させて、第一アミノ化合物とε−カプロラクタムとの混合物を形成し、続いて、第一アミノ化合物を反応させてε−カプロラクタムにする別個の第二工程(b)を行う方法であり、ここで工程(a)における溶媒は水を含む水性媒体であり、工程(a)でのε−カプロラクタムへの収率は、式(1)の化合物の最初のモル量に基づいて計算して10%より多く、ε−カプロラクタムは工程(a)で得られた水牲混合物から抽出によって分離され、該抽出から得られる、第一アミノ化合物を含む水性混合物が工程(b)で使用される。

Description

【発明の詳細な説明】 ε−カプロラクタムの製造法 本発明は、ε−カプロラクタムの製造法に関し、該方法では、第一工程(a) において、一般式: O=CH−(CH2)4−C(O)−R (1) [式中、Rは−OH、−NH2または−OR'を表し、ここで、R'は炭素数1〜 10の有機基を表す。]を有する化合物を、適切な溶媒中、高められた圧力下、 水素添加触媒の存在下でアンモニアおよび水素と接触させて、第一アミノ化合物 とε−カプロラクタムとの混合物を形成する。次いで、第一アミノ化合物を反応 させてε−カプロラクタムを形成する別個の第二工程(b)を行う。 かかる方法は、米国特許第4,730,041号に記載されている。この特許は、5− ホルミル吉草酸メチルをまず、溶媒としてのメタノールの存在下およびラネーニ ッケルなどの触媒の存在下、80℃の液相で過剰のアンモニアおよび水素と反応さ せて約89%の6−アミノカプロン酸メチルと約3%のε−カプロラクタムとの混 合物を得る方法を記載している。この混合物は、次いで225℃に加熱されて、78 %のε−カプロラクタムを生じる。種々のプロセス工程における全ての反応体の 総濃度は約10重量%であった。 この米国特許第4,730,041号に記載された方法の欠点は、(工程(b))環化の ための比較的サイズの大きいプロセス装置が必要であるということである。これ は、その工程における反応体の濃度が低いことによる。その特許によ れば、環化は加圧下でも行われ、これは特別のプロセス装置を必要とする。経済 /投資の観点から、一般には、サイズが小さく、あまり高価でないプロセス装置 が望まれる。しかし、単にサイズの小さいプロセス装置を使用すること(あるい は、環化工程での反応体の濃度を単に増加させることにより可能であると考えら れ得る)は、オリゴマーの形成の増加により収率の低下が予想され得るので不利 である。MaresおよびSheehanによるInd.Eng.Chem.Process Des.Dev.,Vol.17 ,No.1,1978,9-16の論文における説明を参照。 本発明の主な目的は、従来技術の方法と比較して、環化のための容積のより小 さいプロセス装置で効果的に操作することができる方法を提供することである。 この目的は、工程(a)で使用される溶媒が水を含む水性媒体であり、工程(a )で得られるε−カプロラクタムの収率が式(1)に従う化合物の最初のモル量 に基づいて計算して少なくとも10%になる条件の組み合わせを使用することによ り達成され、ε−カプロラクタムは、工程(a)から得られる水性混合物から、有 機抽出剤を使用した抽出により分離され、そして、抽出工程から得られる、第一 アミン化合物を含む水性混合物は、次いで、工程(b)への供給物として使用さ れる。 上記の結果、ε−カプロラクタムを製造するための本発明に係る下記プロセス が得られる。該プロセスでは、第一工程(a)において、一般式: O=CH−(CH2)4−C(O)−R (1) [式中、Rは−OH、−NH2または−O−R'を表し、ここで、R'は炭素数1 〜10の有機基を表す。]を有する化合物を、溶媒としての水性媒体中、高めら れた圧力下、水素添加触媒の存在下でアンモニアおよび水素と接触させて、ε− カプロラクタムと第一アミノ化合物との混合物を形成し、ここで工程(a)での ε−カプロラクタムへの収率は、該化合物の最初のモル量に基づいて計算して少 なくとも10モル%のレベルに及び、工程(a)から得られた該水性混合物から有 機抽出剤によりε−カプロラクタムを抽出してε−カプロラクタムの有機抽出剤 溶液および別個の残留水性混合物を形成し、次いで、該残留水性混合物中の該第 一アミノ化合物をさらに反応させてε−カプロラクタムを形成する別個の第二工 程(b)を行う。 工程(a)における溶媒として水性媒体(水を含む)を使用し、工程(a)で のε−カプロラクタムの収率を増加させることにより、ε−カプロラクタムは、 工程(b)の前に反応混合物から抽出により有利に分離され得る。従って、工程 (b)の前にε−カプロラクタムを分離することの結果として、従来技術の欠点 を回避しながら、容積のより小さいプロセス装置を工程(b)で効果的に使用す ることができる。 本発明のさらに別の利点は、ε−カプロラクタムのかなりの部分が、第一工程 (a)で使用される比較的低い温度で製造され得るということである。これに対 して、米国特 許第4,730,041号の方法では、ε−カプロラクタムのほとんど全てが第二工程( b)において比較的高い温度、例えば300℃で製造される。これは、重要な温度 差である。本発明に従って操作すると、その方法の1モルのε−カプロラクタム を製造するのに必要な総エネルギー消費は、従来技術の場合より少ない。 さらに、第二工程のより高い温度にさらされるε−カプロラクタムがより少な いという事実も、得られるε−カプロラクタム中の不純物の量が低められるとい う点で有利である。さらに、より高い温度では、ε−カプロラクタムは、より低 い温度の場合よりも容易に不純物に反応する傾向にある。 本発明の別の利点は、ε−カプロラクタムが、米国特許第4,730,041号に記載 された従来技術の場合に可能であったよりも高い総収率で得られるということで ある。 工程(a)に匹敵するプロセスにおいて10%より多くのε−カプロラクタムが 得られるプロセスの例は一般に先行技術では報告されていない。これは恐らく、 そのような比較的高い収率では、ε−カプロラクタムオリゴマーが形成され得る からである。オリゴマーの形成は、一般に、所望の生成物がε−カプロラクタム である場合は不利であると考えられる。しかし、本発明者らは、工程(a)にお けるかかるオリゴマー形成はε−カプロラクタムの総収率の低下をもたらさない に違いないことを見出した。 さらに、ε−カプロラクタムは、6−アミノカプロン酸、 6−アミノカプロアミドおよび/またはそれらの各々のオリゴマーを含む水性混 合物から排他的に分離され得ることが見出された。これらの第一アミノ化合物は 、工程(a)の最も重要な反応生成物であり、工程(b)でのε−カプロラクタ ムへの更なる反応のための出発化合物である。 水性混合物からのε−カプロラクタムの抽出は、水性混合物と実質的に相溶性 でない有機抽出溶媒を用いて行うことができる。本明細書において実質的に相溶 性でないとは、有機抽出溶媒と水性混合物との混合物が抽出温度で二つの分離さ れた相を生じることを意味する。好ましくは、抽出の条件下での相互の溶解度が 30重量%以下であり、より好ましくは20重量%未満である。 そのような溶媒の例としては、エーテル(例えば、メチルt−ブチルエーテル )、芳香族(例えば、トルエン、ベンゼンおよびキシレン)ならびにパラフィン 性溶媒(例えば、デカリン)が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜10の塩素 化炭化水素が使用される。例としては、ジクロロメタン、クロロホルムまたは1 ,1,1−トリクロロエタンが挙げられる。 他の種類の抽出剤の例は、フェノールおよびアルキルフェノールである。好ま しい種類のアルキルフェノールは、沸点がε−カプロラクタムよりも高いもので ある。好ましくは、アルキルフェノールは沸点がε−カプロラクタムの沸点(0. 1Mpaで270℃)よりも高い。アルキルフェノールは、大気圧下で高い沸点を有す る。従って、この文脈では、 沸点は、例えば1.3kPa(10mmHg)の減圧下で有利に比較される。カプロラクタムの 沸点は10mmHgで140℃であり、一方、例えばドデシルフェノールの沸点は、その 圧力下で190℃である。好ましくは、アルキルフェノールの沸点が1.3kPa(10mmHg )でカプロラクタムの沸点の少なくとも約5℃上であり、特には少なくとも約15 ℃上である。アルキルフェノールの沸点の上限は、10mmHgで約400℃である。好 ましくは、アルキルフェノールは、ε−カプロラクタムと共沸混合物を形成しな いように選択される。 アルキルフェノールは、1以上のアルキル基で置換されたフェノールである。 アルキル基の炭素原子の総数は、好ましくは6〜25であり、より好ましくは8 〜15である。具体的なアルキルフェノール化合物の例としては、ドデシルフェ ノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、n−ヘキシルフェノール、2 ,4−ジイソブチルフェノール、2−メチル−4,6−ジ−t−ブチルフェノー ル、3−エチル−4,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,4,6−トリ−t− ブチルフェノールおよびれらの任意の混合物が挙げられる。米国特許第4,013,64 0号は、他のアルキルフェノールを開示しており、それらも使用され得る(その 完全な開示は引用することにより本明細書に含められる)。アルキルフェノール の他の混合物も使用することができる。 最も好ましい抽出溶媒は、1以上のヒドロキシル基を有する脂肪族または脂環 式化合物である。かかるアルコー ル化合物は、好ましくは4〜12個の炭素原子を有し、より好ましくは5〜8個 の炭素原子を有する。好ましくは、1または2個のヒドロキシル基が存在し、よ り好ましくは1個のみのヒドロキシル基が存在する。好ましくは、立体障害のあ るアルコールが使用される。立体障害のあるアルコールは、ヒドロキシル基が− CR123[式中、R1およびR2はアルキル基であり、R3はアルキル基または 水素である。]に結合している化合物である。これは、得られる水相がε−カプ ロラクタムを製造するための供給物質として使用されるプロセスにおいて有利で ある。立体障害のあるアルコールは、ε−カプロラクタムのN−アルキル化物質 への反応をあまり受けない。 2個のヒドロキシル基を有する化合物の例としては、ヘキサンジオール、ノナ ンジオール、ネオペンチルグリコール。メチル−メチルプロパンジオール、エチ ル−メチルプロパンジオールまたはブチル−メチルプロパンジオールが挙げられ る。1個のヒドロキシル基を有する化合物の例としては、シクロヘキサノール、 n−ブタノール、n−ペンタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、4 −メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−プロピル− 1−ヘプタノール、n−オクタノール、イソノニルアルコール、n−デシルアル コールならびに直鎖および分岐鎖C8−アルコールの混合物、直鎖および分岐鎖 C9−アルコールの混合物、直鎖および分岐鎖C10−アルコールの混合物が挙げ られる。上記したアルコールの 混合物も使用できる。好ましいアルコールは、ε−カプロラクタムに関する親和 性が高く、ε−カプロラクタムよりも沸点が低く、水との密度差が大きく、市販 されており、水との相互溶解性が低く、および/または生物分解可能である。 抽出工程は、有機抽出剤の融点より上の温度で行われる。抽出温度は、一般に 、室温〜約200℃である。 抽出工程は減圧下で行われるが、使用される実際の圧力は決定的ではない。抽 出工程中の圧力は、例えば、約0.1Mpa〜約2.0Mpaであり、好ましくは約0.1Mpa〜 約0.5Mpaであり得る。抽出工程は、周知の抽出装置、例えば向流カラムまたは一 連の混合機/沈降機で行うことができる。 抽出工程では、一般に約50重量%までのε−カプロラクタムを約0〜約15重量 %の水と共に含み得る有機相が得られる。 式(1)に従う出発化合物(アルデヒド化合物)自体は、対応するペンタノエ ートエステル、酸またはアミドのヒドロホルミル化によって得ることができ、例 えばエステルの場合はWO−A−9426688およびWO−A−9518089に記載され、酸の場 合は例えばWO−A−9518783に記載されているようなものが挙げられる(該特許の 開示は引用することにより本明細書に含められる)。出発化合物としては5−ホ ルミル吉草酸エステルが好ましい。なぜならば、この化合物は現在、比較的容易 に得られるからである。 式(1)において、Rは−OH、−NH2または−O− R'の基の一つとして定義され、ここで、R'は好ましくは炭素数1〜20の有機 基である。この有機基は、アルキル,シクロアルキル、アリールまたはアラルキ ル基である。より好ましくは、R'はアルキル基である。R'基の例としては、メ チル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル 、シクロヘキシル、ベンジルおよびフェニルが挙げられる。好ましくは、R'は メチルまたはエチルである。 工程(a)は、還元的アミノ化のための一般的に公知の方法によって行うこと ができる。工程(a)でのε−カプロラクタムへのより高い収率は、生成物の収 率を改善するための一般的に公知の条件を選択することにより達成することがで きる。5−ホルミル吉草酸から出発する場合は、例えば米国特許第4,730,040号 に記載の条件を適用することができ、5−ホルミル吉草酸エステルがら出発する 場合は、米国特許第4,730,041号に記載の条件を適用することができる。アンモ ニアは、好ましくは、アルデヒド化合物に関してモル過剰に存在させる。5−ホ ルミル吉草酸エステルが出発物質の場合、工程(a)は、追加のアルコール溶媒 の存在下で行うのが好ましく、より好ましくは、エステル(R'−OH)の対応 するアルコールの存在下で行う。アルコールの存在により、水性反応混合物にお ける5−ホルミル吉草酸エステルの溶解度が改善される。アルコールの濃度は、 好ましくは約2〜20重量%であり、より好ましくは約5〜15重量%である。工程 (a)の温度は、好 ましくは約50〜150℃であり、圧力は約0.5〜20Mpaである。 水素添加触媒は、元素周期表(新IUPAC命名法;Handbook of Chemistry and Ph ysics,第70版、CRCプレス、1989-1990)の8〜10族の金属、例えばニッケル、コ バルト、ルテニウム、白金またはパラジウムから選択される1以上の金属を含む 。Ru−、Ni−またはCo−含有触媒が好ましい。Ru、Coおよび/または Niに加えて、触媒は、他の金属、例えばCu、Feおよび/またはCrを含む こともできる。これらの追加の金属の含量は、例えば金属の総含量に対して20重 量%までであり得る。 触媒的に活性な金属は、所望により担体上で用いてもよい。適する担体として は、例えば酸化アルミニウム、シリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マ グネシウム、炭素またはグラファイトが挙げられる。担体を含まない金属も使用 できる。担体を含まない金属の一例は、細かく分散されたルテニウムである。好 ましいNi−およびCo−含有触媒は、所望により少量の別の金属、例えばCu 、Feおよび/またはCrと組み合わせたラネーニッケルおよびラネーコバルト である。 最も好ましいのはルテニウム含有触媒である。ルテニウム含有触媒を使用する と、延長された時間にわたる工程(a)でのε−カプロラクタムへのより高い収 率が可能である。可能なルテニウム含有触媒の例としては、担体を含まないもし くは支持体のない金属触媒、例えば細かく分散 されたルテニウム、または担体上に支持されたルテニウム、例えば炭素、アルミ ナ、グラファイトもしくはTiO2担体上のルテニウムが挙げられる。 工程(a)は、望ましくは、好ましい態様(以下に記載)に従って行われる。 その場合、ε−カプロラクタムへのより高い総収率の達成が可能であることも見 出された。 その好ましい態様では、工程(a)は、二つの別々のサブ工程、すなわちサブ 工程(a1)およびサブ工程(a2)で行われる。サブ工程(a1)では、式(1)に 対応するアルデヒド化合物を非水素添加条件下でアンモニアと反応させ、サブ工 程(a2)では、サブ工程(a1)で得られた反応生成物を水素添加条件下、アンモ ニアの存在下でε−カプロラクタムおよび第一アミノ化合物に転化させる。 サブ工程(a1)は、非水素添加条件下で行われる。「非水素添加条件」とは、 反応条件が、水素が存在しないか、あるいは水素が存在する場合は式(1)に従 うアルデヒド化合物またはその反応生成物が水素によって還元されないまたは実 質的に還元されないような条件である。一般に、非水素添加条件は、第一のサブ 工程(a1)を水素添加触媒の不存在下で行うことにより実現される。 方法の変形は可能である。本発明方法のかかる一態様では、水素(サブ工程( a2)で必要である)をサブ工程(a1)にすでに存在させることができる。他方、 水素添加触媒がすでに導入され、このサブ工程(a1)に存在している場合は、そ れにもかかわらず、非水素添加条件は、サブ工程(a1) の完了後まで水素の添加を回避することにより達成され得る。第三の可能な態様 は、水素および水素添加触媒の両方がサブ工程(a1)に存在しない態様である。 サブ工程(a1)の温度は約120℃までであってよく、好ましくは約0℃〜100℃ である。より好ましくは、温度は約20〜100℃である。第一アミノ化合物および ε−カプロラクタムに関して得られる総収率に関する最良の結果は、サブ工程( a1)でのアルデヒド化合物の転化が90%より高く、好ましくは約99%より高い場 合に達成される。転化が低すぎると、例えば6−ヒドロキシカプロン酸エステル (または酸またはアミド)および/または第二アミノ化合物の生成が増加すると いう結果になり得る。これらの化合物の生成は、その場合、ε−カプロラクタム への総プロセス収率にマイナスの影響を及ぼすであろう。 上記で説明したように、サブ工程(a1)での接触または滞在時間が短すぎると 、好ましくない副生物が生成するという結果を生じ得る。アルデヒド出発化合物 の転化が実質的に完了する最適な滞在または接触時間は、反応条件、例えば温度 、反応体の濃度および混合方法の全体的な組み合わせに依存する。上記転化の達 成に必要な時間よりも長い接触または滞在時間はもちろん可能である。最適な滞 在時間または接触時間は、当業者であれば容易に決定することができる。 本明細書に記載した温度および濃度範囲から出発すると、普通の混合条件下で の滞在または接触時間は一般に、 好ましくは約5秒より長い。好ましくは、滞在または接触時間は約2分より短い サブ工程(a1)はアンモニアの存在下で行われ、好ましくはアンモニア:アルデ ヒド化合物のモル比がアルデヒド化合物の出発量に基づいて計算して1:1〜50 0:1になるようなモル過剰のアンモニアが選択される。好ましくは、この比が 約5:1より上である。この比が低すぎると、ε−カプロラクタム収率はマイナ スの影響を受ける。好ましくは、サブ工程(a1)におけるアンモニア:アルデヒ ド化合物(アルデヒド化合物およびその反応生成物)のモル比が約3:1〜25: 1、より好ましくは約5:1〜15:1である。 水は、アルデヒド化合物とアンモニアとの間の反応の反応生成物としてサブ工 程(a1)において形成されるであろう。好ましくはサブ工程(a1)、及び更にサブ程 工(a2)が、少なくとも10重量%の水の存在下に実行される。サブ工程(a1)におけ る反応混合物の水含有量は、好ましくは約15〜60重量%、そしてより好ましくは 約20〜50重量%である。 アルデヒド化合物の濃度、又はより正確には、アルデヒド化合物及び工程(a) 若しくはサブ工程(a1)におけるその反応生成物の合計の濃度は、通常約1〜50重 量%、そして好ましくは約10〜35重量%である。ε‐カプロラクタムへの高い収 量が、このより高い濃度で有利に達成され得る。 サブ工程(a1)における圧力は重要ではない。圧力は通常、液状反応混合物及び 使用された温度の得られる平衡圧力と 等しいか又はより大きい。 サブ工程(a1)は、触媒、例えば、酸イオン交換体又は酸性金属酸化物触媒、例 えば、アルミナ又はTiO2の存在下において実行され得る。更に、第一段階に おけるアルデヒド出発化合物の転換はまた、触媒の不存在下に好ましく進行する 。ε‐カプロラクタムへの全体の収量が、第一段階における触媒の存在により大 きく影響されない故に、そのような触媒は通常使用されない。 本発明に従う方法は、バッチ法又は連続的に実行され得る。大規模コマーシャ ルプロセスは、好ましくは連続的に実行されるであろう。サブ工程(a1)のために 、反応物が、任意的に上記の触媒の存在下に指定された時間の間、ある温度にお いて十分に接触されることが重要である。任意の接触法が通常十分であろう。例 えば、内部バッフル又はパッキング又はスタティックミキサーを持つか又は持た ない管型反応器が、サブ工程(a1)のために可能な接触ユニットである。サブ工程 (a1)における温度を制御するために、冷却装置、例えば、接触ユニットに据え付 けられた冷却された壁又は冷却スパイラルを使用することが有利であり得る。 サブ工程(a1)のための上記の比及び濃度及びそれらの好ましい値はまた、特記 なき限りはサブ工程(a2)のために適用する。更に、サブ工程(a1)において得られ る水性反応混合物の組成は好ましくは、直接にかつ混合物の任意の化合物の実質 的な分離なしにサブ工程(a2)において使用される。これは、それがより簡単なプ ロセスをもたらす故に、有利 である。 サブ工程(a1)から得られる反応生成物は、アンモニアの存在下に水素化条件に おいてε‐カプロラクタム及び第一級アミノ化合物にサブ工程(a2)において転換 される。 そのようにして得られる第一級アミノ化合物は、6-アミノカプロアミド、6-ア ミノカプロン酸エステル及び6-アミノカプロン酸を含む。工程(a)において形成 され得るところのオリゴマーは、本発明においてまた、第一級アミノ化合物とし て及びε‐カプロラクタムへの前駆体として考えられ得る。オリゴマーは、大部 分について6-アミノカプロン酸の二量体又は6-アミノカプロアミドの二量体であ る。三量体及びより高いオリゴマーがまた形成され得る。 式(1)に従うアルデヒド化合物が5-ホルミル吉草酸エステルであるとき、ε‐ カプロラクタム、6-アミノカプロン酸、6-アミノカプロアミド及び、含まないか 又は少量の6-アミノカプロン酸エステル及び/又はオリゴマーの混合物が、サブ 工程(a2)において得られるであろう。エステル基の加水分解は主に、サブ工程(a 2)において生ずる。アルデヒド化合物が、5-ホルミル吉草酸であるとき、ε‐カ プロラクタム、6-アミノカプロン酸、多分いくらかの6-アミノカプロアミド及び 多分いくらかのオリゴマーの混合物が、サブ工程(a2)において得られるであろう 。 「水素化条件」という言葉により、反応条件が、サブ工程(a1)において得られ る中間反応生成物が水素により還元され得るようなものであることが本発明にお いて理解され る。通常、水素化条件は、水素及び水素化触媒が存在する時に達成される。水素 化触媒は、上記に述べられている。 サブ工程(a2)において使用される全圧力は通常、0.5〜20MPaである。圧力は、 好ましくは0.5〜10MPa及びより好ましくは1〜5MPaである。 サブ工程(a2)は通常、約40℃より高い温度において実行される。通常温度は、 約200℃より低いであろう。ε‐カプロラクタムへの最適な全収量を達成するた めに、温度は約70〜180℃がより好ましい。最も好ましくは温度は、ε‐カプロ ラクタムへの高収量が得られ得る故に、約100℃より高い。 サブ工程(a2)における滞留時間又は接触時間は、ε‐カプロラクタム及び第一 級アミノ化合物の所望の収量にサブ工程(a1)において形成される実質的に全ての 中間生成物を還元するように十分に長くなければならない。操作可能な滞留時間 又は接触時間は好ましくは、約30秒から約数時間の間である。プロセスが、バッ チ的に又は連続的に操作されるスラリー反応器において実行される時、接触時間 又は滞留時間は夫々通常、連続的に操作される管型反応器が使用される時の滞留 時間より長いであろう。 サブ工程(a2)は、不均一水素化触媒が存在するところの固定床反応器において 連続的に達成され得る。この反応器の利点は、反応物が水素化触媒から容易に分 離されることである。サブ工程(a2)を操作する他の方法は、水素化触媒が良好に 混合されたスラリーとして存在するところの直列 の一つ又はそれ以上の連続的に操作される接触器(スラリー反応器)の使用によ る。この操作の方法は、サブ工程(a2)からの反応熱が、例えば、冷却されたフィ ードにより、あるいは内部に据え付けられた冷却装置により容易に制御され得る という利点を有する。特定の及び適切なスラリー反応器の例は、単一若しくは多 段のバブルカラム又はガスリフト‐ループ反応器又は連続撹拌式槽型反応器(CST R)である。スラリー‐水素化触媒は、例えば、ハイドロサイクロンを使用して及 び/又は濾過により、例えば、ケーキ又はクロスフロー濾過によりサブ工程(a2) 後に反応混合物から分離され得る。 サブ工程(a2)における触媒濃度は、広い範囲に亘って選ばれ得る。固定床反応 器における体積当りの触媒量は高いであろう。一方、スラリー反応器におけるこ の濃度は通常、より低いであろう。連続的に操作されるスラリー反応器において 、(担体を含む)触媒の重量フラクションは典型的には、反応器の全含有量に対し て0.1〜30重量%である。重量フラクションは、例えば、担体の使用及び担体の 種類に依存するであろう。 工程(a)におけるε‐カプロラクタムへの収量は、本発明に従う方法において 、10重量%を超え、そして好ましくは20重量%より高い。 ε‐カプロラクタムへの高い収量は、例えば、サブ工程(a1)及び(a2)における 反応物の濃度を増加すること、二段階還元的アミノ化を達成する時、工程(a)又 はサブ工程(a2) における滞留時間を増加すること、サブ工程(a1)における温度を増加すること、 及び/又は工程(a)(又はサブ工程(a2))においてルテニウム含有触媒を使用する ことにより達成され得る。 アンモニア、水素、水素化触媒及び(もし存在するなら)アルコールは好まし くは、本発明の方法に従う抽出に先立って、還元的アミノ化工程(a)において得 られる反応混合物から分離される。水素及びアンモニアの一部は、圧力を減じる こと及び気液分離を実行することにより有利に分離され得る。そのような操作の 例は、環境圧力と0.5MPaとの間において達成されるフラッシュ操作である。水素 及びアンモニアは工程(a)に有利に循環され得る。 次の工程において、(もし存在するなら)アルコールが分離され得る。1重量% より少ないそしてより好ましくは0.1重量%より少ないアルコールの存在下に、 環化工程(b)を実行することが有利であることが分かった。従って、工程(a)から 得られた混合物がアルコールを含むとき、この化合物を分離することが有利であ る。環化の間のアルコールの存在は対応するN-アルキルカプロラクタム、所望さ れない副生成物の形成を促進することが分かった。これらのN-アルキル化生成物 、例えば、N-メチルε‐カプロラクタムの少量の存在は、最終的なε‐カプロラ クタムにおいて、ナイロン‐6ファイバーのための出発物質としての使用のため に余り適していないε‐カプロラクタムを作る。これらのN-アルキル化生成物が 、最終的なε‐カプロラクタム から分離することが困難である故に、本発明に従う方法においてそれらは形成さ れず又はそれらの形成が最小になることが好ましい。 アルコールを分離することは、当業者に公知の任意の方法により、例えば、蒸 留又はストリッピングにより、例えば、スチームストリッピングにより達成され 得る。 工程(b)は、工程(a)において得られるような(好ましくは濃縮された)混合物 をおよそ大気圧で約150〜400℃の温度を持つ過熱スチームと接触させることによ り、例えば、米国特許第4,599,199号明細書又は米国特許第3,658,810号明細書に 述べられているような気相において達成される。そのような気相法は、ε‐カプ ロラクタムがオリゴマーが存在しないガス状スチーム相において得られる故に、 有利である。ε‐カプロラクタムとオリゴマーの分離はこのように回避され得る 。 好ましくは工程(b)は、例えば、上記の米国特許第4,730,040号明細書、国際特 許出願公開第9600722号公報及びMares及びSheehanの上記論文において述べられ たような加圧下で液相において達成される。高品質のε‐カプロラクタムの高い 収量が、これらの液相法により得られ得る。より好ましくは工程(b)は、下記に おいて議論されるような液相において達成される。 工程(b)において使用される液状混合物中のアンモニアの濃度は、好ましくは 約5重量%未満、そしてより好ましくは約3重量%未満、そして最も好ましくは 約1重量%未満 である。アンモニアのより高い濃度は、連続法において1パス当りのε‐カプロ ラクタムへの収量において負の効果を有する。 工程(b)におけるε‐カプロラクタム及びε‐カプロラクタム前駆体の濃度は 、好ましくは5〜50重量%、そしてより好ましくは10〜35重量%である。 工程(b)における高められた温度は約200〜350℃である。好ましくは工程(b)の 温度は、ε‐カプロラクタムへの1パス当りのより高い収量のために、290℃よ り高い。 工程(b)における圧力は、好ましくは5.0〜20MPaである。通常この圧力は、液 状反応混合物及び採用される温度で得られた圧力より高いか又は等しいであろう 。 工程(b)は、プロセス装置において連続的に達成されることができて、結果と してあらゆる割合のバックミキシングをもたらす。 ε‐カプロラクタムは、例えば、結晶化、抽出により、又は蒸留により工程(b )において得られる反応混合物から分離され得る。好ましくはε‐カプロラクタ ムは、前に述べたと同一の抽出剤及び条件が使用されることができるところの抽 出により分離される。より好ましくは工程(b)において得られる流出物は、上記 の工程(a)の流出物のために使用されたと同一の抽出法を受ける。この抽出工程 に先立って、該プロセスにおけるアンモニアの蓄積を防止するために工程(b)の 水性混合物中に存在するアンモニアの一部又は全部を分離することが好ましい。 工程(b)の流出物からのε‐カプロラクタムの抽出は、オリゴマーが、ε‐カ プロラクタムを含む水性混合物中にまた存在する時、蒸留分離に比較して特に有 利である。蒸留を使用する時、より多くのオリゴマーが通常、高濃度で蒸留残渣 中に形成されそして得られる。これらの高いオリゴマー濃度及びオリゴマーの固 化のために、プロセス装置、例えば、配管及び他の構成要素の付着が生じ得る。 この欠点は、抽出がε‐カプロラクタムを単離する方法として使用される時に生 じない。 蒸留に優る抽出法の他の利点は、工程(b)の流出物中に存在し得るところのア ミン化合物が、蒸留の高いリボイラー温度にさらされないことである。これらの 高い温度条件は、副生成物及び(より多い)オリゴマーの形成を引起す傾向にあ る。ε‐カプロラクタムを単離するための方法として抽出を使用することにより 、リボイラーの高温にε‐カプロラクタム前駆体をさらすことが回避され得、あ るいは少なくとも実質的に減じられる。 ε‐カプロラクタムは、ベックマン転位により得られるε‐カプロラクタムを 精製するための公知の方法により精製され得る。ε‐カプロラクタムを精製する ための一つの方法の例は、米国特許第5,496,941号明細書に開示されている。 本発明に従う5-ホルミル吉草酸メチルから出発する方法の実施態様の限定され ない例が、図1に与えられている。例示された方法は、下記の実施例においで使 用されたプロ セス装置の概略表示である。 図1において、5-ホルミル吉草酸メチル/水/アンモニア/メタノールの混合物( 1)が、還元的アミノ化反応器(A)にフィードされる。また、(A)に十分な水素がフ ィードされる。還元的アミノ化反応器(A)からの流出物は、ラインにより容器(B) に導かれ、ここで、アンモニア及びメタノールがスチームストリッピングにより 分離される。メタノールの一部がライン(6)を経て回収され、そして残分はライ ン(5)を経て還元的アミノ化段階(A)に循環される。得られた反応混合物は、ライ ン(7)を経て向流抽出力ラム(C)に導かれ、そして次いで、(8)を通る抽出溶剤に より抽出されて、ε‐カプロラクタムの豊富な抽出溶剤流(9)並びに6-アミノカ プロン酸、6-アミノカプロアミド及びオリゴマーの豊富なライン(11)を経る水性 の混合物を生ずる。容器(E)において、まず水が蒸留により混合物から分離され かつ除去され、そしてライン(3)を経て還元的アミノ化段階に循環される。今得 られた濃縮された水性混合物は、ライン(11')を経て環化反応器(F)にフィードさ れ、ε‐カプロラクタムに豊富であるが、またいくらかの未転化のオリゴマー、 その上6-アミノカプロン酸及び6-アミノカプロアミドを含むライン(12)中の流出 物を生ずる。例えば、容器(G)におけるスチームストリッピングによりライン(14 )を経てアンモニアを分離した後、水性の混合物(13)は、抽出力ラム(C)に循環さ れる。任意的に、容器(F)の流出物は、(12')を経てスチームストリッパー(B)に 循環され得る。このよ うに、抽出力ラム(C)へのフィードは濃縮され、そしてアンモニアは、余り高価 でなくかつ余り複雑でないプロセス装置を使用することにより効果的に分離され 得る。カラム(C)において得られるε‐カプロラクタム抽出溶剤混合物は、ライ ン(9)を経て分離ユニット(D)に供給され、そしてここで、有機溶剤が、例えば蒸 留によりε‐カプロラクタムから分離され、そしてε‐カプロラクタムがライン (10)を通って得られる。今、ε‐カプロラクタムに乏しい抽出溶剤自体は、ライ ン(8)を経てカラム(C)に循環される。種々の循環流において、好ましくはパージ (図示されていない)が提供されて、汚染物質及び副生成物の蓄積を克服するで あろう。 本発明は今、次の限定するものでない実施例により説明される。 実験の結果得られた混合物の組成は時々、モルパーセンテージで表現される。 成分のモルパーセンテージは、その特定の成分に寄与するところの転換された5- ホルミル吉草酸メチル(M5FV)のモル量のモルフラクション(×100)により表現さ れる。例えば、もし、出発物質のM5FVが100モルであり、そして得られた混合物 が50モルのε‐カプロラクタム及び25モルの二量体を含むなら、その時、ε‐カ プロラクタムへのモル寄与は50モル%であろうし、かつ二量体へのモル寄与は50 モル%であろう(合計100%である)。オリゴマー例えば二量体が混合物中に存在 しない時、上記モルパーセンテージは、下記式 成分xの収率(%)=(形成された成分xのモル数)×100/(転換されたM5FV のモル数) で表現されるモル収率と同一である。 抽出実験 実施例I 水中20重量%のε−カプロラクタムと5重量%の6−アミノカプロン酸との混 合物200mlを、室温及び大気圧において20Omlのクロロホルムと平衡に達するのに 十分な時間、よく混合した。相分離により、水相をクロロホルム相から分離した 。該水相を、再び200mlのクロロホルムと上述のように混合し、相分離によりク ロロホルム相から分離した。2つのクロロホルム相を合わせて、高圧液体クロマ トグラフィー(HPLC)で分析した。水相も分析し、そして、分配係数((ほぼ)平 衡条件における有機クロロホルム相中のε−カプロラクタムの濃度を、水相のε −カプロラクタムの濃度で除した計算値)は0.74であった。クロロホルム相中に 、検出可能量の6−アミノカプロン酸は見出されなかった(<0.01重量%)。実施例II ジクロロメタンを用いて、実施例Iを繰り返した。分配係数は0.84であった。 ジクロロメタン相中に、検出可能量の6−アミノカプロン酸は見出されなかった 。実施例III メチルターシャリーブチルエーテルを用いて実施例Iを繰り返した。分配係数 は0.1であった。ターシャリーブチ ルエーテル相中に、検出可能量の6−アミノカプロン酸は見出されなかった(<0. 01重量%)。実施例IV 本発明の工程(a)で得られるような、5.08重量%のε−カプロラクタム、3. 09重量%の6−アミノカプロン酸、7.51重量%の6−アミノカプロアミド及び1.99 重量%のオリゴマー類を含む混合物を用いて、実施例Iを繰り返した。ε−カプ ロラクタムの分配係数は実施例Iと同様であった。有機相中に、検出可能量の6 −アミノカプロン酸、6−アミノカプロアミド、又はオリゴマーは見出されなか った(<0.01重量%)。実施例V クロロホルムに代えて、同容量のドデシルフェノールを用いて、80℃で、実施 例IVを繰り返した。ε−カプロラクタムの分配係数は約11であった。 実施例I〜Vは、6−アミノカプロン酸、6−アミノカプロアミド、及び/又は オリゴマー類を含有する水性混合物から、ε−カプロラクタムが成功裡に分離さ れることを示す。 これらのバッチ実施例は、連続的な抽出操作、例えば向流抽出塔または一連の 混合/沈降タンク、において、ε−カプロラクタムの、ほぼ100%の分離が可能 であることをも示す。実施例VI 15.5重量%のε−カプロラクタム、5.2重量%の6−アミノカプロン酸、17.4重 量%の6−アミノカプロアミド、2.2重量%の6−アミノカプロン酸のオリゴマー 類及び3.4重量%の6−アミノカプロアミドのオリゴマー類を含む水性混合物100 gを、80℃で100gの4−メチル−2−ペンタノールと、平衡に達するのに十分長 い時間、よく混合した。 ε−カプロラクタムの分配係数は3.3であった。アルコール相中に、検出可能 量の6−アミノカプロン酸、および6−アミノカプロン酸オリゴマー類は見出され なかった。6−アミノカプロアミドの分配係数は0.45であり、且つ6−アミノカプ ロアミドのオリゴマーの分配係数は0.66であった。アルコール相を新鮮な水で抽 出することにより、生成物ε−カプロラクタムを含有するアルコール相から、6 −アミノカプロアミドおよびそのオリゴマー類を成功裡に分離することができた 。合成および転化実験 実施例VII 3.0MPaの圧力下、81.3g/時の5-ホルミル吉草酸メチル、203g/時のアンモニア 、及び526g/時の水中15重量%のメタノール混合物を、チューブ内の温度が35℃ の一定温度で維持されるように水浴で冷却されたチューブを通してポンプで送っ た。逆混合はほとんど起きず、且つ(液の)滞留時間は15秒であった。 チューブを出るところの、得られる混合物を(サブ工程a1)、連続撹拌されてい るタンク反応器、すなわち液体容 積1リットルのHastelloy C オートクレーブ、に供給した。該反応器を1250rpm で撹拌した。圧力を3MPaの一定圧力に、及び、温度を120℃に保持した。反応容 器に、水素を正味量5g/時で供給した。該反応容器の内容物には、Al2O3上5重 量%のルテニウム触媒(Engelhard:ESCAT44)が、96.0g/リットルで維持された 触媒濃度で含まれた。 攪拌された反応容器の溶出液(混合物 A)の組成は、22時間の操作の間、顕著 に変化しなかった。最後の12時間の間に形成された総ての生成物の平均組成は、 6−アミノカプロン酸(6ACA)21.5モル%、6−アミノカプロアミド(6ACAM)45. 9モル%、ε‐カプロラクタム(CAP)27.5モル%、6−アミノカプロン酸メチル (M6AC)2.1モル%およびオリゴマー類3.0モル%であった。 混合物 A を0.1MPaへとフラッシュし、(0.1MPaで操作されている)スチーム ストリッパー塔の塔頂に、638g/時の速度で、連続的に供給した。スチームは該 塔のリボイラーにおいて発生された。該塔へ、212g/時の新鮮な水も、又、供給 した。該スチームストリッパーを出る液状の塔底流(571g/時)には、検出可能 量のメタノールおよびアンモニアは含まれなかった。該水性流は、混合物A中と 同様のモル寄与率の6ACA、6ACAM、M6AC、CAPおよびオリゴマー類の12.4重量%か ら成った。 該水性混合物を、次いで、連続的に作動された向流抽出塔の底に供給した。こ の塔(理論段数20を有する)の塔頂へは、クロロホルムを1.0リットル/時で供 給した。ε‐ カプロラクタムはクロロホルム相に、99%収率より高い収率で抽出された。実際 上総ての6−アミノカプロン酸、6−アミノカプロアミド、およびオリゴマー類は 、水相に残留した。 該水性混合物を、次いで、環化反応容器、すなわちプラグ流れ反応容器(ほと んど逆混合が無い)へと、(油浴により維持された)320℃の一定温度で、12MPa の圧力下、および滞留時間30分、並びに554g/時で、連続的に供給した。環化反 応容器を出る液体水性流に存在する総ての生成物の平均組成は、7.5重量%のε ‐カプロラクタム、1.6重量%の6−アミノカプロン酸、6−アミノカプロアミド およびオリゴマー類であった。 この水性混合物を、上述したのと同様の抽出へと供給した。該抽出を出るクロ ロホルム流は41.6g/時のε‐カプロラクタムを含有した。この1パスの総収率は 、5-ホルミル吉草酸メチルのモル量に基づいて計算して92.7%であった。 抽出で得られる該水性混合物を環化反応容器へと還流することにより、追加の ε‐カプロラクタム生産を得ることができる。さらに、ここで示された抽出は、 工業的に行われている工程における単一ユニット操作へと結合されることが可能 であることが明白である。 従って、本発明は、以下の請求の範囲の精神および範囲(それらの均等を含む )によってのみ規定され且つ制限される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),CA,CN,JP,K R,SG,US (72)発明者 ブイス,ウィム オランダ国,6365 ビーエム シーネン, ヴォルファーゲン 145

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ε−カプロラクタムの製造法において、第一工程(a)で、一般式: O=CH−(CH2)4−C(O)−R (1) [式中、Rは−OH、−NH2または−O−R'を表し、ここで、R'は炭素数1 〜10の有機基を表す。]を有する化合物を、溶媒としての水性媒体中、高めら れた圧力下、水素添加触媒の存在下でアンモニアおよび水素と接触させて、ε− カプロラクタムと第一アミノ化合物との混合物を形成し、ここで工程(a)での ε−カプロラクタムへの収率は、該化合物の最初のモル量に基づいて計算して少 なくとも10モル%のレベルに及び、工程(a)から得られた該水性混合物から有 機抽出剤によりε−カプロラクタムを抽出してε−カプロラクタムの有機抽出剤 溶液および別個の残留水性混合物を形成し、 次いで、該残留水性混合物中の該第−アミノ化合物をさらに反応させてε−カプ ロラクタムを形成する別個の第二工程(b)を行う方法。 2.抽出剤が塩素化炭化水素溶媒であることを特徴とする請求項1に記載の方法 。 3.塩素化炭化水素溶媒がジクロロメタン、クロロホルムまたは1,1,1−ト リクロロエタンであることを特徴とする請求項2に記載の方法。 4.抽出剤が5〜8個の炭素原子を有するモノアルコールであることを特徴とす る請求項1に記載の方法。 5.モノアルコールが立体障害のあるアルコールであることを特徴とする請求項 4に記載の方法。 6.アルコールが4−メチル−2−ペンタノールであることを特徴とする請求項 5に記載の方法。 7.式(1)の化合物が5−ホルミル吉草酸アルキルエステル化合物であり、こ こでR'はC1〜C6アルキル基であり、該水性反応媒体も2〜20重量%の対応す るC1〜C6アルコールを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記 載の方法。 8.ε−カプロラクタムが工程(b)で得られた水性混合物から、および工程( a)で得られた水性混合物から同じ抽出によって分離されることを特徴とする請 求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。 9.該方法が連続的に行われることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに 記載の方法。 10.工程(a)が二つの別々のサブ工程(a1)および(a2)で行われ、該サブ 工程が、 (a1)式(1)に従う化合物を非水素添加条件下でアンモニアと反応させる工程 、および (a2)工程(a1)で得られた反応生成物を水素添加条件下、アンモニアの存在下 でε−カプロラクタムおよび第一アミノ化合物に転化する工程 を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の方法。 11.サブ工程(a2)の水素添加条件が、サブ工程(a2) を水素およびルテニウム含有触媒の存在下で行うことにより達成されることを特 徴とする請求項10に記載の方法。 12.工程(a)における式(1)の化合物の濃度が10〜35重量%であることを 特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の方法。 13.工程(b)が液相中、3重量%未満のアンモニア濃度で行われ、ε−カプ ロラクタムおよび第一アミノ化合物の濃度が10〜35重量%であり、温度が290〜3 50℃であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載の方法。
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