JP2001358530A - 円偏波マイクロストリップアンテナ - Google Patents

円偏波マイクロストリップアンテナ

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JP2001358530A
JP2001358530A JP2000179865A JP2000179865A JP2001358530A JP 2001358530 A JP2001358530 A JP 2001358530A JP 2000179865 A JP2000179865 A JP 2000179865A JP 2000179865 A JP2000179865 A JP 2000179865A JP 2001358530 A JP2001358530 A JP 2001358530A
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dielectric
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line
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Ushio Sagawa
潮 寒川
Kazuaki Takahashi
和晃 高橋
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Matsushita Communication Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 円偏波特性の良好な円偏波マイクロスト
リップアンテナを提供すること。 【解決手段】 誘電体薄膜106には、電波の放射およ
び入射を行う正方パッチ101と、高周波回路(図示し
ない)と、正方パッチと高周波回路との間の高周波信号
の伝送を行う線路(すなわち、給電線路A103、1/
4波長インピーダンス変成器105および給電線路B1
04)と、が形成されている。一方の面が、高周波回
路、線路および正方パッチ101と対向し、かつ、誘電
体薄膜106の一方の面と略平行となるように、導体地
板が設けらる。誘電体薄膜106と導体地板との間に
は、空気層が設けられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、円偏波電波の送受
信が可能なマイクロストリップアンテナに関し、特に、
ディジタル移動体通信等の各種無線通信に用いられるマ
イクロストリップアンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】円偏波の送受信が可能なマイクロストリ
ップアンテナ(以下単に「円偏波MSA」という。)と
しては、既に多くの適用例が開示されているが、例え
ば、「小型・平面アンテナ」((社)電子情報通信学会
編、羽石 操他著)の146ページ図5.4に記載され
たものが広く知られている。上記引用に記載の1点給電
による円偏波MSAは、構造および動作原理が極めて単
純であり、実際の応用に適するものである。以下、従来
の1点給電による円偏波MSAについて、図3および図
4を参照して説明する。
【0003】図3は、従来の1点給電による円偏波MS
Aの概略構造を示す上面図である。図4は、従来の1点
給電による円偏波MSAに用いられる基板および給電点
の概略構造を示す断面図である。
【0004】図3において、誘電体基板(図示しない)
上にパターンニングされた面積Sを有する正方形の正方
パッチ11には、この正方パッチ11へ高周波信号を供
給するための給電点12が設けられている。また、正方
パッチ11における相対する2つの角から、それぞれ面
積δS1およびδS2を有する第1摂動13および第2
摂動14が切りかかれている。
【0005】次に、給電点12の構造について、図4を
参照して説明する。図4は、図3中に示す線AA’にお
ける切断を示し、従来の一点給電による円偏波MSAの
給電構造を示している。図4において、誘電体基板21
上に正方パッチ11が設けられている。誘電体基板21
における正方パッチ11が設けられた面と反対の面は、
導体地板22により被覆されている。誘電体基板21と
は別の場所に設けられた高周波回路(図示しない)から
供給された高周波信号は、スルーホール23を通じて正
方パッチ11上の給電点12に給電される。なお、スル
ーホール23と上記高周波回路とは、図示しない線路に
より接続されている。
【0006】以上の構成を有する従来の円偏波MSAの
動作原理について説明する。図3において、正方パッチ
11は、第1摂動13および第2摂動14を無視すれ
ば、給電点12の位置を除いて、紙面上、左右方向と上
下方向に全く対称な構造を有している。そのため、ある
周波数において正方パッチ11の左右方向に電流が振動
する共振現象が生じたすると、全く同じ周波数において
正方パッチ11の上下方向に電流が振動する共振も生じ
ることになり、給電点12の位置を考慮しない場合に
は、2つの独立な共振現象が縮退している。
【0007】ところが、2つの摂動すなわち第1摂動1
3および第2摂動14を付加することにより、前述の正
方パッチ11の対称性が崩される。これにより、正方パ
ッチ11において2重縮退している共振を解くことがで
きる。
【0008】図3に示すように摂動を設けた場合には、
摂動のある対角線方向とそれと直交する対角線方向で共
振器の長さが変化することにより、摂動を付加した対角
線方向の共振周波数が高くなり2つの共振現象が分離す
る。
【0009】分離した2つの共振の間の位相差は、正方
パッチ11の面積S、摂動面積の総和(すなわち第1摂
動13の面積(δS1)と第2摂動14の面積(δS
2)との総和)、および、正方パッチ11の無負荷Qに
依存するため、適当な面積の摂動を設けることにより、
2つの共振の位相差を90°にすることができる。2つ
の共振の各々が直線偏波放射器として作用するので、正
方パッチ11からは、90°の位相差を有する直交した
直線偏波成分すなわち円偏波が放射されることになる。
【0010】円偏波実現時における各パラメータ間の関
係は、次に示す式により表現できる。すなわち、第1摂
動13および第2摂動14は、次に示す式により決定さ
れる。
【0011】 2Q(δS1+δS2)/S=1 − 共振時における各々共振に対する電流の方向は、正方パ
ッチ11の相対する角を結ぶ対角線方向である。よっ
て、2つの電流に同じ強度と位相で結合可能な中心線A
A‘上に、給電点12を設けることにより、円偏波条件
を乱すことなく給電を行うことが可能となる。すなわ
ち、給電点を中心線AA’上に沿って移動させて放射抵
抗と入力端との整合を実現することにより、円偏波条件
を乱すことなく給電を行うことができる。
【0012】以上のようにして、1点給電による円偏波
MSAを構成することができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の円偏波MSAにおいては、次に示すような問題があ
る。すなわち、従来のように、円偏波MSAと高周波回
路を別個に作成し、両者を長い線路で結合した場合に
は、線路損失および接続損失が顕著になるので、円偏波
MSAの特性が劣化する。このような長い線路を用いた
結合に起因する特性の劣化を防ぐために、円偏波MSA
と高周波回路を同一誘電体基板上に設けることが望まし
い。
【0014】円偏波MSAと高周波回路を同一誘電体基
板に設ける際には、円偏波MSA(における正方パッチ
11)への給電は、図4に示したように誘電体基板21
の基板裏面から行うのではなく、正方パッチ11が設け
られた面と同一の平面で行うこと(すなわち、高周波回
路、正方パッチ11、および、高周波回路と正方パッチ
11における給電点とを接続する線路を同一平面に設け
ること)により簡便に実現することができる。
【0015】ところが、円偏波MSAへの給電を、正方
パッチ11が設けられた面と同一の平面で行う場合に
は、さらに以下のような問題が生ずる。すなわち、高周
波回路の線路の特性インピーダンスは通常約50Ω程度
であるのに対して、図3に示した正方パッチ11におけ
るエッジ(縁)部分の入力インピーダンスは約500Ω
程度である。よって、エッジ部分を給電点として高周波
回路と正方パッチ11におけるエッジ部分とを線路で直
接結合すると、高周波回路からの高周波信号が正方パッ
チ11に供給される際の損失が大きくなる。
【0016】そこで、正方パッチ11におけるA−A’
線上をエッジ部分から中心部に向かうにつれて入力イン
ピーダンスが減少する性質を利用して、図5に示すよう
に、給電点12を適当な位置に設けるとともに、高周波
回路からの高周波信号を伝送するマイクロストリップ線
路(以下「MSL」という。)32を給電点12にまで
引き伸ばす必要がある。このとき、正方パッチ11とM
SL32との短絡を避けるために、切りこみ31が必要
となる。
【0017】ところが、共振時に円偏波MSAの正方パ
ッチ11上を流れる電流の方向は、放射電波または入射
電波の偏波面と同様に、一定の角速度で正方パッチ上を
回転している。そのため、正方パッチ11上に切りこみ
31が存在すると、電流の流れる方向が切りこみ31と
平行でない限り、正方パッチ11上の電流分布が影響を
受ける。この結果、上式の円偏波条件を満足しても、
円偏波特性が劣化することになる。
【0018】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、円偏波特性の良好な円偏波マイクロストリップ
アンテナを提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の円偏波マイクロ
ストリップアンテナは、絶縁体により平板状となるよう
に形成された保持手段と、前記保持手段の一方の面に形
成された高周波回路と、前記一方の面に設けられ、前記
高周波回路との間で高周波信号の伝送を行う伝送手段
と、前記一方の面に設けられ、所定の摂動を有し、前記
伝送手段により伝送された高周波信号を用いて電波を出
射し、かつ、入射した電波を前記伝送手段に伝送する略
正方形状となるように形成されたアンテナ素子と、一方
の面が、前記高周波回路、前記伝送手段および前記アン
テナ素子と対向し、かつ、前記保持手段の一方の面と略
平行となるように設けられた板状を有する導電手段と、
誘電体により形成され、前記伝送手段、アンテナ素子、
および、前記導電手段により形成される静電容量を減少
させ、かつ、前記アンテナ素子の放射抵抗を増大させる
ために前記保持手段と前記導電手段との間に設けられた
誘電体層と、を具備する構成を採る。
【0020】この構成によれば、伝送手段の特性インピ
ーダンスを大きくするとともに、アンテナ素子の入力イ
ンピーダンスを小さくすることができるので、伝送手段
とアンテナ素子との整合を、高周波回路からの高周波信
号がアンテナ素子に供給される際の損失を抑えつつ行う
ことができる。これにより、アンテナ素子、伝送手段お
よび高周波回路を同一平面に設けた状態で、アンテナ素
子への給電を行うことができる。したがって、線路損失
および接続損失を低減することができるので、円偏波特
性が良好な円偏波MSAを提供することができる。
【0021】本発明の通信端末装置は、上記円偏波マイ
クロストリップアンテナを備えた構成を採る。
【0022】この構成によれば、良好な無線通信を行う
通信端末装置を提供することができる。
【0023】本発明の円偏波マイクロストリップアンテ
ナ製造方法は、誘電体基板の一方の面に、電波の送受信
を行うための高周波回路およびアンテナ素子を少なくと
も含むパターンを形成する工程と、一方の面が、前記パ
ターンと対向し、かつ、前記誘電体基板の一方の面と略
平行となるように、前記誘電体基板と所定の間隔をおい
て位置する板状の導体を形成する工程と、を具備する。
【0024】この方法によれば、円偏波特性が良好な円
偏波マイクロストリップアンテナを提供することができ
る。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の骨子は、高周波回路、正
方形状のアンテナ素子、および、このアンテナ素子と高
周波回路との間の高周波信号の伝送を行う給電線路を誘
電体基板における同一の面に設け、この誘電体基板にお
ける高周波回路、アンテナ素子および給電線路と対向
し、かつ、上記誘電体基板と略平行となるように導体地
板を設け、さらに、上記アンテナ素子、上記給電線路お
よび導体地板により形成される静電容量を減少させる誘
電体層を、上記誘電体基板と上記導体地板との間に設け
るようにしたことである。
【0026】以下、本発明の実施の形態について、図面
を参照して詳細に説明する。
【0027】(実施の形態)図1は、本発明の実施の形
態にかかる円偏波MSAの構成を示す上面図である。図
1において、平板状となるように誘電体(絶縁体)によ
り形成された誘電体薄膜106の一方の面には、正方パ
ッチ101、給電線路A103、1/4波長インピーダ
ンス変成器105、給電線路B104、および、高周波
回路(図示しない)が形成(パターンニング)されてい
る。
【0028】この誘電体薄膜106を形成するための誘
電体として、薄膜化が可能な誘電体であればどのような
物質でも用いることが可能である。薄膜化が可能な誘電
体として、例えば、ベンゾシクロブテンやポリイミド等
が挙げられるが、吸水時における安定性の見地から、ポ
リイミドに比べてベンゾシクロブテンを用いることがよ
り好ましい。また、誘電体薄膜106の厚さは、1波長
の5〜10%程度とすることが好ましい。
【0029】MSLすなわち給電線路B104および給
電線路A103、ならびに、1/4波長インピーダンス
変成器105は、高周波回路と正方パッチ101との間
で高周波信号の伝送を行うものである。給電線路B10
4は、高周波回路の特性インピーダンスと略同一となる
ような特性インピーダンスを有する。なお、高周波回路
の特性インピーダンスは、通常50Ω程度であることに
鑑みて、給電線路B104の特性インピーダンスは、約
50Ω程度とされる。
【0030】給電線路A103は、正方パッチ101の
エッジ(縁)部における入力インピーダンスと略同一と
なるような特性インピーダンスを有する。これにより、
正方パッチ101のエッジ部を給電点102として、正
方パッチ101と給電線路A103とを接続すれば、両
者の間で良好な整合が実現される。
【0031】1/4波長インピーダンス変成器105
は、給電線路A103と給電線路B104との整合を行
う。ここで、一般に、インピーダンス変成器としてはス
タブが常用されるが、本実施の形態でスタブを用いた場
合には、このスタブのエッジ部が正方パッチ101のエ
ッジ部に平行に位置することにより、スタブのエッジ部
からの回折波に起因する円偏波特性と放射指向性の劣化
が生ずる。そこで、本実施の形態では、インピーダンス
変成器として、エッジ部の少ない1/4波長インピーダ
ンス変成器105を用いる。なお、1/4波長インピー
ダンス変成器105の特性インピーダンスとしては、給
電線路A103と給電線路B104の特性インピーダン
スの相乗平均値とすることが好ましい。
【0032】正方パッチ101は、高周波回路から、給
電線路B104、1/4波長インピーダンス変成器10
5および給電線路A103を介して伝送された高周波信
号を用いて電波の放射を行うとともに、入射した電波を
給電線路B104、1/4波長インピーダンス変成器1
05および給電線路A103を介して高周波回路に伝送
するアンテナ素子である。この正方パッチは、略正方形
状となるように導体により形成され、また、上式に従
って第1摂動107および第2摂動108が切りかかれ
ている。
【0033】図2は、図1に示す線BB’における円偏
波MSAの断面構造を示す断面図である。図2におい
て、誘電体薄膜106における、正方パッチ101、給
電線路A103、1/4波長インピーダンス変成器10
5、および、給電線路B104と対向し、かつ、誘電体
薄膜106における正方パッチ等が設けられた面と略平
行となるように、導体地板(平面状導体)201が設け
られている。
【0034】導体地板201は、誘電体薄膜106と一
致するような大きさとなるように設けられる。すなわ
ち、導体地板201は、誘電体薄膜106に形成された
正方パッチ101、給電線路A103、1/4波長イン
ピーダンス変成器105、給電線路B104、および、
高周波回路を覆うような大きさとなるように設けられ
る。なお、正方パッチ101、給電線路A103、1/
4波長インピーダンス変成器105、および、給電線路
B104のための導体地板と、高周波回路のための導体
地板とを個別に設けることも可能であるが、この場合に
は、両導体地板が、電気的に接続され、高周波回路の観
点からみて短絡されていることが必要である。
【0035】また、導体地板201の厚さは、表皮深さ
以上の大きさとなるように設けられている。すなわち、
高周波においては、導体部分で金属の抵抗により発生す
る損失(導体損失)が存在する。この導体損失は、電磁
界分布が変わらない場合には、導体の抵抗値に依存する
ものである。したがって、導体損失を最小とするために
は、導体地板201の厚さを表皮深さ以上とする必要が
ある。このように導体地板201を設けることにより、
低損失な円偏波MSAを実現することができる。
【0036】なお、導体地板201として、シリコンの
表面を導体薄膜で覆うことにより構成されたものを用い
てもよい(このとき、導体薄膜が誘電体薄膜106に対
向することになる)。このような導体地板を用いること
により、マイクロマシニング時の切削精度が良好となる
ので、導体地板201と誘電体薄膜106との間に形成
される空気層202の厚みを略一定に保つことができ
る。したがって、円偏波MSAの円偏波特性を良好に保
つことができる。
【0037】正方パッチ101からは電波204が出射
し、また、正方パッチ101には電波が入射する。
【0038】誘電体薄膜106と導体地板201との間
に形成される空間には、所定の誘電体により形成される
誘電体層が設けられる。本実施の形態では、一例とし
て、誘電率が略1である空気により形成される空気層が
設けられている。なお、誘電体層としては、その他の誘
電体により形成される誘電体層を用いることも可能であ
るが、誘電率が1に近い誘電体により形成される誘電体
層を用いることが好ましい。
【0039】次いで、本実施の形態にかかる円偏波MS
Aの製造方法の一例について、同様に図1および図2を
参照して説明する。まず、第1ステップでは、誘電体平
行平面基板の一方の面に誘電体薄膜106が形成され
る。形成された誘電体薄膜106の上面に、高周波回
路、正方パッチ101、給電線路A103、1/4波長
インピーダンス変成器105および給電線路B104等
が、写真転写法やエッチング等の微細加工技術を用いて
形成される。
【0040】第2ステップでは、上記誘電体平行平面基
板の他方の面がエッチング技術等を用いて掘り込まれ、
正方パッチ101等が形成されたアンテナ領域について
誘電体薄膜106のみが残される。これにより、アンテ
ナ領域について誘電体薄膜106のみが残された基板が
得られる。
【0041】第3ステップでは、空気層202の厚さに
等しい深さだけ掘り込まれた基板を用意し、この基板の
表面に良導性の金属が被覆される。これが導体地板20
1に相当する。この金属が被覆された基板は、掘り込ま
れた面が上記誘電体平行平板の一方の面(高周波回路や
正方パッチ101等が形成された面)と対向するよう
に、上記誘電体平行平面基板上のアンテナ領域にかぶせ
られる。この後、金属が被覆された基板と上記誘電体平
行平面基板とは、はんだや銀ペースト等により接合され
て接地が十分に取れられる。
【0042】なお、高周波回路、正方パッチ101、給
電線路A103、1/4波長インピーダンス変成器10
5および給電線路B104等があらかじめパターンニン
グされた誘電体薄膜106を、アンテナ領域だけ貫通穴
加工された誘電体基板上に接着することにより、第2ス
テップで説明した基板を形成することも可能である。
【0043】次いで、上記構成を有する円偏波MSAの
具体的な作用および効果を、正方パッチ101とMSL
のそれぞれに着目して説明する。
【0044】まず、正方パッチ101に着目して説明す
る。正方パッチの共振時付近における等価回路は、近似
的に、コンデンサ、コイル、および、放射抵抗に比例す
るコンダクタンスが並列に接続された並列型共振回路と
考えることができるものである。このため、正方パッチ
のエッジ部における(共振時の)入力インピーダンス
は、放射抵抗に反比例する。
【0045】放射抵抗は、アンテナの放射のし易さに依
存し、正方パッチのエッジ部からどれだけの電力が漏洩
されるかにより決定されるものである(このような電力
の漏洩現象は、一般に「フリンジング効果」と呼ばれ
る)。このフリンジング効果は、誘電体基板の厚さ(図
2においては、誘電体薄膜106と空気層202の厚さ
に相当し、図4においては、誘電体基板21の厚さに相
当する)が一定の場合には、この誘電体基板の誘電率が
低いものほど顕著となる。すなわち、放射抵抗は、誘電
体基板の誘電率に反比例する。
【0046】したがって、より誘電率の低い誘電体によ
り形成された誘電体基板を用いるほど、放射抵抗が増大
するので、正方パッチのエッジ部における入力インピー
ダンスは減少することになる。
【0047】通常使用されるテフロン系の誘電体基板を
用いて従来方式の円偏波MSAを構成した場合には、正
方パッチのエッジ部分における入力インピーダンスは3
00Ω以上となる。正方パッチのエッジ部分と給電線路
との整合を実現するためには、給電線路の特性インピー
ダンスを300Ωにしなければならない。例えば、誘電
率2.2,基板厚200μmの誘電体基板上に300Ω
のMSLを構成すると、40GHzにおける線路幅は、
0.85μmという現実には構成不可能な幅となる。
【0048】一方、本実施の形態においては、正方パッ
チ101と導体地板201との間に設けられる誘電体層
の誘電率を最も低い1としているので、正方パッチ10
1に供給された電力の大部分が放射される電力成分とな
る。これにより、放射抵抗が増大するので、正方パッチ
101のエッジ部における入力インピーダンスが減少す
る。この結果、正方パッチ101の入力インピーダンス
を、約140オーム程度にまで低くすることができる。
例えば、誘電体薄膜106を誘電率2.4、厚さ25μ
mにより構成し、空気層202の厚みを200μmとす
ると、給電線路A103の40GHzにおける線路幅
は、150μmという十分構成可能な幅となる。
【0049】次に、MSLに着目して説明する。MSL
の特性インピーダンスは、線路における電流密度と単位
長さ当りのコンデンサの容量との比に依存する。すなわ
ち、MSLの特性インピーダンスは、線路における電流
密度が大きく(小さく)なるにつれて高く(低く)な
り、コンデンサの容量が大きく(小さく)なるにつれて
小さく(大きく)なる。なお、コンデンサとは、MSL
とこれに対向する導体地板により形成されるコンデンサ
に相当する。したがって、MSLの特性インピーダンス
は、線路幅および基板の厚さを一定としたときには、M
SLとこれに対向する導体地板との間に設けられる誘電
体の誘電率が小さい(大きい)ほど大きく(小さく)な
る。
【0050】本実施の形態においては、MSL(すなわ
ち、給電線路A103および給電線路B104)および
1/4波長インピーダンス変成器105と、導体地板2
01との間に設けられる誘電体層の誘電率を最も低い1
としている。これにより、MSLおよび1/4波長イン
ピーダンス変成器105の特性インピーダンスは、従来
方式のMSLよりも高くすることができる。
【0051】最後に、図5に示した切りこみ31を有す
る共平面給電による円偏波MSAの軸比と、図1に示し
た本実施の形態にかかる円偏波MSAの軸比とを、実際
の設計値を参照することにより比較する。誘電体薄膜の
誘電率および厚さをそれぞれ2.4および25μmと
し、空気層202の厚みを200μmとする。なお、軸
比とは円偏波特性を示す指標であり、軸比が小さいほど
円偏波特性が良好である。
【0052】上式の円偏波条件を満足する摂動を付加
した正方パッチに対して、図5に示した給電方式に従っ
て50Ω線路を結合させた場合には、正方パッチの法線
方向の軸比は33dBとなり、ほとんど直線偏波が放射
されてしまう。一方、本発明の給電方式を採用した場合
には、軸比は0.84dBまで飛躍的に改善される。こ
れにより、本発明の給電方式の優位性を確認することが
できる。
【0053】以上のように、本実施の形態においては、
正方パッチ101、給電線路A103、給電線路B10
4および1/4波長インピーダンス変成器105と、導
体地板201との間に設けられる誘電体層の誘電率を最
も低い1とすることにより、正方パッチ101のエッジ
部分における入力インピーダンスを低くできるととも
に、給電線路A103、給電線路B104および1/4
波長インピーダンス変成器105の特性インピーダンス
を高くすることができる。これにより、給電線路A10
3と正方パッチ101におけるエッジ部分との整合を、
高周波回路からの高周波信号が正方パッチ101に供給
される際の損失を抑えつつ行うことができる。
【0054】この結果、正方パッチ101、給電線路A
103、給電線路B104、1/4波長インピーダンス
変成器105および高周波回路を同一平面に設けた状態
で、正方パッチ101への給電を行うことができる。し
たがって、線路損失および接続損失を低減することがで
きるので、円偏波特性が良好な円偏波MSAを提供する
ことができる。
【0055】なお、本発明にかかる円偏波マイクロスト
リップアンテナは、移動体通信システムにおける通信端
末装置や基地局装置に搭載可能なものである。このよう
な通信端末装置や基地局装置は、円偏波特性の良好な円
偏波マイクロストリップアンテナを搭載することによ
り、良好な無線通信を行うことができる。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
円偏波特性の良好な円偏波マイクロストリップアンテナ
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる円偏波MSAの構
成を示す上面図
【図2】図1に示す線BB’における円偏波MSAの断
面構造を示す断面図
【図3】従来の1点給電による円偏波MSAの概略構造
を示す上面図
【図4】従来の1点給電による円偏波MSAに用いられ
る基板および給電点の概略構造を示す断面図
【図5】従来の円偏波MSAにおける給電方式を示す模
式図
【符号の説明】
101 正方パッチ 102 給電点 103 給電線路A 104 給電線路B 105 1/4波長インピーダンス変成器 106 誘電体薄膜 201 導体地板 202 空気層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁体により平板状となるように形成さ
    れた保持手段と、前記保持手段の一方の面に形成された
    高周波回路と、前記一方の面に設けられ、前記高周波回
    路との間で高周波信号の伝送を行う伝送手段と、前記一
    方の面に設けられ、所定の摂動を有し、前記伝送手段に
    より伝送された高周波信号を用いて電波を出射し、か
    つ、入射した電波を前記伝送手段に伝送する略正方形状
    となるように形成されたアンテナ素子と、一方の面が、
    前記高周波回路、前記伝送手段および前記アンテナ素子
    と対向し、かつ、前記保持手段の一方の面と略平行とな
    るように設けられた板状を有する導電手段と、誘電体に
    より形成され、前記伝送手段、前記アンテナ素子、およ
    び、前記導電手段により形成される静電容量を減少さ
    せ、かつ、前記アンテナ素子の放射抵抗を増大させるた
    めに前記保持手段と前記導電手段との間に設けられた誘
    電体層と、を具備することを特徴とする円偏波マイクロ
    ストリップアンテナ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の円偏波マイクロストリ
    ップアンテナを備えたことを特徴とする通信端末装置。
  3. 【請求項3】 誘電体基板の一方の面に、電波の送受信
    を行うための高周波回路およびアンテナ素子を少なくと
    も含むパターンを形成する工程と、一方の面が、前記パ
    ターンと対向し、かつ、前記誘電体基板の一方の面と略
    平行となるように、前記誘電体基板と所定の間隔をおい
    て位置する板状の導体を形成する工程と、を具備するこ
    とを特徴とする円偏波マイクロストリップアンテナ製造
    方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010103833A (ja) * 2008-10-24 2010-05-06 Fujikura Ltd アンテナ
CN101471494B (zh) * 2007-12-28 2012-08-01 西北工业大学 基于负介电传输线的x波段高增益微带天线
CN104659480A (zh) * 2015-02-13 2015-05-27 深圳市大疆创新科技有限公司 阻抗匹配结构,天线组件,飞行器及其阻抗匹配方法
CN110336127A (zh) * 2019-07-15 2019-10-15 上海矽杰微电子有限公司 一种圆极化微带天线

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