JP2001358303A - 薄膜キャパシタおよびその製造方法 - Google Patents

薄膜キャパシタおよびその製造方法

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JP2001358303A
JP2001358303A JP2000178685A JP2000178685A JP2001358303A JP 2001358303 A JP2001358303 A JP 2001358303A JP 2000178685 A JP2000178685 A JP 2000178685A JP 2000178685 A JP2000178685 A JP 2000178685A JP 2001358303 A JP2001358303 A JP 2001358303A
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film capacitor
dielectric
crystal grain
dielectric constant
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JP2000178685A
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Shintaro Yamamichi
新太郎 山道
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NEC Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高誘電率の誘電体膜を用いた薄膜キャパシタ
の絶縁破壊に至る時間を長くする。 【解決手段】 基板1上の任意の層に下部電極2、高誘
電率の誘電体3、上部電極4が積層された薄膜キャパシ
タにおいて、該高誘電率の誘電体が結晶粒と結晶粒界か
らなる多結晶であって、複数の原子価を取りうる金属イ
オンを不純物として含有し、該結晶粒内部5よりも該結
晶粒界6近傍に高濃度の該不純物を含有していることを
特徴とする薄膜キャパシタ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高誘電率の誘電体を
用いた薄膜キャパシタおよびその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】SiやGaAsなどの基板上に集積回路
を作製するプロセス技術の発達によって電子機器の小型
化や軽量化がますます進展している。これらの集積回路
において必須の回路素子であるキャパシタの小型化も一
段と重要となっており、誘電体薄膜を用いた薄膜キャパ
シタが広く用いられている。Si基板を用いた半導体集
積回路として代表的なメモリ素子であるDRAMにおい
ては、情報を記憶するメモリセルがトランジスタとキャ
パシタから構成されており、そのキャパシタの誘電体薄
膜にはSiO2やSi34などが用いられている。しか
しながら、これらの材料の誘電率はSiO2で約4、S
34で約7と小さく、さらに大容量・高集積なDRA
Mの実現を目指し、化学式ABO3で表される誘電率の
大きなペロブスカイト型酸化物薄膜が検討されている。
例えばSrTiO3は室温で約300近い誘電率を有
し、AサイトのSrの一部をBaで置換した(Ba,S
r)TiO3では500以上の誘電率を有し、SiO2
Si34の10倍以上の高容量密度が実現可能である。
このようなペロブスカイト型酸化物薄膜に代表される高
誘電率薄膜を用いることによって、ギガビット級DRA
Mのキャパシタ構造を単純化し、集積回路の実現を可能
とする報告がTechnical Digest of International Elec
tron Devices Meeting 1996, pp.675-678に記載されて
いる。また同じペロブスカイト型酸化物薄膜であるPb
(Zr,Ti)O3に代表されるような強誘電体薄膜
を、メモリセルのキャパシタ絶縁膜として用いることに
より、電源を切っても情報が失われず低電圧で高速な読
み書きが可能な不揮発性メモリも作製することができ
る。例えばTechnical Digest of International Electr
on Devices Meeting 1997, pp.613-616に報告例があ
る。
【0003】さらに携帯電話や無線通信などの高周波回
路用スイッチや増幅器としてはGaAs基板を用いた半
導体素子が実用化されており、現在ではSi34などを
絶縁膜として用いた薄膜キャパシタが搭載されている。
しかしこのSi34を高誘電率のSrTiO3に置き換
えることにより、ノイズ特性を向上させチップ面積を縮
小化してコストを低減する技術が検討されており、例え
ばIEICE Transactions, Vol.E81-C No.6 pp.898-903, 1
998に報告例がある。
【0004】このような様々な応用に用いられる薄膜キ
ャパシタの誘電体薄膜において、なによりも第一に求め
られるのは高い絶縁性であり、動作電圧におけるリーク
電流が小さいことが重要である。一般に絶縁膜のリーク
電流は、膜中のクラックやトラップなどの様々な欠陥を
通して流れたり、膜厚が薄い場合は電子のトンネル現象
によって電極間を流れる。このリーク電流を低減するた
めに、ペロブスカイト型酸化物薄膜に各種の不純物を導
入する技術が検討されている。なかでもMn不純物はリ
ーク電流の低減に有効であり、例えば特開平2−197
108号公報には(Ba,Sr)TiO3膜にMnを添
加する効果が記載されている。さらに特開平7−177
13号公報には、(Ba,Sr)yTiO3(1.00
<y≦1.20)においてもMn添加によりリーク電流
を低減できることが示されている。また、特開昭61−
285609号公報においては、PbTiO3をベース
とした強誘電体薄膜にMnOxの他にLa23やSiO2
を添加することにより、クラックの発生を抑制し欠陥の
少ない良好なPbTiO3薄膜が得られるとされてい
る。また特開平10−242405号公報においてはZ
rとTiを構成材料として含む強誘電体にMnを添加す
ることにより、分極特性を劣化させず誘電率を小さくす
ることができると記載されている。他の不純物の例とし
ては、特開平6−162857号公報においては不純物
としてBiやW、Znなどが示されている。
【0005】リーク電流の低減を図る別の手法として
は、特開平4−24958号公報に記載されているよう
に、酸化物薄膜に生じる微小なクラックや結晶粒界など
の主たるリーク電流の経路をSi系絶縁膜によって充填
することにより、結晶粒界に沿って流れるリーク電流を
低減してキャパシタ全体のリーク電流を抑制する方法が
提案されている。
【0006】又、特開平8−17939号公報にも、P
t電極上に(Ba,Sr)TiO3膜を形成すると、こ
の膜の結晶が柱状に成長し、その際、誘電体薄膜の結晶
粒界を通じてリーク電流が発生することが開示されてお
り、これを解決する手段として、誘電体薄膜の形成途中
又は形成初期段階にこの膜を構成する金属の構成要素を
含む金属若しくはその酸化物を島状に核として形成し
て、その後目的の膜の形成を行うことで、柱状結晶の形
成が抑制され、リーク電流を低減して、DRAMのリフ
レッシュ・サイクルを長期にすることができると記載さ
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これらの従来例は、薄
膜キャパシタを作製し、ただちに評価を行った初期特性
におけるリーク電流について改善した例である。しかし
ながら、実際の回路においては、初期特性のみならず、
長期間回路を動かした場合の素子の寿命、すなわち長期
信頼性を保証することも非常に重要である。薄膜キャパ
シタにおける長期信頼性の中で第一に評価すべき項目は
絶縁破壊に至るまでの時間であり、集積回路素子の動作
電圧と動作温度において、数年から品種によっては20
年以上にわたって絶縁破壊が発生しないという特性を保
証しなければいけない。この絶縁破壊時間の保証のため
に、一般には、動作電圧よりも大きな電圧を一定時間キ
ャパシタに印加し絶縁破壊に至る時間を評価して実際の
動作電圧まで外挿する電圧加速方式の時間依存絶縁破壊
試験(Time-Dependent-Dielectric-Breakdown、以下、
「TDDB試験」と略す)や、印加電圧を回路の動作電
圧とし、試験温度を実際の動作温度よりも高温にして評
価する温度加速方式のTDDB試験などが行われる。
【0008】前記列記した従来技術では、ペロブスカイ
ト型酸化物薄膜の長期信頼性やTDDB試験に関する不
純物添加の影響を詳細に述べた例はなく、長期信頼性を
向上させる手段としては、前述のようなリーク電流を低
減する手段がそのまま用いられ、初期特性におけるリー
ク電流を低減することが、結果的に絶縁破壊などの長期
信頼性も向上させることができるとされている。
【0009】しかしながら、本発明者の検討によれば、
これらの従来技術になるペロブスカイト型酸化物薄膜の
長期信頼性は必ずしも十分とはいえず、更なる長期信頼
性の達成が望まれていた。したがって、本発明の解決す
べき課題は、高誘電率の誘電体薄膜を用いた薄膜キャパ
シタにおいて、絶縁破壊によって引き起こされる長期信
頼性の低下を抑制し、信頼性の高い薄膜キャパシタを提
供するために必要とされる構造と製造方法を明らかにす
ることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】先に挙げた従来の技術で
は、いずれも、リーク電流の低減を主眼においており、
特に、特開平8−17939号公報に開示されているよ
うに、結晶粒界におけるリーク電流を抑制するために、
柱状結晶を形成しないように成膜する、あるいは特開平
4−24958号公報に開示されているように、配向性
微小クラックを絶縁性の充填材料で埋めてリーク電流経
路である結晶粒界を遮断することが重要と考えられてい
た。これに対して、本発明者は、ペロブスカイト型酸化
物薄膜の絶縁破壊に関して、実動作電圧である低電圧で
温度加速方式のTDDB特性を詳細に調べた結果、添加
する不純物の量と添加部位によっては、初期的なリーク
電流が増大するものの、絶縁破壊に至る時間が逆に長く
なるという現象を見い出した。これは従来報告されてき
た例とはむしろ逆の傾向であり、初期特性におけるリー
ク電流が集積回路素子に求められる特性を満足している
ならば、適度にリーク電流が多い方が絶縁破壊に至る時
間を長くすることができるという結論に至った。この
際、リーク電流がペロブスカイト型酸化物薄膜の結晶粒
内部を流れると、絶縁破壊の要因である欠陥の発生と蓄
積が進行してしまうので、リーク電流の経路は欠陥発生
の少ない結晶粒界であることが望ましいことも明らかと
なった。
【0011】この様な知見に基づき、鋭意検討した結
果、下記の本発明に到達した。
【0012】すなわち本発明は、基板上の任意の層に下
部電極、高誘電率の誘電体、上部電極が積層された薄膜
キャパシタにおいて、該高誘電率の誘電体が結晶粒と結
晶粒界からなる多結晶であって、複数の原子価を取りう
る金属イオンを不純物として含有し、該結晶粒内部より
も該結晶粒界近傍に高濃度の該不純物を含有しているこ
とを特徴とする薄膜キャパシタである。
【0013】本発明においては、複数の原子価を取りう
る金属イオンとしてMnイオンを用いることが好まし
く、また、該高誘電率の誘電体薄膜が(Ba1-xSrx
TiO 3(0≦x≦1.0)あるいは(Ba,Sr)y
iO3(1.00<y≦1.20)であることが好まし
い。該Mnの総添加量として、0.5モル%以上5モル
%以下であることは好ましい態様である。
【0014】また本発明は基板上の任意の層に下部電
極、複数の原子価を取りうる金属イオンを不純物として
添加した高誘電率の誘電体、上部電極を順次形成する工
程を有する薄膜キャパシタの製造方法であって、該不純
物を添加した高誘電率の誘電体の粉末あるいはセラミク
スをターゲットとして用い、スパッタリング法によって
該高誘電率の誘電体を結晶粒と結晶粒界からなる多結晶
膜として成膜し、該結晶粒内部よりも該結晶粒界近傍に
高濃度の該不純物を含有させることを特徴とする薄膜キ
ャパシタの製造方法である。
【0015】上記の製造方法においては、前記複数の原
子価を取りうる金属イオンはMnイオンであることは好
ましい態様である。
【0016】また本発明は前記不純物を添加したターゲ
ットとして(Ba,Sr)TiO3の粉末あるいはセラミ
クスをターゲットとし、且つ成膜温度350℃以下での
スパッタリング法によって該高誘電率の誘電体を成膜す
ることを特徴とする薄膜キャパシタの製造方法である。
【0017】ターゲット中へのMn添加量は、1モル%
以上10モル%以下であることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態について
図面を参照して詳細に説明する。
【0019】図1(a)及び(b)は本発明の第1の実
施の形態の構成を説明するための薄膜キャパシタの断面
図である。GaAs基板1上に下部電極Pt/Ti薄膜
2、Mn不純物を添加した高誘電率(Ba,Sr)Ti
3薄膜3、上部電極Pt薄膜4が積層された薄膜キャ
パシタである。Mn添加(Ba,Sr)TiO3薄膜は
ひとつひとつの結晶粒が柱状構造であり、多結晶膜とな
っている。図1(a)における領域Xの拡大図が図1
(b)である。Mn添加(Ba,Sr)TiO3薄膜は
結晶粒内部5と結晶粒界部6の2つの領域から成り立っ
ており、Mnの添加量は結晶粒界部6のほうが結晶粒内
部5よりも大きくなっている。
【0020】図2(a)及び(b)は従来の技術による
薄膜キャパシタの断面図である。GaAs基板1上に下
部電極Pt/Ti薄膜2、Mn不純物を添加した高誘電
率(Ba,Sr)TiO3薄膜7、上部電極Pt薄膜4
が積層された薄膜キャパシタであるが、Mnの添加量は
(Ba,Sr)TiO3薄膜内部でほぼ均一である。図
2(a)における領域Yの拡大図が図2(b)である。
(Ba,Sr)TiO 3薄膜中のMn不純物は、(B
a,Sr)TiO3薄膜の結晶状態がアモルファスであ
るか多結晶であるかに関わらず、ほぼ均一な濃度で分布
している。
【0021】上記図1,図2に係る薄膜キャパシタにお
ける高誘電率薄膜は、下記表1に示す条件で成膜したも
のである。
【0022】
【表1】
【0023】図3は図1(b)におけるA−A’断面
と、図2(b)におけるB−B’断面を、透過型電子顕
微鏡による断面TEM観察とエネルギー分散型X線分析
装置を用いた分析径1nm程度の微小領域における組成
分析が可能な局所EDX分析によって調べたMn不純物
の濃度分布である。従来例によるB−B’断面において
は、Mn不純物はほぼ1.3モル%程度の濃度で膜中に
均一に存在しているのに対し、本発明の薄膜キャパシタ
のA−A’断面においては、結晶粒界部においてMn濃
度が2.5モル%と高く、結晶粒内部では1モル%程度
に小さいことがわかる。尚、本発明において、結晶粒内
部と結晶粒界部とのMn濃度の差は、一概に規定はでき
ないが、0.5モル%以上あることが好ましい。
【0024】図2に示した従来例の薄膜キャパシタと、
図1に示した本発明の薄膜キャパシタの3.5V印加、
200℃のTDDB試験の比較を示したのが図4であ
る。本発明の薄膜キャパシタにおいては、TDDB試験
の初期リーク電流は従来例の薄膜キャパシタよりも大き
い。しかし、従来例の薄膜キャパシタでは短い時間でリ
ーク電流が増加し始め絶縁破壊に至るのに対し、本発明
の薄膜キャパシタでは初期に大きかったリーク電流は数
日の試験を経ても増加することはなく、さらに長い時間
を経過した後にようやく絶縁破壊に至った。結晶粒界部
のMn不純物濃度が高いために、リーク電流は過剰なM
nイオンを通してある一定量流れてしまうが、そのため
に結晶粒内部に流れ込んだリーク電流によって生成され
ると考えられる結晶欠陥の生成が遅くなり、結果的に絶
縁破壊に至る時間が長くなる。
【0025】図5(a)及び(b)は本発明の第2の実
施の形態の構成を説明するための薄膜キャパシタの断面
図である。GaAs基板1上に下部電極Pt/Ti薄膜
2、Mn不純物を添加した高誘電率(Ba,Sr)Ti
3薄膜3、上部電極Pt薄膜4が積層された薄膜キャ
パシタである。Mn添加(Ba,Sr)TiO3薄膜は
ひとつひとつの結晶粒が膜厚方向に複数存在する粒状構
造を呈しており、多結晶膜となっている。図5(a)に
おける領域Zの拡大図が図5(b)である。Mn添加
(Ba,Sr)TiO3薄膜3は結晶粒内部5と結晶粒
界部6の2つの領域から成り立っていて、Mnの添加量
は結晶粒界部6のほうが結晶粒内部5よりも大きくなっ
ている。このような構造においても図4に示した長期信
頼性の向上効果が同様に得られた。
【0026】結晶の構造は、膜の組成に依存しており、
上記(Ba1-xSrxyTiO3の場合、350℃以下の
成膜温度条件下では、xが0.5であり、yが1の組成
では柱状構造になりやすく、該組成からずれるに従い、
粒状構造に変化していく傾向がある。又、本発明では、
柱状構造と粒状構造とを本発明の効果を損ねない範囲で
あれば複合させて使用することも可能であり、その場合
は、2度に分けて成膜するなどの手法を採ればよい。
【0027】次に3.5V印加、200℃のTDDB試
験における絶縁破壊時間をMnの総添加量に対してプロ
ットした結果を図6に示す。図より明らかなように、本
発明の効果は膜中のMnの総添加量が0.5モル%以上
5モル%以下の場合において特に顕著に得られる。尚、
Mnの総添加量が7.5モル%の場合に、絶縁破壊時間
は0.5モル%の場合とほぼ同等であるが、この場合、
初期リーク電流が大きくなりすぎ、キャパシタとしての
動作そのものに不具合を生じていた。初期リーク電流と
しては、例えば3.5Vの時に、10-6A/cm2以下
となるように選択するのが好ましく、5モル%以下であ
れば、初期リーク電流値として上記条件を満たすことが
できる。
【0028】また本発明の構造を実現するためには、M
nを添加した(Ba1-xSrx)TiO3の粉末あるいは
セラミクスをターゲットとして用いたスパッタリング法
によって(Ba,Sr)TiO3薄膜を成膜すれば良
く、その場合、ターゲットへのMn添加量の約半分が膜
中の総添加量となるため、スパッタリングターゲットへ
のMn添加量は1モル%以上10モル%以下の場合が本
発明の効果が最も顕著である。さらにスパッタリング時
の成膜温度が低ければ低いほど、(Ba,Sr)TiO
3の結晶粒界へのMn不純物の析出の度合いが大きくな
るため、成膜温度が350℃以下である場合に本発明の
効果は顕著になる。尚、成膜温度の下限については特に
限定されるものではないが、加熱を行わない状態(常
温)から実施することができる。成膜温度は、形成する
膜の組成、不純物の種類等により一概に限定することは
できず、本発明の構成、すなわち、高誘電率の誘電体を
結晶粒と結晶粒界からなる多結晶膜として成膜でき、該
結晶粒内部よりも該結晶粒界近傍に高濃度の該不純物を
含有させることができるよう適宜選択すればよい。
【0029】上記の実施の形態の説明においては、高誘
電率の誘電体膜として(Ba,Sr)TiO3の例を述
べたが、本発明における高誘電率の誘電体膜とはSiO
2やSi34よりも高い誘電率を有する膜のことであ
り、化学式ABO3で表され、それぞれAとしてBa、
Sr、Pb、Ca、La、Li、Kのうち少なくとも1
種以上、BとしてZr、Ti、Ta、Nb、Mg、M
n、Fe、Zn、Wのうち少なくとも1種以上を含むも
の、例えば、SrTiO3、PbTiO3、(Pb,L
a)(Zr,Ti)O3、Pb(Mg,Nb)O3、Pb
(Mg,W)O3、Pb(Zn,Nb)O3、LiTaO
3、LiNbO3、KTaO3、KNbO3など、あるいは
化学式(Bi22)(Am-1m3m+1)(m=1,2,
3,4,5)で表され、それぞれAとしてBa、Sr、
Pb、Ca、K、Biのうち少なくとも1種以上、Bと
して、Nb、Ta、Ti、Wの少なくとも1種以上を含
むもの、例えば、Bi4Ti312、SrBi2Ta
29、SrBi2Nb29、あるいはそれ以外の化学式
のTa25などを用いても同様の効果が得られる。中で
も特に(Ba1-xSrx)TiO3(0≦x≦1.0)は
化学的に安定であり、薄膜キャパシタ作製後の熱処理耐
性に優れている点が有利である。また(Ba,Sr)y
TiO3(1.00<y≦1.20)は1μm以下の膜
厚領域において比較的高い誘電率が得られる点で有利で
ある。
【0030】又、結晶粒の大きさとしては特に限定され
るものではないが、前記成膜温度の範囲では、図1に示
す柱状構造となる場合は結晶粒の横方向のサイズは大凡
30〜70nm程度であり、図5に示す粒状構造となる
場合には10〜40nm程度となる。
【0031】また上記の実施の形態の説明においては、
不純物としてMnの例を述べたが、本発明における不純
物としては複数の原子価を取りうる金属イオン、例えば
NbやVやHfや希土類元素などを用いても同様の効果
が得られる。中でも特にMnは多結晶の格子位置に入る
ことで酸素欠損などの欠陥を補償すると同時に、結晶粒
界に析出してもデバイス動作に問題となるような多大な
リーク電流を誘起せず長期信頼性を向上させることがで
きる点が優れている。
【0032】また上記の実施の形態の説明においては、
基板としてGaAs基板の例を述べたが、本発明は他の
基板、SiやGaNやガラス、さらにはポリイミドなど
の有機物上の薄膜キャパシタにおいても同様の効果が得
られる。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による薄膜
キャパシタの効果は、長期信頼性が高く絶縁破壊に至る
時間が長いことである。その理由としては、添加された
複数の原子価を取りうる不純物、なかでもMnが高誘電
率の誘電体薄膜の結晶粒界部に高濃度で存在するため、
リーク電流が回路の許容値範囲内で上昇するものの、絶
縁破壊を引き起こす原因となる結晶粒内部での結晶欠陥
の生成が遅くなるためである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態になる薄膜キャパシタの断
面図であり、(b)は同図(a)の部分拡大図である。
【図2】従来の技術の薄膜キャパシタの断面図であり、
(b)は同図(a)の部分拡大図である。
【図3】本発明と従来の技術の薄膜キャパシタの誘電体
部におけるMn不純物の濃度を比較した図である。
【図4】本発明と従来の技術の薄膜キャパシタのTDD
B特性を比較した図である。
【図5】本発明の他の実施形態になる薄膜キャパシタの
断面図であり、(b)は同図(a)の部分拡大図であ
る。
【図6】TDDB試験における絶縁破壊時間をMnの総
添加量に対してプロットした結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 GaAs基板 2 下部電極Pt/Ti 3 本発明のMn添加高誘電率(Ba,Sr)TiO3
薄膜 4 上部電極Pt 5 結晶粒内部 6 結晶粒界 7 従来のMn添加高誘電率(Ba,Sr)TiO3
膜 8 本発明のMn添加高誘電率(Ba,Sr)TiO3
薄膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01G 4/33 H01L 21/316 Y 5F103 13/00 391 27/04 C H01L 21/203 H01G 4/06 102 21/316 H01L 27/10 444C 27/105 Fターム(参考) 4K029 BA50 BB08 BB10 BD00 CA05 DC05 5E082 AB03 BC35 EE05 FG03 FG26 FG42 KK01 PP03 PP06 5F038 AC05 AC15 EZ02 EZ20 5F058 BA01 BA11 BB05 BC03 BC04 BF12 5F083 GA06 GA21 HA06 JA13 JA14 JA38 JA39 PR22 5F103 AA08 BB22 KK10 NN03 RR05

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上の任意の層に下部電極、高誘電率
    の誘電体、上部電極が積層された薄膜キャパシタにおい
    て、該高誘電率の誘電体が結晶粒と結晶粒界からなる多
    結晶であって、複数の原子価を取りうる金属イオンを不
    純物として含有し、該結晶粒内部よりも該結晶粒界近傍
    に高濃度の該不純物を含有していることを特徴とする薄
    膜キャパシタ。
  2. 【請求項2】 請求項1における複数の原子価を取りう
    る金属イオンがMnイオンであることを特徴とする薄膜
    キャパシタ。
  3. 【請求項3】 高誘電率の誘電体が(Ba1-xSrx)T
    iO3(0≦x≦1.0)であることを特徴とする請求
    項1または2に記載の薄膜キャパシタ。
  4. 【請求項4】 高誘電率の誘電体が(Ba,Sr)y
    iO3(1.00<y≦1.20)であることを特徴と
    する請求項1または2に記載の薄膜キャパシタ。
  5. 【請求項5】 Mnの総添加量が0.5モル%以上5モ
    ル%以下であることを特徴とする請求項2から4のいず
    れか1項に記載の薄膜キャパシタ。
  6. 【請求項6】 基板上の任意の層に下部電極、複数の原
    子価を取りうる金属イオンを不純物として添加した高誘
    電率の誘電体、上部電極を順次形成する工程を有する薄
    膜キャパシタの製造方法であって、該不純物を添加した
    高誘電率の誘電体の粉末あるいはセラミクスをターゲッ
    トとして用い、スパッタリング法によって該高誘電率の
    誘電体を結晶粒と結晶粒界からなる多結晶膜として成膜
    し、該結晶粒内部よりも該結晶粒界近傍に高濃度の該不
    純物を含有させることを特徴とする薄膜キャパシタの製
    造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6における複数の原子価を取りう
    る金属イオンがMnイオンであることを特徴とする薄膜
    キャパシタの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項6又は7において、高誘電率の誘
    電体の粉末あるいはセラミクスが、(Ba,Sr)Ti
    3の粉末あるいはセラミクスであり、且つ成膜温度が
    350℃以下であることを特徴とする薄膜キャパシタの
    製造方法。
  9. 【請求項9】 ターゲットのMn添加量が1モル%以上
    10モル%以下であることを特徴とする請求項7又は8
    に記載の薄膜キャパシタの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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