JP2001355605A - 油圧閉回路装置における作動油充填方法とエア抜き方法およびエア抜き可能な油圧閉回路装置 - Google Patents

油圧閉回路装置における作動油充填方法とエア抜き方法およびエア抜き可能な油圧閉回路装置

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JP2001355605A JP2000175833A JP2000175833A JP2001355605A JP 2001355605 A JP2001355605 A JP 2001355605A JP 2000175833 A JP2000175833 A JP 2000175833A JP 2000175833 A JP2000175833 A JP 2000175833A JP 2001355605 A JP2001355605 A JP 2001355605A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 油圧閉回路に対して、作動油の注入,充填及
び/又は混入エアの排出を、容易に且つ速やかに行うこ
との出来る、新規な方法を提供すること。 【解決手段】 油圧閉回路を構成する駆動側油圧シリン
ダ機構24に対して補助油タンク68を接続/遮断可能
とすると共に、駆動側油圧シリンダ機構24と協働して
油圧閉回路を構成する作動側油圧シリンダ機構26にエ
ア排出手段88を設けた。そして、駆動側油圧シリンダ
機構24を利用して補助油タンク68から作動油を吸引
すると共に、吸引した作動油を駆動側油圧シリンダ機構
24から作動側油圧シリンダ機構26に圧送し、作動側
油圧シリンダ機構26の残留エアをエア排出手段88か
ら排出させることによって、油圧閉回路に作動油を強制
的に注入,充填するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、油圧ポンプを回路上に有しない
油圧閉回路装置における作動油の充填技術に関するもの
であり、特に、油圧閉回路装置への作動油の注入充填
と、油圧閉回路に混入したエアの排出を、容易に且つ速
やかに行うことの出来る、新規な方法および装置に関す
るものである。
【0002】
【背景技術】油圧ポンプを回路上に有しない油圧閉回路
装置は、一般に、外部から及ぼされる駆動力によって駆
動せしめられる駆動側油圧シリンダ機構と、該駆動側油
圧シリンダ機構に対して油圧管路を通じて接続されて、
該駆動側油圧シリンダ機構で生ぜしめられた油圧が及ぼ
されて作動せしめられる作動側油圧シリンダ機構を含ん
で構成されており、かかる油圧閉回路装置は、パスカル
の原理に基づく力の増幅が容易であって、動力伝達性に
優れ、応答性も速いことなどから、従来から、油圧ジャ
ッキ機構などに採用されており、射出成形機の型締装置
における型締増圧機構等への適用も考えられている。
【0003】ところで、このような油圧閉回路装置にお
いて目的とする作動や力を発現させるためには、動力伝
達媒体(作動油)の実質的な非圧縮性が前提であり、圧
縮性流体である空気の油圧回路内への混入を防止するこ
とが重要となる。
【0004】ところが、油圧閉回路装置では、油圧ポン
プを回路上に有していないことから、初期の立上げ段階
で油圧回路内の空気を完全に排出して作動油を注入充填
することが非常に難しいという問題があったのであり、
特に、複雑な形状の油圧シリンダ室や、配管構造を持つ
場合には、油圧回路内に作動油を充填するために長い時
間をかけた面倒な作業が避けられなかった。
【0005】また、たとえ油圧回路内に作動油を充填し
得たとしても、装置の作動中にシール部分から油圧回路
に空気が侵入するおそれがあり、一度、空気が混入する
と、その排出が非常に困難であるという問題もあった。
【0006】さらに、油圧回路内への空気の混入は、必
ずしも容易に検出することが出来ないことから、空気の
混入を見過ごして油圧閉回路装置を稼働させることによ
って、かかる装置の作動精度が大幅に低下してしまい、
例えば、射出成形用型締装置などの製造装置において
は、製造される製品の寸法精度や品質に悪影響が及ぼさ
れて、目的とする製品を安定して製造することが出来な
くなるおそれもあったのである。
【0007】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、油圧閉回路装置における油圧回路へのエア
の混入を容易に且つ速やかに回避し、或いは解消するこ
との出来る、新規な技術を提供することにある。
【0008】
【解決手段】以下、このような課題を解決するために為
された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各
態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の
組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至
は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることな
く、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの
記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づ
いて認識されるものであることが理解されるべきであ
る。
【0009】すなわち、油圧閉回路装置における作動油
充填方法に係る本発明の特徴とするところは、外部から
及ぼされる駆動力によって駆動せしめられる駆動側油圧
シリンダ機構と、該駆動側油圧シリンダ機構に対して油
圧管路を通じて接続されて、該駆動側油圧シリンダ機構
で生ぜしめられた油圧が及ぼされて作動せしめられる作
動側油圧シリンダ機構を含んで構成された油圧閉回路装
置において、各油圧シリンダ機構に作動油を注入充填す
るに際して、(a)前記駆動側油圧シリンダ機構におい
てピストンを前進位置から減圧側に後退作動せしめると
共に、前記油圧管路を切換設定して、該駆動側油圧シリ
ンダ機構を前記作動側油圧シリンダ機構から遮断すると
共に、該駆動側油圧シリンダ機構を別途準備した補助油
タンクに接続せしめることにより、該補助油タンクから
該駆動側油圧シリンダ機構に作動油を吸引させる油吸引
工程と、(b)該油吸引工程の後、前記油圧管路を切り
換えて、前記駆動側油圧シリンダ機構から前記補助油タ
ンクを遮断すると共に、該駆動側油圧シリンダ機構に前
記作動側油圧シリンダ機構を接続する油タンク遮断工程
と、(c)該油タンク遮断工程の後、前記駆動側油圧シ
リンダ機構のピストンを増圧側に前進作動せしめること
により、該駆動側油圧シリンダ機構から前記作動側油圧
シリンダ機構に作動油を圧送して供給すると共に、該作
動側油圧シリンダ機構における残留エアを排出させる油
充填工程とを、複数サイクル繰り返して行うようにした
油圧閉回路装置における作動油充填方法にある。
【0010】このような本発明に係る作動油充填方法に
従えば、駆動側油圧シリンダ機構のピストンを往復作動
させて、駆動側油圧シリンダ機構への作動油の吸引と作
動側油圧シリンダ機構への作動油の供給を行うことによ
り、油圧閉回路装置を構成する駆動側油圧シリンダ機構
があたかも作動油の吸引ポンプのように作用して、作動
側油圧シリンダ機構を含む油圧閉回路に対して、補助油
タンクから作動油が注入、充填されることとなる。
【0011】それ故、本発明の作動油充填方法によれ
ば、作動油注入用の特別な油圧ポンプ等の装置を必要と
することなく、簡単な設備で油圧閉回路に作動油を注入
することが出来ると共に、重力を利用した自然注入等に
比して、作動油を油圧閉回路に強制的に注入することが
可能であり、油圧閉回路への空気の残留の防止と、速や
かな注入充填作業が実現され得る。
【0012】なお、本発明の作動油充填方法、および後
述の本発明に従うエア抜き方法およびエア抜き可能な油
圧閉回路装置、更にエア抜き可能な油圧閉回路を備えた
射出成形機用型締装置において、駆動側油圧シリンダ機
構と作動側油圧シリンダ機構は、何れも、単一でも複数
でも良く、状況等に応じて、駆動側油圧シリンダ機構を
作動側油圧シリンダ機構として使用すると共に、作動側
油圧シリンダ機構を駆動側油圧シリンダ機構として使用
することも可能である。また、駆動側油圧シリンダ機構
に対して外部から及ぼされる駆動力は、ねじ送り機構を
備えた回転モータや、リニアモータ、ソレノイド等によ
る他、人力を利用したものであっても良い。更にまた、
油充填工程において、作動側油圧シリンダ機構における
残留エアを排出させるには、例えば、油圧閉回路の最も
高い位置に圧抜孔を設けて、作動油の充填後に該注入孔
を開閉弁等で閉鎖せしめるようにすることなどによって
実現可能であるが、作動油の排出を出来るだけ抑えて空
気だけを排出させることが望ましく、例えば、低圧でエ
アの排出を許容すると共に、圧力上昇した際に排出ポー
トを閉じて作動油の排出を阻止せしめるような、公知の
エアブリード弁などを、かかる圧抜孔に設置することが
有効である。更に、補助油タンクは、油圧閉回路への作
動油の注入充填時にのみ必須であって、作動油の注入充
填後には、必ずしも必要でない。
【0013】さらに、前述の如き課題を解決するために
為された、油圧閉回路装置におけるエア抜き方法に係る
本発明の特徴とするところは、外部から及ぼされる駆動
力によって駆動せしめられる駆動側油圧シリンダ機構
と、該駆動側油圧シリンダ機構に対して油圧管路を通じ
て接続されて、該駆動側油圧シリンダ機構で生ぜしめら
れた油圧が及ぼされて作動せしめられる作動側油圧シリ
ンダ機構とを、含んで構成された油圧閉回路装置におい
て、何れかの前記油圧シリンダ機構に混入したエアを排
出せしめるエア抜き方法であって、(d)前記駆動側油
圧シリンダ機構に前記作動側油圧シリンダ機構が接続さ
れると共に、該駆動側油圧シリンダ機構に対して別途準
備した補助油タンクが遮断されるように、前記油圧管路
を設定する油タンク遮断工程と、(e)該油タンク遮断
工程の後、前記駆動側油圧シリンダ機構のピストンを増
圧側に前進作動せしめて、該駆動側油圧シリンダ機構か
ら前記作動側油圧シリンダ機構に作動油を圧送して供給
すると共に、該作動側油圧シリンダ機構における残留エ
アを排出させるエア排出工程と、(f)該エア排出工程
の後、前記駆動側油圧シリンダ機構を圧抜作動せしめる
と共に、前記油圧管路を切換設定して、前記駆動側油圧
シリンダ機構を前記作動側油圧シリンダ機構から遮断す
ると共に、該駆動側油圧シリンダ機構を前記補助油タン
クに接続せしめる油タンク接続工程と、(g)該油タン
ク接続工程の後、前記駆動側油圧シリンダ機構のピスト
ンを減圧側に後退作動せしめることにより、前記補助油
タンクから該駆動側油圧シリンダ機構に作動油を吸引さ
せる油吸引工程とを、少なくとも一サイクル行う油圧閉
回路装置におけるエア抜き方法にある。
【0014】このような本発明に係るエア抜き方法に従
えば、駆動側油圧シリンダ機構のピストンを往復作動さ
せて、駆動側油圧シリンダ機構から作動側油圧シリンダ
機構に作動油を圧送することにより、油圧閉回路装置を
構成する駆動側油圧シリンダ機構があたかも油圧ポンプ
のように作用して、油圧閉回路にエアが残留乃至は侵入
等した場合でも、作動側油圧シリンダ機構から強制的に
且つ速やかに排出されることとなる。
【0015】それ故、本発明のエア抜き方法によれば、
作動油注入用の特別な油圧ポンプ等の装置を必要とする
ことなく、簡単な設備で、速やかに、油圧閉回路に残留
乃至は侵入した空気を排出することが出来るのである。
【0016】また、前述の如き課題を解決するために為
された、エア抜き可能な油圧閉回路装置に係る本発明の
特徴とするところは、外部から及ぼされる駆動力によっ
て駆動せしめられる駆動側油圧シリンダ機構と、該駆動
側油圧シリンダ機構に対して油圧管路を通じて接続され
て、該駆動側油圧シリンダ機構で生ぜしめられた油圧が
及ぼされて作動せしめられる作動側油圧シリンダ機構を
含んで構成された油圧閉回路装置において、(h)前記
駆動側油圧シリンダ機構に接続される補助油タンクと、
(i)該補助油タンクと前記駆動側油圧シリンダ機構を
接続する給油管路上に配された第一の開閉弁と、(j)
前記駆動側油圧シリンダ機構と前記作動側油圧シリンダ
機構を接続する前記油圧管路上に配された第二の開閉弁
と、(k)前記作動側油圧シリンダ機構に接続されたエ
ア抜き手段と、(l)前記駆動側油圧シリンダ機構にお
けるピストンの増圧側への前進作動に際して、前記第一
の開閉弁を閉じると共に、前記第二の開閉弁を開いて、
該駆動側油圧シリンダ機構から前記作動側油圧シリンダ
機構に作動油を圧送する一方、かかる駆動側油圧シリン
ダ機構におけるピストンの減圧側への後退作動に際し
て、前記第二の開閉弁を閉じると共に、前記第一の開閉
弁を開いて、該駆動側油圧シリンダ機構における前記補
助油タンクからの作動油の吸引を許容する制御装置と
を、設けたエア抜き可能な油圧閉回路装置にある。
【0017】このような本発明に従う構造とされた油圧
閉回路装置においては、第一の開閉弁を開いて第二の開
閉弁を閉じた状態下で駆動側油圧シリンダ機構を作動さ
せることにより、作動油を補助油タンクから油圧閉回路
に強制的に吸引することが出来ると共に、第一の開閉弁
を閉じて第二の開閉弁を開いた状態下で駆動側油圧シリ
ンダ機構を作動させることにより、油圧閉回路内におい
て、駆動側油圧シリンダ機構から作動側油圧シリンダ機
構に作動油を圧送して、油圧閉回路内に混入したエアを
作動側油圧シリンダ機構から強制的に排出することが出
来る。
【0018】従って、このような油圧閉回路装置を採用
することにより、装置の立上げ時に作動油を油圧閉回路
に対して強制的に注入、充填することが出来ると共に、
装置の立上げ後においても、必要に応じて、油圧閉回路
に侵入したエアを強制的に排出すると共に、不足分の作
動油を速やかに補給することが出来るのである。そし
て、また、このような油圧閉回路装置を採用すれば、前
述の如き、本発明に係る作動油充填方法や、本発明に係
るエア抜き方法が、何れも、有利に実現可能とされ得
る。
【0019】なお、かかる油圧閉回路装置において、補
助油タンクは、平常的な作動状態下で不要であることか
ら、油圧閉回路から補助油タンクを取り外し可能なアタ
ッチメント構造で接続しても良い。また、第一及び第二
の開閉弁は、油圧管路を連通/遮断切換し得るものであ
れば良く、特に、電気的制御が容易で、切換作動を速や
かに行うことが出来る電磁式の切換弁や開閉弁等が好適
に採用される。更にまた、制御装置は、例えば、アナロ
グ式のロジック回路の他、コンピュータ等を利用してソ
フトウエア的に実現することも可能である。
【0020】また、前述の如き課題を解決するために為
された、エア抜き可能な油圧閉回路を備えた射出成形機
用型締装置に係る本発明の特徴とするところは、固定盤
と受圧盤を互いに離隔して固定的に対向配置すると共
に、それら固定盤と受圧盤の対向面間に可動盤を配し
て、該可動盤と該受圧盤の何れか一方の側に支持された
ボールねじ軸と他方の側に支持されたボールねじナット
を電動モータで相対回転させてねじ送り作用により該可
動盤を前記固定盤に対して型開閉作動せしめるようにす
る一方、前記受圧盤側に、それらボールねじ軸とボール
ねじナットのねじ送り作用によって作動せしめられる増
圧シリンダ機構と、該増圧シリンダ機構で生ぜしめられ
た油圧が及ぼされる型締シリンダ機構を、それぞれ設け
ると共に、該増圧シリンダ機構においてピストンを移動
不能に係止する解除可能なロック手段と、該型締シリン
ダ機構においてピストンを前記可動盤に対して移動可能
に係止する解除可能な係止手段を、それぞれ設けて、前
記固定盤と前記可動盤の型閉状態下で前記ボールねじ軸
と前記ボールねじナットのねじ送り作用で前記増圧シリ
ンダ機構を作動せしめることにより、前記型締シリンダ
機構に生ぜしめられる型締力を固定盤と可動盤の間に及
ぼすようにした油圧閉回路を備えた射出成形機用型締装
置において、(m)前記増圧シリンダ機構に接続される
補助油タンクと、(n)該補助油タンクと前記増圧シリ
ンダ機構を接続する給油管路上に配された第一の開閉弁
と、(o)前記増圧シリンダ機構を前記型締シリンダ機
構に接続する油圧管路上に配された第二の開閉弁と、
(p)前記型締シリンダ機構に接続されたエア抜き手段
と、(q)前記増圧シリンダ機構におけるピストンの増
圧側への前進作動に際して、前記第一の開閉弁を閉じる
と共に、前記第二の開閉弁を開いて、該増圧シリンダ機
構から前記型締シリンダ機構に作動油を圧送する一方、
かかる増圧シリンダ機構におけるピストンの減圧側への
後退作動に際して、前記第二の開閉弁を閉じると共に、
前記第一の開閉弁を開いて、該増圧シリンダ機構におけ
る前記補助油タンクからの作動油の吸引を許容する制御
装置とを、設けたエア抜き可能な油圧閉回路を備えた射
出成形機用型締装置を、特徴とする。
【0021】このような本発明に従う構造とされた射出
成形機用型締装置においては、増圧シリンダ機構および
型締シリンダ機構と、それら両シリンダ機構を相互に接
続する油圧管路によって油圧閉回路が構成されており、
そこにおいて、第一の開閉弁を開いて第二の開閉弁を閉
じた状態下で増圧シリンダ機構を作動させることによっ
て、作動油を補助油タンクから油圧閉回路に強制的に吸
引することが出来ると共に、第一の開閉弁を閉じて第二
の開閉弁を開いた状態下で増圧シリンダ機構を作動させ
ることにより、油圧閉回路内において、増圧シリンダ機
構から型締シリンダ機構に作動油を圧送して、油圧閉回
路内に混入したエアを型締シリンダ機構から強制的に排
出することが出来る。
【0022】従って、このような射出成形機用型締装置
においては、型締装置の立上げ時に作動油を油圧閉回路
に対して強制的に注入、充填することが出来ると共に、
型締装置の立上げ後の射出成形時においても、必要に応
じて、油圧閉回路に侵入したエアを強制的に排出すると
共に、不足分の作動油を速やかに補給することが出来
る。それ故、かかる型締装置においては、目的とする型
締作動を安定して行うことが可能となり、安定した射出
成形作動が実現されて、目的とする射出成形品を安定し
た品質と寸法精度で連続成形することも可能となるので
ある。
【0023】また、上述の如き、エア抜き可能な油圧閉
回路装置に係る本発明、およびエア抜き可能な油圧閉回
路を備えた射出成形機用型締装置に係る本発明において
は、何れも、前記駆動側油圧シリンダ機構または前記型
締シリンダ機構と前記エア抜き手段を接続するエア抜き
管路上に、該エア抜き管路を遮断する第三の開閉弁を設
けた構成が、好適に採用される。即ち、油圧閉回路によ
る平常的な作動状態下であって、油圧閉回路へのエアの
侵入が殆どないような状況では、エア抜き手段や補助油
タンク等は特に必要でないことから、エア抜き手段も油
圧閉回路から切り離すことが可能であり、それによっ
て、エア抜き手段を通じての作動油の漏れやエア侵入等
の不具合を防止することが可能となる。
【0024】さらに、前述の如き本発明に係る作動油充
填方法およびエア抜き方法においては、油吸引工程乃至
は油タンク接続工程における補助油タンク接続のための
油圧管路の切換設定を、例えば、駆動側油圧シリンダ機
構におけるピストンの位置信号や駆動制御信号等に基づ
いて行なうことが望ましく、その他、駆動側油圧シリン
ダ機構に接続された作動側油圧シリンダ機構の圧力の検
出信号等に基づいて行なうことも可能である。
【0025】
【発明の実施形態】以下、本発明を更に具体的に明らか
にするために、本発明の実施形態について、図面を参照
しつつ、詳細に説明する。
【0026】先ず、図1には、本発明の一実施形態とし
ての射出成形機用型締装置のモデル的な概略説明図が示
されている。かかる型締装置10は、水平方向で相互に
離隔して対向配置された固定盤12と受圧盤14を備え
ていると共に、それら固定盤12と受圧盤14の対向面
間に可動盤16が配設されている。また、固定盤12と
可動盤16には、それぞれの対向面上に固定金型18と
可動金型20が固定されており、可動盤16が固定盤1
2に対して対向方向で接近/離隔駆動されることによ
り、固定金型18と可動金型20が型開閉されるように
なっている。そして、良く知られているように、両金型
18,20の型締状態下で、型合わせ面間に形成された
成形キャビティに対して、図示しない射出装置から溶融
樹脂が射出充填されて、冷却,固化せしめられた後、両
金型18,20が型開きされて成形品が離型されて取り
出されるようになっており、そのような成形サイクルを
繰り返すことによって、目的とする製品が連続射出成形
されるようになっている。なお、図面上に明示はされて
いないが、固定盤12と受圧盤14は、図示しないベー
スによって固定的に支持されており、それらの対向面間
に跨がって掛け渡された複数本のタイバーによって、可
動盤16が移動方向に案内されるようになっている。
【0027】そこにおいて、型締装置10には、受圧盤
14に対して、ねじ送り機構22が設けられており、こ
のねじ送り機構22により、可動盤16に対して、型開
閉用の駆動力が及ぼされるようになっている。更に、か
かる型締装置10には、駆動側油圧シリンダ機構として
の増圧シリンダ機構24と、作動側油圧シリンダ機構と
しての型締シリンダ機構26が設けられており、これら
の増圧シリンダ機構24と型締シリンダ機構26によ
り、可動盤16に対して、型締用の駆動力が及ぼされる
ようになっている。そして、本実施形態では、これら増
圧シリンダ機構24および型締シリンダ機構26と、そ
れら両者24,26を接続する油圧管路としての接続管
路28によって、油圧閉回路が構成されている。
【0028】より詳細には、増圧シリンダ機構24にお
いては、受圧盤14に固設された増圧シリンダ30に対
して、増圧ピストン32が、可動盤16の移動方向とな
る水平方向(図中の左右方向)で滑動可能に、且つ中心
軸回りで回転不能に組み込まれている。そして、この増
圧ピストン32の外周面と増圧シリンダ30の内周面の
径方向対向面間に、円筒形状の増圧シリンダ室34が形
成されており、増圧ピストン32の前進方向(図中、左
方向)への移動に伴い、増圧シリンダ室34の容積が小
さくなるようにされている。また、増圧ピストン32
は、中心軸上を軸方向に貫通したねじ穴36を有するボ
ールねじナットとされており、このねじ穴36に対し
て、ボールねじ軸38が螺合されている。かかるボール
ねじ軸38は、可動盤12に固設されたサーボモータ4
0の出力軸に固定されており、可動盤12に対して軸方
向に移動不能に支持されていると共に、サーボモータ4
0によって中心軸回りに正逆回転駆動されるようになっ
ている。
【0029】また、増圧シリンダ30には、ロック手段
としてのロック装置42が固設されている。このロック
装置42は、ソレノイドやシリンダ機構等の公知の駆動
手段によって突出/引込作動せしめられるロックピン4
4を備えており、このロックピン44が突出作動される
ことにより、増圧ピストン32に形成された係止穴に係
合されて、増圧ピストン32が増圧シリンダ30に対し
て移動不能に係止される一方、ロックピン44が引込作
動されることにより、増圧ピストン32の係止状態が解
除されて、増圧ピストン32の増圧シリンダ30内での
滑動が許容されるようになっている。
【0030】更にまた、型締シリンダ機構26において
は、増圧シリンダ30と平行に延びる型締シリンダ46
が固定盤12に対して固設されており、この型締シリン
ダ46に対して、メインラムとしての型締ピストン48
が、増圧ピストン32と平行となる水平方向で滑動可能
に組み込まれている。そして、この型締ピストン48の
外周面と型締シリンダ46の内周面の径方向対向面間
に、円筒形状の型締シリンダ室50が形成されており、
型締ピストン48の引込方向(図1中、左方向)への移
動に伴い、型締シリンダ室50の容積が小さくなるよう
にされている。なお、型締ピストン48の有効ピストン
面積は、増圧ピストン32の有効ピストン面積よりも大
きくされており、増圧シリンダ室34の圧力が型締シリ
ンダ室50に及ぼされることにより、油圧駆動力の増幅
効果が発揮されるようになっている。また、型締ピスト
ン48は、中心軸上を軸方向に貫通した挿通孔54を有
しており、この挿通孔54に対して、可動盤16から突
出して固設されたメカニカルラム56が挿通配置されて
いる。
【0031】かかるメカニカルラム56は、大径の中空
乃至は中実の円形ロッド形状を有しており、可動盤16
から移動方向後方に向かってボールねじ軸38と平行に
延びる状態で固定的に突設されている。また、メカニカ
ルラム56の外周面には、周方向に延びる環状の係止歯
58が、軸方向に等間隔に複数条形成されており、メカ
ニカルラム56の外周面が、鋸歯状の縦断面形状とされ
ている。また一方、型締ピストン48には、一対の半円
環形状のハーフナット62,62を備えた係止装置60
が固設されている。各ハーフナット62,62には、内
周面上において、メカニカルラム56の係止歯58に対
応した形状で周方向に延びる噛合歯64が一体形成され
ている。そして、これらのハーフナット62,62は、
メカニカルラム56を挟んだ径方向両側で対向位置せし
められており、かかるハーフナット62,62が、ソレ
ノイドやシリンダ機構等の公知の駆動手段によって、メ
カニカルラム56に対して径方向で接近/離隔作動せし
められることにより、型締ピストン48に設けられたハ
ーフナット62,62の噛合歯64が、メカニカルラム
56に形成された係止歯58に対して係止/離脱される
ようになっている。
【0032】さらに、前記増圧シリンダ機構24の増圧
シリンダ室34には、給油管路66を通じて、補助油タ
ンク68が接続されている。なお、この補助油タンク6
8は、常時接続されている必要はなく、急速継手70を
介して接続されることにより、適宜に接続/取外し可能
とされている。また、かかる給油管路66上には、第一
の切換弁としての第一の電磁切換弁72が配設されてお
り、この第一の電磁切換弁72の切換操作に基づいて、
増圧シリンダ室34が補助油タンク68に対して接続/
遮断されるようになっている。なお、本実施形態では、
第一の電磁切換弁72として、ノーマル開の2ポート電
磁切換弁が採用されており、制御装置としてのバルブ制
御装置74からの制御信号に基づいて切換作動されるよ
うになっている。
【0033】また、増圧シリンダ機構24の増圧シリン
ダ室34と型締シリンダ機構26の型締シリンダ室50
は、油圧管路としての接続管路28によって相互に接続
されており、増圧シリンダ室34と型締シリンダ室50
の間で、作動油が接続管路28を通じて相互に給排流動
せしめられるようになっている。即ち、このことから明
らかなように、本実施形態では、接続管路28によって
相互に接続された増圧シリンダ室34と型締シリンダ室
50により、油圧閉回路が構成されているのである。な
お、接続管路28は、増圧シリンダ室34からのエア排
出が有利に為され得るように、増圧シリンダ室34にお
ける最も高い位置に接続されていることが望ましい。ま
た、かかる接続管路28は、型締シリンダ室50からの
エア逆流が防止されるように、型締シリンダ室50にお
ける低い位置に接続されていることが望ましい。
【0034】更にまた、接続管路28上には、第二の切
換弁としての第二の電磁切換弁78が配設されており、
この第二の電磁切換弁78の切換操作に基づいて、増圧
シリンダ室34が型締シリンダ室50に対して接続/遮
断されるようになっている。なお、本実施形態では、第
二の電磁切換弁78として、ノーマル開の2ポート電磁
切換弁が採用されており、制御装置74からの制御信号
に基づいて切換作動されるようになっている。
【0035】また、接続管路28には、第二の電磁切換
弁78よりも型締シリンダ室50側に位置して、圧力セ
ンサ80が接続されており、この圧力センサ80によっ
て、型締シリンダ室50の圧力が常時検出されるように
なっていると共に、圧力センサ80による圧力検出値と
しての電気信号がバルブ制御装置74に入力されて、か
かる圧力検出値に基づいて、第一及び第二の電磁切換弁
72,78の作動制御が行われるようになっている。な
お、圧力検出手段としては、設定圧力に達したら電気信
号を出力するものが望ましく、例えば、ストレンゲージ
や電歪素子等を利用した圧力センサの他、油圧回路に採
用される公知の圧力スイッチなどが、何れも採用可能で
ある。
【0036】さらに、本実施形態では、非常時の安全機
構として、接続管路28における第二の電磁切換弁78
よりも増圧シリンダ室34側に対して、リリーフ弁82
が接続されており、リリーフ弁82を介して、増圧シリ
ンダ室34が油タンク84に接続されている。即ち、こ
のリリーフ弁82によって、サーボ系の暴走等に起因す
る接続管路28系の圧力の異常上昇が回避されるように
なっているのである。
【0037】さらに、型締シリンダ室50には、油圧閉
回路における最も高い位置に対してエア抜き管路86が
接続されており、かかるエア抜き管路86上に配設され
たエア抜き手段としてのエアブリード弁88を通じて、
型締シリンダ室50が油タンク84に連通されている。
このエアブリード弁88は、型締シリンダ室50から鉛
直上方に延び出した高い位置に配設されており、回路の
圧力が設定値より小さい場合には、回路内の圧力を外部
に逃がす一方、回路の圧力が設定値以上になると完全に
遮断される構造となっている。なお、回路が遮断される
設定値は、回路内の作動油の排出を抑えると共に、回路
内へのエアの侵入を防止するために、0に近い正圧とす
ることが望ましく、例えば、0.2MPa以下、好まし
くは0.1MPa以下、より好ましくは0.05MPa
以下とされる。
【0038】上述の如き構造とされた型締装置10にお
いては、バルブ制御装置74により第一の電磁切換弁7
2を遮断すると共に、第二の電磁切換弁78を接続せし
めて、増圧シリンダ機構24と型締シリンダ機構26を
接続管路28で接続して油圧閉回路を構成せしめた状態
下で、中央制御装置90により、サーボモータ40やロ
ック装置42,係止装置60等を、図示しない射出装置
と連携させて作動制御することによって、型開閉および
型締作動せしめられて、目的とする射出成形作動が行わ
れることとなる。
【0039】具体的には、先ず、増圧ピストン32をロ
ック装置42で増圧シリンダ30に固定せしめた状態下
で、サーボモータ40でボールねじ軸38を回転駆動せ
しめることにより、ボールねじ軸38による増圧ピスト
ン32のねじ送り作用に基づいて、可動盤16が、固定
盤12への接近/離隔方向に駆動変位せしめられて型開
閉作動される。なお、かくの如き型開閉作動に際して
は、型締ピストン48に設けられた係止装置60のハー
フナット62,62がメカニカルラム56から離脱状態
に保持せしめられることにより、増圧シリンダ機構24
および型締シリンダ機構26の作動を伴うことなく、型
開閉作動が行われる。
【0040】そして、サーボモータ40による型閉作動
の完了後に、係止装置60のハーフナット62,62を
メカニカルラム56側に突出させて、ハーフナット6
2,62の噛合歯64,64をメカニカルラム56の係
止歯58に係止させて、メカニカルラム56を型締ピス
トン48に固定せしめた後に、油圧閉回路構造をもって
構成された増圧シリンダ機構24と型締シリンダ機構2
6によって型締作動が行われる。即ち、型閉作動の完了
後、ロック装置42を解除した状態下で、サーボモータ
40を回転駆動させて、ボールねじ軸38による増圧ピ
ストン32のねじ送り作用に基づいて、増圧シリンダ3
0に対して増圧ピストン32を前進方向に滑動させる
と、増圧シリンダ30内の油圧が上昇せしめられて、か
かる油圧が、接続管路76を通じて型締シリンダ室50
内に及ぼされて、型締ピストン48が突出方向(図1
中、右方向)に向かって増幅された大きな駆動力で駆動
されるようになっており、それによって、固定盤12と
可動盤16の間に大きな型締力が及ぼされるのである。
【0041】また一方、上述の如き構造とされた型締装
置10においては、装置設置後の立ち上げに際して、増
圧シリンダ機構24や型締シリンダ機構26を含む油圧
閉回路に対する作動油の注入充填を、増圧シリンダ機構
24を利用した吸引作動によって自動的に行うことが出
来る。
【0042】具体的には、図2〜3に示されているよう
に、自動油充填作動がスタートすると、先ず、ステッ
プ:S1で、係止装置60においてハーフナット62,
62の各噛合歯64をメカニカルラム56の係止歯58
に噛合させて型締ピストン48をメカニカルラム56に
固定すると共に、ロック装置42のロックピン44を引
込ませて、増圧ピストン32の増圧シリンダ30に対す
る係止を解除する。なお、かかる状況下、増圧シリンダ
機構24の増圧ピストン32は、出来るだけ前進して位
置せしめられていることが望ましく、必要に応じて、ロ
ック装置42のロックピン44を係止解除せしめた状態
下でサーボモータ40を作動させて、増圧ピストン32
を前進移動せしめる。また、かかるステップ:S1にお
いて、第二の電磁切換弁78はノーマル位置(非通電状
態)に維持したまま、第一の電磁切換弁72だけを、作
動位置(通電状態)とする。即ち、増圧シリンダ室34
を、補助油タンク68から遮断すると共に、型締シリン
ダ室50に連通せしめる。
【0043】その後、ステップ:S2で、サーボモータ
40を作動せしめて、ボールねじ機構により増圧ピスト
ン32を図1中右方に後退駆動させることによって、増
圧シリンダ室34を減圧する減圧作動を行う。また、こ
の減圧作動に際して、増圧シリンダ室34が接続された
型締シリンダ室50の圧力を、圧力センサ80によって
監視し、かかる型締シリンダ室50の圧力が、予め設定
された設定値よりも小さくなった場合に、第一の電磁切
換弁72を、作動位置からノーマル位置に切り換えると
共に、第二の電磁切換弁78を、ノーマル位置から作動
位置に切り換える。即ち、増圧シリンダ室34を、補助
油タンク68に連通せしめると共に、型締シリンダ室5
0から遮断する。なお、電磁切換弁72,78の切換の
基準となる型締シリンダ室50の圧力設定値は、型締シ
リンダ室50の残圧を抑えるために0に近い正圧とされ
ることが望ましい。
【0044】続いて、ステップ:S3で、タイマ時間設
定などによって所定の待機時間を与えることにより、増
圧ピストン32の後退作動によって減圧されて負圧とさ
れた増圧シリンダ室34に対して、補助油タンク84か
ら、給油管路66を通じて作動油を吸引させて、注入せ
しめる。
【0045】そして、待機時間の経過後、続くステッ
プ:S4において、サーボモータ40を作動せしめて増
圧ピストン32を図1中左方に前進駆動させることによ
って、増圧シリンダ室34を増圧する増圧作動を行う。
また、この増圧作動に際して、好ましくは増圧シリンダ
室34の負圧が解消された後に、第一の電磁切換弁72
を、ノーマル位置から作動位置に切り換えると共に、第
二の電磁切換弁78を、作動位置からノーマル位置に切
り換える。即ち、増圧シリンダ室34を、補助油タンク
68から遮断すると共に、型締シリンダ室50に接続す
る。なお、このような第一及び第二の電磁切換弁72,
78の切り換えは、例えば、サーボモータ40の作動開
始と同時に、或いは僅かに前後して行うことも可能であ
り、また、図面上に明示はされていないが、圧力センサ
等で増圧シリンダ室34の圧力を監視して、得られた圧
力値に基づいて第一及び第二の電磁切換弁72,78を
切換作動せしめるようにしても良い。
【0046】また、ステップ:S4で増圧ピストン32
が前進駆動せしめられると、増圧シリンダ室34が増圧
されて、その圧力が、接続管路28を通じて型締シリン
ダ室50に及ぼされることとなる。ここにおいて、型締
シリンダ室50は、エア抜き管路86により、エアブリ
ード弁88を通じてエアの排出が許容されるようになっ
ていることから、増圧シリンダ室34と型締シリンダ室
50の圧力差によって、増圧シリンダ室34に吸引注入
された作動油が、型締シリンダ室50に導かれて注入さ
れることとなる。
【0047】そして、ステップ:S5において、前記ス
テップ:S2〜4における増圧ピストンの往復作動が、
予め設定された、作動油注入のために必要とされる回
数:mに達したか否かを判断し、かかる回数:mだけ、
ステップ:S2〜4を繰り返し、その後に、作動油の自
動充填作動を終了する。
【0048】これによって、増圧シリンダ室34と型締
シリンダ室50および接続管路28からなる油圧閉回路
において、エアが排出されると共に、作動油が注入,充
填されることとなる。
【0049】さらに、上述の如き構造とされた型締装置
10においては、連続的な射出成形作動を行っている間
に油圧閉回路にエアが侵入した場合にも、かかる侵入エ
アの油圧閉回路からの排出を、増圧シリンダ機構24を
利用したエア抜き作動によって自動的に行うことが出来
る。
【0050】具体的には、図4〜5に示されているよう
に、自動エア抜き作動がスタートすると、先ず、ステッ
プ:T1で、ロック装置42のロックピン44を突出さ
せて、増圧ピストン32を増圧シリンダ30に係止す
る。続くステップ:T2で、第一及び第二の電磁切換弁
72,78をノーマル位置(非通電状態)とした状態下
において、サーボモータ40を作動せしめることによ
り、ボールねじ機構によって可動盤16を前進方向(固
定盤12への接近方向)に作動せしめて低速型閉じを行
う。型閉完了後、ステップ:T3で、係止装置60にお
いてハーフナット62,62の各噛合歯64をメカニカ
ルラム56の係止歯58に噛合させて型締ピストン48
をメカニカルラム56に固定すると共に、ロック装置4
2のロックピン44を引込ませて、増圧ピストン32の
増圧シリンダ30に対する係止を解除する。
【0051】その後、ステップ:T4において、サーボ
モータ40を作動せしめて増圧ピストン32を図1中左
方に前進駆動させることによって、増圧シリンダ室34
を増圧し、更に、ステップ:T5で、かかる増圧状態を
所定時間だけ保持する。これにより、増圧シリンダ室3
4が増圧されると、油圧シリンダ室34の作動油が、混
入エアが存在する場合には混入エアを含んで、エアブリ
ード弁88を通じてエアの排出が許容された型締シリン
ダ室50に導かれて、かかる型締シリンダ室50から混
入エアが排出されると同時に、作動油が型締シリンダ室
50に補填的に注入されて充填されることとなる。な
お、ステップ:T5での増圧保持時間は、タイマ等で設
定することによって一定時間として設定する他、圧力セ
ンサ80によって検出される型締シリンダ室50の圧力
値に基づいて動的に設定しても良い。
【0052】そして、ステップ:T5における油圧閉回
路の増圧状態から、続くステップ:T6において、サー
ボモータ40を反対回りに回転作動せしめて増圧ピスト
ン32を図1中右方に後退駆動させることによって、増
圧シリンダ室34を減圧し、続くステップ:T7で、か
かる減圧状態を所定の待機時間だけ保持する。また、ス
テップ:T6に際して、型締シリンダ室50の圧力を圧
力センサ80で監視し、型締シリンダ室50の圧力が、
予め設定された設定値よりも小さくなった場合に、第一
の電磁切換弁72を、作動位置からノーマル位置に切り
換えると共に、第二の電磁切換弁78を、ノーマル位置
から作動位置に切り換えることにより、増圧シリンダ室
34を、補助油タンク68に連通せしめると共に、型締
シリンダ室50から遮断する。なお、電磁切換弁72,
78の切換の基準となる型締シリンダ室50の圧力設定
値は、前述の作動油の自動充填作動と同様、型締シリン
ダ室50の残圧を抑えるために0に近い正圧とされるこ
とが望ましい。
【0053】これにより、タイマ時間等によって設定さ
れた所定の待機時間の間に、減圧されて負圧とされた増
圧シリンダ室34に対して、補助油タンク68から、給
油管路66を通じて作動油が吸引されて、注入せしめら
れることとなる。
【0054】そして、ステップ:T8において、前記ス
テップ:T4〜7における増圧ピストンの往復作動が、
予め設定された、エア抜きのために必要とされる回数:
nに達したか否かを判断し、かかる回数:nだけ、ステ
ップ:T4〜7を繰り返し、その後に、混入エアの自動
排出作動(エア抜き作動)を終了する。
【0055】これによって、増圧シリンダ室34と型締
シリンダ室50および接続管路28からなる油圧閉回路
において、混入エアが排出されると共に、作動油が補填
的に注入されて,充填されることとなる。
【0056】以上、詳述してきたように、本実施形態の
型締装置10においては、油圧ポンプ等を備えない油圧
閉回路装置であるにも拘わらず、油圧閉回路を構成する
増圧シリンダ機構24と型締シリンダ機構26の作動を
上手く組み合わせて利用することによって、油圧閉回路
への作動油の注入,充填と、油圧閉回路からの混入エア
の排出を、何れも、特別な装置等を必要とせずに簡単な
操作で容易に且つ迅速に行うことが出来るのであり、作
動油の注入や混入エアの排出に際しての作業性が飛躍的
に向上され得るのである。
【0057】しかも、油圧閉回路へのエアの混入が防止
されると共に、エア混入があった場合にも、速やかに排
出することが出来ことから、射出成形に際しての油圧閉
回路へのエア混入の悪影響が有利に回避され得ることと
なり、以て、目的とする射出成形作動を安定して行うこ
とが可能となるといった利点もある。
【0058】なお、上述の実施形態は、あくまでも本発
明の一具体的な例示であって、本発明は、かかる実施形
態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈
されるものでない。
【0059】例えば、前記実施形態では、補助油タンク
68が急速継手70を介して接続されていたが、急速継
手を設けることなく、常時、接続しておいても良い。
【0060】また、接続管路28におけるリリーフ弁8
2は、本発明において必ずしも必要ではない。
【0061】更にまた、型締シリンダ室50をエアブリ
ード弁88に接続するエア抜き管路86上に、開閉弁を
配設して、エア抜きする必要がない通常作動時には、か
かる開閉弁を閉じることにより、エア抜き管路86を完
全に遮断状態としても良い。
【0062】さらに、平常的な連続射出成形作動時にお
いても、補助油タンク68やエアブリード弁88を接続
しておけば、例えば、一ショット毎の射出成形に際して
油圧閉回路からのエア排出作動を行わせることが可能で
あり、それ故、万一、油圧閉回路にエアが侵入した場合
でも、速やかに対処することが可能となる。なお、射出
成形作動と同時にエア抜き作動を行わせる場合には、例
えば、図4〜5に示されている如きエア抜き作動を射出
成形作動に組み込むことによって、容易に実現可能とな
る。即ち、その場合には、図4〜5中の増圧作動が型締
作動となり、減圧作動が型締圧抜作動となる。また、n
=1として、通常の連続射出成形作動を出来るだけ変更
しないで、同時にエア抜きを行うことも可能である。
【0063】また、前記実施形態において示した型締装
置は、本出願人が、先に、特願2000−101620
号で新たに提案した、サーボモータと油圧シリンダ機構
を併用したハイブリッド構造のものであって、詳細構造
は、かかる先願に開示されているところであるが、本発
明は、かかる実施形態に記載された特定構造の型締装置
以外にも、各種構造の型締装置に対して適用可能である
ことは、言うまでもない。
【0064】加えて、前記実施形態では、本発明を射出
成形機用の型締装置に適用したものの一例を示したが、
本発明は、その他、例えば型締装置以外の油圧ジャッキ
機構など、油圧閉回路を備えた各種装置に対して、同様
に適用可能である。
【0065】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等
を加えた態様において実施され得るものであり、また、
そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限
り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであること
は、言うまでもない。
【0066】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
の作動油充填方法に従えば、油圧閉回路装置において、
駆動側油圧シリンダ機構等を巧く利用することにより、
油圧ポンプ等を用いることなく、作動油を容易に且つ速
やかに注入,充填することが可能となる。
【0067】また、本発明のエア抜き方法に従えば、油
圧閉回路装置において、万一エアが残留していたり侵入
した場合でも、駆動側油圧シリンダ機構等を巧く利用す
ることにより、油圧ポンプ等を用いることなく、作動油
を容易に且つ速やかに排出することが可能となる。
【0068】更にまた、本発明に従う構造とされた油圧
閉回路装置および射出成形機用型締装置においては、何
れも、本発明に従う作動油充填方法やエア抜き方法を有
利に実施することが可能であり、それによって、装置の
立上時における作動油の注入,充填と、立上後における
混入エアの排出を、何れも、容易に且つ速やかに行うこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての射出成形機用型締
装置の概略構造を示すモデル図である。
【図2】図1に示された型締装置における作動油の自動
充填作動を説明するためのフローチャートである。
【図3】図2に示された作動油の自動充填作動に際して
の第一及び第二の電磁切換弁の切換作動状態を説明する
ための説明図である。
【図4】図1に示された型締装置における混入エアの自
動排出作動を説明するためのフローチャートである。
【図5】図4に示された混入エアの自動排出作動に際し
ての第一及び第二の電磁切換弁の切換作動状態を説明す
るための説明図である。
【符号の説明】
10 型締装置 12 固定盤 14 受圧盤 16 可動盤 22 ねじ送り機構 24 増圧シリンダ機構 26 型締シリンダ機構 28 接続管路 40 サーボモータ 42 ロック装置 56 メカニカルラム 60 係止装置 68 補助油タンク 72 第一の電磁切換弁 78 第二の電磁切換弁 80 圧力センサ 88 エアブリード弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3H089 AA21 BB24 CC06 DB01 DC01 GG02 JJ05 4F202 AM14 AR02 CA11 CL18 CL39 CP10 CR04 CS01 4F206 AM14 AR027 JA07 JL01 JL02 JL08 JM02 JN32 JP05 JP30 JQ03 JQ06 JQ83 JQ90 JT05 JT21 JT24 JT33 JT37

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外部から及ぼされる駆動力によって駆動
    せしめられる駆動側油圧シリンダ機構と、該駆動側油圧
    シリンダ機構に対して油圧管路を通じて接続されて、該
    駆動側油圧シリンダ機構で生ぜしめられた油圧が及ぼさ
    れて作動せしめられる作動側油圧シリンダ機構を含んで
    構成された油圧閉回路装置において、各油圧シリンダ機
    構に作動油を注入充填するに際して、 前記駆動側油圧シリンダ機構においてピストンを前進位
    置から減圧側に後退作動せしめると共に、前記油圧管路
    を切換設定して、該駆動側油圧シリンダ機構を前記作動
    側油圧シリンダ機構から遮断すると共に、該駆動側油圧
    シリンダ機構を別途準備した補助油タンクに接続せしめ
    ることにより、該補助油タンクから該駆動側油圧シリン
    ダ機構に作動油を吸引させる油吸引工程と、 該油吸引工程の後、前記油圧管路を切り換えて、前記駆
    動側油圧シリンダ機構から前記補助油タンクを遮断する
    と共に、該駆動側油圧シリンダ機構に前記作動側油圧シ
    リンダ機構を接続する油タンク遮断工程と、 該油タンク遮断工程の後、前記駆動側油圧シリンダ機構
    のピストンを増圧側に前進作動せしめることにより、該
    駆動側油圧シリンダ機構から前記作動側油圧シリンダ機
    構に作動油を圧送して供給すると共に、該作動側油圧シ
    リンダ機構における残留エアを排出させる油充填工程と
    を、複数サイクル繰り返して行うことを特徴とする油圧
    閉回路装置における作動油充填方法。
  2. 【請求項2】 外部から及ぼされる駆動力によって駆動
    せしめられる駆動側油圧シリンダ機構と、該駆動側油圧
    シリンダ機構に対して油圧管路を通じて接続されて、該
    駆動側油圧シリンダ機構で生ぜしめられた油圧が及ぼさ
    れて作動せしめられる作動側油圧シリンダ機構とを、含
    んで構成された油圧閉回路装置において、何れかの前記
    油圧シリンダ機構に混入したエアを排出せしめるエア抜
    き方法であって、 前記駆動側油圧シリンダ機構に前記作動側油圧シリンダ
    機構が接続されると共に、該駆動側油圧シリンダ機構に
    対して別途準備した補助油タンクが遮断されるように、
    前記油圧管路を設定する油タンク遮断工程と、 該油タンク遮断工程の後、前記駆動側油圧シリンダ機構
    のピストンを増圧側に前進作動せしめて、該駆動側油圧
    シリンダ機構から前記作動側油圧シリンダ機構に作動油
    を圧送して供給すると共に、該作動側油圧シリンダ機構
    における残留エアを排出させるエア排出工程と、 該エア排出工程の後、前記駆動側油圧シリンダ機構を圧
    抜作動せしめると共に、前記油圧管路を切換設定して、
    前記駆動側油圧シリンダ機構を前記作動側油圧シリンダ
    機構から遮断すると共に、該駆動側油圧シリンダ機構を
    前記補助油タンクに接続せしめる油タンク接続工程と、 該油タンク接続工程の後、前記駆動側油圧シリンダ機構
    のピストンを減圧側に後退作動せしめることにより、前
    記補助油タンクから該駆動側油圧シリンダ機構に作動油
    を吸引させる油吸引工程とを、少なくとも一サイクル行
    うことを特徴とする油圧閉回路装置におけるエア抜き方
    法。
  3. 【請求項3】 外部から及ぼされる駆動力によって駆動
    せしめられる駆動側油圧シリンダ機構と、該駆動側油圧
    シリンダ機構に対して油圧管路を通じて接続されて、該
    駆動側油圧シリンダ機構で生ぜしめられた油圧が及ぼさ
    れて作動せしめられる作動側油圧シリンダ機構を含んで
    構成された油圧閉回路装置において、 前記駆動側油圧シリンダ機構に接続される補助油タンク
    と、 該補助油タンクと前記駆動側油圧シリンダ機構を接続す
    る給油管路上に配された第一の開閉弁と、 前記駆動側油圧シリンダ機構と前記作動側油圧シリンダ
    機構を接続する前記油圧管路上に配された第二の開閉弁
    と、 前記作動側油圧シリンダ機構に接続されたエア抜き手段
    と、 前記駆動側油圧シリンダ機構におけるピストンの増圧側
    への前進作動に際して、前記第一の開閉弁を閉じると共
    に、前記第二の開閉弁を開いて、該駆動側油圧シリンダ
    機構から前記作動側油圧シリンダ機構に作動油を圧送す
    る一方、かかる駆動側油圧シリンダ機構におけるピスト
    ンの減圧側への後退作動に際して、前記第二の開閉弁を
    閉じると共に、前記第一の開閉弁を開いて、該駆動側油
    圧シリンダ機構における前記補助油タンクからの作動油
    の吸引を許容する制御装置とを、設けたことを特徴とす
    るエア抜き可能な油圧閉回路装置。
  4. 【請求項4】 固定盤と受圧盤を互いに離隔して固定的
    に対向配置すると共に、それら固定盤と受圧盤の対向面
    間に可動盤を配して、該可動盤と該受圧盤の何れか一方
    の側に支持されたボールねじ軸と他方の側に支持された
    ボールねじナットを電動モータで相対回転させてねじ送
    り作用により該可動盤を前記固定盤に対して型開閉作動
    せしめるようにする一方、前記受圧盤側に、それらボー
    ルねじ軸とボールねじナットのねじ送り作用によって作
    動せしめられる増圧シリンダ機構と、該増圧シリンダ機
    構で生ぜしめられた油圧が及ぼされる型締シリンダ機構
    を、それぞれ設けると共に、該増圧シリンダ機構におい
    てピストンを移動不能に係止する解除可能なロック手段
    と、該型締シリンダ機構においてピストンを前記可動盤
    に対して移動可能に係止する解除可能な係止手段を、そ
    れぞれ設けて、前記固定盤と前記可動盤の型閉状態下で
    前記ボールねじ軸と前記ボールねじナットのねじ送り作
    用で前記増圧シリンダ機構を作動せしめることにより、
    前記型締シリンダ機構に生ぜしめられる型締力を固定盤
    と可動盤の間に及ぼすようにした油圧閉回路を備えた射
    出成形機用型締装置において、 前記増圧シリンダ機構に接続される補助油タンクと、 該補助油タンクと前記増圧シリンダ機構を接続する給油
    管路上に配された第一の開閉弁と、 前記増圧シリンダ機構を前記型締シリンダ機構に接続す
    る油圧管路上に配された第二の開閉弁と、 前記型締シリンダ機構に接続されたエア抜き手段と、 前記増圧シリンダ機構におけるピストンの増圧側への前
    進作動に際して、前記第一の開閉弁を閉じると共に、前
    記第二の開閉弁を開いて、該増圧シリンダ機構から前記
    型締シリンダ機構に作動油を圧送する一方、かかる増圧
    シリンダ機構におけるピストンの減圧側への後退作動に
    際して、前記第二の開閉弁を閉じると共に、前記第一の
    開閉弁を開いて、該増圧シリンダ機構における前記補助
    油タンクからの作動油の吸引を許容する制御装置とを、
    設けたことを特徴とするエア抜き可能な油圧閉回路を備
    えた射出成形機用型締装置。
  5. 【請求項5】 前記型締シリンダ機構と前記エア抜き手
    段を接続するエア抜き管路上に、該エア抜き管路を遮断
    する第三の開閉弁を設けた請求項4に記載のエア抜き可
    能な油圧閉回路を備えた射出成形機用型締装置。
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