JP2001354999A - 共沸又は共沸様組成物 - Google Patents

共沸又は共沸様組成物

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征宏 飯島
Akira Sekiya
章 関屋
Masanori Tamura
正則 田村
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(57)【要約】 【課題】 オゾン層破壊の心配がなく、且つ温室効果の
小さい新規な共沸又は共沸様組成物を提供する。 【解決手段】 (i)下記式(1) CF3CF2CH2OCF2CHF2 (1) で表される1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−3−
(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)プロパン
と、(ii)メタノール、エタノール及び2−プロパノー
ルの中から選ばれる1種のアルコールまたはtrans
−1,2−ジクロロエチレンとからなる共沸又は共沸様
組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、共沸又は共沸様組
成物に関するものであり、より詳しくはフラックス洗
浄、脱脂洗浄、水切り乾燥、溶剤等として用いられる共
沸又は共沸様組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子部品、精密機械部品、樹
脂加工部品等の洗浄用溶剤としては、ハロゲン化炭化水
素が最もよく知られており、塩素原子または塩素原子と
フッ素原子が置換した炭化水素群としての特徴を有して
いる。これらのハロゲン化炭化水素は、毒性が少なく、
ハロゲンの置換数が多いと不燃性を示し、また化学的及
び熱的に安定であって、しかもプラスチックやゴムなど
の表面を侵食することなくワックスや油脂類を溶解する
という適度な溶解性を有することから、各種の産業分野
に広く使用されている。例えば、これらのハロゲン化炭
化水素としては、トリクロロエチレン、テトラクロロエ
チレン、1,1,1−トリクロロエタン等の塩素系炭化
水素や1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフル
オロエタン(フロン113)等のフロン系炭化水素が知
られており、特に後者のフロン系炭化水素は、毒性が少
なく不燃性で化学的及び熱的に安定であることから、広
範囲な分野で使用されている。しかし、かかる塩素を含
むフロン系炭化水素や1,1,1−トリクロロエタンは
塩素原子を有する為、成層圏のオゾン層を破壊するとい
う重大な欠点が指摘され、その生産と使用を停止するこ
とが国際的に決められている。またトリクロロエチレン
及びテトラクロロエチレンは、地下水汚染問題がクロー
ズアップされ、その後の環境汚染状況調査結果と慢性毒
性等が認められるとの有害性の調査結果に基づき、平成
元年より第2種特定化学物質に政令指定された。このよ
うな状況下、かかる塩素を含むフロン系炭化水素や塩素
系炭化水素に代わる物質の開発が活発に行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の状況
を鑑みてなされたものであり、塩素を含むフロン系炭化
水素や塩素系炭化水素が有する洗浄性や低毒性等の優れ
た性質を損なうことなく、オゾン層破壊の心配がなく、
且つ温室効果の小さい新規な共沸又は共沸様組成物を提
供することをその課題としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成す
るに至った。即ち、本発明によれば、(i)下記式
(1) CF3CF2CH2OCF2CHF2 (1) で表される1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−3−
(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)プロパン
と、(ii)メタノール、エタノール及び2−プロパノー
ルの中から選ばれる1種のアルコールまたはtrans
−1,2−ジクロロエチレンとからなる共沸又は共沸様
組成物が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の組成物は、具体的には以
下のような組成物である。なお、共沸組成物とは、その
蒸気組成と液体組成が同一であり、蒸発、凝縮を繰り返
した後の組成物の組成変化がないものを意味する。ま
た、共沸様組成物とは、その蒸気組成と液体組成がほぼ
同一であり、蒸発、凝縮を繰り返した後の組成物の組成
変化が無視できる程度にしか変化しないものを意味す
る。 (1)1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−3−
(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)プロパン
80〜95重量%及びメタノール5〜20重量%からな
る共沸様組成物、好ましくは1,1,1,2,2−ペン
タフルオロ−3−(1,1,2,2−テトラフルオロエ
トキシ)プロパン87.49重量%及びメタノール1
2.51重量%からなる共沸組成物である。この共沸組
成物の沸点は、大気圧(760mmHg)で55.44
℃である。 (2)1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−3−
(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)プロパン
80〜95重量%及びエタノール5〜20重量%からな
る共沸様組成物、好ましくは1,1,1,2,2−ペン
タフルオロ−3−(1,1,2,2−テトラフルオロエ
トキシ)プロパン89.93重量%及びエタノール1
0.07重量%からなる共沸組成物である。この共沸組
成物の沸点は、大気圧(760mmHg)で62.49
℃である。 (3)1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−3−
(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)プロパン
80〜95重量%及び2−プロパノール5〜20重量%
からなる共沸様組成物、好ましくは1,1,1,2,2
−ペンタフルオロ−3−(1,1,2,2−テトラフル
オロエトキシ)プロパン89.61重量%及び2−プロ
パノール10.39重量%からなる共沸組成物である。
この共沸組成物の沸点は、大気圧(760mmHg)で
65.48℃である。 (4)1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−3−
(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)プロパン
20〜50重量%及びtrans−1,2−ジクロロエ
チレン50〜80重量%からなる共沸様組成物、好まし
くは1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−3−(1,
1,2,2−テトラフルオロエトキシ)プロパン36.
24重量%及びtrans−1,2−ジクロロエチレン
63.76重量%からなる共沸組成物である。この共沸
組成物の沸点は、大気圧(760mmHg)で45.0
0℃である。
【0006】本発明に係る、1,1,1,2,2−ペン
タフルオロ−3−(1,1,2,2−テトラフルオロエ
トキシ)プロパンは既知物質であり、例えば塩基性条件
下、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール
とテトラフルオロエチレンとの反応により容易に得られ
る。
【0007】本発明による組成物は、過酷な条件での使
用に際しては更に各種の安定剤を添加してもよい。安定
剤としては、蒸留操作により同伴留出されるもの或いは
共沸様混合物を形成するものが望ましい。このような安
定剤の具体例としては、ニトロメタン、ニトロエタン等
の脂肪族ニトロ化合物、ニトロベンゼン、ニトロスチレ
ン等の芳香族ニトロ化合物、ジメトキシメタン、1,2
−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3,5
−トリオキサン等のエーテル類、グリシドール、メチル
グリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェ
ニルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキシド、
シクロヘキセンオキシド、エピクロルヒドリン等のエポ
キシド類、ヘキセン、ヘプテン、ペンタジエン、シクロ
ペンテン、シクロヘキセン等の不飽和炭化水素類、アリ
ルアルコール、1−ブテン−3−オール等のオレフィン
系アルコール類、3−メチル−1−ブチン−3−オー
ル、3−メチル−1−ペンチン−3−オール等のアセチ
レン系アルコール類、アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ビニル等のアク
リル酸エステル類が挙げられる。また更に相乗的安定化
効果を得る為に、フェノール類、アミン類、ベンゾトリ
アゾール類を併用してもよい。これらの安定剤は、単独
で使用してもよく或いは2種以上組み合わせて使用して
もよい。安定剤の使用量は、安定剤の種類等により異な
るが、共沸様の性質に支障のない程度とする。その使用
量は、通常本発明組成物の0.01〜10重量%程度で
あり、0.1〜5重量%程度とすることがより好まし
い。
【0008】また、本発明組成物には、洗浄力、界面作
用等をより一層改善する為に、必要に応じて各種の界面
活性剤を添加することができる。界面活性剤としては、
ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート
等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン
のソルビットテトラオレエート等のポリオキシエチレン
ソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンモノ
ラウレート等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル
類、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキ
シエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノ
ニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキル
フェニルエーテル類、ポリオキシエチレンオレイン酸ア
ミド等のポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸アミ
ド類等のノニオン系界面活性剤が挙げられ、単独で使用
してもよく或いは2種以上組み合わせて使用してもよ
い。相乗的に洗浄力及び界面作用を改善する目的で、こ
れらのノニオン系界面活性剤に更にカチオン系界面活性
剤またはアニオン系界面活性剤を併用してもよい。界面
活性剤の使用量は、その種類等により異なるが、共沸様
の性質に支障のない程度で、通常本発明組成物の0.1
〜20重量%程度であり、0.3〜5重量%程度とする
ことがより好ましい。
【0009】本発明の組成物は、公知の洗浄及び乾燥用
途に広く使用できるが、特にフラックス洗浄剤、洗浄溶
剤、脱脂洗浄剤、水切り乾燥剤として使用でき、従来の
フロン113や1,1,1−トリクロロエタンの代替物
として極めて有用なものである。その具体的な用途とし
ては、フラックス、グリース、油、ワックス、インキ等
の除去剤、電子部品(プリント基板、液晶表示器、磁気
記録部品、半導体材料等)、電機部品、精密機械部品、
樹脂加工部品、光学レンズ、衣料品等の洗浄剤や水切り
乾燥剤等を挙げることができる。その洗浄方法として
は、浸漬、スプレー、沸騰洗浄、超音波洗浄、蒸気洗浄
等或いはこれらの組み合わせ等の従来から用いられてい
る方法が採用できる。また、本発明の組成物は、従来の
フロンと同様に塗料用溶剤、抽出剤、熱媒体及び発泡剤
等の各種用途にも使用できる。
【0010】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明の特徴とすると
ころを一層明確にする。勿論、本発明は、これらの実施
例によって限定されるものではない。
【0011】実施例1 気液平衡測定装置を用いて1,1,1,2,2−ペンタ
フルオロ−3−(1,1,2,2−テトラフルオロエト
キシ)プロパンとメタノールの気液平衡及び共沸点を測
定した。1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−3−
(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)プロパン
とメタノールとの一定組成の混合試料を試料容器部に入
れ、加熱した。そして気相凝縮液の滴下速度が適正にな
るように加熱を調整して、安定した沸騰を40分間以上
保った。圧力及び沸点が安定していることを確かめた
後、それらを測定した。また液相及び気相凝縮液をサン
プリングし、ガスクロマトグラフィーによりサンプリン
グ液の組成分析を行った。その測定結果を表1、図1及
び図2に示す。この結果から、1,1,1,2,2−ペ
ンタフルオロ−3−(1,1,2,2−テトラフルオロ
エトキシ)プロパン80〜95重量%及びメタノール5
〜20重量%の範囲にある本発明の組成物は、共沸様組
成物である。ここで1,1,1,2,2−ペンタフルオ
ロ−3−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)
プロパン87.49重量%及びメタノール12.51重
量%からなる組成物は共沸組成物であり、その沸点は大
気圧(760mmHg)で55.44℃である。
【0012】
【表1】
【0013】実施例2 実施例1の組成物に変えて1,1,1,2,2−ペンタ
フルオロ−3−(1,1,2,2−テトラフルオロエト
キシ)プロパンとエタノールを用いた以外、実施例1と
同様の装置及び手順で測定を行った。その測定結果を表
2、図3及び図4に示す。この結果から、1,1,1,
2,2−ペンタフルオロ−3−(1,1,2,2−テト
ラフルオロエトキシ)プロパン80〜95重量%及びエ
タノール5〜20重量%の範囲にある本発明の組成物
は、共沸様組成物である。ここで1,1,1,2,2−
ペンタフルオロ−3−(1,1,2,2−テトラフルオ
ロエトキシ)プロパン89.93重量%及びエタノール
10.07重量%からなる組成物は共沸組成物であり、
その沸点は大気圧(760mmHg)で62.49℃で
ある。
【0014】
【表2】
【0015】実施例3 実施例1の組成物に変えて1,1,1,2,2−ペンタ
フルオロ−3−(1,1,2,2−テトラフルオロエト
キシ)プロパンと2−プロパノールを用いた以外、実施
例1と同様の装置及び手順で測定を行った。その測定結
果を表3、図5及び図6に示す。この結果から、1,
1,1,2,2−ペンタフルオロ−3−(1,1,2,
2−テトラフルオロエトキシ)プロパン80〜95重量
%及び2−プロパノール5〜20重量%の範囲にある本
発明の組成物は、共沸様組成物である。ここで1,1,
1,2,2−ペンタフルオロ−3−(1,1,2,2−
テトラフルオロエトキシ)プロパン89.61重量%及
び2−プロパノール10.39重量%からなる組成物は
共沸組成物であり、その沸点は大気圧(760mmH
g)で65.48℃である。
【0016】
【表3】
【0017】実施例4 実施例1の組成物に変えて1,1,1,2,2−ペンタ
フルオロ−3−(1,1,2,2−テトラフルオロエト
キシ)プロパンとtrans−1,2−ジクロロエチレ
ンを用いた以外、実施例1と同様の装置及び手順で測定
を行った。その測定結果を表4、図7及び図8に示す。
この結果から、1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−
3−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)プロ
パン20〜50重量%及びtrans−1,2−ジクロ
ロエチレン50〜80重量%の範囲にある本発明の組成
物は、共沸様組成物である。ここで1,1,1,2,2
−ペンタフルオロ−3−(1,1,2,2−テトラフル
オロエトキシ)プロパン36.24重量%及びtran
s−1,2−ジクロロエチレン63.76重量%からな
る組成物は共沸組成物であり、その沸点は大気圧(76
0mmHg)で45.00℃である。
【0018】
【表4】
【0019】
【発明の効果】本発明の組成物は、フロン系及び塩素系
炭化水素と同様の洗浄性や低毒性などの優れた性質を有
し、さらにその使用により従来のフロン系及び塩素系炭
化水素と比べて、オゾン層破壊や地球温暖化と言った環
境負荷を大きく軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】CF3CF2CH2OCF2CHF2+メタノール
系の気液平衡組成図を示す。
【図2】CF3CF2CH2OCF2CHF2+メタノール
系の気液平衡における沸点と液体組成との関係図を示
す。
【図3】CF3CF2CH2OCF2CHF2+エタノール
系の気液平衡組成図を示す。
【図4】CF3CF2CH2OCF2CHF2+エタノール
系の気液平衡における沸点と液体組成との関係図を示
す。
【図5】CF3CF2CH2OCF2CHF2+2−プロパ
ノール系の気液平衡組成図を示す。
【図6】CF3CF2CH2OCF2CHF2+2−プロパ
ノール系の気液平衡における沸点と液体組成との関係図
を示す。
【図7】CF3CF2CH2OCF2CHF2+trans
−1,2−ジクロロエチレン系の気液平衡組成図を示
す。
【図8】CF3CF2CH2OCF2CHF2+trans
−1,2−ジクロロエチレン系の気液平衡における沸点
と液体組成との関係図を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/304 647 H01L 21/304 647A // H05K 3/26 H05K 3/26 E (72)発明者 村田 潤治 東京都文京区本郷2−40−17 本郷若井ビ ル6F財団法人地球環境産業技術研究機構 新規冷媒等プロジェクト室内 (72)発明者 黒河 勇治 東京都文京区本郷2−40−17 本郷若井ビ ル6F財団法人地球環境産業技術研究機構 新規冷媒等プロジェクト室内 (72)発明者 飯島 征宏 東京都文京区本郷2−40−17 本郷若井ビ ル6F財団法人地球環境産業技術研究機構 新規冷媒等プロジェクト室内 (72)発明者 関屋 章 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 田村 正則 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 Fターム(参考) 4H003 DA01 DA12 DA14 DA15 DA16 DB02 DB03 ED13 ED26 ED28 FA46 5E343 CC23 EE02 EE04 EE06 EE08 GG20

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−
    3−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)プロ
    パンと、メタノール、エタノール及び2−プロパノール
    の中から選ばれる1種のアルコールまたはtrans−
    1,2−ジクロロエチレンとからなることを特徴とする
    共沸又は共沸様組成物。
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