JP2001352994A - 有機スズ化合物分解剤、その製造方法及びそれを用いた有機スズ化合物の分解方法 - Google Patents

有機スズ化合物分解剤、その製造方法及びそれを用いた有機スズ化合物の分解方法

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JP2001352994A
JP2001352994A JP2000175946A JP2000175946A JP2001352994A JP 2001352994 A JP2001352994 A JP 2001352994A JP 2000175946 A JP2000175946 A JP 2000175946A JP 2000175946 A JP2000175946 A JP 2000175946A JP 2001352994 A JP2001352994 A JP 2001352994A
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tin compound
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JP2000175946A
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Hiroyuki Inoue
宏之 井上
Osamu Takimura
修 滝村
Yukiyasu Yamaoka
到保 山岡
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Agency of Industrial Science and Technology
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 現在環境汚染の原因となっているトリフェニ
ルスズなどの有機スズ化合物を効果的に分解し、その毒
性を低減し得る有機スズ化合物分解剤を提供する。 【解決手段】 シュードモナス属細菌が生産するシデロ
フォアを活性成分として用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環境汚染の原因の
1つである有機スズ化合物の分解剤、その製造方法及び
それを用いて有機スズ化合物を含有する水溶液を処理し
て、有機スズ化合物を分解する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】農業用殺菌剤や船底防汚塗料として多量
に用いられているトリフェニルスズやトリブチルスズな
どの有機スズ化合物は、水棲生物に対して強い毒性を有
する上に、生体内への蓄積性が高く、難分解性であるた
め、沿岸海域における魚類や海草類などの生体濃縮によ
る汚染や貝類の内分泌撹乱作用によるインポセックスに
起因する生殖異常の発生源として大きな社会問題となっ
ている。
【0003】このため、わが国を始め、諸外国は、有機
スズ含有船底防汚塗料の使用を規制しているが、まだ使
用を規制していない国々も多く、船舶の往来により、海
域汚染レベルは減少がみられず、概ね横ばいの状態が続
いており、有機スズ化合物による海域汚染の問題は、依
然として解決されていない。
【0004】このように、有機スズ化合物は水に難溶で
あり、微生物に難分解性であることから、海洋中、特に
海底泥中に多く蓄積され、巻き上げや再溶解により、様
々な水棲生物に対して毒性を発揮し続けている。そし
て、この蓄積された有機スズ化合物は、生活環境中で生
分解、光分解、生物による取り込みなどにより、徐々に
消失するものの、その速度は極めて遅々たるものであ
る。
【0005】したがって、この有機スズ化合物を分解し
て無害化することは、環境保全の観点から非常に重要な
課題であり、これまで、酸、熱、光などにより有機スズ
化合物を直接分解する方法が多数提案されているが、い
ずれもコストや操作面などで問題を有し、実用化されて
いない。
【0006】ところで、最近、有機スズ化合物を分解す
る微生物が見出され、その単離も試みられているが、こ
のような微生物を用いる有機スズ化合物の分解方法は、
分解速度が極めて遅く、実用に供するには不適当であ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、現在環境汚染の原因となっているトリフ
ェニルスズなどの有機スズ化合物を効果的に分解し、そ
の毒性を低減し得る、有機スズ化合物分解剤及びそれを
用いて有機スズ化合物を分解する方法を提供することを
目的としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、環境汚染
の原因の1つである有機スズ化合物の分解について種々
研究を重ね、先にシュードモナス・クロロラフィス(P
seudomonaschlororaphis)がト
リフェニルスズを分解する能力を有することを見出し報
告したが、さらに研究を進めた結果、この細菌の培養液
中に含まれるシデロフォアが有機スズ化合物分解剤とし
て有効であることを見出し、この知見に基づいて本発明
をなすに至った。
【0009】すなわち、本発明は、シュードモナス(P
seudomonas)属細菌が生産するシデロフォア
を活性成分としてなる有機スズ化合物分解剤、シュード
モナス(Pseudomonas)属細菌の培養液から
菌体を除去したのち、オクタデシル基を官能基として含
む固相カラムを用いて固相抽出することを特徴とする有
機スズ化合物分解剤の製造方法、及び有機スズ化合物を
含む水溶液中にシュードモナス(Pseudomona
s)属細菌が生産するシデロフォアを添加し、20〜5
0℃の範囲の温度に保持することを特徴とする有機スズ
化合物の分解方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の有機スズ化合物分解剤
は、シュードモナス属細菌が生産するシデロフォアを活
性成分としてなるものである。ここでシデロフォアと
は、親鉄剤とも称され、微生物により生産される鉄イオ
ンの輸送及び貯蔵に寄与する低分子の金属キレート化合
物である。このシデロフォアとしては、例えば、シュー
ドモナス・クロロラフィス(Pseudomonas
chlororaphis)やシュードモナス・エルギ
ノーザ(Pseudomonas aeruginos
a)が産生するデフェロキサミンなどを挙げることがで
きる。本発明の有機スズ化合物分解剤としては、これら
の中で、シュードモナス・クロロラフィスが産生するシ
デロフォア、特にシュードモナス・クロロラフィスCN
R15株が産生するピヨベルディンが好適である。
【0011】このシュードモナス属細菌は、極性鞭毛を
もつグラム陰性好気性桿状の細菌であり、多くの種から
構成され、自然界では、土壌、淡水、海水に広く分布
し、動植物の腐敗、分解に重要な役割を果たしている。
この細菌は分布が広く、多くの有機化合物を分解する能
力をもつので、地球上での炭素循環に大きく寄与してい
ると考えられる。
【0012】本発明の有機スズ化合物分解剤を製造する
には、先ずシュードモナス属細菌の菌株を好気的条件下
で、好ましくは液体培地による振とう培養法、静置培養
法、撹拌培養法などによって培養して、培養液を調製す
る。この際の培養法としてはシデロフォアの分泌生産量
に優れる点から、振とう培養法又は撹拌培養法が好適で
ある。
【0013】上記液体培地には、炭素源として、グルコ
ース、グリセリン、マルトース、ラクトース、水飴、デ
キストリン、デンプン、糖蜜、動・植物油などが用いら
れる。また、窒素源として、ビースト、大豆粉、小麦胚
芽、コーンスティープリカー、落花生粉、綿実粉、ペプ
トン、肉エキス、酵母エキス、硫酸アンモニウム、硝酸
ナトリウム、尿素等を使用できる。その他、必要に応
じ、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウ
ム、コバルト、塩素、リン酸、硫酸、及びその他のイオ
ンを生成することができる無機塩類を添加することは有
効である。また、菌の発育を助け、シデロフォアの分泌
生産を促進するような有機又は無機の栄養源を適宜添加
することができる。
【0014】培養温度は、通常20〜30℃、好ましく
は25〜28℃の範囲であり、また培養pHは、通常
7.0〜9.0、好ましくは7.5〜8.5の範囲であ
る。シデロフォアの分泌生産量は、培地や培養条件など
によって異なるが、一般に2〜4日間程度で最高に達す
る。
【0015】培養終了後、培養物から遠心分離やフィル
ターろ過などにより菌体を取り除いたのち、得られた培
養液を、例えばオクタデシル基を官能基として含むC1
8固相カラムクロマトグラフィーに付し、シデロフォア
を含む活性画分を分取することにより、目的のシデロフ
ォアを得ることができる。
【0016】本発明においては、このようにして得られ
たシデロフォアを含む画分は、4℃以下で1か月以上安
定であり、希薄溶液のまま有機スズ化合物分解剤として
用いることができる。また、このものを高濃度に濃縮し
て有機スズ化合物分解剤として用いることもできるし、
さらには濃縮物をペースト、混合粉末、錠剤などに加工
して、あるいはセルロース、セラミックス、粒状活性
炭、ポリビニルアルコール、カラギーナンなどの固定化
担体に包括又は付着させ、有機スズ化合物分解剤として
用いることもできる。また、上記濃縮物を、公知の手段
により精製し、この高純度精製品を、上記と同様の形態
で、有機スズ化合物分解剤として用いてもよい。
【0017】次に、本発明の有機スズ化合物分解剤を用
いて、有機スズ化合物を分解するには、例えばトリフェ
ニルスズ又はトリブチルスズのような有機スズ化合物を
含む水溶液中に、前記のシデロフォアを、その溶液、濃
縮物、粉末、錠剤などの形で添加し、20〜50℃、好
ましくは25〜35℃の範囲の温度で数時間ないし数1
0時間分解処理する。所望ならば、さらに温度を高めて
分解反応を促進させることもできる。この際のシデロフ
ォアの使用量としては、水溶液中に存在する有機スズ化
合物に基づき、100モル%以上、好ましくは100〜
500モル%の範囲内で選ばれる。このようにして、有
機スズ化合物は、トリフェニルスズの場合、ジフェニル
スズに、またトリブチルスズの場合、ジブチルスズに分
解され、無害化される。
【0018】
【実施例】次に、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定さ
れるものではない。
【0019】実施例1 シュードモナス・クロロラフィスCNR15株を、液体
培地を用い、pH7、温度28℃の好気的条件下で3日
間振とう培養したのち、遠心分離及びフィルターろ過に
より培養物から菌体を取り除き、シデロフォアを含む培
養液200ミリグラムを得た。次いで、この培養液をオ
クタデシル基を官能基として含むC18固相カラムに供
給し、50質量%メタノール水を用いて固相抽出を行っ
た。抽出されたシデロフォアを含む50質量%メタノー
ル水画分を、ロータリエバポレーターにより5ミリリッ
トルまで濃縮して、ピヨベルディンを有効成分として含
む有機スズ化合物分解剤を調製した。次に、このように
して調製されたピヨベルディンを含む有機スズ化合物分
解剤に、50ppm濃度になるようにトリフェニルスズ
を加え、18℃で反応を行い、トリフェニルスズの分解
により生じるジフェニルスズの濃度を測定した。3時間
反応後のジフェニルスズの生成量は64.4モル%であ
った。また、図1に、反応時間と、トリフェニルスズ
(A)及びジフェニルスズ(B)の濃度との関係をグラ
フで示す。なお、有機スズ化合物の定量は液体クロマト
グラフィー及びガスクロマトグラフィーを用いて行っ
た。
【0020】実施例2 実施例1において、シュードモナス・クロロラフィスC
NR15株の代わりに、シュードモナス・エルギノーサ
ATCC15692株を用いた以外は、同様な操作を行
い、デフェロキサミンを有効成分として含む有機スズ化
合物分解剤を調製した。次いで、実施例1と同様にし
て、トリフェニルスズの分解試験を行った。その結果、
22時間反応後のジフェニルスズの生成量は23.6モ
ル%であった。
【0021】
【発明の効果】本発明の微生物由来の有機スズ化合物分
解剤は、現在環境汚染が問題となっているトリフェニル
スズなどの有機スズ化合物を効果的に分解し、その毒性
を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1における、トリフェニルスズ及びジ
フェニルスズの濃度の経時変化を示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:38) C12R 1:38) (C12N 1/00 (C12N 1/00 C12R 1:38) C12R 1:38) (C12N 1/20 (C12N 1/20 C12R 1:38) C12R 1:38) (72)発明者 山岡 到保 広島県呉市広末広2丁目2番2号 工業技 術院中国工業技術研究所内 Fターム(参考) 2E191 BA11 BC05 BD20 4B064 AE02 AH19 CA02 CE08 DA16 4B065 AA41X BD16 CA56

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シュードモナス(Pseudomona
    s)属細菌が生産するシデロフォアを活性成分としてな
    る有機スズ化合物分解剤。
  2. 【請求項2】 シュードモナス(Pseudomona
    s)属細菌の培養液から菌体を除去したのち、オクタデ
    シル基を官能基として含む固相カラムを用いて固相抽出
    することを特徴とする有機スズ化合物分解剤の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 有機スズ化合物を含む水溶液中にシュー
    ドモナス(Pseudomonas)属細菌が生産する
    シデロフォアを添加し、20〜50℃の範囲の温度に保
    持することを特徴とする有機スズ化合物の分解方法。
  4. 【請求項4】 有機スズ化合物がトリフェニルスズ又は
    トリブチルスズである請求項3記載の分解方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7378037B2 (en) 2005-06-07 2008-05-27 Miura Co., Ltd. Organotin compound treatment
JP2010252747A (ja) * 2009-04-28 2010-11-11 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> レジオネラ属菌の検出方法および蛍光物質

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US7378037B2 (en) 2005-06-07 2008-05-27 Miura Co., Ltd. Organotin compound treatment
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