JP2974097B2 - 水圏環境の維持方法 - Google Patents

水圏環境の維持方法

Info

Publication number
JP2974097B2
JP2974097B2 JP4272601A JP27260192A JP2974097B2 JP 2974097 B2 JP2974097 B2 JP 2974097B2 JP 4272601 A JP4272601 A JP 4272601A JP 27260192 A JP27260192 A JP 27260192A JP 2974097 B2 JP2974097 B2 JP 2974097B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
bacteria
mass
maintaining
aquatic environment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP4272601A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06121998A (ja
Inventor
晃一 持田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SOORAA JAPAN KK
Original Assignee
SOORAA JAPAN KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SOORAA JAPAN KK filed Critical SOORAA JAPAN KK
Priority to JP4272601A priority Critical patent/JP2974097B2/ja
Publication of JPH06121998A publication Critical patent/JPH06121998A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2974097B2 publication Critical patent/JP2974097B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W10/00Technologies for wastewater treatment
    • Y02W10/10Biological treatment of water, waste water, or sewage

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は池、堀、水槽、河川、
ダム、閉鎖状の海水域や、ゴルフ場の池、濾過器などに
利用することができる水圏環境の維持方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、池、堀、水槽、河川などの水圏環
境はいずこも汚染が進行し、ついに綺麗なところは珍し
い程になった。本来綺麗なところが大部分の筈であり、
汚染しているところは特殊なところであった。昨今、過
去の水質に戻そうと懸命になっているので、今や「汚染
して平気」の意識は衰退しつつある。
【0003】また、日本では養鰻が盛んでたくさんの養
鰻池が車窓から見えたが、近年は少なくなった。泥だら
けの池が放置されているだけである。養鰻は他の地へ移
動したのである。台湾においても同じことが発生し、続
いてタイ、ビルマへと自然破壊が進行している。
【0004】従来、一般に水質を浄化する方法としては
エアレーションがある。これはBOD、CODの増加が
有機物質、還元性物質の流入によるものだから、酸化し
てBOD、CODを低下させようという考え方である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】富栄養価は有機物質、
燐酸、窒素化合物の流入により緑藻や水生植物が旺盛に
なり、色は緑色や赤色の混じったものとなり浮遊物質が
多くなって、水質の測定を行なうまでもなく、清らかな
水とは言えないことが感覚的に判断できる状態をいって
いる。このような状態だからエアレーションをして酸化
して水質を良くしようとしても益々浮草で覆われたり、
水が濁ってくる。酸素の供給が特に豊富で自然界の何処
にも存在しない様な環境を作り、十分な呼吸量の結果、
生物の固体数、重量などの増加速度は極限に達し、一方
死滅し水底に堆積したり浮遊する生物数の増加速度も極
限になる。
【0006】廃水処理ではこの堆積物を沈降させて搬出
する。すなわち流入した有機物は呼吸で失われて二酸化
炭素になる分以外は生物体に変換されるわけである。こ
の生物体、生産物をも二酸化炭素に変換するために、更
にエアレーションによって呼吸させれば、遂には有機物
がなくなるであろう。しかし、流入する有機物質の量
は、呼吸で失われる量を遥に越えているのが普通であ
る。従って、堆積してくる汚泥を搬出しなければ水質浄
化や廃水処理は継続できない。
【0007】流入する有機物質等の少ない池、養魚池、
養魚水槽、河川などについても同様に、水質を悪化させ
ないためエアレーションが盛んに行われている。廃水処
理程強力に行なう必要はないが、少しでも水質を良好に
し、魚類の呼吸に必要な酸素を供給し、成長速度や増肉
係数を大きくして利益を上げている。ここでは前に述べ
た様に自然界の何処にも存在しない環境を作り、生物の
成長を目的として何ら疑問を持たなくなってしまったか
に見える。
【0008】養魚では過密飼いという言葉があり、特に
鰻、はまち、鯛などで盛んである。餌には蛋白質を十分
に、ビタミンも炭水化物も十分に与え、加えて脂肪も多
量に与えており、また病気の治療が目的ではなく感染し
ない様にし、また感染してもすぐ治癒できるように、病
原菌のいない環境で飼育することを意図して抗菌性物
質、抗生物質を投与している。重ねて述べるが、このよ
うな環境は元来自然界に存在しない。魚が生存している
場所にはその何倍もの他の種類の生物が生存しているこ
とに鑑みれば、決して好ましい方法ではない。
【0009】魚だけが生存できる環境など自然界には無
い。今やこれを可能にすることが経済的に最も効率的で
経済を知るものは当然と、かく信じて魚の生産を続ける
現状である。従って、魚の成長に不調がみられたときは
まず水質、餌の良否、温度、pH、病原菌の存在などを
疑うことが従来の考え方であった。決して自然界と極端
に異なることをしていることに疑問を持とうとしない。
【0010】一方、アンモニアは有毒であるが、人間は
有毒であるアンモニアを排出せず尿素を排出している。
これに対し水中の生物はアンモニアを排出しているが、
大量の水で希釈され移動してしまうので被害はない。た
だこのアンモニアはエアレーションではなくならない。
このアンモニアを処理出来るのは微生物だけである。微
生物の生育には窒素源はアンモニア態窒素でよい。動物
では利用できない。なおアンモニアは魚からだけでな
く、餌や他の生物の遺体の蛋白質が加水分解してアミノ
酸となった後アンモニアが生成することに由来する量も
多い。
【0011】臭い成分には硫化水素及びメルカプタンな
どの各種のものがある。魚類由来のものと他の生物由来
のものがある。すべて有毒である。魚の固体数、投餌量
など多ければ益々これら有毒物質は増加する。水中の魚
類の環境をよくするには如何なる方法をとるべきか。前
述の様に炭素については二酸化炭素へ、窒素化合物は窒
素ガスへ、硫化物は単体硫黄へ変換する方法が求められ
る。しかもこの三つが同時に進行しなければならない。
注目すべき要点は二酸化炭素以外は完全に酸化された化
合物ではないことである。
【0012】HNO3 、H2 SO4 とするのではない。
このようなシステムを作りだす必要がある自然界ではこ
れが成立している。従って可能なシステムであり、持続
的なシステムであり、環境を破壊しないシステムである
といえる。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
鋭意検討した結果、この発明は光合成細菌および脱窒素
細菌を含む微生物を増殖せしめた塊を、池、堀、水槽、
河川などの水底に配置し、塊内から浸出する光合成細菌
により嫌気状態下で水底から有機酸を消失せしめると同
時に硫化水素を元素硫黄にするとともに、同じく塊内か
ら浸出する脱窒素細菌により、アンモニアの酸化で生成
された硝酸を嫌気状態下で分子状の窒素にして、水底環
境の再生を図り、水圏環境の維持保全を図る水圏環境の
維持方法である。
【0014】また光合成細菌および脱窒素細菌を含む微
生物を増殖せしめた塊を、水底に導入口が開口する濾過
器に配置し、濾過器内に導入した水底域の水について、
塊内から浸出する光合成細菌により嫌気状態下で有機酸
を消失せしめると同時に硫化水素を元素硫黄にするとと
もに、同じく塊内から浸出する脱窒素細菌により、アン
モニアの酸化で生成された硝酸を嫌気状態下で分子状の
窒素にし、かかる水を還流させて、水底環境の再生を図
り、水圏環境の維持保全を図ることを特徴とする水圏環
境の維持方法である。
【0015】以下、次項からまず有機化合物を二酸化炭
素へ変換する問題を取り上げ、続いて窒素化合物を分子
状窒素へ、硫黄化合物の元素硫黄への変換について述
べ、続いてこれらを組合わせたシステム作りについて述
べる。
【0016】(1)池中及び底土における有機化合物につ
いて 池の有機化合物の由来については、池の中に流入してく
るもの、池の中で生産されるもの及び池の中へ投入され
るものの三つが存在する。養魚では、山系からの表面
水、地下水など有機物の存在しないものを使用するよう
に心掛けている。有機物を含んだ水は養魚に好ましくな
いことがよく理解されているからである。従って、主要
なものは、光合成で繁殖する生物が二酸化炭素から生産
する有機物、生存している生物と死後その遺体が堆積し
たもの、餌として与えて食べ残した過剰量の餌料の一部
ということになる。これらの有機化合物は一部を生物に
利用されて生体に取り込まれるが、むしろ大部分は加水
分解して低分子化してゆく。具体的には糖質では、アミ
ラーゼによって単糖類へと分解し、これはエネルギーと
なって利用され二酸化炭素まで酸化されるときと、アル
コール、酢酸などとなって酸化が終わるときとがある。
二酸化炭素に至るには十分量の空気によって呼吸が行な
われる必要がある。しかし、酸素の少ないところ、すな
わち嫌気的な環境とよばれているところでは、酢酸やア
ルコールとなって堆積する。水によく溶ける化合物であ
るから当然拡散して、池の中全体に希釈されてしまうと
考えられるが、これがすべてではなく、発生していると
ころの水底域の濃度は何といっても大きい。つまり池の
表面と同じではない。池の底の泥はpHが低い。有機酸
が生産されつつあるからである。従って、脂質では長鎖
の脂肪酸が酢酸へと低分子化される。蛋白質でも同様
で、アミノ基がアミノ酸から遊離してケト酸へ酸化さ
れ、酢酸などの有機酸に至る。
【0017】酢酸だけではなく炭素数の異なるプロピオ
ン酸、酪酸、吉草酸などの低分子の有機酸が生産され蓄
積される。これらの酸はすべて臭く、環境中では不快な
ものである。アルコールについても同様で、エタノール
は別として、他のアルコールは臭く、環境上好ましくな
いし、利用できない。窒素化合物は窒素だけを考えると
最後はアンモニアとなって水中に放出され、魚自身もア
ンモニアを放出する。アンモニアは毒性がある。池の中
ではNO2 、NO3 などに速やかに酸化される必要
がある。この変換を行う微生物は多く、NO3 の濃度
が高くなる。曝気している池ではNO3 となる。この
他、硫化水素は池の底で発生する。酸素のないところ、
嫌気的なところである。酸素を多量に供給すると、最後
に硫酸になるが、池のような環境では硫酸にならない。
【0018】(2)堆積してくる有機酸、アルコールの処
理法 低分子化された有機酸は、炭素源として微生物に利用さ
れなければ池の底の環境上好ましくない。この放出速度
が速やかでないと池の汚染が進行してしまう。有機酸を
利用する微生物は限られている。水素供与体として利用
できる微生物に限られる。紅色無硫黄細菌、紅色硫黄細
菌、脱窒素細菌などの通性独立栄養微生物である。しか
も、嫌気条件下で増殖する細菌でかつ嫌気状態でのみ、
元素硫黄と分子状の窒素に変換を行う細菌である。池の
底の泥を好気状態にすれば、酸化が進行し、硫酸から硫
化水素へ変換する硫酸還元菌の増殖が停止し硫化水素は
発生しなくなる。ところが、有機酸の堆積はそのまま進
行する。硝酸態窒素の濃度も増大する。この結果、脱窒
は起きないということになり、汚泥の減少は起こらず、
池の底の好気状態の停止が一旦起きれば、直ちに硫化水
素の発生が始まる。 (3)堆積有機物を分解する細菌の移植 (2)で述べた細菌を池、水槽など魚の飼育している水中
へ移植したとする。嫌気菌は好気的な水面で増殖しな
い。一部増殖するものもあるが、前記の反応はできな
い。底へ移植したとする。嫌気菌は増殖するかもしれな
いが、すでに大量の嫌気菌の存在により、汚染を安定し
て持続するために活躍している細菌が増殖を阻害する。
移植しても増殖させるには個体数の比が問題にならぬ程
少ない。大量の細菌を移植したとしても細菌が移植した
ものと入れ換わるなどという事は期待できない。水底の
微生物のほとんどを死滅させておけばよいかもしれない
が、死滅させることは不可能である。手段はいずれをと
っても新しい環境汚染のはじまりである。
【0019】それでは水中、水底において目的の細菌を
優勢にするにはどうすればよいか。細菌の増殖した塊を
投入することである。塊からは継続して微生物が浸出し
多数の菌体量のため、塊の周辺は浸出してきた細菌が優
勢になる。しかも、これらの細菌は池の底の有機酸やア
ルコールをエネルギー及び炭素源として増殖する。した
がって、二酸化炭素として放出されるだけでなく、持続
的な増殖を可能にすることにもなる。汚泥は減少するこ
とにもなり、ついには分解量が投入、流入、光合成生産
などによる有機物の増加に見合うようになってくる。従
って目的とする微生物を移植する方法が重要である。
【0020】(4)移植方法 池の中へ移植する微生物の培養液を入れる方法は、すで
に池の中に存在する微生物量と比較して余りにも少な
い。環境の全く異なるところへ入れても増殖させるのは
ほとんど不可能である。そこで大量に増殖した微生物を
含んだ塊を入れればよい。塊の周辺では塊内から細菌が
浸出し、塊内の細菌の好適な環境が出来上がるまで、細
菌は浸出を続ける。ついに塊の周辺では増殖がはじまる
に到る。池の底の多数の部分にこの環境が発生する。こ
の環境はすでに存在していた細菌の作っていた有機酸を
利用するものであり、硫化水素を利用するものであるか
ら、この供給も持続的でなければならない。投餌、魚の
餌料、光合成が持続するかぎり、供給は持続する。決し
て水底の微生物がすべての塊の中の微生物で占められる
必要はない。両者は共存してはじめて成立する社会を形
成しているのが、この環境であり、自然界である。水底
に汚泥が堆積しなくなり、硫化水素が発生しなくなり、
健康な魚が増加し、死滅するものもなく、臭くない魚肉
であり、収穫量が養殖という名にふさわしいものとなれ
ばよい。細菌の塊は池の底へ沈まなければならない。塊
の中から常に細菌が浸出していなければならない。塊の
中には不溶性物質を含んでいてはならない。塊は数ケ月
の内に溶け、微生物により分解され、二酸化炭素になら
ないといけない。魚が食べても安全であり、これを食べ
た魚を食品として何ら心配がないものでなければならな
い。塊の中で微生物は長期間生存する必要がある。以上
のような性能をもったもののみが使用できる。
【0021】(5)微生物固定化物 微生物は硫化水素を元素硫黄に変換する機能をもち、こ
の変換量が非常に多い事、脱窒素の機能があり、嫌気的
に増殖すること、さらに、本来泥の中に生存していて水
底の環境で生存と増殖が可能な微生物を複数の種で用い
る。具体的には前述の通り、脱窒菌と紅色無硫黄細菌及
び紅色硫黄細菌を含む微生物であることが好ましい。脱
窒とは硝酸塩(NO3 )を還元して窒素(N2 )とす
ることであるが、これは嫌気状態でNO3 の酸素を利
用して呼吸することでもある。この作用を行う微生物は
従属栄養細菌にも独立栄養細菌にもある。脱窒菌は分類
上種々の属に分布しているので、脱窒菌だけで構成され
た科(family)があるわけではないが、この方法
では、脱窒菌を含む属名として挙げれば、以下のものを
使用することが望ましい。
【0022】 Alcaligenes (アルカリゲネス属) Azospirillum(アゾスビリリム属) Paracoccus (パラコッカス属) Pseudomonus (シュードモナス属) Rhodobacter (ロドバクター属) Thiobacillus(チオバチルス属) 光合成細菌としては次表に記載されたものが使用でき
る。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】 表1、表2及び表3のうちで、特に紅色硫黄細菌と紅色
無硫黄細菌及び緑色硫黄細菌を混合して用いることが好
ましい。例えば紅色無硫黄細菌のロドバクターに属する
微生物を用いると、この微生物は有機酸を炭素源及びエ
ネルギー源(水素供与体)とする。池底では有機物が堆
積し、嫌気状態下になっていて有機酸が蓄積している。
これは紅色無硫黄細菌にとって好ましい環境に相当し、
池底から有機酸を消失させる効果を発揮する。紅色硫黄
細菌のクロマチウムに属する微生物は、嫌気状態下で光
合成を行ってCO2 を還元し、硫化水素を酸化して、菌
体内に硫黄を蓄積する。従って、池底から毒性の強い硫
化水素を除去し安定な硫黄にする効果がある。硫化水素
の発生がなくなるので水質が良くなり、池底では魚類の
生存に好ましい環境となる。両微生物は同じ環境下で同
時に増殖できる。
【0026】これらの微生物を培養して塊にするには、
まず培養槽で増殖した培養液を作っておく。塊にするに
は多くの方法が採用できるが、持続的に溶出し微生物の
溶出があり、約3ケ月同じ状態を維持できるようにする
には、ケイ酸ゲルを基本にしたものがもっとも好まし
い。中性でゲル状になり、上記の持続的な諸機能を発揮
できる。ケイ酸ゲルへPVAの各種分子量のものを加え
弾力性を与えるなどすることもできる。物理的な性状は
広範囲に選択できる。微生物の増殖は良好でゲル内の外
縁も中心部も何ら生菌数の異ならないゲル体にすること
ができる。ゲル内に培地を入れておけば増殖し、より大
量の生菌数になる。ゲル内の水溶性成分の浸入、浸出は
容易であって変換、交換すべてが可能である。
【0027】(6)固定化菌体の役割 本来、自然界で生存している微生物を水底へゲル体にし
て入れる必要が何故あるのかという点については次のよ
うに理解できる。存在する微生物がその性能を発揮する
ためには集団として増殖すべき部分に一定量以上存在す
る必要がある。この現象は生物一般にいえるもので、群
れをなしたり集落を作ったり、病原菌の感染でもよく似
ており、器官の一部に強固に多数の菌数がまずとりつ
き、防御に対抗し、ついには優勢を占めるべくして発病
に至らしめる。
【0028】この様に優勢な集団に相当するゲル体を入
れることが効果がある。僅かに共存して存在するという
程度では多量の堆積してくる有機化合物が原因の環境を
魚の飼育できる環境にすることはできない。
【0029】
【実施例】
(実施例1)赤穂市大津1765の有田農産(有)所有
の鯉の飼育水槽(20m3 )に、紅色無硫黄細菌及び紅
色硫黄細菌および脱窒素細菌を含む微生物を増殖せしめ
た塊(1個あたり200g)を水底に1ケ月毎に2個配
置し、毎月水質及び水底の状況を1年間観察した。
【0030】その結果、水槽の底には、糞、食べ残りの
餌が堆積しなくなり、浮遊もなくなり、実施前には毎日
水底を清掃していたのが、3日間清浄のまま続き、次に
は5日、10日、3週間、1ケ月と延長してきた。水槽
の水をろ過するタンクも逆洗すると黒色の臭気を帯びた
洗浄水が流出していたものが、褐色になり臭気がしなく
なるに到った。
【0031】なおこの場合に使用した塊は次の方法で製
造した。まず腐植土(腐植16%)100g、10%P
VA水溶液100g、水250g、エチルシリケート2
8gを混合し、2N−塩酸でpH3.0に調整した後、
室温で2時間半攪拌して均一なゾルとした。
【0032】次に紅色無硫黄細菌であるロドバクターキ
ャプスレイタスの培養液、紅色硫黄細菌に属するクロマ
チウム ビノサムの培養液、脱窒菌に属するシュードモ
ナススツチェリ(Pseudomomas stutzeri)の培養液それ
ぞれ50mlを前記のゾルへ添加攪拌し泥状となし、1N
−水酸化ナトリウムでpH7.5に調整すると、間もな
くゲル化した。ゲルを適当な大きさに切り、流水中に2
時間半浸漬して、エタノールを溶出除去して各微生物が
固定化された塊を得た。
【0033】前記各微生物の培養液には次の培地を使用
した。ロドバクターキャプスレイタスにはYPS培地
(酵母エキス3g、ポリペプトン3g、硫酸マグネシウ
ム0.5g、塩化カルシウム0.3g、水1リットル、
pH7.4)。クロマチウムビノサムにはコハク酸10
g、リンゴ酸ナトリウム10g、チオ硫酸ナトリウム5
g、硫化ナトリウム5g、硫酸アンモニウム5g、リン
酸カリウム8g、硫酸マグネシウム2g、塩化カルシウ
ム0.5g、炭酸水素ナトリウム5g,水1リットル、
pH8.0からなる培地。シュードモナス スツチェリ
には、ジャガイモ滲出液200g、圧搾酵母30g、肝
臓滲出液25g、肉エキス5g、チオグリコレート培地
10g、グルコース5g、グリセロール15g、蒸留水
1リットルpH7.0からなる培地である。
【0034】(実施例2)上記実施例1と同所在地にお
いて設置された鯉の養殖用(300m3 )に、実施例1
に記載した紅色無硫黄細菌及び紅色硫黄細菌細菌および
脱窒素細菌を含む微生物を増殖せしめた塊(1個あたり
200g)を水底に1ケ月毎に30個配置し、1年間に
わたって水質及び水底の状況を観察した。
【0035】その結果、実施例1と同様に,水底に糞、
食べ残りの餌が堆積しなくなり、浮遊もなくなり、底の
泥も臭気がなくなった。またコンクリートに藻がつかな
くなった。さらに夏期には毎年7月〜8月にかけ、硫化
水素が発生していたが、これも無くなった。魚の死亡が
ほとんど皆無の状態となり、魚は水底の温度の低いとこ
ろで棲息するようになった。これらの事実は水底の環境
が変わったことを意味している。
【0036】(比較例1及び2)微生物を増殖せしめた
塊を、水底ではなく、水面との中間付近の深さの水中に
配置した以外他は実施例1或は実施例2と同条件で比較
試験し、比較例1及び比較例2についてそれぞれ水質及
び水底環境を評価した。
【0037】この結果、微生物を増殖せしめた塊を水面
との中間付近の深さの水中に配置した比較例1及び比較
例2は、実施例1及び実施例2で見出だされた前述の効
果はほとんど観察されなかった。
【0038】因って同じ微生物を増殖せしめた塊であっ
ても、水底に配置する方法でなければ意味がないことが
認められた。
【0039】なおこの発明は上記の実施例に限定される
ものではない。この発明の方法は養魚池、養魚水槽以外
にも適用できる。例えば廃水処理槽、公園の池、堀、河
川、海域のうち水流のほとんどない閉鎖状態にあるとこ
ろ等である。
【0040】
【発明の効果】以上の通りこの発明に係る方法は、光合
成細菌および脱窒素細菌を含む微生物を増殖せしめた塊
を、池、堀、水槽、河川などの水底に配置し、塊内から
浸出する光合成細菌により嫌気状態下で水底から有機酸
を消失せしめると同時に、硫化水素を元素硫黄にすると
ともに、同じく塊内から浸出する脱窒素細菌により、ア
ンモニアの酸化で生成された硝酸を嫌気状態下で分子状
の窒素にする方法であるため、従来の様に自然環境を阻
害することなく、本来水圏環境において起こっている現
象を再生し維持保全することができる。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光合成細菌および脱窒素細菌を含む微生物
    を増殖せしめた塊を、池、堀、水槽、河川などの水底に
    配置し、塊内から浸出する光合成細菌により嫌気状態下
    で水底から有機酸を消失せしめると同時に硫化水素を元
    素硫黄にするとともに、同じく塊内から浸出する脱窒素
    細菌により、アンモニアの酸化で生成された硝酸を嫌気
    状態下で分子状の窒素にして、水底環境の再生を図り、
    水圏環境の維持保全を図ることを特徴とする水圏環境の
    維持方法。
  2. 【請求項2】光合成細菌および脱窒素細菌を含む微生物
    を増殖せしめた塊を、水底に導入口が開口する濾過器に
    配置し、濾過器内に導入した水底域の水について、塊内
    から浸出する光合成細菌により嫌気状態下で有機酸を消
    失せしめると同時に硫化水素を元素硫黄にするととも
    に、同じく塊内から浸出する脱窒素細菌により、アンモ
    ニアの酸化で生成された硝酸を嫌気状態下で分子状の窒
    素にし、かかる水を還流させて、水底環境の再生を図
    り、水圏環境の維持保全を図ることを特徴とする水圏環
    境の維持方法。
  3. 【請求項3】光合成細菌が紅色無硫黄細菌及び紅色硫黄
    細菌である請求項1又は2記載の水圏環境の維持方法。
  4. 【請求項4】塊は微生物が固定化されたゲル状体からな
    る請求項1、2又は3記載の水圏環境の維持方法。
  5. 【請求項5】養殖池の水底に塊を配置した請求項1、3
    又は4記載の水圏環境の維持方法。
JP4272601A 1992-10-12 1992-10-12 水圏環境の維持方法 Expired - Fee Related JP2974097B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4272601A JP2974097B2 (ja) 1992-10-12 1992-10-12 水圏環境の維持方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4272601A JP2974097B2 (ja) 1992-10-12 1992-10-12 水圏環境の維持方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06121998A JPH06121998A (ja) 1994-05-06
JP2974097B2 true JP2974097B2 (ja) 1999-11-08

Family

ID=17516203

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4272601A Expired - Fee Related JP2974097B2 (ja) 1992-10-12 1992-10-12 水圏環境の維持方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2974097B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6436525B2 (ja) * 2014-10-01 2018-12-12 株式会社レンテック 環境浄化方法
JP6258277B2 (ja) * 2014-10-15 2018-01-10 アクアサービス株式会社 水質浄化方法および水質浄化システム
CN108275784A (zh) * 2017-12-29 2018-07-13 益生环保科技股份有限公司 发光填料增强型生态浮岛

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06121998A (ja) 1994-05-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1266054C (zh) 微生物养殖水体改良剂及制作方法
CN101475265B (zh) 循环水工厂化水产养殖系统的水质净化方法及其复合菌剂
US8133391B2 (en) Method of ecological restoration of water bodies containing excess nutrient
CN100575480C (zh) 一株高效利用亚硝态氮的沼泽红假单胞菌及其应用
CN101823859A (zh) 轻质生态混凝土砖及其制备方法
CN102531195B (zh) 一种自养反硝化水质调节菌剂及其应用
CN105274029B (zh) 一种维氏硝化杆菌及硝化细菌-反硝化细菌复合菌剂及生产方法和应用
CN113912192B (zh) 一种污水净化回用处理方法及系统装置
CN103589672A (zh) 一种有效菌水质净化剂的制备方法
CN107673558B (zh) 一种黑臭水体净化方法
CN113697960A (zh) 一种利用水生植物配合光合细菌作为去除水体中氮、磷的方法
CN109052834A (zh) 一种富营养化水体的治理方法
JP6512467B1 (ja) 養殖槽の改質方法、および養殖方法
CN113354188A (zh) 一种生态型全封闭式循环海水养殖系统
KR102311769B1 (ko) 녹조 및 적조 제거를 위한 방제조성물과 이의 제조방법 그리고 이를 이용한 방제방법
JP2974097B2 (ja) 水圏環境の維持方法
CN106010969B (zh) 一种吞噬微囊藻的棕鞭毛虫的大规模培养方法
CN114717149B (zh) 一种南海深海鱼源异源食烷菌axmz1及其应用
CN106434424B (zh) 具有污海水脱氮能力的弧菌及其用途
WO2021149811A1 (ja) 有機物分解材及びその使用
CN103787489B (zh) 一种水处理方法
CN112811607A (zh) 一种湖库水生态系统构建的方法
JP2021000585A (ja) 水の浄化材、及びそれを利用した水の浄化方法
Chan et al. Growth of Enteromorpha linza in sewage effluent and sewage effluent-seawater mixtures
CN115072883B (zh) 生物絮团颗粒及其活化方法和应用

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070903

Year of fee payment: 8

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D02

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080903

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090903

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090903

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100903

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100903

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110903

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120903

Year of fee payment: 13

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees