JP2001348341A - 低酸素状態の細胞および組織に有効な人工酸素運搬体 - Google Patents

低酸素状態の細胞および組織に有効な人工酸素運搬体

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JP2001348341A JP2000168523A JP2000168523A JP2001348341A JP 2001348341 A JP2001348341 A JP 2001348341A JP 2000168523 A JP2000168523 A JP 2000168523A JP 2000168523 A JP2000168523 A JP 2000168523A JP 2001348341 A JP2001348341 A JP 2001348341A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】血栓、栓塞等で血流が阻害されたため低酸素状
態となった細胞、組織や、ガン細胞、ガン組織のような
極端な低酸素状態の細胞、組織に、選択的に酸素を輸送
することができる人工酸素運搬体の提供。 【解決手段】ヘモグロビンを含有するpH7.0〜9.
0の溶液を内部に取り込んだリポソームからなる人工酸
素運搬体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は人工酸素運搬体に関
する。詳しくは、血栓、栓塞等で血流が阻害されて低酸
素状態となった細胞、組織、または低酸素状態のガン細
胞、ガン組織等の低酸素部位に選択的に酸素を輸送し、
供給することが可能な人工酸素運搬体に関する。
【0002】
【従来の技術】正常な脳は、血流量が約50ml/(1
00g・min)であり、約3ml/(100g・mi
n)の酸素が消費される。正常な脳細胞の酸素分圧は3
0Torr以上と高い状態に保たれていることが知られ
ている。しかし、脳血管の血栓、栓塞等に起因する血流
障害により、脳血流が20ml/(100g・min)
以下、脳細胞の酸素分圧が20Torr前後になった場
合には、脳波の平坦化および誘発電位消失が起こり、こ
の状態が継続すると運動機能障害を呈すること、更に、
脳血流が10ml/(100g・min)以下となった
場合には、脳細胞膜イオンポンプ障害が発生し、その状
態が継続すると1〜3時間以内に不可逆的変化、即ち、
脳梗塞を起こすことが知られている。その場合、梗塞巣
においては、酸素分圧が10Torr前後になることが
知られている。また、ガン細胞の中心部分においては、
血管系が未発達であるため酸素供給が不十分となり、ガ
ン細胞が低酸素状態(通常、酸素分圧10Torr以
下)にある。したがって、酸素ラジカル発生を治療機序
とする放射線治療において、十分な治療効果が出ないと
いう問題がある。これらの疾患や治療法においては、人
工酸素運搬体の利用が有効であると期待されている。
【0003】従来、人工酸素運搬体として試みられてい
るものとしては、(1)フルオロカーボン乳化物、
(2)動物、人等の赤血球から赤血球膜を除去すること
により得られるヘモグロビンを化学的に修飾した架橋型
ヘモグロビンまたは重合ヘモグロビン(以下「ヘモグロ
ビン化学修飾体」ともいう。)、(3)リポソームにア
ロステリックエフェクターとともにヘモグロビンをカプ
セル化したリポソーム型ヘモグロビンが挙げられる。
【0004】しかし、フルオロカーボン乳化物は、酸素
が物理的に溶解している状態であるため、酸素を多量に
運搬するためには高濃度の酸素が必要であり、また、そ
の酸素結合率が酸素分圧に対して直線的に変化するた
め、非常に低酸素となっている細胞や組織まで酸素を運
搬到達させることは極めて困難であった。また、酸素溶
解度が限られているために酸素運搬量が少なく、このよ
うな疾患や治療法に用いられるのには適さない。
【0005】また、ヘモグロビン化学修飾体は、ヘモグ
ロビンそのものを用いると分解して腎障害の原因となる
ため、分解を防ぐためにcrosslink等の化学修
飾を行って用いるものである。しかし、ヘモグロビン化
学修飾体は、ヘモグロビンを化学修飾することにより酸
素親和性が低下するため、低酸素状態の細胞や組織に到
達する前に経由する正常組織において酸素を放出してし
まう。したがって、梗塞巣やガン細胞のような極端な低
酸素状態の細胞や組織に対する酸素運搬には適していな
い。更に、溶液中のヘモグロビン化学修飾体において
は、非常に密にヘモグロビン分子が分散しているために
酸素ホッピング(ヘモグロビン分子からヘモグロビン分
子への酸素移動)が起き、末梢への循環過程において低
酸素状態の細胞や組織に到達する前に、酸素を放出して
しまうという欠点があった。
【0006】更に、従来のリポソーム型ヘモグロビン
(例えば、特公平4−66456号公報、特公平5−4
6327号公報、特開平5−310593号公報、特公
平8−11734号公報)は、正常な酸素分圧、例え
ば、40〜100Torrにおける酸素運搬の向上を目
的としており、これらは低酸素となっている細胞や組織
に酸素を効率的に運搬到達させることはできない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、血栓、栓塞
等で血流が阻害されたため低酸素状態となった細胞、組
織や、ガン細胞、ガン組織のような極端な低酸素状態の
細胞、組織に、選択的に酸素を輸送することができる人
工酸素運搬体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく、ヘモグロビンを内部に取り込んだリポソー
ムからなる人工酸素運搬体について鋭意研究した結果、
ヘモグロビンと酸素との結合率が50%となるときの酸
素分圧P50を小さくすることにより、低酸素状態の細胞
や組織に選択的に酸素を輸送することができること、お
よび、リポソーム内部のpHを所定範囲に調節すること
により、更に必要に応じてヘモグロビンに対し所定量の
アロステリックエフェクターをリポソーム内部に含有さ
せることにより、P50を調節することができることを見
出し、本発明を完成した。
【0009】即ち、本発明は、ヘモグロビンを含有する
pH7.0〜9.0の溶液を内部に取り込んだリポソー
ムからなる人工酸素運搬体を提供する。
【0010】ヘモグロビンと該ヘモグロビンに対してモ
ル比で0.4以下の量のアロステリックエフェクターと
を含有するpH7.0〜9.0の溶液を内部に取り込ん
だリポソームからなる人工酸素運搬体であるのが好まし
い態様の一つである。
【0011】ヘモグロビンと酸素との結合率が50%と
なるときの酸素分圧P50が、5〜20Torrであるの
が好ましい。
【0012】前記リポソームの外表面に親水性高分子化
合物を有するのが好ましい。
【0013】前記親水性高分子化合物が、ポリエチレン
グリコール結合リン脂質であるのが好ましい。
【0014】低酸素状態の細胞および/または組織に酸
素を供給することに用いられるのが好ましい。
【0015】前記低酸素状態の細胞および/または組織
が、血栓または栓塞で血流が阻害されて低酸素状態とな
った細胞および組織、ならびに、低酸素状態のガン細胞
およびガン組織のいずれか一つ以上であるのが好ましい
態様の一つである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。初めに、人工酸素運搬体のP50と、酸素供給部位の
酸素分圧との関係について本発明者が得た知見について
説明する。
【0017】細胞への酸素供給量は、一般に下記式
(1)で示される。 DO2 =Q×(CaOx −CvOy )×Hb×4×(1/64500)×22 400 ・・・(1) DO2 :酸素供給量(ml/min) Q:血流量(dl/min) CaOx :細動脈酸素分圧xのときの人工酸素運搬体の
酸素結合率 CvOy :細静脈酸素分圧yのときの人工酸素運搬体の
酸素結合率 Hb:人工酸素運搬体の血中でのヘモグロビン濃度(g
/dl) 式(1)から分かるように、血栓、栓塞等で血流が阻害
された場合は、血流量Qが減少し、その結果としてDO
2 が減少するため、血栓より下流の細胞は酸素不足を来
す。
【0018】本発明者は、組織に流れ込む血流量Qおよ
びヘモグロビン濃度Hbが一定であると仮定すると、動
静脈酸素運搬効率較差(CaOx −CvOy )のみが酸
素運搬量を決定することになることから、この動静脈酸
素運搬効率較差に注目した。そして、異なるP50の酸素
運搬体の低酸素細胞や酸素分圧10Torr以下である
極低酸素細胞に対する酸素供給量について、動静脈酸素
運搬効率較差(CaO x −CvOy )を指標にシミュレ
ーションを行った。
【0019】シミュレーションの結果を図1に示す。図
1には、P50が、5Torr、15Torr、20To
rr(以上、人工酸素運搬体)および26Torr(天
然の赤血球)の各酸素運搬体の酸素結合率および動静脈
酸素運搬効率較差を示した。図1から、細胞の酸素分圧
が20Torr以上に保たれている正常細胞に対する酸
素運搬については、P50が20Torrの人工酸素運搬
体および26Torrの天然の赤血球が優れていること
が分かり、P50が5Torrおよび15Torrの人工
酸素運搬体は、ほとんど正常細胞では酸素を放出しない
ことが分かる。一方、細胞の酸素分圧が20Torr以
下の低酸素細胞や10Torr以下の極低酸素細胞への
酸素運搬では、P50が20Torrの人工酸素運搬体お
よび26Torrの天然の赤血球は、途中の正常細胞領
域で酸素を放出してしまうため酸素運搬効率が減少して
しまうのに対し、P50が5Torrおよび15Torr
の人工酸素運搬体では効率よく、選択的に酸素を輸送で
きる可能性があることが分かった。また、ターゲットと
する低酸素細胞の酸素分圧によりP50を10Torr以
下とするのが有効な場合と、10Torr以上20To
rr以下とするのが有効な場合とがあることも分かっ
た。
【0020】本発明者は、血栓、栓塞等で血流が阻害さ
れたため低酸素状態(例えば、酸素分圧20Torr以
下)となった細胞や組織、あるいは低酸素状態のガン細
胞、ガン組織等の低酸素部位に酸素を供給するために
は、P50を小さくすること、好ましくは5〜20Tor
rとすること、より好ましくは5〜15Torrとする
ことが必要であると考えた。
【0021】本発明者は、上記知見を基に、P50を小さ
くする手法について研究した結果、ヘモグロビンを内部
に取り込んだリポソームからなる人工酸素運搬体におい
て、リポソーム内部のpHを7.0〜9.0に調節する
ことにより、更に必要に応じてヘモグロビンに対してモ
ル比で0.4以下の量のアロステリックエフェクターを
リポソーム内部に含有させることにより、P50が好適範
囲になり、低酸素状態の細胞や組織に選択的に酸素を供
給することができることを見出し、本発明を完成したの
である。
【0022】つぎに、本発明の人工酸素運搬体について
説明する。本発明の人工酸素運搬体は、ヘモグロビンを
含有するpH7.0〜9.0の溶液を内部に取り込んだ
リポソームからなる人工酸素運搬体である。ヘモグロビ
ンと該ヘモグロビンに対してモル比で0.4以下の量の
アロステリックエフェクターとを含有するpH7.0〜
9.0の溶液を内部に取り込んだリポソームからなる人
工酸素運搬体は、好ましい態様の一つである。
【0023】ヘモグロビンは、常法に従って赤血球を溶
血させ、膜成分を除去したストローマフリーヘモグロビ
ンを用いることができる。ただし、pHを調節すること
なく調製されたストローマフリーヘモグロビン溶液は、
通常、pH7.0未満となるが、後述するようにヘモグ
ロビンを含有する溶液はpH7.0〜9.0であること
を要するので、pHを調節して用いる必要がある。
【0024】ヘモグロビンを含有する溶液は、pH7.
0〜9.0であることを要する。pHが上記範囲より小
さいと、P50が20Torrより大きくなる場合が多
い。逆に、pHが上記範囲より大きいと、ヘモグロビン
の変性が起こる場合がある。pHの調整には、例えば、
水酸化ナトリウム水溶液、重炭酸ナトリウム水溶液を用
いることができる。中でも、水酸化ナトリウム水溶液が
好ましい。
【0025】ヘモグロビンを含有する溶液におけるヘモ
グロビンの濃度は、特に限定されないが、30〜60g
/dlであるのが好ましく、40〜50g/dlである
のがより好ましい。脳梗塞の治療法として、血液を希釈
することにより血液粘度を低下させ、虚血部位への酸素
供給量を向上させるという血液稀釈療法が試みられてい
るが、本発明の人工酸素運搬体の粘性は低い方がより梗
塞巣の血流量を高められる。ヘモグロビンを含有する溶
液におけるヘモグロビンの濃度を上記範囲にすると、人
工酸素運搬体の粘性を高めることなく、本発明の人工酸
素運搬体を含有させて用いる懸濁液におけるヘモグロビ
ン濃度を高めることができる。
【0026】ヘモグロビンを含有する溶液は、ヘモグロ
ビンの他に、該ヘモグロビンに対してモル比で0.4以
下の量のアロステリックエフェクターとを含有するのが
好ましい態様の一つである。アロステリックエフェクタ
ーは、例えば、イノシトールへキサホスフェート(IH
P)、ピリドキサル−5−ホスフェート(PLP)、
2,3−ジホスホグリセレート(DPG)が挙げられ
る。アロステリックエフェクターを含有しないでも、p
Hの調節によりP50を制御することはできるが、アロス
テリックエフェクターを含有させることによって、所望
のP50の値をより自由に選択することができるようにな
る。ヘモグロビンを含有する溶液におけるアロステリッ
クエフェクターの量は、該ヘモグロビンに対してモル比
で0.4以下である。上記範囲であると、P50を5〜2
0Torrの範囲に調製することが容易となる。
【0027】リポソームを形成する膜形成成分は、特に
限定されず、その安全性や生体内において安定な人工酸
素運搬体を提供するという観点から、天然または合成の
リン脂質またはその誘導体、リン脂質以外の脂質または
その誘導体、安定化剤、酸化防止剤、荷電物質等が好適
に用いられる。中でも、水素添加リン脂質が好ましい。
なお、水素添加リン脂質は、多少の不飽和結合を有する
ものであってもよい。リン脂質は、例えば、ホスファチ
ジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスフ
ァチジン酸、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイ
ノシトール、ホスファチジルグリセロール、スフィンゴ
ミエリンが挙げられ、水素添加リン脂質は、例えば、こ
れらを常法に従って水素添加したものが挙げられる。特
に、水素添加率が50%以上の卵黄または大豆由来の水
素添加リン脂質が好ましい。
【0028】また、リン脂質としては、修飾されたリン
脂質、例えば、ポリエチレングリコール結合リン脂質を
用いることもできる。このような親水性高分子化合物
は、本発明において、好適に用いられる。親水性高分子
化合物とするための修飾に用いられる化合物は、人工酸
素運搬体の構造安定を損なうものでなければ特に限定さ
れず、例えば、ポリエチレングリコール、デキストラ
ン、プルラン、フィコール、ポリビニルアルコール、ス
チレン−無水マレイン酸交互共重合体、ジビニルエーテ
ル−無水マレイン酸交互共重合体、合成ポリアミノ酸、
アミロース、アミロペクチン、キトサン、マンナン、シ
クロデキストリン、ペクチン、カラギーナン、およびこ
れらの誘導体が挙げられる。中でも、ポリエチレングリ
コールおよびポリエチレングリコール誘導体が好まし
い。ポリエチレングリコール誘導体は、特に限定されな
いが、ポリエチレングリコール鎖とジアシルグリセロー
ルを1分子内に有する化合物であるのが好ましい。
【0029】ポリエチレングリコール結合リン脂質は、
リン脂質の親水部(極性頭部)にポリエチレングリコー
ル(PEG)を共有結合した構造の分子であり、一分子
中に1または2以上のPEG鎖を含有する。本発明の目
的のためには、リポソームが血液中においてタンパク等
と結合し凝集したり、細網内系への取り込みにより血流
中から早期に排除されたりするのは好ましくないため、
PEG結合リン脂質のPEG鎖長は、平均重合度で5〜
1000モルであるのが好ましく、40〜200モルで
あるのがより好ましい。上記範囲より短い場合は、人工
酸素運搬体が血液中で擬集しやすくなり、上記範囲より
長い場合は、PEG結合リン脂質の水溶性が高まり、リ
ポソーム膜中に固定されにくくなる。
【0030】上述したような各種のリン脂質は、2種以
上を併用することもできる。
【0031】修飾されたリン脂質の配合量は、その分子
量や添加方法にもよるが、全膜形成成分に対して、0.
2〜5モル%であるのが好ましい。
【0032】安定化剤は、例えば、膜流動性を低下させ
るコレステロール、コレスタノール等のステロール;グ
リセロール、シュクロース等の糖類が挙げられる。酸化
防止剤は、例えば、トコフェロール同族体、即ち、ビタ
ミンEが挙げられる。トコフェロールには、α、β、γ
およびδの4個の異性体が存在するが、本発明にはいず
れも用いることができる。荷電物質は、例えば、ホスフ
ァチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ジセチルホ
スフェート、脂肪酸が挙げられる。
【0033】リポソームの膜は、上記膜形成成分の1種
または2種以上から構成される。
【0034】本発明の人工酸素運搬体は、リポソームの
外表面に親水性高分子化合物を有するものであるのが好
ましい。中でも、リポソームの外表面にポリエチレング
リコール結合リン脂質を有するものであるのが好まし
い。リポソーム表面をPEG等の化合物により修飾する
には、様々な手法が挙げられ特に限定されないが、PE
G等の化合物をリン脂質、長鎖脂肪族アルコール、ステ
ロール、ポリオキシプロピレンアルキル、グリセリン脂
肪酸エステル等の疎水性化合物と結合させて、親水性高
分子化合物とし、その疎水性化合物の部分を担体表面へ
挿入する方式が好ましい。親水性高分子化合物として
は、上述したようなポリエチレングリコール結合リン脂
質を用いるのが好ましい。
【0035】本発明においては、そのような化合物以外
の表面修飾剤を併用することもできる。例えば、グルク
ロン酸、シアル酸等の水溶性多糖類が挙げられる。
【0036】リポソームの大きさは、粒子径(外径)が
100〜300nmであるのが好ましい。本発明の人工
酸素運搬体を血栓、栓塞等に起因する血流障害により生
じる低酸素状態の細胞や組織に酸素を供給するために用
いる場合には、血栓、栓塞等による狭窄部位を通過する
ことができることが必要である。狭窄部位においては、
赤血球はその大きさから通過することが困難となるた
め、狭窄部位の下流にある脳細胞は酸素不足を来し、こ
れにより乳酸が放出されて酸性が強くなり、これにより
血管狭窄が強まり、赤血球はますます通過しにくくなる
という循環が起こる。したがって、本発明の人工酸素運
搬体は、狭窄部位を多量に通過させる必要があり、その
ためにはリポソームの粒子径は小さいほどよい。しか
し、リポソームの粒子径が100nm未満であると、リ
ポソームが含有することができるヘモグロビンの量が少
なくなる。また、リポソームの粒子径が300nmを超
えると毛細血管を閉塞させる可能性があり、細網内系へ
の取り込み量も多くなる。よって、リポソームの粒子径
は上記範囲であるのが好ましい。また、本発明の人工酸
素運搬体をガン細胞、ガン組織等の治療に用いる場合に
は、ガン組織内血管では内皮細胞間の間隙が正常血管よ
り広く、粒子径が300nm以下であると本発明の人工
酸素運搬体が血管外に移行しやすいが、粒子径が100
nm未満であると他の正常組織においても血管外への分
布が起きやすくなる。したがって、リポソームの粒子径
を100〜300nmに制御することにより、本発明の
人工酸素運搬体のガン組織へのターゲッティングも達成
される。
【0037】本発明の人工酸素運搬体は、上述した酸素
運搬効率の観点から、ヘモグロビンと酸素との結合率が
50%となるときの酸素分圧P50が、5〜20Torr
であるのが好ましく、5〜15Torrであるのがより
好ましい。更には、酸素分圧が10〜20Torrであ
る低酸素状態の細胞や組織に酸素を供給するために用い
る場合には、P50が10〜20Torrであるのが好ま
しく、酸素分圧が10Torr以下である超低酸素状態
の細胞や組織に酸素を供給するために用いる場合には、
50が5〜15Torrであるのが好ましい。
【0038】本発明の人工酸素運搬体は、常法によって
容易に得ることができる。その一例を以下に示す。生理
食塩水で洗浄した赤血球に蒸留水を加えて溶血して、ヘ
モグロビン濃度が約5g/dlになるように調製し、遠
心分離により赤血球を除去する。このヘモグロビン溶液
をヘモグロビン濃度が約45g/dlになるように、ダ
イアライザーによって濃縮する。この濃縮ヘモグロビン
溶液に0.1mol/l水酸化ナトリウム水溶液をpH
7.6になるまで添加し、pH7.6の約45g/dl
ヘモグロビン溶液を得る。このpH調整後のヘモグロビ
ン溶液にイノシトールヘキサホスフェート(IHP)を
ヘモグロビンとのモル比で0.1となるように添加す
る。別に、水素添加大豆レシチン、コレステロールおよ
びミリスチン酸の均一混合脂質粉末50gに蒸留水50
gを加えて、80℃で30分間、水和処理を行う。IH
Pを含有するヘモグロビン溶液200gを上記で得られ
た水和脂質に添加し、高速かくはん機に投入してかくは
ん処理を行い、リポソームの懸濁液を得る。得られたリ
ポソームの懸濁液を生理食塩水で10倍に希釈して、高
速遠心機により遠心分離し、リポソームに取り込まれな
かったヘモグロビンおよび微小粒子を除去する。更に、
上澄みにヘモグロビンが検出されなくなるまで生理食塩
水で遠心洗浄を繰り返し行い、その後、0.45μmの
フィルターを用いてろ過滅菌および粒子径制御を行う。
最終的に、リポソーム懸濁液全体に対するヘモグロビン
の濃度が6g/dlになるように限外ろ過膜により、リ
ポソーム懸濁液を濃縮する。その後、ポリエチレングリ
コール結合リン脂質を0.2g/dlになるようにリポ
ソーム懸濁液に添加し、37℃で30分間、インキュベ
ーションを行って、リポソーム表面をPEG修飾して、
人工酸素運搬体を得ることができる。
【0039】本発明の人工酸素運搬体は、その用途を特
に限定されないが、正常細胞および/または正常組織に
対して酸素を放出することなく、低酸素状態の細胞およ
び/または組織に対して選択的に酸素を放出することが
できるので、低酸素状態の細胞および/または組織に酸
素を供給するために用いることができる。特に、血栓ま
たは栓塞で血流が阻害されて低酸素状態となった細胞お
よび組織、ならびに、低酸素状態のガン細胞およびガン
組織のいずれか一つ以上に酸素を供給するために好適に
用いられる。
【0040】
【実施例】以下に実施例を示して本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限られるものではない。 1.各種人工酸素運搬体の調製 (実験例1)生理食塩水で洗浄した赤血球に蒸留水を加
えて溶血してヘモグロビン濃度が約5g/dlになるよ
うに調製し、遠心分離にて赤血球膜を除去した。赤血球
膜を除去して得られたヘモグロビン溶液をヘモグロビン
濃度が約45g/dlになるように、ダイアライザー
(テルモ社製)にて濃縮した。濃縮後のヘモグロビン溶
液のpHは6.8であった。濃縮後のヘモグロビン溶液
に0.1mol/l水酸化ナトリウム水溶液をpH7.
6になるまで添加し、pH7.6の約45g/dlヘモ
グロビン溶液を得た。pH調整後のヘモグロビン溶液
に、イノシトールへキサホスフェート(IHP)をヘモ
グロビンとのモル比で0(添加せず)、0.1、0.
2、1.0となるように添加した。IHPの添加による
pHの変動はなかった。
【0041】別に、水素添加大豆レシチン、コレステロ
ールおよびミリスチン酸の均一混合脂質粉末50gに蒸
留水50gを加えて、80℃で30分間、水和処理を行
った。異なる濃度でIHPを含有するヘモグロビン溶液
200gを上記で得られた水和脂質にそれぞれ添加し、
高速かくはん機(ワーリングブレンダー、ワーリング社
製)に投入してかくはん処理を行い、リポソームの懸濁
液を得た。得られたリポソームの懸濁液を生理食塩水で
10倍に希釈して、高速遠心機により遠心分離し、リポ
ソームに取り込まれなかったヘモグロビンおよび微小粒
子を除去した。更に、上澄みにヘモグロビンが検出され
なくなるまで生理食塩水で遠心洗浄を繰り返し行い、そ
の後、0.45μmのフィルターを用いてろ過滅菌およ
び粒子径制御を行った。最終的に、リポソーム懸濁液全
体に対するヘモグロビンの濃度が6g/dlになるよう
に限外ろ過膜により、リポソーム懸濁液を濃縮した。そ
の後、ポリエチレングリコール結合リン脂質(PEG鎖
の平均分子量5000)を0.2g/dlになるように
リポソーム懸濁液に添加し、37℃で30分間、インキ
ュベーションを行って、リポソーム表面をPEG修飾し
て、各人工酸素運搬体を得た。
【0042】(実験例2)実験例1と同様の方法によ
り、pH6.8の濃縮後のヘモグロビン溶液を得た。濃
縮後のヘモグロビン溶液に0.1mol/l水酸化ナト
リウム水溶液をpH7.0になるまで添加し、pH7.
0の約45g/dlヘモグロビン溶液を得た。pH調整
後のヘモグロビン溶液に、ピリドキサル−5−ホスフェ
ート(PLP)をヘモグロビンとのモル比で0(添加せ
ず)、0.2、0.4となるように添加した。PLPの
添加によるpHの変動はなかった。IHPを含有するヘ
モグロビン溶液200gの代わりに、PLPを含有する
ヘモグロビン溶液200gを用いた以外は、実験例1と
同様の方法により、各人工酸素運搬体を得た。
【0043】(実験例3)実験例1と同様の方法によ
り、pH6.8の濃縮後のヘモグロビン溶液を得た。濃
縮後のヘモグロビン溶液に0.1mol/l水酸化ナト
リウム水溶液をpH7.4になるまで添加し、pH7.
4の約45g/dlヘモグロビン溶液を得た。pH調整
後のヘモグロビン溶液に、2,3−ジホスホグリセレー
ト(DPG)をヘモグロビンとのモル比で0(添加せ
ず)、0.2、0.4となるように添加した。DPGの
添加によるpHの変動はなかった。IHPを含有するヘ
モグロビン溶液200gの代わりに、DPGを含有する
ヘモグロビン溶液200gを用いた以外は、実験例1と
同様の方法により、各人工酸素運搬体を得た。
【0044】(実験例4)実験例1と同様の方法によ
り、pH6.8の濃縮後のヘモグロビン溶液を得た。濃
縮後のヘモグロビン溶液に0.1mol/l水酸化ナト
リウム水溶液をpH7.0、pH8.0、pH9.0に
なるまで添加し、pH6.8(添加せず)、pH7.
0、pH8.0、pH9.0の約45g/dlヘモグロ
ビン溶液を得た。IHPを含有するヘモグロビン溶液2
00gの代わりに、上記の各ヘモグロビン溶液200g
を用いた以外は、実験例1と同様の方法により、各人工
酸素運搬体を得た。
【0045】(実験例5)S.synder,E.Wi
lly,R.Walder,L.Williams,
J.Walder,HbXL99 α:A hemog
lobin derivative that is
cross−linked betweenthe α
subunits is useful as a
bloodsubstitute,Proc.Natu
l.Acad.Sci.USA,84:7280−4,
1987に準拠して、α−α crosslinked
ヘモグロビンを合成した。詳細を下記に示す。生理食塩
水で洗浄した赤血球に蒸留水を加えて溶血してヘモグロ
ビン濃度が5g/dlになるよう調製し、遠心分離にて
赤血球膜を除去した。赤血球膜を除去して得られたヘモ
グロビン溶液に、pH7.2の0.2mol/lトリス
バッファーをヘモグロビン濃度が1mmol/lになる
ように加え、窒素ガスをバブリングし、完全に脱酸素化
した。これにbis−(3,5−dibromosal
icyl)−fumarate(Sigma社製)を
1.5mmol/lになるように加え、窒素バブリング
しながら37℃で、2時間反応させた。ここにグリシン
を1mol/lとなるように加え、未反応のbis−
(3,5−dibromosalicyl)−fuma
rateと反応させた。このヘモグロビン溶液を.pH
8.0の0.2mol/lグリシン溶液にて一昼夜透析
した後、DEAE−celluloseカラムにてHb
XL99αを分離した。このHbXL99αのcros
slink率は99%以上であった。
【0046】2.ヘモグロビンと酸素との結合率が50
%となるときの酸素分圧P50の測定 上記で得られた各種人工酸素運搬体を150mmol/
lリン酸バッファー(pH7.4 at 37℃)によ
り、ヘモグロビン濃度が20mmol/lとなるように
希釈した後、異なる酸素分圧(それぞれ713、28
5、93、57、47、38、29、21、15、9.
8、4.9、0Torr)のガスを37℃で一定時間バ
ブリングした後に分光光度計(MPS2000、島津社
製)を用い、波長576nmの光の吸光度を測定した。
下記式により、各酸素分圧xにおける酸素飽和度Yを算
出した。 Y=(Ax−A0)/(A713−A0)×100
(%) Ax:酸素分圧xTorrにおける吸光度 A0:酸素分圧0Torrにおける吸光度 A713:酸素分圧713Torrにおける吸光度 ここから各酸素分圧xをX軸、酸素飽和度YをY軸とし
てプロットし、酸素解離曲線を作成した。各人工酸素運
搬体について、得られた酸素解離曲線から、Y=50%
となる酸素分圧(P50)を求めた。なお、実験例5の人
工酸素運搬体においては、HbXL99αの他に、cr
osslink前のHbA(赤血球から取り出したHb
=Native.Hb)についてもP50を求めた。
【0047】各人工酸素運搬体のP50を第1表および第
2表に示す。本発明の人工酸素運搬体(実施例1〜1
2)は、リポソームの内部に、ヘモグロビンと、更に必
要に応じて該ヘモグロビンに対してモル比で0.4以下
の量のアロステリックエフェクターとを含有するpH
7.0〜9.0の溶液を取り込んでいるので、P50が従
来のリポソーム型ヘモグロビンよりも低く、好ましくは
5〜20Torrであり、より好ましくは5〜15To
rrであることが分かる。これに対し、アロステリック
エフェクターの添加量がヘモグロビンに対してモル比で
0.4よりも多い場合(比較例1)は、P50が大きくな
りすぎる。また、リポソーム内部の溶液がpH7.0〜
9.0の範囲にない場合は、アロステリックエフェクタ
ーを添加しないときでもP50が21Torrとなるので
(比較例2)、P50をこれより小さく制御することはで
きない。
【0048】また、比較例3は、P50が12Torrで
あるが、この人工酸素運搬体は、生体中で4量体から2
量体への乖離が起こり、腎より速やかに排出され、腎毒
性を引き起こすことが知られており、このような生体投
与する薬剤としては好ましくない。4量体から2量体の
乖離を抑えるために完全にcrosslink等を行う
とヘモグロビン分子の構造変化を抑えるために、P50
大きくなる(比較例4)。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】3.低酸素状態の細胞および/または組織
に対する酸素供給能の評価 つぎに、実施例2および12ならびに比較例1および4
の人工酸素運搬体について、低酸素状態の細胞および/
または組織に対する酸素供給能を動物実験により評価し
た。Male Wister Rat(body we
ight 230〜260g)をペントバルビタール麻
酔下で気管切開し、ベンチレーターに接続して呼吸管理
した。大腿動静脈にカニュレーションし、脱送血ライン
を確保した。実施例2(P50=18Torr)および実
施例12(P50=5Torr)ならびに比較例1(P50
=50Torr)および比較例4(P50=29Tor
r)の人工酸素運搬体を用いて、このRatの血液交換
を行い、85%の血液を各人工酸素運搬体に交換した。
その後、呼吸器の酸素含量を100%から徐々に下げ0
%になるまで脳のチトクロームオキシダーゼの酸素化率
を近赤外分光法により測定した。
【0052】チトクロームオキシダーゼの酸素化率は、
Y.Hoshi,O.Hazeki,Y.Kakiha
ra,M.Tamura,Redox behavio
rof cytochrome oxidase in
the rat brain measured b
y near−infrared spectoros
copy.J.Appl.Physiol.83
(6):1841−8,1997の方法に従い、ラット
の口の中の上あごの部分に光ファイバーを入れ、頭頂部
に向かって波長700nm、730nm、750nmお
よび805nmの光をそれぞれ発射し、頭頂部につけた
光電子倍増管により透過光強度を測定し、下記式により
還元型チトクロームオキシダーゼの量から算出した。 (チトクロームオキシダーゼの酸素化率)=1−(還元
型チトクロームオキシダーゼ) ただし、 reduced−Cyt.Oxi.(還元型チトクロー
ムオキシダーゼ)=−1.676A700 +0.7A730
+1.976A750 −A805700 :波長700nmの光の吸光度 A730 :波長730nmの光の吸光度 A750 :波長750nmの光の吸光度 A805 :波長805nmの光の吸光度 である。
【0053】また、左頚動脈より血液を採取し、ガスオ
キシメーター(ABL30、ラジオメーター社製)によ
り酸素分圧(PaO2 )を測定した。
【0054】結果を図2に示す。図2には、呼吸器の酸
素含量を下げていったときのPaO2 に対するチトクロ
ームオキシダーゼの酸素化率をプロットした。ここで、
上述した式(1)を再度示す。 DO2 =Q×(CaOx −CvOy )×Hb×4×(1/64500)×22 400 ・・・(1) DO2 :酸素供給量(ml/min) Q:血流量(dl/min) CaOx :細動脈酸素分圧xのときの人工酸素運搬体の
酸素結合率 CvOy :細静脈酸素分圧yのときの人工酸素運搬体の
酸素結合率 Hb:人工酸素運搬体の血中でのヘモグロビン濃度(g
/dl)
【0055】実際の脳の虚血においては、血栓、栓塞等
により血流量Qが減少し、結果としてDO2 の減少が起
こり、その血栓、栓塞部位等より下流にある脳細胞は酸
素不足を来す。この評価系は、脳に血栓等の血流障害を
作り脳の虚血を再現するのではなく、血流量Qは一定に
保ち、ラットに酸素含量の低い酸素を呼吸させること
で、上記式(1)のCaOx を減少させ、結果としてD
2 を減少させたものであり、血流量Qを減少させるの
と同様の効果が擬似的に得られる。チトクロームオキシ
ダーゼは呼吸鎖の最終反応の酵素であり、チトクローム
オキシダーゼが還元型になることは細胞が酸素不足であ
ることを表している。図2に示した結果から、本発明実
施例の人工酸素運搬体により85%の血液を交換したラ
ットにおいては、PaO2 が20Torr以下の低酸素
状態の細胞および/または組織に対して、チトクローム
オキシダーゼの酸素化率を比較例の人工酸素運搬体より
も明らかに高く保つことが可能であることが分かる。し
たがって、本発明の人工酸素運搬体は、低酸素状態とな
った細胞や組織に選択的に酸素を運搬することが可能で
あることが分かる。
【0056】
【発明の効果】本発明の人工酸素運搬体は、正常細胞、
正常組織に対して酸素を放出することなく、血栓、栓塞
等で血流が阻害されたため低酸素状態となった細胞、組
織や、ガン細胞、ガン組織のような極端な低酸素状態の
細胞、組織に、選択的に酸素を輸送することができるの
で、極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 異なるP50の酸素運搬体の酸素結合率および
動静脈酸素運搬効率較差を示す図である。
【図2】 異なるP50の人工酸素運搬体の酸素供給能を
示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/805 A61K 37/14 (72)発明者 木村 哲寛 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内 Fターム(参考) 4C076 AA19 BB18 CC14 DD15 DD63 EE23 FF63 FF66 4C084 AA02 BA44 CA36 MA38 MA66 NA10 ZA511 4H045 AA30 BA10 CA42 EA20 FA71 GA10 GA15

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヘモグロビンを含有するpH7.0〜9.
    0の溶液を内部に取り込んだリポソームからなる人工酸
    素運搬体。
  2. 【請求項2】ヘモグロビンと該ヘモグロビンに対してモ
    ル比で0.4以下の量のアロステリックエフェクターと
    を含有するpH7.0〜9.0の溶液を内部に取り込ん
    だリポソームからなる請求項1に記載の人工酸素運搬
    体。
  3. 【請求項3】ヘモグロビンと酸素との結合率が50%と
    なるときの酸素分圧P50が、5〜20Torrである請
    求項1または2に記載の人工酸素運搬体。
  4. 【請求項4】前記リポソームの外表面に親水性高分子化
    合物を有する請求項1〜3のいずれかに記載の人工酸素
    運搬体。
  5. 【請求項5】前記親水性高分子化合物が、ポリエチレン
    グリコール結合リン脂質である請求項4に記載の人工酸
    素運搬体。
  6. 【請求項6】低酸素状態の細胞および/または組織に酸
    素を供給することを特徴とする請求項1〜5のいずれか
    に記載の人工酸素運搬体。
  7. 【請求項7】前記低酸素状態の細胞および/または組織
    が、血栓または栓塞で血流が阻害されて低酸素状態とな
    った細胞および組織、ならびに、低酸素状態のガン細胞
    およびガン組織のいずれか一つ以上である請求項6に記
    載の人工酸素運搬体。
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