JP2001343509A - 反射体及びイメージ表示シート - Google Patents

反射体及びイメージ表示シート

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JP2001343509A
JP2001343509A JP2000167417A JP2000167417A JP2001343509A JP 2001343509 A JP2001343509 A JP 2001343509A JP 2000167417 A JP2000167417 A JP 2000167417A JP 2000167417 A JP2000167417 A JP 2000167417A JP 2001343509 A JP2001343509 A JP 2001343509A
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light
reflection
reflector
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concave
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JP2000167417A
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English (en)
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Toshitaka Nakajima
敏隆 中嶌
Takashi Harada
孝 原田
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Original Assignee
3M Innovative Properties Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所定の観測角範囲に反射光の方向を制御する
ことが極めて容易であり、また、法線方向(観測角度=
0度)を含まない観測角範囲で最も明るく視認できる様
に、光の反射方向を制御することも可能であり、標識、
看板等のとして利用されるイメージ表示シートの構成部
品として特に有用な、反射体を提供する。 【解決手段】 少なくとも1つの主面を有する基部と、
その基部の主面上に互いに隣りあって配置された複数の
反射素子とを備えてなり、それぞれの反射素子は、湾曲
した凹面部を有し、その凹面部表面に沿って反射層が配
置されている反射体において、前記凹面部の光軸は、前
記基部の主面における法線に対して所定の角度θを成す
様に傾斜し、前記光軸と前記基部の法線とが成す角を含
む断面内において、1つの凹面部と、それに隣接する他
の凹面部とを連結する連結部分の断面形状が、前記光軸
の傾斜方向と同じ方向に傾斜した略直線状であり、その
略直線状断面の方向は、前記基部の法線に対して所定の
角度ηを成す反射体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反射体及びイメー
ジ表示シートに関し、より詳しくは、少なくとも一方の
主面上に複数の微小な反射性の凹面を備えている反射
体、特に、反射体の前記主面(すなわち、反射面)に対
して照明された光の反射方向の制御が容易である反射体
に関する。この様な反射体は、外照方式(外部照明光を
用いた照明方式)で使用される、標識、看板等のとして
利用されるイメージ表示シートの構成部品として、特に
有用である。
【0002】
【従来の技術】現在、反射型の道路標識の多くは、路面
から比較的高い位置に設置されている。この様な道路標
識は、通常、再帰反射シートや広観測角度の反射シート
を含み、シートの反射面上に固定されたイメージを備え
ている。イメージは、文字、図案、記号等の標識イメー
ジを含み、標識イメージは、インク、ペイント、着色粘
着フィルム(切り貼り)を用いて形成される。また、標
識照明システムは、通常、道路標識を照明するための専
用光源を備えている。たとえば、特許公報第29108
68号(対応米国特許5,818,640号)には、反
射標識面を持つ標識と光源とを備える、外照方式の標識
照明システムが開示されている。このシステムにおい
て、光源は、出射された光が0°〜30ーの範囲の入射
角度で標識面に入射される様に配置される。標識面には
通常、表面に標識イメージを有する再帰性反射シートが
接着されている。
【0003】ところで、通常の再帰性反射シートは、運
転者や歩行者等の観察者に対し、照明光(入射光)を高
輝度で反射し、その結果、観察者は、夜間においても標
識イメージを容易に認識し読むことができる。その一方
で、再帰反射シートの反射面に対して照明された光の反
射方向の制御は、比較的困難である。そこで、前掲の特
許公報にも開示されている様に、広い有効観測角度を持
つ様に改良された反射シートも知られている。これらの
反射シートは、ガラスビーズやプリズム素子等の光学屈
折素子と、金属蒸着膜等の反射素子とを備えている。ま
た、キューブコーナープリズムと呼ばれるプリズム素子
の場合、反射素子を用いることなく、プリズムの持つ全
反射作用を有効に利用して、光を所定の方向に反射させ
ることもできる。
【0004】一方、上記の様な光学屈折素子を持たない
反射シートも知られている。たとえば、特開昭56−1
6118号公報には、水平方向及び垂直方向に凹状(ま
たは凸状)に湾曲した微小曲面を有する複数の反射素子
を、基材の一方の主面(反射面)上に、面内の縦横に規
則的に配列して形成した、反射シート(反射形スクリー
ン)が開示されている。この反射シートでは、上記微小
曲面の水平方向断面及び垂直方向断面における弧の半径
(曲率半径)と弦長とを、反射シートの反射指向性との
関連においてそれぞれ異なる様にして、反射光の拡散角
度が所定値になるように設計されている。すなわち、こ
の様な反射シートでは拡散反射を意図しており、反射光
の指向性を高めるものではない。また、微小曲面の中心
を通る光軸は、シート反射面の法線方向に対してほぼ平
行である。なお、この様な反射シートは道路標識用のも
のではなく、もっぱら投影装置の画像を映し出すための
スクリーンとして利用される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の従来技術の持つ
課題について、ここで整理する。まず、投影スクリーン
用の反射シートでは、投影面(反射面)の法線方向(正
面方向)から照射され、反射面全体で反射された光を、
たとえば、正面方向ではない、所定の観測角範囲で明る
く視認される様に、反射光の進行方向を制御することは
困難であった。これは、微小曲面反射素子光軸方向が、
投影面の法線方向と同軸上にあるからである。
【0006】この様な反射方向制御の有用性は、次の様
に説明できる。たとえば、道路標識のイメージを、車両
運転者が見る場合を考察する。運転者が比較的遠方から
標識イメージを見る時は、その観測角はほとんど0度で
ある。一方、運転者の搭乗する車両が標識に近づいて、
運転者が比較的近い位置から標識イメージを見る時は、
その観測角は0度よりも大きい。通常、運転者に対し、
比較的遠方からは標識イメージを認識させる様には意図
されないので、比較的近い位置から見る時にのみ、標識
イメージが明るく見えれば良い。ところが、0度を含む
観測角範囲で表示が明るく視認される様に、反射光が比
較的広い観測角範囲に分散することは、視認輝度を高め
るのには非常に不利である。すなわち、所定の観測角範
囲に反射光の方向を制御することは、イメージ表示の視
認輝度を効果的に高めるのに有用である。
【0007】一方、前掲の光学屈折素子を用いた反射シ
ートの場合、ガラスビーズやプリズム素子の材料に固有
の屈折率の範囲内でしか、光の反射方向を制御できな
い。したがって、設計上の自由度が比較的狭く、反射光
の方向を制御することは容易ではなかった。特に、法線
方向を含まない観測角範囲で最も明るく視認できる様
に、光の反射方向を制御することは困難であった。
【0008】したがって、本発明の目的は、所定の観測
角範囲に反射光の方向を制御することが極めて容易であ
り、また、法線方向(観測角度=0度)を含まない観測
角範囲で最も明るく視認できる様に、光の反射方向を制
御することも可能であり、標識、看板等のとして利用さ
れるイメージ表示シートの構成部品として特に有用な、
反射体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、少なくとも1つの主面を有する基部と、
その基部の主面上に互いに隣りあって配置された複数の
反射素子とを備えてなり、それぞれの反射素子は、湾曲
した凹面部を有し、その凹面部表面に沿って反射層が配
置されている反射体において前記凹面部の光軸は、前記
基部の主面における法線に対して所定の角度θを成す様
に傾斜し、前記光軸と前記基部の法線とが成す角を含む
断面内において、1つの凹面部と、それに隣接する他の
凹面部とを連結する連結部分の断面形状が、前記光軸の
傾斜方向と同じ方向に傾斜した略直線状であり、その略
直線状断面の方向は、前記基部の法線に対して所定の角
度ηを成すことを特徴とする、反射体を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】(作用)本発明の反射体におい
て、反射層が配置された凹面部の光軸が、基部の主面に
おける法線に対して所定の角度θを成す様に傾斜してい
ることは、基部の主面(全体として反射面として機能す
る。)に入射した光を、その傾斜角θに対応して、基部
の法線方向から離れた(傾いた)方向へ最も高輝度で反
射させる様に作用する。すなわち、所定の観測角範囲に
反射光の方向を制御することが極めて容易である。ま
た、角度θを適切な範囲の角度に設計することで、法線
方向(観測角度=0度)を含まない観測角範囲で明るく
視認できる様に、光の反射方向を制御することが可能で
ある。なお、前記光軸は、略円形または略円弧形の凹面
部の周縁を含む平面(仮想平面)において、その周縁
(が形成する円または円弧)の中心を通り、前記凹面部
の曲率半径方向に平行な軸である。また、凹面部の中心
は、前記凹面部の光軸と前記凹面部の反射面とが交わる
点であると定義される。
【0011】前記光軸と基部法線とが成す角を含む断面
(後述する図1を参照)において、1つの凹面部と、そ
れと隣接する他の凹面部とに連結した連結部分の断面形
状が、前記光軸の傾斜方向と同じ方向に傾斜した略直線
状であり、その略直線状断面の方向は、前記基部の法線
に対して所定の角度ηを成すことは、次の様に作用す
る。連結部分の断面形状が凹面部表面の反射層に向かっ
て凸に膨らんでいる場合、所定の観測角方向に位置する
観察者に対して、凹面部の反射層表面に影となる部分が
形成される。したがって、所定の観測角範囲で観察(観
測)される反射光の強度(視認輝度)を高めることが困
難になる。また、連結部分が前記の様に傾斜していない
直線の場合も、同様に影となる部分が凹面部表面にでき
やすい。
【0012】一方、連結部分の形状が凹面部表面から離
れる様に凹んでいる場合、凹面部の反射層表面には上記
の様な影となる部分はできない。しかしながら、連結部
分の表面を覆う反射層が存在する場合などには、そこで
反射された光のほとんどは前記凹面部で反射されず、所
定の観測角範囲以外の方向に進む。したがって、光の反
射方向を所定の観測角範囲に制御することが困難にな
り、また、所定の観測角範囲で観測される視認輝度を高
めることも困難になる。すなわち、連結部分の断面形状
を前記の様に形成することで、上記の様な問題を起こさ
ずに、観測角範囲で観測される視認輝度を効果的に高め
ることができる。
【0013】傾斜角ηは、通常、前記凹面部の光軸の傾
きθとほぼ同じ値か、θよりも大きな値であるのが良
い。また、θ及びηの範囲は、上記効果を奏する限り特
に限定されないが、好適には、角度θは2〜80度の範
囲であり、かつ角度ηは2〜85度の範囲である。θが
2度未満であると、法線方向を含まない観測角範囲で最
も明るく視認できる様に光の反射方向を制御することが
困難になるおそれがある。反対にθが80度を超える
と、光源からの光の入射角、凹面部の曲率半径や寸法に
もよるが、1つの反射素子がそれと隣接する反射素子の
反射面(凹部表面)に影をつくるおそれがある。一方、
角度ηも、この様なθの値に対応して、同様に決定され
るのが好ましい。ηが2度未満であると、凹面部の反射
層表面に影となる部分が形成されるおそれがある。ま
た、85度を超える場合も、光源からの光の入射角、凹
面部の曲率半径や寸法にもよるが、1つの反射素子がそ
れと隣接する反射素子の凹部表面に影をつくるおそれが
ある。これらの観点から、より好適には、θは5〜70
度の範囲であり、かつ前記ηは5〜75度の範囲であ
り、特に好適には、θは10〜60度の範囲であり、か
つ前記ηは10〜65度の範囲である。
【0014】(反射体)本発明の反射体の好適な1例に
ついて、図1に沿って説明する。図示の反射体(10)
は、少なくとも1つの主面を有し、シート状に形成され
た基部(1)と、その基部(1)の主面上に互いに隣り
あって配置された複数の反射素子(2)とを備えてな
り、それぞれの反射素子(2)は、所定の曲率半径Rを
有する様に湾曲した凹面部(21)を有し、その凹面部
(21)の表面に沿って反射層(図示せず)が配置され
ている。
【0015】凹面部(21)は、その凹面部の光軸(9
1)が、前記基部(1)の主面における法線(90)に
対して所定の角度θを成す様に傾斜している。また、前
記光軸(91)と前記基部(1)の法線(90)とが成
す角を含む断面(図1を参照)において、1つの凹面部
(21a)と、それと隣接する他の凹面部(21b)と
に連結した連結部分(22)の形状は、前記基部の法線
(90)に対して所定の角度ηを成す様に傾斜した略直
線状である。連結部分(22)の傾斜方向は、光軸(9
1)の傾斜方向と同じ方向である。なお、前述の様に、
前記光軸(91)は、略円形または略円弧形の前記凹面
部(21)周縁を含む平面(仮想平面)において、その
周縁(が形成する円または円弧)の中心を通り、前記凹
面部(21)の曲率半径方向に平行な軸である。また、
凹面部(21)の中心は、前記凹面部の光軸と前記凹面
部の反射面とが交わる点である。
【0016】図示の例では、それぞれの凹面部におい
て、光軸(91)の傾斜角θはすべて略等しい。また、
連結部分(22)の傾斜角ηは、それぞれの反射素子に
おいてすべて略等しい。なお、本発明の効果を損なわな
い限り、傾斜角θが互いに異なる凹面部の組を複数含ん
でいても良く、また、それらの複数の組において、連結
部分傾斜角ηが、が互いに異なっていても良い。
【0017】凹面部(21)と連結部分(22)とが結
合した、反射素子(2)の頂部(23)の形状は、本発
明の効果を損なわない限り特に限定されない。通常、略
円弧形(または略円形)の凹面部の周縁に沿って連続し
た略平坦面からなり、有限の幅を有する。頂部の幅は、
通常2mm以下である。頂部の幅が大きすぎると、凹面
部表面の面積が相対的に小さくなり、所定の観測角範囲
で観測される視認輝度を高めることを困難にするおそれ
がある。一方、この様な観点からは、頂部の幅は小さい
ほど良いが、反射素子の機械的強度が低下し、長期にわ
たって使用することが困難になるおそれがある。したが
って、以上の観点から、頂部の幅は、好適には0.05
〜1.8mm、特に好適には0.1〜1.5mmの範囲
である。なお、頂部(23)は、反射素子を被覆する様
に光透過性ポリマー層(3)(詳細は後述する。)を配
置する場合、図示の様に、光透過性ポリマー層(3)の
裏面(32:他方の主面)に接触しても良いし、可及的
に近接しつつ接触しなくても良い。
【0018】本発明の反射体において、基部主面上の反
射素子の配列としては、たとえば、図2に示される様な
配列が採用できる。これは、図1に示される反射体にお
いて、基部の主面を、それに垂直な方向に沿って真上か
ら見た場合の図である。図2の例では、反射素子が、凹
面部の傾斜方向に沿った列方向と、列方向と直交する行
方向との両方向に沿って、魚のうろこ状に規則的に配列
されている。この様な配列では、1つの反射素子の凹面
部周囲を画定する円が、それと隣り合う反射素子の凹面
部で切り取られた形で、凹面部どうしが互いに接してい
る。凹面部の切り取られた部分は、基部主面から測定さ
れた高さが相対的に低い部分にあり、基部主面からの高
さが最も高い凹面部の部分では、円弧状の周縁を有して
いる。この様なうろこ状配列は、反射輝度を特に効果的
に高められるものの1つである。
【0019】上記の他、有効な反射輝度が得られる範囲
において、反射素子の配列は自由に設計できる。たとえ
ば、行及び列の両方向において、互いに隣り合う凹面部
の中心を結ぶ線が行及び列方向の直線であり、両方の直
線が互いに直交する様にして配列させても良い。この様
な配列の場合も、反射輝度を効果的に高めるために、上
記の様に、1つの反射素子の凹面部周囲を画定する円
が、それと隣り合う反射素子の凹面部で切り取られた形
で、凹面部どうしが互いに接しているのが良い。また、
この場合も、基部主面からの高さが最も高い凹面部の部
分では、円弧状の周縁を有しているのが良い。また、本
発明の効果を損なわない限り、凹面部の傾斜方向に沿っ
た列方向では、互いに隣り合う凹面部どうしが上記の様
に接し、凹面部周囲を画定する円が切り取られた形では
あるが、行方向では互いに隣り合う凹面部どうしは接し
ない様にすることもできる。
【0020】凹面部の曲率半径は、本発明の効果を損な
わない限り特に限定されないが、通常5〜50mm、好
適には7〜40mmである。また、凹面部の寸法、すな
わち、凹面部の周縁を含む円の直径、または円弧(図1
の例の様な場合)を含む仮想円の直径も本発明の効果を
損なわない限り特に限定されないが、通常3〜30m
m、好適には5〜20mmである。さらに、凹面部のピ
ッチ(互いに隣り合う凹面部中心間の距離)も特に限定
されない。たとえば、凹面部が行方向及び列方向に規則
的に配列している場合、行、列両方向ともに、通常0.
1〜30mm、好適には0.2〜20mmの範囲であ
る。
【0021】(イメージ表示シート)本発明によるイメ
ージ表示シートの好適な1例について、図1に沿ってこ
こで説明する。図示のイメージ表示シート(50)は、
反射体(10)からなる反射シートと、反射素子(2)
を被覆する光透過性ポリマー層(3)と、その光透過性
ポリマー層の一方の主面(31)上に配置された光透過
性のイメージ(4)とを備える構造を有する。本発明の
イメージ表示シートでは、外部照明光を凹面部(21)
の表面に配置された反射層(図示せず)で反射し、光透
過性ポリマー層(3)及びイメージ(4)を透過する反
射光を形成し、その反射光により観察者はイメージ
(4)を視認することができる。
【0022】反射体(10)からなる反射シートは、次
の様にして形成できる。たとえば、図1に示される様
に、シート状または板状の基部(1)を用意し、その主
面(11)上に、複数の反射素子(2)を固定し、シー
ト状または板状の反射体(10)を形成する。
【0023】基部(1)としては、通常、ポリマーや金
属から形成したシートまたは板を使用する。ポリマーと
しては、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン
系、ポリオレフィン系、ポリアミド系等の、通常のシー
トまたは板を作製するために用いられるものが使用でき
る。金属も、通常のもの、たとえば、アルミニウム、
銅、ステンレス等が使用できる。この他、紙やセラミッ
クスからなる基部を使用することもできる。なお、基部
の厚さは、通常10μm〜10mm、好適には20μm
〜5mmである。
【0024】上記の様なシート状または板状の基部の上
に、反射素子を形成するには、たとえば、次の様な方法
が利用できる。まず、反射素子の構造に対応する複数の
凹凸を有するネガ型を用意する。ネガ型は、金属板に放
電加工等の凹凸形成加工を施して形成するのが良い。こ
の様にして形成したネガ型の凹凸形成面上に、液状の硬
化性樹脂を層状に流し込み、上記凹凸に充填された部分
を含む硬化性樹脂層を形成する。ネガ型上の硬化性樹脂
層の上に、上記基部を重ね合わせた後、硬化性樹脂層を
硬化させる。樹脂層を硬化した後、ネガ型を取り除き、
ネガ型の凹凸に対応するポジとしての凹凸からなる、複
数の反射素子が上記基部に固定された構造を得ることが
できる。
【0025】硬化性樹脂としては、通常、熱または放射
線(紫外線、電子線等)で硬化可能なオリゴマーまたは
モノマーを含むものが使用できる。たとえば、アクリル
系のモノマーまたはオリゴマーを含有するものが良い。
紫外線による硬化を行う場合、通常、基部は、紫外線を
良く透過するポリマー(PET等)から形成されるのが
良い。
【0026】また、基部と反射反射素子とを一体的に成
形することもできる。この場合、ネガ型の凹凸形成面上
に、液状の硬化性樹脂を層状に流し込み、上記凹凸に充
填された部分と、基部として機能するレベルの厚さを備
える部分とを含む様に、硬化性樹脂の層を形成する。そ
の硬化性樹脂層の上に、剥離面を有するポリマーフィル
ム(たとえば、PETフィルム)を重ね合わせた後、硬
化性樹脂層を硬化させる。樹脂層を硬化した後、ネガ型
及びポリマーフィルムを取り除き、硬化した樹脂からな
る基部と反射素子とが一体化した構造体(反射体前駆
体)を得ることができる。
【0027】上記の様にして、基部主面上に複数の反射
素子を形成した後、各反射素子の凹面部表面に沿って反
射層を配置し、本発明の反射体からなる反射シートを形
成する。反射層は、通常、鏡面反射性の物質を凹面部に
沿ってコーティングして形成する。たとえば、アルミニ
ウム、銅、金、銀等の金属含む材料を用いて、蒸着、ス
パッタ等の薄膜形成手段により、凹面部表面に反射層を
固定する。金属の他に、誘電反射体も使用できる。反射
層の厚さは、有効な反射輝度が得られる範囲において特
に限定されないが、通常500オングストローム〜5μ
mである。反射層は、通常、凹面部表面及び前記連結部
分の表面に配置されても良いが、好適には、凹面部表面
にのみ配置され、前記連結部分の表面には配置されな
い。これにより、所定の観測角範囲以外の方向に反射さ
れる光の強度を可及的に小さくし、所定の観測角範囲に
おける視認輝度を効果的に高めることできる。
【0028】上記の様にして形成した反射シートの反射
素子を被覆する様に、光透過性ポリマー層を配置して、
イメージ表示シートを完成する。光透過性ポリマー層の
少なくとも一方の主面には、通常、光透過性着色インク
で形成した光透過性イメージが配置される。図1に示さ
れた例では、光透過性ポリマー層(3)の表面(31)
上に、光透過性イメージ(4)が配置されている。ま
た、光透過性ポリマー層(3)は、反射素子(2)との
間に空間(7)が形成される様に固定されている。光透
過性ポリマー層(3)の固定は、通常、基部(1)の周
縁に沿って設けられた接合用の枠状部(13)と、光透
過性ポリマー層(3)の裏面(32)の周縁部とを接着
して行う。接着には、アクリル系、エポキシ系等の通常
の接着剤が使用できる。
【0029】本発明のイメージ表示シートは、標識等の
構成部品として使用される。したがって、標識基板等の
被着体にイメージ表示シートを接着して固定するため
に、図1の例の様に、基部(1)の他方の主面(12)
上に、粘着剤等を含有する接着層(6)を配置し、製品
として完成させるのが良い。
【0030】一方、図3に示される様に、反射シート
(10)と光透過性ポリマー層(3)とを互いに固定
し、本発明のイメージ表示シートを製造することもでき
る。図3の例では、基部(1)と反射素子(2)とは、
熱可塑性を有する樹脂から一体的に形成されている。基
部主面の上方に、反射素子(2)と接しない様に距離を
おいて光透過性ポリマー層(3)を配置し、基部(1)
の他方の主面、すなわち裏面(12)側から熱エンボス
加工を施し、結合部(22)を光透過性ポリマー層
(3)に向かって隆起させ、光透過性ポリマー層(3)
の裏面(32)に結合部(22)を接着して、図示の様
な構造のイメージ表示シートを完成させる。この場合、
基部(1)と反射素子(2)とを構成する樹脂は、熱エ
ンボス加工時に熱可塑性であれば良く、加工後に、電子
線等で硬化可能な材料であっても良い。この様な材料と
しては、たとえば、アクリル系ポリマーまたはオリゴマ
ーを含有する硬化性樹脂が使用できる。
【0031】また、図3の例に類似した構造の例とし
て、結合部を基部の一部から形成するのではなく、基部
の主面上に塗布した接着剤から前記結合部を形成するこ
ともできる。さらに、光透過性ポリマー層の表面から熱
エンボス加工を施し、結合部を光透過性ポリマー層の一
部から形成することもできる。
【0032】上記の様な例では、光透過性ポリマー層
は、通常、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン
系、ポリオレフィン系、ポリアミド系等のポリマーを含
んでなるフィルムまたはシートから形成される。なお、
光透過性ポリマー層の表面または裏面に、下地としての
白さを出すために白色ドット印刷を施しておくのが好適
である。光透過性イメージの視認性が効果的に高められ
るからである。また、同様の効果を得るために、光透過
性ポリマー層として、拡散光透過性フィルムを用いるこ
ともできる。光透過性ポリマー層としてのフィルムまた
はシートの厚さは、特に限定されないが、通常10〜8
00μmである。
【0033】一方、反射体及びイメージ表示シートは、
図4に示される構造のものでも良い。図示の反射体(1
10)では、光透過性ポリマー層(103)が、基部
(101)と反射素子(102)の構造の凹凸に対応す
るネガとしての凹凸構造を有している。そして、反射素
子の凹面部(121)に沿って配置された反射層(図示
せず)に光透過性ポリマー層(103)が密着し、図1
及び図3の例の様な空間(7)は存在しない。
【0034】図4に示される様な構造の反射体及びイメ
ージ表示シートは、たとえば次の様にして形成できる。
まず、上記図1の場合と同様にして、基部主面上に反射
素子を形成し、素子の凹面部表面に反射層を配置して反
射体(110)を形成する。次に、基部(101)と反
射素子(102)の凹凸を埋める様に、光透過性ポリマ
ーを含有する液体(液状物質)を適用し、この液体を固
化して、光透過性ポリマー層(103)を形成する。光
透過性ポリマーを含有する液体の固化は、硬化性ポリマ
ーを液体に含有させて硬化するか、または常温で固体の
光透過性ポリマーを含有する材料を加熱溶融させて液体
として適用した後、冷却して行うことができる。最後
に、光透過性ポリマー層(103)の表面に光透過性イ
メージ(104)を配置して、イメージ表示シートを完
成させることができる。
【0035】また、図4に示される反射体及びイメージ
表示シートは、次の様にしても製造できる。まず、基部
(101)と反射素子(102)の構造に対応するネガ
としての凹凸構造を有する光透過性ポリマー層(10
3)を形成する。次に、光透過性ポリマー層(103)
の凸部、すなわち、反射素子(102)の凹面部(12
1)のネガに相当する部分の表面に反射層を固定する。
最後に、光透過性ポリマー層(103)の上記凹凸を埋
める様にポリマー材料を適用し、ポリマー材料からなる
基部(101)及び反射素子(102)とが一体的に結
合し、素子の凹面部(121)に沿って反射層が配置さ
れた反射体を完成させる。基部(101)及び反射素子
(102)を構成するポリマー材料としては、光透過性
ポリマー層(103)の凹凸を埋める様に適用される時
には液状物質であるが、適用後は固化可能なものが使用
できる。
【0036】基部(101)及び反射素子(102)を
構成するポリマー材料として、粘着剤等の接着剤を利用
することもできる。この場合、光透過性ポリマー層(1
03)の凹凸は硬度の高い材料(たとえば、硬化樹脂)
から形成しておく。これにより、接着剤からなる比較的
柔軟な材料から一体的に形成された基部(101)及び
反射素子(102)が使用中に変形するのを防ぐことが
できる。なお、この場合、標識基板等の被着体にイメー
ジ表示シートを接着するために、別途接着層を配置する
必要がない点で有利である。なお、図4に示される例の
光透過性ポリマー層は、アクリル系、ポリエステル系、
ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリアミド系等の
ポリマーを含んでなる樹脂から形成でき、必要に応じて
硬化成分を混合することができる。
【0037】(イメージ表示シートの用途)本発明によ
るイメージ表示シートは前掲の様に、外照方式(外部照
明光を用いた照明方式)で使用される、標識、看板等の
イメージ表示体の構成部品として特に有用である。図5
に、好適な1つの応用例を示す。図示の例は、本発明の
好適な1実施形態による道路標識表示システムである。
このシステムは、イメージ表示シートを表面に有する道
路標識(81)と、その標識面(イメージ表示シート)
を照明する光源(82)とを含んでなる。光源は、たと
えば、10°〜30ーの範囲の入射角度で標識面に入射
される光(図中、矢印で示す)を出射(照明)する様に
配置される。光源照明により、観察者が標識イメージを
明るく視認できる様に、標識を表示する。標識面には通
常、光透過性イメージからなる標識イメージ(文字、図
案、記号等からなる。)が配置されている。イメージ表
示シートは、通常、接着剤により道路標識の基板に接着
される。
【0038】イメージ表示シート及び光源の配置は、標
識面の表示を観察する領域において、光源が観察者の視
野を実質的に遮られないようにする。したがって、たと
えば、光源は道路(83)の路肩に設置される。光源
(82)は、支柱(821)の長さ方向一端に固定さ
れ、支柱(821)の長さ方向他端を地面に固定して設
置する。支柱(821)の高さは、通常30cm〜1.
5mである。なお、道路標識(81)を所定の高さ位置
に固定するための支柱(811)の高さは、通常、人の
身長よりもはるかに高い。光源をこの様に配置すれば、
交通の流れに支障を来すこともなく、また、容易に光源
を保守することができる。
【0039】本発明のイメージ表示シートは、所定の観
測角範囲に反射光の方向を極めて容易に制御することが
でき、比較的指向性の高い反射が得られる。また、法線
方向(観測角度=0度)を含まない観測角範囲で最も明
るく視認できる様に反射方向を制御することが可能であ
る。したがって、上記道路標識表示システムは、通行す
る車両のドライバーにのみ視認されれば良く、その他の
人には視認される必要のない標識を表示する場合に好適
に用いることができる。すなわち、光源の照度を不要に
高めることなく、標識イメージを明るく視認することが
できる。なお、本発明の表示システムは、道路標識に限
らず、広告看板等の照明(表示)システムにも応用でき
る。また、前掲の特許公報第2910868号に開示の
外照方式の標識照明システムを利用することもできる。
【0040】
【実施例】反射体及びイメージ表示シートの製造 図2に示される反射素子配列に対応する型を、まず作製
した。型は、所定の配列、形状及び寸法を有する反射素
子が基部上に形成できる様に決定された配列、形状及び
寸法を有する凹凸を有するネガ型であった。型は、アル
ミニウム板表面に放電加工した後、加工面をバフ研磨し
て、上記凹凸を形成して作製した。
【0041】この様にして得た型の凹凸表面に、帝国イ
ンキ(株)社製「紫外線硬化樹脂UV POTハード」
を流し、紫外線を照射して硬化した後、硬化樹脂を引き
はがすことにより、シート状の硬化樹脂からなる反射体
前駆体を得た。この反射体前駆体の凹面部に、アルミニ
ウム蒸着により反射層を固定し、図1に示される構造を
有する反射体(反射シート)を得た。
【0042】なお、反射体の寸法は、次のとおりであっ
た。 凹面部の光軸の傾斜角θ=10度 凹面部の光軸の傾斜方向=図2の紙面左右方向(列方
向)のみ(行方向には傾斜していない。傾斜角=0度) 凹面部の曲率半径R=23mm 凹面部周縁の円弧を含む仮想円の直径=8mm 列方向の凹面部ピッチ=6mm 行方向の凹面部ピッチ=6mm 連結部分の断面形状=直線 連結部分の傾斜角η=10度 基部表面から反射素子頂部までの高さ=2mm 反射体全体の厚さ(基部裏面から反射素子頂部までの高
さ)=3mm
【0043】次に、上記反射体を用い、次の様にして本
例のイメージ表示シートを完成させた。まず、アクリル
系ポリマーフィルムを用意し、透明着色インクでフィル
ムの一方の主面に光透過性イメージを形成し、本例で用
いる光透過性ポリマー層(光透過性イメージ付き)を作
製した。この様にして作製した光透過性ポリマー層を、
反射体の反射素子の表面を被覆する様にして配置し、本
例のイメージ表示シートを得た。なお、反射体と光透過
性ポリマー層との固定は、図1に示される様にして、反
射素子との間に空間が形成される様に固定した。光透過
性ポリマー層は、反射体の基部周縁に沿って設けられた
接合用の枠状部と、光透過性ポリマー層裏面の周縁部と
を、アクリル系接着剤を介して接着して固定した。
【0044】反射輝度 図6に示される様にして、イメージ表示シートと、光源
と、輝度計とを配置して、反射輝度の測定を行った。な
お、測定は、イメージ表示シートのイメージのない部分
を使って行われた。また、光源は固定したままで、入射
角は0度で一定にした。図7のグラフに、測定結果(反
射輝度の観測角度依存性)を示す。0°の入射角でイメ
ージ表示シートに入射された光は、プラス方向の約10
〜30度の範囲に明るく視認される様に反射できた。な
お、比較のため、拡散反射性の強い白色反射シート(コ
ピー用紙)の測定結果も、グラフに合わせて示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の反射体の好適な一例を含む反射型イ
メージ表示シートの断面図である。
【図2】 本発明の反射体における反射素子の配列の一
例を示す図である。
【図3】 本発明の反射体の別の好適な一例の断面図で
ある。
【図4】 本発明の反射体の他のの好適な一例の断面図
である。
【図5】 本発明の反射型イメージ表示シートを用いた
道路標識表示システムを示す図である。
【図6】 実施例において使用した、反射輝度測定装置
の模式図である。
【図7】 実施例で製造したイメージ表示シートと白色
反射シート(紙)について測定した反射輝度の観測角度
依存性を示すグラフである。
【符号の説明】
10,110:反射体、1,101:基部、2,10
2:反射素子、21,21a,21b,121:凹面
部、22:連結部、3,103:光透過性ポリマー層、
4:イメージ、50:イメージ表示シート、90:基部
の法線、91:凹面部の光軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G09F 13/16 G09F 13/16 Z Fターム(参考) 2D064 AA12 AA22 BA01 CA03 CA04 CA05 CA07 DA05 DA08 EA02 EB14 EB22 EB34 JA01 2H042 DA02 DA04 DA05 DA07 DA11 DA20 DA21 DB07 DB08 DC02 DC08 DD01 DE00 DE02 5C096 AA21 AA26 BA03 BB22 BB40 CA12 CA26 CA32 CB07 CE12 CE15 CE16 CE26 DC07 EA01 FA03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1つの主面を有する基部と、
    その基部の主面上に互いに隣りあって配置された複数の
    反射素子とを備えてなり、それぞれの反射素子は、湾曲
    した凹面部を有し、その凹面部表面に沿って反射層が配
    置されている反射体において前記凹面部の光軸は、前記
    基部の主面における法線に対して所定の角度θを成す様
    に傾斜し、 前記光軸と前記基部の法線とが成す角を含む断面内にお
    いて、1つの凹面部と、それに隣接する他の凹面部とを
    連結する連結部分の断面形状が、前記光軸の傾斜方向と
    同じ方向に傾斜した略直線状であり、その略直線状断面
    の方向は、前記基部の法線に対して所定の角度ηを成す
    ことを特徴とする、反射体。
  2. 【請求項2】 前記角度θは2〜80度の範囲であり、
    かつ前記角度ηは2〜85度の範囲である請求項1の反
    射体。
  3. 【請求項3】 請求項1の反射体からなる反射シート
    と、前記反射素子を被覆する光透過性ポリマー層と、そ
    の光透過性ポリマー層の少なくとも一方の主面上に配置
    された光透過性のイメージとを備えてなり、 外部照明光を前記凹面部表面で反射して、前記光透過性
    ポリマー層及び前記イメージを透過する反射光を形成
    し、その反射光により観察者が前記イメージを視認可能
    な、反射型のイメージ表示シート。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011063960A (ja) * 2009-09-16 2011-03-31 Sekisui Jushi Co Ltd 道路用標示体
JP2016017365A (ja) * 2014-07-10 2016-02-01 東芝三菱電機産業システム株式会社 色付きコーン用コーンバー
JP2017116779A (ja) * 2015-12-25 2017-06-29 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 再帰性反射ライセンスプレート、及び再帰性反射シート

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