JP2001342233A - ガス状モノマーの重合方法及び重合装置 - Google Patents

ガス状モノマーの重合方法及び重合装置

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JP2001342233A JP2000163893A JP2000163893A JP2001342233A JP 2001342233 A JP2001342233 A JP 2001342233A JP 2000163893 A JP2000163893 A JP 2000163893A JP 2000163893 A JP2000163893 A JP 2000163893A JP 2001342233 A JP2001342233 A JP 2001342233A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、ガス状モノマーの重合において、
単位体積及び単位時間当たり高いポリマー収率を維持
し、且つ連続運転の障害となる重合スケールを抑制し、
さらに除熱システムを軽減することを目的とするもので
ある。 【解決手段】 重合触媒を含む不活性媒体に該モノマー
を供給して重合する反応において、重合装置として円筒
型反応器を用い、該装置での攪拌混合は該装置の接線方
向から、不活性媒体を流入して旋回流を形成することで
行い、且つ該モノマーの供給は、重合触媒を含む不活性
媒体と気液接触後、該装置本体に導入し、連続的に反応
させることを特徴とする重合方法及び重合装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガス状モノマーの重
合において、除熱システムを軽減し、且つ単位体積及び
単位時間当たり高いポリマー収率を維持し、さらに重合
スケールの生成を抑制して連続運転時間の延長を図る重
合方法及び重合装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的な重合反応の場合、重合度、重合
度分布、重合粒子などの制御の必要上、重合温度、モノ
マー濃度、触媒濃度、重合時間などを制御因子として操
作するが、工学上は常に重合熱の除去、攪拌混合、液移
送などの方法が問題となる。一般に発熱反応では重合熱
の除去方法が最も重要で、これによって重合装置の能
力、重合方式が決定されることもある。次に均一な製
品、即ち一定の平均重合度、重合度分布を保持するため
に、攪拌、触媒やモノマーの添加方式、滞留時間及びそ
の分布などの制御方式が問題となる。そのような重合に
関係ある因子の全てが満足されたとしても、なお残され
る問題として、スケールの生成による配管の閉塞や移送
不良等がある。これらの問題は、重合において大抵の場
合に遭遇し、これがために実現不可能となる重合形式も
みられた。
【0003】ここでガス状モノマーの重合として、ホル
ムアルデヒドの重合を例にする。精製された又は少量の
不純物を含むホルムアルデヒドが、不活性有機媒体中で
適当な触媒の選択と重合条件の選択のもとに、高重合度
のポリオキシメチレンを与え、優れた熱可塑性樹脂とし
て利用されていることは周知のところである。この樹脂
は、ホルムアルデヒドに限らず、ホルムアルデヒドの三
量体であるトリオキサンの重合によっても得られる。ホ
ルムアルデヒドは、ガス状モノマーの中でも化学的活性
が激しく、反応し且つ重合し易い物質であって、不純物
や器壁、管壁、バルブなどの固体表面でコントロールさ
れない重合を起こすことも良く知られており、取り扱い
の困難な物質の一つである。
【0004】希望する優れた性質を有するポリオキシメ
チレンを得るために、重合速度に対応するモノマーを供
給し、余分なホルムアルデヒドを重合系中に導入しない
ような工夫(特公昭33−6099号公報)などが提案
されたが、上記のようなホルムアルデヒドの性質のため
に、重合槽内のスケール生成は、他の重合に比べ著しい
ものである。重合自体が当初うまくできたとしても、ス
ケールの生成により、攪拌不良を起こしたり、ジャケッ
ト又は熱交換器による除熱の伝熱不良のために重合温度
が上昇したり、モノマー供給及び重合排出管が閉塞した
り、計器へのスケール付着による誤作動等が生じたりし
て、重合の継続が不可能となる。このようなことはホル
ムアルデヒドの研究、開発に従事した技術者は周知のと
ころである。それぞれに工夫、改良を行っているようで
はあるが、それらの殆どは不満足なものである。ホルム
アルデヒドの重合では、気液接触にかかわる装置に関す
る米国特許第3172736号明細書にもスケールの生
成付着を阻止するための工夫がみられるが、スプレーノ
ズルの閉塞・気液界面でのスケール生成など非常に重大
な工学的欠陥を内蔵している。
【0005】本発明者らは先の検討で、スケール対策と
して反応器壁面温度を反応の天井温度より高くすること
で、スケールの生成付着が防止できることを見い出し
た。しかし、反応器の伝熱面積が大きく、従来発生して
いた重合熱に対し壁面加熱によるプロセスへの入熱が著
しく増大し、除熱のために従来以上の設備が必要とな
り、スケール対策としては現実的なものではなかった。
さらに、ガス状のモノマーと選択された重合触媒を含む
不活性媒体との気液接触界面積を改善することにより、
単位体積及び単位時間当たりポリマー収率の極めて高い
重合方式を考案し研究開発を行い、スケールの生成付着
を抑制する検討を進めてきた。これまでの攪拌装置を付
帯する縦型円筒式反応器を用いたガス状モノマーの重合
において、スケールの生成付着は、触媒濃度及びモノマ
ー濃度が高いと考えられる部位、及び攪拌速度が小さ
く、内容物の流動が激しくない部分、即ちバッフルデッ
ド部、攪拌翼シャフト部に特に多く見られた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ガス状モノ
マーの重合において、単位体積及び単位時間当たり高い
ポリマー収率を維持し、且つ連続運転の障害となる重合
スケールの生成を抑制し、さらに除熱システムを軽減す
ることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決するために、特にスケール削減と均一混合の二点に
ついて鋭意検討を行った結果、旋回流と気液同時吹き込
み方式を用いることにより、簡便で且つ従来プロセスの
寿命を大きく延長できる重合方法及び重合装置を見い出
した。以下この装置のことをプレリアクターと呼ぶ。即
ち、本発明は、重合触媒を含む不活性媒体にガス状のモ
ノマーを供給して重合する方法において、重合装置での
攪拌混合は該装置の接線方向から不活性媒体及び/又は
重合触媒を含む不活性媒体及び/又は重合スラリーを導
入して旋回流を形成することで行い、且つガス状モノマ
ーの供給は、重合触媒を含む不活性媒体及び/又は重合
スラリーと気液接触後、該装置本体に吹き込むことで連
続的に反応させることを特徴とするガス状モノマーの重
合方法に関する。また、該旋回流が、該装置本体の壁面
から10mm以内の重合スラリーの線速を0.5m/s
ec以上に保つことを特徴とする重合方法に関する。
【0008】さらに、該攪拌混合が、該装置本体の壁面
から10mm以内の重合スラリー中のモノマー濃度を、
重合スラリー中に溶解する飽和モノマー濃度未満にし、
該装置中央部に比べ低く保つことを特徴とする重合方法
に関する。またさらに、該モノマーの供給が、該装置本
体に供給する以前に、0.5m/sec以上の線速をも
った重合触媒を含む不活性媒体及び/又は重合スラリー
中に行われ、気液接触後の混合液を該装置本体に吹き込
むことを特徴とする重合方法に関する。またさらに、該
装置壁面及びモノマー供給部が、不活性媒体の沸点以上
に加熱されていることを特徴とする重合方法に関する。
【0009】また、重合触媒を含む不活性媒体にガス状
のモノマーを導入して重合する装置において、図1に示
すプレリアクターのモノマー供給部は、プレリアクター
本体前部天板の中心より偏心した位置に、モノマー分散
の為の重合触媒を含む不活性媒体及び/又は重合スラリ
ーのサブ供給管[c]が接続され、管[c]にはモノマ
ー供給管[a]が接続し、且つ供給管[c]と[a]の
合流部及びプレリアクターの壁面はスチーム供給管又は
加熱装置[d]が接続していて該壁面が加熱できる構造
を有し、且つ該プレリアクター本体には接線方向に不活
性媒体及び/又は重合触媒を含む不活性媒体及び/又は
重合スラリーを噴出できる供給管[b]が接続されたガ
ス状モノマー連続反応装置に関する。
【0010】さらに、該プレリアクターが、旋回流を妨
げない構造を有することを特徴とする連続反応装置に関
する。またさらに、該プレリアクターの供給管[b]
が、管から噴出する不活性媒体及び/又は重合触媒を含
む不活性媒体及び/又は重合スラリーの、該プレリアク
ター本体の壁面から10mm以内の線速を、0.5m/
sec以上に保つ管数と管径及び噴出構造とを有するこ
とを特徴とする連続反応装置に関する。またさらに、該
プレリアクターが、本体の壁面から10mm以内の重合
スラリー中のモノマー濃度を、重合スラリー中に溶解す
る飽和モノマー濃度未満に保つ本体長さと径及びサブ供
給管とを有することを特徴とする連続反応装置に関す
る。
【0011】またさらに、該プレリアクターの供給管
[c]が、供給管[a]と合流する部分の重合触媒を含
む不活性媒体及び/又は重合スラリーの線速を、0.5
m/sec以上に保つ径を有することを特徴とする連続
重合装置に関する。またさらに、該プレリアクターのス
チーム供給管又は加熱装置[d]が、該プレリアクター
の壁面及びモノマー供給部の壁面温度を、不活性媒体の
沸点以上に保つ構造を有することを特徴とする連続重合
装置に関する。
【0012】図2に本発明における重合プロセスの一例
を示す。この図において、(1)はプレリアクター、
(2)はメインリアクター、(3)は熱交換器、(4)
は循環ポンプ、(5)は抜き出し導管である。また、
[a]はガス状モノマー、[b]は不活性媒体、重合触
媒、連鎖移動剤といった混合媒体の供給である。ここで
は、大部分の循環スラリーは旋回流形成のため、プレリ
アクターの接線方向から導入する。また、ガス状モノマ
ーは一部のスラリーと混合後、プレリアクターに供給す
る。プレリアクターでは効率的に反応を促進し、メイン
リアクターで反応を完結させる。メインリアクターから
のスラリーは、重合熱を除去した後、ポンプにより系内
を循環する。連続反応に応じてスラリー濃度を調整する
ため、途中、循環スラリーの一部抜き出し及び混合媒体
の供給を行う。ここでは、重合スラリーを循環させて連
続反応を行っているが、セントル等の分離器を設けてポ
リマーと混合媒体とを分離後、混合媒体のみをプレリア
クターに戻してもよい。また或いは、循環するのではな
く、常に新しい混合媒体を供給するプロセスでもかまわ
ない。また、必要に応じてプレリアクターで反応を完結
してもかまわない。
【0013】図1に本発明におけるプレリアクターの一
例を示す。ここでは、横型のプレリアクターを示すが、
縦型でもよい。プレリアクターは円筒型で、スケール付
着の原因となる攪拌翼、バッフル等は設置しない。プレ
リアクターの形状は、必要とする条件により円錐型、さ
らには楕円柱・多角柱等旋回流を妨げない型であれば、
いずれのものを採用してもかまわない。プレリアクター
の構成は、(1)のモノマーガスの吹き込みに関わるモ
ノマー供給部、(2)の重合スラリーを導入し、旋回流
を形成するプレリアクター本体、(3)のメインリアク
ター又は次の工程への連結部よりなる。
【0014】図1において、モノマー供給部では、重合
スラリーの一部を[c]より導入し、この導管に[a]
よりモノマーガスを吹き込み、モノマーとスラリーを気
液接触後、混合した状態で本体に供給する。プレリアク
ターにおいて理想的な混合状態を作り出すため、[a]
から導入する重合スラリーの線速は、0.5m/sec
以上、好ましくは1.0m/sec以上がよい。これと
同様の供給口を二箇所又は数カ所設けてもかまわない。
供給口を本体前部天板に設置する場合、中心から偏心さ
せた位置の方が好ましい。また、図1の[A]に示すよ
うに供給口を本体内部に設置してもかまわない。供給口
は、必要とする条件により吹き込み角度を設けてもかま
わない。さらに、ここでモノマーガスの供給速度は低い
方が良い。上記に示したモノマーの供給方法により、プ
レリアクターの単位体積あたりのポリマー収率は格段に
向上する。図中のZX面及びYZ面等の表記は、XY平
面を水平面、高さ方向をZとした場合の直行座標におけ
る平面を表す。
【0015】また図1において、プレリアクターの本体
では、底部円形に対し、[b]のように壁面から接線方
向に重合スラリーを導入することで攪拌翼と同等、又は
それ以上の攪拌力を生み出す。この導入するスラリーは
反応が完了し、溶解しているモノマー濃度ができるだけ
低い方が好ましい。また、この導入するスラリー中の触
媒濃度もできるだけ低い方が好ましい。スラリーの導入
箇所は旋回流を妨げない同回転方向であれば、[B]の
ように数カ所設けてもかまわない。スラリーの導入は、
必要とする条件により導入角度を設けてもかまわない。
【0016】この旋回流によって形成された流動によ
り、図3の斜線部に示すようにモノマーガス及び高濃度
モノマー溶液は、プレリアクターの中央に存在し、本体
中央に比べ壁面のモノマー濃度は低くなる。スケール生
成を抑制するためには、壁面より10mm以内のモノマ
ー濃度は飽和モノマー濃度未満、好ましくはその1/2
未満がよい。さらに形成した旋回流が管壁に付着したス
ケールを機械的な力により掻き落とすため、スケールの
成長は抑制される。スケール付着を抑制するためには、
この壁面から10mm以内での旋回速度は、0.5m/
sec以上、好ましくは1.0m/sec以上がよい。
ここで旋回流とは、円周方向と円の中心から垂直方向と
に速度をもつ螺旋状の流れのことをいう。
【0017】さらに図1において、プレリアクター全
体、好ましくはモノマー供給部及び本体前部天板を
[d]に示すように、スチームで壁面温度を不活性媒体
の沸点以上、好ましくはこの反応の天井温度以上に加熱
する。壁面の加熱は、スチームの他に適当な熱源であれ
ばなんでもよい。これにより高濃度のモノマー溶液が壁
面に接しても、スケール生成は抑制できる。本体及び連
結部は、旋回流速及び旋回の維持、また必要とする反応
率に応じて、適当な長さ、L/D及び絞り比を選ぶこと
が好ましい。図1の中で、[e]はスチームドレーン抜
き、[f]は本体ガス抜き、[g]は本体ドレーン抜き
である。
【0018】
【発明の実施の形態】
【実施例】本発明では、ガス状モノマーの重合を代表し
てホルムアルデヒドの重合について実験を実施し、これ
によって装置の開発を行った。以降ホルムアルデヒドの
重合を実施例として、発明をさらに詳細に説明する。従
来のプロセスにおけるホルムアルデヒドの重合は、例え
ば、ホルムアルデヒドをモノマー、四級アンモニウム塩
を重合触媒、無水酢酸を連鎖移動剤、ヘキサンを不活性
有機媒体として、これらを連続的に供給して重合を行う
ものであった。重合を行う反応器は、通常の、例えばパ
ドル翼、ファウドラー翼等の攪拌翼を付帯した縦型円筒
のものが用いられていた。
【0019】以下に記す実施例及び比較例は、図4に示
すプロセスで行った。ここで混合媒体は、重合触媒とし
て四級アンモニウム塩を、連鎖移動剤として無水酢酸
を、不活性有機媒体としてn−ヘキサンを用い、循環し
ている重合スラリーに供給した。重合後のスラリーは、
冷却装置で48℃に調整した。また、スラリー濃度を2
0wt%に保つように、モノマーガス及び混合媒体の供
給とスラリーの排出をコントロールし、連続的に反応さ
せた。実験実施中、粒径分布は一定であり変化は無かっ
た。
【0020】比較例1を除き、プレリアクターの本体最
後部で壁面から5mm深さ位置における重合スラリーの
流速を測定した。本体最後部の測定部分は図3及び図5
から図7の*の箇所である。この壁面流速の測定には、
DANTEC社製のLDV(レーザードップラー流量
計)を用いた。この測定では、比較例3を除き、全て
0.5m/sec以上であった。また、比較例1を除
き、プレリアクターの長さ方向1/4、1/2、3/4
の位置で壁面から5mm深さ位置における重合スラリー
のモノマー濃度を分析した。
【0021】長さ方向の分析位置は図3及び図5から図
7の+の箇所である。スラリー中の溶解しているホルム
アルデヒド量は、サンプリングしたスラリーをエタノー
ルと混合し、溶解しているホルムアルデヒドをエタノー
ルに吸収させ、固形分を濾過した後、この濾液をガスク
ロマトグラフにかけ、絶対検量線法を用いて、この濃度
から定量した。48℃に調整した重合スラリーを攪拌混
合し、そこにホルムアルデヒドガスを一定時間導入し、
上記方法を用いて飽和モノマー濃度を求めた。このとき
の飽和モノマー濃度は、2000wtppmであった。
【0022】実施例及び比較例で示しているホルムアル
デヒド重合体の反応率とは、供給したモノマー量と未反
応モノマー量から求めた。供給したモノマー量とは、重
合反応のために供給しているホルムアルデヒド量であ
る。未反応モノマー量とは、重合後のモノマー量から重
合前のスラリー中に溶解しているホルムアルデヒド量を
差し引いた値である。重合前のスラリーに溶解している
ホルムアルデヒドの定量は、上記壁面の重合スラリー中
の溶解ホルムアルデヒド量の定量と同様にして行った。
これにより未反応モノマー量を求めた。
【0023】重合後のモノマー量とは、重合後の気液混
相に不活性のイナートガスを所定量流しながら、気液を
分離して、スラリー側及びガス側をそれぞれ分析するこ
とで求めた。スラリー側の分析は、上記壁面の重合スラ
リー中の溶解ホルムアルデヒド量の定量と同様にして行
った。一方、ガス側の分析は、混合しているイナートガ
ス及び未反応ガスを直接注射器によりサンプリングし、
これをガスクロマトグラフにかけ、イナートガスに対す
る内部標準法により定量した。以上のような方法で重合
後のモノマー量を求めた。尚、分析で使用したガスクロ
は、島津製作所製のGC−14A(TCD検出器)、カ
ラム充填材は、WATERS社製のポラパックTであ
る。反応率を求める式を整理すると、以下の式(1)〜
(3)のように表すことができる。
【0024】
【数1】
【0025】
【数2】
【0026】
【数3】
【0027】また、スケール成長速度は、各条件下で1
0時間運転し、ミツトヨ製の内側用マイクロメーターに
よる測定から導出した値である。実施例1〜3及び比較
例1〜3を表1に示した。この表から明らかなように、
本発明の重合方法及び重合装置は、非常に優れたスケー
ル成長速度及び反応率を示している。
【0028】
【実施例1】実施例1においては、図3に示したような
プレリアクターを用いて、四級アンモニウム塩(5.0
×10-5mol/ホルムアルデヒドmol)及び無水酢
酸(6.5×10-4mol/ホルムアルデヒドmol)
を含むn−ヘキサンとホルムアルデヒドを連続的に供給
して重合を行った。重合スラリーは、プレリアクター本
体に6m3 /hを線速20.0m/secで、モノマー
供給側に1m3 /hを線速1.0m/secで導入し
た。ホルムアルデヒドは、35kg/hを線速140.
0m/secで供給した。プレリアクターのサイズは2
60φ×400mmであった。モノマーとスラリーの合
流部及び本体前部天板は150℃に加熱した。壁面での
ホルムアルデヒド濃度は最大で800wtppmであっ
た。このときのプレリアクター出の反応率は70%で、
スケール成長速度は最大0.01mm/hであった。メ
インリアクターの容積はプレリアクターの16倍有り、
加熱部分は無く、翼により攪拌されている。メインリア
クター出側の反応率は、約100%であった。また、メ
インリアクターでのスケール成長速度は、最大0.5m
m/hであった。
【0029】
【実施例2】実施例2においては、図3に示したような
プレリアクターを用いて、四級アンモニウム塩(2.5
×10-5mol/ホルムアルデヒドmol)及び無水酢
酸(6.5×10-4mol/ホルムアルデヒドmol)
を含むn−ヘキサンとホルムアルデヒドを連続的に供給
して重合を行った。重合スラリーは、プレリアクター本
体に7m3 /hを線速14.0m/secで、モノマー
供給側に1.0m3 /hを線速1.0m/secで導入
した。ホルムアルデヒドは、35kg/hを線速14
0.0m/secで供給した。プレリアクターのサイズ
は260φ×500mmであった。モノマーとスラリー
の合流部及び本体前部天板は、150℃に加熱した。壁
面でのホルムアルデヒド濃度は最大で900wtppm
であった。このときのプレリアクター出の反応率は65
%で、スケール成長速度は最大0.02mm/hであっ
た。
【0030】
【実施例3】実施例3においては、図5に示したような
プレリアクターを用いて、四級アンモニウム塩(5.0
×10-5mol/ホルムアルデヒドmol)及び無水酢
酸(6.5×10-4mol/ホルムアルデヒドmol)
を含むn−ヘキサンとホルムアルデヒドを連続的に供給
して重合を行った。重合スラリーは、プレリアクター本
体に6m3 /hを線速20.0m/secで、モノマー
供給側に1m3 /hを線速1.0m/secで導入し
た。ホルムアルデヒドは、35kg/hを線速140.
0m/secで供給した。プレリアクターのサイズは2
60φ×500mmであった。モノマーとスラリーの合
流部及び本体前部天板は150℃に加熱した。壁面での
ホルムアルデヒド濃度は最大で950wtppmであっ
た。このときのプレリアクター出の反応率は75%で、
スケール成長速度は最大0.02mm/hであった。
【0031】
【比較例1】比較例1においては、プレリアクターを設
置せず、重合スラリーをメインリアクターに戻し、ホル
ムアルデヒドは直接メインリアクターに吹き込む方法で
連続的に重合を行った。重合触媒、連鎖移動剤及び不活
性有機媒体として、四級アンモニウム塩(5.0×10
-5mol/ホルムアルデヒドmol)、無水酢酸(6.
5×10-4mol/ホルムアルデヒドmol)及びn−
ヘキサンを用いた。重合スラリーは、メインリアクター
に7m3 /hで供給した。ホルムアルデヒドは、35k
g/hを線速140.0m/secで供給した。メイン
リアクターは加熱しなかった。メインリアクターのサイ
ズは実施例1のプレリアクターの16倍の容積で、付帯
する攪拌翼のチップスピードは6m/secであった。
このとき、メインリアクター出側の反応率は、約100
%でスケール成長速度は最大で2.0mm/hであっ
た。メインリアクターのスケールは、バッフルデッド部
や攪拌翼シャフト部周辺での流速が低く、さらにモノマ
ーガスは中心又は攪拌により反応器壁面まで運ばれ、こ
こでのモノマー濃度が高くなるために、スケール成長速
度が大きくなった。
【0032】
【比較例2】比較例2においては、図6に示すようなプ
レリアクターを用いて、ホルムアルデヒドは直接プレリ
アクターに吹き込む方法で連続的に重合を行った。重合
触媒、連鎖移動剤及び不活性有機媒体として、四級アン
モニウム塩(5.0×10-5mol/ホルムアルデヒド
mol)、無水酢酸(6.5×10-4mol/ホルムア
ルデヒドmol)及びn−ヘキサンを用いた。重合スラ
リーは、プレリアクター本体に7m3 /hを線速14.
0m/secで導入した。ホルムアルデヒドは、35k
g/hを線速140.0m/secで供給した。プレリ
アクターのサイズは260φ×400mmであった。本
体前部天板は、150℃に加熱した。壁面でのホルムア
ルデヒド濃度は最大で600wtppmであった。この
ときのプレリアクター出の反応率は10%で、スケール
成長速度は最大0.005mm/hであった。壁面での
スケールは抑制されたが、モノマーを直接吹き込んだた
め、スラリーへの分散・混合が悪く、反応率が高くなら
なかった。
【0033】
【比較例3】比較例3においては、図7に示すようなプ
レリアクターを用いて、四級アンモニウム塩(5.0×
10-5mol/ホルムアルデヒドmol)、無水酢酸
(6.5×10-4mol/ホルムアルデヒドmol)を
含むn−ヘキサンとホルムアルデヒドを連続的に供給し
て重合を行った。重合スラリーは、プレリアクター本体
に6m3 /hを線速20.0m/secで、モノマー供
給側に1m3 /hを線速1.0m/secで導入した。
ホルムアルデヒドは、35kg/hを線速140.0m
/secで供給した。プレリアクターのサイズは260
φ×500mmであった。モノマーと重合スラリーの合
流部及び本体前部天板は150℃に加熱した。壁面での
ホルムアルデヒド濃度は、モノマーガスが接触する部分
もあり、最も高いところでは2000wtppm以上で
あった。このときのプレリアクター出の反応率は70%
であったが、スケール成長速度は最大2.0mm/hで
数時間で連続運転が困難となった。モノマーが分散し、
高い反応率が得られたが、旋回流が無いため、壁面のモ
ノマー濃度が高くなり、スケール成長速度が大きくなっ
た。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】本発明を利用すると、単位体積及び単位
時間当たり高いポリマー収率を維持でき、且つ連続運転
の障害となる重合スケールを抑制でき、さらに除熱シス
テムを軽減することが可能となるため、ガス状モノマー
の重合方法及び重合装置として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の重合装置の一例として示したプレリア
クターの図である。
【図2】本発明の重合プロセスの一例を示した図であ
る。
【図3】本発明の実施例1及び2における重合装置とし
て示した横型プレリアクターの図である。図中の斜線部
は、ガス状モノマー及び高濃度モノマー部分をイメージ
した箇所を示す。
【図4】実施例及び比較例で扱ったプロセス概略図であ
る。
【図5】本発明の実施例3における重合装置として示し
た縦型プレリアクターの図である。図中の斜線部は、ガ
ス状モノマー及び高濃度モノマー部分をイメージした箇
所を示す。
【図6】比較例2の重合装置として示したプレリアクタ
ーの図である。図中の斜線部は、ガス状モノマー及び高
濃度モノマー部分をイメージした箇所を示す。
【図7】比較例3の重合装置として示したプレリアクタ
ーの図である。図中の斜線部は、ガス状モノマー及び高
濃度モノマー部分をイメージした箇所を示す。
【符号の説明】
(図1において) [a] モノマーの供給 [b] 旋回流形成のための重合スラリーのメイン供給 [c] モノマー分散のための重合スラリーのサブ供給 [d] モノマー合流部及び天板加熱用のスチーム供給 [e] スチームドレーン抜き出し [f] 液満たし用ガス抜き [g] プレリアクタードレーン抜き出し (1) モノマー供給部 (2) プレリアクター本体 (3) 連結部 [A] モノマー供給部増設例 [B] 旋回流形成のための重合スラリー供給部増設例 (図2において) [a] モノマーの供給 [b] 不活性媒体、重合触媒及び連鎖移動剤の供給 (1) プレリアクター (2) メインリアクター (3) 熱交換器 (4) ポンプ (5) 抜き出し導管 (図3において) [a] モノマーの供給 [b] 旋回流形成のための重合スラリーのメイン供給 [c] モノマー分散のための重合スラリーのサブ供給 * 流速測定箇所 + モノマー濃度測定箇所 斜線部 ガス状モノマー及び高濃度モノマー部分のイメ
ージ (図5において) [a] モノマーの供給 [b] 旋回流形成のための重合スラリーのメイン供給 [c] モノマー分散のための重合スラリーのサブ供給 * 流速測定箇所 + モノマー濃度測定箇所 斜線部 ガス状モノマー及び高濃度モノマー部分のイメ
ージ (図6において) [a] モノマーの供給 [b] 旋回流形成のための重合スラリーの供給 * 流速測定箇所 + モノマー濃度測定箇所 斜線部 ガス状モノマー及び高濃度モノマー部分のイメ
ージ (図7において) [a] モノマーの供給 [b] 重合スラリーの供給 [c] モノマー分散のための重合スラリーのサブ供給 * 流速測定箇所 + モノマー濃度測定箇所 斜線部 ガス状モノマー及び高濃度モノマー部分のイメ
ージ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 曽根 辰夫 岡山県倉敷市潮通3丁目13番1 旭化成工 業株式会社内 Fターム(参考) 4J032 AA02 AA05 AC02 AC13 AC16 AC49 AD25

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合触媒を含む不活性媒体にガス状のモ
    ノマーを供給して重合する方法において、重合装置での
    攪拌混合は該装置の接線方向から不活性媒体及び/又は
    重合触媒を含む不活性媒体及び/又は重合スラリーを導
    入して旋回流を形成することで行い、且つガス状モノマ
    ーの供給は、重合触媒を含む不活性媒体及び/又は重合
    スラリーと気液接触後、該装置本体に吹き込むことで連
    続的に反応させることを特徴とするガス状モノマーの重
    合方法。
  2. 【請求項2】 該旋回流が、該装置本体の壁面から10
    mm以内の重合スラリーの線速を0.5m/sec以上
    に保つことを特徴とする請求項1記載の重合方法。
  3. 【請求項3】 該攪拌混合が、該装置本体の壁面から1
    0mm以内の重合スラリー中のモノマー濃度を、重合ス
    ラリー中に溶解する飽和モノマー濃度未満にし、該装置
    中央部に比べ低く保つことを特徴とする請求項1又は2
    記載の重合方法。
  4. 【請求項4】 該モノマーの供給が、該装置本体に供給
    する以前に、0.5m/sec以上の線速をもった重合
    触媒を含む不活性媒体及び/又は重合スラリー中に行わ
    れ、気液接触後の混合液を該装置本体に吹き込むことを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の重合方法。
  5. 【請求項5】 該装置壁面及びモノマー供給部が、不活
    性媒体の沸点以上に加熱されていることを特徴とする請
    求項1〜4のいずれかに記載の重合方法。
  6. 【請求項6】 重合触媒を含む不活性媒体にガス状のモ
    ノマーを導入して重合する装置において、図1に示すプ
    レリアクターのモノマー供給部は、プレリアクター本体
    前部天板の中心より偏心した位置に、モノマー分散の為
    の重合触媒を含む不活性媒体及び/又は重合スラリーの
    サブ供給管[c]が接続され、管[c]にはモノマー供
    給管[a]が接続し、且つ供給管[c]と[a]の合流
    部及びプレリアクターの壁面はスチーム供給管又は加熱
    装置[d]が接続していて該壁面が加熱できる構造を有
    し、且つ該プレリアクター本体には接線方向に不活性媒
    体及び/又は重合触媒を含む不活性媒体及び/又は重合
    スラリーを噴出できる供給管[b]が接続されたガス状
    モノマーの連続反応装置。
  7. 【請求項7】 該プレリアクターが、旋回流を妨げない
    構造を有することを特徴とする請求項6記載の連続反応
    装置。
  8. 【請求項8】 該プレリアクターの供給管[b]が、管
    から噴出する不活性媒体及び/又は重合触媒を含む不活
    性媒体及び/又は重合スラリーの、該プレリアクター本
    体の壁面から10mm以内の線速を、0.5m/sec
    以上に保つ管数と管径及び噴出構造とを有することを特
    徴とする請求項6又は7記載の連続反応装置。
  9. 【請求項9】 該プレリアクターが、本体の壁面から1
    0mm以内の重合スラリー中のモノマー濃度を、重合ス
    ラリー中に溶解する飽和モノマー濃度未満に保つ本体長
    さと径及びサブ供給管とを有することを特徴とする請求
    項6〜8のいずれかに記載の連続反応装置。
  10. 【請求項10】 該プレリアクターの供給管[c]が、
    供給管[a]と合流する部分の重合触媒を含む不活性媒
    体及び/又は重合スラリーの線速を、0.5m/sec
    以上に保つ径を有することを特徴とする請求項6〜9の
    いずれかに記載の連続反応装置。
  11. 【請求項11】 該プレリアクターのスチーム供給管又
    は加熱装置[d]が、該プレリアクターの壁面及びモノ
    マー供給部の壁面温度を、不活性媒体の沸点以上に保つ
    構造を有することを特徴とする請求項6〜10のいずれ
    かに記載の連続反応装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015123384A (ja) * 2013-12-25 2015-07-06 月島機械株式会社 連続反応装置及び無機粒子の連続反応晶析方法
CN111495285A (zh) * 2020-06-05 2020-08-07 扬州普立特科技发展有限公司 一种环保型卧式内循环搅拌反应器
CN114247411A (zh) * 2021-12-23 2022-03-29 华北理工大学 连续流共沉淀制备类水滑石的装置与方法

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