JP2001336935A - 圧電振動ジャイロ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 外部から振動や衝撃が加わって圧電振動子の
複数の固有振動数における各々差成分により歳差運動を
起こしても低ノイズで高精度な特性を保持できる圧電振
動ジャイロを提供すること。 【解決手段】 この圧電振動ジャイロの支持構造では、
一軸方向（Ｘ軸方向）に延びた角柱棒状の圧電振動子１
における屈曲振動ノード近傍の総計８箇所に対し、８個
の弾性材質から成る支持部材３ａ，３ｂの一端側を固定
すると共に、各支持部材３ａ，３ｂの他端側を絶縁性部
材２に固定して構成されている。ここでは、各支持部材
３ａ，３ｂが弾性の異なるものを含むように異なる形状
となっているため、外部から振動や衝撃が加わって圧電
振動子１の複数の固有振動数における各々差成分により
歳差運動を起こしても、その周波数が高くなってローパ
スフィルタによってノイズレべルを低減させることが可
能になる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、主として自動車の
ナビゲーションシステムやカメラ一体型ＶＴＲの手振れ
防止装置等に用いられるジャイロスコープに属されると
共に、棒状屈曲振動を利用した圧電振動ジャイロに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の圧電振動ジャイロは、振
動している物体に回転角速度が与えられると、その振動
方向と垂直な方向にコリオリ力が生じるという力学現象
を利用したジャイロスコープとして知られている。

【０００３】一般に、圧電振動ジャイロでは、互いに直
交する２つの異なる方向の励振とその検出とが可能であ
るように構成した複合振動系において、一方の振動を励
振した状態で振動体（圧電振動子）自体を２つの振動面
が交わる線と平行な軸を中心軸として回転させると、上
述したコリオリ力の作用によりこの振動と直角な方向に
力が作用し、その方向に新たに他方の振動が振動され
る。この新たな振動の大きさは、入力側の振動の大きさ
及び振動体に加えられた回転角速度に比例するため、入
力電圧を一定にした場合、出力電圧の大きさから回転角
速度の大きさを求めることができる。因みに、振動体に
電極パターンが形成された状態では、入力側の振動の大
きさは振動体の駆動電極に印加される入力電圧としての
駆動電圧により発生する駆動振動の振幅を示し、出力電
圧は検出電極から得られる検出電圧となる。

【０００４】図６は、従来の圧電振動ジャイロの要部を
成す圧電振動子１の支持構造を示した斜視図である。こ
こでの支持構造は、一軸方向（Ｘ軸方向）に延びた屈曲
振動子である角柱棒状の圧電振動子１における屈曲振動
ノード近傍として、圧電振動子１の一軸方向と垂直な他
軸方向（Ｙ軸方向）で対向する一つの両側面において一
軸方向に沿って第１の間隔を隔てた箇所であって、且つ
一軸方向（Ｘ軸方向）及び他軸方向（Ｙ軸方向）と垂直
な厚さ方向を示す別軸方向（Ｚ軸方向）に沿って第２の
間隔を隔てた総計８箇所に対し、それぞれ同じ形状で同
一な弾性材質（同じばね定数を有することを示す）の８
個の支持部材３ａの一端側を固定すると共に、各支持部
材３ａの他端側を絶縁性部材２に固定して構成されてい
る。

【０００５】即ち、ここでの圧電振動子１の支持構造
は、一般に圧電振動子１における厚さ方向である別軸方
向（Ｚ軸方向）の駆動振動、並びに一軸方向（Ｘ軸方
向）及び別軸方向（Ｚ軸方向）と垂直な他軸方向（Ｙ軸
方向）の検出振動の阻害を極力防止するため、圧電振動
子１を屈曲振動ノード近傍の総計８箇所において弾性材
質の支持部材３ａの一端側で支え、且つ各支持部材３ａ
の他端側を絶縁性部材２に固定した構成となっている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上述した圧電振動ジャ
イロにおける圧電振動子の支持構造の場合、外部から振
動や衝撃が加わって圧電振動子が慣性力により変位する
と、これに伴って弾性を有する各支持部材が変形し、こ
のときに各支持部材が復元力を持つために周期的な運動
を起こすが、こうした運動は圧電振動子の屈曲振動に乱
れを生じさせ、ノイズとなって出力されるため、特性的
に好ましくないという問題がある。

【０００７】ここで生じる運動は、加えられた振動や衝
撃の波形の種類によって、圧電振動子の質量と支持部材
の弾性とから決定される固有振動数（周波数）の振動と
なったり、或いは過渡振動となる場合がある。因みに、
支持部材の弾性はその形状から応力の加わる方向によっ
て異なり、上述した固有周波数も複数存在することにな
る。

【０００８】そこで、こうした不要な運動を防止するた
めの対策として、従来では固有振動数が検出しようとす
る角速度の周波数範囲よりも十分高くなるように、圧電
振動子を軽くするか、或いは支持部材を硬くした上、ロ
ーパスフィルタを用いてノイズレべルを低減させてい
る。

【０００９】ところが、こうした対策による場合、複数
の固有振動数における各々差成分により生じる運動、即
ち、歳差運動によって発生するノイズについては考慮さ
れておらず、この歳差運動よりも発生するノイズレべル
が大きくなってしまうため、特性的に好ましくないとい
う問題点を抱えている。

【００１０】図６を参照して具体的に言えば、特に別軸
方向（Ｚ軸方向）を含む駆動振動面と他軸方向（Ｙ軸方
向）を含む検出振動面とが交わる一軸方向（Ｘ軸方向）
に対して平行な軸を中心に回転する歳差運動は、ジャイ
ロとして検出しなければならない角速度の軸と一致する
上、支持部材の形状が同一であるが故にその弾性の差が
製造ばらつきの僅かな差しかないことによって振動数も
低くなるため、結果としてそれ以外の軸方向（Ｙ軸方
向，Ｚ軸方向）を中心として起こる歳差運動の影響より
も発生するノイズレべルが大きくなり、特性的に好まし
くないものとなっている。

【００１１】要するに、従来の圧電振動ジャイロにおけ
る圧電振動子の支持構造の場合、外部から振動や衝撃が
加わって圧電振動子の複数の固有振動数における各々差
成分により歳差運動を起こすと、これによって発生する
ノイズが低い振動数（周波数）であるためにローパスフ
ィルタで低減させることができずに特性劣化を引き起こ
しているという問題がある。

【００１２】本発明は、このような問題点を解決すべく
なされたもので、その技術的課題は、外部から振動や衝
撃が加わって圧電振動子の複数の固有振動数における各
々差成分により歳差運動を起こしても低ノイズで高精度
な特性を保持できる圧電振動ジャイロを提供することに
ある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、屈曲振
動子として働く圧電振動ジャイロ用の圧電振動子におけ
る屈曲振動ノード近傍の表面に該圧電振動子を支持する
ための弾性材質から成る複数の支持部材が配備された圧
電振動ジャイロにおいて、複数の支持部材は、弾性の異
なるものを含む圧電振動ジャイロが得られる。この圧電
振動ジャイロにおいて、複数の支持部材は、少なくとも
異なる形状であること及び異なる弾性材質であることの
何れか一方の条件を満たすものであることは好ましい。

【００１４】又、本発明によれば、上記圧電振動ジャイ
ロにおいて、圧電振動子は、一軸方向に延びた角柱棒状
の形状であり、複数の支持部材は、圧電振動子の一軸方
向と垂直な他軸方向で対向する一つの両側面において該
一軸方向に沿って第１の間隔を隔てた箇所であって、且
つ該一軸方向及び該他軸方向と垂直な別軸方向に沿って
第２の間隔を隔てた総計８箇所に対し、該第２の間隔に
あっての一方側の組を成す４箇所のものと他方側の組を
成す４箇所のものとが同組同士でそれぞれ同じ形状で同
じ弾性材質とされると共に、該一方側の組を成す４箇所
のもの及び該他方側の組を成す４箇所のものが異組同士
で異なる形状で異なる弾性材質か、或いは同じ弾性材質
とされるように８個のものが用いられた圧電振動ジャイ
ロが得られる。

【００１５】更に、本発明によれば、上記圧電振動ジャ
イロにおいて、圧電振動子は、一軸方向に延びた円柱棒
状の形状であり、複数の支持部材は、圧電振動子の一軸
方向と垂直な他軸方向で対向する側面の局部において該
一軸方向に沿って第１の間隔を隔てた箇所であって、且
つ該一軸方向及び該他軸方向と垂直な別軸方向に沿って
第２の間隔を隔てた総計８箇所に対し、該第２の間隔に
あっての一方側の組を成す４箇所のものと他方側の組を
成す４箇所のものとが同組同士でそれぞれ同じ形状で同
じ弾性材質とされると共に、該一方側の組を成す４箇所
のもの及び該他方側の組を成す４箇所のものが異組同士
で異なる形状で異なる弾性材質か、或いは同じ弾性材質
とされるように８個のものが用いられた圧電振動ジャイ
ロが得られる。

【００１６】加えて、本発明によれば、上記圧電振動ジ
ャイロにおいて、圧電振動子は、一軸方向に延びた円柱
棒状の形状であり、複数の支持部材は、圧電振動子の一
軸方向に沿った側面の局部、並びに該一軸方向と垂直な
他軸方向で対向する側面の局部において該一軸方向に沿
って第１の間隔を隔てた箇所であって、且つ該一軸方向
及び該他軸方向と垂直な別軸方向に沿って第２の間隔を
隔てた総計６箇所に対し、該第２の間隔にあっての一方
側の組を成す４箇所のものと他方側の組を成す２箇所の
ものとが同組同士でそれぞれ同じ形状で同じ弾性材質と
されると共に、該一方側の組を成す４箇所のもの及び該
他方側の組を成す２箇所のものが異組同士で異なる形状
とされるように６個のものが用いられた圧電振動ジャイ
ロが得られる。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下に幾つかの実施例を挙げ、本
発明の圧電振動ジャイロについて、図面を参照して詳細
に説明する。

【００１８】図１は、本発明の実施例１に係る圧電振動
ジャイロの要部を成す圧電振動子１の支持構造を示した
斜視図である。ここでの支持構造は、一軸方向（Ｘ軸方
向）に延びた屈曲振動子である角柱棒状の圧電振動子１
における屈曲振動ノード近傍として、圧電振動子１の一
軸方向（Ｘ軸方向）と垂直な他軸方向（Ｙ軸方向）で対
向する一つの両側面において一軸方向（Ｘ軸方向）に沿
って第１の間隔ｄ１を隔てた箇所であって、且つ一軸方
向（Ｘ軸方向）及び他軸方向（Ｙ軸方向）と垂直な別軸
方向（Ｚ軸方向）に沿って第２の間隔ｄ２（ここでは第
１の間隔ｄ１よりも小さくなっている）を隔てた総計８
箇所に対し、８個の弾性材質から成る支持部材３ａ，３
ｂの一端側を固定すると共に、各支持部材３ａ，３ｂの
他端側を絶縁性部材２に固定して構成されている。

【００１９】但し、ここでの各支持部材３ａ，３ｂは、
弾性の異なるものを含むように、第２の間隔ｄ２にあっ
ての一方側の組を成す４箇所のもの（支持部材３ａ）と
他方側の組を成す４箇所のもの（支持部材３ｂ）とが同
組同士でそれぞれ同じ形状で同じ弾性材質とされると共
に、一方側の組を成す４箇所のもの（支持部材３ａ）及
び他方側の組を成す４箇所のもの（支持部材３ｂ）が異
組同士で異なる形状（支持部材３ａが略階段状であるの
に対して支持部材３ｂはその角部を緩やかに屈曲させた
形状となっている）で同じ弾性材質（或いは上記した要
件を満たす限りでは異なる弾性材質としても良い）とさ
れるように配備されている。

【００２０】このような圧電振動子１の支持構造を有す
る圧電振動ジャイロの場合、圧電振動子１を支持するた
めの各支持部材３ａ，３ｂが弾性の異なるものを含むよ
うに異なる形状となっているため、外部から振動や衝撃
が加わって圧電振動子１の複数の固有振動数における各
々差成分により歳差運動［特に別軸方向（Ｚ軸方向）を
含む駆動振動面と他軸方向（Ｙ軸方向）を含む検出振動
面とが交わる一軸方向（Ｘ軸方向）に対して平行な軸を
中心に回転する歳差運動］を起こしても、その周波数が
高くなってローパスフィルタによってノイズレべルを低
減させることが可能になり、低ノイズで優れた特性を保
持するものとなる。

【００２１】図２は、本発明の実施例２に係る圧電振動
ジャイロの要部を成す圧電振動子の支持構造を示した斜
視図である。ここでの支持構造の場合、図１の実施例１
のものと比べて同様に一軸方向（Ｘ軸方向）に延びた屈
曲振動子である角柱棒状の圧電振動子１における屈曲振
動ノード近傍として、総計８箇所に各支持部材３ａ，３
ｃを配備しているが、ここでの各支持部材３ａ，３ｃ
は、弾性の異なるものを含むように、第２の間隔ｄ２に
あっての一方側の組を成す４箇所のもの（支持部材３
ａ）と他方側の組を成す４箇所のもの（支持部材３ｃ）
とが同組同士でそれぞれ同じ形状で同じ弾性材質とされ
ると共に、一方側の組を成す４箇所のもの（支持部材３
ａ）及び他方側の組を成す４箇所のもの（支持部材３
ｃ）が異組同士で異なる形状で（支持部材３ａが他軸方
向での長さ寸法がやや大き目な略階段状であるのに対し
て支持部材３ｃは同様な他軸方向での長さ寸法がやや小
さ目な略階段状となっている）同じ弾性材質（或いは上
記した要件を満たす限りでは異なる弾性材質としても良
い）とされるように配備され、これによって各支持部材
３ａ，３ｃの他端側にはそれぞれ別個な絶縁性部材２′
が固定されている。

【００２２】このような圧電振動子１の支持構造を有す
る実施例２に係る圧電振動ジャイロの場合も、圧電振動
子１を支持するための各支持部材３ａ，３ｃが弾性の異
なるものを含むように異なる形状となっているため、実
施例１の場合と同等に歳差運動を抑止し、且つ低ノイズ
で高精度な特性を保持する。

【００２３】図３は、本発明の実施例３に係る圧電振動
ジャイロの要部を成す圧電振動子の支持構造を示した斜
視図である。ここでの支持構造の場合、図１の実施例１
のものと比べて同様に一軸方向（Ｘ軸方向）に延びた屈
曲振動子である角柱棒状の圧電振動子１における屈曲振
動ノード近傍として、総計８箇所に各支持部材３ａ，３
ｄを配備しているが、ここでの各支持部材３ａ，３ｄ
は、弾性の異なるものを含むように、第２の間隔ｄ２に
あっての一方側の組を成す４箇所のもの（支持部材３
ａ）と他方側の組を成す４箇所のもの（支持部材３ｄ）
とが同組同士でそれぞれ同じ形状で同じ弾性材質とされ
ると共に、一方側の組を成す４箇所のもの（支持部材３
ａ）及び他方側の組を成す４箇所のもの（支持部材３
ｄ）が異組同士で異なる形状で（支持部材３ａが略階段
状であるのに対して支持部材３ｄは中央部分がやや膨ら
んだ略階段状となっている）同じ弾性材質（或いは上記
した要件を満たす限りでは異なる弾性材質としても良
い）とされるように配備されている。

【００２４】このような圧電振動子１の支持構造を有す
る実施例３に係る圧電振動ジャイロの場合も、圧電振動
子１を支持するための各支持部材３ａ，３ｄが弾性の異
なるものを含むように異なる形状となっているため、実
施例１の場合と同等に歳差運動を抑止し、且つ低ノイズ
で高精度な特性を保持する。

【００２５】図４は、本発明の実施例４に係る圧電振動
ジャイロの要部を成す圧電振動子１′の支持構造を示し
た斜視図である。ここでの支持構造の場合、図１の実施
例１のものと比べて角柱棒状の圧電振動子１に代え、一
軸方向（Ｘ軸方向）に延びた屈曲振動子である円柱棒状
の圧電振動子１′における屈曲振動ノード近傍に各支持
部材３ａ，３ｂを配備した点が相違している。

【００２６】即ち、ここでは圧電振動子１′の一軸方向
（Ｘ軸方向）と垂直な他軸方向（Ｙ軸方向）で対向する
側面の局部において一軸方向（Ｘ軸方向）に沿って第１
の間隔ｄ１を隔てた箇所であって、且つ一軸方向（Ｘ軸
方向）及び他軸方向（Ｙ軸方向）と垂直な別軸方向（Ｚ
軸方向）に沿って第２の間隔ｄ２（ここでは第１の間隔
ｄ１よりも小さくなっている）を隔てた総計８箇所に対
し、８個の弾性材質から成る支持部材３ａ，３ｂの一端
側を固定すると共に、各支持部材３ａ，３ｂの他端側を
絶縁性部材２に固定して構成されている。

【００２７】このような圧電振動子１′の支持構造を有
する実施例４に係る圧電振動ジャイロの場合も、圧電振
動子１′を支持するための各支持部材３ａ，３ｂが弾性
の異なるものを含むように異なる形状となっているた
め、実施例１の場合と同等に歳差運動を抑止し、且つ低
ノイズで高精度な特性を保持する。

【００２８】尚、ここでの各支持部材３ａ，３ｂにおい
ても、第２の間隔ｄ２にあっての一方側の組を成す４箇
所のもの（支持部材３ａ）と他方側の組を成す４箇所の
もの（支持部材３ｂ）とが同組同士でそれぞれ同じ形状
で同じ弾性材質とされると共に、一方側の組を成す４箇
所のもの（支持部材３ａ）及び他方側の組を成す４箇所
のもの（支持部材３ｂ）が異組同士で異なる形状（支持
部材３ａが略階段状であるのに対して支持部材３ｂはそ
の角部を緩やかに屈曲させた形状となっている）で同じ
弾性材質（或いは上記した要件を満たす限りでは異なる
弾性材質としても良い）とされるように配備されてい
る。

【００２９】図５は、本発明の実施例５に係る圧電振動
ジャイロの要部を成す圧電振動子１″の支持構造を示し
た斜視図である。ここでの支持構造の場合、圧電振動子
１″が実施例４の場合の圧電振動子１′よりも直径の小
さい円柱棒状の形状であり、図４の実施例４のものと比
べて一軸方向（Ｘ軸方向）に延びた屈曲振動子である角
柱棒状の圧電振動子１″における異なる屈曲振動ノード
近傍として、圧電振動子１″の一軸方向（Ｘ軸方向）に
沿った側面の局部、並びに一軸方向と垂直な他軸方向
（Ｙ軸方向）で対向する側面の局部において一軸方向
（Ｘ軸方向）に沿って第１の間隔ｄ１を隔てた箇所であ
って、且つ一軸方向（Ｘ軸方向）及び他軸方向（Ｙ軸方
向）と垂直な別軸方向（Ｚ軸方向）に沿って第２の間隔
ｄ２（ここでは第１の間隔ｄ１よりも小さくなってい
る）を隔てた総計６箇所に対し、６個の弾性材質から成
る支持部材３ａ，３ｅの一端側を固定すると共に、各支
持部材３ａ，３ｅの他端側を絶縁性部材２に固定して構
成されている。

【００３０】但し、ここでの各支持部材３ａ，３ｅは、
弾性の異なるものを含むように、第２の間隔ｄ２にあっ
ての一方側の組を成す４箇所のもの（支持部材３ａ）と
他方側の組を成す２箇所のもの（支持部材３ｅ）とが同
組同士でそれぞれ同じ形状で同じ弾性材質とされると共
に、一方側の組を成す４箇所のもの（支持部材３ａ）及
び他方側の組を成す２箇所のもの（支持部材３ｅ）が異
組同士で同じ弾性材質（或いは上記した要件を満たす限
りでは異なる弾性材質としても良い）で異なる形状（支
持部材３ａが略階段状で他軸方向で対向して配備されて
いるのに対して支持部材３ｅは対向する支持部材３ａを
その方向で延長して合体したハンガー形状で他軸方向に
延びて中心部が圧電振動子１″の表面局部に外接した形
態となっている）とされるように配備されている。

【００３１】このような圧電振動子１″の支持構造を有
する実施例５に係る圧電振動ジャイロの場合も、圧電振
動子１を支持するための各支持部材３ａ，３ｅが弾性の
異なるものを含むように異なる形状となっているため、
実施例１の場合と同等に歳差運動を抑止し、且つ低ノイ
ズで高精度な特性を保持する。

【００３２】即ち、上述した各支持構造を有する各実施
例に係る圧電振動ジャイロの場合、何れの構成において
も圧電振動子１，１′，１″を支持するための各支持部
材３ａ，３ｂ、各支持部材３ａ，３ｃ、各支持部材３
ａ，３ｄ、及び各支持部材３ａ，３ｅが弾性の異なるも
のを含む（少なくとも異なる形状であること及び異なる
弾性材質であることの何れか一方の条件を満たす）よう
にしているため、外部から振動や衝撃が加わって圧電振
動子１，１′，１″の複数の固有振動数における各々差
成分により歳差運動［特に別軸方向（Ｚ軸方向）を含む
駆動振動面と他軸方向（Ｙ軸方向）を含む検出振動面と
が交わる一軸方向（Ｘ軸方向）に対して平行な軸を中心
に回転する歳差運動］を起こしても、その周波数が高く
なってローパスフィルタによってノイズレべルを低減さ
せることが可能となり、結果として低ノイズで優れた特
性を維持することができるものとなる。

【００３３】

【発明の効果】以上に述べた通り、本発明の圧電振動ジ
ャイロによれば、圧電振動ジャイロ用の圧電振動子を支
持するための各支持部材が弾性の異なるものを含む（少
なくとも異なる形状であること及び異なる弾性材質であ
ることの何れか一方の条件を満たす）ようにしているた
め、外部から振動や衝撃が加わって圧電振動子の複数の
固有振動数における各々差成分により歳差運動（特に駆
動振動面と検出振動面とが交わる一軸方向に対して平行
な軸を中心に回転する歳差運動）を起こしても、その周
波数が高くなってローパスフィルタによってノイズレべ
ルを低減させることができるため、低ノイズで高精度な
特性を保持するものとして作製できるようになる。この
結果、外部からの振動や衝撃による負荷を受けて歳差運
動を起こした場合にも、特性が損なわれない従来の圧電
振動ジャイロよりも優れた特性で信頼性の高い圧電振動
ジャイロを提供できるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例１に係る圧電振動ジャイロの要
部を成す圧電振動子の支持構造を示した斜視図である。

【図２】本発明の実施例２に係る圧電振動ジャイロの要
部を成す圧電振動子の支持構造を示した斜視図である。

【図３】本発明の実施例３に係る圧電振動ジャイロの要
部を成す圧電振動子の支持構造を示した斜視図である。

【図４】本発明の実施例４に係る圧電振動ジャイロの要
部を成す圧電振動子の支持構造を示した斜視図である。

【図５】本発明の実施例５に係る圧電振動ジャイロの要
部を成す圧電振動子の支持構造を示した斜視図である。

【図６】従来の圧電振動ジャイロの要部を成す圧電振動
子の支持構造を示した斜視図である。

【符号の説明】

１，１′，１″ 圧電振動子 ２，２′ 支持部材固定台 ３ａ〜３ｅ 支持部材

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 屈曲振動子として働く圧電振動ジャイロ
   用の圧電振動子における屈曲振動ノード近傍の表面に該
   圧電振動子を支持するための弾性材質から成る複数の支
   持部材が配備された圧電振動ジャイロにおいて、前記複
   数の支持部材は、弾性の異なるものを含むことを特徴と
   する圧電振動ジャイロ。
2. 【請求項２】 請求項１記載の圧電振動ジャイロにおい
   て、前記複数の支持部材は、少なくとも異なる形状であ
   ること及び異なる弾性材質であることの何れか一方の条
   件を満たすものであることを特徴とする圧電振動ジャイ
   ロ。
3. 【請求項３】 請求項２記載の圧電振動ジャイロにおい
   て、前記圧電振動子は、一軸方向に延びた角柱棒状の形
   状であり、前記複数の支持部材は、前記圧電振動子の前
   記一軸方向と垂直な他軸方向で対向する一つの両側面に
   おいて該一軸方向に沿って第１の間隔を隔てた箇所であ
   って、且つ該一軸方向及び該他軸方向と垂直な別軸方向
   に沿って第２の間隔を隔てた総計８箇所に対し、該第２
   の間隔にあっての一方側の組を成す４箇所のものと他方
   側の組を成す４箇所のものとが同組同士でそれぞれ同じ
   形状で同じ弾性材質とされると共に、該一方側の組を成
   す４箇所のもの及び該他方側の組を成す４箇所のものが
   異組同士で異なる形状で異なる弾性材質とされるように
   ８個のものが用いられたことを特徴とする圧電振動ジャ
   イロ。
4. 【請求項４】 請求項２記載の圧電振動ジャイロにおい
   て、前記圧電振動子は、一軸方向に延びた角柱棒状の形
   状であり、前記複数の支持部材は、前記圧電振動子の前
   記一軸方向と垂直な他軸方向で対向する一つの両側面に
   おいて該一軸方向に沿って第１の間隔を隔てた箇所であ
   って、且つ該一軸方向及び該他軸方向と垂直な別軸方向
   に沿って第２の間隔を隔てた総計８箇所に対し、該第２
   の間隔にあっての一方側の組を成す４箇所のものと他方
   側の組を成す４箇所のものとが同組同士でそれぞれ同じ
   形状で同じ弾性材質とされると共に、該一方側の組を成
   す４箇所のもの及び該他方側の組を成す４箇所のものが
   異組同士で異なる形状で同じ弾性材質とされるように８
   個のものが用いられたことを特徴とする圧電振動ジャイ
   ロ。
5. 【請求項５】 請求項２記載の圧電振動ジャイロにおい
   て、前記圧電振動子は、一軸方向に延びた円柱棒状の形
   状であり、前記複数の支持部材は、前記圧電振動子の前
   記一軸方向と垂直な他軸方向で対向する側面の局部にお
   いて該一軸方向に沿って第１の間隔を隔てた箇所であっ
   て、且つ該一軸方向及び該他軸方向と垂直な別軸方向に
   沿って第２の間隔を隔てた総計８箇所に対し、該第２の
   間隔にあっての一方側の組を成す４箇所のものと他方側
   の組を成す４箇所のものとが同組同士でそれぞれ同じ形
   状で同じ弾性材質とされると共に、該一方側の組を成す
   ４箇所のもの及び該他方側の組を成す４箇所のものが異
   組同士で異なる形状で異なる弾性材質とされるように８
   個のものが用いられたことを特徴とする圧電振動ジャイ
   ロ。
6. 【請求項６】 請求項２記載の圧電振動ジャイロにおい
   て、前記圧電振動子は、一軸方向に延びた円柱棒状の形
   状であり、前記複数の支持部材は、前記圧電振動子の前
   記一軸方向と垂直な他軸方向で対向する側面の局部にお
   いて該一軸方向に沿って第１の間隔を隔てた箇所であっ
   て、且つ該一軸方向及び該他軸方向と垂直な別軸方向に
   沿って第２の間隔を隔てた総計８箇所に対し、該第２の
   間隔にあっての一方側の組を成す４箇所のものと他方側
   の組を成す４箇所のものとが同組同士でそれぞれ同じ形
   状で同じ弾性材質とされると共に、該一方側の組を成す
   ４箇所のもの及び該他方側の組を成す４箇所のものが異
   組同士で異なる形状で同じ弾性材質とされるように８個
   のものが用いられたことを特徴とする圧電振動ジャイ
   ロ。
7. 【請求項７】 請求項２記載の圧電振動ジャイロにおい
   て、前記圧電振動子は、一軸方向に延びた円柱棒状の形
   状であり、前記複数の支持部材は、前記圧電振動子の前
   記一軸方向に沿った側面の局部、並びに該一軸方向と垂
   直な他軸方向で対向する側面の局部において該一軸方向
   に沿って第１の間隔を隔てた箇所であって、且つ該一軸
   方向及び該他軸方向と垂直な別軸方向に沿って第２の間
   隔を隔てた総計６箇所に対し、該第２の間隔にあっての
   一方側の組を成す４箇所のものと他方側の組を成す２箇
   所のものとが同組同士でそれぞれ同じ形状で同じ弾性材
   質とされると共に、該一方側の組を成す４箇所のもの及
   び該他方側の組を成す２箇所のものが異組同士で異なる
   形状とされるように６個のものが用いられたことを特徴
   とする圧電振動ジャイロ。