JP2001335978A - チタン材の連続酸洗方法 - Google Patents
チタン材の連続酸洗方法Info
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Abstract
に酸洗する際に、(1)必要最小限の過酸化水素の添加量
とし、NOx ガスの発生を効率的に削減し、(2)その添加
量を自動制御可能にすることにより、工業的に実現可能
とし、省力化に寄与する技術を確立する。 【解決手段】 チタン材を硝酸を含有する酸洗液中の過
酸化水素濃度を0.5 〜5.0 g/dm3 の範囲に保つと同時
に、酸洗による単位時間当たりのチタン溶解量と単位時
間当たりの過酸化水素添加量のモル比が1:0.6 〜1.0
となるように過酸化水素の添加量を制御する。
Description
洗方法、特に硝酸を含有する酸洗液を用いて行うチタン
材の連続酸洗方法に関する。本発明の対象としているチ
タン材とは、いわゆる工業用純チタンおよびチタン合金
の板、棒、線、管等であり、本明細書においてはそれら
を総称してチタン材という。
過程において、表面の酸化スケールや汚れを除去するた
めに、しばしば酸洗が行われる。
化水素酸の混酸 (硝ふっ酸) に浸漬する方法が従来より
最も一般的に行われている。通常、硝酸の濃度は80〜20
0g/dm3程度、ふっ化水素酸の濃度は5〜50g/dm3 程度で
ある。
する場合には、あらかじめ大部分の酸化スケールを機械
的方法 (例えば、ショットブラスト法) または化学的方
法 (例えば、溶融アルカリ塩浸漬法) で除去した後に酸
洗が行われることが多い。
る場合の問題点は有害な窒素酸化物のガス (いわゆるNO
x ガス) が発生することである。これは、硝ふっ酸中の
硝酸が酸洗反応によって一部分解し、窒素酸化物 (NOま
たはNO2)になるものと考えられている。このため、酸洗
槽上の空気に含まれるNOx ガスを除去した後に大気へ放
出する処理が必要であり、多大の費用を要している。
発生させないようにする研究が従来より行われており、
例えば、特公昭54−7191号公報には、モリブデン線材を
硝酸と硫酸の混酸で溶解する際に、酸化剤として過硫酸
アンモニウムを添加することによりNOx ガスの発生を防
止する方法が開示されている。
よるステンレス鋼の酸洗において、酸洗液に尿素を添加
することによってNOx ガスの発生を防止する方法が開示
されている。
する酸洗液で金属を溶解する際に、酸洗液に過酸化水素
を添加し、その濃度を少なくとも約1g/dm3(通常、5〜
20g/dm3)に維持することによってNOx ガスの発生を防止
する方法が開示されている。しかし、この公報には過酸
化水素の作用効果について、「酸化−還元反応によって
生じたNOx 成分を再酸化する作用があるか、または硝酸
の酸化作用を助けて金属の溶解中にNOx 化合物が生じな
いように働くのであろう」としているに過ぎない。チタ
ン、ジルコニウム材についての酸洗例もあるが、そのと
き「過酸化水素を・・・添加した(10g/l)」とあるだけ
である。
「維持」ということにもかかわらず、過酸化水素の濃度
をこのような濃度に維持するための手段、つまり制御方
法については何も開示されておらず、単に過酸化水素の
濃度を分析によって監視できることが記述されているの
みなので、工業的に実施する場合には過酸化水素の過剰
添加による浪費や添加不足によるNOx ガス発生事故が起
きる危険性が高い。
する酸洗液に過酸化水素を添加してNOx ガスの発生を防
止する方法において、過酸化水素の添加量を酸洗液の酸
化還元電位に応じて制御する方法が開示されている。本
公報にはステンレス鋼を酸洗する際のNOx 発生防止例は
開示されているが、チタン材の酸洗については何も述べ
られていない。
稿集の531 〜534 ページには、ステンレス鋼を硝ふっ酸
で酸洗する際に、過酸化水素を添加することによってNO
x ガスの発生が防止できること、および下記の化学反応
式が開示されている。
反応として、 4Fe+10HNO3+8HF → 4FeF2 ++4NO3 -+6HNO2+6H2O ・・・(1) 次に、(1) 式で生成した亜硝酸(HNO2)がNOx ガス(NO+NO
2)になる反応として、 2HNO2→N2O3+H2O ・・・(2) N2O3 →NO+NO2 ・・・(3) また、過酸化水素の添加により、亜硝酸が硝酸(HNO3)に
変わる反応として、 HNO2 +H2O2→HNO3 +H2O ・・・(4) そして、過剰の過酸化水素が自己分解して酸素ガス(O2)
と水(H2O) になる反応として、 H2O2 →1/202 +H2O ・・・(5) がそれぞれ開示されている。
は、チタン材を硝酸を含む酸洗液を用いて連続的に酸洗
する際に、(1) 必要最小限の過酸化水素を添加すること
により、NOx ガスの発生を効率的に削減すること、およ
び(2) 酸洗液に添加する過酸化水素の量を自動制御する
ことにより、過酸化水素添加量の過不足をなくし、省力
化に寄与することである。
x ガスが発生するのを防止する技術として、前述のよう
に、過硫酸アンモニウム、尿素あるいは過酸化水素を添
加する方法等が知られている。このうち、過硫酸アンモ
ニウムまたは尿素を添加する方法は酸洗液中にアンモニ
ウム塩が蓄積するので、その酸洗液が劣化した後、中和
処理して廃棄することにより排水中の窒素含有率が高ま
るという不具合がある。一方、過酸化水素の場合には、
前述のように、酸洗液中の亜硝酸と反応して硝酸と無害
な水を生成するか、自己分解によって無害な水と酸素ガ
スを発生するのみなので、環境への悪影響が全くない。
することによってNOx ガスの発生を防止する方法に着目
した。しかし、過酸化水素は比較的高価な薬品なので、
酸洗コストを低く抑えるためにはその使用量をなるべく
少なくすることが望ましい。そこで、チタン材の硝ふっ
酸酸洗において、NOx ガスの発生を防止するために必要
な過酸化水素の添加条件を詳細に調べるために、工業規
模の酸洗槽を用いて実験を行った結果、以下の条件が特
に重要であることが判明した。
存在させ、その濃度が0.5 〜5.0g/dm3の範囲に保たれる
ように過酸化水素の添加量を制御することである。硝酸
を含む鉱酸水溶液中で金属を溶解する際に、その酸溶液
に過酸化水素を添加し、その濃度を少なくとも約1g/dm
3(通常、5〜20g/dm3)に維持することは前記の特開昭51
−37039 号公報に開示されてはいるが、この方法は主と
して銅または銅合金を対象としたもののようであり、チ
タン、ジルコニウムおよびそれらの合金の酸洗に適用し
た実施例においては、硝ふっ酸酸洗液に過酸化水素を10
g/dm 3 添加することによってNOx ガスの発生を防止でき
たという簡単な実験の記述があるのみで、酸洗液中の過
酸化水素の濃度は明確ではない。また、過酸化水素の自
己分解反応の意義については何ら開示されることはな
い。
ば、チタン材の硝ふっ酸酸洗において、NOx ガスの発生
を防止するために必要な過酸化水素の液中濃度は0.5 〜
5.0 g/dm3 、望ましくは1.0 〜3.0g/dm3の範囲であれば
よく、それ以上の過酸化水素を添加しても前記(5) 式の
自己分解反応が激しくなるのみで、無駄に消費される過
酸化水素が増えることが判明した。
ると、チタンの酸洗速度が低下することもある。このと
きの過酸化水素の適正濃度は酸洗される (または、溶解
される) 金属の種類によって大きく異なり、例えばステ
ンレス鋼の場合には過酸化水素が亜硝酸に対してむしろ
わずかに不足の状態 (すなわち、過酸化水素の濃度がゼ
ロで、亜硝酸の濃度が0.1 〜0.2g/dm3程度) で十分にNO
x ガスの発生が防止できることが別途行った本発明者ら
の研究によって明らかになっている。
る理由は現在のところ十分には解明されていないが、酸
洗される金属がチタンまたはチタン合金の場合には、酸
洗液中の硝酸が金属表面で反応して直接NOx ガスとなる
比率が高く、これを防止するためには過剰の過酸化水素
を酸洗液中に存在させておく必要があるのに対して、ス
テンレス鋼の場合には、金属表面で反応した硝酸が一
旦、亜硝酸となって酸洗中に溶解し、これがある程度濃
縮した段階で分解してNOx ガスになるので、必ずしも過
酸化水素は過剰に存在させる必要はないものと推測され
る。
在させる過剰の過酸化水素の量を制御することで、必要
最小限の過酸化水素の量でNOxガス発生の効率的抑制
を図るのである。
NOx ガスの発生を防止するために必要な過酸化水素の添
加条件の第2の条件は過酸化水素の添加を硝ふっ酸への
チタンの溶解速度に応じて行うという点であり、具体的
には酸洗による単位時間当たりのチタン溶解量と単位時
間当たりの過酸化水素添加量のモル比が1:0.6 〜1.0
、望ましくは1:0.7 〜0.9 (H2O2 添加モル数/Ti 溶
解モル数が0.6 〜1.0 、望ましくは0.7 〜0.9)となるよ
うに過酸化水素の添加量を制御することである。この比
率は何を酸洗するか、すなわち酸洗液中の金属イオンの
種類によって異なり、例えばステンレス鋼を硝ふっ酸酸
洗する場合には1:0.8 〜1.2 とすることが必要である
ことが別途行った本発明者らの研究で明らかになってい
る。
の種類によってNOx ガスを抑制するのに必要な過酸化水
素の添加量 (すなわち、消費量) が異なるのは、添加し
た過酸化水素の全てが液中の亜硝酸の酸化にのみ使用さ
れるわけではなく、自己分解によって無駄に消費される
過酸化水素もかなり多いことを示しているものと推測さ
れる。
(消費量) がステンレス鋼の場合よりチタンの場合が少
ないということは、チタンの酸洗における過酸化水素の
自己分解がステンレス鋼の酸洗におけるそれに比べて少
ないためではないかと推測される。
つの酸洗槽を数種類の金属の酸洗に用いることはしばし
ば行われている。この場合、同じ酸洗液で異なる金属を
酸洗することは比較的少なく、通常は新たに酸洗液を調
製し直して酸洗が行われる。しかし、時には一部の酸洗
液を捨ててから新たに酸を追加して、別の種類の金属の
酸洗に用いることもある。このような場合には当然、前
の酸洗で溶け込んだ金属が新たに調製した酸洗液中に残
存することになる。
酸洗におけるNOx ガス抑制のために消費される過酸化水
素の量と酸洗液中の種々の金属イオンの量の関係を詳細
に調べた結果、M=(Fe3+) +2×(Cr3+) +5×(Cu2+)
で定義される値が10g/dm3を越えると過酸化水素の消費
量の増加が顕著になることを見い出した。ただし、(Fe
3+) 、(Cr3+) および(Cu2+) はそれぞれ酸洗液中ののFe
3+、Cr3+およびCu2+イオンの濃度 (単位はg/dm3)であ
る。これは、これらの金属イオンが過酸化水素の自己分
解を促進し、その消費量を増加させるためと推測され
る。したがって、チタン材の硝ふっ酸酸洗においてNOx
抑制のために添加する過酸化水素の消費量を少なくする
ためには、上記のMの値を10g/dm3 以下にすることが有
効である。
酸洗におけるNOx ガス抑制のために消費される過酸化水
素の量と酸洗液の温度との関係についても詳細に調べた
結果、液温が60℃を越えると過酸化水素の消費量の増加
が顕著となることを見い出した。これは、酸洗液の温度
が60℃を越えると液中の過酸化水素の自己分解が急激に
進むためと考えられる。したがって、チタン材の硝ふっ
酸酸洗においてNOx 抑制のために添加する過酸化水素の
消費量を少なくするためには、酸洗液の温度を60℃以下
に維持することが有効である。
最小限の過酸化水素を添加する方法について研究した結
果、従来より公知となっている酸化還元電位に応じて過
酸化水素の添加を制御する方法よりもはるかに正確かつ
簡便に制御できる方法を見い出した。
浸漬した一対の電極に流れる電解電流値に応じて制御す
るものであり、具体的には、電解電流値が特定の値を下
回った時に過酸化水素を添加し、特定の値を上回った時
に過酸化水素の添加をやめる方法で過酸化水素の添加量
を制御する方法が推奨される。このような電解電流値に
よる制御が可能となる理由は現在のところ明確ではない
が、電解によって下記の(6) 式の電解反応が起き、その
反応速度 (あるいは、電解電流値) が過酸化水素の濃度
が高いほど大きくなるためと推測している。
ンおよびチタン合金の板、棒、線、管等を対象としてい
るが、特に帯状の板を連続的に硝ふっ酸酸洗する場合に
最も有用なNOx 抑制方法を提供する。
ンの帯板の場合には、最初にトンネル型の加熱炉に通過
させながら連続的に焼きなまし (焼鈍) し、その後にシ
ョットブラスト設備を通過させながら大部分の酸化スケ
ールを機械的に剥離させる。その後、酸洗槽中の硝ふっ
酸に帯板を連続的に浸漬し、残存するスケールを溶解・
除去する。このとき、酸洗によってスケールだけでなく
チタンの地金も溶解するので、もし酸洗液に過酸化水素
が添加されない場合には、激しい溶解反応に伴って多量
のNOx ガスが発生する。酸洗液への過酸化水素の添加
は、適当な濃度の過酸化水素の水溶液をポンプで注入す
る方法が推奨される。
必要はないが、濃度が薄いほど過酸化水素の添加によっ
て酸洗液の濃度が薄まるので、この点からはなるべく濃
い過酸化水素水を用いることが望ましい。具体的には、
35mass% の濃度のものが工業薬品として容易に入手でき
ることから推奨される。過酸化水素水を注入するポンプ
の能力は少なくともNOx ガスの発生を防止するために消
費される過酸化水素を供給できるものでなければならな
い。
添加する方法は、前述のように、該酸洗液に浸漬した一
対の電極に流れる電解電流値に応じて制御するものであ
り、具体的には、前述のように電解電流値が特定の値を
下回った時に過酸化水素を添加し、特定の値を上回った
時に過酸化水素の添加をやめる方法で過酸化水素の添加
量を制御する方法が推奨される。
が0.5 Vの場合に2〜15A/dm2 、望ましくは4〜10A/dm
2 の範囲の値が推奨される。また、電極の材質として
は、硝ふっ酸に侵されにくいものが望ましく、具体的に
は白金やロジウム等の貴金属が推奨される。そして、こ
れらの板材や線材を用いて一対の電極を作製し、適当な
樹脂製ホルダーに固定して酸洗液中に浸漬すればよい。
電極の大きさは特に厳密に限定する必要はないが、面積
が2〜10cm2 程度になるような板材または線材で作製す
ればよい。
酸洗槽で本発明を実施する場合には添加した過酸化水素
を該酸洗液と十分に混合する必要があり、このためには
酸洗槽内の酸洗液を適当な導管とポンプを用いて吸い込
み、酸洗槽内の別の位置に吐出する方法 (すなわち、液
循環方式) が効果的である。この場合、酸洗液の循環量
が少ない場合には部分的に過酸化水素が不足してNOx ガ
スが発生する危険性が高まるが、通常、1時間当たり酸
洗液量の約2倍以上、望ましくは約3倍以上の流量であ
れば、NOx ガスの発生を十分に防止できる。
出口の近傍とするのが最も効果的であり、望ましくは、
帯板の上側と下側の数ヵ所に吐出口および過酸化水素注
入用口を設けるのがよい。
環方式でなくてもよく、酸洗液量が5m3以下のような場
合には機械的な攪拌によっても十分目的を達成できる。
本発明を適用する酸洗液としては硝ふっ酸が最も好適で
あるが、硝ふっ酸の他の酸類 (例えば、硫酸、塩酸、酢
酸等) が少量含まれるものも適している。ただし、前述
のように、酸洗液中にFe3+、Cr3+またはCu2+イオンがあ
る程度以上の濃度で含まれると、これらの金属イオンが
過酸化水素の自己分解を促進し、その消費量を増加させ
るので、M=(Fe3+) +2×(Cr3+) +5×(Cu2+) で定
義される値が10g/dm3 以下になるようにFe3+、Cr3+また
はCu2+イオンの濃度を低減させることが必要である。こ
のためには、ステンレス鋼や銅合金を酸洗した酸洗液は
そのまま使用せず、一部または大部分の酸洗液を廃棄し
て新たに酸および水を補給する等の方法により、M値が
10g/dm3 以下になるようにするのがよい。
60本の工業用純チタン(c.p.Ti)およびチタン合金の帯板
(帯板No.1〜60) を連続酸洗設備を用い、12本の帯板毎
に酸洗条件を変えて順次、連続的に酸洗した。
化水素酸および水によって新たに調製した約17m3の硝ふ
っ酸酸洗液を用い、連続酸洗に伴う酸洗液中の遊離酸濃
度、硝酸イオン濃度、亜硝酸イオン濃度、過酸化水素濃
度、チタン濃度および液温の変化を調べた。
およびNOx ガス濃度測定位置を示す模式図である。図
中、チタン材帯板1は、酸洗液2に浸漬しながら酸洗槽
10内を通過する間に、酸洗され、そのとき酸洗液2は、
吸い込み口5から酸洗液循環用の耐食ポンプ3によって
導管4を経てそれぞれ下側および上側吐出口6、7から
吐出され、槽内を循環する。このとき電極設置位置8お
よびNOxガス濃度測定位置9において反応状態の監視
が行われる。
1に模式的に示すように、3台の液循環用耐食ポンプ3
(流量:毎時20m3) を用いて酸洗槽内の3ヵ所から汲み
出し、酸洗槽外に設けた硬質塩化ビニル製導管4を通っ
て、酸洗槽内の6ヵ所 (帯板の上側と下側、各3ヵ所)
から酸洗槽に戻るように循環させた。導管4から酸洗槽
10へ戻る酸洗液の上側、下側吐出口6、7の近傍には35
mass% 過酸化水素水の注入用配管の注入口を設置し( 図
示せず) 、同じく図示しない3台の小型ポンプ(流量:
2dm3/min)を用いて必要量を注入できるようにした。
製した電極対 (表面積約5cm2/本)を設置し、電極間に
0.5 Vの直流電圧を加えて電解すると同時に電解電流を
測定、記録した。そして、この電解電流値が種々の設定
値を下回る時に過酸化水素水注入用小型ポンプを作動す
るようにした。
すように、液循環によって生じる槽内の酸洗液の流れに
対して、過酸化水素水注入口の下流側約2mの位置と
し、それぞれの電極の電解電流値に応じてそれらの上流
側の過酸化水素水注入口に導管で接続された小型ポンプ
が作動または停止するようにした。
するため、株式会社ガステック製の検知管(No.11HAおよ
びNo.11S) 、気体採取器および延長採取棒を用いた。な
お、NOx ガス濃度の測定位置は、図1に示すように、電
極設置位置の上方で、酸洗液面から約20cm上の3ヵ所と
した。
の帯板については酸洗液中の過酸化水素濃度が約6g/dm
3 になるように過酸化水素の添加量を制御し (このとき
の電解電流値は約10mA) 、以下同様に、13〜24本目の帯
板は約3.2g/dm3(5.5mA) 、25〜36本目の帯板は約1.2g/d
m3 (約2.3mA)、37〜48本目の帯板は約0.2g/dm3 (約0.5m
A)となるように過酸化水素の添加量を制御した。
全く添加せずに酸洗した。酸洗液中の遊離酸濃度、硝酸
イオン濃度、亜硝酸イオン濃度、過酸化水素濃度および
チタン濃度を調べるための分析試料は酸洗前および2本
の帯板が酸洗される毎に採取し、液温は酸洗前および1
本の帯板が酸洗される毎に測定した。
測定した。遊離酸濃度はアルカリ中和滴定法、硝酸イオ
ン濃度およびチタン濃度はイオンクロマトグラフ法によ
って分析し、過酸化水素濃度は過マンガン酸カリウム溶
液による酸化還元滴定法によって分析した。
を過剰に加えた後、過剰の過酸化水素を過マンガン酸カ
リウム溶液によって滴定する方法で分析した。表1およ
び表2に示した試験データから分かるように、過酸化水
素をかなり過剰に添加して酸洗した1〜12本目の帯板に
ついては、NOx ガスの発生は十分に抑制されたものの、
2本の帯板当たりの過酸化水素の添加量は1.122 〜1.84
3g/dm3と最も多く、Ti溶解量に対する過酸化水素添加量
のモル比も1.098 〜1.115 と最も大きかった。これは、
過酸化水素の添加が過剰で、液中濃度が高すぎるため
に、自己分解して無駄に消費される過酸化水素が多いた
めと推測される。
中の過酸化水素の濃度が約0.2g/dm3と低くすぎるため、
NOx 濃度が650 〜1200ppm となり、NOx 抑制効果が不十
分であった。
全く添加しなかったため、多量のNOx ガスが発生した。
これに対して、帯板No.13 〜24および帯板No.25 〜36に
ついては、酸洗液中の過酸化水素の濃度がそれぞれ3.1
〜3.3g/dm3および1.2 〜1.3g/dm3と適当な範囲になるよ
うに制御したため、NOx ガスは十分に抑制されると同時
にTi溶解量に対する過酸化水素添加量のモル比も0.895
〜0.909 および0.798〜0.810 と比較的少なかった。
中の硝酸イオン濃度を比較して示したものであるが、過
酸化水素の添加が不十分か全く添加されなかった帯板N
o.37〜60に比べて、過酸化水素の添加が十分でNOx ガス
の抑制も十分に行われた帯板No.25 〜36の場合の硝酸イ
オン濃度の低下が明らかに少ないことがわかる。これ
は、帯板No.37 〜60の場合には酸洗液中の多くの硝酸が
NOx ガスとなって揮散したのに対して、帯板No.25 〜36
の場合には硝酸がNOx ガスとなるのが効果的に防止され
たためと推測される。
用純チタンの帯板 (帯板No.61 〜120)を連続酸洗設備を
用い、12本の帯板毎に酸洗条件を変えて順次、連続的に
酸洗した。
ふっ化水素酸、硫酸または酢酸および水によって新たに
調製した約17m3の硝ふっ酸酸洗液 (少量の硫酸または酢
酸を含有) を用い、帯板No.85 〜120 に対しては、ステ
ンレス鋼または銅ニッケル合金の酸洗に用いた硝ふっ酸
酸洗液を一部または大部分廃棄した後、新たに工業用硝
酸、ふっ化水素酸および水を追加して建浴した酸洗液を
用いた。
酸イオン濃度、亜硝酸イオン濃度、硫酸イオン濃度、酢
酸イオン濃度、過酸化水素濃度、チタン濃度、鉄濃度、
クロム濃度、銅濃度および液温の変化を調べた。
添加量の制御、NOx ガス濃度の測定については実施例1
と全く同じ方法、装置および器具を用いて行った。酸洗
液の分析も実施例1と同じ方法で行ったが、硫酸イオン
濃度、酢酸イオン濃度、鉄濃度、クロム濃度および銅濃
度はイオンクロマトグラフによって分析した。
ら分かるように、硫酸および酢酸を少量含有する硝ふっ
酸を用いて酸洗した61〜84本目の帯板については、酸洗
液中の過酸化水素濃度が2.1 〜4.2g/dm3、Ti溶解量に対
する過酸化水素添加量のモル比が0.818 〜0.913 となる
ように過酸化水素添加量を制御することにより、NOxガ
ス濃度は20〜50ppm に抑制された。
オン、硫酸イオンおよび酢酸イオンの濃度はいずれも12
本の帯板が酸洗される間に徐々に低下し、初浴に比べて
最終浴では約6〜8%低い値となった。これは、一部の
酸洗液が帯板に付着して酸洗槽外へ持ち出されると同時
に、過酸化水素水の添加によって酸洗液が希釈されるた
めと推測される。
の酸洗に用いた硝ふっ酸を大部分廃棄した後、新しい酸
と水を追加して建浴した酸洗液を使用したが、酸洗液中
の鉄、クロムおよび銅の濃度から計算されるM値が10g/
dm3 以下(4.90)であったので、添加した過酸化水素の自
己分解はあまり起こらず、Ti溶解量に対する過酸化水素
添加量のモル比は0.745 〜0.751 と、十分低い値となっ
た。
は、ステンレス鋼や銅ニッケル合金の酸洗に用いた硝ふ
っ酸をかなり残したまま新たに酸と水を追加して建浴し
た酸洗液 (M値がそれぞれ、12.23 および16.59)を使用
したため、酸洗液中の過酸化水素の濃度を2.6 〜3.8g/d
m3に制御したにもかかわらず、添加した過酸化水素の自
己分解率が高まり、Ti溶解量に対する過酸化水素添加量
のモル比は1.153 〜1.315 と、非常に大きな値となっ
た。
の硝酸を含む酸洗液を用いて酸洗する際に発生するNOx
ガスを効率的に削減でき、そのために必要な過酸化水素
の添加量を必要最小限に自動制御することが可能となる
など、工業的効果が大きい。
ス濃度測定位置を示す模式図である。
グラフである。
Claims (6)
- 【請求項1】 チタン材を硝酸を含有する酸洗液を用い
て酸洗する際に、該酸洗液に過酸化水素を添加すること
によってNOx ガスの発生量を削減する方法において、該
酸洗液中の過酸化水素濃度を0.5 〜5.0 g/dm3 の範囲に
保つと同時に、酸洗による単位時間当たりのチタン溶解
量と単位時間当たりの過酸化水素添加量のモル比が1:
0.6 〜1.0 となるように過酸化水素の添加量を制御する
ことを特徴とするチタン材の連続酸洗方法。 - 【請求項2】 過酸化水素の添加量を、該酸洗液に浸漬
した電極に流れる電解電流値に応じて制御することを特
徴とする請求項1記載のチタン材の連続酸洗方法。 - 【請求項3】 電解電流値が特定の値を下回った時に過
酸化水素を添加し、特定の値を上回った時に過酸化水素
の添加をやめる方法で過酸化水素の添加量を制御するこ
とを特徴とする請求項2記載のチタン材の連続酸洗方
法。 - 【請求項4】 過酸化水素と酸洗液を混合するために、
酸洗液中に設置した液循環の吐出口より酸洗液を吐出す
ると共に、該吐出口の近傍に過酸化水素を添加すること
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のチタン材
の連続酸洗方法。 - 【請求項5】 硝酸を含有する酸洗液が硝酸とふっ化水
素酸の混合水溶液である請求項1〜4のいずれかに記載
のチタン材の連続酸洗方法。 - 【請求項6】 硝酸を含有する酸洗液中のFe3+イオン、
Cr3+イオンおよびCu 2+イオンの濃度から次式によって計
算されるM値が10g/dm3 以下である請求項1〜5のいず
れかに記載のチタン材の連続酸洗方法。 M=(Fe3+) +2×(Cr3+) +5×(Cu2+)
ただし、(Fe3+) 、(Cr3+) および(Cu2+) はそれぞれ酸
洗液中のFe3+、Cr3+およびCu2+イオンの濃度 (単位はg/
dm3)
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