JP2001335792A - 潤滑グリース組成物及びそれを用いた転がり軸受、転動装置 - Google Patents

潤滑グリース組成物及びそれを用いた転がり軸受、転動装置

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JP2001335792A
JP2001335792A JP2001080802A JP2001080802A JP2001335792A JP 2001335792 A JP2001335792 A JP 2001335792A JP 2001080802 A JP2001080802 A JP 2001080802A JP 2001080802 A JP2001080802 A JP 2001080802A JP 2001335792 A JP2001335792 A JP 2001335792A
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Michiharu Naka
道治 中
Atsushi Yokouchi
敦 横内
Koichi Yatani
耕一 八谷
Toru Takamizawa
徹 高見沢
Atsushi Kuraishi
淳 倉石
Yasunobu Fujita
安伸 藤田
Hiroshi Kimura
浩 木村
Akimi Kimura
晶美 木村
Yuji Onuki
裕次 大貫
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Kyodo Yushi Co Ltd
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Kyodo Yushi Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 潤滑特性は勿論のこと、優れた耐フレッチン
グ摩耗性、耐衝撃性を付与できる潤滑グリース組成物、
並びに耐フレッチング摩耗性能、耐衝撃性、低トルク性
の改善を図った転がり軸受及び転動装置を提供する。 【解決手段】 基油が合成油からなり、増ちょう剤がリ
チウム石けんからなる基本グリース組成物全量に対し
て、有機モリブデン化合物、有機脂肪酸化合物又は有機
脂肪酸誘導体、有機リン化合物からなる添加剤の少なく
とも1つを0.5〜10wt%添加した潤滑グリース組
成物、並びに前記潤滑グリースを封入してなる転がり軸
受及び転動装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は潤滑グリース組成物
に関し、各種モータ等の構成部品の一部であるスピンド
ル用軸受や、工作機械等に使用される小ストロークの揺
動動作をする転動装置に封入され、潤滑特性に優れると
ともに、運搬時の様に外部振動に起因する繰返し衝撃及
び揺動により生じるフレッチング摩耗、また搬送時の落
下トラブルにも耐える落下衝撃性、更には低トルク性を
大幅に改善した潤滑グリース組成物に関する。また、本
発明は上記潤滑グリース組成物を封入し、特に、耐フレ
ッチング摩耗性能、耐衝撃性、低トルク性の改善を図っ
た転がり軸受及び転動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えばコンピュータのハードディスク、
CD−R等の記録装置のスピンドルモータの玉軸受用に
封入されるグリースとして、従来から種々のものが開発
されており、本出願人も先に摩擦係数が低く、音響寿命
の延長を目的として、基油の50〜100wt%が炭酸
エステル化合物からなり、増ちょう剤がリチウム石ケン
等からなる潤滑グリース組成物を提案している(特開2
000−26875号公報)。また、発塵(飛散)が少
なく、トルクが小さく、音響特性に優れ、また長寿命化
を目的として、炭酸エステル化合物と、アルカリ金属ま
たはアルカリ土類金属の水酸化物と、炭素数10以上の
高級脂肪酸又は1個以上の水酸基を有する炭素数10以
上の高級ヒドロキシ脂肪酸とから合成された潤滑グリー
ス組成物も知られている(特開2000−63874号
公報)。
【0003】また、リニアガイドやボールねじ等の直接
案内装置が、工作機械等に広く使用されている。これら
の転動装置は、潤滑のためにグリースを充填して使用さ
れているが、一般的なグリースは基油に高粘度油を使用
しているだけで、特に防錆剤以外の添加剤は含有してい
ないものが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の高粘度基油グリ
ースを充填した転動装置は、ストロークの大きい往復運
動の場合には満足すべき耐久性能を示すものの、ストロ
ークの小さい往復運動、即ち揺動運動の場合にはフレッ
チング摩耗が生じて、転動装置の耐久性能が低下すると
いう潜在的な問題がある。
【0005】また、ハードディスク等に用いられる転が
り軸受も、搬送時における外部振動に起因する繰返し衝
撃及び揺動により生じるフレッチング摩耗への耐性が同
様に要求される。また、装置全体としての小型化、ある
いは回転数やトルク、音響をはじめとする回転特性の向
上に対する改善要求、更には落下衝撃に対する耐性も要
求されるようになってきている。
【0006】本発明はこのような状況に鑑みてなされた
ものであり、潤滑特性は勿論のこと、優れた耐フレッチ
ング摩耗性、耐衝撃性を付与できる潤滑グリース組成物
を提供することを目的とする。また、本発明は耐フレッ
チング摩耗性能、耐衝撃性、低トルク性の改善を図った
転がり軸受及び転動装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、基油が合成油からなり、増ちょう剤が
リチウム石けんからなる基本グリース組成物を有する潤
滑グリース組成物において、前記基本グリース組成物全
量に対して、有機モリブデン化合物、有機脂肪酸化合物
又は有機脂肪酸誘導体、有機リン化合物からなる添加剤
の少なくとも1つを0.5〜10wt%添加したことを
特徴とする潤滑グリース組成物を提供する。
【0008】また、上記の目的を達成するために、本発
明は、内輪と外輪との間に複数の転動体を転動自在に保
持し、上記グリース組成物を封入したことを特徴とする
転がり軸受を提供する。
【0009】さらに、上記の目的を達成するために、本
発明は、外方部材と内方部材との間に転動体を配設し、
転動体は外方部材の転動体への接触面である第1の接触
面と、内方部材の転動体への接触面である第2の接触面
とに対して転動する転動装置において、上記潤滑グリー
ス組成物を封入したことを特徴とする転動装置を提供す
る。ここで、転動装置とはリニアガイドやボールねじを
示し、その外方部材とは、リニアガイドにあってはスラ
イダ又は案内レール、ボールねじにあたってはナットを
指す。また、内方部材とは、リニアガイドにあっては案
内レール又はスライダ、ボールねじにあってはねじ軸を
指す。従って、外方部材の転動体への接触面である第1
の接触面、及び内方部材の転動体への接触面である第2
の接触面については、リニアガイドの場合は、スライダ
又は案内レールの軌道溝が第1の接触面、案内レールの
軌道溝又はスライダが第2の接触面である。また、ボー
ルねじの場合は、ナットのねじ溝が第1の接触面、ねじ
軸のねじ溝が第2の接触面である。
【0010】
【作用】本発明の潤滑グリース組成物は、その基本グリ
ース組成物として、基油に粘度が低く、転動面や摺動面
への密着性に優れた油膜が形成出来る合成油、好適には
炭酸エステル油またはポリオールエステル油を用いるこ
とにより、低トルク性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐フレッ
チング摩耗性を促進できる。また、増ちょう剤にリチウ
ム石けん、好適にはステアリン酸リチウム塩を用いるこ
とにより、転動、摺動時にせん断応力を受けて柔くな
り、転動面や摺動面での付着性に優れる潤滑膜形成を促
進できる。
【0011】上記基本グリース組成物に加え、有機モリ
ブデン化合物、有機リン化合物、有機脂肪酸化合物又は
有機脂肪酸誘導体の少なくとも1つを0.5〜10wt
%添加することにより、耐フレッチング摩耗性を向上さ
せることができる。さらに、HDD用軸受や転動装置に
要求される低トルク性、耐衝撃性、耐摩耗性、耐圧痕
性、落下トラブルによる落下衝撃性を改善もしくは付与
することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明に関して図面を参照
して詳細に説明する。
【0013】−グリース組成物− (基油)本発明の潤滑グリース組成物において、その基
本グリース組成物の基油には合成油が使用される。合成
油の中でも下記式(I)で表される炭酸エステル化合物
が好ましい。 R1O−CO−OR2 ・・・(I) 尚、式中、R1及びR2は独立して、炭素数6〜30の飽
和又は不飽和の、直鎖又は分岐アルキル基を表す。分岐
アルキル基として好ましいものは、−CH2CHR34
で表されるものである。この式においてR3は、炭素数
1〜7の飽和直鎖アルキル基、R4は、炭素数4〜12
の飽和直鎖アルキル基を表す。特に好ましいものは、R
3とR4の炭素数の和が11〜13であるものである。
【0014】また、合成油として二塩基酸と分岐アルコ
ールとの反応から得られるジエステル油、芳香族系三塩
基酸と分岐アルコールとの反応から得られる芳香族エス
テル油、多価アルコールと一塩基酸との反応から得られ
るヒンダードエステル油も好適に用いられる。
【0015】ジエステル油としては、ジオクチルアジペ
ート(DOA)、ジイソブチルアジペート(DIB
A)、ジブチルアジペート(DBA)、ジオクチルアゼ
レート(DOZ)、ジブチルセパケート(DBS)、ジ
オクチルセパケート(DOS)、メチル・アセチルリシ
ノレート(MAR−N)等が挙げられる。
【0016】芳香族エステル油としては、トリメリット
酸エステル、トリオクチルトリメリテート(TOT
M)、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロ
メリテート等が挙げられる。
【0017】ヒンダードエステル油としては、以下に示
す多価アルコールと一塩基酸を適宜反応させて得られる
ものが挙げられる。多価アルコールに反応させる一塩基
酸は単独でもいいし、複数用いても良い。更に、多価ア
ルコールと二塩基酸・一塩基酸の混合脂肪族とのオリゴ
エステルであるコンプレックスエステルとして用いても
良い。
【0018】多価アルコールとしては、トリメチロール
プロパン(TMP)、ペンタエリスリトール(PE)、
ジペンタエリスリトール(DPE)、ネオペンチルグリ
コール(NPG)、2−メチル−2−プロピル−1,3
−プロパン(MPPD)等が挙げられる。
【0019】一塩基酸としては、主にC4〜C18の一価
脂肪族が用いられる。具体的には、酢酸、吉草酸、カプ
ロン酸、カプリル酸、エナント酸、ペラルゴン酸、カプ
リン酸、ウンデカン酸、ラウリル酸、ミスチリン酸、パ
ルミチン酸、牛脂肪酸、ステアリン酸、カプロレイン
酸、ウンデシレン酸、リンデル酸、ツズ酸、フィゼテリ
ン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセ
リン酸、オレイン酸、エライジン酸、アスクレピン酸、
バクセン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、サ
ビニン酸、リシノール酸等が挙げられる。
【0020】上記のエステル系合成油の中でも、炭酸エ
ステル油及びポリオールエステル油が好ましい。これら
は、極小ストロークの往復動作が急ピッチで繰り返され
るような転動装置で耐フレッチング摩耗性が強く求めら
れる場合や、HDDモータのスピンドル用軸受のように
繰返し衝撃及び揺動、運搬時の耐衝撃性、低トルク性能
等が強く求められる場合には、転動、摺動面に対して密
着性が良く、油膜を速やかに形成して、良好な耐フレッ
チング摩耗性、耐衝撃性を付与できる。
【0021】また、これらの基油は、40℃での動粘度
で15〜150mm2/sであることが好ましい。40
℃での動粘度が15mm2/s未満の場合には、油膜強
度が低く、運搬時の外部振動によりフレッチング摩耗を
生じ易い。反対に、40℃での動粘度が150mm2
sよりも高い場合には、潤滑油の動粘度が高いために回
転トルクが増大する。更には、後述される添加剤の効果
を併用してフレッチング摩耗をより低減させ低トルク性
能向上のためには、40℃での動粘度が70mm2/s
以下であることがより好ましい。
【0022】また、基油には、エーテル油やポリαーオ
レフィン等の合成炭化水素油を用いてもよい。エーテル
油としては、ジフェニル、トリフェニル、テトラフェニ
ル等のC12〜C20の(ジ)アルキル鎖が誘導されたアル
キルポリフェニルエーテル油等が挙げられる。また、合
成炭化水素油としては、α−オレフィン、エチレンとの
コオリゴマー合成油も使用できる。
【0023】(増ちょう剤)本発明に使用する増ちょう
剤はリチウム石けんであり、中でもステアリン酸リチウ
ムや12−ヒドロキシステアリン酸リチウム等が好まし
く、特にステアリン酸リチウムが好ましい。このステア
リン酸リチウム石けんは、転動面でせん断力を受けると
柔くなり、転動体表面、軌道輪の軌道面に吸着、付着し
易く、密着性に優れ、転動をあずかる転動面で潤滑膜が
形成され易く、耐フレッチング性、耐摩耗性、低トルク
性能向上を促進する。その添加量としてはグリーして適
当なちょう度が得られる量であれば特に制限されるもの
ではないが、基本グリース組成物全量に対し5〜25w
t%が好ましい。
【0024】(添加剤) 有機モリブデン化合物 有機モリブデン化合物は転動面である金属面に吸着し、
反応性に富む被膜(反応膜層)を形成する好適な有機金
属化合物であり、極圧添加剤として機能し、高荷重、低
速下でも、耐焼付き、耐荷重性、耐摩耗を向上する目的
で添加する。中でも、モリブデンジチオフォスフェート
(Mo−DTP)が好ましい。
【0025】同様に、有機金属化合物−反応膜層を形成
する有機金属化合物として金属ジヒドロカルビルジチオ
フォスフェート類、金属ジヒドロカルビルジチオカーバ
メート類、ナフテン酸塩類等があり、必要に応じてこれ
らを併用することもできる。
【0026】上記金属ジヒドロカルビルジチオフォスフ
ェート類は、各ヒドロカルビル基がC4〜C20である金
属ジヒドロカルビルジチオフォスフェートで、例えばジ
ンクジメチルジチオフォスフェート、ジンクブチルイソ
オクチルジチオフォスフェート、ジンクジ(4−メチル
−2−ペンチル)ジチオフォスフェート、ジンクジ(テ
トラプロペニルフェニル)ジチオフォスフェート、ジン
ク(2−エチル−1−ヘキシル)ジチオフォスフェー
ト、ジンク(イソオクチル)ジチオフォスフェート、ジ
ンク(エチルフェニル)ジチオフォスフェート、ジンク
(アミル)ジチオフォスフェート、ジンクジ(ヘキシ
ル)ジオチフォスフェート、或いは金属として上記亜鉛
(ジンク)の他、鉛、カドミウム、アンチモンなどのも
のが好ましい。
【0027】上記金属ジヒドロカルビルジチオカーバメ
ート類は、各ヒドロカルビル基がC 4〜C20である金属
ジヒドロカルビルジチオカーバメートで、例えばジンク
ジメチルジチオカーバメート、ジンクブチルイソオクチ
ルジチオカーバメート、ジンクジ(4−メチル−2−ペ
ンチル)ジチオカーバメート、ジンクジ(テトラプロペ
ニルフェニル)ジチオカーバメート、ジンク(2−エチ
ル−1−ヘキシル)ジチオカーバメート、ジンク(イソ
オクチル)ジチオカーバメート、ジンク(エチルフェニ
ル)ジチオカーバメート、ジンク(アミル)ジチオカー
バメート、ジンクジ(ヘキシル)ジチオカーバメート、
或いは金属として上記亜鉛(ジンク)の他、鉛、カドミ
ウム、アンチモン、ニッケル、鉄等のものが好ましい。
【0028】有機脂肪酸化合物または有機脂肪酸誘導
体 有機脂肪酸としては、オレイン酸、ナフテン酸、アビエ
チン酸(樹脂酸)、ラノリン脂肪酸、コハク酸、アミノ
酸誘導体等を挙げることができる。コハク酸化合物とし
てはアルケニルコハク酸又はその無水物が好ましく、こ
のアルケニルコハク酸は転がり軸受を用いる機器が置か
れる空気中の水分、結露等の水分の影響を受ける際で
も、金属材料である転動面や摺動面に良好に吸着して薄
膜を形成する。また、コハク酸誘導体も同様の作用があ
る。尚、コハク酸誘導体としては、例えばコハク酸、ア
ルキルコハク酸、アルキルコハク酸ハーフエステル、ア
ルケニルコハク酸、アルケニルコハク酸ハーフエステ
ル、コハク酸イミド等を挙げることができる。これらの
コハク酸誘導体は、単独でも適宜組み合わせて使用して
もよい。
【0029】有機リン化合物 有機リン化合物としては亜リン酸エステルが好ましく、
この亜リン酸エステルは極圧性、耐摩耗性に優れる反応
性の薄膜を転動面や摺動面に形成する。好適な亜リン酸
エステル類は、C1〜C18の炭化水素類(例えば、アル
キル、フェニル、ベンジル、クレジル、シンナミル、ア
リル)の亜リン酸エステルで、例えばトリオクチルフォ
スファイト、トリフェニルフォスファイト、トリクレジ
ルフォスファイト、ビス−2−エチルヘキシルフォスフ
ァイト、トリデシルフォイスファイト、ジブチルハイド
ロジェンフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フ
ォスファイト、ジラウリルハイドロジェンフォスファイ
ト、ジフェニルモノデシルフォスファイト、トリラウリ
ルトリチオフォスファイト、ジフェニルハイドロジェン
フォスファイト等を挙げることができる。
【0030】また、正リン酸エステル類も使用できる。
好適な正リン酸エステルは、C1〜C18の炭化水素類
(例えば、アルキル、フェニル、ベンジル、クレジル、
シンナミル、アリル)の正リン酸エステルで、例えばト
リフェニルフォスフェート、トリエチルフォスフェー
ト、トリブチルフォスフェート、トリス(2−エチルヘ
キシル)フォスフェート、トリス(2−エチルヘキシ
ル)フォスフェート、トリデシルフォスフェート、ジフ
ェニルモノ(2−エチルヘキシル)フォスフェート、ト
リクレジルフォスフェート、トリオクチルフォスフェー
ト、トリステアリルフォスフェート等を挙げることがで
きる。
【0031】また、酸性リン酸エステルも使用できる。
好ましい酸性リン酸エステルは、C 1〜C20のモノ又は
ジヒドロカルピルアッシドフォスフェートであり、例え
ばメチルアッシドフォスフェート、イソプロピルアッシ
ドフォスフェート、ブチルアッシドフォスフェート、2
−エチルヘキシルアッシドフォスフェート、イソデシル
アッシドフォスフェート、トリデシルアッシドフォスフ
ェート、ラウリルアッシドフォスフェート等を挙げるこ
とができる。
【0032】これらの有機モリブデン化合物、有機脂肪
酸化合物又は誘導体、有機リン化合物の添加量は、何れ
も基本グリース組成物全量に対して0.5wt%〜10
wt%である。0.5wt%未満では転動面(金属表
面)での反応膜が均一に十分に形成されず、耐フレッチ
ング摩耗性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐落下衝撃性が十分
達成されない。特に耐フレッチング摩耗性については、
後述される増加率50%以下(図5参照:縦軸値)を満
すためには1.5wt%以上添加することが好ましい。
上限については、10wt%を超えても耐フレッチング
摩耗性が飽和することに加え、グリースの性状を変化さ
せ、それにより初期のグリースが硬くなり回転トルクが
大きくなったり、転動面のコロージョンが生じ易くなっ
たりする。以上から、入れ過ぎることの逆効果と安定し
て上記性能を得る両者の点から、1.5wt%〜6.0
wt%が更に好ましい。
【0033】有機モリブデン化合物、有機脂肪酸化合物
又は誘導体、有機リン化合物は単独使用してもよいが、
併用することにより相乗効果が得られる。特に限定はし
ないが、配合比率としては、1:1〜1:3とすること
が好ましい。併用する場合、添加剤の総量として前記添
加量範囲を満たす必要がある。また、これら添加剤の中
では、有機リン化合物を添加することが本発明の目的を
達成する上で最も好ましく、この有機リン化合物と他の
添加剤との組み合わせが好ましい。
【0034】本発明の基本グリース組成物には、上記の
添加剤の他に、金属表面との吸着性が高い官能基、例え
ば水酸基(−OH)、アミノ基(−NH2,−NH)を
有するアルキル基、アルケニル基、アリル基等の親油性
基を有する炭化水素系化合物を添加してもよい。これら
は転動面又は摺動面に吸着し、上記添加剤の反応性を助
長する。
【0035】更に、本発明の基本グリース組成物には、
例えば以下に挙げるような従来から公知の各種添加剤を
選択的に添加してもよい。
【0036】(防錆剤)防錆剤としては、有機系スルフ
ォン酸金属または、エステル類が好ましい。有機系スル
フォン酸塩としては、例えば、ジノニルナフタレンスル
ホン酸及び、重質アルキルベンゼンスルフォン酸等が使
用され、その金属塩としてカルシウムスルフォネート、
バリウムスルフォネート、ナトリウムスルフォネート等
がある。また、エステル類としてソルビタン誘導体では
多塩基カルボン酸及び多価アルコールの部分エステルと
してソルビタンモノラウレート、ソルビタントリステア
レート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオ
レエート等がある。アルキル・エステル型ではポリオキ
シエチレンラウレート、ポリオキシエチレンオレエー
ト、ポリオキシエチレンステアレート等がある。
【0037】これら防錆剤は、有機系スルフォン酸金属
塩とエステル類とを単独若しくは混合物として使用する
ことが出来る。防錆性を向上させると共にフレッチング
摩耗を抑制する事を考えると、カルシウムスルフォネー
ト等のスルフォン酸系金属塩を好適に使用できる。
【0038】(酸化防止剤)酸化防止剤としては、含窒
素化合物系酸化防止剤とフェノール系酸化防止剤の単独
もしくは混合物が好ましい。含窒素化合物系酸化防止剤
としては、フェニルαナフチルアミン、ジフェニルアミ
ン、フェニレンジアミン、オレイルアミドアミン、フェ
ノチアジン等がある。また、フェノール系酸化防止剤と
しては、p−t−ブチル−フェニルサリシレート、2,
6−ジ−t−ブチル−p−フェニルフェノール、2,
2′−メチレンビス(4- メチル−6−t−オクチルフ
ェノール)、4,4′−ブチリデンビス−6−t−ブチ
ル−m−クレゾール、テトラキス[メチレン−3−
(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチ
ル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、n−オクタデシル−
β−(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル
フェニル)プロピオネート、2−n−オクチル・チオ−
4,6−ジ(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−
ブチル)フェノキシ−1,3,5−トリアジン、4,
4′−チオビス−[6−t−ブチル−m−クレゾー
ル]、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−
5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル等のヒンダードフェノールがある。
【0039】本発明はまた、上記グリース組成物を封入
した転がり軸受及び転動装置を提供する。
【0040】−転がり軸受− 本発明において、転がり軸受の構造自体は制限されるも
のではなく、例えば図1に断面図として示される玉軸受
1を例示することができる。この玉軸受1は、内輪2と
外輪3との間に、保持器4を介して複数の転動体である
玉5を転動自在に保持し、更に、内輪2と外輪3と玉5
とで形成される軸受空間Sに上記グリース組成物(図示
せず)を充填し、シール部材6により封止して構成され
ている。尚、グリース組成物の充填量は、軸受空間Sの
5〜20容積%が好ましい。
【0041】−転動装置− 転動装置としてリニアガイドやボールねじ等を挙げるこ
とができるが、何れもその構造自体は制限されるもので
はなく、下記に示すものを例示できる。
【0042】リニアガイド 図2は、リニアガイドの一例を、その一部を切り欠いて
示した正面図である。横断面略角型の内方部材である案
内レール11の上に、外方部材である断面コ字形のスラ
イダ12が跨架されており、両部材の間に転動体である
多数個の玉13が配設されている。詳しくは、案内レー
ル11の両側面に軸方向に長い軌道溝15が形成され、
一方、スライダの構成部品のスライダの本体12Aに
は、内側面に前記軌道溝15に対向する軌道軸溝16が
形成され、この軌道溝16に平行する貫通孔からなる転
動体戻り路17が袖部内に形成されている。そのスライ
ダ本体12Aの両端には、スライダの構成部品のエンド
キャップ12Bがねじ18でそれぞれ取り付けてあり、
これらのエンドキャップ12Bには前記軌道溝16と転
動体戻り路17とを連通させる図示されない半ドーナツ
状の湾曲路が形成され、軌道溝16、転動体戻り路1
7、及び湾曲路からなる転動体13の循環経路が構成さ
れる。その循環経路内に多数の転動体13が装填されて
脱落しないように保持されている。ここで、外方部材1
2の転動体13への接触面である第1の接触面は、スラ
イド12の内側面の軌道溝16であり、内方部材11の
転動体13への接触面である第2の接触面は、案内レー
ル11の外側面の軌道溝15である。
【0043】上記リニアガイドにおいて、内方部材であ
る案内レール11とこれに跨架された外方部材であるス
ライダ12で囲まれた空間容積に、上記グリース組成物
(符号10で示す)が、例えば20容積%を占める量充
填される。
【0044】尚、リニアガイドとしては、図2に示した
ものに限らず、リニアガイドの一方の側部に第1の接触
面であるスライダ12の内側面の軌道溝16及び第2の
接触面である案内レール11の軌道面15がいずれも2
本以上あるものや、転動体がころであるもの、或いは案
内レールの方が断面コ字型で、その内面の凹部にスライ
ダが転動体を介して移動自在に配設されたタイプのもの
等が挙げられ、同様に上記グリース組成物を充填するこ
とができる。
【0045】ボールねじ 図3はボールねじの一例を示す要部断面図であるが、ら
せん状のねじ溝21を外周面に有する内方部材としての
ねじ軸22に、外方部材であるナット23が多数の玉か
らなる転動体24を介して螺合されている。ナット23
はねじ軸22のねじ溝21に対応するねじ溝25を内周
面に有する。転動体24は、前記両ねじ軸22の回転方
向に転動しつつ、ナット23の胴部に設けられた、例え
ば循環駒などのようなボール循環路(図示せず)に導か
れてナット23の軸方向両端部間を循環移動する。そし
て、ねじ軸22が回転すると、転動体24の転動を介し
てナット23がねじ軸22に沿い、直線方向に送られる
ように構成されている。ここで、外方部材23が転動体
24に接触する第1の接触面はナット23のねじ溝25
であり、内方部材22が転動体24とが接触する第2の
接触面はねじ溝21である。
【0046】上記ボールねじにおいて、内方部材である
ねじ軸22と、これに螺合された外方部材であるナット
23で囲まれた空間容積に、上記グリース組成物(符号
10で示す)が、例えば20容積%を占める量充填され
る。
【0047】尚、ボールねじとしては、図3に示したも
のに限らず、転動体の循環チューブを用いたチューブ循
環式、あるいはエンドキャップに循環経路を設けたエン
ドキャップ循環式等が挙げられ、同様に上記グリース組
成物を充填することができる。
【0048】上記した転がり軸受や転動装置では、封入
したグリース組成物により、耐フレッチング摩耗性、低
トルク性、耐衝撃性、耐摩耗性、耐圧痕性等が改善もし
くは付与される。
【0049】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に説明す
る。
【0050】表−1に示す如く、ベースグリースを調製
した。ベースグリースI〜IIIは本発明の基本グリース
組成物として特に好ましい例であり、表−2に示す各添
加剤を添加する基本グリース組成物として用いた。ま
た、表−2は本発明の有機モリブテン化合物、有機脂肪
酸化合物及び有機リン化合物の好適な化合物を例記する
ものである。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】(実施例1)表−1に示すベースグリース
IIIを用い、これに表−2に示すMo−DTP(有機モ
リブテン化合物)、アルケニルコハク酸無水物(コハク
酸化合物)及び亜リン酸エステル(有機リン化合物)を
それぞれの添加量を変えて添加し、攪拌して試験グリー
スを調製した。また、比較のために、添加剤を全く含ま
ないものを用いた。
【0054】そして、SUT−2製で焼入れ、焼戻しを
施した外輪、内輪及び転動体からなるB4−50A(日
本精工(株)製)に、各試験グリースを2.35mg封
入し、フレッチング試験に供した。フレッチング試験
は、この軸受をHDDスピンドルに組み込み、70℃で
2時間エージングした後、軸方向荷重14.7Nの負荷
を加え、室温で、揺動角4°、揺動周波数9Hzにて1
0万回の揺動を加えた。そして、この揺動を加えた後の
軸方向加速度と揺動を加える前の軸方向加速度とを比較
し、その増加率から耐フレッチング摩耗性を評価した。
各添加剤の添加量と軸方向加速度の増加率との関係を図
4に示す。
【0055】図示されるように、Mo−DTP、アルケ
ニルコハク酸無水物、亜リン酸エステルとも、耐フレッ
チング摩耗性を示す軸方向加速度の増加率に大小関係は
あるものの、合格水準の100%以下に対しては、添加
量0.5wt%を超えれば、満足することを示してい
る。また、合格水準を50%以下とする好ましい水準で
は添加量の下限は1.5wt%である。フレッチング寿
命の観点からは、添加量が10wt%を超えても合格水
準100%以下を満している。しかし、この3種の添加
剤とも10wt%を超えて添加すると、グリースそのも
のの性状を変化させ、それにより初期のグリースが硬く
なり、回転トルクが大きくなったり、転動面のコロージ
ョンが生じ易くなったりする。尚、添加剤の入っていな
い比較例1では増加率が300%にもなっており、音響
耐久が著しく悪いことを示している。これらのことか
ら、添加剤を添加する効果と入れ過ぎることによる増加
率以外の悪影響を考慮すると、添加量は1.5wt%〜
6.0wt%が最も望ましいと言える。
【0056】(実施例2)SUT−2製で焼入れ、焼戻
しを施した外輪、内輪及び転動体からなるB4−50A
(日本精工(株)製)に、表−3に示すグリースを2.
35mg封入して試験軸受B−I、B−II、B−III及
びCを作製した。また、B4−50Aの転動体を窒化ボ
ールに代えた軸受を用い、同じく表−3に示すグリース
を2.35mg封入して試験軸受A−I及びA−IIを作
製した。尚、窒化ボールは、炭素0.45wt%、クロ
ム13.05wt%、窒素0.13wt%及び残部鋼か
らなる転動体素材を用い、ヘッダによる冷間加工後、バ
リ取りあるいは切削加工して球体とし、次いでこれを1
060℃で焼入れし、−80℃でサブゼロ処理し、16
0℃で焼戻しを行った後、所定の精度まで仕上げ加工を
行い、その後Nv窒化プロセス(大同ほくさん(株))
に処した後、仕上げラップを行って実施例1のSUT−
2製鋼球と同じ表面粗さ精度に仕上げて作製したもので
あり、表面硬さHvが1210で、表面に鋼球径比1.
4%×Daの緻密な窒化層が形成されていた。
【0057】
【表3】
【0058】次いで、各試験軸受に、実施例1と同様の
条件にて揺動を加えた。そして、この揺動を加えた後の
G値と揺動を加える前のG値とを比較し、その上昇度合
から耐フレッチング摩耗性を評価した。結果を図5に示
すが、本発明に従い、有機モリブデン化合物、有機脂肪
酸化合物及び有機リン化合物の少なくとも1種を含有す
るグルースを用いることにより、揺動によるG値の上昇
も少なく、このことからも耐フレッチング摩耗性の向上
に有効であることがわかる。また、試験軸受B−IとA
−I、B−IIとA−Iとの比較から、同じグリースを用
いても、転動体を窒化ボールに代えることにより、更に
G値の上昇が抑えられていることから、本発明の潤滑グ
リース組成物を窒化処理が施された軸受に封止すること
により、より耐フレッチング摩耗性に優れた軸受が得ら
れると言える。
【0059】(実施例3)また実施例2に関連して、試
験軸受B−I、B−II、B−III及びCを用い、回転ト
ルクを測定した。結果は図6に示す通りであるが、本発
明の基本グリース組成物を封入した軸受B−I、B−I
I、B−IIIでは、回転5分後の回転トルクの低下が著し
く、これは有機モリブデン化合物、有機脂肪酸化合物及
び有機リン化合物の作用により増ちょう剤の吸着効果が
向上する結果であると推察される。
【0060】(実施例4)表−4に示すように、表−1
のベースグリースIIIにMo−DTPを5wt%添加し
たグリースと、表−1のベースグリースIVのみからなる
グリースとを用い、それぞれをB4−50AIDS(日
本精工製)に2.35mg封入して試験軸受D及び試験
軸受Eを作製した。尚、軸受の使用は表−4に示す通り
である。
【0061】
【表4】
【0062】そして、図7に示すように、B4−50A
IDS(NSK名番)31,31を2個組込んだHDD
スピンドル32をラム33上に固定し、種々の高さHか
ら案内スライド34で案内しつつ落下させ、ラム33の
下面に取付けたスチール製の衝突部材35とボルスタ3
6に取付けたプラスチック製の受部材37との衝突時の
衝撃をスピンドル32の上端部に取付けた加速度計38
で測定した。尚、スピンドル32の軸受31,31には
アキシアル剛性(877kgf)8595Nとなる予圧
を付して落下させている。
【0063】図8は試験の結果得られた、落下衝撃前後
のG値の上昇値に対するその時の加速度との関係を示す
グラフであるが、本発明の基本グリースを封入した試験
軸受Dの方がより大きな落下衝撃加速度に耐え、落下衝
撃性に優れることを示している。このことは、Mo−D
TPによる表面の薄膜効果により耐衝撃性が増したこと
によるものと推察される。
【0064】また、同一のベースグリースに亜リン酸エ
ステルを5.0wt%添加したグリース、並びにアルケ
ニルコハク酸無水物を2.5wt%添加したグリースを
用いて同様の試験を行った結果、試験軸受Dとほぼ同様
な結果が得られた。
【0065】(実施例5)以下に、本発明の転動装置の
効果を確認するために、リニアガイドを用いて揺動耐久
試験を行った。
【0066】先ず、表5に示した本発明の転動装置に封
入するグリースとして好ましい例である基本グリース組
成物に、表6に示すように、モリブデンジチオフォスフ
ェート、アルケニルコハク酸無水物、亜リン酸エステル
の各添加剤を0〜15wt%添加して各種グリース組成
物を調製した。
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】そして、試験用リニアガイドとして、呼び
番号LH250535のものを使用し、グリース組成物
を充填して図9に示す揺動耐久試験装置を用いて試験を
実施した。図示される試験装置において、テーブル上に
同一仕様の試験用リニアガイドを2式平行に取り付け、
両スライダを固定板28で固定してある。固定板28
は、両試験用リニアガイド間に取り付けたボールねじ2
6のナットに固定してあり、このボールねじ26をサー
ボモータ27で揺動回転させることで、スライダ12が
揺動運動する構造となっている。試験条件は、周波数1
0Hz,揺動ストローク5mm、面圧1.7GPa、揺動
繰り返し数1×107回である。
【0070】試験の判定は、試験終了後の試験用リニア
ガイドを分解し、案内レール11の軌道面(第2の接触
面)を観察して次の基準で行った。結果を表6に併記す
る。 軌道面にほとんど損傷がない :○ 合格 軌道面に走行跡が発生している :△ 合格 軌道面にフレッチング摩耗性が発生している :× 不合格
【0071】表6に示すように、添加剤量が0.5wt
%以上であるグリース組成物を封入した試験用リニアガ
イドは、何れも摩耗は認められず、合格であった。添加
剤量が0.5wt%より少ないグリース組成物を封入し
た試験用リニアガイドは、十分な効果が得られず、フレ
ッチング摩耗が生じた。また、添加剤量が10wt%よ
り多いグリース組成物では、グリース組成物そのものの
性状が変化して硬くなり、トルクが大きくなったり、転
動面のコロージョンが生じやすくなって走行跡が生じ
た。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
潤滑特性は勿論のこと、優れた耐フレッチング摩耗性、
耐衝撃性を付与できる潤滑グリース組成物が得られる。
また、この潤滑グリースを封入することにより、耐フレ
ッチング摩耗性能、耐衝撃性、低トルク性が改善された
転がり軸受及び転動装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転がり軸受の一例を示す要部断面図で
ある。
【図2】本発明の転動装置の第1の例であるリニアガイ
ドの一部を切り欠いて示す正面図である。
【図3】本発明の転動装置の第2の例であるボールねじ
を示す要部断面図である。
【図4】実施例1において求められた、添加剤の添加量
と軸方向加速度の増加率との関係を示すグラフである。
【図5】実施例2において求められた、封入グリースの
種類と軸受単体のG値の上昇度合との関係を示すグラフ
である。
【図6】実施例3において求められた、封入グリースの
種類と回転トルクとの関係を示すグラフである。
【図7】実施例4において落下衝撃試験に用いられた測
定装置の構成図である。
【図8】実施例4において求められた、封入グリースの
種類と軸受単体のG値の上昇度合との関係を示すグラフ
である。
【図9】実施例5において揺動耐久試験に用いられた試
験装置の概略図である。
【符号の説明】
1 玉軸受 2 内輪 3 外輪 4 保持器 5 玉 6 シール部材 10 グリース 11 内方部材(案内レール) 12 外方部材(スライダ) 12A スライダ本体 12B エンドキャップ 13 転動体 15 第2の接触面(案内レールの軌道溝) 16 第1の接触面(スライダの軌道溝) 17 転動体戻り路 18 ねじ 21 ねじ溝 22 ねじ軸 23 ナット 24 転動体 25 ねじ溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10M 129/58 C10M 129/58 129/72 129/72 133/06 133/06 133/16 133/16 137/02 137/02 137/10 137/10 A F16C 33/66 F16C 33/66 Z // C10N 10:02 C10N 10:02 10:16 10:16 30:06 30:06 40:02 40:02 50:10 50:10 (72)発明者 横内 敦 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 八谷 耕一 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 高見沢 徹 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 倉石 淳 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 藤田 安伸 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 木村 浩 神奈川県藤沢市辻堂神台1−4−1 協同 油脂株式会社辻堂工場内 (72)発明者 木村 晶美 神奈川県藤沢市辻堂神台1−4−1 協同 油脂株式会社辻堂工場内 (72)発明者 大貫 裕次 神奈川県藤沢市辻堂神台1−4−1 協同 油脂株式会社辻堂工場内 Fターム(参考) 3J101 AA02 AA32 AA42 AA52 AA62 BA77 CA40 EA63 FA32 FA35 GA53 4H104 BB16C BB17B BB18C BB26C BB33C BB34A BB37A BC06C BC09C BE02C BE11C BF03C BH02C BH03C BH07C FA01 FA06 LA03 PA01 QA18

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基油が合成油からなり、増ちょう剤がリ
    チウム石けんからなる基本グリース組成物を有する潤滑
    グリース組成物において、 前記基本グリース組成物全量に対して、有機モリブデン
    化合物、有機脂肪酸化合物又は有機脂肪酸誘導体、有機
    リン化合物からなる添加剤の少なくとも1つを0.5〜
    10wt%添加したことを特徴とする潤滑グリース組成
    物。
  2. 【請求項2】 前記基油が炭酸エステル油、ポリオール
    エステル油の少なくとも1つから選ばれ、前記増ちょう
    剤がステアリン酸リチウム塩であることを特徴とする請
    求項1に記載の潤滑グリース組成物。
  3. 【請求項3】 前記有機モリブデン化合物がモリブデン
    ジチオフォスフェートであり、前記有機脂肪酸化合物又
    は有機脂肪酸誘導体がアルケニルコハク酸又はその無水
    物であり、前記有機リン化合物が亜リン酸エステルであ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の潤滑グリ
    ース組成物。
  4. 【請求項4】 前記添加剤の添加量が1.5〜6.0w
    t%であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項
    に記載の潤滑グリース組成物。
  5. 【請求項5】 内輪と外輪との間に複数の転動体を転動
    自在に保持し、グリース組成物を封入してなる転がり軸
    受において、請求項1〜4の何れかに1項に記載されて
    いる潤滑グリース組成物を封入したことを特徴とする転
    がり軸受。
  6. 【請求項6】 外方部材と内方部材との間に転動体を配
    設し、転動体は外方部材の転動体への接触面である第1
    の接触面と、内方部材の転動体への接触面である第2の
    接触面とに対して転動する転動装置において、請求項1
    〜4の何れか1項に記載されている潤滑グリース組成物
    を封入したことを特徴とする転動装置。
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