JP2001334439A - 加工点へのガス噴射方法及びその切削工具 - Google Patents

加工点へのガス噴射方法及びその切削工具

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JP2001334439A
JP2001334439A JP2000197349A JP2000197349A JP2001334439A JP 2001334439 A JP2001334439 A JP 2001334439A JP 2000197349 A JP2000197349 A JP 2000197349A JP 2000197349 A JP2000197349 A JP 2000197349A JP 2001334439 A JP2001334439 A JP 2001334439A
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cutting
gas
tool
cutting tool
outer peripheral
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JP2000197349A
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Hisashi Ukai
久 鵜飼
Koichi Yamashita
公一 山下
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Enshu Ltd
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Enshu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 切削工具にあけた貫通孔を刃部の先端面又は
外側面に開口し、この噴射口から切削用ガスを噴出して
刃部等を保護するようにした加工点へのガス噴射方法に
係り、特に、加工点への切削用ガスの集中噴射を可能と
したガス噴射方法と、その切削工具を提供することを目
的とする。 【解決手段】 切削工具25に貫通孔41を設け、この
貫通孔41の把持側から切削用ガスGを圧入し、工具刃
先周辺に開口した噴射口42より切削用ガスを加工ポイ
ントP1に供給する。これにより、工具寿命が延長さ
れ、火災が防止される

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マシニングセンタ
やフライス盤等の工作機械において、切削工具にあけた
貫通孔を刃部の先端面又は外側面に開口し、この噴射口
から切削用ガスを噴出して刃部等を保護するようにした
加工点へのガス噴射方法に係り、特に、その加工内容に
より切削用ガスを効率良く加工点に噴射・冷却し、且つ
この周囲を高濃度の切削用ガス雰囲気にできるガス噴射
方法及びこの切削工具に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的な工作機械は、図16で示される
ように主軸頭1に回転可能に支持された、主軸11に工
具ホルダ12が装着され、切削工具15は工具ホルダ1
2で固定されている。また、被削材13はテーブル14
上に固定される。上記主軸11内部には電動モーターが
格納されており、工具ホルダ12と共に切削工具15を
高速回転させる。上記主軸11、または上記テーブル1
4は移動可能な構造であり、かつNC制御装置により正
確に位置制御されている。これで回転する切削工具15
と被削材13が位置制御により適切な切込みを維持しつ
つ接触し、加工が進行する。また上記工具ホルダは図1
7に示すように、主軸11内部のテーパー部11Aと、
工具ホルダのテーパー部17が密着することにより高精
度に保持される。切削工具15は、コレット16を介し
て工具ホルダ12に保持される。
【0003】一般に、工作機械等による金属・非金属の
加工方法として、切削油を使用しない乾式のエアーブロ
ー加工が広く行われている。その代表的な事例は図16
に示す通りであり、エアーブロー加工を行うためのエア
ー源としては工作機械20の外部に設置されたエアーコ
ンプレッサー21が一般的に用いられる。エアーコンプ
レッサー21により圧縮された空気は、配管23を経由
して工作機械の主軸11横に配置されたノズル10まで
移送され、切削工具15等に噴射される。ノズル10先
端より切削個所付近の工具刃先に向けエアーブローする
ことにより、切削中に発生する切粉を切削個所から排除
しつつ、工具刃先に対して若干の冷却を行っている。
【0004】上記のように、エアーコンプレッサーは、
そのまま周辺の空気を取り込み圧縮し、空気中の酸素は
圧縮により高密度化した状態で、エアーノズルより噴射
される。しかし、切削工具は、切削熱により工具表面が
高温になっているため、酸化反応が非常に起こりやすい
状態になっている。つまり、高速回転している工具刃先
と被削材間で発生する摩擦熱により、工具刃先及びワー
ク表面は非常な高温にさらされており、周囲の酸素によ
り酸化反応が容易に促進する温度に至っている。切粉の
排除と刃先の冷却のためにエアーブローが行われるが、
ブローによる工具刃先への若干の冷却効果と引き換え
に、大量の酸素分子を高温となっている工具刃先に供給
してしまうことになり、かえって酸化反応を促進させて
しまい、本来強固なはずの切削工具表面は熱化学的に変
質・劣化し、物理的強度が低下する。つまり、高温とな
った刃先周辺部では酸化反応が急激に進行するため、切
削工具の寿命低下や加工精度不良等の問題を招いてしま
う。
【0005】エアーブロー加工において、酸化反応によ
る工具の劣化が進行すると、工具表面は赤熱等に見られ
るような燃焼状態になる。また、工具に問題がなくても
切削条件が高くなれば切削時の発熱は急激に上昇し、切
削中に発生する切粉は瞬時に燃焼する。このように燃焼
した切粉は、切削工具のすくい面に沿って周囲に飛散す
るため、すくい面が急激に損傷する。
【0006】切削条件が高い場合、難削材を加工する場
合、劣化し寿命が近づいた工具等でエアーブロー加工を
行う場合などは、切削時の発熱が大きいため、加熱・燃
焼した切粉が瞬時に火花となり燃えながら周囲に飛散す
るが、このような状況下において、付近に切削油等の燃
物があれば、火災が起こりやすく大変危険な状態とな
る。
【0007】近年は環境問題への取り組みが大切であ
り、切削油を使用しないエアーブロー加工に代表される
ようなドライな加工方法は、環境面で非常に有効な手段
であるが、同時に生産性も無視できない問題であり、エ
アーブロー加工に代表されるような従来のドライ加工で
は、上記に述べたような数々の問題から運用範囲に限界
がありドライ加工普及のための足かせとなっており、ド
ライ加工の実用性に1歩不満があり、これらを解消する
新技術の開発・商品化が望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のエア
ーブロー加工における切削工具の寿命問題、赤熱する切
粉発生などが原因となる火災等の問題を解消したいとい
う課題に鑑みてなされたもので、不燃性ガス、または不
活性ガスを切削用ガスとして加工点にブローすることに
より、切削工具刃先の酸化防止、火災の防止等を可能と
するなど、従来の問題を解決するための、加工点へのガ
ス噴射方法及びその切削工具を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の加工点へのガ
ス噴射方法は、切削工具の軸芯部等にあけた貫通孔は、
ワーク加工面と直接触れて切削する切削刃面に開口され
ており、上記貫通孔内に圧入した切削用ガスを切削刃面
からワーク加工面に向けて直接噴射させ、切削刃面の加
工点及びこの近傍周辺を濃厚なガス雰囲気にしてワーク
加工を行うことを特徴とする。
【0010】請求項2の加工点へのガス噴射方法は、請
求項1において、上記貫通孔は、切削工具の切削刃面に
おける刃部先端面に開口されており、切削用ガスを刃部
先端面から噴射することを特徴とする。
【0011】請求項3の加工点へのガス噴射方法は、請
求項1において、上記貫通孔は、切削工具の切削刃面に
おける刃部外周面に開口されており、切削用ガスを刃部
外周面から噴射することを特徴とする。
【0012】請求項4の加工点へのガス噴射方法は、請
求項1において、上記貫通孔は、切削工具の切削刃面に
おける刃部先端面と外周面とに開口されており、切削用
ガスを刃部先端面及び外周面から噴射することを特徴と
する。
【0013】請求項5は、切削工具の軸芯部等にあけた
貫通孔は、ワーク加工面と直接触れて切削する切削刃面
となる先端面に噴射口を開口し、且つその噴射口は先端
面におけるすくい面もしくは逃げ面に向けられているこ
とを特徴とする。
【0014】請求項6は、切削工具の軸芯部等にあけた
貫通孔は、ワーク加工面と直接触れて切削する切削刃面
となる外周面に噴射口を開口し、且つその噴射口は外周
面におけるすくい面もしくは逃げ面に向けられているこ
とを特徴とする。
【0015】請求項7は、切削工具の軸芯部等にあけた
貫通孔は、ワーク加工面と直接触れて切削する切削刃面
となる刃部先端面と外周面とに噴射口を開口し、且つそ
の噴射口は刃部先端面及び外周面におけるすくい面もし
くは逃げ面に向けられていることを特徴とする。
【0016】
【作用】上記請求項1によると、通常のエアーブローの
代わりに、不燃性ガス、又は不活性ガス等の切削用ガス
を切削刃先面から直接ワーク加工点に噴射することによ
り、工具刃先を効率よく冷却すると共に、切削個所周辺
をガス雰囲気で満たし、高温にさらされている工具刃先
の酸素濃度を下げ切削刃先面の酸化反応を抑制すること
により工具寿命を改善しつつ、加工点周辺をガス雰囲気
で満たすことにより火災等を未然に防止する。また切削
刃先面より直接ガスを噴射されるため、効率の良い刃面
冷却と切粉排除も合わせて行われる。
【0017】上記請求項2によると、通常のエアーブロ
ーの代わりに、不燃性ガス、又は不活性ガス等の切削用
ガスを工具刃先の先端面から直接ワーク加工点に噴射す
ることにより、工具刃先を効率よく冷却すると共に、切
削個所周辺をガス雰囲気で満たし、高温にさらされてい
る工具刃先の酸素濃度を下げ工具刃先の酸化反応を抑制
することにより工具寿命を改善しつつ、加工点周辺をガ
ス雰囲気で満たすことにより火災等を未然に防止する。
また工具刃先より直接ガスを噴射されるため、効率の良
い刃先冷却と切粉排除も合わせて行われる。
【0018】上記請求項3によると、通常のエアーブロ
ーの代わりに、不燃性ガス、又は不活性ガス等の切削用
ガスを工具刃先の外周面から直接噴射することにより、
工具刃先の外周面を効率よく冷却すると共に、切削個所
周辺をガス雰囲気で満たし、高温にさらされている工具
刃先の酸素濃度を下げ工具刃先の酸化反応を抑制するこ
とにより工具寿命を改善しつつ、加工点周辺をガス雰囲
気で満たすことにより火災等を未然に防止する。また工
具刃先の外周面より直接ガスを噴射されるため、効率の
良い刃先冷却と切粉排除も合わせて行われる。
【0019】上記請求項4によると、通常のエアーブロ
ーの代わりに、不燃性ガス、又は不活性ガス等の切削用
ガスを工具刃先の先端面及び外周面から直接噴射するこ
とにより、工具刃先の全体を効率よく冷却すると共に、
切削個所周辺をガス雰囲気で満たし、高温にさらされて
いる工具刃先全体の酸素濃度を下げ工具刃先の酸化反応
を抑制することにより工具寿命を改善しつつ、加工点周
辺をガス雰囲気で満たすことにより火災等を未然に防止
する。また工具刃先の先端面及び外周面より直接ガスを
噴射されるため、効率の良い刃先冷却と切粉排除も合わ
せて行われる。
【0020】上記請求項5によると、通常のエアーブロ
ーの代わりに、不燃性ガス、又は不活性ガス等の切削用
ガスを工具刃先の先端面から直接噴射できる切削工具と
したから、工具刃先を効率よく冷却すると共に、切削個
所周辺をガス雰囲気で満たし、高温にさらされている工
具刃先の酸素濃度を下げ工具刃先の酸化反応を抑制する
ことにより工具寿命を改善しつつ、加工点周辺をガス雰
囲気で満たすことにより火災等を未然に防止する。また
工具刃先より直接ガスを噴射されるため、効率の良い刃
先冷却と切粉排除も合わせて行われる切削工具となる。
【0021】上記請求項6によると、通常のエアーブロ
ーの代わりに、不燃性ガス、又は不活性ガス等の切削用
ガスを工具刃先の外周面から直接噴射できる切削工具と
したから、工具刃先の外周面を効率よく冷却すると共
に、切削個所周辺をガス雰囲気で満たし、高温にさらさ
れている工具刃先の酸素濃度を下げ工具刃先の酸化反応
を抑制することにより工具寿命を改善しつつ、加工点周
辺をガス雰囲気で満たすことにより火災等を未然に防止
する。また工具刃先の外周面より直接ガスを噴射される
ため、効率の良い刃先冷却と切粉排除も合わせて行われ
る切削工具となる。
【0022】上記請求項7によると、通常のエアーブロ
ーの代わりに、不燃性ガス、又は不活性ガス等の切削用
ガスを工具刃先の先端面及び外周面から直接噴射できる
切削工具としたから、工具刃先の全体を効率よく冷却す
ると共に、切削個所周辺をガス雰囲気で満たし、高温に
さらされている工具刃先の酸素濃度を下げ工具刃先の酸
化反応を抑制することにより工具寿命を改善しつつ、加
工点周辺をガス雰囲気で満たすことにより火災等を未然
に防止する。また工具刃先の先端面と外周面より直接ガ
スを噴射されるため、効率の良い刃先冷却と切粉排除も
合わせて行われる切削工具となる。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態について図面を
参照して説明する。先ず、図1〜図12に示す第1実施
形態から説明する。図1は、本発明の加工点へのガス噴
射方法を実施するための工作機械の概観図である。本発
明は不燃性ガス、または不活性ガスを使用する加工に関
するものであり、これに該当するガスには炭酸ガス、ヘ
リウムガス等さまざまなものがあるが、窒素ガスを使用
したガスブローがコスト的に実行しやすいと思われるた
め、窒素ガスを用いた実施形態を代表例とした。ベース
となる工作機械20の基本構成は、図16とほぼ同様で
ある。なお、窒素ガスは周辺の空気を原料として手に入
れることが出来る。まず、エアーコンプレッサー21に
より圧縮空気を生成し、これを窒素生成装置22に移送
すると、窒素生成装置22内部で大部分の酸素が除去さ
れるため、残った高濃度の窒素が配管23を経由し、主
軸11内部を通過し、専用工具ホルダ24を経て、専用
孔付き切削工具25より窒素ガスが噴射する。
【0024】センタースルー機構をもつ主軸の場合、図
2に示す切削工具25が最も適している。専用工具ホル
ダ24は気密性をもつと共に、貫通された孔27が中心
を通っており、ここを通過した切削用ガスGは、同じく
気密性を有する専用コレット26を経て、専用孔41付
き切削工具25より噴射される。
【0025】しかしながら、主軸の構造的な理由等によ
り、上記のようなセンタースルー方式が不可能な場合
は、図3に示すように、主軸11外から切削用ガスGを
導入し、工具ホルダ24内で軸芯にバイパスできるよう
な専用の工具ホルダ32を使用する。ガスは主軸外部よ
り、ホルダ内ガス移送経路31を経由して軸芯に至り、
気密性を有する専用コレット26を経て、専用孔41付
き切削工具25から噴射される。
【0026】図4は、平面加工における不燃性ガスを使
用した加工方法において、噴射されるガスの移動ベクト
ルを示している。専用孔付き切削工具25の内部の貫通
孔41を経て、工具先端より切削用ガスGを噴射する
が、工具周辺にガス雰囲気を効率よく生成するために、
独自の工夫が必要である。
【0027】図5に示すように、単純に軸芯にあけた貫
通孔41より噴射する方法では、最も高温にさらされる
工具25Aの外周刃先53と噴射口42が遠く効率的と
は言い難い。
【0028】図6に示すように、最も高温にさらされる
工具25の外周刃先(刃部先端面となる底面)53に照
準を合わせた噴射口42を分岐して設ければ、より少な
い不燃性ガスGで効率よく工具刃先を冷却できるため、
効率的かつ理想的である。
【0029】また、切削用ガスGの噴射方法において、
不燃性ガスのブロー強度に関しては単純に強ければ良い
というわけではない。工作機械の加工エリアの気密性が
高ければともかく、実際の使用では加工エリアは開放さ
れているため、周囲の空気の巻き込みに注意しなければ
ならない。図7に示すように、大量の切削用ガスGを高
速で噴射すると、大きな気流の渦Kが発生し、周辺の空
気を巻き込み、攪拌してしまい、ガス濃度が低下してし
まう。また、本来、切削ポイントのみガス雰囲気にすれ
ばよいものを、必要以上に大きなガス雰囲気を形成する
ためガスの無駄も大きく、効率が悪い。
【0030】刃先周辺に切削用ガスGを停滞させ高濃度
の不燃性ガス雰囲気を効率よく維持するためには、噴射
する切削用ガスの流速を適度に押さえることが大切であ
り、熱的な負荷の高い刃先外周に対して効率的かつ優先
的にガスを供給する様子を図8において示す。
【0031】今回の例では、直下ではなく、斜め下方向
にガスブローしているが、このようにある程度横方向に
角度をもって噴射すると、切粉を吹き飛ばす効果にも優
れ、切粉の排出と局所的なガス雰囲気の形成という一見
矛盾する条件を満たすことができる。孔付き切削工具2
5の噴射口42に関して、噴射される切削用ガスGのベ
クトルによる差違を示したものが図9、図10である。
【0032】図9のように直下に噴射した場合、切削用
ガスGの大部分は、被削材13の表面に拡散するか、上
方向に反射するか、切削工具25Aのねじれにより上方
向に巻き上げられるかの、いずれかである。
【0033】これに対し、図10のように切削用ガスG
を刃先外周に噴射する場合、反射や巻き上げ等が起こり
にくく、切削用ガスが刃先周辺にとどまりやすいと共
に、刃先外周の切削ポイントP1で集中的に切削用ガス
Gをブローしているため、切粉の排除もスムーズに行わ
れる。
【0034】これまでは、おおまかに切削用ガスのブロ
ー状況を述べたが、次に、工具刃先に視点を移しガスブ
ローの詳細を述べる。図11では、切削工具25により
加工する際に発生する切粉62と工具刃先(刃部先端
面)61の位置関係を示している。切削時に発生する切
粉は工具刃先61のすくい面64に接触しつつ排出され
る。つまり、非常に高温になっている切粉62は、切削
工具のすくい面64と直接接触するため、切削工具のす
くい面64は大きな熱的ダメージを受けることを避けら
れない状況である。
【0035】これに対し、図12に示すように、切削用
ガスを工具25のすくい面64に直接噴射することによ
り、効率の良い工具刃先61の冷却と酸化防止が可能と
なる。切削工具のすくい面は熱的ダメージを最も受けや
すい部位であるが、本発明のガスブローおいては、この
すくい面の延命に対して非常に効果がある。図中で示し
ているような切削工具のように、主に水平方向に切削が
行われる場合は、刃部底面とワークとの上下方向の接触
圧が少ないが、エンドミルによるザグリやドリルによる
穴加工のように下方向に加工が進行する場合は、刃部底
面とワークとの上下方向の接触圧が非常に大きくなり、
それにより切削工具逃げ面とワークとの摩擦熱が非常に
大きくなる。この場合、摩擦により発熱している部分の
冷却が最重要になるため、切削工具逃げ面65から切削
用ガスを直接噴射し、切削工具刃先及びワークの双方を
冷却・保護したほうが良い状況となる。
【0036】続いて、本発明の第2実施形態を、図1
3、図14にて述べる。図13(a)(b)では切削工
具71の外周面に設けた横刃(外周面)78を使用する
側面加工を示す。専用孔付き切削工具71の軸芯の孔7
2は工具の横刃(外周面)78で分岐し、切削用ガスG
は適切に分配され、複数の噴射口73より切削ポイント
P2に隙間なく供給される。側面加工では、工具先端部
以外となる切削工具71と被削材75との境界部74に
おいて、切削工具の摩耗(境界摩耗)が起こりやすい。
従って、境界摩耗が発生する境界74近辺に噴射口73
を設けることが理想的である。側面加工においては、一
般に切削ゾーンが広いため、十分な効果を上げるために
は多くの噴射口を設ける事が理想的であるが、噴射角度
の設定によりさまざまなバリエーションがある。
【0037】図14に示すのように側面の噴射角度θを
深くすることにより、少ない噴射口73で上下方向を広
くカバーできる。しかしながら、角度を深くしすぎる
と、ガス雰囲気が不均一になりやすく、切粉の排除力も
弱くなるので、運用性と効果のバランスを考えて噴射角
度を調整する必要がある。更に、上記噴射口73の開口
位置も、横刃(外周面)78のすくい面、または逃げ
面、もしくは両面に切削用ガスGを噴射するかは、実際
のワーク加工による横刃78の摩耗・発熱状況にて決定
される。
【0038】続いて、本発明の第3実施形態を、図15
にて述べる。図15(a)(b)において、溝加工用の
専用孔付き切削工具81の例を示す。溝加工は底及び側
面が広範囲に被削材と接触するため、摩擦熱の発生が大
きいにもかかわらず、切削工具が溝90に入り込んでい
るような状況のために切削時の排熱がスムーズに行か
ず、従って熱的なダメージを非常に受けやすく難易度の
高い加工である。このような加工に対応するためには、
底刃(刃部先端面)83及び横刃(刃部外周面)84に
対して隙のないガスブローを行うのが理想的であること
がテストカットの結果判明した。なお、図中82は貫通
孔、82A、82Bは噴射口、85は被削材、86はガ
スの気流である。
【0039】本発明は、上記各実施形態に限定されるこ
となく、発明の要旨内での設計変更が自由に行えるこ
と、勿論である。例えば、切削用ガスは窒素ガス以外
に、炭酸ガス、ヘリウムガス等の1種類の不活性ガス、
不燃性ガスや、2種類以上の不活性ガス、不燃性ガスを
混合したもの、また、消火専用ガスも使用できること勿
論であり、工具に関してもスクエアエンドミルだけでな
く、ボールエンドミル、スロアウエイエンドミル、フェ
イスミル、ドリル等の切削工具にも使用できること勿論
である。
【0040】小径工具の場合、軸芯と工具刃先の距離が
小さいため、工具軸芯よりそのままガスを噴射しても十
分な効果が期待でき、更にガス噴射が切削工具の逃げ面
に対して行われたとしても、加工点周辺を効率よくガス
雰囲気にし、工具刃先の酸化を防止する趣旨に違いはな
く、発明の要旨内であること明白である。
【0041】
【発明の効果】本発明の請求項1によると、切削工具の
高温となっている刃先に集中して効率よく不燃性ガス、
または不活性ガス等の切削用ガスを噴射するから、工具
刃先が酸化してしまうのを防止することができ工具寿命
の延長ができる。刃先温度に関しては、温度分布があり
同じ刃先でありながら部位による温度差は非常に大き
く、スポット的に非常に高温となっている部分では、熱
的なダメージ、酸化反応のダメージを合わせて受けるた
め、このような部分に窒素ガスのような不燃性ガス、ま
たは不活性ガスを噴射し保護することは重要であり、工
具寿命の延命に大きく貢献する。
【0042】また、酸化反応により刃先表面が酸化して
しまうと、素材が本来持っている耐熱性が低下し、10
0%の耐熱性を発揮できずに工具を使用していることに
なるが、本発明のブロー方法では、この部分を重点的に
ブローすることにより、特に高温状態で酸化反応を起こ
しやすい部位を保護し、耐熱性の維持を行う。
【0043】また、高速切削条件や、工具寿命をある程
度使った切削工具による加工では、加工中に燃焼状態と
なる切粉が発生するが、これが切削中に工具のすくい面
に接触することにより、切削工具表面が燃焼によるダメ
ージを受けてしまう。燃焼状態の切粉は、耐熱温度と無
関係に切削工具にダメージを与えるが、本発明は、この
ような状況を効果的に抑制する。
【0044】更に、本発明におけるガスブローの目標は
刃先のすくい面であるが、工具が小径であれば刃先とガ
ス噴射口が近接するため軸芯から直下にガスを噴射して
も十分な効果を期待できる。また、工具のすくい面では
なく、逃げ面に対してガス噴射をした場合であっても、
すくい面ほどの効果はないが、本発明の効果は複合的に
発揮するためトータルでは十分な効果を期待できる。
【0045】更に、切粉の排除に関しては、ガス噴射は
特に工具のすくい面に対して重点的に行うので、切削直
後の非常に高温になっている切粉を少しでも早く工具の
すくい面より遠ざけることができるため、切削工具が熱
的なダメージを受ける時間を減らし、工具寿命が延長さ
れる。
【0046】切削中に高温となっている工具刃先を集中
的にガスブローすることにより、刃先を効率よく冷却
し、熱的なダメージを減らすと共に、工具刃先の温度を
低下させることにより酸化反応の進行も防ぐ。
【0047】刃先にポイントを絞りガスブローしている
ので、無駄なガス噴射を減らし、ガス使用量も節約でき
る。
【0048】また、切粉が非常に高温となり燃焼状態で
あったとしても、ガスで消火されるため、火災防止効果
も高い。
【0049】更に、加工中に発生する熱は、工具刃先、
コレット、工具ホルダー、主軸へと熱伝導していくが、
軸芯にガスを導入することによる冷却効果で熱伝導を低
くし、熱膨張による加工精度劣化を抑制する。本発明の
請求項1の内容により、上記の効果を発揮することが出
来る。
【0050】本発明の請求項2は、上記請求項1におけ
る加工点へのガス噴射方法において、平面加工を専用と
するガス噴射方法としたから、ワークの平面加工におい
て、上記請求項1の効果を発揮することが出来る。
【0051】本発明の請求項3は、上記請求項1におけ
る加工点へのガス噴射方法において、側面加工を専用と
するガス噴射方法としたから、ワークの側面加工におい
て上記請求項1の効果を発揮することが出来る。
【0052】本発明の請求項4は、上記請求項1におけ
る加工点へのガス噴射方法において、溝加工を専用とす
るガス噴射方法としたから、溝加工において上記請求項
1の効果を発揮することが出来る。
【0053】本発明の請求項5は、上記請求項2におけ
る平面加工を容易に実現するための専用ガスブロー用切
削工具としたから、平面加工において請求項2の効果を
発揮させられる切削工具が提供できる。
【0054】本発明の請求項6は、上記請求項3におけ
る側面加工を容易に実現するための専用ガスブロー用切
削工具としたから、側面加工において請求項3の効果を
発揮させられる切削工具が提供できる。
【0055】本発明の請求項7は、上記請求項4におけ
る溝加工を容易に実現するための専用ガスブロー用切削
工具としたから、溝加工において請求項4の効果を発揮
させられる切削工具が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示し、工作機械の全体図で
ある。
【図2】本発明の切削工具を保持する工具ホルダーの断
面図である。
【図3】本発明の切削工具を保持する工具ホルダーの断
面図である。
【図4】本発明の第1実施形態を示し、切削工具の正面
及び平面図である。
【図5】切削工具の貫通孔が刃部先端面まで一直線に伸
びた工具の正面図である。
【図6】本発明の第1実施形態を示し、噴射口を各刃部
へ分岐した工具の正面図である。
【図7】本発明の第1実施形態を示し、ガスブローの流
速・流量とガスの分布図である。
【図8】本発明の第1実施形態を示し、ガスブローの流
速・流量とガスの分布図である。
【図9】切削工具の貫通孔を一直線とした噴射口による
ガスの分布図である。
【図10】本発明の第1実施形態における、ガスの分布
図である。
【図11】切削工具のすくい面と切粉の位置関係を示す
正面図及び拡大図である。
【図12】切削工具のすくい面へのガス噴射を示す正面
図及び拡大図である。
【図13】本発明の第2実施形態を示し、切削工具の正
面作用図と平面作用図である。
【図14】本発明の第2実施形態を示し、噴射口の噴射
角度を変更した工具の正面図である。
【図15】本発明の第3実施形態を示し、切削工具の正
面作用図と平面作用図である。
【図16】一般的な機械構成を示す概観図である。
【図17】従来の工具ホルダー周辺の概観図である。
【符号の説明】
1 主軸頭 10 ノズル 11 主軸 11A テーパー部 12 工具ホルダ 13 被削材 14 テーブル 15 切削工具 16 コレット 17 テーパー部 20 工作機械 21 エアーコンプレッサー 22 窒素生成装置 23 配管 24 専用工具ホルダ 25 専用孔付き切削工具 26 専用コレット 27 噴射口 31 ガス移送経路 32 工具ホルダ 41 貫通孔 42 噴射口 53 外周刃先(刃部先端面となる底面) 61 工具刃先 62 切粉 64 すくい面 65 逃げ面 71 専用孔付き切削工具 72 貫通孔 73 噴射口 74 境界部 75 被削材 78 切削工具横刃(外周面) 82 貫通孔 82A 噴射口 82B 噴射口 83 底刃(刃部先端面) 84 横刃(刃部外周面) 85 被削材 90 (切削によりできた)ワークの溝 G 切削用ガス P1 切削ポイント P2 切削ポイント θ 噴射角度

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】切削工具の軸芯部等にあけた貫通孔は、ワ
    ーク加工面と直接触れて切削する切削刃面に開口されて
    おり、上記貫通孔内に圧入した切削用ガスを切削刃面か
    らワーク加工面に向けて直接噴射させ、切削刃面の加工
    点及びこの近傍周辺を濃厚なガス雰囲気にしてワーク加
    工を行うことを特徴とする加工点へのガス噴射方法。
  2. 【請求項2】上記貫通孔は、切削工具の切削刃面におけ
    る刃部先端面に開口されており、切削用ガスを刃部先端
    面から噴射することを特徴とする請求項1記載の加工点
    へのガス噴射方法。
  3. 【請求項3】上記貫通孔は、切削工具の切削刃面におけ
    る刃部外周面に開口されており、切削用ガスを刃部外周
    面から噴射することを特徴とする請求項1記載の加工点
    へのガス噴射方法。
  4. 【請求項4】上記貫通孔は、切削工具の切削刃面におけ
    る刃部先端面と外周面とに開口されており、切削用ガス
    を刃部先端面及び外周面から噴射することを特徴とする
    請求項1記載の加工点へのガス噴射方法。
  5. 【請求項5】切削工具の軸芯部等にあけた貫通孔は、ワ
    ーク加工面と直接触れて切削する切削刃面となる先端面
    に噴射口を開口し、且つその噴射口は先端面におけるす
    くい面もしくは逃げ面に向けられていることを特徴とす
    る加工点へのガス噴射用の切削工具。
  6. 【請求項6】切削工具の軸芯部等にあけた貫通孔は、ワ
    ーク加工面と直接触れて切削する切削刃面となる外周面
    に噴射口を開口し、且つその噴射口は外周面におけるす
    くい面もしくは逃げ面に向けられていることを特徴とす
    る加工点へのガス噴射用の切削工具。
  7. 【請求項7】切削工具の軸芯部等にあけた貫通孔は、ワ
    ーク加工面と直接触れて切削する切削刃面となる刃部先
    端面と外周面とに噴射口を開口し、且つその噴射口は刃
    部先端面及び外周面におけるすくい面もしくは逃げ面に
    向けられていることを特徴とする加工点へのガス噴射用
    の切削工具。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007075939A (ja) * 2005-09-13 2007-03-29 Kyokuei Kenma Co Ltd ボール盤
JP2007516088A (ja) * 2003-07-08 2007-06-21 ブリティッシュ・ニュークリア・フューエルズ・パブリック・リミテッド・カンパニー 乾式ドリル加工
JP2014180744A (ja) * 2013-03-18 2014-09-29 Ito Yukio 工作機械の加工装置

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