JP2001332494A - 半導体素子の製造方法および半導体素子 - Google Patents

半導体素子の製造方法および半導体素子

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JP2001332494A JP2000155253A JP2000155253A JP2001332494A JP 2001332494 A JP2001332494 A JP 2001332494A JP 2000155253 A JP2000155253 A JP 2000155253A JP 2000155253 A JP2000155253 A JP 2000155253A JP 2001332494 A JP2001332494 A JP 2001332494A
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silicon layer
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Hirozumi Azuma
博純 東
Akihiro Takeuchi
昭博 竹内
Tadashi Ito
忠 伊藤
Tomomi Motohiro
友美 元廣
Shunichi Murazaki
俊一 村崎
Hideoki Fukushima
英沖 福島
Koji Yamaguchi
耕治 山口
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Toyota Central R&D Labs Inc
Aichi Steel Corp
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Toyota Central R&D Labs Inc
Aichi Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 太陽電池として高い光電変換効率を得るのに
必要な、粒径の大きなシリコン結晶粒を含むシリコン層
を、十分な厚さで生産性高く製造することが可能な、半
導体素子の製造方法を提供すること。また、太陽電池に
用いたときに高い光電変換能率を発揮する半導体素子を
提供すること。 【解決手段】 基板上に、多結晶シリコンまたは微結晶
シリコンからなる結晶性シリコン層を形成する工程と、
前記結晶性シリコン層上にアモルファスシリコン層を形
成する工程と、前記アモルファスシリコン層表面にレー
ザを照射して、前記結晶性シリコン層中のシリコン結晶
粒を粗大化させるとともに、前記アモルファスシリコン
層を結晶化させる工程とを含むことを特徴とする半導体
素子の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体素子の製造方
法および半導体素子に関する。
【0002】
【従来の技術】太陽電池は、環境に対する影響が少ない
発電手段として注目されている。現在実用化されている
太陽電池は、化合物系太陽電池とシリコン系太陽電池に
大別される。化合物系太陽電池としては、CdS等のII
−VI族化合物太陽電池やInP等のIII−V族化合物太
陽電池が挙げられる。
【0003】一方、シリコン系太陽電池は、薄膜タイプ
である非晶質系太陽電池(アモルファスシリコン太陽電
池)とバルクタイプである結晶系太陽電池に分類され、
結晶系太陽電池は、さらに単結晶シリコン太陽電池と多
結晶シリコン太陽電池に分類される。
【0004】アモルファスシリコン太陽電池は、薄膜タ
イプであるためシリコン材料の使用量を少なくすること
が可能であるが、光電変換効率が低いために特定の電力
を得ようとすると面積を広くする必要があり、また、紫
外線により劣化しやすいという問題がある。これに対し
て、バルクタイプの太陽電池は、紫外線による劣化は問
題とならないものの、製造に多くのシリコンを使用する
ため低コスト化がはかれないという問題点がある。
【0005】したがって、紫外線に対する耐性を上げ且
つシリコン使用量を低減するという観点から、紫外線で
劣化しない多結晶シリコンまたは単結晶シリコンを薄膜
化し、これらにより太陽電池を構成することが研究され
ている。
【0006】例えば、プラズマCVDやレーザスパッタ
等により多結晶シリコン膜を作製する方法が試みられて
いるが、シリコン結晶粒の粗大化がはかれず、緻密で均
質な膜を作製することも困難であるため、太陽電池とし
ての実用に耐えない。また、シリコン単結晶基板上にシ
リコンをエピタキシャル成長させたものから、エピタキ
シャル成長させたシリコン部分を採取する方法が提案さ
れているが、エピタキシャル成長した膜は容易にはがす
ことができず、製造プロセスにも長時間が必要となる。
【0007】薄膜化の方法としては、さらに、アモルフ
ァスシリコン膜を加熱しながらレーザアニールし、アモ
ルファスシリコン膜の膜厚方向の温度コントロールをし
て結晶化する方法(特開平04−286318号公報参
照)、絶縁性基板上にアモルファスシリコンを製膜し、
レーザ照射後、電気炉による熱処理を行う方法(特開平
04−186721号公報および特開平04−1867
23号公報参照)、単結晶シリコンにアモルファスシリ
コンを製膜し、レーザ照射によりアモルファスシリコン
を結晶化させる方法(特開昭55−77146号公報参
照)等のように、アモルファスシリコン膜をまず形成
し、それを結晶化させるいう試みがなされている。
【0008】また、絶縁基板上に形成された多結晶シリ
コン層の所定スポットにレーザ照射等して結晶粒を増大
させ種結晶としたのち、アモルファスシリコン層を積層
しアニールする方法(特開平02−188499号公報
参照)等のように、多結晶シリコン層をまず形成し、多
結晶シリコン中における結晶粒を粗大化させるという試
みもある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
04−286318号公報に開示された方法では、レー
ザ照射前にシリコン膜を酸化しない雰囲気で比較的高温
度に保持する必要があり、特開平04−186721号
公報および特開平04−186723号公報に開示され
た方法では、電気炉による数時間以上の熱処理を必要と
し、さらに、特開昭55−77146号公報に開示され
た方法では、シリコン単結晶基板を必要とすることや結
晶化に長時間を必要とするため、いずれも、生産性やコ
ストの面で問題がある。
【0010】また、特開平02−188499号公報に
開示された方法は、アモルファスシリコン層を形成した
後に長時間のアニールが必要であり生産性に劣るという
問題があり、さらには、この方法では、薄膜トランジス
タ用シリコン膜の形成は可能であるが、太陽電池用の厚
膜が形成できないという問題がある。
【0011】また、従来のプラズマCVD手法で形成し
た多結晶シリコン薄膜においては、膜質が悪い場合に
は、レーザ光反射率が低く膜内での熱伝導率が悪くな
り、多結晶シリコン薄膜の表面付近に関してはレーザア
ニールによる結晶粒の粗大化は比較的容易に行えるもの
の、基板付近は熱が伝わらないため膜質が改善されず、
膜全体の太陽電池としての性能は低くなる。一方、膜質
を改善し、緻密な多結晶シリコンまたは微結晶シリコン
とした場合には、レーザ光反射率が70%以上と高くな
り、レーザ光からのエネルギー供給が不十分となる。ま
た、熱伝導度も高くなるため膜全体を結晶粒が粗大化す
る温度にすることが難しい。
【0012】特に、太陽電池では、シリコン膜内にpn
接合を形成するためシリコン膜にボロンやリン等をドー
プする。そのため膜質は改善されるが、レーザアニール
はより困難になる。レーザアニールを十分に行うためレ
ーザ光のエネルギー密度を上げると膜全体が溶融し、島
状の組織となり太陽電池としての機能がなくなってしま
う。また、シリコン膜を一定温度に保つために電気炉等
で加熱する場合には、例えば、900℃以上、10時間
以上といった高温長時間の熱処理が必要となるために、
太陽電池の構造に制約を与えたり、製造コストが高くな
ったりするという問題がある。
【0013】また、アモルファスシリコン太陽電池を直
接レーザアニールして、アモルファスシリコン層を多結
晶化することも考えられるが、通常のアモルファスシリ
コン太陽電池の膜厚は0.5μm以下であるため、太陽
光を吸収するには膜厚が不十分であり、従来のバルクタ
イプの多結晶シリコン太陽電池並みの光電変換効率(1
2%以上)を得ることができない。
【0014】本発明は、このような技術的課題に鑑みて
なされたものであり、太陽電池として高い光電変換効率
を得るのに必要な、粒径の大きなシリコン結晶粒を含む
シリコン層を、十分な厚さで生産性高く製造することが
可能な、半導体素子の製造方法を提供することを目的と
する。また、粒径の大きなシリコン結晶粒を含むシリコ
ン層を備え、太陽電池に用いたときに高い光電変換能率
を発揮する半導体素子を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、基板上に形成さ
れた多結晶シリコンまたは微結晶シリコンからなる結晶
性シリコン層の上に、アモルファスシリコン層を設けレ
ーザアニールする方法、または、基板上に形成された、
ドーパントを含む多結晶シリコンまたは微結晶シリコン
からなるドープ層の上に、ノンドープ層を設けレーザア
ニールする方法により、太陽電池として高い光電変換効
率を得るのに必要な、粒径の大きなシリコン結晶粒を含
むシリコン層を、十分な厚さで生産性高く製造すること
が可能であることを見出した。また、この製造方法によ
り得られる半導体素子が、粒径の大きなシリコン結晶粒
を含むシリコン層を備え、太陽電池用に用いたときに高
い光電変換能率を発揮することを見出し、本発明を完成
させた。
【0016】すなわち、本発明は、(1)基板上に、多
結晶シリコンまたは微結晶シリコンからなる結晶性シリ
コン層を形成する工程と、(2)前記結晶性シリコン層
上にアモルファスシリコン層を形成する工程と、(3)
前記アモルファスシリコン層表面にレーザを照射して、
前記結晶性シリコン層中のシリコン結晶粒を粗大化させ
るとともに、前記アモルファスシリコン層を結晶化させ
る工程とを含むことを特徴とする半導体素子の製造方法
を提供するものである。
【0017】アモルファスシリコンは、多結晶シリコン
や微結晶シリコンに比べて熱伝導率が低いため、アモル
ファスシリコン層表面にレーザが照射されると、アモル
ファスシリコン層は比較的短時間に溶融し、溶融するこ
とによりさらにレーザ吸収率が高まる。溶融したアモル
ファスシリコン層に十分な熱量が貯えられると、熱伝導
により多結晶シリコンまたは微結晶シリコンからなる結
晶性シリコン層に熱が伝わり、多結晶シリコンまたは微
結晶シリコンの温度が穏やかに上昇し、結晶性シリコン
層中のシリコン結晶粒の粗大化が実現する。
【0018】また、多結晶シリコンや微結晶シリコンは
熱伝導率が高いことから、熱が結晶性シリコン層の深部
まで伝わり、結晶性シリコン層の深部までシリコン結晶
粒の粗大化が生じ、太陽電池として高い光電変換効率を
得るのに必要な、粒径の大きなシリコン結晶粒を含むシ
リコン層の厚さが十分となる。一方、溶融したアモルフ
ァスシリコン層は、レーザ照射が終了すると多結晶シリ
コンまたは微結晶シリコンからなる結晶性シリコン層へ
の熱の逃げのため穏やかに温度が下がり、液滴状になら
ずに平坦で比較的大きな結晶層を形成する。
【0019】さらに、上記方法によれば、レーザ照射を
行うことのみにより、アモルファスシリコン層の結晶化
と、結晶性シリコン層中のシリコン結晶粒の粗大化の両
方が実施されるため、結晶粒の粗大化に多くの工程を必
要としない。また、高温長時間の熱処理も要求されな
い。したがって、生産性を向上させることが可能にな
る。
【0020】本発明において、前記アモルファスシリコ
ン層の厚さは0.01〜0.5μmであることが好まし
い。アモルファスシリコン層の厚さがこのような範囲に
ある場合は、レーザ光による加熱によりこの層全体が比
較的短時間に溶融するため、結晶性シリコン層における
結晶粒の粗大化が促進される傾向にある。
【0021】本発明は、また、(1)基板上に、ドーパ
ントの含有量が1015cm-3以上である、多結晶シリコ
ンまたは微結晶シリコンからなるドープ層を形成する工
程と、(2)前記ドープ層上に、ドーパントの含有量が
1015cm-3未満である、多結晶シリコンまたは微結晶
シリコンからなるノンドープ層を形成する工程と、
(3)前記ノンドープ層表面にレーザを照射して、前記
ノンドープ層および前記ドープ層中のシリコン結晶粒を
粗大化させる工程とを含むことを特徴とする半導体素子
の製造方法を提供するものである。
【0022】ドーパントを1015cm-3未満含有するノ
ンドープ層は、ドーパントを1015cm-3以上含有する
ドープ層に比べてレーザの反射率や熱伝導率が低い。し
たがって、レーザが照射されたノンドープ層は温度上昇
しやすく、比較的短時間で溶融し、溶融することにより
さらにレーザ吸収率が高まる。溶融したノンドープ層に
十分な熱量が貯えられると、次に熱伝導により多結晶シ
リコンまたは微結晶シリコンからなるドープ層に熱が伝
わり、多結晶シリコンまたは微結晶シリコンの温度が穏
やかに上昇し、ドープ層中のシリコン結晶粒の粗大化が
実現する。
【0023】また、多結晶シリコンや微結晶シリコンは
熱伝導率が高いことから、ドープ層の深部までシリコン
結晶粒の粗大化が生じ、太陽電池として高い光電変換効
率を得るのに必要な、粒径の大きなシリコン結晶粒を含
むシリコン層の厚さが十分となる。さらに、溶融したノ
ンドープ層は、レーザ照射が終了するとドープ層への熱
が散逸するため穏やかに温度が下がり、ドープ層と同様
にシリコン結晶粒の粗大化が生じる。
【0024】この方法によれば、上記と同様に、レーザ
照射を行うことのみにより、ノンドープ層の結晶粒の粗
大化と、ドープ層中のシリコン結晶粒の粗大化の両方が
実施されるため、結晶粒の粗大化に多くの工程を必要と
せず、高温長時間の熱処理も要求されない。したがっ
て、生産性を向上させることが可能になる。
【0025】本発明における前記ノンドープ層の厚さ
は、0.01〜0.5μmであることが好ましい。ノン
ドープ層の厚さがこのような範囲にある場合は、レーザ
光による加熱によりこの層全体が比較的短時間に溶融す
るため、ドープ層における結晶粒の粗大化が促進される
傾向にある。
【0026】また、本発明においては、前記レーザは、
パルス幅30〜50ナノ秒のエキシマレーザであり、前
記照射は、100〜1000mJ/cm2のエネルギー
密度で実施されることが好ましい。レーザがこのような
パルス幅を有するエキシマレーザであり、該エキシマレ
ーザが上記のようなエネルギー密度で照射される場合に
おいては、結晶性シリコン層やドープ層における結晶粒
の粗大化が短時間化し、生産性がより向上する傾向にあ
る。
【0027】本発明は、また、(1)第1の電極と絶縁
層とを備えた基板と、(2)該基板上に形成された、多
結晶シリコンまたは微結晶シリコンからなる結晶性シリ
コン層と、(3)該結晶性シリコン層上に形成された、
粗大化されたシリコン結晶粒を有する結晶性シリコン層
と、(4)該粗大化されたシリコン結晶粒を有する結晶
性シリコン層上に形成された、第2の電極とを備えるこ
とを特徴とする半導体素子を提供するものである。本発
明の半導体素子は、このような構成を有するものである
ため太陽電池用に用いたときに高い光電変換能率を発揮
する。
【0028】本発明の半導体素子においては、前記結晶
性シリコン層におけるシリコン結晶粒の平均粒径は5〜
50nmであり、前記粗大化されたシリコン結晶粒を有
する結晶性シリコン層におけるシリコン結晶粒の平均粒
径は50nm〜500μmであることが好ましい。本発
明の半導体素子が、このような構成を有するものである
場合は、太陽電池用に用いたとき光電変換能率がより高
くなる傾向にある。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明の半導体素子の製造方法
は、基板上に、多結晶シリコンまたは微結晶シリコンか
らなる結晶性シリコン層を形成する工程と、前記結晶性
シリコン層上にアモルファスシリコン層を形成する工程
と、前記アモルファスシリコン層表面にレーザを照射し
て、前記結晶性シリコン層中のシリコン結晶粒を粗大化
させるとともに、前記アモルファスシリコン層を結晶化
させる工程とを含むものである。
【0030】本発明においては、まず、基板上に、多結
晶シリコンまたは微結晶シリコンからなる結晶性シリコ
ン層を形成するが、この結晶性シリコン層の形成方法は
特に制限されない。例えば、真空蒸着、スパッタ蒸着、
イオンプレーティング等のPVD法;熱CVD、光CV
D、プラズマCVD等のCVD法等、公知の方法が適用
可能である。
【0031】本発明で用いられる基板の種類は特に制限
されず、例えば、シリコン基板、セラミックス基板、ス
テンレス鋼基板等を好適に用いることができる。また、
本発明において多結晶シリコンとは、平均粒径が50n
m以上250μm以下のシリコン結晶粒を有する結晶性
シリコンを意味し、微結晶シリコンとは、平均粒径が5
nm以上50nm未満のシリコン結晶粒を有する結晶性
シリコンを意味する。また、多結晶シリコンまたは微結
晶シリコンは、ドーパントを実質的に含有しないシリコ
ンであっても、周期律表第III族の元素をドーパントと
して含むp型のシリコンや周期律表V族の元素をドーパ
ントとして含むn型のシリコンであってもよい。
【0032】ここで、ドーパントを実質的に含有しない
シリコンとは、ドーパントの含有量が1015cm-3未満
であるシリコンをいう。すなわち、ドーパントの含有量
が0のシリコン、または、ドーパントを含有する場合は
その濃度が1015cm-3未満であるシリコンをいう。ド
ーパントの含有量が1015cm-3未満であるシリコン
は、CVD法を用いる場合は、ドーパントガスをモノシ
ランガスに対して1ppm未満とした混合ガスを用いる
ことにより得ることができる。
【0033】また、基板上に形成される結晶性シリコン
層中のシリコン結晶粒の平均粒径が50nm以上250
μm以下となるように、多結晶シリコンからなる結晶性
シリコン層を形成するためには、例えば、基板温度を6
00〜900℃としCVD法によりモノシランガス等を
基板表面に堆積成長させればよい。また、基板上に形成
される結晶性シリコン層中のシリコン結晶粒の平均粒径
が5nm以上50nm未満となるように、微結晶シリコ
ンからなる結晶性シリコン層を形成するためには、例え
ば、基板温度を450〜600℃としCVD法によりモ
ノシランガス等を基板表面に堆積成長させればよい。
【0034】基板上に形成される、多結晶シリコンまた
は微結晶シリコンからなる結晶性シリコン層の厚さは、
1〜10μmであることが好ましく、1.5〜3μmで
あることがより好ましい。結晶性シリコン層の厚さが1
μm未満である場合は、膜厚が太陽電池として不適とな
る傾向にあり、10μmを超す場合は使用するシリコン
量が増加し低価格化がはかれなくなる傾向にある。
【0035】基板上に、上記のようにして結晶性シリコ
ン層を形成した後、該結晶性シリコン層上にアモルファ
スシリコン層を形成する。
【0036】ここで、アモルファスシリコン層を形成す
るアモルファスシリコンは、ドーパントを実質的に含ま
ないシリコンであっても、周期律表第III族の元素をド
ーパントとして含むp型のシリコンや周期律表V族の元
素をドーパントとして含むn型のシリコンであってもよ
い。ここで、ドーパントを実質的に含まないシリコンと
は、上記と同様に、ドーパントの含有量が1015cm-3
未満であるものをいう。なお、アモルファスシリコン層
がドーパントを含む場合は、そのドーパントの種類は結
晶性シリコン層のドーパントの種類と同様であることが
好ましい。
【0037】本発明において、アモルファスシリコン層
の厚さは、0.01〜0.5μmであることが好まし
く、0.1〜0.3μmであることがより好ましい。ア
モルファスシリコン層の厚さが0.01μm未満である
場合は、レーザを照射したときに溶融するアモルファス
シリコンの量が少なすぎて貯えられる熱量が少なくなる
ために、多結晶シリコンまたは微結晶シリコンからなる
結晶性シリコン層に伝達する熱量が不足して、シリコン
結晶粒の粗大化が不十分となる傾向にある。一方、アモ
ルファスシリコン層の厚さが0.5μmを超える場合
は、レーザ照射の照射エネルギーを向上させたり、照射
時間を長くする必要が生じ、生産性が悪化したり低価格
化が困難になる傾向にある。
【0038】結晶性シリコン層上にアモルファスシリコ
ン層を形成する方法は特に制限されず、上記のようなP
VD法やCVD法が好適に適用可能である。例えば、C
VD法により基板上に結晶性シリコン層を形成した後
に、引き続きCVD法によりアモルファスシリコン層を
形成する場合においては、結晶性シリコン層が形成され
た基板を冷却して、0〜50℃に保つようにすればよ
い。
【0039】このようにして、基板上に結晶性シリコン
層およびアモルファスシリコン層をこの順に形成した
後、アモルファスシリコン層の表面にレーザを照射し、
前記結晶性シリコン層中のシリコン結晶粒を粗大化させ
るとともに、前記アモルファスシリコン層を結晶化させ
る。
【0040】ここで、シリコン結晶粒の粗大化とは、シ
リコン結晶粒の平均粒径を2倍以上にすることを意味す
る。本発明において、結晶性シリコン層は多結晶シリコ
ンまたは微結晶シリコンからなり、上述のように、多結
晶シリコンは50nm以上250μm以下のシリコン結
晶粒を有し、微結晶シリコンは5nm以上50nm未満
のシリコン結晶粒を有するものであるから、結晶性シリ
コン層におけるシリコン結晶粒は、5nm〜250μm
の範囲の平均粒径を有する。粗大化によりシリコン結晶
粒の平均粒径を2倍以上にした場合、シリコン結晶粒の
平均粒径は10nm〜500μmとなる。本発明におい
ては、粗大化されたシリコン結晶粒は50nm〜500
μmの平均粒径を有していることが好ましい。
【0041】アモルファスシリコン層表面に照射するレ
ーザは特に制限されないが、エキシマレーザであること
が好ましい。エキシマレーザとしては、希ガスダイマエ
キシマレーザ、希ガスハライドエキシマレーザ、希ガス
酸素エキシマレーザ、水銀ハライドエキシマレーザ等を
用いることができ、なかでも、出力と効率の観点からK
rFエキシマレーザ等の希ガスハライドエキシマレーザ
を用いることが好ましい。
【0042】アモルファスシリコン層表面にレーザを照
射する場合において、上記のようなエキシマレーザであ
って、パルス幅が30〜50ナノ秒であるものを、10
0〜1000mJ/cm2のエネルギー密度で照射する
ことが好ましい。パルス幅30〜50ナノ秒である場
合、エネルギー密度は250〜600mJ/cm2であ
ることがより好ましい。エネルギー密度が100mJ/
cm2未満である場合は、アモルファスシリコン層の溶
融が長時間化する傾向にあり、1000mJ/cm2
超す場合は、シリコン層全体が溶融し、シリコン層が島
状となり層が破壊する傾向にある。
【0043】アモルファスシリコン層表面にレーザを照
射することにより、アモルファスシリコン層は比較的短
時間に溶融し、溶融したアモルファスシリコン層に十分
な熱量が貯えられると、熱伝導により多結晶シリコンま
たは微結晶シリコンからなる結晶性シリコン層に熱が伝
わり、結晶性シリコン層中のシリコン結晶粒の粗大化が
実現する。このとき、シリコン結晶粒の粗大化は、アモ
ルファスシリコン層表面から0.8〜2.0μmの深さ
まで生じることが好ましく、1〜1.5μmの深さまで
生じることがより好ましい。粗大化が上記の範囲内であ
る場合は、得られる半導体素子を太陽電池に応用した場
合において、光電変換効率が上昇する傾向にある。
【0044】上述した半導体素子の製造方法に対して、
例えば、以下のような新たな工程を付加することが可能
である。この方法により得られる半導体素子は、例え
ば、太陽電池用シリコン半導体素子として好適に用いる
ことができる。
【0045】すなわち、(1)基板上に、第1導電型ド
ーパントがドープされた、多結晶シリコンまたは微結晶
シリコンからなる第1の結晶性シリコン層を形成する工
程と、(2)前記第1の結晶性シリコン層上に、前記第
1導電型ドーパントがドープされたアモルファスシリコ
ン層を形成する工程と、(3)前記アモルファスシリコ
ン層表面にレーザを照射して、前記第1の結晶性シリコ
ン層中のシリコン結晶粒を粗大化させるとともに、前記
アモルファスシリコン層を結晶化させる工程と、(4)
前記アモルファスシリコン層上に、第2導電型ドーパン
トがドープされた、多結晶シリコンまたは微結晶シリコ
ンからなる第2の結晶性シリコン層を形成する工程と、
(5)前記第2の結晶性シリコン層表面にレーザを照射
する工程とを含む方法を実施しpn接合を形成させ、さ
らに、第2の結晶性シリコン層上に櫛形電極等を形成さ
せ、基板に裏面電極などを蒸着させることにより、太陽
電池用シリコン半導体素子を得ることができる。ここ
で、第1導電型ドーパントと第2導電型ドーパントのう
ち、一方は、周期律表第III族の元素とし、他方は、周
期律表V族の元素とすればよい。
【0046】以上説明したように、上記の方法にしたが
って、アモルファスシリコン層表面にレーザを照射する
と、アモルファスシリコンが溶融するが、レーザを照射
する面をアモルファスシリコンからなる層ではなく、多
結晶シリコン、微結晶シリコンまたは単結晶シリコンか
らなる層とした場合は、これらの層はレーザ照射によっ
て容易に溶融しない。これは、アモルファスシリコンの
熱伝導率は10W/mK程度であることに比べて、多結
晶シリコンや微結晶シリコンはその数倍から10倍程度
の熱伝導率を有し、また、単結晶シリコンは100〜2
50W/mKと非常に大きな熱伝導率を有しており、レ
ーザ照射により付与された熱エネルギーが容易に散逸す
るからである。
【0047】アモルファスシリコン層の一部がレーザ照
射により溶融すると、熱伝導率は560W/mKとなり
熱が伝わりやすい状態になるため、アモルファスシリコ
ン層が均等に溶融し、熱がアモルファスシリコン層の下
層に存在する多結晶シリコンまたは微結晶シリコンから
なる結晶性シリコン層に伝わり温度が上昇する。この層
の熱容量はアモルファスシリコン層のものよりも大きい
ため溶融するには至らないが、シリコン結晶粒を粗大化
するには十分な温度上昇が得られ、シリコン結晶粒の平
均粒径が増大する。
【0048】したがって、多結晶シリコン層の上に微結
晶シリコン層の表面層を設けて微結晶シリコン層に対し
てレーザ照射した場合、微結晶シリコン層の上に多結晶
シリコン層の表面層を設けて多結晶シリコン層に対して
レーザ照射した場合、さらには、多結晶シリコンまたは
微結晶シリコンからなる層の上に、単結晶シリコン層の
表面層を設けて単結晶シリコン層に対してレーザ照射し
た場合は、いずれも表面層が容易に溶解せず熱を貯えな
いために、表面層の下層に存在するシリコン結晶粒を粗
大化することができない。
【0049】また、上記のように基板上に設ける層を二
層化せず、基板上にアモルファスシリコン層のみを形成
した場合には、アモルファスシリコンの熱伝導率が低い
ため、レーザ照射によりアモルファスシリコン層の表面
付近だけの温度上昇しか得られず、基板付近はアモルフ
ァスシリコンのままとなり、例えば、太陽電池としての
性能が低下する。また、基板上に設ける層を、微結晶シ
リコン層または多結晶シリコン層のみの単層とした場合
は、熱伝導率やレーザ反射率が高いため、高いエネルギ
ー密度でのレーザ照射が必要になり、表面溶融時に急速
にレーザ光の吸収率が高くなり、膜全体の温度コントロ
ールが困難になる。
【0050】本発明は、上述の方法に加え、さらに以下
の方法を提供するものである。すなわち、(1)基板上
に、ドーパントの含有量が1015cm-3以上である、多
結晶シリコンまたは微結晶シリコンからなるドープ層を
形成する工程と、(2)前記ドープ層上に、ドーパント
の含有量が1015cm-3未満である、多結晶シリコンま
たは微結晶シリコンからなるノンドープ層を形成する工
程と、(3)前記ノンドープ層表面にレーザを照射し
て、前記ノンドープ層および前記ドープ層中のシリコン
結晶粒を粗大化させる工程とを含むことを特徴とする半
導体素子の製造方法を提供するものである。
【0051】ここで、多結晶シリコンおよび微結晶シリ
コンの定義は上述の通りであり、前者は、平均粒径が5
0nm以上250μm以下のシリコン結晶粒を有する結
晶性シリコンを意味し、後者は、平均粒径が5nm以上
50nm未満のシリコン結晶粒を有する結晶性シリコン
を意味する。また、ドーパントしては、ホウ素やアルミ
ニウム等周期律表第III族の元素、リンや砒素等の周期
律表V族の元素を用いることができる。本発明におい
て、ドープ層のドーパントの含有量は1015cm -3以上
であるが、ドープ層のドーパントの含有量は、1017
1019cm-3であることが好ましい。
【0052】基板上に、ドーパントを含有する、多結晶
シリコンまたは微結晶シリコンからなるドープ層を形成
する方法は特に制限されず、上記のようなPVD法やC
VD方が好適に適用可能である。
【0053】基板上に形成されるドープ層中のシリコン
結晶粒の平均粒径が50nm以上250μm以下となる
ように、多結晶シリコンからなるp型のドープ層を形成
するためには、例えば、基板温度を600〜900℃と
しCVD法によりモノシランおよびジボランの混合ガス
を基板表面に堆積成長させればよい。また、基板上に形
成されるドープ層中のシリコン結晶粒の平均粒径が5n
m以上50nm未満となるように、微結晶シリコンから
なるp型のドープ層を形成するためには、例えば、基板
温度を450〜600℃としCVD法によりモノシラン
およびジボランの混合ガスを基板表面に堆積成長させれ
ばよい。
【0054】基板上に形成される、ドープ層の厚さは、
1〜10μmであることが好ましく、1.5〜3μmで
あることがより好ましい。ドープ層の厚さが1μm未満
である場合は、膜厚が太陽電池として不適となる傾向に
あり、10μmを超す場合は使用するシリコン量が増加
し低価格化がはかれなくなる傾向にある。
【0055】基板に、上記のようにしてドープ層を形成
した後、該ドープ層上に、ドーパントの含有量が1015
cm-3未満である、多結晶シリコンまたは微結晶シリコ
ンからなるノンドープ層を形成する。
【0056】本発明において、ノンドープ層とは、ドー
パントの含有量が0の、多結晶シリコンまたは微結晶シ
リコンからなるシリコン層、または、ドーパントを含有
する場合はその濃度が1015cm-3未満である、多結晶
シリコンまたは微結晶シリコンからなるシリコン層をい
う。
【0057】ドープ層上にノンドープ層を形成する方法
は特に制限されず、上記のようなPVD法やCVD法が
好適に適用可能である。CVD法により基板上にドープ
層を形成した後に、引き続きCVD法によりノンドープ
層を形成する場合は、例えば、基板の加熱温度はそのま
まにして、形成されるノンドープ層中のドーパントの含
有量が1015cm-3未満となるように、モノシランガス
とドーパントガスとの比率を調製すればよい。
【0058】形成されるノンドープ層中のドーパントの
含有量を1015cm-3未満とするためには、CVD法を
用いる場合は、モノシランガスに対して添加するドーパ
ントガスの比率を、モノシランガスの1ppm未満にす
ればよい。
【0059】本発明において、ノンドープ層の厚さは、
0.01〜0.5μmであることが好ましく、0.1〜
0.3μmであることがより好ましい。ノンドープ層の
厚さが0.01μm未満である場合は、レーザを照射し
たときに溶融するシリコンの量が少なすぎて貯えられる
熱量が少なくなるために、ドープ層に伝達する熱量が不
足して、シリコン結晶粒の粗大化が不十分となる傾向に
ある。一方、ノンドープ層の厚さが0.5μmを超える
場合は、レーザ照射の照射エネルギーを向上させたり、
照射時間を長くする必要が生じ、生産性が悪化したり低
価格化が困難になる傾向にある。
【0060】このようにして、基板上にドープ層および
ノンドープ層をこの順に形成した後、ノンドープ層の表
面にレーザを照射し、前記ドープ層およびノンドープ層
中のシリコン結晶粒を粗大化させる。
【0061】ここで、シリコン結晶粒の粗大化の定義、
および粗大化後のシリコン結晶粒の好適な平均粒径は上
記と同様である。また、ノンドープ層に照射するレーザ
としては、上述のような種類のエキシマレーザが好適に
用いられる。
【0062】ノンドープ層表面にレーザを照射する場合
において、上記のようなエキシマレーザであって、パル
ス幅が30〜50ナノ秒であるものを、100〜100
0mJ/cm2のエネルギー密度で照射することが好ま
しい。パルス幅30〜50ナノ秒である場合、エネルギ
ー密度は250〜600mJ/cm2であることがより
好ましい。エネルギー密度が250mJ/cm2未満で
ある場合は、ノンドープ層の溶融が長時間化する傾向に
あり、1000mJ/cm2を超す場合は、シリコン層
全体が溶融しシリコン層が島状となり層が破壊する傾向
にある。
【0063】ノンドープ層表面にレーザを照射すると、
ノンドープ層はドープ層に比べてレーザの反射率や熱伝
導率が低いために、ノンドープ層は温度上昇して比較的
短時間で溶融する。溶融したノンドープ層に十分な熱量
が貯えられると、次に熱伝導によりドープ層に熱が伝わ
り、ドープ層中のシリコン結晶粒の粗大化が実現する。
このとき、シリコン結晶粒の粗大化は、ノンドープ層表
面から0.8〜2.0μmの深さまで生じることが好ま
しく、1〜1.5μmの深さまで生じることがより好ま
しい。粗大化が上記の範囲内である場合は、得られる半
導体素子を太陽電池に応用した場合において、光電変換
効率が上昇する傾向にある。
【0064】上述した半導体素子の製造方法に対して、
例えば、以下のような新たな工程を付加することが可能
である。この方法により得られる半導体素子は、例え
ば、太陽電池用シリコン半導体素子として好適に用いる
ことができる。
【0065】すなわち、(1)基板上に、第1導電型ド
ーパントを1015cm-3以上含有する、多結晶シリコン
または微結晶シリコンからなるドープ層を形成する工程
と、(2)前記ドープ層上に、前記第1導電型ドーパン
トの含有量が1015cm-3未満である、多結晶シリコン
または微結晶シリコンからなるノンドープ層を形成する
工程と、(3)前記ノンドープ層表面にレーザを照射し
て、前記ノンドープ層および前記ドープ層中のシリコン
結晶粒を粗大化させる工程と、(4)前記ノンドープ層
に第2導電型ドーパントをイオン注入する工程とを含む
方法を実施しpn接合を形成させ、さらに、第2導電型
ドーパントをイオン注入した後のノンドープ層上に櫛形
電極等を形成させ、基板に裏面電極などを蒸着させるこ
とにより、太陽電池用シリコン半導体素子を得ることが
できる。ここで、第1導電型ドーパントと第2導電型ド
ーパントのうち、一方は、周期律表第III族の元素と
し、他方は、周期律表V族の元素とすればよい。
【0066】上記の方法にしたがって、ノンドープ層表
面にレーザを照射するとノンドープ層が溶融する。ノン
ドープ層が溶融すると熱伝導率は上昇し、熱がノンドー
プ層の下層に存在するドープ層に伝わりドープ層のシリ
コン結晶粒の平均粒径が増大する。レーザを照射する面
がノンドープ層ではなくドープ層である場合は、レーザ
照射によって容易に溶融することはない。これは、ドー
プ層はノンドープ層に比較してレーザの反射率や熱伝導
率が高いため、レーザ照射により付与された熱エネルギ
ーが容易に散逸するからである。したがって、ノンドー
プ層の上にドープ層を設けてドープ層に対してレーザ照
射を行っても、ノンドープ層およびドープ層におけるシ
リコン結晶粒を粗大化させることは困難である。また、
基板上にドープ層のみの単層を形成しても上記と同様の
結果となる。基板上にノンドープ層のみの単層を形成し
た場合は、基板上にアモルファスシリコン層のみの単層
を形成した場合と同様に、ノンドープ層の低熱伝導率の
ため、レーザ照射によりノンドープ層の表面付近だけが
温度上昇して基板付近はシリコン結晶粒の粗大化が起こ
らず、得られる半導体素子を太陽電池用に用いた場合十
分な性能が得られない。
【0067】以上説明したように、レーザ照射によるシ
リコン結晶粒の粗大化は、基板上にシリコンの単層を形
成するのみでは困難であり、また、基板上に異なるシリ
コン層を二層形成した場合であっても、本発明のような
特定の組み合わせとすることが必要になる。すなわち、
多結晶シリコンまたは微結晶シリコンからなる結晶性シ
リコン層上にアモルファスシリコン層を形成し、該アモ
ルファスシリコン層表面にレーザ照射するか、ドーパン
トの含有量が1015cm-3以上である多結晶シリコンま
たは微結晶シリコンからなるドープ層上に、ドーパント
の含有量が10 15cm-3未満である多結晶シリコンまた
は微結晶シリコンからなるノンドープ層を形成し、該ノ
ンドープ層表面にレーザ照射するすることにより、シリ
コン結晶粒の粗大化が可能となる。
【0068】上述した本発明の半導体素子の製造方法に
より、以下のような構成を有した半導体素子を得ること
ができる。すなわち、(1)第1の電極と絶縁層とを備
えた基板と、(2)該基板上に形成された、多結晶シリ
コンまたは微結晶シリコンからなる結晶性シリコン層
と、(3)該結晶性シリコン層上に形成された、粗大化
されたシリコン結晶粒を有する結晶性シリコン層と、
(4)該粗大化されたシリコン結晶粒を有する結晶性シ
リコン層上に形成された、第2の電極とを備えるた半導
体素子を得ることができる。
【0069】このような構成を有した半導体素子は、高
い光電変換効率を発揮する太陽電池として用いることが
できる。この場合において、上記第1の電極は裏面電極
となり上記第2の電極は表面電極となる。なお、第2の
電極は櫛歯状に形成して櫛形電極とすることができる。
上記絶縁層としては、ガラス基板やセラミックス基板用
いられる。また、粗大化されたシリコン結晶粒を有する
結晶性シリコン層の厚さは、0.8〜2.0μmである
ことが好ましく、1〜1.5μmであることがより好ま
しい。ここで、多結晶シリコン、微結晶シリコン、およ
び粗大化の定義は上記と同様である。
【0070】本発明の半導体素子においては、前記結晶
性シリコン層におけるシリコン結晶粒の平均粒径は5〜
50nmであり、前記粗大化されたシリコン結晶粒を有
する結晶性シリコン層におけるシリコン結晶粒の平均粒
径は50nm〜500μmであることが好ましい。この
ような構成にすることにより、本発明の半導体素子を太
陽電池に用いた場合の光電変換効率をより高くすること
ができる。
【0071】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例についてさらに
詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。
【0072】まず、基板上に形成された各種シリコン層
のレーザ光に対する反射率の測定を行った(参考例1〜
8)。
【0073】(参考例1〜8)表1に示すような組成の
モノシラン(SiH4)ガスとジボラン(B26)ガス
または水素(H2)ガスの混合ガス、もしくはモノシラ
ン(SiH4)ガスの単独ガスを用いて、プラズマCV
D法によりシリコン基板上に多結晶シリコンまたは微結
晶シリコンからなる結晶性シリコン層を形成させた。
【0074】
【表1】
【0075】これらの結晶性シリコン層表面に対して波
長248nmのKrFエキシマレーザを照射し反射率
(%)を測定した。得られた結果を図1に示す。なお、
図1にはシリコン単結晶表面、およびシリコン基板上に
プラズマCVD法により形成されたアモルファスシリコ
ン層表面に対する波長248nmのKrFエキシマレー
ザの反射率も示した。
【0076】図1に示されるように、1ppm以上のジ
ボランガスを含むモノシランガスを用いて形成された緻
密な微結晶シリコン層表面、アモルファスシリコン層表
面、およびシリコン単結晶表面の上記KrFエキシマレ
ーザの反射率は60%以上であったのに対して、1pp
m未満のジボランガスを含むモノシランガスを用いて形
成された微結晶シリコン層表面、モノシランガスのみか
ら形成された多結晶シリコン層表面、およびモノシラン
と水素の混合ガスから形成された多結晶シリコン層表面
は上記KrFエキシマレーザの反射率は40%以下であ
った。一般に、モノシランガスに含まれるジボランガス
などの含有量が大きくなるにつれて、得られるシリコン
層の緻密性は向上する。図1に示した結果は、緻密性が
高い多結晶または微結晶シリコン層表面は反射率が大き
くなることを示しており、反射率が大きくなると一般に
吸収率が低下するから、シリコン層の緻密性が向上する
にしたがって、波長248nmのKrFエキシマレーザ
による溶融が困難になることを示唆している。
【0077】次に、シリコン結晶粒の粗大化の実験を行
った(実施例1〜11、比較例1〜2)。
【0078】(実施例1)モノシラン(SiH4)ガス
とジボラン(B26)ガスの混合ガス(モノシランガス
に対して2ppmのジボランガスを含有)を用い、CV
D法によりシリコン基板上に厚さ2μmのp型微結晶シ
リコン層を形成した。このとき、シリコン基板の温度を
800℃に維持して2時間製膜を行った。次いで、シリ
コン基板の温度を室温まで低下させ10分製膜すること
により、p型微結晶シリコン層上に厚さ0.1μmのp
型アモルファスシリコン層を形成し、半導体素子を得
た。
【0079】得られた半導体素子の断面図を図2に示
す。図2に示されるように本実施例で得られた半導体素
子は、シリコン基板1上に厚さ2μmのp型微結晶シリ
コン層2を有し、該p型微結晶シリコン層2上に厚さ
0.1μmのp型アモルファスシリコン層3を有してい
た。なお、p型微結晶シリコン層2中のシリコン結晶粒
の平均粒径は、10nmであった。
【0080】得られた半導体素子のp型アモルファスシ
リコン層表面に、パルス幅30ナノ秒のKrFエキシマ
レーザを照射した。このとき、照射したレーザのエネル
ギー密度は100〜200mJ/cm2であり、アモル
ファスシリコン層表面での集光サイズは、12mm×
1.7mmであった。KrFエキシマレーザを照射した
後のレーザ照射部のp型アモルファスシリコン層の表面
形態をFE−SEMで観察した。得られた走査型電子顕
微鏡写真を図3に示す。図3に示すように、p型アモル
ファスシリコン層において平均粒径100nmのシリコ
ン結晶粒が観察された。次いで、レーザ照射部の断面を
FE−SEMで観察した。その結果、微結晶シリコン層
中において平均粒径100nmのシリコン結晶粒が観察
され、レーザ照射前に比べてシリコン結晶粒が粗大化し
ていることが確かめられた。また、シリコン結晶粒の粗
大化はp型アモルファスシリコン層表面より0.8μm
の深さまで生成していた。
【0081】(実施例2)シリコン基板の温度を室温ま
で低下させて製膜した時間を30分とした他は実施例1
と同様にして、半導体素子を得た。得られた半導体素子
は、シリコン基板上に厚さ2μmのp型微結晶シリコン
層を有し、該微結晶シリコン層上に厚さ0.3μmのp
型アモルファスシリコン層を有していた。このp型アモ
ルファスシリコン層表面に実施例1と同様にして、Kr
Fエキシマレーザの照射を行った後、レーザ照射部のp
型アモルファスシリコン層の表面形態をFE−SEMで
観察した。
【0082】その結果、p型アモルファスシリコン層に
おいて平均粒径100nmのシリコン結晶粒が観察され
た。次いで、レーザ照射部の断面をFE−SEMで観察
した。その結果、微結晶シリコン層中において平均粒径
100nmのシリコン結晶粒が観察され、レーザ照射前
に比べてシリコン結晶粒が粗大化していることが確かめ
られた。また、シリコン結晶粒の粗大化はp型アモルフ
ァスシリコン層表面より0.8μmの深さまで生成して
いた。
【0083】(実施例3)シリコン基板の温度を室温ま
で低下させて製膜した時間を50分とした他は実施例1
と同様にして、半導体素子を得た。得られた半導体素子
は、シリコン基板上に厚さ2μmのp型微結晶シリコン
層を有し、該微結晶シリコン層上に厚さ0.5μmのp
型アモルファスシリコン層を有していた。このp型アモ
ルファスシリコン層表面に実施例1と同様にして、Kr
Fエキシマレーザの照射を行った後、レーザ照射部のp
型アモルファスシリコン層の表面形態をFE−SEMで
観察した。
【0084】その結果、p型アモルファスシリコン層に
おいて平均粒径100nmのシリコン結晶粒が観察され
た。次いで、レーザ照射部の断面をFE−SEMで観察
した。その結果、微結晶シリコン層中において平均粒径
100nmのシリコン結晶粒が観察され、レーザ照射前
に比べてシリコン結晶粒が粗大化していることが確かめ
られた。また、シリコン結晶粒の粗大化はp型アモルフ
ァスシリコン層表面より0.8μmの深さまで生成して
いた。
【0085】(実施例4)シリコン基板の温度を室温ま
で低下させて製膜した時間を70分とした他は実施例1
と同様にして、半導体素子を得た。得られた半導体素子
は、シリコン基板上に厚さ2μmのp型微結晶シリコン
層を有し、該微結晶シリコン層上に厚さ0.7μmのp
型アモルファスシリコン層を有していた。このp型アモ
ルファスシリコン層表面に実施例1と同様にして、Kr
Fエキシマレーザの照射を行った後、レーザ照射部のp
型アモルファスシリコン層の表面形態をFE−SEMで
観察した。
【0086】その結果、p型アモルファスシリコン層に
おいて平均粒径100nmのシリコン結晶粒が観察され
た。次いで、レーザ照射部の断面をFE−SEMで観察
した。その結果、微結晶シリコン層中において平均粒径
100nmのシリコン結晶粒が観察され、レーザ照射前
に比べてシリコン結晶粒が粗大化していることが確かめ
られた。しかしながら、実施例1〜3とは異なり、シリ
コン結晶粒の粗大化はアモルファスシリコン層表面より
0.5μmの深さまでしか生成していなかった。
【0087】(実施例5)シリコン基板の温度を室温ま
で低下させて製膜した時間を100分とした他は実施例
1と同様にして、半導体素子を得た。得られた半導体素
子は、シリコン基板上に厚さ2μmのp型微結晶シリコ
ン層を有し、該微結晶シリコン層上に厚さ1.0μmの
p型アモルファスシリコン層を有していた。このp型ア
モルファスシリコン層表面に実施例1と同様にして、K
rFエキシマレーザの照射を行った後、レーザ照射部の
p型アモルファスシリコン層の表面形態をFE−SEM
で観察した。
【0088】その結果、p型アモルファスシリコン層に
おいて平均粒径100nmのシリコン結晶粒が観察され
た。次いで、レーザ照射部の断面をFE−SEMで観察
した。その結果、微結晶シリコン層中において平均粒径
100nmのシリコン結晶粒が観察され、レーザ照射前
に比べてシリコン結晶粒が粗大化していることが確かめ
られた。しかしながら、実施例1〜3とは異なり、シリ
コン結晶粒の粗大化はp型アモルファスシリコン層表面
より0.5μmの深さまでしか生成していなかった。
【0089】(実施例6)モノシラン(SiH4)ガス
とジボラン(B26)ガスの混合ガス(モノシランガス
に対して8ppmのジボランガスを含有)を用い、CV
D法によりシリコン基板上に厚さ2μmのp型微結晶シ
リコン層(ドープ層)を形成した。このとき、シリコン
基板の温度を800℃に維持して2時間製膜を行った。
また、得られたドープ層中におけるドーパント(ホウ
素)の濃度は、1015cm-3以上であった。次いで、シ
リコン基板の温度はそのままにして、モノシランガスの
みで10分製膜することにより、ドープ層上に厚さ0.
1μmのノンドープ層を形成し、半導体素子を得た。
【0090】得られた半導体素子の断面図を図4に示
す。図4に示されるように本実施例で得られた半導体素
子は、シリコン基板1上に厚さ2μmのドープ層4を有
し、該ドープ層4上に厚さ0.1μmのノンドープ層5
を有していた。なお、ドープ層4中のシリコン結晶粒の
平均粒径は、10nmであった。
【0091】得られた半導体素子のノンドープ層表面に
実施例1と同様にして、KrFエキシマレーザの照射を
行った後、レーザ照射部のノンドープ層の表面形態をF
E−SEMで観察した。得られた走査型電子顕微鏡写真
を図5に示す。図5に示すように、ノンドープ層におい
て平均粒径150nmのシリコン結晶粒が観察された。
次いで、レーザ照射部の断面をFE−SEMで観察し
た。その結果、ドープ層中において平均粒径100nm
のシリコン結晶粒が観察され、レーザ照射前に比べてシ
リコン結晶粒が粗大化していることが確かめられた。ま
た、シリコン結晶粒の粗大化はノンドープ層表面より
0.8μmの深さまで生成していた。
【0092】(実施例7)モノシランガスのみにして製
膜した時間を30分とした他は実施例6と同様にして、
半導体素子を得た。得られた半導体素子は、シリコン基
板上に厚さ2μmのp型微結晶シリコンからなるドープ
層(ドーパント濃度:1015cm-3以上)を有し、該ド
ープ層上に厚さ0.3μmのノンドープ層を有してい
た。このノンドープ層表面に実施例1と同様にして、K
rFエキシマレーザの照射を行った後、レーザ照射部の
ノンドープ層の表面形態をFE−SEMで観察した。
【0093】その結果、ノンドープ層において平均粒径
150nmのシリコン結晶粒が観察された。次いで、レ
ーザ照射部の断面をFE−SEMで観察した。その結
果、ドープ層中において平均粒径100nmのシリコン
結晶粒が観察され、レーザ照射前に比べてシリコン結晶
粒が粗大化していることが確かめられた。また、シリコ
ン結晶粒の粗大化はノンドープ層表面より0.8μmの
深さまで生成していた。
【0094】(実施例8)モノシランガスのみにして製
膜した時間を50分とした他は実施例6と同様にして、
半導体素子を得た。得られた半導体素子は、シリコン基
板上に厚さ2μmのp型微結晶シリコン層からなるドー
プ層(ドーパント濃度:1015cm-3以上)を有し、該
ドープ層上に厚さ0.5μmのノンドープ層を有してい
た。このノンドープ層表面に実施例1と同様にして、K
rFエキシマレーザの照射を行った後、レーザ照射部の
ノンドープ層の表面形態をFE−SEMで観察した。
【0095】その結果、ノンドープ層において平均粒径
150nmのシリコン結晶粒が観察された。次いで、レ
ーザ照射部の断面をFE−SEMで観察した。その結
果、ドープ層中において平均粒径100nmのシリコン
結晶粒が観察され、レーザ照射前に比べてシリコン結晶
粒が粗大化していることが確かめられた。また、シリコ
ン結晶粒の粗大化はノンドープ層表面より0.8μmの
深さまで生成していた。
【0096】(実施例9)モノシランガスのみにして製
膜した時間を70分とした他は実施例6と同様にして、
半導体素子を得た。得られた半導体素子は、シリコン基
板上に厚さ2μmのp型微結晶シリコン層からなるドー
プ層(ドーパント濃度:1015cm-3以上)を有し、該
ドープ層上に厚さ0.7μmのノンドープ層を有してい
た。このノンドープ層表面に実施例1と同様にして、K
rFエキシマレーザの照射を行った後、レーザ照射部の
ノンドープ層の表面形態をFE−SEMで観察した。
【0097】その結果、ノンドープ層において平均粒径
150nmのシリコン結晶粒が観察された。次いで、レ
ーザ照射部の断面をFE−SEMで観察した。その結
果、ドープ層中において平均粒径100nmのシリコン
結晶粒が観察され、レーザ照射前に比べてシリコン結晶
粒が粗大化していることが確かめられた。しかしなが
ら、実施例6〜8とは異なり、シリコン結晶粒の粗大化
はノンドープ層表面より0.5μmの深さまでしか生成
していなかった。
【0098】(実施例10)モノシランガスのみにして
製膜した時間を100分とした他は実施例6と同様にし
て、半導体素子を得た。得られた半導体素子は、シリコ
ン基板上に厚さ2μmのp型微結晶シリコン層からなる
ドープ層(ドーパント濃度:1015cm-3以上)を有
し、該微結晶シリコン層上に厚さ1.0μmのノンドー
プ層を有していた。このノンドープ層表面に実施例6と
同様にして、KrFエキシマレーザの照射を行った後、
レーザ照射部のアモルファスシリコン層の表面形態をF
E−SEMで観察した。
【0099】その結果、ノンドープ層において平均粒径
150nmのシリコン結晶粒が観察された。次いで、レ
ーザ照射部の断面をFE−SEMで観察した。その結
果、ドープ層中において平均粒径100nmのシリコン
結晶粒が観察され、レーザ照射前に比べてシリコン結晶
粒が粗大化していることが確かめられた。しかしなが
ら、実施例6〜8とは異なり、シリコン結晶粒の粗大化
はノンドープ層表面より0.5μmの深さまでしか生成
していなかった。
【0100】(実施例11)モノシラン(SiH4)ガ
スとジボラン(B26)ガスの混合ガス(モノシランガ
スに対して8ppmのジボランガスを含有)を用い、C
VD法によりシリコン基板上に厚さ2μmのp型微結晶
シリコン層からなるドープ層(ドーパント濃度:1015
cm-3以上)を形成した。このとき、シリコン基板の温
度を800℃に維持して2時間製膜を行った。次いで、
シリコン基板の温度はそのままにして、ジボランガスの
濃度をモノシランガスの0.1ppmにして10分製膜
することにより、ドープ層上に厚さ0.1μmのノンド
ープ層を形成し、半導体素子を得た。なお、ノンドープ
層中におけるドーパント(ホウ素)の濃度は、1015
-3未満であった。また、ドープ層中のシリコン結晶粒
の平均粒径は、10nmであった。
【0101】得られた半導体素子のノンドープ層表面に
実施例1と同様にして、KrFエキシマレーザの照射を
行った後、レーザ照射部のノンドープ層の表面形態をF
E−SEMで観察した。得られた走査型電子顕微鏡写真
を図6に示す。図6に示すように、ノンドープ層におい
て平均粒径150nmのシリコン結晶粒が観察された。
次いで、レーザ照射部の断面をFE−SEMで観察し
た。その結果、ドープ層中において平均粒径100nm
のシリコン結晶粒が観察され、レーザ照射前に比べてシ
リコン結晶粒が粗大化していることが確かめられた。ま
た、シリコン結晶粒の粗大化はノンドープ層表面より
0.8μmの深さまで生成していた。
【0102】(比較例1)モノシラン(SiH4)ガス
とジボラン(B26)ガスの混合ガス(モノシランガス
に対して8ppmのジボランガスを含有)を用い、CV
D法によりシリコン基板上に厚さ2μmのp型微結晶シ
リコン層(ドーパント濃度:1015cm-3以上)を形成
し、半導体素子を得た。このとき、シリコン基板の温度
を800℃に維持して2時間製膜を行った。得られた半
導体素子の断面図を図7に示す。図7に示されるように
本比較例で得られた半導体素子は、シリコン基板1上に
厚さ2μmのp型微結晶シリコン層2を有していた。な
お、p型微結晶シリコン層2中のシリコン結晶粒の平均
粒径は、10nmであった。
【0103】得られた半導体素子のp型微結晶シリコン
層表面に実施例1と同様にして、KrFエキシマレーザ
の照射を行った後、レーザ照射部の微結晶シリコン層の
表面形態をFE−SEMで観察した。得られた走査型電
子顕微鏡写真を図8に示す。図8に示すように、p型微
結晶シリコン層において観察されたシリコン結晶粒の平
均粒径は10nmであり、シリコン結晶粒の粗大化が生
じていないことがわかった。
【0104】(比較例2)モノシラン(SiH4)ガス
とジボラン(B26)ガスの混合ガス(モノシランガス
に対して8ppmのジボランガスを含有)を用い、CV
D法によりシリコン基板上に厚さ2μmのp型の第1微
結晶シリコン層(ドーパント濃度:1015cm-3以上)
を形成した。このとき、シリコン基板の温度を800℃
に維持して2時間製膜を行った。次いで、シリコン基板
の温度はそのままにして、ジボランガスの濃度をモノシ
ランガスの1ppmにして10分製膜することにより、
p型の第1微結晶シリコン層上に厚さ0.1μmのp型
の第2微結晶シリコン層(ドーパント濃度:1015cm
-3以上)を形成し、半導体素子を得た。なお、第1およ
び第2微結晶シリコン層中のシリコン結晶粒の平均粒径
は、10nmであった。
【0105】得られた半導体素子の第2微結晶シリコン
層表面に、実施例1と同様にして、KrFエキシマレー
ザの照射を行った後、レーザ照射部の第2微結晶シリコ
ン層の表面形態をFE−SEMで観察した。その結果、
第2微結晶シリコン層中に平均粒径10nmのシリコン
結晶粒が観察された。次いで、レーザ照射部の断面をF
E−SEMで観察した。その結果、第1微結晶シリコン
層中においても平均粒10nmのシリコン結晶粒が観察
された。したがって、第1および第2微結晶シリコン層
においてはシリコン結晶粒の粗大化が生じていないこと
がわかった。
【0106】上記の実施例1〜5の結果から、多結晶シ
リコンまたは微結晶シリコンからなる結晶性シリコン層
上にアモルファスシリコン層を形成し、該アモルファス
シリコン層表面にレーザを照射することにより、結晶性
シリコン層中のシリコン結晶粒が粗大化するとともに、
アモルファスシリコン層が結晶化することが示された。
また、アモルファスシリコン層の厚さが0.5μmを超
える場合は、シリコン結晶粒が粗大化する部分はアモル
ファスシリコン層表面から約0.5μmの範囲となるこ
とがわかった。一方、アモルファスシリコン層の厚さが
0.5μm以下である場合は、アモルファスシリコン層
表面から深部にわたってシリコン結晶粒の粗大化が生じ
ることがわかった。
【0107】また、上記の実施例6〜11の結果から、
ドーパントの含有量が1015cm-3以上である、多結晶
シリコンまたは微結晶シリコンからなるドープ層上に、
ドーパントの含有量が1015cm-3未満である、多結晶
シリコンまたは微結晶シリコンからなるノンドープ層を
形成し、該ノンドープ層表面にレーザを照射することに
より、ノンドープ層およびドープ層中のシリコン結晶粒
が粗大化することが示された。また、ノンドープ層の厚
さが0.5μmを超える場合は、シリコン結晶粒が粗大
化する部分はノンドープ層表面から約0.5μmの範囲
となることがわかった。一方、ノンドープ層の厚さが
0.5μm以下である場合は、ノンドープ層表面から深
部にわたってシリコン結晶粒の粗大化が生じることがわ
かった。
【0108】また、比較例1〜2の結果から、基板上に
微結晶シリコンの単層を形成した場合や、基板上にドー
パントの含有量が異なる微結晶シリコン層を2層形成し
た場合(いずれの層もドーパント濃度が1015cm-3
上)は、レーザ照射によりシリコン結晶粒の粗大化は生
じないことがわかった。
【0109】次に、本発明の方法にしたがって太陽電池
を作製し、その性能評価を行った(実施例12〜2
0)。
【0110】(実施例12)本実施例における太陽電池
の作製方法を図面(図9)を参照しつつ説明する。すな
わち、モノシラン(SiH4)ガスとジボラン(B
26)ガスの混合ガス(モノシランガスに対して8pp
mのジボランガスを含有)を用い、CVD法によりシリ
コン基板1上に厚さ2μmのp型微結晶シリコン層2を
形成した。このとき、シリコン基板1の温度を800℃
に維持して2時間製膜を行った。次いで、シリコン基板
1の温度を室温まで低下させ10分製膜することによ
り、p型微結晶シリコン層2上に厚さ0.1μmのp型
アモルファスシリコン層を形成した。次に、p型アモル
ファスシリコン層表面に、エネルギー密度500mJ/
cm2の照射条件でパルス幅30ナノ秒のKrFエキシ
マレーザを照射し、シリコン結晶粒の粗大化を行った。
【0111】リンを含む雰囲気下で、基板温度を800
℃としてモノシランガスを用いて20分製膜することに
より、厚さ0.3μmのn型微結晶シリコン層10を形
成し、このn型微結晶シリコン層10表面に対して、エ
ネルギー密度500mJ/cm2の照射条件でパルス幅
30ナノ秒のKrFエキシマレーザを照射し、シリコン
結晶粒の粗大化を行った。
【0112】次いで、フォトリソグラフでレジストを用
いてn型微結晶シリコン層10の上に櫛形パターンを形
成し、これにアルミニウムを蒸着することにより櫛形電
極12を形成した。さらに、シリコン基板1に裏面電極
14を蒸着して太陽電池を作製した。
【0113】(実施例13〜15)シリコン基板の温度
を室温まで低下させ製膜した時間を30分、50分、7
0分とし、p型微結晶シリコン層上に、それぞれ厚さ
0.3μm、0.5μm、0.7μmのp型アモルファ
スシリコン層を形成した他は、実施例12と同様にして
太陽電池を作製した。
【0114】(実施例16)モノシラン(SiH4)ガ
スとジボラン(B26)ガスの混合ガス(モノシランガ
スに対して12ppmのジボランガスを含有)を用い、
CVD法によりシリコン基板上に厚さ2μmのp型微結
晶シリコン層(ドープ層)を形成した。このとき、シリ
コン基板の温度を800℃に維持して2時間製膜を行っ
た。また、得られたドープ層中におけるドーパント(ホ
ウ素)の濃度は、1015cm-3以上であった。次いで、
シリコン基板の温度はそのままにして、ジボランガスの
濃度をモノシランガスの0.1ppmにして10分製膜
することにより、ドープ層上に厚さ0.1μmのノンド
ープ層を形成した。なお、ノンドープ層中におけるドー
パント(ホウ素)の濃度は、1015cm-3未満であっ
た。
【0115】次に、ノンドープ層表面に、エネルギー密
度500mJ/cm2の照射条件でパルス幅30ナノ秒
のKrFエキシマレーザを照射し、シリコン結晶粒の粗
大化を行った。
【0116】次いで、ノンドープ層にリンをイオン注入
することによりn型シリコン層を形成し、該n型シリコ
ン層上にフォトリソグラフでレジストを用いて櫛形パタ
ーンを形成した。これにアルミニウムを蒸着することに
より櫛形電極を形成し、さらに、シリコン基板1に裏面
電極を蒸着して太陽電池を作製した。
【0117】(実施例17〜20)ジボランガスの濃度
をモノシランガスの0.1ppmにして製膜した時間を
30分、50分、70分、100分とし、ドープ層上
に、それぞれ厚さ0.3μm、0.5μm、0.7μ
m、1μmのノンドープ層を形成した他は、実施例16
と同様にして太陽電池を作製した。
【0118】上記実施例12〜20で得られた太陽電池
の光電変換効率を、IPCE法に準じて測定し、それを
まとめて図10に示した。なお、図10には、シリコン
結晶粒の粗大化が行われていない太陽電池(緻密なシリ
コン結晶膜を有する)の光電変換効率も参考のために示
した。
【0119】図10に示されるように、0.1〜0.5
μmのp型アモルファスシリコン層、または0.1〜
0.5μmのノンドープ層表面にレーザを照射して、シ
リコン結晶粒の粗大化を行ったものは非常に高い光電変
換効率を有していた。これは、シリコン結晶粒がシリコ
ン層の深部まで形成されていることに対応しているもの
と考えられる(実施例1〜11参照)。
【0120】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
太陽電池として高い光電変換効率を得るのに必要な、粒
径の大きなシリコン結晶粒を含むシリコン層を、十分な
厚さで生産性高く製造することが可能な、半導体素子の
製造方法を提供することが可能となる。また、粒径の大
きなシリコン結晶粒を含むシリコン層を備え、太陽電池
に用いたときに高い光電変換能率を発揮する半導体素子
を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】基板上に形成された各種シリコン層のレーザ光
に対する反射率を示す図である。
【図2】実施例1で得られた半導体素子の断面図を示す
図である。
【図3】レーザ照射後の、実施例1のアモルファスシリ
コン層の走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】実施例5で得られた半導体素子の断面図を示す
図である。
【図5】レーザ照射後の、実施例6のノンドープ層の走
査型電子顕微鏡写真である。
【図6】レーザ照射後の、実施例11のノンドープ層の
走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】比較例1で得られた半導体素子の断面図を示す
図である。
【図8】レーザ照射後の、比較例1の微結晶シリコン層
の走査型電子顕微鏡写真である。
【図9】実施例12で得られた太陽電池の断面図を示す
図である。
【図10】実施例12〜20で得られた太陽電池の光電
変換効率を示す図である。
【符号の説明】
1…シリコン基板、2…p型微結晶シリコン層、3…p
型アモルファスシリコン層、4…ドープ層、5…ノンド
ープ層、10…n型微結晶シリコン層、12…櫛形電
極、14…裏面電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 昭博 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 伊藤 忠 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 元廣 友美 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 村崎 俊一 愛知県東海市荒尾町ワノ割1番地 愛知製 鋼株式会社内 (72)発明者 福島 英沖 愛知県東海市荒尾町ワノ割1番地 愛知製 鋼株式会社内 (72)発明者 山口 耕治 愛知県東海市荒尾町ワノ割1番地 愛知製 鋼株式会社内 Fターム(参考) 5F051 AA03 AA04 AA16 CA14 CB12 CB14 CB15 CB19 CB25 CB29 DA03 GA02 GA03 GA04 5F052 AA02 BB07 CA10 DA01 DA02 DB01 DB03 DB05 DB07 EA02 FA00 JA09

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、多結晶シリコンまたは微結晶シ
    リコンからなる結晶性シリコン層を形成する工程と、 前記結晶性シリコン層上にアモルファスシリコン層を形
    成する工程と、 前記アモルファスシリコン層表面にレーザを照射して、
    前記結晶性シリコン層中のシリコン結晶粒を粗大化させ
    るとともに、前記アモルファスシリコン層を結晶化させ
    る工程と、を含むことを特徴とする半導体素子の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記アモルファスシリコン層の厚さは、
    0.01〜0.5μmであることを特徴とする請求項1
    記載の半導体素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 基板上に、ドーパントの含有量が1015
    cm-3以上である、多結晶シリコンまたは微結晶シリコ
    ンからなるドープ層を形成する工程と、 前記ドープ層上に、ドーパントの含有量が1015cm-3
    未満である、多結晶シリコンまたは微結晶シリコンから
    なるノンドープ層を形成する工程と、 前記ノンドープ層表面にレーザを照射して、前記ノンド
    ープ層および前記ドープ層中のシリコン結晶粒を粗大化
    させる工程と、を含むことを特徴とする半導体素子の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 前記ノンドープ層の厚さは、0.01〜
    0.5μmであることを特徴とする請求項3記載の半導
    体素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記レーザは、パルス幅30〜50ナノ
    秒のエキシマレーザであり、前記照射は、100〜10
    00mJ/cm2のエネルギー密度で実施されることを
    特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体
    素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 第1の電極と絶縁層とを備えた基板と、 該基板上に形成された、多結晶シリコンまたは微結晶シ
    リコンからなる結晶性シリコン層と、 該結晶性シリコン層上に形成された、粗大化されたシリ
    コン結晶粒を有する結晶性シリコン層と、 該粗大化されたシリコン結晶粒を有する結晶性シリコン
    層上に形成された、第2の電極と、を備えることを特徴
    とする半導体素子。
  7. 【請求項7】 前記結晶性シリコン層におけるシリコン
    結晶粒の平均粒径は5〜50nmであり、前記粗大化さ
    れたシリコン結晶粒を有する結晶性シリコン層における
    シリコン結晶粒の平均粒径は50nm〜500μmであ
    ることを特徴とする請求項6記載の半導体素子。
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