JP2001330098A - 無段変速機 - Google Patents

無段変速機

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JP2001330098A
JP2001330098A JP2000147550A JP2000147550A JP2001330098A JP 2001330098 A JP2001330098 A JP 2001330098A JP 2000147550 A JP2000147550 A JP 2000147550A JP 2000147550 A JP2000147550 A JP 2000147550A JP 2001330098 A JP2001330098 A JP 2001330098A
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JP
Japan
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shaft
pulley
driven
belt
drive
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JP2000147550A
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English (en)
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Takafumi Oshibuchi
孝文 鴛渕
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Daihatsu Motor Co Ltd
Original Assignee
Daihatsu Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】前進時にベルトを介し、後進時にはベルトを介
さずに駆動するとともに、軸方向寸法が短く、ベルト寿
命を向上する無段変速機。 【解決手段】エンジン出力軸1と発進機構2を介して接
続した入力軸3、駆動プーリ11を有し入力軸から動力
を伝達される駆動軸10、従動プーリ21を有する従動
軸20、両プーリの間のベルト15、従動軸20の動力
を車輪に伝達する出力軸32を備える。両プーリ10,
21のアクチュエータ14,22により各プーリの可動
シーブを逆方向に移動させる。動力軸4および駆動軸1
0のそれぞれの反エンジン側の部位を第1の直結伝達機
構13を介して接続し、入力軸3と従動軸20の従動プ
ーリよりエンジン側の部位を第2の直結伝達機構26を
介して接続する。第2の直結伝達機構26には、後進位
置と中立・前進位置の切替手段25を設け、後進時のベ
ルトスリップ手段を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は無段変速機、特に車
両用のVベルト式無段変速機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、種々の形式の無段変速機が提
案され、一部が実用化されている。無段変速機は、駆動
プーリを有する駆動軸と、従動プーリを有する従動軸
と、駆動プーリと従動プーリの間に巻き掛けられたベル
トとを備えており、エンジンと発進機構を介して接続さ
れた入力軸によって駆動軸を駆動し、駆動プーリからベ
ルトを介して従動プーリへ伝達された駆動力は、従動軸
から出力軸へと伝達され、車輪を駆動するようになって
いる。そして、駆動プーリと従動プーリにそれぞれ設け
られたアクチュエータを作動させて各プーリのベルト巻
き掛け径を逆方向に変化させることにより、変速比を無
段階に可変としてある。そのため、変速ショックがな
く、円滑な走行を実現できるという利点がある。
【0003】特開平5−44811号公報には、前進時
には入力軸から前後進切替機構を介して駆動プーリを有
する駆動軸へ伝達し、ベルトを介して従動プーリを有す
る従動軸へ伝達し、さらに出力軸へと伝達する一方、後
進時には入力軸から前後進切換機構およびギヤ機構を介
して従動軸へ伝達し、さらに出力軸へと伝達するように
した無段変速機が提案されている。この無段変速機で
は、前進時のみベルトに駆動力が伝達され、後進時には
駆動力が伝達されないので、ベルトが逆転することによ
るベルトの負荷を軽減でき、ベルトの寿命が向上する利
点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この無段変速
機では、入力軸と駆動軸とが同軸上に配置され、これら
軸の上に前後進切換機構が設けられているため、出力軸
系に比べて入力軸系の軸長が長くなり、軸方向寸法に制
約のある車両には適用しにくい。特に、軽自動車や10
00cc程度のFF横起き式小型車の場合には、エンジ
ンルームが非常に狭く、車幅方向の制約が大きいため、
軸方向寸法の長い無段変速機ではエンジンルームに搭載
できない場合が生じる。
【0005】そこで、本発明の目的は、前進時にベルト
を介して駆動し、後進時にはベルトを介さずに駆動する
とともに、軸方向寸法が短く、かつベルト寿命の向上に
も有効な無段変速機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明は、エンジンと発進機構を介
して接続された入力軸と、駆動プーリを有し、入力軸か
ら動力を伝達される駆動軸と、従動プーリを有する従動
軸と、駆動プーリと従動プーリの間に巻き掛けられたベ
ルトと、従動軸から動力を伝達され、車輪を駆動する出
力軸とを備え、駆動プーリと従動プーリにそれぞれ設け
られたアクチュエータを作動させて各プーリの可動シー
ブを逆方向に移動させることにより、変速比を無段階に
可変とした無段変速機において、駆動プーリのアクチュ
エータは駆動プーリよりエンジン側に配置され、従動プ
ーリのアクチュエータは従動プーリより反エンジン側に
配置されており、駆動軸および従動軸と非同軸でかつ平
行に配置され、一端部が入力軸と接続されるとともに、
他端部が駆動プーリより反エンジン側の部位まで延びる
動力軸と、動力軸の反エンジン側の部位と駆動軸の駆動
プーリより反エンジン側の部位とを接続する第1の直結
伝達機構と、入力軸と従動軸の従動プーリよりエンジン
側の部位とを接続する第2の直結伝達機構と、第2の直
結伝達機構に設けられ、動力伝達を接続状態とする後進
位置と、動力伝達を遮断状態とする中立・前進位置とに
選択的に切り替える切替手段と、上記切替手段が後進位
置にある時、ベルトを駆動プーリまたは従動プーリの少
なくとも一方に対して滑らせるベルトスリップ手段と、
を備えたことを特徴とする無段変速機を提供する。
【0007】前進時には、第2の直結伝達機構に設けら
れた切替手段を中立・前進位置へ切り替える。エンジン
動力はまず入力軸へ伝えられ、動力軸から第1の直結伝
達機構を介して駆動軸へと伝達される。駆動軸上の駆動
プーリからベルトを介して従動プーリへ伝達され、従動
軸から出力軸を介して車輪へ動力が伝達される。そのた
め、各プーリのベルト巻き掛け径を逆方向に変化させる
ことにより、変速比を無段階に可変とし、変速ショック
のないスムーズな走行を実現できる。一方、後進時に
は、第2の直結伝達機構に設けられた切替手段を後進位
置へ切り替えるとともに、ベルトが駆動側プーリまたは
従動側プーリに対して滑る状態とする。そのため、エン
ジン動力は入力軸から第2の直結伝達機構、従動軸を経
由して出力軸へと伝達される。エンジン動力の一部は入
力軸から、動力軸、第1の直結伝達機構を介して駆動軸
へも伝達されるが、ベルトは駆動プーリまたは従動プー
リに対して滑るので、ベルトを介して動力が伝達されな
い。そのため、ベルトは後進時には駆動されず、ベルト
寿命を向上させることができる。ベルトスリップ手段を
設けることで、ベルトを介した前進動力経路に断続機構
を設ける必要がなくなり、構造の簡素化と寸法短縮を実
現できる。
【0008】本発明の場合、駆動プーリのアクチュエー
タは駆動プーリよりエンジン側に配置され、従動プーリ
のアクチュエータは従動プーリより反エンジン側に配置
されている。そして、駆動軸および従動軸に対してオフ
セットした動力軸を設け、この動力軸の一端部を入力軸
と接続するとともに、他端部を駆動プーリより反エンジ
ン側の部位まで延長し、この延長部を第1の直結伝達機
構を介して駆動軸と接続している。アクチュエータは軸
方向スペースを必要とするので、従動プーリのアクチュ
エータを従動プーリよりエンジン側に配置すると、第2
の直結伝達機構などの配置スペースの関係上、駆動プー
リおよび従動プーリが共にエンジンから離れた位置にな
り、軸方向スペースが増大する。そこで、本発明では、
駆動プーリのアクチュエータをエンジン側に配置するこ
とで、駆動軸の反エンジン側の部位にスペースを設け、
このスペースに動力軸と駆動軸とを接続する第1の直結
伝達機構を設けることで、駆動軸および従動軸の軸寸法
をほぼ均等化し、全体として軸方向寸法の短い無段変速
機を実現している。本発明において、入力軸と動力軸と
は別軸で構成してもよいが、同一軸で構成してもよい。
すなわち、発進機構を動力軸と直結してもよい。入力軸
と動力軸とを別軸で構成した場合には、入力軸と駆動軸
とを同一方向に回転させ、入力軸と従動軸とを逆方向に
回転させることができるので、後進用のギヤ機構として
アイドラギヤが不要となり、構造を簡素化できる。な
お、第1の直結伝達機構および第2の直結伝達機構は、
ギヤ機構やチェーン機構のように、一定の伝達比で伝達
し得るものであれば、何でもよい。
【0009】前後進切換機構を設ける場合には、1本の
軸上にシンクロ式の切替機構を設けるのが構造上簡単で
ある。つまり、軸上にハブを固定し、ハブを間にして前
進用ギヤと後進用ギヤとを回転自在に設け、これらギヤ
をハブに対して選択的に連結するスリーブを設けるもの
である。ところが、このような前後進切換機構を設ける
と、前進用ギヤと後進用ギヤの配置スペースだけでな
く、スリーブが前進位置,後進位置および中立位置の3
位置に移動するスペースが必要となるので、軸方向の寸
法が長くなる。これに対し、本発明では、入力軸と従動
軸の従動プーリよりエンジン側の部位とを接続する第2
の直結伝達機構に後進位置と中立・前進位置とに切り替
える切替手段を設けたので、切替手段の占める軸方向寸
法は必要最小限で済み、コンパクトな変速機を実現でき
る。なお、切替手段は、入力軸と従動軸との間であれば
よく、入力軸上または従動軸上のいずれに設けてもよ
い。
【0010】請求項2のように、入力軸および動力軸
は、駆動軸と従動軸の上下方向中間位置に配置するのが
望ましい。無段変速機の場合、駆動プーリを有する駆動
軸と従動プーリを有する従動プーリとは軸間距離が長い
ので、その間のスペースに入力軸および動力軸を配置す
ることで、空いたスペースを有効利用し、入力軸と動力
軸とが外部に突出することがなく、上下方向にコンパク
トな無段変速機を得ることができる。なお、入力軸およ
び動力軸は、駆動軸と従動軸の上下方向中間位置であれ
ばよく、ベルトの周回内である必要はない。
【0011】ベルトをプーリに対して滑らせるベルトス
リップ手段としては、請求項3に記載のように、駆動プ
ーリの可動シーブを最大変速比(Low)位置よりも開
いた位置へ移動させ、ベルトを駆動プーリの溝底部上に
支持させる手段とするのが望ましい。すなわち、ベルト
を駆動プーリの溝底部上に支持することにより、ベルト
に対して軸方向の圧力が作用しなくなり、ベルトをプー
リに対して容易に滑らせることができる。駆動プーリの
可動シーブのLow位置は、変速範囲において最も開い
た位置にあるので、後退位置へ切り替えた時に可動シー
ブを更に開くことにより、短時間でベルトを滑らせるこ
とができる。なお、可動シーブをLow位置よりも開か
せる具体的手段としては、種々の方法が考えられる。例
えば、両プーリのアクチュエータが、両プーリの可動シ
ーブの背部に設けられたボールネジ機構と、ボールネジ
機構を駆動して可動シーブを軸方向に移動させる変速ギ
ヤとを備え、変速ギヤを変速用モータで同期駆動するこ
とにより、駆動プーリと従動プーリの可動シーブを逆方
向に移動させる方式の無段変速機の場合には、後進時に
変速用モータによって駆動プーリの可動シーブをLow
位置よりも開いた位置へ移動させることで、簡単に実現
できる。また、ボールネジ機構の雄ねじ部材または雌ね
じ部材を回転させる調整用モータを別に設けた場合に
は、後進時にこのモータを駆動することで、駆動プーリ
の可動シーブのみをLow位置よりも開いた位置へ移動
させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1〜図3は本発明にかかる無段
変速機の一例の具体的構造を示し、図4はその骨格構造
を示す。この無段変速機はFF横置き式の変速機であ
り、大略、エンジン出力軸1によって駆動される発進機
構2、発進機構2の出力軸である入力軸3、動力軸4、
駆動プーリ11を有する駆動軸10、従動プーリ21を
有する従動軸20、駆動プーリ11と従動プーリ21に
巻き掛けられたVベルト15、減速軸30、車輪と連結
された出力軸32、変速用モータ40、テンショナ装置
50などで構成されている。入力軸3,動力軸4,駆動
軸10,従動軸20,減速軸30および出力軸32はい
ずれも非同軸で、かつ平行に配置されている。
【0013】この実施例の発進機構2は乾式クラッチで
構成され、発進制御用モータ(図示せず)によって作動
させることにより、断接制御および半クラッチ制御を行
なうことが可能である。入力軸3は軸受を介して変速機
ケース6によって回転自在に支持され、入力軸3に一体
回転可能に設けられた前進用ギヤ3aと後進用ギヤ3b
とが変速機ケース6の第2ギヤ室6c内に挿入されてい
る。
【0014】動力軸4は変速機ケース6の左右の側壁に
架け渡して設けられ、両端部が軸受によって回転自在に
支持されている。動力軸4のエンジン側端部には、入力
軸3の前進用ギヤ3aと噛み合う前進用ギヤ4aが一体
に設けられ、反エンジン側端部には減速ギヤ4bが固定
されている。動力軸4の減速ギヤ4bは、駆動軸10の
反エンジン側の端部に固定された減速ギヤ12と噛み合
い、動力軸4から駆動軸10へ駆動力をベルト駆動に適
した減速比で伝達している。減速ギヤ4bと減速ギヤ1
2は第1の直結伝達機構13を構成しており、この直結
伝達機構13は変速機ケース6の反エンジン側に形成さ
れた第1ギヤ室6a内に収容されている。第1ギヤ室6
a内は油で潤滑されている。
【0015】駆動プーリ11は、駆動軸10上に固定さ
れた固定シーブ11aと、駆動軸10上に軸方向移動自
在に支持された可動シーブ11bと、可動シーブ11b
の背後に設けられたアクチュエータ14とを備え、アク
チュエータ14はVベルト15よりエンジン側に配置さ
れている。この実施例のアクチュエータ14は、変速用
モータ40によって駆動されるボールネジ機構であり、
可動シーブ11bに軸受14aを介して相対回転自在に
支持された雌ねじ部材14bと、変速機ケース6に支持
された雄ねじ部材14cと、雌ねじ部材14bの外周部
に固定された変速ギヤ14dとで構成されている。この
変速ギヤ14dは駆動プーリ11を構成する可動シーブ
11bより大径のギヤである。
【0016】従動プーリ21は、従動軸20上に固定さ
れた固定シーブ21aと、従動軸20上に軸方向移動自
在に支持された可動シーブ21bと、可動シーブ21b
の背後に設けられたアクチュエータ22とを備え、アク
チュエータ22はVベルト15より反エンジン側に配置
されている。このアクチュエータ22も駆動プーリ11
のアクチュエータ14と同様の構成を有するボールネジ
機構であり、可動シーブ21bに軸受22aを介して相
対回転自在に支持された雌ねじ部材22bと、変速機ケ
ース6に支持された雄ねじ部材22cと、雌ねじ部材2
2bの外周部に固定された変速ギヤ22dとで構成され
ている。この変速ギヤ22dも従動プーリ21を構成す
る可動シーブ21bより大径のギヤである。
【0017】従動軸20の従動プーリ21よりエンジン
側の部位には、後進用ギヤ24が回転自在に支持されて
おり、このギヤ24は入力軸3に固定された後進用ギヤ
3bと噛み合っている。後進用ギヤ24はシンクロ式の
切替手段25によって従動軸20に対して選択的に連結
される。つまり、切替手段25は後進位置Rと中立・前
進位置N,Dの2位置に切替可能である。上記後進用ギ
ヤ3b,24と切替手段25とで第2の直結伝達機構2
6が構成される。
【0018】従動軸20のエンジン側端部には、減速ギ
ヤ27が一体に形成されており、この減速ギヤ27は減
速軸30に固定されたギヤ30aと噛み合い、さらに減
速軸30に一体に形成されたギヤ30bを介して差動装
置31のリングギヤ31aに噛み合っている。そして、
差動装置31に設けられた出力軸32を介して車輪が駆
動される。第2の直結伝達機構26(後進用ギヤ3b,
24、切替手段25)、減速軸30および差動装置31
は変速機ケース6のエンジン側に形成された第2ギヤ室
6b内に収容されている。このギヤ室6bは油で潤滑さ
れている。なお、ギヤ室6bには入力軸3の前進用ギヤ
3aと動力軸4の前進用ギヤ4aも収容され、同様に潤
滑されている。
【0019】変速機ケース6の第1ギヤ室6aと第2ギ
ヤ室6bとは、上述のように潤滑されており、駆動プー
リ11と従動プーリ21は、第1ギヤ室6aと第2ギヤ
室6bとの間に挟まれたプーリ室6c内に配置されてい
る。この実施例ではプーリ室6cは無潤滑空間であり、
Vベルト15も乾式駆動ベルトが用いられている。上記
のようにプーリ室6cを間にして、その両側に第1ギヤ
室6aと第2ギヤ室6bとを設けることで、Vベルト1
5の透過音を低減できる効果がある。従来では、Vベル
ト15が発生する騒音を低減するためにケース6に吸音
材を貼り付けたり、ケースの肉厚を厚くするなどの工夫
を行っていたが、上記実施例のように構成することで、
ギヤ室6a,6bが遮音空間として作用し、透過音を低
減できる。特に、ギヤ室6a,6bには潤滑油が封入さ
れるので、この潤滑油が吸音材として機能し、さらに透
過音の低減効果が大きい。
【0020】上記構成よりなる無段変速機の前進時およ
び後進時の動力伝達経路について、図5,図6を参照し
て説明する。前進時には、シフトレバーを操作して切替
手段25をN,D位置へ切り替える。そのため、図5に
示すように、発進機構2から入力軸3を介して入力され
たエンジン動力は、太線矢印で示すように、前進用ギヤ
3a、前進用ギヤ4a、動力軸4、第1の直結伝達機構
13(減速ギヤ4b,減速ギヤ12)、駆動軸10、駆
動プーリ11、Vベルト15、従動プーリ21、従動軸
20、減速ギヤ27、減速軸30、差動装置31を介し
て出力軸32に伝達される。一方、後進時には、シフト
レバーを操作して切替手段25を後進位置Rへ切り替え
ると同時に、変速用モータ40によって駆動プーリ11
の可動シーブ11bをLow位置より開き、Vベルト1
5を溝底部である駆動軸10上に支持する。そのため、
Vベルト15と駆動プーリ11とは滑り自在となる。な
お、従動側プーリ21の可動シーブ21bは通常のLo
w位置より閉じられた状態になる。そのため、図6に示
すように、発進機構2から入力軸3を介して入力された
エンジン動力は、太線矢印で示すように、第2の直結伝
達機構26(後進用ギヤ3b,後進用ギヤ24,切替手
段25)、従動軸20、減速ギヤ27、減速軸30、差
動装置31を介して出力軸32に伝達される。後述する
ように、Vベルト15の緩み側を押し付けてベルト推力
を与えるテンショナ装置50が設けられているが、後進
時には従動プーリ21側からVベルト15が駆動され、
しかもVベルト15が逆回転するので、テンショナ装置
50は依然として緩み側を押しつけることになり、Vベ
ルト15に過大な負荷がかからない。なお、後進時に
は、上述のようにVベルト15が駆動プーリ11と滑り
自在であるから、Vベルト15には殆ど動力伝達され
ず、Vベルト15には負荷が掛からない。
【0021】次に、この無段変速機における変速比可変
機構について、図4を参照して説明する。変速機ケース
6の外側部に変速用モータ40が取り付けられている。
変速用モータ40はブレーキ41を有するサーボモータ
であり、その出力ギヤ42は第1変速軸44に設けられ
たギヤ43に噛み合っている。第1変速軸44に設けら
れた別のギヤ45は可動シーブ11bの移動ストローク
分の長さを有する台形ギヤであり、駆動プーリ11に設
けられた変速ギヤ14dと噛み合っている。第1変速軸
44のギヤ45を回転させると、変速ギヤ14dが追随
回転することでボールネジ機構(アクチュエータ14)
の作用により、可動シーブ11bを軸方向へ移動させる
ことができる。つまり、駆動プーリ11のベルト巻き掛
け径を連続的に変化させることができる。変速用モータ
40は図示しない制御装置によって制御される。制御装
置にはシフトレバーの位置信号が入力され、例えばシフ
トレバーが後進位置へ切り換えられた時には、変速用モ
ータ40を駆動して駆動プーリ11の可動シーブ11b
をLow位置よりも開いた位置に動かし、Vベルト15
が溝底部である駆動軸10上に乗るようにする。これに
より、Vベルト15は駆動プーリ11に対して滑りを生
じ、動力伝達が遮断される。上記制御装置およびシフト
レバーの位置信号によってベルトスリップ手段が構成さ
れる。
【0022】駆動プーリ11の変速ギヤ14dは、動力
軸4の外周に相対回転自在に挿通されたスリーブ状の第
2変速軸46の第1アイドラギヤ46aと噛み合い、さ
らに第2変速軸46の第2アイドラギヤ46bは従動プ
ーリ21の変速ギヤ22dと噛み合っている。これらア
イドラギヤ46a,46bも、ギヤ45と同様に、可動
シーブ11b,21bの移動ストローク分の長さを有す
る台形ギヤで構成されている。変速用モータ40の回転
力は、第1変速軸44,駆動プーリ11の変速ギヤ14
d,第2変速軸46を介して従動プーリ21の変速ギヤ
22dへと伝達される。そのため、駆動プーリ11の可
動シーブ11aと従動プーリ21の可動シーブ21aは
互いに同期し、かつ互いにベルト巻き掛け径を逆方向に
変化させながら軸方向へ移動することができる。なお、
変速用モータ40としてブレーキ付きモータを用いた理
由は、変速用モータ40の回転力を伝達するギヤ列(4
2、43、45、14d、46a,46b,22d)が
すべて可逆ギヤで構成されている関係で、ベルト張力に
よる可動シーブの反力によってギヤ列が回転して変速比
が変化する恐れがあるので、ブレーキ41の制動力によ
ってギヤ列が回転するのを防止するためである。
【0023】次に、Vベルト15にベルト推力を与える
機構について説明する。上記のようにプーリ11,21
のベルト巻き掛け径は変速用モータ40によって可変さ
れるが、それだけでは伝達トルクによってVベルト15
とプーリ11,21との間に滑りが発生してしまう。そ
こで、伝達トルクに応じたベルト推力(ベルト張力)を
与えるため、図3に示されるようなテンショナ装置50
が設けられている。テンショナ装置50は、Vベルト1
5の緩み側を内側から外側に向かって押圧するテンショ
ンローラ51を備え、このテンションローラ51はアー
ム52の先端部に軸51aによって回動可能に支持され
ている。アーム52の揺動軸52aは駆動プーリ11の
斜め上方の部位に設けられ、揺動軸52aに設けられた
捩じりスプリング53によってテンションローラ51は
Vベルト15を外側に向かって押圧し、Vベルト15に
対して初期推力を与えている。変速機ケース6にはダイ
ヤフラム式のアクチュエータ54が設けられ、このアク
チュエータ54のロッド55がピン56を介してアーム
52と連結されている。アクチュエータ54のダイヤフ
ラム58で仕切られた室54aまたは室54bには流体
圧、例えばエンジン負圧やスロットル開度に応じた油圧
などが導かれている。なお、室54bにはスプリング5
7が配置されている。そのため、Vベルト15にはスプ
リング53,57による初期推力に対して、流体圧によ
る推力が加算または減算され、Vベルト15に伝達トル
クに応じた最適なベルト推力を与えることができる。な
お、伝達トルクの変動が比較的小さい車両の場合には、
アクチュエータ54を省略してスプリング53のみで推
力を与えてもよい。また、テンションローラ51はVベ
ルト15を内側から外側に向かって押圧するものに限ら
ず、外側から内側に向かって押圧してもよい。また、ア
クチュエータ54としては流体圧を利用したものに限ら
ず、モータを用いてもよい。
【0024】図2に示すように、この実施例の入力軸3
および動力軸4は、駆動軸10と従動軸20の上下方向
中間位置に配置されている。特に、動力軸4は駆動プー
リ11と従動プーリ21の間に巻き掛けられたVベルト
15の周回内に挿通配置されている。そのため、駆動軸
10と従動軸20の上下方向のスペースの間に入力軸3
と動力軸4が配置される形となり、上下方向の寸法を短
縮できる。
【0025】動力軸4に挿通された第2変速軸46もV
ベルト15の周回内に挿通配置されている。特に、第2
変速軸46に設けられたアイドラギヤ46a,46b
は、プーリ11,21より大径な変速ギヤ14d,22
dと噛み合うため、小径な台形ギヤが使用されている。
したがって、プーリ11,21の可動シーブ11b,2
1bが変速のために軸方向へ移動した時、可動シーブ1
1b,21bがこれらアイドラギヤ46a,46bと軸
方向にオーバーラップすることができ、軸方向寸法を短
縮することができる。
【0026】また、駆動軸10は従動軸20より上方に
配置されている。換言すれば、従動軸20は駆動軸10
より下方に配置されているので、従動軸20、減速軸3
0および差動装置31が変速機ケース6の下部に配置さ
れ、潤滑性が向上する。また、従動軸20は駆動軸10
および出力軸32より前方に配置され、かつ従動軸20
は出力軸32とほぼ同一高さ位置に配置されている。そ
のため、駆動軸10、従動軸20,出力軸32が、駆動
軸10を頂点とし、従動軸20と出力軸32を結ぶ線が
底辺となる三角形配置となっている。そのため、重心位
置が下方に位置し、安定した無段変速機を得ることがで
きる。
【0027】この実施例の無段変速機では、発進制御,
変速制御および前後進切換を行うために、油圧サーボ機
構、油圧クラッチ、トルクコンバータといった油圧を必
要とする機器が一切用いられておらず、発進制御用モー
タと、変速用モータ40と、張力制御用アクチュエータ
53のみであらゆる制御を行うことができる。そのた
め、一般の自動変速機のように複雑で大型の油圧制御装
置を必要とせず、極めて簡素でコンパクト、かつ低コス
トの無段変速機を得ることができる。また、当然ながら
オイルポンプロスや、油の粘性による動力損失、変速性
能の変化といった不具合もない。
【0028】本発明は上記実施例にのみ限定されるもの
ではない。上記実施例では、油圧を用いないで変速を行
なう無段変速機について説明したが、駆動プーリおよび
従動プーリの少なくとも一方のアクチュエータを油圧サ
ーボ機構で構成することもできる。その場合、実施例の
ようなベルト推力を与えるためのテンショナ装置50に
代えて、可動シーブを軸方向に付勢する推力発生手段を
設け、これによってベルト推力を与えてもよい。また、
Vベルトは乾式ベルトに限らず、油で潤滑する湿式ベル
トを用いてもよい。上記実施例のアクチュエータとして
は、可動シーブの背部に変速ギヤを相対回転可能に取り
付け、変速ギヤと一体回転可能な雌ねじ部材と、変速機
ケースに支持された雄ねじ部材とを螺合させたボールネ
ジ機構を用いたが、ボールネジ機構はこの構成に限るも
のではない。例えば、特開昭62−159846号公報
に示されるように、雌ねじ部材を変速機ケースに回転可
能かつ軸方向移動不能に支持し、雄ねじ部材を軸方向移
動可能に設け、この雄ねじ部材を可動シーブの背部に回
転可能に取り付けてもよい。上記実施例では、ベルトを
駆動プーリまたは従動プーリに対して滑らせる方法とし
て、変速用モータによって一方のプーリの可動シーブを
動力伝達限界位置よりも開いた位置へ移動させるように
したが、これに限るものではない。例えば、後進時にテ
ンショナ装置50によるベルト押圧力を解放し、Vベル
ト15の緩み側の張力を動力伝達に必要な張力以下とす
ることで、ベルトを滑らせることも可能である。
【0029】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、前進時にベルトを介して駆動し、後進時にはベ
ルトを介さずに駆動するので、ベルトを逆転駆動する必
要がなく、ベルトにかかる負担を軽減でき、長寿命な無
段変速機を実現できる。また、駆動プーリのアクチュエ
ータがエンジン側に配置され、従動プーリのアクチュエ
ータが反エンジン側に配置され、駆動軸および従動軸に
対してオフセットした動力軸の端部が駆動プーリより反
エンジン側の部位まで延び、この部位に配置された第1
の直結伝達機構を介して駆動軸と接続されているので、
第1の直結伝達機構を空いたスペースに配置でき、駆動
軸と従動軸とをほぼ均等な軸長さにでき、全体としてコ
ンパクトな無段変速機を実現できる。さらに、本発明で
は、後進位置と中立・前進位置の2位置に切り替える切
替手段を設ければよいので、切替手段の軸方向寸法を短
縮できる。また、後進時にはベルトをプーリに対して滑
らせるので、前進動力経路に格別な断続機構を設ける必
要がなくなり、構造の簡素化、ひいては軸方向寸法を短
縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる無段変速機の一例の展開断面図
である。
【図2】図1の無段変速機の内部構造の側面図である。
【図3】図1の無段変速機のプーリ部分の断面図であ
る。
【図4】図1の無段変速機のスケルトン図である。
【図5】前進時における無段変速機の動力伝達経路を示
すスケルトン図である。
【図6】後進時における無段変速機の動力伝達経路を示
すスケルトン図である。
【符号の説明】
3 入力軸 4 動力軸 6 変速機ケース 10 駆動軸 11 駆動プーリ 13 第1の直結伝達機構 14 アクチュエータ 14d 変速ギヤ 15 Vベルト 20 従動軸 21 従動プーリ 22 アクチュエータ 22d 変速ギヤ 25 切替手段 26 第2の直結伝達機構 31 差動装置 32 出力軸 40 変速用モータ 50 テンショナ装置

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンと発進機構を介して接続された入
    力軸と、駆動プーリを有し、入力軸から動力を伝達され
    る駆動軸と、従動プーリを有する従動軸と、駆動プーリ
    と従動プーリの間に巻き掛けられたベルトと、従動軸か
    ら動力を伝達され、車輪を駆動する出力軸とを備え、駆
    動プーリと従動プーリにそれぞれ設けられたアクチュエ
    ータを作動させて各プーリの可動シーブを逆方向に移動
    させることにより、変速比を無段階に可変とした無段変
    速機において、駆動プーリのアクチュエータは駆動プー
    リよりエンジン側に配置され、従動プーリのアクチュエ
    ータは従動プーリより反エンジン側に配置されており、
    駆動軸および従動軸と非同軸でかつ平行に配置され、一
    端部が入力軸と接続されるとともに、他端部が駆動プー
    リより反エンジン側の部位まで延びる動力軸と、動力軸
    の反エンジン側の部位と駆動軸の駆動プーリより反エン
    ジン側の部位とを接続する第1の直結伝達機構と、入力
    軸と従動軸の従動プーリよりエンジン側の部位とを接続
    する第2の直結伝達機構と、第2の直結伝達機構に設け
    られ、動力伝達を接続状態とする後進位置と、動力伝達
    を遮断状態とする中立・前進位置とに選択的に切り替え
    る切替手段と、上記切替手段が後進位置にある時、ベル
    トを駆動プーリまたは従動プーリの少なくとも一方に対
    して滑らせるベルトスリップ手段と、を備えたことを特
    徴とする無段変速機。
  2. 【請求項2】上記入力軸および動力軸は、駆動軸と従動
    軸の上下方向中間位置に配置されていることを特徴とす
    る請求項1に記載の無段変速機。
  3. 【請求項3】上記ベルトスリップ手段は、駆動プーリの
    可動シーブを最大変速比位置よりも開いた位置へ移動さ
    せ、ベルトを駆動プーリの溝底部上に支持させる手段で
    あることを特徴とする請求項1または2に記載の無段変
    速機。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101787994B1 (ko) 2016-04-26 2017-10-23 주식회사 영신테크 전기차량용 무단변속장치
KR101803726B1 (ko) * 2015-04-30 2018-01-11 한국산업기술시험원 정방향 및 역방향 회전시 ∨벨트의 슬립현상이 방지되는 전기차량용 무단변속기와 이를 이용한 이륜차량 재제조방법

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