JP2001329926A - 燃料噴射システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】組付け作業の合理化が図られた燃料噴射システ
ムを提供する。 【解決手段】燃料を高圧化して送出する高圧燃料供給ポ
ンプ１と、前記高圧燃料供給ポンプ１から供給された燃
料を蓄えるコモンレール５２とを備え、前記コモンレー
ル５２に蓄えられた高圧燃料を内燃機関の燃焼室に噴射
するコモンレール式燃料噴射システムであって、前記高
圧燃料供給ポンプ１には、空気を高圧化して所定の機関
に供給するエアコンプレッサ２０が一体的に組付けら
れ、これら高圧燃料供給ポンプ１及びエアコンプレッサ
２０は、共に前記内燃機関の駆動力により回転するシャ
フトにより駆動されるものとする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、排気ブレーキ等
に用いられるエアコンプレッサを備えるトラック等の車
両に用いられるコモンレール式燃料噴射システムに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】自動車等の内燃機関の燃焼室に燃料を噴
射する燃料噴射システムの１つとして、図７に示すよう
なコモンレールシステム５０がある。このコモンレール
システム５０は、燃料タンク５１から汲み上げた燃料を
内燃機関と連結するシャフトにより駆動される高圧燃料
供給ポンプ１により高圧化し、この高圧化された燃料を
コモンレール５２に蓄え、このコモンレール５２に蓄え
られた高圧燃料をインジェクタ５３から内燃機関の燃焼
室に噴射するものであり、センサ類５４により検出され
たエンジン回転速度、アクセルペダル位置等の車両情報
信号に基づいて電子式コントロールユニット（ＥＣＵ）
５５により燃料の噴射量や噴射時期等が制御されるもの
である。

【０００３】また、上記コモンレールシステム５０にお
いて用いられる高圧燃料供給ポンプ１は、他の燃料噴射
システム、例えば高圧燃料がコモンレールに蓄えられる
ことなくエンジンの燃焼室に噴射されるシステム等にお
いて用いられる高圧燃料供給ポンプに比べて、コンパク
トな構造にしやすいという特性を有している。なぜな
ら、上記他の燃料噴射システムに用いられる高圧燃料供
給ポンプにおいては、エンジンの点火タイミング等の関
係上、エンジン気筒数と同数のプランジャを備えるのが
普通であるが、上記コモンレールシステム５０に用いら
れる高圧燃料供給ポンプ１においては、高圧燃料が内燃
機関の燃焼室に噴射される前にコモンレール５２に蓄え
られるため、例えば６気筒のエンジンの場合に２本のプ
ランジャであっても十分な性能を確保することができる
からである。

【０００４】また、トラック等の大型車には、排気ブレ
ーキシステム等に高圧空気を供給するエアコンプレッサ
が備えられており、このエアコンプレッサも、上記高圧
燃料供給ポンプ１と同様に、内燃機関の駆動力により回
転するシャフトにより駆動されるものが多い。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来において
は、前記エアコンプレッサ及び高圧燃料供給ポンプは、
共に内燃機関の駆動力を伝達するシャフトにより駆動さ
れるにもかかわらず、別々にエンジンに固定され、それ
ぞれのシャフトの接続は、ラミネートカップリング等に
より行なわれていた。このため、組付け作業等が複雑に
なるという不具合があった。

【０００６】そこで、この発明は、コモンレールシステ
ムに用いられる高圧燃料供給ポンプは、通常の燃料噴射
システムに用いられるポンプに比べてコンパクトである
ということに着目し、組付け作業の合理化が図られた燃
料噴射システムを提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この発明は、燃料を高圧化して送出する高圧燃料供
給ポンプと、前記高圧燃料供給ポンプから供給された燃
料を蓄えるコモンレールとを備え、前記コモンレールに
蓄えられた高圧燃料を内燃機関の燃焼室に噴射するコモ
ンレール式燃料噴射システムであって、前記高圧燃料供
給ポンプには、空気を高圧化して所定の機関に供給する
エアコンプレッサが一体的に組付けられ、これら高圧燃
料供給ポンプ及びエアコンプレッサは、共に前記内燃機
関の駆動力により回転するシャフトにより駆動されるも
のである（請求項１）。

【０００８】上記構成のように、高圧燃料供給ポンプと
エアコンプレッサとを一体化（モジュール化）させるこ
とにより、組付け作業の合理化を図ることができる。ま
た、高圧燃料供給ポンプの連結部がエンジンではなくエ
アコンプレッサとなることにより、エンジンの形状に合
わせて高圧燃料供給ポンプの連結部を変更する必要がな
くなるので、高圧燃料供給ポンプの形状を標準化するこ
とができる。

【０００９】また、前記高圧燃料供給ポンプ及び前記エ
アコンプレッサは、それぞれのケーシングに形成された
フランジを互いに接合させたり（請求項２）、共通のケ
ーシング内に収めることにより（請求項３）、両者を一
体化することができる。

【００１０】また、前記高圧燃料供給ポンプと前記エア
コンプレッサとの前記シャフトの連結部分には、ギヤボ
ックスが介在されていてもよい（請求項４）。これによ
れば、高圧燃料供給ポンプとエアコンプレッサとの間で
シャフトの回転速度を変化させることができるので、よ
り高度な制御が可能となる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。

【００１２】図１及び図７に示すコモンレール式燃料噴
射システム（以下、コモンレールシステムと称する）５
０は、内燃機関の燃焼室に燃料を噴射するものであり、
燃料タンク５１、高圧燃料供給ポンプ１、コモンレール
５２、インジェクタ５３、これらを制御する電子式コン
トロールユニット（ＥＣＵ）５５、及びセンサ類５４を
有して構成される。

【００１３】高圧燃料供給ポンプ１は、配管を介してコ
モンレール５２に接続され、燃料タンク５１から汲み上
げた燃料油を高圧化してコモンレール５２に供給する。
コモンレール５２は、高圧燃料供給ポンプ１から圧送さ
れた高圧燃料を蓄え、インジェクタ５３へ分配する。イ
ンジェクタ５３は、コモンレール５２からの高圧燃料を
所定のタイミングで内燃機関の燃料室に噴射する。ＥＣ
Ｕ５５は、センサ類５４により検出されたエンジン回転
速度、アクセル開度、燃料油温度等の車両情報信号に基
づいて、高圧燃料供給ポンプ１、コモンレール５２、イ
ンジェクタ５３に設けられた電磁弁等の電子機器に制御
信号を出力し、燃料の供給・噴射量、供給・噴射時期等
を総合的に制御する。

【００１４】前記高圧燃料供給ポンプ１は、フィードポ
ンプ６と、フューエルメータリングユニット（ＦＭＵ）
７と、サプライポンプ５とを有して構成されている。フ
ィードポンプ２は、燃料油を燃料タンク５１から汲み上
げて後述するＦＭＵ３に供給するものであり、このフィ
ードポンプ６の内部には、内燃機関の駆動力により回転
されるシャフトにより駆動されるギアポンプが設けられ
ている。ＦＭＵ７は、前記フィードポンプ６から送られ
てきた燃料を、内燃機関の要求する燃料圧力となるよう
に燃料油量の調整を行った上で後述するサプライポンプ
５に送り込むものである。

【００１５】サプライポンプ５は、図４に示すように、
ケーシング９内に、プランジャ１５、プランジャバレル
１９、タペット１８、シャフト１１、カム１３、スプリ
ング１４が配されて構成される。シャフト１１は、ケー
シング９の所定個所に回転自在に保持され内燃機関の駆
動トルクを受けて回転し、複数のカム山が形成されたカ
ム１３が固定されている。プランジャ１５は、プランジ
ャバレル１９内に摺動自在に挿入され、その下端部がタ
ペット１８を介してカム１３の外面に当接している。ス
プリング１４は、プランジャバレル１９とカム１３との
間に弾装され、タペット１８をカム１３に当接するよう
に付勢している。また、プランジャバレル１９の上部に
は、プランジャ１５の位置により体積が変化する圧縮室
１６が形成され、この圧縮室１６には、前記ＦＭＵ７か
らの燃料が流入する。

【００１６】これにより、シャフト１１が回転すると、
プランジャ１５はスプリング１４と協動してカム１３の
輪郭に沿って往復動し、プランジャ１５が図中上方へ移
動した時に、圧縮室１６内の燃料を圧縮し、これにより
高圧化された燃料は圧縮室１６内と連通する吐出口１７
を経て前記コモンレール５２に供給される。尚、ここで
示した高圧燃料供給ポンプ１の構造は一例であり、この
発明は高圧燃料供給ポンプ１の構造に影響されるもので
はない。

【００１７】そして、この発明においては、図１乃至図
４に示すように、前記高圧燃料供給ポンプ１に、エアコ
ンプレッサ２０が一体的に連結されている。エアコンプ
レッサ２０は、前記内燃機関の駆動力により駆動され、
空気を圧縮して排気ブレーキ等の他機関（図示せず）に
供給するものである。

【００１８】エアコンプレッサ２０は、例えば、吸入口
２１及び吐出口２２を備え、ケーシング２３内に、シャ
フト２６、偏心部材３０、連結部材３１、ピストン３
２、バレル３４が配されて構成される。シャフト２６
は、ケーシング２３の所定個所に回転自在に保持され内
燃機関の駆動トルクを受けて回転し、偏心部材３０が固
定されている。この偏心部材３０の偏心部には、連結部
材３１の一端側に形成された軸部３１ａが回転自在に保
持されており、この連結部材３１の他端側に形成された
軸部３１ｂがピストン３２の下端部に回動自在に保持さ
れている。この連結部材３１によって、シャフト２６の
回転運動はピストン３２の上下運動に変換される。ピス
トン３２は、バレル３４内に摺動自在に挿入され、この
バレル３４の上部には、ピストン３２の位置により体積
が変化する圧縮室３３が形成されている。この圧縮室３
３は、外部から空気を取り込むための吸入口２１と連通
すると共に前記所定機関に圧縮空気を送出するための吐
出口２２と連通している。

【００１９】これにより、シャフト２６が回転すると、
ピストン３２が上下運動をし、この上下運動により圧縮
室３３内で圧縮された空気は、吐出口２２から前記他機
関に供給される。尚、ここで示したエアコンプレッサ２
０の構造は一例であり、この発明はエアコンプレッサ２
０の構造に影響されるものではない。

【００２０】そして、第１の実施の形態における上記高
圧燃料供給ポンプ１及びエアコンプレッサ２０は、図２
及び図４に示すように、それぞれのケーシング９，２３
の端部に形成されたフランジ１０，２４を介して連結さ
れている。それぞれのフランジ１０，２４には、複数の
連結孔１０ａ，２４ａが形成されており、この連結孔１
０ａ，２４ａを介してボルト等により連結される。

【００２１】また、この実施の形態においては、図３に
示すように、前記エアコンプレッサ２０に備えられたシ
ャフト２６の一端側に第１の歯車２８が固定され、この
第１の歯車２８は、内燃機関の駆動力により回転するシ
ャフト３０の端部に固定された第２の歯車３１と噛合す
るようになされていると共に、前記シャフト２６の他端
側には、図４に示すように、カップリング部材２７が形
成され、サプライポンプ５（高圧燃料供給ポンプ１）内
の前記シャフト１１の一端部に形成されたカップリング
部材１２と連結するようになされている。このカップリ
ングとしては、例えばオルダムカップリングや、スプラ
インギヤを利用することができる。これにより、エアコ
ンプレッサ２０のシャフト２６と、高圧燃料供給ポンプ
１のシャフト１１とは、同速度で回転する。

【００２２】上記第１の実施の形態の構成によれば、高
圧燃料供給ポンプ１とエアコンプレッサ２０とが一体化
（モジュール化）されるので、製造時の組付け作業を合
理化することができる。また、高圧燃料供給ポンプ１の
連結部がエンジンではなくエアコンプレッサ２０となる
ことにより、エンジンの形状に合わせて高圧燃料供給ポ
ンプ１の連結部を変更する必要がなくなるので、高圧燃
料供給ポンプ１のケーシング等の形状を標準化すること
ができる。

【００２３】以下に、この発明の他の実施の形態につい
て説明するが、上記第１の実施の形態と同一の個所及び
同様の作用を奏する個所には同一の符号を付してその説
明を省略する。

【００２４】図５に示す第２の実施の形態においては、
サプライポンプ５（高圧燃料供給ポンプ１）及びエアコ
ンプレッサ２０が、共通のケーシング４０を有している
ものである。これによっても、両者を一体化することが
できる。尚、この図５においては、シャフト１１，２６
の連結が前記カップリング１２，２７によりなされてい
るが、一本化されたシャフトを用いてもよい。

【００２５】また、図６に示す第３の実施の形態におい
ては、サプライポンプ５（高圧燃料供給ポンプ１）及び
エアコンプレッサ２０が、それぞれのフランジ１０，２
４を介して連結されると共に、それぞれのシャフト１
１，２６の連結部にギヤボックス４１が配されているも
のである。これによれば、２つのシャフト１１，２６間
で回転速度を変化させることができるので、高圧燃料供
給ポンプ１及びエアコンプレッサ２０それぞれの使用状
況に応じてより高度な制御をすることが可能となる。

【００２６】

【発明の効果】以上のように、この発明によれば、高圧
燃料供給ポンプとエアコンプレッサとが一体化（モジュ
ール化）されるので、製造時の組付け作業を合理化する
ことができる。また、高圧燃料供給ポンプの連結部がエ
ンジンではなくエアコンプレッサとなることにより、エ
ンジンの形状に合わせて高圧燃料供給ポンプの連結部を
変更する必要がなくなるので、高圧燃料供給ポンプのケ
ーシング等の形状を標準化することができる。

【００２７】また、シャフトの連結部にギヤボックスが
配することにより、各シャフト間で回転速度を変化させ
ることができるので、高圧燃料供給ポンプ及びエアコン
プレッサのそれぞれの使用状況に応じてより高度な制御
をすることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、この発明におけるコモンレール式燃料
噴射システムの概要を示す図である。

【図２】図２は、高圧燃料供給ポンプ及びエアコンプレ
ッサの一体化された状態を示す斜視図である。

【図３】図３は、この発明に係る燃料噴射システム内で
の一体化された高圧燃料供給ポンプ及びエアコンプレッ
サの関係を示す図である。

【図４】図４は、第１の実施の形態に係る高圧燃料供給
ポンプとエアコンプレッサとの関係を示す図である。

【図５】図５は、第２の実施の形態に係る高圧燃料供給
ポンプとエアコンプレッサとの関係を示す図である。

【図６】図６は、第３の実施の形態に係る高圧燃料供給
ポンプとエアコンプレッサとの関係を示す図である。

【図７】図７は、コモンレール式燃料噴射システムの概
要を示す図である。

【符号の説明】

１ 高圧燃料供給ポンプ ５ サプライポンプ ６ フィードポンプ ７ フューエルメータリングユニット（ＦＭＵ） ９ ケーシング １０ フランジ １１ シャフト ２０ エアコンプレッサ ２３ ケーシング ２４ フランジ ２６ シャフト １２，２７ オルダムカップリング ４０ ケーシング ４１ ギヤボックス ５０ コモンレール式燃料噴射システム ５１ 燃料タンク ５２ コモンレール ５３ インジェクタ ５４ センサ類 ５５ 電子式コントロールユニット（ＥＣＵ）

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 燃料を高圧化して送出する高圧燃料供給
   ポンプと、前記高圧燃料供給ポンプから供給された燃料
   を蓄えるコモンレールとを備え、前記コモンレールに蓄
   えられた高圧燃料を内燃機関の燃焼室に噴射するコモン
   レール式燃料噴射システムであって、 前記高圧燃料供給ポンプには、空気を高圧化して所定の
   機関に供給するエアコンプレッサが一体的に組付けら
   れ、これら高圧燃料供給ポンプ及びエアコンプレッサ
   は、共に前記内燃機関の駆動力により回転するシャフト
   により駆動されることを特徴とする燃料噴射システム。
2. 【請求項２】 前記高圧燃料供給ポンプ及び前記エアコ
   ンプレッサは、それぞれのケーシングに形成されたフラ
   ンジが互いに接合されていることを特徴とする請求項１
   記載の燃料噴射システム。
3. 【請求項３】 前記高圧燃料供給ポンプ及び前記エアコ
   ンプレッサは、共通のケーシングを有することを特徴と
   する請求項１記載の燃料噴射システム。
4. 【請求項４】 前記高圧燃料供給ポンプと前記エアコン
   プレッサとの前記シャフトの連結部分には、ギヤボック
   スが介在されていることを特徴とする請求項１〜３のい
   ずれか１つに記載の燃料噴射システム。