JP2001327237A - シロアリ駆除装置およびシロアリ駆除方法 - Google Patents

シロアリ駆除装置およびシロアリ駆除方法

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JP2001327237A
JP2001327237A JP2000150528A JP2000150528A JP2001327237A JP 2001327237 A JP2001327237 A JP 2001327237A JP 2000150528 A JP2000150528 A JP 2000150528A JP 2000150528 A JP2000150528 A JP 2000150528A JP 2001327237 A JP2001327237 A JP 2001327237A
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termites
termite
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bait
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JP2000150528A
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English (en)
Inventor
Toshio Higuchi
俊男 樋口
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】設置、天敵糸状菌の交換、さらに大量のシロア
リの一次感染が可能なシロアリ駆除装置、および蟻道や
巣を発見することなく、シロアリを効率的に駆除しうる
シロアリ駆除方法を提供すること。 【解決手段】シロアリが通過可能な中空の円筒状または
角状のネット状材の内部にシロアリ用餌材とシロアリの
天敵糸状菌の培養担体とが配置されてなるシロアリ駆除
装置、および該シロアリ駆除装置を地中に埋設するシロ
アリ駆除方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シロアリ駆除装置
およびシロアリ駆除方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、害虫を駆除するにあたって殺
虫剤を使用する場合が多い。例えば、シロアリの駆除に
は、従来、有機リン系殺虫剤、ピレスロイド系殺虫剤の
油剤を木材や土壌に散布、又は木材部に注入するといっ
た方法が多く用いられてきた。
【0003】しかしながら、近年、これらの薬剤の人畜
に及ぼす影響あるいは環境汚染等が問題視されてきてい
る。また、殺虫処理を行なう場所が床下等の狭い空間で
ある場合が多いため、作業の困難性、作業者の健康に対
する悪影響といった問題がある。
【0004】そこで、天敵糸状菌を用いるシロアリの駆
除方法が検討されてきた(特表平4−504413号公
報、特開平8−301713号公報、特表平7−503
484号公報など)。しかしながら、天敵糸状菌の自然
環境中における安定性は極めて悪い(例えば、天敵糸状
菌を散布した場合、天敵糸状菌は短期間で死減してしま
う)ために駆除効果の長期持続性は期待できない。ま
た、特表平4−504413号公報に開示されている装
置は、使用方法や使用場所が限定される。また、特表平
7−503484号公報には、シロアリが二次感染して
一次感染以外のシロアリにも影響するとの記載はあるも
のの、その二次感染がどの程度で限界となるかは解明さ
れておらず、したがって、具体的にその限界をなくすた
めの処理方法は開示されていない。
【0005】また、天敵糸状菌の安定性の悪さから、天
敵糸状菌を用いた駆除剤の保存時及び輸送時にも注意を
払う必要がある。例えば、特表平7−508645号公
報には、保存時及び輸送時の天敵糸状菌及びその分生子
の安定性を高めるべく、包装材を用いて保存する方法が
開示されているが、使用に際しては開封して散布するし
かなく、直接土壌に処理すると土壌細菌によって分解さ
れ、すぐに効力がなくなるという欠点がある。
【0006】そこで、シロアリ駆除剤の使用場所の自由
度が高く、シロアリ駆除効果の持続性に優れたシロアリ
駆除剤として、特開平10−265315号公報が開示
され、その具体的な処理方法としては、特開平11−1
93206号公報が開示されているが、これらの方法は
いずれも蟻道や蟻の巣を発見しなければ使用することが
できないという欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、設
置、天敵糸状菌の交換、さらに大量のシロアリの一次感
染が可能なシロアリ駆除装置、および蟻道や巣を発見す
ることなく、シロアリを効率的に駆除しうるシロアリ駆
除方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
鑑みて鋭意研究を重ねた結果、シロアリがイエシロアリ
(Coptotermes formosanus )やヤマトシロアリ(Reti
culitermes speratus)の場合、健全なシロアリの中に
天敵糸状菌に一次感染したシロアリを入れると、グルー
ミング等の行為により該菌が他の健全なシロアリにも付
着して二次感染を引き起こし、そのシロアリも致死する
ことを確認した。加えて、その致死数には限界があり、
シロアリの種類、天敵糸状菌の種類によらず、ほぼ、一
次感染させたシロアリの数の10倍程度であること、一
次感染したシロアリは、3〜7日で完全致死するが、二
次感染したシロアリの致死までは3〜14日程度必要で
あること、死亡したシロアリから糸状菌が叢生するに
は、シロアリの死後、1〜3日後に適温と高湿度が続く
ような環境条件が必要であり、かかる条件は、自然環境
下ではあまり期待できないこと、死亡したシロアリは他
のシロアリに共食いや埋葬されるため、二次感染が継続
しない可能性があること等を新たに発見した。これらの
発見から、本発明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明の要旨は、〔1〕シロアリが
通過可能な中空の円筒状または角状のネット状材の内部
にシロアリ用餌材とシロアリの天敵糸状菌の培養担体と
が配置されてなるシロアリ駆除装置、ならびに〔2〕前
記〔1〕記載のシロアリ駆除装置を地中に埋設するシロ
アリ駆除方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のシロアリ駆除装置は、前
記したように、シロアリが通過可能な中空の円筒状また
は角状のネット状材の内部にシロアリ用餌材とシロアリ
の天敵糸状菌の培養担体(以下、糸状菌担体ともいう)
とが配置されてなるものである。
【0011】本発明に用いられるネット状材とは、シロ
アリが通過できる網目を有しているものであればよい。
該網目の大きさとしては、シロアリが通過し易く、かつ
土を多量に通さない観点から、2〜5mm×2〜30m
m程度であれば良い。その原料としては、特に限定され
ないが、木材、プラスチック等が挙げられ、具体的に
は、加工性の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリエステル等が好ましい。
【0012】ネット状材の大きさは、シロアリと遭遇す
る確率を高める観点から、その長さは15cm以上、好
ましくは25〜35cmで、且つ内径が30mm以上の
円筒状、または30mm以上の円筒の挿入可能な角状で
あることが好ましい。特にネット状材の長さが30cm
あれば、ほとんどのシロアリの活動範囲をカバーするこ
とができる。また、円筒や角の断面の大きさも30mm
あれば、餌材と糸状菌担体を重ねて収納することができ
るので好ましい。また、円筒状または角状のネット状材
の両端部(ネット状材を垂直に立てた場合の上下面)
は、開口していることが好ましい。また、開口している
上面に、さらに蓋を配設することで、ネット状材内部に
土が入りにくくなり、該内部のシロアリ用餌材や糸状菌
担体を容易に交換することが可能になるという利点があ
る。
【0013】本発明においては、かかる構成を有するネ
ット状材を用いることにより、多量のシロアリを短時間
に一度にシロアリ駆除装置内に誘導することができると
いう利点がある。
【0014】前記ネット状材の内部には、シロアリ用餌
材と糸状菌担体(シロアリの天敵糸状菌の培養担体)と
が配置される。
【0015】シロアリ用餌材としては、松材などからな
る餌木、ボール紙、コルク等が挙げられる。該餌材の形
状は、ネット状材の内部に配置できるものであればよ
く、また、餌材の大きさは、ネット状材の内部に配置で
きるものであれば、特に限定されない。
【0016】さらに、餌材はネット状材の内部にどのよ
うに配置しても良いが、ネット状材内にシロアリを効率
よく誘導する観点から、例えば餌材はネット状材の内壁
に沿って配置されるようにシート状からなり、ネットと
シートやシートの間に糸状菌担体を保持することが好ま
しい。
【0017】また、シロアリには松脂、ロジン、さらに
は道標フェロモン等のフェロモンに誘引されるという習
性があるため、これらの物質を誘引物質として餌材やネ
ットに含有させることが好ましい。
【0018】本発明に用いられる糸状菌担体とは、シロ
アリの天敵糸状菌が通常用いられる公知の坦体に増殖し
てなるものである。
【0019】本発明の駆除の対象となるシロアリとして
は、特に限定されず、例えば、イエシロアリ、ヤマトシ
ロアリ、ダイコクシロアリ、アメリカカンザイシロアリ
等が挙げられ、中でも、天敵糸状菌により致死した時、
他の健全なシロアリによって共食いされたり埋葬行為を
受けるイエシロアリやヤマトシロアリが特に好ましい。
【0020】本発明に用いられる天敵糸状菌は、前記シ
ロアリの体に寄生することによりそのシロアリを死亡さ
せるものであれば特に限定されるものではない。具体的
には、ボーベリア・ブロンニアティ(Beauveria brongn
iartii)、ボーベリア・バッシアナ(Beauveria bassi
ana )、ボーベリア・アモルファ(Beauveria amorpha
)、メタリジウム・アニソプリエ(Metarhizium aniso
pliae)、及びベルチシリウム・レカニー(Verticilliu
m lecanii)が好ましい。中でも、ボーベリア・ブロン
ニアティとボーベリア・バッシアナは、致死率と速効性
に優れており、特に好ましい。これらの糸状菌は、野外
において本菌に寄生され死亡した虫体から分離すること
ができる。
【0021】糸状菌担体の具体例を以下に挙げる。固体
坦体としては、鉱物質粉(ケイ酸、カオリン、活性炭、
ベントナイト、モンモリロナイト、ケイソウ土、タル
ク、クレー、炭酸カルシウム、アルミナ、酸性白土、滑
石粉、ロウ石粉、雲母、珪砂、硫安など)、植物質粉末
(木粉、大豆粉、小麦粉、タバコ粉、でんぷん、セルロ
ースなど)、シクロデキストリンなどの包接化合物等が
挙げられる。これらは粉剤、粒剤、錠剤、ペレット状剤
などの剤型に加工されることが好ましい。また、合成繊
維(ポリエチレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩
化ビニリデン、ポリエステル、ポリプロピレン、ビニロ
ンなど)、動植物繊維又は無機質繊維(セルロース、糊
旨、絹、縞、羊毛、紙、布、不織布、織布、皮革、アル
ミニウムなど)等の坦体も例示される。これらはバンド
剤、シート剤などの剤型に加工されることが好ましい。
【0022】さらに、炭化水素類(流動パラフィン、ワ
セリン、バラフィン等)、シリコン類(ジメチルシロキ
サン、コロイド状シリカ、ベントナイトなど)、アルコ
ール類(エタノール、ステアリルアルコール、ラウリル
アルコールなど)、多価アルコール類(ポリエチレング
リコール、エチレングリコール、グリセリンなど)、カ
ルポン酸類(ラウリン酸、ステアリン酸など)、エステ
ル類(蜜蟻、ラノリンなど)等の坦体も例示される。こ
れらはクリーム状剤等に加工されることが好ましい。
【0023】これらの糸状菌担体のうち、糸状菌の生育
性の良さ、担体自体が誘引餌となること、および自然界
で分解されやすいことから、シート状、粒状又は粉状の
セルロースが好ましい。
【0024】また、前記糸状菌担体の大きさとしては、
前記ネット状材内部に配置することができるものであれ
ば特に限定はない。
【0025】糸状菌担体の製造方法としては、例えば、
シート状である場合、滅菌したパルプシートに、前培養
した糸状菌の培養液とグルコース等の栄養源から培地液
を混合してしみ込ませ、1週間程度固体培養し、その後
乾燥するような方法等が挙げられる。
【0026】その糸状菌担体中の生菌数(菌密度)につ
いては特に限定されないが、105〜109 個/cm2
が好ましく、107 〜109 個/cm2 がより好まし
い。なかでも、ボーベリア・ブロンニアティやボーベリ
ア・バッシアナは生菌数が少ない場合でも高い駆除効果
が得られるので、より駆除性能に優れたシロアリ駆除装
置にすることができる等、種々の面で有用である。尚、
生菌数の測定方法は希釈平板法によって単位面積、単位
容積、又は単位重量当たりの生菌数(菌密度)を測定す
ることができる。
【0027】糸状菌担体は、ネット状材の内部にどのよ
うに配置してもよいが、ネット状材内に入ったシロアリ
を効率よく糸状菌担体に接触させる観点から、餌材とネ
ット状材の内壁との間または餌材のネット状材の中心部
側に配置されていることが好ましい。
【0028】以上の構成を有する本発明のシロアリ駆除
装置は、設置や天敵糸状菌の交換、さらには大量のシロ
アリの一次感染を容易にできるものである。
【0029】本発明のシロアリ駆除方法は、前記シロア
リ駆除装置を地中に埋設することで行なわれる。具体的
には、シロアリ駆除装置を立てた状態で鉛直方向に埋設
する形式、横積みして何本も埋設する形式、シロアリの
加害跡や加害しそうなところに設置する形式等が挙げら
れる。また、シロアリ駆除装置は、地中に完全に埋めら
れていてもよく、その一部が地上に出ていてもよい。
【0030】また、効率よくシロアリの誘導を引き起こ
す、糸状菌の致死力が徐々にではあるが低下する等の観
点から、シロアリが活動しなくなるまで、定期的に糸状
菌担体を交換することが好ましい。例えば、本発明によ
れば、多い場合には、1000個体以上のシロアリがシ
ロアリ駆除装置内に集まるので、2週間位経過すると糸
状菌担体の多くが劣化して感染効果が低下する。その時
点でも、シロアリの活動が観察される場合には、劣化し
た糸状菌担体を新しいものに交換することで、継続して
シロアリを一次感染させることができる。シロアリの活
動が観察されなくなるまで、糸状菌担体を繰り返し交換
することで、発見できていない巣内のシロアリも絶滅さ
せることができる。なお、シロアリが絶滅したことを確
認することは難しいが、蟻道を通って出現したシロアリ
がいなくなり、蟻道が他の虫に占領されたりすると、巣
内も絶滅した可能性がきわめて大きい。
【0031】また、シロアリの誘導効果を持続させる観
点から、餌材も定期的に交換することが好ましい。特に
シロアリは、一度蟻道を形成すると繰り返しその道を通
る習性があるため、餌材を繰り返し交換することで、よ
り多くのシロアリをシロアリ駆除装置内に誘導すること
ができる。
【0032】ここで、一次感染したシロアリは、致死ま
でに3〜7日はかかるため、その間に他の健全なシロア
リとグルーミングなどの情報交換行為をすることにより
にそれらのシロアリに二次感染を引き起こす。シロアリ
が感染致死した後、その死体が適温(20〜28℃、好
ましくは22〜26℃)、高湿度(60%RH以上、好
ましくは80%RH以上)の条件下で3〜7日程度放置
されると、前記死体から天敵糸状菌の菌糸が発生しやす
くなり、それによって、二次感染が引き起こされる可能
性もある。しかし、通常、シロアリの死体は、他の健全
なシロアリにより共食いされたり、土中に埋葬されるた
め、長時間放置されず、この死体から叢生した糸状菌に
よる二次感染の可能性は必ずしも確実ではない。
【0033】しかし、本発明のシロアリ駆除方法によれ
ば、多い場合には1000個体以上のシロアリを一次感
染させることができ、その状態を継続させることが容易
であるため、蟻道や巣を発見することなく、シロアリを
効率的に駆除することができるという利点がある。
【0034】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定さ
れるものではない。
【0035】実験例1 ボーベリア・ブロンニアティを培養した5×5cmのセ
ルロースシートからなる糸状菌担体(ボーベリア・ブロ
ンニアティの生菌数は2.6×108 個/cm 2 )の上
を10分間歩かせたイエシロアリ2個体を、健全な同じ
イエシロアリ18個体と共に含水させたろ紙を敷いた9
0mmシャーレ内に入れ、その後の致死数を調べた。ま
た、1分間歩かせた以外は前記と同様にしてイエシロア
リの致死数を調べた。また、対照として、ボーベリア・
ブロンニアティを培養していないセルロースシートから
なる担体を用いた以外は、前記と同様にしてイエシロア
リの致死数を調べた。以上の結果を、表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】表1の結果より、歩行時間が10分間の場
合、14日以内に全てのイエシロアリが致死したことか
ら、ボーベリア・ブロンニアティの一次感染には10分
以上あれば、二次感染は十分であることがわかる。
【0038】実験例2 ボーベリア・バッシアナを培養した5×5cmのセルロ
ースシートからなる糸状菌担体(ボーベリア・バッシア
ナの生菌数は2.4×108 個/cm2 )の上を10分
間歩かせたイエシロアリ2個体を、健全な同じイエシロ
アリ18個体と共に含水させたろ紙を敷いた90mmシ
ャーレ内に入れ、その後の致死数を調べた。また、30
分間歩かせた以外は、前記と同様にしてイエシロアリの
致死数を調べた。また、対照として、ボーベリア・バッ
シアナを培養していないセルロースシートからなる担体
を用いた以外は、前記と同様にしてイエシロアリの致死
数を調べた。以上の結果を、表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】表2の結果より、歩行時間が10分間の場
合、7日以内に全てのイエシロアリが致死し、30分間
の場合と同様の結果であることから、ボーベリア・バッ
シアナの一次感染には10分以上であれば、二次感染は
十分であることがわかる。
【0041】実験例3 ボーベリア・ブロンニアティを培養した5×5cmのセ
ルロースシートからなる糸状菌担体(ボーベリア・ブロ
ンニアティの生菌数は2.6×108 個/cm 2 )の上
を10分間歩かせたイエシロアリ20個体を、健全な同
じイエシロアリ180個体と共に含水させたろ紙を敷い
た90mmシャーレ内に入れ、その後の致死数を調べた
(一次感染率10%)。また、一次感染個体を10個体
および健全なイエシロアリ190個体を用いた以外は前
記と同様にしてその後の致死数を調べた(一次感染率5
%)。また、対照として、ボーベリア・ブロンニアティ
を培養していないセルロースシートからなる担体を用
い、イエシロアリ20個体に一次感染させた以外は、前
記と同様にしてイエシロアリの致死数を調べた。以上の
結果を、表3に示す。なお、生存数が多い場合、最終日
以外は槻算した。
【0042】
【表3】
【0043】表3の結果より、一次感染率10%の場合
では、14日以内にほぼ全てのイエシロアリが致死した
が、一次感染率5%の場合では、一次感染させたシロア
リのほぼ10倍数のシロアリしか致死せず、完全致死に
は至らなかった。また、この場合、シロアリの死体は、
食されたろ紙片で積層される等して、14日以後には全
く死体は見られなかった。
【0044】実験例4 ボーベリア・バッシアナを培養した5×5cmのセルロ
ースシートからなる糸状菌担体(ボーベリア・バッシア
ナの生菌数は2.4×108 個/cm2 )の上を10分
間歩かせたイエシロアリ20個体を、健全な同じイエシ
ロアリ180個体と共に含水させたろ紙を敷いた90m
mシャーレ内に入れ、その後の致死数を調べた(一次感
染率10%)。また、一次感染個体を4個体および健全
なイエシロアリ196個体を用いた以外は前記と同様に
してその後の致死数を調べた(一次感染率2%)。ま
た、対照として、ボーベリア・バッシアナを培養してい
ないセルロースシートからなる担体を用い、イエシロア
リ20個体に一次感染させた以外は、前記と同様にして
イエシロアリの致死数を調べた。以上の結果を、表4に
示す。なお、生存数が多い場合、最終日以外は概算し
た。
【0045】
【表4】
【0046】表4の結果より、一次感染率10%の場合
では、14日以内にほぼ全てのイエシロアリが致死した
が、一次感染率2%の場合では一次感染させたシロアリ
のほぼ10倍数のシロアリしか致死せず、完全致死には
至らなかった。また、この場合、14日日にはシロアリ
の死体は見られなかった。
【0047】実験例5 ボーベリア・バッシアナを培養した5×5cmのセルロ
ースシートからなる糸状菌担体(ボーベリア・バッシア
ナの生菌数は2.4×108 個/cm2 )の上を10分
間歩かせたヤマトシロアリ20個体を、健全な同じヤマ
トシロアリ180個体と共に含水させたろ紙を敷いた9
0mmシャーレ内に入れ、その後の致死数を調べた(一
次感染率10%)。また、一次感染個体を10個体およ
び健全なヤマトシロアリ190個体を用いた以外は前記
と同様にしてその後の致死数を調べた(一次感染率5
%)。また、対照として、ボーベリア・バッシアナを培
養していないセルロースシートからなる担体を用い、ヤ
マトシロアリ20個体に一次感染させた以外は、前記と
同様にしてヤマトシロアリの致死数を調べた。以上の結
果を、表5に示す。なお、生存数が多い場合、最終日以
外は概算した。
【0048】
【表5】
【0049】表5の結果より、一次感染率10%の場合
では、14日以内にほぼ全てのヤマトシロアリが致死し
たが、一次感染率5%の場合では一次感染させたシロア
リのほぼ10倍数のシロアリしか致死せず、完全致死に
は至らなかった。この場合、14日目におけるシロアリ
の死体はほとんど見られなかった。
【0050】実施例1 300mm×500mm、高さ300mmのプラスチッ
ク容器を用意し、底に500mlの水を入れ、深さ25
0mmまで砂を入れた。そこに10mm角の松材5個と
ともに10000個体のイエシロアリを入れ、蓋をして
1週間放置した。シロアリが砂中に定着するのを確認し
て、図1に示すような孔径2mmの円筒形プラスチック
製ネット(シロアリ駆除装置、内径50mm、長さ30
0mm)を中央の砂中に立てた状態で埋め込んだ。図2
に示すように、ネット内壁全面にネットの円弧に沿って
厚さ1mmのコルクシート1を配置し、幅25mm長さ
200mmのセルロースシートからなる培養シート2
(ボーベリア・ブロンニアティの生菌数は2.4×10
8 個/cm2 )3枚をそのネットとコルクシートの問に
挟み込んだ。そして、約1ケ月後、生存するシロアリの
数を測定し、死亡数を求めた。
【0051】比較例1 円筒形プラスチックネットの上からポリエチレンテレフ
タレートのシートを貼りつけ、ランダムにφ2mmの穴
を12個開けた以外は、実施例1と同様に行った。以上
の結果を表6に示す。なお、最終日以外は目視による概
算予想である。
【0052】
【表6】
【0053】表6の結果より、実施例1では、28日以
内にほぼ全てのイエシロアリが致死した。
【0054】実施例2 図3に示すように、イエシロアリの被害を受けた廃屋3
(約120m2 、2階建家屋)周りの敷地内の地下30
ケ所(図中、4)に実施例1で用いたのと同様のコルク
シートとボーベリア・ブロンニアティの培養シート(生
菌数は1.6×108 個/cm2 )を配置したプラスチ
ック製ネットを埋め込んで上からプラスチックカップで
蓋をした。なお、図中、Nは磁北を示す。
【0055】2週間後、それらのネット内を調べた結
果、家屋北西のネットの4ケ所から、死体とは別に、1
20個体(図中、4−a)、1034個体(図中、4−
b)、415個体(図中、4−c)、621個体(図
中、4−d)のシロアリが発見された。コルクシート
は、全面の1割程度が食害されていた。そこで、そのネ
ット内に、さらに、新しい25×300mmのボーベリ
ア・ブロンニアティを培養したのセルロースシート(生
菌数は1.6×108 個/cm2 )を入れた。
【0056】その2週間後、再び30ケ所のネット内を
調べた結果、前回シロアリが発見された4ケ所からは、
シロアリの死体のみしか発見されなかったが、その西隣
1ケ所(図中、4−e)から183個体のシロアリが発
見された。そこで、この1ケ所に上記同様シートを処理
し、先の4ケ所も新しいシートに取り替えた。
【0057】さらにその2週間後、ネット内を調べた結
果、死体は発見されたものの生きたシロアリは発見され
なかった。その後、1ケ月ごと5ケ月間全ネット内を調
べたが、生きたシロアリは勿論、死体も発見されること
はなかった。また、その年は、例年のように、その家屋
から羽蟻が飛翔することはなかった。
【0058】
【発明の効果】本発明のシロアリ駆除装置は、設置、天
敵糸状菌の交換、さらに大量のシロアリの一次感染が容
易であるので、かかる装置を用いることで、蟻道や巣を
発見することなく、シロアリを効率的に駆除することが
できるという効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1および2で使用したシロアリ駆除装置
の全体概略図を示す。
【図2】実施例1および2で使用したシロアリ駆除装置
の上部端面概略図を示す。
【図3】実施例2を行なった実験場の概略図を示す。
【符号の説明】
1 コルクシート 2 培養シート 3 廃屋 4 シロアリ駆除装置を埋設した場所
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2B121 AA16 BA12 BA36 BB27 BB30 CC12 CC39 EA05 EA22 EA25 FA12 FA16 4B033 NA03 NA13 NB45 NB63 NB68 NC04 NC13 ND20 4H011 AC03 BA01 BA06 BA08 BB21 BC19 DA07 DD05 DH10

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シロアリが通過可能な中空の円筒状また
    は角状のネット状材の内部にシロアリ用餌材とシロアリ
    の天敵糸状菌の培養担体とが配置されてなるシロアリ駆
    除装置。
  2. 【請求項2】 ネット状材が長さ15cm以上且つ内径
    30mm以上の円筒状、または内径30mm以上の円筒
    の挿入可能な角状である、請求項1記載のシロアリ駆除
    装置。
  3. 【請求項3】 餌材がネット状材の内壁に沿って配置さ
    れ、餌材とネット状材の内壁との間または餌材のネット
    状材の中心部側に天敵糸状菌の培養担体が配置されてな
    る請求項1または2記載のシロアリ駆除装置。
  4. 【請求項4】 餌材が餌木、ボール紙およびコルクから
    なる群より選ばれた1種以上である請求項1〜3いずれ
    か記載のシロアリ駆除装置。
  5. 【請求項5】 天敵糸状菌がボーベリア・ブロンニアテ
    ィ(Beauveria brongniartii)、ボーベリア・バッシア
    ナ(Beauveria bassiana)、ボーベリア・アモルファ
    (Beauveria amorpha )、メタリジウム・アニソプリエ
    (Metarhiziumanisopliae)、及びベルチシリウム・レ
    カニー(Verticillium lecanii)からなる群より選ばれ
    た1種以上の糸状菌である請求項1〜4いずれか記載の
    シロアリ駆除装置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5いずれか記載のシロアリ駆
    除装置を地中に埋設するシロアリ駆除方法。
  7. 【請求項7】 シロアリが活動しなくなるまで、定期的
    にシロアリの天敵糸状菌の培養担体を交換する請求項6
    記載のシロアリ駆除方法。
  8. 【請求項8】 シロアリがイエシロアリ(Coptotermes
    formosanus)またはヤマトシロアリ(Reticulitermes s
    peratus )である請求項6または7記載のシロアリ駆除
    方法。
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