JP2001323945A - 等速ジョイント - Google Patents

等速ジョイント

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JP2001323945A
JP2001323945A JP2000141979A JP2000141979A JP2001323945A JP 2001323945 A JP2001323945 A JP 2001323945A JP 2000141979 A JP2000141979 A JP 2000141979A JP 2000141979 A JP2000141979 A JP 2000141979A JP 2001323945 A JP2001323945 A JP 2001323945A
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cage
constant velocity
cut portion
velocity joint
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JP2000141979A
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Inventor
Kazuhiko Hozumi
和彦 穂積
Keisuke Sone
啓助 曽根
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NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固定式等速ジョイントにおける外輪、ケージ
の強度アップ。 【解決手段】 外輪2の大端面26の外輪中心点からの
位置A3を後退させることなく長めにしてケージ5のポ
ケット56へのボール組入れ角α2を小さく設定した固
定式等速ジョイントで、外輪2の全周に環状のボール組
入れ用カット部28a’を焼き入れ処理してから所定サ
イズに切削加工して形成することで、カット部28a’
を最適サイズ、高品質表面で形成して、ボール組入れ角
α2を最大限近く小さくし、ケージ5の強度と外輪2の
高作動角時の強度を増大させる。同様のことが外輪2の
トラック溝24の入口底部だけに形成したボール組入れ
用溝状カット部や、外輪2の大端面26側内周のケージ
組入れ用円筒状カット部においても行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車や産業機
械の動力伝達系で使用される駆動側の回転軸と従動側の
回転軸が任意の作動角をとっても円滑にトルク伝達を行
えるようにした固定型の等速ジョイントに関する。
【0002】
【従来の技術】固定型等速ジョイントの基本構造を図5
に示す。この等速ジョイント1は、外輪2の球状内面2
2にトラック溝24を形成し、内輪3の球状外面32に
トラック溝34を設け、外輪2のトラック溝24と内輪
3のトラック溝34との間にボール4を組み込み、外輪
2と内輪3との間に組み込まれたケージ5にボール4を
収容するポケット56を設けている。
【0003】外輪2は、カップ状のマウス部2aと、連
結すべき二軸の回転軸の一方と結合するためのステム部
2bを有する。マウス部2a内の球状内面22の円周方
向等間隔位置に、外輪2の軸方向に延びた複数のトラッ
ク溝24が形成される。トラック溝24の縦断面形状
は、外輪2の軸線X上に曲率中心Oaをもった円弧であ
る。トラック溝24の外端はマウス部2aの大端面26
に開口している。
【0004】内輪3は、連結すべき二軸の回転軸の他方
と、シャフト36(図6参照)とスプライン結合され
る。内輪3の球状外面32に、外輪2のトラック溝24
と同数で内輪3の軸方向に延びたトラック溝34が形成
される。トラック溝34の縦断面形状は、内輪3の軸線
Y上に曲率中心Obをもった円弧である。
【0005】内外輪3,2のトラック溝34,24は対
をなして、各トラック溝34,24の間にボール4が組
み込まれて内外輪間でトルクの伝達が行われる。各トラ
ック溝24,34の横断面形状はゴシックアーチ状で、
ボール4とアンギュラコンタクトをなす。
【0006】図5(A)に示すように内外輪3,2のト
ラック溝34,24の曲率中心Ob,Oaは、ジョイン
ト中心O(外輪の球状内面と内輪の球状外面の曲率中心
ででもある)から左右等距離にオフセットしている。し
たがって、各トラック溝34,24で構成されるボール
トラックは、軸方向の一方から他方に向かって徐々に広
がったくさび状となっている。図6に示すように等速ジ
ョイント1が作動角θをとった状態では、くさび状のボ
ールトラックの狭い方から広い方へ向けてボール4を移
動させようとする軸力がボール4に作用する。この軸力
でボール4は作動角θの二等分線に垂直な平面Pに配向
せしめられて、等速ジョイント1で連結された二軸間の
等速性が確保される。
【0007】ケージ5は外輪2と内輪3の間に介在し
て、全てのボール4を常に前記平面Pに保持する。ケー
ジ5は、外輪2の球状内面22に球面接触する球状外面
52と、内輪3の球状外面32と接する球状内面54を
備え、ケージ5の円周方向等間隔位置にボール4を収容
するためのポケット56を有する。
【0008】ケージ5の軸方向におけるポケット56の
寸法は、通常、ボール4に対して適度の締め代を与える
程度とされる。ポケット56の周方向長さは、図7に示
すように外輪2とケージ5とを相対的に傾斜させ、ポケ
ット56を外輪2の開口端から外部に臨ませたボール組
込み時におけるボール4の周方向移動量を考慮して、そ
のボール4が干渉しない程度の長さとされる。
【0009】以上の固定型等速ジョイント1の組立は、
ケージ5に内輪3を組付け、内輪付きケージ5を外輪2
に組込むことで行われる。まず、図8に示すように内輪
3とケージ5を90°傾け、その状態でケージ5内に内
輪3を挿入した後、ケージ5の軸心と内輪3の軸心が一
致する方向に両部品を相対的に90°回転させてケージ
5内に内輪3を組み込む。次に、図9に示すように、ケ
ージ付き内輪3と外輪2を相対的に90°傾け、さら
に、図10(B)に示すようにケージ5の180°間隔
で対向する一対のポケット56を外輪2の隣接するトラ
ック溝24の間の円筒状カット部28cに嵌挿して、外
輪2内に内輪付きケージ5を挿入した後、外輪2と内輪
3の軸心が一致する方向に両部品を90°傾けて外輪2
内にケージ付き内輪3を組み込む。
【0010】また、外輪2内にケージ付き内輪3を組み
込んだ後、外輪2に対してケージ5及び内輪3を傾け、
ケージ5のポケット56の1つを外輪2の開口端から外
側に臨ませて、そのポケット56にボール4を挿入す
る。
【0011】このボール挿入は、図11(A)に示すよ
うにポケット56のエッジEを中心とした半径Rの回転
軌跡で行われる。同様にして他の各ポケット56にボー
ル4を順に挿入する。図7、図11のボール組込時に外
輪2に対するケージ5の傾き角度α1が最大となり、こ
の角度α1がボール組入れ角である。このボール組入れ
角α1が大きくなるほど、ケージ5のポケット56内で
のボール4の相対移動量が大きくなり、窓幅を大きく取
る必要があるため、ケージ5の隣接するポケット56間
の柱部58の幅が小さくなり、ケージ5の断面積〔図5
(B)の柱部58〕が小さくなる。
【0012】上記のような固定型等速ジョイントを例え
ば前輪駆動車の駆動軸に使用する場合、デフ側に摺動型
等速ジョイントを配置し、車輪側に前記固定型等速ジョ
イントを配置して両ジョイントをシャフトで連結してい
る。この場合の固定型等速ジョイントは、ハンドルのス
テアリングの動きと連動して車輪と同じ動きをするため
に、高作動角で作動する必要がある。
【0013】このように高作動角で回転、トルク伝達す
るため、固定型等速ジョイントは十分な剛性と強度、耐
久性が要求される。そのため、外輪2や内輪3,ボール
4,ケージ5は、例えば高周波焼入れ、浸炭焼入れ等の
熱処理により硬化させて使用される。通常、高角作動時
において、ケージ5の強化が必要となってくる。ケージ
5は、高角になるにつれて外輪2の球状内面22,内輪
3の球状外面32からオーバーハングする部分が増加
し、かつ、ボール4の軸力が増加するために急激に強度
が低下する。
【0014】また、自動車の燃費向上の対策として軽量
化が有力な手段であることから、等速ジョイントも軽
量、コンパクト化が要望されている。上記固定型等速ジ
ョイント1の軽量、コンパクト化にあたっては、高角作
動時の最弱部品であるケージ5の高強度化が必須であ
る。その対策として、材料の高強度化や、熱処理による
高強度化等が提案されているが、いずれもコストの増加
を伴う。また、ケージ5の肉厚を増やせば強度アップさ
れるが、内外輪3,2のトラック溝深さが減少してトラ
ックの負荷容量が低下し、耐久性が低下する不具合が発
生する。また、ケージ5の強化が必要な部位はポケット
56と、ポケット間の柱部58であることから、柱部5
8の幅を増加させれば強度は向上する。このためにはボ
ール径を小さくする、ボールのPCDを大きくする等が
考えられるが、前者はジョイントの耐久性を低下させ、
後者はジョイント外径を大きくする不具合がある。
【0015】以上のことから外輪2とケージ5につい
て、コスト的に有利な強度アップのための構造改変が検
討されている。図11と図12は、固定型等速ジョイン
ト1の基本的な外輪構造を示す。図11は外輪2のトラ
ック溝24の入口部分を示し、この入口部は最大作動角
θをとったときにシャフト36により規定される円錐面
27で切られており、大端面26のジョイント中心Oか
らの位置A1はトラック溝切り口断面を含む円錐面27
の外にあり、この円錐面27の位置からボール4の組込
みのためのボール組入れ角α1が設定されている。図1
2も外輪2のトラック溝24の入口部分を示し、この場
合は図11よりボール組入れ角α2が小さく(α1
α2)なるように、円錐面27のトラック溝切り口断面
の途中の位置A 2に大端面26を設定している。
【0016】図11の場合、外輪2の大端面26の位置
1が図12より大きくて、高角作動時の外輪強度が十
分に確保されるが、ボール組入れ角α1が大きくなって
ケージ5の柱部58の幅が小さくなってケージ強度の確
保が難しくなる。逆に、図12の場合は、ボール組入れ
角α2が小さくできる分、ケージ5の柱部58の幅が増
大されてケージ強度を確保し易いが、外輪2の大端面2
6が図11より後退した位置A2となって、高作動角時
の外輪強度が低下することになる。
【0017】図11と図12の問題点を解決する固定型
等速ジョイントとして、本出願人は先に図13、図14
に示すように外輪2の大端面26の位置A3を後退させ
ることなくボール組入れ角α2を小さく設定し得た固定
型等速ジョイントを提案した(特開平11-10125
6号公報)。
【0018】図13は、外輪2の大端面26の位置A3
を図12より延長(A3>A2)すると共に、外輪2の全
周に亘り環状のカット部28aを設けてボール4が組み
込めるようにしている。カット部28aは、図13
(A)の斜線部分で示されるようにトラック溝24の入
口の底部近辺から外輪2の全周に亘る環状の略円錐面で
あり、このカット部28aのカット代に相当する分だけ
ボール組入れ角α2が小さくでき、ケージ5の強度が増
大すると共に、外輪2の高作動角時の強度も十分に確保
される。
【0019】図14は、図13と同様に外輪2の大端面
26の位置A3を図12より延長(A3>A2)すると共
に、トラック溝24の入口部の底部のみに、ボール径よ
り若干大きいボール組込み用溝状カット部28bを形成
している。この場合も、カット部28bのカット代に相
当する分だけボール組入れ角α2が小さくでき、ケージ
5の強度が増大すると共に、外輪2の高作動角時の強度
も十分に確保される。また、図14の場合は、図13の
ように外輪2の全周に亘ってカットするのに比べて、外
輪2のトラック溝底部のみをカットするだけであるの
で、外輪2のより確実な強度アップが図れる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】上記のような固定型等
速ジョイントにおける外輪2の製造は、炭素鋼や肌焼鋼
の鍛造、機械加工、切削加工、焼き入れの各工程を経
る。図13や図14に示す外輪2においては、その最終
的な工程でカット部28a、28bを切削加工してから
焼き入れの熱処理をして、カット部28a、28bの表
面を焼き入れ面としていた。このような製造過程で形成
されたカット部28a、28bについては、次なる改善
点が見出された。
【0021】すなわち、外輪2の大端面26にカット部
28a、28bを切削加工し、その加工面を焼き入れし
て強度アップしているが、その焼き入れ時にオーバーヒ
ートによる結晶粒の粗大化、微少な焼き割れ等による表
面異常層が発生する等の不安定要因が、外輪自体の強度
低下を引き起こす可能性がある。また、焼き入れ時の熱
変形量を考慮して、焼き入れ前の切削加工時にカット部
28a、28bを必要以上に大きくカットする必要があ
り、この大きめのカットでトラック長さの余裕量及び球
面が減少し、その分、外輪自体の強度、耐久性が低下す
る可能性もある。
【0022】また、図13と図14の外輪2のカット部
28a,28bを切削して焼き入れする製造と同様に、
図10に示すようにケージ組込みのための外輪2の円筒
状カット部28cも切削した後に焼き入れすることによ
り強化している。この円筒状カット部28cにおいて
も、前述の場合と同様、表面異常層の不安定要因による
強度低下や、必要以上に大きくカットすることによる強
度低下が発生する可能性がある。
【0023】この発明の目的とするところは、外輪の大
端面側に必要以上にカットすることなく、かつ、機械的
強度を安定させてカット部を形成した固定型等速ジョイ
ントを提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】この発明は、複数のトラ
ック溝が形成された球状内面を有する外輪と、複数のト
ラック溝が形成された球状外面を有する内輪と、前記内
外輪のトラック溝間に配置された複数のボールと、前記
外輪の球状内面と前記内輪の球状外面との間に介在し、
前記ボールを収容する複数のポケットを有するケージと
を具備し、前記外輪の大端面に開口したトラック溝の端
部にカット部を設け、このカット部を焼き入れ後に切削
した表面としたことを特徴とする(請求項1)。
【0025】以上のように外輪のカット部を焼き入れし
た後に切削加工することで、焼き入れによる表面異常層
が切削加工で除去することができて強度が増し、また、
焼き入れによる熱処理変形を考慮する必要が無くなっ
て、焼き入れ後の切削加工でカット部が必要サイズで正
確に形成される。
【0026】前記カット部の具体的形態としては、外輪
の開口端部内径全周に亘ってボール組込みのための環状
のカット部(請求項2)や、外輪のトラック溝の底部の
みに形成されるボール組込みのためのカット部(請求項
3)がある。
【0027】溝状のカット部をトラック溝の底部のみに
設ける場合は、その断面形状は円形又は楕円形とし(請
求項4)、その軸方向断面形状がストレート又は円弧と
する(請求項5)のが望ましい。
【0028】また、カット部は、外輪の球状内面の開口
部にケージを組み込むための円筒状のカット部でもよい
(請求項6)。
【0029】さらに、外輪と内輪に設けたトラック溝を
8本とする(請求項7)ことが実用上に望ましい。つま
り、上記カット形状は、トラック溝を8本にして、8個
のボールを使用した等速ジョイントにおいて有効な形状
で、これにより従来の6個ボールに対して、コンパクト
で軽量なジョイントが実現できる。なお、6個ボールへ
の本カット形状の適用は、現状使用用途ではオーバース
ペックとなり、特に必要な形状ではない。したがって、
この発明を本カット形状を有する8個ボールへ適用する
ことで、前記利点が得られ、更なるコンパクト軽量化が
図れる。
【0030】また、外輪のトラック溝と球状内面の焼き
入れを高周波誘導加熱にすることが望ましい(請求項
8)。つまり、焼き入れは高周波誘導加熱や浸炭焼き入
れがあるが、浸炭焼き入れは脱炭、焼き割れ、結晶粒粗
大化に対する後処理策の必要性があるが、高周波誘導加
熱の焼き入れは品質的に安定させることが容易である。
【0031】
【発明の実施の形態】図5の固定型等速ジョイント1に
適用した実施形態を図1乃至図4を参照して説明する。
尚、全図を通じて同一又は相当部分には同一参照符号を
付して重複説明を省略する。
【0032】図1に示される実施形態は、図13と基本
構造、サイズが同じ外輪2とケージ5を示している。つ
まり、外輪2の大端面26の位置A3を後退させること
なくボール組入れ角α2を小さく設定した固定型等速ジ
ョイントで、外輪2の大端面26の位置A3が図12の
位置A2よりも延長され、外輪2の全周に環状のカット
部28a’を形成してボール4が組み込めるようにして
いる。カット部28a’は、トラック溝24の入口の底
部近辺から外輪2の全周に亘る環状の略円錐面であり、
このカット部28a’のカット代に相当する分だけボー
ル組入れ角α2が小さくでき、ケージ5の強度が増大す
ると共に、外輪2の高作動角時の強度が増大する。
【0033】図1に示す実施形態は、ボール4を組み込
むためのカット部28a’を、焼き入れした後に切削加
工して表面としたものであり、図3に示す実施形態は、
ケージ組込みのための円筒状カット部28c’を焼き入
れした後に切削加工して表面としたものである。図4
(A)に示すように外輪2を炭素鋼や肌焼鋼の鍛造や機
械加工で製造して、大端面全周カット部28a’と円筒
状カット部28c’の後の切削量を見越したサイズで形
成してから、この両カット部28a’、28c’とその
周辺のトラック溝24と球状内面22を焼き入れ処理す
る。その後、図4(B)に示すように両カット部28
a’、28c’を所定サイズに切削加工する。なお、両
カット部28a’、28c’では、前記切削加工後にお
いても焼き入れ処理時の熱処理硬化層29a,29bが
適正量残存するように焼き入れる。
【0034】前記焼き入れ処理は、高周波誘導加熱によ
る焼き入れが品質的に安定することから望ましい。ま
た、焼き入れ処理は、大端面全周カット部28a’だ
け、或いは、円筒状カット部28c’だけに行うように
してもよいが、同熱処理工程で外輪2のトラック溝24
と球状内面22も同時に焼き入れすれば、それらの表面
に熱処理硬化層29a、29bを形成して外輪2のさら
なる強度アップ、高品質化を図ることが可能である。こ
のような焼き入れ時にカット部28a’、28c’にオ
ーバーヒートによる結晶粒の粗大化、微少な焼き割れ等
による表面異常層が発生しても、この表面異常層が焼き
入れ後の切削加工で除去されるので、表面異常層による
強度低下の可能性が無くなり、また、焼き入れが表面異
常層の発生をあまり考慮すること無くして容易に実行で
きる。
【0035】焼き入れ後の切削加工は、焼き入れ鋼切削
工具を使って行われ、切削された各カット部28a’、
28c’の表面は、焼き入れによる異常層の無い高精度
仕上げされた表面となる。また、各カット部28a’、
28c’が切削加工で所定サイズに仕上げられた面であ
り、必要以上にカットされた面でないために、外輪2の
大端面26の肉厚を低減させることなく、外輪2の高作
動角時の強度を充分に確保できる。特に、大端面全周カ
ット部28a’においては、トラック長さの余裕量及び
球面を減少させることが無く、トラック溝24を所望の
深さにカットしたため、外輪2の強度、耐久性を向上さ
せ得る。
【0036】図2に示される実施形態は、図14と同様
に外輪2の大端面26の位置A3を後退させることなく
ボール組入れ角α2を小さく設定した固定型等速ジョイ
ントで、外輪2の大端面26の位置A3を図12より延
長(A3>A2)し、トラック溝24の入口部の底部のみ
に、ボール径より若干大きいサイズのボール組込みのた
めの溝状のカット部28b’を焼き入れした後に切削加
工して形成する。この場合もカット部28b’のカット
代に相当する分だけボール組入れ角α2が小さくでき、
ケージ5の強度が増大すると共に、外輪2の高作動角時
の強度が大きく確保される。
【0037】このカット部28b’も、図1の実施形態
と同様に製作される。つまり、外輪2を炭素鋼や肌焼鋼
の鍛造や機械加工で製造して、トラック溝24の入口部
にカット部28b’を後の切削量を見越したサイズで形
成してから、カット部28b’とその周辺のトラック溝
24と球状内面22を焼き入れ処理し、その後、所定サ
イズに切削加工する。カット部28b’の焼き入れ処理
も、図1の実施形態と同様に高周波誘導加熱による焼き
入れで行われる。この焼き入れ時にカット部28b’に
オーバーヒートによる結晶粒の粗大化、微少な焼き割れ
等による表面異常層が発生しても、この表面異常層が切
削加工により除去されるので、表面異常層による強度低
下の可能性が無くなる。
【0038】カット部28b’の表面は、焼き入れによ
る異常層の無い高精度仕上げされた表面であると共に、
切削加工で所定サイズに仕上げられた面であり、必要以
上にカットされた面ではない。したがって、この場合も
外輪2の大端面26の肉厚を低減させることなく、外輪
2の高作動角時の強度を大きく確保し、トラック溝24
に必要以上に深くカットされることがないので、トラッ
ク長さの余裕量及び球面を減少させることが無くて、外
輪2の強度、耐久性を向上させる。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、外輪のボール、ケージ
組入れ用カット部が焼き入れ後に切削された表面を有す
る形状のため、焼き入れによる表面異常層があっても切
削加工で除去され、表面の精度、品質が改善されて外輪
の強度アップが図れる。また、焼き入れ後の切削加工で
熱処理変形を考慮する必要が皆無となって切削加工が技
術的に容易かつ高精度で行え、さらに、カット部を形成
する際に必要以上のカットが無くて外輪のトラック長さ
及び球面が大きく確保できて、強度と耐久性の改善が図
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は実施の形態を示す正面図、(B)は縦
断面図である。
【図2】(A)は別の実施の形態を示す正面図、(B)
は縦断面図である。
【図3】さらに別の実施の形態を示す縦断面図である。
【図4】(A)は図1と図3の実施の形態の切削加工前
の縦断面図、(B)は切削加工後の縦断面図である。
【図5】(A)は固定式等速ジョイントの縦断面図、
(B)はB−B断面図である。
【図6】最大作動角θをとった状態の等速ジョイントの
縦断面図である。
【図7】ボール組込み過程を示す縦断面図である。
【図8】内輪とケージの組込み過程を示す縦断面図であ
る。
【図9】ケージ付き内輪を外輪に組込む過程を示す縦断
面図である。
【図10】(A)は外輪の縦断面図、(B)は内輪組込
み時の外輪の正面図である。
【図11】(A)は外輪の縦断面図、(B)は外輪大端
面の正面図である。
【図12】(A)は外輪の縦断面図、(B)は外輪大端
面の正面図である。
【図13】(A)は別の外輪大端面の正面図、(B)は
縦断面図である。
【図14】(A)は別の外輪大端面の正面図、(B)は
縦断面図である。
【符号の説明】
1 等速ジョイント 2 外輪 3 内輪 4 ボール 5 ケージ 22 球状内面 24 トラック溝 26 大端面 28a’ 環状カット部 28b’ 溝状カット部 28c’ 円筒状カット部 32 球状外面 34 トラック溝 56 ポケット θ 作動角 α ボール組入れ角

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のトラック溝が形成された球状内面
    を有する外輪と、複数のトラック溝が形成された球状外
    面を有する内輪と、前記内外輪のトラック溝間に配置さ
    れた複数のボールと、前記外輪の球状内面と前記内輪の
    球状外面との間に介在し、前記ボールを収容する複数の
    ポケットを有するケージとを具備し、前記外輪の大端面
    に開口したトラック溝の端部にカット部を設け、このカ
    ット部を焼き入れ後に切削した表面としたことを特徴と
    する等速ジョイント。
  2. 【請求項2】 前記外輪の開口端部内径全周に亘ってボ
    ール組込みのための環状のカット部を設けたことを特徴
    とする請求項1記載の等速ジョイント。
  3. 【請求項3】 前記外輪のトラック溝の底部のみにボー
    ル組込みのためのカット部を設けたことを特徴とする請
    求項1記載の等速ジョイント。
  4. 【請求項4】 前記カット部の断面形状が円形又は楕円
    形であることを特徴とする請求項3記載の等速ジョイン
    ト。
  5. 【請求項5】 前記カット部の軸方向断面形状が、スト
    レート又は円弧であることを特徴とする請求項2乃至4
    のいずれかに記載の等速ジョイント。
  6. 【請求項6】 前記外輪の球状内面の開口部にケージを
    組み込むための円筒状のカット部を設けたことを特徴と
    する請求項1乃至5のいずれかに記載の等速ジョイン
    ト。
  7. 【請求項7】 前記外輪と内輪に設けたトラック溝を8
    本としたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに
    記載の等速ジョイント。
  8. 【請求項8】 前記外輪のトラック溝と球状内面の焼き
    入れが高周波誘導加熱であることを特徴とする請求項1
    乃至7のいずれかに記載の等速ジョイント。
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