JP2001322346A - インクジェットプリント方法 - Google Patents

インクジェットプリント方法

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JP2001322346A JP2001069230A JP2001069230A JP2001322346A JP 2001322346 A JP2001322346 A JP 2001322346A JP 2001069230 A JP2001069230 A JP 2001069230A JP 2001069230 A JP2001069230 A JP 2001069230A JP 2001322346 A JP2001322346 A JP 2001322346A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 顔料インクを用いたインクジェット記録方法
によって、定着性に優れ、且つ高品位の画像を形成する
方法を提供する。 【解決手段】 自己分散型である第1の顔料と、第1の
顔料の有する極性基と同極性の高分子分散剤及びノニオ
ン性高分子分散剤の少なくとも一方とともに配合されて
いることで分散している第2の顔料との両方を水性媒体
中に含む混合インク、あるいは、これらの第1及び第2
の顔料をそれぞれ個々に含む2種のインクのセットと、
これらのインクと反応する処理液とを用意し、プリント
媒体上の処理液を付与した領域に、処理液と、混合イン
クまたはインクセットが液体状態で接する様にインクジ
ェット法によりこれらのいずれかを付与する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットプ
リント方法に関し、詳しくは色材を含むインクおよびこ
のインク中の色剤を不溶化させる液体(以下、処理液と
呼称する)を用いてプリント用紙、OHP用紙等のプリ
ント媒体に文字、画像等のプリントを行うインクジェッ
トプリント方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリント方式は、低騒
音、低ランニングコスト、高速プリントが可能、装置の
小型化が容易、カラー化が容易である等の種々の利点を
有し、プリンタや複写機等において広く利用されている
方式である。このようなプリンタ等では、一般に、吐出
特性、定着性等のプリント特性やプリント画像のにじみ
や光学反射濃度、発色性等のプリント品位などの観点か
ら用いるインクが選択される。ところで、インクは、そ
の含有する色材により、染料インクと顔料インクの二種
類に大別されることは広く知られたところである。
【0003】このうち顔料インクは、染料インクに比べ
て耐水性、耐光性に優れ、また、鮮明な文字品位を可能
とする等の利点を有している。その一方で、顔料インク
は染料インクと比較してプリント媒体への定着に時間が
かかったり、定着後の画像の耐擦過性も十分でない場合
があり、また、1吐出動作によってノズルから吐出され
るインクによってプリント媒体上に形成されるインクド
ットのサイズが小さくなる傾向が見られる。即ち、顔料
インクに含まれる顔料は、通常、主に、高分子分散剤の
電気的反発力等を利用して、顔料粒子の凝集をもたらす
顔料粒子間に作用する分子間力に打ち勝たせてインク中
に安定に分散させているものである。従って、インク中
には顔料の量に応じて高分子分散剤を添加することが好
ましい。このようなインクを普通紙上にインクジェット
記録法を用いて印字すると、水分等のインクの溶媒の紙
への浸透、及び空気中への蒸発により顔料同士が凝集す
る。この際、紙上でのインクの挙動としては、インク中
に含まれる高分子分散剤の量が多い程、インクの凝集力
が強くなる。その為にインクジェットヘッドから吐出さ
れた一定の体積を有するインクによりプリント媒体上に
形成されるインクドットの径は小さくなり、また、紙に
衝突した際の歪んだ形状に近いままのドット形状とな
る。よって画像を形成するのに十分な記録濃度を有し、
かつ白すじ等の発生がないような記録に必要なドット径
のインクドットを得る為には、インクジェットヘッドか
らのインクの吐出体積を大き目に調整する必要がある。
しかし、このような調整を行っても、高分子分散剤が吸
着した顔料粒子の凝集力が強いことによる紙中への浸透
性の低下と相まって、インクのプリント媒体への定着の
遅延を招き、或いは記録画像の耐擦過性を低下させるこ
とがあった。
【0004】ドット径の拡大、および定着性の向上を図
る為にインクのプリント媒体への浸透性の向上を目的と
してインクに浸透剤を含有させることも考えられてい
る。しかしこれはドット形状の劣化(いわゆるフェザリ
ング等のドット周囲形状の劣化)、紙の裏面へのインク
の浸透(いわゆる裏抜け)等の高品位な記録画像を目指
すうえでは好ましくない現象を併発する場合がある。ま
た、色材がプリント媒体内部に浸透してしまう為、ドッ
ト径は比較的大きくなってもインクドットのODはあま
り高くならない場合が多い。また、今後、積極的な展開
が図られるであろう、インクジェットプリンタのビジネ
ス用途への応用にあたっては、印字速度のより一層の向
上が求められることが予想される。そのときに,インク
の記録媒体への定着性が不十分であると、例えば印字済
みの記録媒体が、インクジェットプリンタから連続的に
排出され順次積層されていく過程において、先に排出さ
れた第1の記録媒体の表面のインクの定着前に、該第1
の記録媒体に引き続いて排出された第2の記録媒体が該
第1の記録媒体の印字面に積層され、第1の記録媒体表
面の画像が乱れたり、あるいは第2の記録媒体の裏面に
第1の記録媒体のインクが付着したりするといった問題
が起こる可能性が考えられる。
【0005】更に、自己分散型の顔料を用いたインクが
提案されており、このインクでは前記した分散剤によっ
て分散させられた顔料を含むインクに比べて紙上での顔
料の凝集力が弱い為か、ドット径の拡大を図ることがで
きるが、未だ十分とはいえない。
【0006】この様に記録画像の品位を左右する様々な
要素、例えばインクの定着性、インクドット径の拡大、
インクドット内での濃度の均一性、インクドット自体の
高い光学濃度等を高いレベルで満たすようなプリント方
法には、多分に研究開発の余地が残されているというこ
とができる。
【0007】一方、インクジェットプリント技術におい
て、印字品位や画像品位のより一層の向上(例えばプリ
ント媒体上の画像の耐水性や光学濃度(OD)の向上
等)を目的としてインク及び該インクと反応する処理液
とを、プリント媒体上で該インクと該処理液とが反応す
る様に該プリント媒体上に付与する方法がこれまでに提
案され、また、実用化されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、顔料イ
ンクの優れた特性を活かしつつ、顔料インク特有の課題
を解決すべく、顔料インクと、該顔料インクの顔料分散
性を記録時に破壊するような該顔料インクとの反応性を
有する処理液と、を併用したインクジェット記録技術に
ついて精力的な検討を行なった。その検討の一環とし
て、処理液をプリント媒体表面に付与した後に顔料イン
クを該プリント媒体上の該処理液と液体状態で混合され
る様に付与する記録プロセスを実施した。その結果とし
て得られた画像は、その品質に関して満足できない場合
があり、顔料インク単独で形成した画像よりも寧ろ品位
が低下する場合さえ観察された。具体的には、例えば顔
料インクとして高分子分散剤によって水性媒体中に分散
させた顔料を含む顔料インクと該顔料インクと反応する
処理液との組み合わせでは、インクドットのエリアファ
クターが小さいことに起因する光学濃度(OD)の低下
が認められる場合があった。このような現象の生じる理
由は明らかでないが、インク中の顔料のプリント媒体上
での凝集が処理液によって大幅に促進された為ではない
かと考えられる。そのため顔料インクの打ち込み量を増
やすことでエリアファクターを大きくし、ODの向上を
図ることができるが、この場合、定着性が劣ることが認
められることがある。また、顔料インクとして自己分散
型の顔料を含む顔料インクと該顔料インクと反応するよ
うな処理液との組み合わせによって得られるプリント媒
体上のドットの辺縁部分には、所謂「しみ出し」もしく
は「もや」と呼ばれる現象が生じ、明確なドットが得ら
れないことがあった。図1はこの「しみ出し」や「も
や」が生じたドットの平面模式図であり、中心の顔料イ
ンク8と処理液6との反応部の周囲に、「しみ出し」に
よる「もや」部7が観察される。図2は、この現象の発
生メカニズムを推定的に説明する図である。
【0009】処理液Sがプリント媒体P(特に普通紙
等)に付与された後に、該処理液Sが付与された位置に
自己分散型顔料を含み、高分子分散剤を含まない顔料イ
ンク(以降「分散剤無し顔料インク」と略)Ipが図2
(b)に示した様に、重ねて付与されると、反応物9の
生成が始まる。そして、この反応が進行すると共に、同
図(c)に示すように反応物によるほぼ円形状のドット
から放射状の「しみ出し」を生じ、ドット全体ではその
周囲に「もや」がかかったような状態となる。このよう
な「しみ出し」もしくは「もや」は、外見上は、周知の
フェザリングと同様に認識される為プリント品位を劣下
させるものである。
【0010】上述した「しみ出し」もしくは「もや」
は、化学的あるいはミクロ的には次のような現象である
と推察している。分散剤無し顔料インクは、その処理液
との反応において反応速度が比較的大きく、このため分
散していた顔料は、瞬時に分散破壊を生じ、反応物のク
ラスターを生成するが、これとともに微細な粒子状の反
応物をも生じさせる。そして、この粒子状の反応物は図
2(c)に示す処理液のプリント媒体への浸透先端SPの
拡大に伴なって流れ出すため、その結果として、上述の
「しみ出し」や「もや」が現われるものと考えられる。
【0011】この様に、顔料インクと処理液とを単純に
組み合わせただけでは、本発明者らが予測することので
きない事象が生じ、高品位なインクジェット記録画像を
得ることが難しかった。そして処理液を用いたインクジ
ェット記録技術を利用して、顔料インクの利点を活かし
つつ、顔料インクの欠点を改善するという所期の目的の
達成の為には更なる技術開発が必要であることを本発明
者らは認識した。
【0012】また、インクジェットプリンタのビジネス
分野への展開を考慮したときに、印字速度のより一層の
向上が要求されてくるようになると考えられる。このよ
うな高速プリンタに於ける大きな課題の一つが、インク
の記録媒体への定着性である。定着性が悪い場合、先に
排出された印刷済の記録媒体表面に、後続の記録媒体が
積層される過程において、先の記録媒体表面の印字を汚
損したり、あるいは後続の記録媒体の裏面に、先の排出
された記録媒体のインクが付着する等の事態が生じ、印
字品位の低下や印刷物の美観を損ないかねない。
【0013】本発明は上記したような新たな技術的知見
に鑑みなされたものであり、顔料インクと処理液を用い
たインクジェット記録技術を利用して、より高品質なプ
リントを得る為のインクジェットプリント方法を提供す
ることにある。
【0014】また、本発明は、プリント物の品位を損な
うことなしに、インクの記録媒体への高速定着を可能と
するインクジェットプリント方法を提供することにあ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するこ
とのできるインクジェットプリント方法の一実施態様
は、プリント媒体上に画像を記録する工程を含むインク
ジェットプリント方法において、(i)インクをインク
ジェット記録方法を用いてプリント媒体上に付着させる
工程;および(ii)該インクとの反応性を有する処理
液を該プリント媒体上に付着させる工程;を有し、該工
程(i)は、該工程(ii)の後に、該プリント媒体上
で該インクと該処理液とが液体状態で接する様に行なわ
れ、該インクは、水性媒体中に、第1の顔料と、第2の
顔料と、該第2の顔料を分散させるための高分子分散剤
と、を含み、該第1の顔料及び該第2の顔料がともに分
散状態で該インク中に含まれ、該第1の顔料が少なくと
も1つのアニオン性の基が直接もしくは他の原子団を介
して該第1の顔料の表面に結合されている自己分散型の
顔料あるいは少なくとも1つのカチオン性の基が直接も
しくは他の原子団を介して該第1の顔料の表面に結合さ
れている自己分散型の顔料であり、該第2の顔料が高分
子分散剤によって該水性媒体に分散させることのできる
顔料であり、該高分子分散剤が該第1の顔料の表面に結
合されている基と同極性の高分子分散剤及びノニオン性
の高分子分散剤の少なくとも一方を含むことを特徴とす
るものである。
【0016】また、上記の目的を達成することのできる
本発明にかかるインクジェットプリント方法の他の実施
態様は、プリント媒体へのインクジェットプリント方法
であって、(i)第1のインクを該プリント媒体に付与
する工程;(ii)第2のインクを該プリント媒体に付
与する工程;および(iii)該第1および第2のイン
クの各々と反応する処理液を該プリント媒体に付与する
工程、を有し、該第1のインク、該第2のインク及び該
処理液の各々は、プリント媒体の表面において互いが液
体状態で接触する様に付与されるものであり、該第1の
インクが、顔料粒子の表面に少なくとも1つのアニオン
性基が直接もしくは他の原子団を介して結合されている
自己分散型顔料または少なくとも1つのカチオン性基が
直接もしくは他の原子団を介して結合されている自己分
散型顔料を第1の顔料として水性媒体中に含むものであ
り、該第2のインクが、第2の顔料と、該第2の顔料を
分散させるための高分子分散剤と、を水性媒体中に含
み、該第2の顔料が該高分子分散剤により該水性媒体中
に分散し得るものであり、該高分子分散剤が該第1の顔
料の表面に結合されている基と同極性の高分子分散剤お
よびノニオン性の高分子分散剤の少なくとも一方を含
み、該処理液が、該第1の顔料の表面に結合されている
基と反対極性の化合物を含むものであり、かつ該工程
(iii)を、該工程(i)及び該工程(ii)に先立
って行なうことを特徴とするものである。
【0017】上記した様な本発明にかかる各態様によれ
ば、ODが非常に高く、「もや」が緩和された、より高
品位な画像を得ることが出来、且つ耐擦過性、定着性の
向上等の種々のメリットを得られるものである。
【0018】これらの実施態様によってこのような効果
を得られる理由は明らかでないが、本発明をめぐる数々
の実験によって以下の様な事実を本発明者らは確認して
いる。
【0019】即ち、処理液をプリント媒体に付与した後
に、該処理液を付与した部分に、第1の顔料と第2の顔
料とを含むインクを両者が液体状態で重なる様に、ある
いは接する様に付与すると、インクドットは処理液を付
与した部分に比較的大きく拡がり、大きな径を有するイ
ンクドットとなる。
【0020】第2の顔料と処理液との反応では、凝集力
が強すぎて大きなドットが形成され難いことを考える
と、該第1及び第2の顔料が処理液との反応時に共存す
ることによって、処理液と高分子分散剤との反応による
顔料の凝集が緩和されていると推察される。つまり、処
理液中の高分子化合物等の反応成分とインク中の高分子
分散剤とが強く絡みあってしまう現象の発生が、第1の
顔料と処理液中の反応成分が反応することによって緩和
され、更に、反応液中の第2の顔料同士の強力な分子間
力が第1の顔料の存在によって緩和され、その結果とし
てインクが紙面の横方向に拡散しやすくなっていると考
えられる。
【0021】逆に、処理液と第1の顔料との反応時に観
察される「もや」の現象の緩和は、処理液中の高分子化
合物と第2の顔料との反応により緩和され、あるいは
「もや」の原因となる粒子が反応物に取り囲まれること
によっているものと推測される。その結果、ドット径が
大きくなるにもかかわらず、もや等の発生が殆ど無く、
エッジシャープネスが良好となると考えられる。
【0022】また、上記した様に少ないインク量でも大
きなドット径を形成できる為、定着性も良好となり、ま
た、第1の顔料の使用に伴って、インク中に添加する高
分子分散剤を少なくできることとあいまって定着性はよ
り一層良好なものとなる。
【0023】また、本態様において、処理液をプリント
媒体に対する浸透性にすぐれたものとした場合、定着性
やドット径はより一層優れたものとなる。これはプリン
ト媒体に対して浸透性のある処理液が速やかに拡がるこ
とで、プリント媒体の表面に一種のインク受容層が形成
される為、インクがプリント媒体表面で浸透、拡散しや
すく、反応しながらドットを形成していく為大きなドッ
トを早く形成できる為と考えられる。
【0024】更に、本態様において、該インク中の第1
の顔料と第2の顔料の種類や比率に対応して成分を最適
化した処理液を用いることは、より一層の高画質化を図
る上で好ましいものである。即ち、自己分散型顔料は、
モデルとして図3(a)に3001として示したように
顔料粒子の周囲にたくさんのヒゲ状の極性基(例えばア
ニオン性基)を有したイガ栗状の形態を有していると思
われる。一方、カチオン性基を1分子中に数多く有する
高分子化合物、例えばポリアリルアミン(PAA)は概
略的には図3(b)に3003で示した様に表わされ
る。このような化合物が自己分散型顔料と混合される
と、図4のように自己分散型顔料3001の周囲にPA
Aの高分子3003が絡み付く。しかしながら、PAA
のカチオン性基がすべてのアニオン性基と結合するとは
考えられず、その結果、自己分散型顔料とPAAの反応
物が全体的にカチオン性を有した状態の形態になると考
えられる。このように粒径の小さい顔料粒子とPAAと
が反応したものは、分子間力も弱く、電気的に反発しや
すく、より大きな形態へと凝集しにくくなっており、そ
の結果、これらの微小物がドットの周囲に、軽度のもや
状のにじみを生じさせる原因になると考えられる。逆
に、高分子分散剤で分散されてなる顔料の場合、高分子
分散剤自体が多数のアニオン性基あるいはカチオン性基
を有し、その一方で処理液側に1分子に1つのカチオン
性基或いはアニオン性基を有する化合物を含有させてお
いても、高分子分散剤の分散性を完全に破壊するには至
らない。そこで、例えば顔料表面にアニオン性基が結合
した第1の顔料と、アニオン性高分子分散剤で分散され
た顔料と、を含むインクに対する処理液としてPAAの
様な高分子カチオン性化合物と図3(c)に3005に
示した、塩化ベンザルコニウム(EBK)のような低分
子カチオン化合物を所定の割合で含有させることで、イ
ンク中の各々の顔料の分散性がプリント媒体上で確実に
破壊され、モヤの原因となる未反応のカチオン性基の生
成を極力抑えられるものである。その結果、ODが高く
モヤのない、そして定着性にも優れた極めて高品位な画
像を短い定着時間でプリント媒体上に形成することが可
能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】(実施形態1−1)本発明の一実
施形態にかかるインクジェット記録法は、第1の顔料と
第2の顔料とを含むインクと、該インクと反応する処理
液と、を用意し、先ず該処理液をプリント媒体に付与
し、次いで該インクを該プリント媒体に付与して該プリ
ント媒体上で該処理液と該インクとを液体状態で接触さ
せ反応させることによって画像ドットを形成する工程を
含む。
【0026】(インク)上記のような態様に用いることの
できるインクの例としては、色材として第1の顔料及び
第2の顔料を水性媒体中に分散状態で含むインクであっ
て、該第1の顔料が少なくとも1つのアニオン性の基が
直接もしくは他の原子団を介して該第1の顔料の表面に
結合されている自己分散型の顔料もしくは少なくとも1
つのカチオン性の基が直接もしくは他の原子団を介して
該第1の顔料の表面に結合されている自己分散型の顔料
であり、該第2の顔料が高分子分散剤もしくはノニオン
性の高分子分散剤によって該水性媒体に分散させること
のできる顔料であり、該インクは更に該第1の顔料の表
面に結合されている基と同極性の高分子分散剤及びノニ
オン性の高分子分散剤の少なくとも一方を含む高分子分
散剤を該第2の顔料を分散させるための分散剤として含
むインクが挙げられる。以下、このインクについて順次
説明する。
【0027】(第1の顔料)自己分散型の顔料とは、水
溶性高分子化合物等の分散剤を用いることなしに水、水
溶性有機溶剤あるいはこれらを混合した液体に対して安
定して分散状態を維持し、インクジェット記録技術を用
いたオリフィスからの正常なインク吐出に支障を来すよ
うな、顔料同志の凝集体を該液体中で生じることのない
ような顔料を指す。
【0028】(アニオン性自己分散CB)このような顔
料としては、例えば少なくとも1つのアニオン性基を直
接もしくは他の原子団を介して顔料表面に結合させたも
のが好適に用いられ、具体的な例は、少なくとも1つの
アニオン性基が直接あるいは他の原子団を介して表面に
結合しているカーボンブラックを含むものである。
【0029】このようなカーボンブラックに結合されて
いるアニオン性基の例としては、例えば、−COOM、
−SO3M、−PO3HM、−PO32等(但し、式中の
Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、または、
有機アンモニウムを表わす)が挙げられる。
【0030】上記「M」のアルカリ金属としては、例え
ば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、ま
た、「M」の有機アンモニウムとしては、モノ乃至トリ
メチルアンモニウム、モノ乃至トリエチルアンモニウ
ム、モノ乃至トリメタノールアンモニウム等が挙げられ
る。
【0031】これらのアニオン性基の中で、特に−CO
OMや−SO3Mはカーボンブラックの分散状態を安定
化させる効果が大きい為好ましい。
【0032】ところで上記した種々のアニオン性基は他
の原子団を介してカーボンブラックの表面に結合したも
のを用いることが好ましい。他の原子団としては、例え
ば、炭素原子1〜12の直鎖状もしくは分岐鎖状のアル
キレン基、置換もしくは未置換のフェニレン基又は置換
もしくは未置換のナフチレン基が挙げられる。ここでフ
ェニレン基やナフチレン基に結合していてもよい置換基
の例としては、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状
のアルキル基等が挙げられる。
【0033】他の原子団を介してカーボンブラックの表
面に結合させるアニオン性基の具体例としては、例え
ば、−C24COOM、−PhSO3M、−PhCOO
M等(但し、Phはフェニル基を表わす)が挙げられる
が、勿論、これらに限定されることはない。
【0034】上記した様な、アニオン性基を直接もしく
は他の原子団を介して表面に結合させたカーボンブラッ
クは例えば以下の方法によって製造することができる。
【0035】即ち、カーボンブラック表面に−COON
aを導入する方法として、例えば、市販のカーボンブラ
ックを次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法が挙げられ
る。
【0036】また、例えば、カーボンブラック表面に−
Ar−COONa基(但し、Arはアリール基を表
す。)を結合させる方法として、NH2−Ar−COO
Na基に亜硝酸を作用させたジアゾニウム塩とし、カー
ボンブラック表面に結合させる方法が挙げられるが、勿
論、本発明はこれに限定されるわけではない。
【0037】(カチオン性自己分散CB) (カチオン性帯電CB)カチオン性に帯電したカ−ボン
ブラックとしては、カーボンブラックの表面に例えば下
記に示す第4級アンモニウム基から選ばれる少なくとも
1つを結合させたものが挙げられる。第4級アンモニウ
ム基: −NH3 +、−NR3 +、−SO2NH2、−SO2NHCO
R、
【0038】
【化2】 上記式中、Rは例えば炭素数1〜12の直鎖状もしくは
分岐鎖状のアルキル基、置換もしくは未置換のフェニル
基又は置換もしくは未置換のナフチル基を示す。ここで
フェニル基やナフチル基の置換基としては例えば炭素数
1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基等が挙げら
れる。
【0039】上記したような親水性基が結合されてカチ
オン性に帯電している自己分散型カーボンブラックを製
造する方法としては、例えば、下記に示す構造のN−エ
チルピリジル基:
【0040】
【化3】 を結合させる方法を例にとって説明すると、カーボンブ
ラックを3−アミノ−N−エチルピリジウムブロマイド
で処理する方法が挙げられる。この様にカーボンブラッ
ク表面への親水性基の導入によってアニオン性若しくは
カチオン性に帯電させたカーボンブラックは、イオンの
反発によって優れた水分散性を有する為、水性インク中
に含有させた場合にも分散剤等を添加しなくても安定し
た分散状態を維持する。
【0041】カチオン性基を顔料の表面に結合させる場
合においても、カチオン性基を顔料に直接結合させて
も、原子団を介して結合させてもよい。原子団を介して
結合させる場合における原子団としては、先にアニオン
性基を結合させる場合に用い得るものとして例示したも
のをここでも例示することができる。
【0042】ところで、本実施形態に係るインクに含有
させる自己分散型の顔料(第1の顔料)はその80%以
上が0.05〜0.3μm、特には0.1〜0.25μ
mの粒径のものであるものとすることが好ましい。この
ようなインクの調整方法は後述する実施例に詳述した通
りである。
【0043】(第2の顔料)本実施形態のインクに用い
ることのできる第2の顔料は、インクの分散媒、具体的
には例えば水性媒体に対して高分子分散剤の作用によっ
て分散させることができる顔料が挙げられる。即ち、顔
料粒子の表面に高分子分散剤が吸着した結果として初め
て水性媒体に対して安定に分散させ得るような顔料が好
適に用いられる。そしてそのような顔料としては、例え
ば黒色顔料としては、例えばファーネスブラック、ラン
プブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック
等のカーボンブラック顔料が挙げられる。このようなカ
ーボンブラック顔料の具体例としては、例えば下記のも
のを単独で、あるいは適宜組合わせて用いることができ
る。 カーボンブラック顔料: ・レイヴァン(Raven)7000、レイヴァン57
50、レイヴァン5250、レイヴァン5000ULT
RA、レイヴァン3500、レイヴァン2000、レイ
ヴァン1500、レイヴァン1250、レイヴァン12
00、レイヴァン1190ULTRA−II、レイヴァ
ン1170、レイヴァン1255(以上コロンビア社
製)、 ・ブラックパールズ(Black Pearls)L、リーガル(Re
gal)400R、リーガル330R、リーガル660
R、モウグル(Mogul)L、モナク(Monarch)700、
モナク800、モナク880、モナク900、モナク1
000、モナク1100、モナク1300、モナク14
00、ヴァルカン(Valcan)XC−72R(以上
キヤボット社製) ・カラーブラック(Color Black)FW1、カラーブラック
FW2、カラーブラックFW2V、カラーブラック18、カラ
ーブラックFW200、カラーブラックS150、カラーブラッ
クS160、カラーブラックS170、プリンテックス(Printe
x)35、プリンテックスU、プリンテックスV、プリン
テックス140U、プリンテックス140V、スペシヤ
ルブラック(Special Black)6、スペシヤルブラック
5、スペシヤルブラック4A、スペシヤルブラック4
(以上デグッサ社製) ・No.25、No.33、No,40、No.47、No.52、No.
900、No.2300、MCF−88、MA600、M
A7、MA8、MA100(以上三菱化学社製)。
【0044】他の黒色顔料としてはマグネタイト、フェ
ライト等の磁性体微粒子やチタンブラック等を挙げるこ
とができる。
【0045】また、以上で述べた黒色顔料以外に青色顔
料、赤色顔料等も用いることができる。
【0046】該第1及び第2の顔料を合わせた色材の量
は、インク全量に対し、0.1〜15重量%、より好ま
しくは、1〜10重量%である。第1の顔料と第2の顔
料の比率は、5/95〜97/3、より好ましくは10
/90〜95/5の範囲が好ましい。さらに好ましく
は、第1の顔料/第2の顔料=9/1〜4/6である。
さらに好しい別の範囲は第1の顔料が多い範囲である。
このような第1の顔料が多い場合においては、インクと
しての分散安定性はもちろん、ヘッドの吐出安定性、特
に吐出効率や吐出口面の濡れが少ないことによる信頼性
を含めた安定性が発揮される。
【0047】また、紙上でのインクの挙動として、高分
子分散剤の吸着した第2の顔料が少ないインクは効果的
に紙の表面にインクが拡がるため、高分子分散剤による
均一な薄膜が表面に形成されると推定され、その効果に
より画像の耐擦過性も向上する。
【0048】第2の顔料を水性媒体に分散させる為の高
分子分散剤は、例えば第2の顔料の表面に吸着して第2
の顔料を水性媒体に安定して分散させる機能を有するも
のが好適に用いられる。このような高分子分散剤の例と
してはアニオン性高分子分散剤、カチオン性高分子分散
剤及びノニオン性高分子分散剤が挙げられる。
【0049】(アニオン性高分子分散剤)親水性基とし
てのモノマーと疎水性基としてのモノマーの重合体及び
その塩等が挙げられる。親水性基としてのモノマーの具
体例としては、例えば、スチレンスルホン酸、α,β−
エチレン性不飽和カルボン酸、α,β−エチレン性不飽
和カルボン酸誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、
メタクリル酸、メタクリル酸誘導体、マレイン酸、マレ
イン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル
酸及びフマル酸誘導体等が挙げられる。
【0050】また、疎水性成分としてのモノマーの具体
例としては、例えばスチレン、スチレン誘導体、ビニル
トルエン、ビニルトルエン誘導体、ビニルナフタレン、
ビニルナフタレン誘導体、ブタジエン、ブタジエン誘導
体、イソプレン、イソプレン誘導体、エチレン、エチレ
ン誘導体、プロピレン、プロピレン誘導体、アクリル酸
のアルキルエステル、メタクリル酸のアルキルエステル
等が挙げられる。
【0051】なおここで塩とは具体的には水素、アルカ
リ金属、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオ
ン、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン、オキソ
ニウムイオン、スチボニウムイオン、スタンノニウム、
ヨードニウム等のオニウム化合物等が挙げられるが、こ
れらに限定されるものではない。また、上記重合体やそ
の塩に、ポリオキシエチレン基、水酸基、アクリルアミ
ド、アクリルアミド誘導体、ジメチルアミノエチルメタ
クリレート、エトキシエチルメタクリレート、ブトキシ
エチルメタクリレート、エトキシトリエチレンメタクリ
レート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレー
ト、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルアルコ
ール及びアルキルエーテル等を適宜付加してもよい。
【0052】(カチオン性高分子分散剤)カチオン性分
散剤としては、三級アミンモノマー、及びこれらを4級
化したものと疎水性モノマーとの共重合物等が用いられ
る。三級アミンモノマーとしては、例えばN,N-ジメチル
アミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアクリルア
ミド等が用いられる。疎水性モノマーとしては、スチレ
ン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン等が用いられ
る。また、3級アミンの場合において、塩を形成するた
めの化合物としては、硫酸、酢酸、硝酸等が用いられ
る。また、塩化メチル、ジメチル硫酸等で4級化したも
のも用いることができる。
【0053】(ノニオン性高分子分散剤)ノニオン性高
分子分散剤の例は、ポリビニルピロリドン、ポリプロピ
レングリコール、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合
体等を含む。
【0054】上記した第1の顔料、第2の顔料及び高分
子分散剤は、適宜その組合わせを選択し、水性媒体に分
散、溶解せしめることによって本態様のインクを得るこ
とができるが、第1の顔料として、少なくとも1つのア
ニオン性の基が直接もしくは他の原子団を介して顔料の
表面に結合されている自己分散型の顔料を用いる場合に
は、高分子分散剤にアニオン性の高分子分散剤及びノニ
オン性の高分子分散剤から選ばれる少なくとも一方を組
合わせて含有させることで、良好なインクの安定性を確
保することができる。また、同じ理由により第1の顔料
として少なくとも1つのカチオン性の基が直接もしくは
他の原子団を介して顔料の表面に結合されている自己分
散型の顔料を用いる場合には、高分子分散剤としてカチ
オン性の高分子分散剤及びノニオン性の高分子分散剤か
ら選ばれる少なくとも一方を該第1の顔料と組合わせ
る。
【0055】第2の顔料とそれを分散させる高分子分散
剤とのインク中での割合は重量比で、5:0.5〜5:
2が好ましい。
【0056】(水性媒体)第1及び2の顔料の分散媒と
なる水性媒体としては、水の他に水溶性有機溶剤を用い
てもよい。この水溶性有機溶媒としては、例えば、メチ
ルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコ
ール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコー
ル、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアル
コール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール等の
炭素数1〜5のアルキルアルコール類;ジメチルホルム
アミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセト
ン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコー
ル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル
類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、
トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキ
シプロピレン共重合体;エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレン
グリコール、1,2,6−ヘキサントリオール等のアル
キレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコ
ール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチル
(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメ
チル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコール
モノメチル(又はエチル)エーテル等の低級アルキルエ
ーテル類;トリエチレングリコールジメチル(又はエチ
ル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(又
はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級ジアルキ
ルエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン
類;スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピ
ロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等
が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は、単独でも或
いは混合物としても使用することができる。そして、記
録媒体上でのインクの乾燥性や、インク中の各種成分の
溶解性や分散性の安定性を考慮すると、後述する実施例
に記載したように複数種類の水溶性有機溶剤を併用する
ことは好ましい態様のひとつである。 (インクの記録媒体への浸透性)以上説明してきた各種
成分を含んでいる本実施態様のインクは、プリント媒体
に対する浸透性に着目して、例えばKa値を1(ml・m
-2・msec-1/2)未満に調整した場合、後述する処理液と
の併用によって、極めて均一な濃度を有し、エッジがシ
ャープで、しかもプリント媒体への定着速度と定着性に
優れた画像ドットを得ることができる。以下にインクの
プリント媒体に対する浸透性について説明する。
【0057】インクの浸透性を1m2 当たりのインク量
Vで表すと、インク滴を吐出してからの時間tにおける
インク浸透量V(単位はミリリットル/m2=μm)
は、次に示すようなブリストウ方式により表されること
が知られている。
【0058】
【数1】 (ただし、t>tw)インク滴がプリント媒体表面に滴
下した直後は、インク滴は表面の凹凸部分(プリント媒
体の表面の粗さの部分)において吸収されるのが殆ど
で、プリント媒体内部へは殆ど浸透していない。その間
の時間がtw(ウェットタイム)、その間の凹凸部への
吸収量がVrである。インク滴の滴下後の経過時間がt
wを超えると、超えた時間(t−tw)の2分の1乗に
比例した分だけ浸透量Vが増加する。Kaはこの増加分
の比例係数であり、浸透速度に応じた値を示す。
【0059】Ka値は、ブリストウ法による液体の動的
浸透性試験装置S(東洋精機製作所製)を用いて測定し
た。本実験では、本出願人であるキヤノン株式会社のP
B用紙をプリント媒体(記録紙)として用いた。このP
B用紙は、電子写真方式を用いた複写機やLBPと、イ
ンクジェット記録方式を用いたプリントの双方に使える
記録紙である。
【0060】また、キヤノン株式会社の電子写真用紙で
あるPPC用紙に対しても、同様の結果を得ることがで
きた。
【0061】Ka値は界面活性剤の種類、添加量などに
よって決まってくる。例えば、エチレンオキサイド−
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−
ジオール(ethylene oxide-2,4,7,9-tetramethyl-5-dec
yen-4,7-diol)(以下、商品名「アセチレノール」(川
研ファインケミカル社製)で表記する)という非イオン
性界面活性剤を添加することにより、浸透性は高くな
る。
【0062】また、アセチレノールが混合されていない
(含有割合が0%)インクの場合は浸透性が低く、後に
規定する上乗せ系インクとしての性質を持つ。また、ア
セチレノールが1%の含有割合で混合されている場合は
短時間で記録紙内部に浸透する性質を持ち、後に規定す
る高浸透性インクとしての性質を持つ。そして、アセチ
レノールが0.35%の含有割合で混合されているイン
クは、両者の中間の半浸透性インクとしての性質を持
つ。
【0063】
【表1】 上記の表1は、「上乗せ系インク」、「半浸透性イン
ク」、「高浸透性インク」のそれぞれについて、Ka
値、アセチレノール含有量(%)、表面張力(dyne/c
m)を示している。プリント媒体である記録紙に対する
各インクの浸透性は、Ka値が大きいものほど高くな
る。つまり、表面張力が小さいものほど高くなる。
【0064】表1におけるKa値は、前述の如くブリス
トウ法による液体の動的浸透性試験装置S(東洋精機製
作所製)を用いて測定したものである。実験には、前述
のキヤノン株式会社のPB用紙を記録用紙として用い
た。また、前述のキヤノン株式会社のPPC用紙に対し
ても、同様の結果を得ることができた。
【0065】ここで、「高浸透性インク」として規定さ
れる系のインクはアセチレノール含有割合が0.7%以
上であり、浸透性に関して良好な結果が得られた範囲の
ものである。そして本実施態様のインクに担持させる浸
透性の基準としては、「上乗せ系インク」のKa値、即
ち1.0(ml・m-2・msec-1/2)未満とすることが好ま
しく、特には0.4(ml・m-2・msec-1/2)以下が好ま
しい。
【0066】(染料の添加)上記した態様のインクに染
料を更に添加してもよい。即ち第1の顔料、第2の顔料
及び第2の顔料を水性媒体に分散させるための分散剤を
含むインクに対して更に染料を添加したインクは、後述
する処理液との併用によってより優れた画像ドットを短
い定着時間でプリント媒体上に形成することができる。
また、第2の顔料の凝集力が第1の顔料の存在によって
緩和されることは先に述べた通りであるが、染料の添加
によって第2の顔料の凝集力がもう1段緩和され、イン
クの吸収性が普通紙等と比較して悪い記録媒体において
生じ易い「ひび割れ」等のプリント画像の不均一を有効
に抑えることができるものと考えられる。ここで用いる
ことのできる染料としては例えばアニオン染料やカチオ
ン染料が挙げられ、好ましくは第1の顔料の表面に結合
している基の極性と同極性の染料を採用することが好ま
しい。
【0067】(アニオン、カチオン染料)上記した様な
本実施形態で使用できる水性媒体に対して可溶なアニオ
ン染料としては、公知の酸性染料、直接性染料、反応性
染料等が好適に使用される。また、カチオン染料として
は公知の塩基性染料が好適に使用される。また、特に好
ましくは、両者の染料とも骨格構造として、ジスアゾま
たはトリスアゾ骨格構造を有する染料を用いることが良
い。またさらに、骨格構造の異なる2種以上の染料をも
ちいることも好ましい。使用する染料として、黒色の染
料以外で、色調が大きく異ならない範囲で、シアン、マ
ゼンタ、イエロー等の染料を用いてもかまわない。
【0068】(染料の添加量)また、染料の添加量とし
ては、色材全体の5重量%〜60重量%でよいが、第1
及び第2の顔料を混合したことの効果をより有効に活用
することを考慮すると、50重量%未満とすることが好
ましい。更に普通紙上での印字特性を重視したインクと
する場合には5重量%〜30重量%とすることが好まし
い。
【0069】(処理液)次に、上記の態様に用い得る処
理液の例としては、例えばインク中の第1の顔料の表面
に結合してなる基がアニオン性であれば、アニオン性基
と反応するカチオン性基を有する化合物を含有する処理
液が好適に用いられる。また、第1の顔料の表面に結合
してなる基がカチオン性基であれば、カチオン性基と反
応するアニオン性基を有する化合物を含有する処理液が
好適に用いられる。
【0070】例えばカチオン性化合物としては、カチオ
ン性基を分子中に1個程度有する比較的低分子量のカチ
オン性化合物やカチオン性基を1分子中に複数個有する
比較的高分子量のカチオン性化合物が挙げられる。比較
的低分子量のカチオン性化合物としては例えば、1級乃
至2級乃至3級アミン塩型の化合物、具体的にはラウリ
ルアミン、ヤシアミン、ステアリルアミン、ロジンアミ
ン等の塩酸塩、酢酸塩等の他、第4級アンモニウム塩型
の化合物、具体的にはラウリルトリメチルアンモニウム
クロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムク
ロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライ
ド、塩化ベンザルコニウム、セチルトリメチルアンモニ
ウムクロライド等があり、更にピリジニウム塩型化合
物、具体的にはセチルピリジニウムクロライド、セチル
ピリジニウムブロマイド等、更には、イミダゾリン型カ
チオン性化合物、具体的には2−ヘプタデセニル−ヒド
ロキシエチルイミダゾリン等があり、更に第二級アルキ
ルアミンのエチレンオキシド付加物、具体的にはジヒド
ロキシエチルステアリルアミン等が好ましい例として挙
げられる。
【0071】さらに本発明では、あるpH領域において
カチオン性を示す両性界面活性剤も使用でき、具体的に
は、アミノ酸型両性界面活性剤、RNHCH2−CH2
OOH型の化合物があり、ベタイン型の化合物、例えば
ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエ
チルベタイン等が挙げられる。もちろんこれらの両性界
面活性剤を使用する場合にはそれらの等電点以下のpH
になるように処理液を調整するか、記録媒体上でインク
と混合した場合に該等電点以下のpHになるように調整
するかのいずれかの方法をとることが好ましい。次にカ
チオン性物質の高分子成分としては、ポリアリルアミ
ン、ポリアミンスルホン、ポリビニルアミン、キトサン
及びこれらの塩酸、酢酸等の酸による中和物又は部分中
和物を挙げることが出来る。
【0072】また、アニオン性化合物としては例えばア
ニオン性界面活性剤等を用いることができる。アニオン
性界面活性剤の例としては、カルボン酸塩型、硫酸エス
テル型、スルホン酸塩型、燐酸エステル型等、一般に使
用されているものは使用出来る。また、アニオン性高分
子の例としては、アルカリ可溶型の樹脂、具体的には、
ポリアクリル酸ソーダ、あるいは高分子の一部にアクリ
ル酸を共重合したもの等を挙げることが出来るが、もち
ろんこれらに限定されない。より具体的には例えばスル
ホコハク酸ラウリル二ナトリウム、スルホコハク酸ポリ
オキシエチレンラウロイルエタノールアミドエステル二
ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク
酸二ナトリウム、カルボキシル化ポリオキシエチレンラ
ウリルエーテルナトリウム塩、カルボキシル化ポリオキ
シエチレンラウリルエーテルナトリウム塩、カルボキシ
ル化ポリオキシエチレントリデシルエーテルナトリウム
塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウ
ム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタ
ノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫
酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫
酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸
トリエタノールアミン等が挙げられるがこれらに限定さ
れるわけではない。
【0073】前記処理液を構成するその他の成分として
は前述したカオチン性物質あるいはアニオン性物質の他
に、水、水溶性有機溶剤及びその他の添加剤を含んでも
よい。水溶性有機溶剤としては、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン等の
ケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテ
ル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ト
リエチレングリコール、1、2、6−ヘキサントリオー
ル、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチ
レングリコール等のアルキレングリコール類、エチレン
グリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノ
メチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエ
ーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、
エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアル
コール、イソブチルアルコール等の1価アルコール類の
他、グリセリン、N−メチル−2−ピロリドン、1、3
−ジメチルイミダゾリジノン、トリエタノールアミン、
スルホラン、ジメチルサルホキサイド等が用いられる。
上記水溶性有機溶剤の含有量について特に制限はない
が、処理液全重量の5〜60重量%、さらに好ましく
は、5〜40重量%が好適な範囲である。
【0074】そして本態様においては、該処理液はプリ
ント媒体に対して高い浸透性を有する様に調整しておく
ことは、画像ドットのプリント媒体への定着速度の向上
や定着性の改善を図る上で好ましいものである。
【0075】本実施形態におけるインクおよび処理液の
プリント媒体への付与順序は、基本的には、上述したよ
うにプリント媒体にインクを付与するに先立って処理液
が付与されるような順序であれば、上述した所定の効果
を得ることができる。
【0076】この付与順序を定める具体的な構成に関
し、例えばシリアルタイプのヘッドを用いる場合にあっ
ては、紙送りを挟んだ同一領域に対する複数回の走査に
よって上述の順序がそれぞれ実現される場合も、本発明
の範囲に含まれるものである。
【0077】以上のように、本実施形態のインクは処理
液のプリント媒体への付与に引き続いて付与されるが、
このインクの付与数としては上述してきたような1滴に
限定されるものではない。
【0078】例えば、処理液の付与に引き続いて、イン
クを2滴付与するものとしてもよく、その場合、好まし
くは、これら2滴のうち、先行して付与されるインクは
第1の顔料より第2の顔料の割合が多く、その後付与さ
れるインクを、逆に第1の顔料の方が第2の顔料よりも
割合が多いものとすることができる。
【0079】以上のようにインクを複数滴付与する場合
には、その付与されるインクの総量を、1滴を付与する
場合にほぼ等しくするのが好ましい。換言すれば、本発
明の実施形態によれば、複数に分割してインクを付与す
る場合、それぞれの滴の量が分割数に応じて少なくなっ
ても、上述した所定の効果を得ることができる。
【0080】次に、本実施形態における処理液とインク
とが付与される時間差は、上述した付与順序と同様、基
本的に上述した本実施形態の各効果が現われる限りどの
ような時間差であっても本発明の範囲内に含まれる。
【0081】すなわち、処理液が付与されてからインク
が付与されるまでの時間によって、混合インクと処理液
との反応は種々の態様で生じる。例えば上記時間が短い
場合でも、それらが重ねられて形成されるドットの周囲
部、すなわちエッジ部では、顔料等と処理液の十分な反
応を生じ本実施形態の各効果、特に「もや」を抑制する
効果を少なくとも生じ得ることも観察されている。
【0082】このような点から、本明細書では、インク
と処理液との「反応」とは、例えば、インクと処理液と
の接触によってインク中の顔料の分散状態が不安定化
し、顔料が凝集、析出あるいはインクの増粘を生じる場
合を含む。そしてこの「反応」は、例えば、記録媒体に
付与されたインクの滴と処理液の滴との全体が混合する
場合に限らず、各々の滴のエッジ部が接触することによ
って、上記の現象が生じる場合も包含される。
【0083】また、本発明における、インクと処理液と
が「液体状態で接する」とは、記録媒体内に浸透した処
理液の成分と、該処理液の付与に引き続いて行われたイ
ンクとが反応する場合をも包含している。
【0084】本実施形態で付与されるインクの色相(種
類)、濃度およびそれらの数は、上述した付与順序に従
う限り任意に組合せることができる。例えばインクの種
類としては、ブラック(Bk)、イエロー(Y)、マゼ
ンタ(M)、シアン(C)を一般に用いることができ、
また、それら各色について、濃、淡各インクを用いるこ
とができる。さらに具体的には、例えばイエローイン
ク、マゼンタインクおよびシアンインクの少なくとも1
つを本実施形態にかかる、第1の顔料と第2の顔料とを
含むインクとし、これに処理液を用い、この順序で付与
する構成であってもよい。
【0085】本発明を適用可能なこのような組合せの中
で、最も好ましい形態は、本実施態様にかかるインクを
ブラックインクとしたものである。この形態によれば、
OD値増大、「もや」の抑制等の本実施形態の各効果
が、文字等のキャラクタのプリント品位に対し最も有効
に寄与できるからである。
【0086】また、これらのインクと処理液とをプリン
ト媒体に付与する方法は、各々独立に塗布する方法、イ
ンク等を直接プリント媒体に接触させて付与する方法
等、種々のものが考えられ、いずれの付与方法も本発明
の範囲内のものであるが、最も好しい形態はプリントヘ
ッドを用いたインクジェット方式のものである。そし
て、この場合、吐出部としてのプリントヘッドの組合せ
およびその配列は、上述した付与順序および処理液を含
めたインクの種類の組合せに従って定めることができ
る。
【0087】具体的には、プリントヘッドがプリント媒
体に対して相対的に移動する方向に、インクおよび処理
液のヘッドを配列する構成によって上記付与順序等が可
能となる。
【0088】さらに、このような構成のより具体的構成
として、搬送されるプリント媒体におけるプリント領域
の全幅に対応した範囲でインク吐出口を配列した、いわ
ゆるフルマルチタイプのプリントヘッドや、プリント媒
体に対して走査のための移動を行うシリアルタイプのプ
リントヘッドのいずれも本発明に係る上述のインクおよ
び処理液の付与を可能とするものである。
【0089】また、これらのプリントヘッドのインク吐
出方式としては、ピエゾ方式等、周知のいずれの方式の
ものも採用できるが、最も好ましい形態は、熱エネルギ
ーを利用してインクまたは処理液中に気泡を生じさせ、
この気泡の圧力によってインクまたは処理液を吐出する
方式のものである。
【0090】さらに、各プリントヘッドによって、イン
クおよび処理液が吐出されて重なる範囲は、通常、プリ
ント画像等を構成する画素単位で制御されるため、上記
インク等は同一位置に吐出されて重ねられる。しかし、
本発明の適用は、このような構成には限られない。例え
ば、インクのドットの一部と処理液が重なり、本実施形
態の所定の効果が生ずる構成や、各画素のデータに対し
て処理液を間引いて付与し、隣接画素から滲み等によっ
て流入する処理液と顔料等が反応する構成も本発明の範
囲に含まれる。
【0091】(実施形態1−2)本発明の他の実施形態
を次に説明する。
【0092】本実施形態は、上述した実施形態において
処理液を浸透性の高いものとし、これによってより一層
の高速定着を図ったものである。
【0093】高速定着は、プリント速度の高速化、すな
わち、スループットの向上のための主要な構成である。
プリントヘッドの駆動周波数やプリント媒体の搬送速度
を増すことにより、直接的にはスループットの向上は可
能である。しかし、プリントが完了し排紙されたプリン
ト媒体上のインク等が未定着の場合は、その後の取扱い
が不便であり、また、排紙したプリント媒体を積層する
構成にあっては、未定着のインクによって他のプリント
媒体を汚すかもしれない。
【0094】すなわち、このプリント速度の高速化に寄
与する種々の要因の中で、直接的に想起されるものは、
上述のように、プリントが完了したプリント媒体が排紙
される速度であり、これはプリント媒体の搬送速度もし
くはプリントヘッドの走査速度に依っている。すなわ
ち、いわゆるフルマルチタイプのプリントヘッドを用い
る装置にあっては、プリント動作におけるプリント媒体
の搬送速度がそのまま排紙速度を意味し、また、シリア
ルタイプのプリントヘッドを用いる装置にあっては、走
査速度が結果としてプリントが完了したプリント媒体の
排紙速度に結びつくことになる。そして、上記プリント
媒体の搬送速度等は、プリントの解像度、すなわちドッ
ト密度を媒介として画素に対するインク吐出周期と相関
するものである。すなわち、複数のプリントヘッドから
吐出されるインクによって1つの画素のプリントを行う
構成にあっては、上記解像度を固定して考えるとき、そ
の画素に対する吐出周期と上記搬送速度等とが相関す
る。
【0095】本実施形態において、大きな浸透速度を有
する処理液を用いることにより、特に、OD値向上等の
ため混合インクとして浸透速度の小さなものを採用した
場合でも、比較的速い定着が可能となる。
【0096】(処理液選択性)処理液の組成は先に説明
した通りであるが、インク中の第1の顔料、第2の顔料
および高分子分散剤の種類および量に応じて処理液の組
成を最適化することは、本発明のもたらす効果を最大限
に享受するうえで好ましいものである。この点について
以下に具体例を挙げて説明する。
【0097】第1の顔料として表面にアニオン性基を結
合させた自己分散性カーボンブラック、第2の顔料とし
て一般的なカーボンブラック、そして高分子分散剤とし
てスチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体
(酸価180、平均分子量12000)を含むインク、
および低分子カチオン性化合物として塩化ベンザルコニ
ウム(EBK)と高分子カチオン性化合物としてポリア
リルアミン(PAA)を含む処理液とを用意した。そし
て処理液中のEBKおよびPAAの比率を(PAA:
3.6重量%、EBK:0.5重量%)に固定し、イン
ク中の自己分散性カーボンと通常のカーボンブラックの
比率を変化させていったときに、得られる画像の特性を
評価した(なお高分子分散剤の量は通常のカーボンブラ
ックの量の増減に対応して増減させた)。
【0098】図5(A)は、処理液の組成を固定し、イ
ンク中の第1の顔料と第2の顔料の重量比を変化させた
ときに得られる画像のODの変化を概略的に示したグラ
フである。このグラフから分る様に第1の顔料と第2の
顔料の割合が所定の値のときにODが極大を示す。
【0099】図5(B)は、処理液の組成を固定し、イ
ンク中の第1の顔料と第2の顔料の重量比を変化させた
ときに得られる画像を、プリント媒体の裏側から測定し
たOD(裏ぬけOD)の変化で測定したものであり、や
はり第1の顔料と第2の顔料の割合と裏ぬけODとの間
に相関があることがわかる。
【0100】次に、処理液中のEBKとPAAの比率を
変化させて同様の実験を行なった。その結果、EBKを
増やした場合には、傾向としてODが低下するが、PA
Aを含有することでODはそれほど低下しない。但しE
BKの割合を増やした場合でも、自己分散型顔料の比率
が高い程ODが高くなる。定着時間は、EBKが増すに
連れて早くなる。また、自己分散型顔料が増すにつれて
早くなる。
【0101】この事実からPAAと高分子分散剤分散カ
ーボンブラックとの間、およびEBKと自己分散型カー
ボンブラックとの間に密接な関係があることが推定され
る。このことは以下の推定メカニズムにより説明される
ものと考えられる。即ち、自己分散型顔料は、模式的に
表わすと先に述べた様に図3(a)に示したような形態
を有し、また、カチオン高分子であるPAAは、図3
(b)のように1分子中に複数のカチオン基を有したひ
も状の物質である。ここで処理液中にPAAのみが入っ
ていた場合、自己分散型顔料とPAAとが混合すると、
図4のように自己分散型顔料の周囲にPAAの高分子が
絡み付く。しかしながら、PAAのカチオン基は、幾何
学的にすべての顔料のアニオン基と結合することが困難
であるため、図4のように結合したものが全体的にカチ
オン性を有した状態の形態になっていると考えられる。
言い換えれば顔料の分散性が十分に破壊されない状態と
なる。そしてインク中に微細な顔料粒子等の周囲がカチ
オン基によって囲まれた状態になると分子間力よりも電
気的斥力の方が強く作用し、微細な顔料粒子同士の凝集
が妨げられ、プリント媒体の表面に残留するよりは寧ろ
内部に浸透していく傾向が促進される。その結果、OD
やエッジシャープネスの向上を妨げる方向に作用する。
ここで図3(c)に3005で示したような形態のEB
Kが処理液に存在すると、自己分散型カーボンブラック
とPAAの反応は自己分散型カーボンブラックとEBK
との反応との競争反応となり、自己分散型カーボンブラ
ックとPAAとの結合体が生成する割合は低下する。一
方、第2の顔料では、表面に付着した高分子分散剤と処
理液中のPAAとが絡まり易くなる。その結果、インク
中の顔料の分散性が十分に破壊され、顔料がプリント媒
体表面に残りやすくなる。よってODやエッジシャープ
ネスが向上するものと考えられる。
【0102】より具体的には例えば、自己分散型カーボ
ンブラックと高分子分散剤で分散させるカーボンブラッ
クの比率を1:1としたインクに対してポリアリルアミ
ンと塩化ベンザルコニウムの比率を(PAA:3.6
%、EBK:0.5%)とし、且つ高浸透性とした処理
液を組み合わせた場合、定着性に優れるとともに、特に
エッジシャープネスに優れた画像を得ることができる。
【0103】また、自己分散型カーボンブラックと高分
子分散剤で分散させるカーボンブラックの比率を9:1
としたインクに対してポリアリルアミンと塩化ベンザル
コニウムの比率を(PAA:0.5%、EBK:4%)
とし、且つ高浸透性とした処理液を組み合わせた場合、
特に高速な定着性と優れた画像品位とを両立した画像を
得られる。なおこの態様が高速定着と高画像品位の両立
を達成できる理由としては、処理液中に高分子化合物が
少ないことと、インク中にも高分子分散剤が少ないこと
による反応液の粘度の小さい事などが挙げられる。
【0104】(実施形態2)上記第1の実施形態は、第
1の顔料および第2の顔料を含むインクを用いた形態を
主として説明したが、該1の顔料および第2の顔料を別
々のインクに含有させた形態もまた本発明の範疇のもの
である。
【0105】(実施形態2−1)本態様は、第1の顔料
を含む第1のインク、第2の顔料を含む第2のインクお
よび該第1ならびに第2のインクと反応する処理液をプ
リント媒体表面に互いが液体状態で接触する様に付与す
るものである。そしてそのときに、第1のインクと第2
のインクの記録媒体への付与に先立って該処理液を付与
するものであり、これによって上記した本発明の種々の
効果とほぼ同等の効果を得ることができる。
【0106】
【実施例】本発明の実施例について、図を参照しながら
詳細に説明するが、本発明はこのような実施例に限ら
ず、これらをさらに組み合わせたり、同様な課題を内包
する他の分野の技術にも応用することができる。
【0107】(実施例1−1)図6は第1実施例に係る
フルラインタイプのプリント装置の概略構成を示す側面
図である。このプリント装置1は、プリント媒体として
の記録媒体の搬送方向(同図中、矢印A方向)に沿って
所定位置に配置された複数のフルラインタイプのプリン
トヘッド(吐出部)よりインクまたは処理液を吐出して
プリントを行うインクジェットプリント方式を採用する
ものであり、後述する図7の制御回路に制御されて動作
する。
【0108】ヘッド群101gの各プリントヘッド10
1S、101Bk、101C、101Mおよび101Y
のそれぞれは、図中A方向に搬送される記録紙103の
幅方向(図の紙面に垂直な方向)に約7200個のイン
ク吐出口を配列し、最大A3サイズの記録紙に対しプリ
ントを行うことができる。記録紙103は、搬送用モー
タにより駆動される一対のレジストローラ114の回転
によってA方向に搬送され、一対のガイド板115によ
り案内されてその先端のレジ合わせが行われた後、搬送
ベルト111によって搬送される。エンドレスベルトで
ある搬送ベルト111は2個のローラ112、113に
より保持されており、その上側部分の上下方向の偏位は
プラテン104によって規制されている。ローラ113
が回転駆動されることで、記録紙103が搬送される。
なお、搬送ベルト111に対する記録紙113の吸着は
静電吸着によって行われる。ローラ113は不図示のモ
ータ等の駆動源により記録紙103を矢印A方向に搬送
する方向に回転駆動される。搬送ベルト111上を搬送
されこの間に記録ヘッド群101gによって記録が行わ
れた記録紙103は、ストッカ116上へ排出される。
【0109】記録ヘッド群101gの各プリントヘッド
は、処理液を吐出する処理液用ヘッド101S、上記実
施形態1で説明したブラックのインクを吐出するヘッド
101Bk、カラーインク用各ヘッド(シアンヘッド1
01C、マゼンタヘッド101M、イエローヘッド10
1Y)が、記録紙103の搬送方向Aに沿って図示の通
りに配置されている。そして、各プリントヘッドにより
各色のインクと処理液を吐出することでブラックの文字
やカラー画像のプリントが可能になる。
【0110】図7は、図6に示したフルラインタイプの
プリント装置1の制御構成を示すブロック図である。
【0111】システムコントローラ201は、マイクロ
プロセッサをはじめ、本装置で実行される制御プログラ
ムを格納するROM、マイクロプロセッサが処理を行う
際にワークエリアとして使用されるRAM等を有し、装
置全体の制御を実行する。モータ204はドライバ20
2によってその駆動が制御され、図6に示すローラ11
3を回転させ、記録紙の搬送を行う。
【0112】ホストコンピュータ206は、本実施例の
プリント装置1に対してプリントすべき情報を転送し、
そのプリント動作を制御する。受信バッファ207は、
ホストコンピュータ206からのデータを一時的に格納
し、システムコントローラ201によってデータ読み込
みが行われるまでデータを蓄積しておく。フレームメモ
リ208は、プリントすべきデータをイメージデータに
展開するためのメモリであり、プリントに必要な分のメ
モリサイズを有している。本実施例では、フレームメモ
リ208は記録紙1枚分を記憶可能なものとして説明す
るが、本発明はフレームメモリの容量によって限定され
るものではない。
【0113】バッファ209S、209Pは、プリント
すべきデータを一時的に記憶するものであり、プリント
ヘッドの吐出口数によりその記憶容量は変化する。プリ
ント制御部210は、プリントヘッドの駆動をシステム
コントローラ201からの指令により適切に制御するた
めのものであり、駆動周波数、プリントデータ数等を制
御するとともに、さらには処理液を吐出させるためのデ
ータも作成する。ドライバ211は、処理液を吐出させ
るためのプリントヘッド101Sと、それぞれのインク
を吐出させるためのプリントヘッド101Bk、101
C、101M、101Yの吐出駆動を行うものであり、
プリント制御部210からの信号により制御される。
【0114】以上の構成において、ホストコンピュータ
206からプリントデータが受信バッファ207に転送
されて一時的に格納される。次に、格納されているプリ
ントデータはシステムコントローラ201によって読み
出されてバッファ209S、209Pに展開される。ま
た、紙詰まり、インク切れ、用紙切れ等を異常センサ2
22からの各種検知信号により検知することができる。
【0115】プリント制御部210は、バッファ209
S、209Pに展開された画像データを基にして処理液
を吐出させるための処理液用データの作成を行う。そし
て、各バッファ209S、209P内のプリントデータ
および処理液用データに基づいて各プリントヘッドの吐
出動作を制御する。
【0116】本実施例では、ヘッド101Bkから吐出
されるブラックのインクについては、浸透速度の遅いイ
ンク(以下、本実施例では上乗せ系インクという)を用
い、ヘッド101S、101C、101M、101Yか
らそれぞれ吐出される処理液およびシアン、マゼンタ、
イエローの各カラーインクは各々浸透速度の速い処理液
およびカラーインク(以下、本実施例では高浸透性イン
クという)を用いた。
【0117】本実施例で使用する処理液および各インク
の組成は次の通りである。なお、各成分の割合は重量部
で示したものである。 [処理液] グリセリン 7部 ジエチレングリコール 5部 アセチレノール EH 2部 (川研ファインケミカル製) ポリアリルアミン 4部 (分子量:1500以下、平均値約1000) 酢酸 4部 塩化ベンザルコニウム 0.5部 トリエチレングリコールモノブチルエーテル 3部 水 残部 [イエロー(Y)インク] C.I.ダイレクトイエロー86 3部 グリセリン 5部 ジエチレングリコール 5部 アセチレノール EH 1部 (川研ファインケミカル製) 水 残部 [マゼンタ(M)インク] C.I.アシッドレッド289 3部 グリセリン 5部 ジエチレングリコール 5部 アセチレノール EH 1部 (川研ファインケミカル製) 水 残部 [シアン(C)インク] C.I.ダイレクトブルー199 3部 グリセリン 5部 ジエチレングリコール 5部 アセチレノール EH 1部 (川研ファインケミカル製) 水 残部 [ブラック(Bk)のインク] (顔料分散液の調製) [顔料分散液1]表面積が230m2/gでDBP吸油
量が70ml/100gのカーボンブラック10gとp
−アミノ安息香酸3.41gとを水72gによく混合し
た後、これに硝酸1.62gを滴下して70℃で攪拌し
た。数分後5gの水に1.07gの亜硝酸ナトリウムを
溶かした溶液を加え、更に1時間攪拌した。得られたス
ラリーを東洋濾紙No.2(アドバンティス社製)でろ
過し、顔料粒子を十分に水洗し、90℃のオーブンで乾
燥させた後、この顔料に水を足して顔料濃度10重量%
の顔料水溶液を作成した。以上の方法により、下記式に
示した様に表面に、フェニル基を介して親水性基が結合
したアニオン性に帯電した自己分散型カーボンブラック
が分散した顔料分散液1を得た。この顔料分散液1を必
要に応じて以下の各インクの成分として使用した。
【0118】
【化4】 [顔料分散液2]顔料分散液2は次のようにして調整し
たものである。分散剤としてスチレン−アクリル酸−ア
クリル酸エチル共重合体(酸価180、平均分子量12
000)14部と、モノエタノールアミン4部と水72
部を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、樹脂分
を完全に溶解させる。この際溶解させる樹脂の濃度が低
いと完全に溶解しないことがあるため、樹脂を溶解する
際は、高濃度溶液をあらかじめ作成しておき、希釈して
希望の樹脂溶液を調整してもよい。この溶液に、分散剤
の作用によって初めて水性媒体に分散可能なカーボンブ
ラック(商品名:MCF−88、pH8.0、三菱化学
製)10部を加え、30分間プレミキシングを行った。
次いで以下の操作を行ない、カーボンブラック(MCF
−88)が分散剤によって水性媒体に分散された顔料分
散液2を得た。この顔料分散液2を必要に応じて以下の
各インクの成分として使用した。 分散機:サイドグラインダー(五十嵐機械製) 粉砕メディア:ジルコニアビーズ1mm径 粉砕メディアの充填率:50%(体積) 粉砕時間:3時間 遠心分離処理(12000RPM、20分間) (ブラックインクの調製) 顔料分散液1 25部 顔料分散液2 25部 グリセリン 6部 ジエチレングリコール 5部 アセチレノール EH 0.1部 (川研ファインケミカル製) 水 残部 なお、このブラックインクのKa値は0.33(ml・m
-2・msec-1/2)であった。
【0119】以上示した本実施例によるブラックのイン
クを用いることにより、自己分散型カーボンブラックと
高分子分散剤で分散可能なカーボンブラックと高分子分
散剤が混合され、かつ分散しているインクに対して、異
極性のカチオン性化合物2種(ポリアリルアミン、塩化
ベンザルコニウム)を含んだ処理液とが反応することに
なる。
【0120】本実施例では、各プリントヘッドのインク
吐出口は600dpiの密度で配列され、また、記録紙
の搬送方向において600dpiのドット密度でプリン
トを行う。これにより、本実施例でプリントされる画像
等のドット密度はロー方向およびカラム方向のいずれも
600dpiとなる。また、各ヘッドの吐出周波数は4
KHzであり、従って、記録紙の搬送速度は約170m
m/secとなる。さらに、混合インクのヘッド101
Bkと処理液のヘッド101Sとの間の距離Di(図6
参照)は、40mmであり、従って、処理液が吐出され
てから、インクが吐出されるまでの時間は約0.24s
ecとなる。
【0121】なお、各プリントヘッドの吐出量は、1吐
出あたり15pl(ピコリットル)である。また、処理
液Sを吐出してからブラックインクBkを吐出するまで
の時間が0.1秒までの追試を行った場合に関しても、
同様な結果を得ることができた。
【0122】(実施例1−2)上記実施例1−1におい
て、処理液およびブラックインクの組成を下記の様に代
えた以外は実施例1−1と同様にして実験を行なった。 [処理液] グリセリン 7部 ジエチレングリコール 5部 アセチレノール EH 2部 (川研ファインケミカル製) ポリアリルアミン 0.5部 (分子量:1500以下、平均値約1000) 酢酸 0.5部 塩化ベンザルコニウム 4部 トリエチレングリコールモノブチルエーテル 3部 水 残部 [ブラック(Bk)のインク] 顔料分散液1 45部 顔料分散液2 5部 グリセリン 6部 ジエチレングリコール 5部 アセチレノール EH 0. 1部 (川研ファインケミカル製) 水 残部 なお、このブラックインクのKa値は0.33(ml・m-2
・msec-1/2)であった。
【0123】(実施例1−3)上記実施例1−1におい
て、処理液およびブラックインクの組成を下記の様に代
えた以外は実施例1−1と同様にして実験を行なった。 [処理液] グリセリン 7部 ジエチレングリコール 5部 アセチレノール EH 2部 (川研ファインケミカル製) ポリアリルアミン 1部 (分子量:1500以下, 平均値約1000) 酢酸 1部 塩化ベンザルコニウム 4部 トリエチレングリコールモノブチルエーテル 3部 水 残部 [ブラック(Bk)のインク] 顔料分散液1 45部 顔料分散液2 2.5部 C.I.フードブラック2 0.25部 グリセリン 6部 ジエチレングリコール 5部 アセチレノール EH 0. 1部 (川研ファインケミカル製) 水 残部 なお、このブラックインクのKa値は0. 33(ml・m
-2・msec-1/2)であった。
【0124】(比較例1)上記実施例1−1〜1−3に
対する比較例として、実施例1−1と同様に調製した顔
料分散液2のみを用いて以下の成分のインクを調製し
た。次いでこのインクを用いて、実施例1−1と同様の
条件にて印字を行なった。なお本比較例においては処理
液は使用しなかった。
【0125】顔料分散液2 50部 エチレングリコール 8部 グリセリン 5部 イソプロピルアルコール 4部 水 残部 (比較例2)比較例1と同様に調製したインクを用いる
とともに、インク吐出量が1吐出あたり約30plのヘ
ッドをBkヘッドに用い、1画素当りのインク付与量を
30plとした以外は比較例1と同様にしてプリントを
行った。上記実施例1−1〜1−3、比較例1及び比較
例2にて得られたプリント物の評価結果を下記表2に示
す。
【0126】
【表2】 なお、各実施例および各比較例でのプリントは、キヤノ
ン株式会社製のPB用紙に所定の画像をプリントし、黒
色部のOD値等を測定したものである。また、表2にお
ける評価項目のうち、OD値はマクベス濃度測定機を用
いて測定したものであり、また、耐水性発現時間は、プ
リント後に水をたらしたときの画像くずれが目視にてほ
とんど認識できない時間であり、さらに、定着性はプリ
ント物が排紙されたときの裏写りがなくなる時間であ
る。更に、フェザリングはインクドットをルーペによっ
て観察し、ドット周辺にモヤ状の部分の有無、フェザリ
ングの有無を観察し、それらが観察されない場合には
「A」、観察される場合を「B」と評価した。
【0127】表2からも明らかなように、本実施例のシ
ステムの場合、従来の顔料インクによるプリント物と比
較して、特に、OD値および耐水性発現時間や定着性に
優れたプリント物が得られることが理解される。
【0128】このOD値については、分散剤を必要とし
ない顔料と分散剤によって分散させられる顔料および高
分子分散剤が混合したインクと処理液とが混合される本
実施例の場合、それらの混合による前述した効果を生
じ、処理液が付与された後に、顔料のみあるいは染料の
みを付与した場合より高いOD値を得ることができる。
【0129】また、フェザリング(「もや」や「しみ出
し」)の抑制やエッジ部のシャープネスについて、ヘッ
ド101Sの吐出からヘッド101Bkの吐出までの時間
によって比較した場合についても、比較例に比べて優れ
ていることが理解できる。なお、表2中の処理液が吐出
されてからブラックインクBkが吐出されるまでの時間を
0.1秒とした場合においても、ほぼ同様な評価結果を
得られた。
【0130】以上説明したフルマルチタイプのプリント
装置は、プリントヘッドがプリント動作において固定さ
れた状態で用いられ、記録紙の搬送に要する時間がほぼ
プリントに要する時間であるため、特に高速プリントに
適したものである。従って、このような高速プリント機
器に本発明を適用することによって、さらにその高速プ
リント機能を向上でき、しかも、OD値が高く、ブリー
ディングやモヤのない高品位のプリントを可能とするも
のである。
【0131】なお、本実施例のプリント装置は、最も一
般的にはプリンタとして用いられるものであるが、これ
に限られず複写装置、ファクシミリ等のプリント部とし
て構成可能であることは勿論である。
【0132】なお、以上の表2を参照して説明した本実
施例の効果は、本例のようにブラック混合インクについ
て1つのヘッドを用いた構成に限らず、2ヘッドとし、
各ヘッドの吐出量を約8pl、合計で約16plとした
場合もほぼ同様の効果を得ることができる。
【0133】(実施例2)図8は本発明の第2の実施例
に係るシリアルタイプのプリント装置5の構成を示す概
略斜視図である。すなわち、処理液をプリント媒体に付
与した後、インクを吐出して反応させるプリント装置
は、上述のフルラインタイプのものに限らず、シリアル
タイプの装置にも適用できることは明らかである。な
お、図6に示した要素と同様の要素には同一の符号を付
しその説明の詳細は省略する。プリント媒体である記録
紙103は、給紙部105から挿入されプリント部12
6を経て排紙される。本実施例では、一般に広く用いら
れる安価な普通紙を記録紙103として用いている。プ
リント部126において、キャリッジ107は、プリン
トヘッド101S、101Bk、101C、101Mおよ
び101Yを搭載し、不図示のモータの駆動力によって
ガイドレール109に沿って往復移動可能に構成されて
いる。プリントヘッド101Sは、前述の実施形態で説
明した処理液を吐出する。また、プリントヘッド101
Bk、101C、101M、101Yはそれぞれ本発明に
かかるブラックインク、シアンインク、マゼンタイン
ク、イエローインクをそれぞれ吐出するものであり、こ
の順序で記録紙103にインク又は処理液を吐出するよ
う駆動される。
【0134】各ヘッドにはそれぞれ対応するインクタン
ク108S、108Bk、108C、108M、108Y
からインク又は処理液が供給され、インク吐出時には各
ヘッドの吐出口毎に設けられている電気熱変換体、すな
わちヒータに駆動信号が供給され、これにより、インク
又は処理液に熱エネルギを作用させて気泡を発生させ、
この発泡時の圧力を利用してインク又は処理液の吐出が
行われる。各ヘッドには、それぞれ360dpiの密度
で64個の吐出口が設けられ、これらは、記録紙103
の搬送方向Yとほぼ同方向、つまり、各ヘッドによる走
査方向とほぼ垂直方向に配列されている。そして、各吐
出口毎の吐出量は25plである。
【0135】以上の構成において、各ヘッド間距離は1
/2インチであり、従って、ヘッド101Sと101Bk
との距離は1/2インチとなり、また、走査方向のプリ
ント密度が720dpi、各ヘッドの吐出周波数は7.
2KHzであることから、ヘッド101Sの処理液が吐
出されてから、ヘッド101Bkのブラックインクが吐出
されるまでの時間は0.05secとなる。
【0136】(実施例4)図6および図8に示した実施
例を第1の顔料と第2の顔料の両方を含む混合インクで
はなく、第1の顔料および第2の顔料を個々に吐出する
形態のものに応用した場合、記録ヘッド群101gの各
プリントヘッドは、処理液を吐出する処理液用ヘッド1
01S、ブラックの第1の顔料インク用ヘッド101B
k1, ブラックの第2の顔料インク用ヘッド101Bk
2、カラーインク用各ヘッド(シアンヘッド101C、
マゼンタヘッド101M、イエローヘッド101Y)
が、記録紙103の搬送方向Aに沿って図示の通りに配
置されている。そして、各プリントヘッドにより各色の
インクと処理液を吐出することでブラックの文字やカラ
ー画像のプリントが可能になる。
【0137】本実施例では、ヘッド101Bk1および
101Bk2からそれぞれ吐出されるブラックの第1の
顔料インクおよび第2の顔料インクについては、浸透速
度の遅い上乗せ系インクを用い、ヘッド101S、10
1C、101M、101Yからそれぞれ吐出される処理
液およびシアン, マゼンタ, イエローの各カラーインク
は各々浸透速度の速い、高浸透性処理液および高浸透性
カラーインクを用いる。
【0138】本実施例で使用する第1、第2のインク及
び処理液の組成は下記の通りである。 [処理液] グリセリン 7部 ジエチレングリコール 5部 アセチレノール EH 2部 (川研ファインケミカル製) ポリアリルアミン 4部 (分子量:1500以下, 平均値約1000) 酢酸 4部 塩化ベンザルコニウム 0.5部 トリエチレングリコールモノブチルエーテル 3部 水 残部 [ブラックの第1の顔料インク(Bk1)] 顔料分散液 1 50部 グリセリン 6部 ジリエチレングリコール 5部 アセチレノール EH 0.1部 (川研ファインケミカル製) 水 残部 なお、このブラックインクのKa値は0.33(ml・m-2
・msec-1/2)であった。 [ブラックの第2の顔料インク(Bk2)] 顔料分散液2 50部 エチレングリコール 8部 グリセリン 5部 イソプロピルアルコール 4部 水 残部 以上示した本実施例によるブラックの第1の顔料インク
および第2の顔料インクを用いることにより、紙に対し
て処理液が付与された後に、各々が同極性を帯びた第1
の顔料、第2の顔料及び高分子分散剤が混合されつつ反
応することになる。
【0139】本実施例では、処理液のヘッド101Sと
顔料インクのヘッド101Bk1との間の距離Di(図
9参照)は、40mmであり、従って、処理液が吐出さ
れてから、ブラックインクBk1が吐出されるまでの時
間は約0.24secとなる。なお、各プリントヘッド
の吐出量は、Bkヘッド以外は1吐出当り15plであ
り、各Bkヘッドは1吐出当り約10plとした。従っ
て、Bk1及びBk2のヘッドで1画素を形成した場合
にはBkインクは合計で約20pl付与されることにな
る。
【0140】このような装置およびインクを用いて得ら
れたプリント物を上記実施例1−1〜1−3と同様にし
て評価したところ、ODの若干の向上がみられた他は、
他の実施例とほぼ同等の結果が得られた。
【0141】(実施例5)図10は、記録媒体上の処理
液が付与された領域に対して、第1の顔料を含むインク
と第2の顔料を含むインクとをプリント媒体上で混合さ
せるプロセスに用い得るシリアルタイプのプリント装置
5の構成を示す概略斜視図である。すなわち、かかるプ
ロセスに用い得るプリント装置は、上述のフルラインタ
イプのものに限らず、シリアルタイプの装置にも適用で
きることは明らかである。なお、図9に示した要素と同
様の要素には、同一の符号を記してその説明の詳細は省
略する。
【0142】プリント媒体である記録紙103は、給紙
部105から挿入されプリント部126を経て排紙され
る。本実施例では、一般に広く用いられる安価な普通紙
を記録紙103として用いている。プリント部126に
おいて、キャリッジ107は、プリントヘッド101
S、101Bk1、101Bk2、101C、101M
および101Yを搭載し、不図示のモータの駆動力によ
ってガイドレール109に沿って往復移動可能に構成さ
れている。プリントヘッド101Sは、処理液を吐出
し、プリントヘッド101Bk1はブラックの第1の顔
料インクを吐出し、プリントヘッド101Bk2はブラ
ックの第2の顔料インクを吐出する。また、プリントヘ
ッド101S、101C、101M、101Yはそれぞ
れ処理液、シアンインク、マゼンタインク、イエローイ
ンクをそれぞれ吐出するものであり、この順序で記録紙
103に処理液ならびにインクを吐出するよう駆動され
る。
【0143】各ヘッドにはそれぞれ対応するインクタン
ク108S、108Bk1、108Bk2、108C、
108M、108Yからインク又は処理液が供給され、
インク吐出時には各ヘッドの吐出口毎に設けられている
電気熱変換体(ヒータ)に駆動信号が供給され、これに
より、インク又は処理液に熱エネルギを作用させて気泡
を発生させ、この発泡時の圧力を利用してインク又は処
理液の吐出が行われる。各ヘッドには、それぞれ360
dpiの密度で64個の吐出口が設けられ、これらは、
記録紙103の搬送方向Yとほぼ同方向、つまり、各ヘ
ッドによる走査方向とほぼ垂直方向に配列されている。
そして、Bkインクの吐出口の吐出量は15pl、それ
以外のインク及び処理液の吐出口毎の吐出量は23pl
である。
【0144】以上の構成において、各ヘッド間距離は1
/2インチであり、従って、ヘッド101Sとヘッド1
01Bk1との距離は1/2インチとなり、また、走査
方向のプリント密度が720dpi、各ヘッドの吐出周
波数は7.2KHzである場合、ヘッド101Sの処理
液が吐出されてからヘッド101Bk1の顔料インクが
吐出されるまでの時間は0.05secとなる。
【0145】
【発明の効果】本発明によると、第1の顔料と第2の顔
料および第2の顔料を高分子分散剤を含むインクと、こ
のインクと反応する処理液と、を用い、処理液をプリン
ト媒体に先に付与し、引き続いてインクをプリント媒体
に、処理液とインクとが液体状態で混合される様に付与
することで、高いODを有し、エッジシャープネスに優
れ、更に画像のプリント媒体への裏ぬけの少ない画像を
得ることができる。更に、従来の顔料インクの欠点とさ
れていた遅い定着速度および不十分な定着性をも大幅に
改善することができる。
【0146】また、本発明によれば、画像ドット周辺に
「しみ出し」もしくは「もや」等が生じる事を極めて有
効に抑えることができる。処理液の浸透速度を、ブリス
トウ法によるKa値で5.0(ml・m-2・msec
-1/2)以上にした場合には、処理液が比較的高い浸透性
のものとなり、定着速度を速めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクと処理液とを反応させたときの反応物の
「しみ出し」現象を推定的に説明する概念図である。
【図2】本発明の一実施形態において処理液をプリント
媒体に付与した後、インクを付与して処理液とインクと
を反応させたときのドット形成を推定的に説明する概念
図である。
【図3】(a)は、アニオン性自己分散型顔料分子の概
念図であり、(b)は、カチオン性高分子化合物分子の
概念図であり、(c)は、カチオン性界面活性剤分子の
概念図である。
【図4】カチオン高分子が介在する2つのアニオン性自
己分散型顔料の境界部における反応形態を表す模式図で
ある。
【図5】(A)はインク中の第1の顔料と第2の顔料の
比率変化が画像のODに与える変化を概略的に示すグラ
フであり、(B)はインク中の第1の顔料と第2の顔料
の比率変化が画像の裏ぬけODに与える変化を概略的に
示すグラフである。
【図6】本発明の一実施例に係るプリント装置の概略構
成を示す側面図である。
【図7】図6に示したプリント装置の制御構成を示すブ
ロック図である。
【図8】本発明の一実施例に係るプリント装置の概略斜
視図である。
【図9】本発明の他の実施例にかかるプリント装置の概
略構成を示す側面図である。
【図10】本発明の他の実施例にかかるプリント装置の
概略斜視図である。
【符号の説明】
P プリント媒体 S 処理液 Ip 顔料インク SP 浸透先端 Di 顔料インクのヘッドと処理液のヘッドとの間の
距離 1 プリント装置 5 プリント装置 6 処理液 7 もや 8 顔料インク 9 反応物 101g ヘッド群 101(Bk1、Bk2、S、C、M、Y) プリン
トヘッド(吐出部) 103 記録紙 104 プラテン 105 給紙部 107 キャリッジ 108(Bk、Bk1、Bk2、S、C、M、Y)
インクタンク 109 ガイドレール 111 搬送ベルト 112、113 ローラ 114 レジストローラ 115 ガイド板 116 ストッカ 126 プリント部 201 システムコントローラ 202 ドライバ 203 ヒータ 204 モータ 206 ホストコンピュータ 207 受信バッファ 208 フレームメモリ 209S、209P バッファ 210 プリント制御部 211 ドライバ 222 異常センサ

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プリント媒体上に画像を記録する工程を
    含むインクジェットプリント方法において、 (i)インクをインクジェット記録方法を用いてプリン
    ト媒体上に付着させる工程;および(ii)該インクと
    の反応性を有する処理液を該プリント媒体上に付着させ
    る工程;を有し、 該工程(i)は、該工程(ii)の後に、該プリント媒
    体上で該インクと該処理液とが液体状態で接する様に行
    なわれ、 該インクは、水性媒体中に、第1の顔料と、第2の顔料
    と、該第2の顔料を分散させるための高分子分散剤と、
    を含み、該第1の顔料及び該第2の顔料がともに分散状
    態で該インク中に含まれ、 該第1の顔料が少なくとも1つのアニオン性の基が直接
    もしくは他の原子団を介して該第1の顔料の表面に結合
    されている自己分散型の顔料あるいは少なくとも1つの
    カチオン性の基が直接もしくは他の原子団を介して該第
    1の顔料の表面に結合されている自己分散型の顔料であ
    り、該第2の顔料が高分子分散剤によって該水性媒体に
    分散させることのできる顔料であり、 該高分子分散剤が該第1の顔料の表面に結合されている
    基と同極性の高分子分散剤及びノニオン性の高分子分散
    剤の少なくとも一方を含むことを特徴とするインクジェ
    ットプリント方法。
  2. 【請求項2】 前記処理液はその浸透速度がブリストウ
    法によるKa値で5.0(ml・m-2・msec-1/2)以上であ
    る請求項1に記載のインクジェットプリント方法。
  3. 【請求項3】 該インクはその浸透速度がブリストウ法
    によるKa値で1ml・m-2・msec-1/2未満である請求項
    1または2に記載のインクジェットプリント方法。
  4. 【請求項4】 前記アニオン性基が、下記に示すアニオ
    ン性基の中から選択される少なくとも1つである請求項
    1〜3の何れかに記載のインクジェットプリント方法。
    −COOM、−SO3M、−PO3HM及び−PO3
    2(これらのMはそれぞれ独立して水素原子か、アルカ
    リ金属か、アンモニウムか、あるいは有機アンモニウム
    を表わす。)
  5. 【請求項5】 前記カチオン性基が、下記に示すカチオ
    ン性基の中から選択される少なくとも1つである請求項
    1〜4の何れかに記載のインクジェットプリント方法。 −NH3 +、−NR3 +、−SO2NH2、−SO2NHCO
    R、 【化1】 (上記式中、Rはそれぞれ独立して、直鎖状もしくは分
    岐鎖状のアルキル基、置換もしくは未置換のフェニル基
    又は置換もしくは未置換のナフチル基を示す。)
  6. 【請求項6】 前記原子団は、炭素数1〜12のアルキ
    レン基か、置換基を有してもよいフェニレン基か、ある
    いは置換基を有してもよいナフチレン基である請求項1
    に記載のインクジェットプリント方法。
  7. 【請求項7】 前記第1の顔料の粒子の80%以上が粒
    径0.05〜0.3μmである請求項1に記載のインクジ
    ェットプリント方法。
  8. 【請求項8】 前記第1の顔料の粒子の80%以上が粒
    径0.1〜0.25μmである請求項1に記載のインクジ
    ェットプリント方法。
  9. 【請求項9】 前記第2の顔料がその表面に高分子分散
    剤を吸着することにより分散されている請求項1に記載
    のインクジェットプリント方法。
  10. 【請求項10】 前記高分子分散剤がスルホン酸系高分
    子分散剤およびカルボン酸系高分子分散剤の少なくとも
    一方である請求項1に記載のインクジェットプリント方
    法。
  11. 【請求項11】 前記第2の顔料が、少なくとも構造の
    異なる2種類の顔料を含む請求項1に記載のインクジェ
    ットプリント方法。
  12. 【請求項12】 該第1の顔料と第2の顔料との重量比
    率が5/95〜97/3の範囲である請求項1に記載の
    インクジェットプリント方法。
  13. 【請求項13】 該第1の顔料と第2の顔料との重量比
    率が10/90〜95/5の範囲である請求項1に記載
    のインクジェットプリント方法。
  14. 【請求項14】 該第1の顔料と第2の顔料との比率が
    9/1〜4/6の範囲である請求項1に記載のインクジ
    ェットプリント方法。
  15. 【請求項15】 該第1の顔料を該第2の顔料よりも多
    く含む請求項1に記載のインクジェットプリント方法。
  16. 【請求項16】 該第1の顔料及び第2の顔料の少なく
    とも一方はカーボンブラックである請求項1に記載のイ
    ンクジェットプリント方法。
  17. 【請求項17】 該インクが更に該第1の顔料の表面に
    結合されている基と同一の極性の染料を含んでいる請求
    項1に記載のインクジェットプリント方法。
  18. 【請求項18】 該染料がアニオン性染料もしくはカチ
    オン性染料である請求項17に記載のインクジェットプ
    リント方法。
  19. 【請求項19】 該アニオン性染料が酸性染料、直接性
    染料および反応性染料から選ばれる少なくとも1つであ
    る請求項18に記載のインクジェットプリント方法。
  20. 【請求項20】 該アニオン性染料がジスアゾ骨格また
    はトリスアゾ骨格を有する請求項18に記載のインクジ
    ェットプリント方法。
  21. 【請求項21】 該処理液が、該第1の顔料の表面に結
    合されている基と反対極性の基を少なくとも1つ有する
    化合物を含む請求項1〜20の何れかに記載のインクジ
    ェットプリント方法。
  22. 【請求項22】 該処理液が、該第1の顔料の表面に結
    合されている基と反対極性の基を1つ有する第1の化合
    物と、該第1の顔料の表面に結合されている基と反対極
    性の基を複数個有する第2の化合物とを含む請求項1〜
    21の何れかに記載のインクジェットプリント方法。
  23. 【請求項23】 該第1の化合物が塩化ベンザルコニウ
    ムであり、該第2の化合物がポリアリルアミンである請
    求項22に記載のインクジェットプリント方法。
  24. 【請求項24】 該処理液中の該第1の化合物と該第2
    の化合物との割合が、該インクの組成に対して実質的に
    最適化されている請求項22または23に記載のインク
    ジェットプリント方法。
  25. 【請求項25】 プリント媒体へのインクジェットプリ
    ント方法であって、 (i)第1のインクを該プリント媒体に付与する工程;
    (ii)第2のインクを該プリント媒体に付与する工
    程;および(iii)該第1および第2のインクの各々
    と反応する処理液を該プリント媒体に付与する工程、を
    有し、該第1のインク、該第2のインク及び該処理液の
    各々は、プリント媒体の表面において互いが液体状態で
    接触する様に付与されるものであり、 該第1のインクが、顔料粒子の表面に少なくとも1つの
    アニオン性基が直接もしくは他の原子団を介して結合さ
    れている自己分散型顔料または少なくとも1つのカチオ
    ン性基が直接もしくは他の原子団を介して結合されてい
    る自己分散型顔料を第1の顔料として水性媒体中に含む
    ものであり、 該第2のインクが、第2の顔料と、該第2の顔料を分散
    させるための高分子分散剤と、を水性媒体中に含み、該
    第2の顔料が該高分子分散剤により該水性媒体中に分散
    し得るものであり、該高分子分散剤が該第1の顔料の表
    面に結合されている基と同極性の高分子分散剤およびノ
    ニオン性の高分子分散剤の少なくとも一方を含み、 該処理液が、該第1の顔料の表面に結合されている基と
    反対極性の化合物を含むものであり、 かつ該工程(iii)を、該工程(i)及び該工程(i
    i)に先立って行なうことを特徴とするインクジェット
    プリント方法。
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