JP2001322010A - スローアウェイチップ - Google Patents

スローアウェイチップ

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JP2001322010A
JP2001322010A JP2001065639A JP2001065639A JP2001322010A JP 2001322010 A JP2001322010 A JP 2001322010A JP 2001065639 A JP2001065639 A JP 2001065639A JP 2001065639 A JP2001065639 A JP 2001065639A JP 2001322010 A JP2001322010 A JP 2001322010A
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JP
Japan
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cutting edge
chip
cutting
rake face
throw
Prior art date
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Application number
JP2001065639A
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English (en)
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Takashi Inayama
孝 稲山
Makoto Nomura
誠 野村
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Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 切り屑処理性に優れた多角形板状の溝入れ用
チップを提供する。 【解決手段】 略多角形板状をなし、切れ刃稜線14を
板厚方向にもつ切れ刃15を複数の角部13に有するス
ローアウェイチップで、すくい面23の後方に傾斜状を
なす傾斜壁26を設けた。すくい面23に、切れ刃稜線
寄り部位から傾斜壁26を分割する部位まで前後に延び
る凹部28を設けた。さらに、すくい面23には、切れ
刃稜線14の両端寄り部位に隆起状の凸部31を設け
た。切り屑は、左右両凸部31に衝突して乗り上げ、両
側が持ち上げられる形となって後方に流れるが、その変
形が後方の凹部28で積極的に保持され、傾斜壁26に
衝突して方向転換されながら排出される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溝入れ或いは突っ
切りに使用されるスローアウェイチップ(バイト用チッ
プ)に関し、詳しくは略多角形板状をなし、板厚方向に
切れ刃稜線をもつ切れ刃を複数の角部に有し、立てた状
態でバイトに取付けられて溝入れ或いは突っ切りに使用
されるスローアウェイチップ(以下、多角形板状チップ
又は単にチップともいう)に関する。
【0002】
【従来の技術】溝入れ或いは突っ切り(以下、単に溝入
れという)加工でも他の旋削加工と同様に切り屑が適度
の長さで分断されて順調に排出され、工具に絡み付いた
り仕上げ面に接触することなく安定した切り屑処理がな
されることが重要である。ところが、溝入れ加工では、
切込まれた溝内にさらに切れ刃を送り込む加工形態とな
り、切り屑の排出方向が制限されている上に連続し易い
ため、溝端面に傷を付け易いなど基本的に切り屑処理が
難しい。こうしたことから、溝入れ用のスローアウェイ
チップについては、すくい面に、各種形状のチップブレ
ーカーとして凹部或いは凸部(突起)を設けるなどし、
排出される切り屑の断面をU字形や波型に変形してその
剛性を高め、安定した切り屑処理を図るような対策が講
じられている。
【0003】ところで、この種のチップは、超硬合金、
セラミック、又はサーメットなどの焼結体からなるのが
一般的であるが、こうしたチップは、原料粉体(粉末)
をチップ形状にプレス成形(以下、単にプレス成形とい
う)し、プレス成形された成形体(未焼成成形体)をそ
の後焼結することで製造される。したがって、すくい面
に凸部や凹部を設けたチップは、例えば略矩形で2つの
切れ刃をもつものなど、原料粉体のプレス成形に支障の
ない形状のものに限られており、例えばチップが三角形
板状でその3つの角部に板厚方向に切れ刃稜線をもつも
のなど、略多角形板状をなし、切れ刃稜線を板厚方向に
もつ切れ刃を複数の角部に有するチップでは、その実現
が困難とされていた。これは、プレス成形では、多角形
板状をなすチップの輪郭を内周面にもつ枠状の金型中
に、原料粉体を充填し、板厚(上下)方向にプレスし、
その後、型開きして同方向に成形体を押出すことで、そ
の形成、取出しを行っていることから、多角形の周面を
なす、すくい面に凸部又は凹部がないものに限られるた
めである。もっとも、この凸部又は凹部は、焼成後、放
電加工や機械加工(以下、単に放電加工ともいう)等に
よって形成することも可能であるが、コスト的に実現困
難である。一方、多角形板状チップは、バイトに立てて
取付けられて使用されるもので、通常3以上の切れ刃が
形成できることから、1チップの寿命が2つの切れ刃の
ものより長くなるといったメリットがある。
【0004】こうした中、多角形板状チップでありなが
ら、複雑形状でも成形できる射出成形で成形体(未焼成
成形体)を成形し、これを焼成することでチップとする
提案がある。例えば、特開平7−24607号公報記載
の技術である。このものは、チップのすくい面のうちの
切れ刃稜線寄り部位に四角錐台状などをなす凸部を設
け、溝入れ過程において排出される切り屑をその凸部に
押しつけさせて分断し、その切り屑処理を良くしようと
したものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようなチップによ
る溝入れ切削で排出される切り屑は、すくい面の幅方向
の略中央にある凸部に押し付けられて排出されるため、
その断面が変形されて排出されるが、次のような問題が
あった。というのは、この切り屑は、本来は真後ろに排
出されるべきところ、実際にはチップの微妙な傾きに起
因して、左右のいずれかに振れて排出されるなどによ
り、不安定な切り屑となる。このため、このチップで溝
を入れる場合には、溝端面に切れ屑が衝突して傷を付け
るといった問題ないし危険性が高い。
【0006】加えて、このような切り屑の左右への振れ
による排出方向の不安定性さによって、切り屑はぜんま
い形に巻かれ難く、切り屑処理性においてまだ不十分な
ところがあった。すなわち、多角形板状の溝入れ用チッ
プによれば、切れ刃の数を多く確保できるものの、従来
より知られているチップでは切り屑処理性に難点があっ
た。
【0007】本発明は、こうした問題点に鑑みてなされ
たもので、切り屑処理性に優れた多角形板状の溝入れ用
チップを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記の問題点を解消する
ために本発明は、略多角形板状をなし、切れ刃稜線を板
厚方向にもつ切れ刃を複数の角部に有するスローアウェ
イチップにおいて、すくい面には、その後方に傾斜状を
なす傾斜壁を備えると共に、前記切れ刃稜線寄り部位か
ら前記傾斜壁を分割する部位まで前後に延びる陥没状の
凹部が設けられ、しかも、前記すくい面には、前記切れ
刃稜線の両端寄り部位に隆起状の凸部が設けられている
ことを特徴とする。なお、本明細書において、すくい面
における後方とは、切れ刃稜線から離間する方向つまり
溝入れ(切込み)方向と反対方向をいい、前方とはその
逆をいう。そして、切れ刃稜線の両端寄り部位とは、切
れ刃稜線の両端の各端寄り部位をいう。
【0009】しかして、このチップで溝入れする場合に
おいて生成される切り屑は、2つの凸部に衝突して乗り
上げるため、その両側が持ち上げられるように変形され
て切れ刃稜線から後方に排出される。そして、切れ刃稜
線より後方に凹部があることから、後方へ排出される切
り屑の幅方向の中央は下向き変形が許容される。つま
り、後方に排出される切り屑は、両側が持ち上げられる
ことに加え、その中央が凹部において下向き変形が許容
されていることから、効果的に断面略U字形に変形され
る。こうして、幅が狭くなって後方に流れる切り屑は、
後方の傾斜壁に衝突して方向転換されながら排出される
が、凹部がこの傾斜壁にも切込んで分割しているため、
傾斜壁にて上向きに方向転換される際においても、その
断面の変形が積極的に保持されると共に切り屑の振れ止
め作用をする。すなわち、左右両凸部で変形された切り
屑は、その後の排出過程で断面の変形が損なわれること
なく、その変形が積極的に保持されるために剛性も高
く、狭い幅で安定してカールし、適当長さで切断され
る。かくして、多角形板状チップでありながら、溝端面
に傷を付けることのない、切り屑処理性の高いチップと
なすことができる。
【0010】なお、傾斜状をなす傾斜壁は、後方に向か
うにしたがい、すくい面より高くなるように形成されて
いればよい。すくい面から凹となす円弧状で連なって高
くなるようにするのが好ましいが、すくい面から直線状
に傾斜する傾斜壁であってもよい。また、陥没状の凹部
は、その前端が切れ刃稜線になるべく近い位置にあり、
その後端は、少なくとも凹部の溝断面と同程度の深さ
分、傾斜壁に切込んで傾斜壁を左右に分割しているのが
好ましい。なお、本明細書において左右とは、切れ刃を
前逃げ面側からすくい面を上にして見たときにおける左
右をいう。
【0011】さらに前記凸部は、切れ刃稜線寄り部位で
あって、凹部の前端の両端(左右両端)に存在するよう
に設けるとよい。なお、前記凸部は、独立島状のもので
も、前方にのびるような半島状のものでも良いが、いず
れにしても凸部の前方側(切り屑が衝突する山腹側)は
傾斜状とするとよい。ただし、前記凸部は、前方側が球
面状とされているか、略円錐台状とされているのがより
好ましい。切り屑の衝突時の接触面積を小さくできるた
め、切削抵抗の低減に寄与するためである。
【0012】さらに、本発明のスローアウェイチップ
は、板厚方向に貫通するバイトへの取付け穴が設けられ
ているものにおいて具体化するのが特に有効である。な
お、前記傾斜壁、前記凹部及び凸部は、すくい面に、切
れ刃稜線の中央を横断するように前後方向にのびる直線
を引いたとき、この直線に対して左右対称となるように
左右同様の形状、大きさとするのが好ましい。この様に
しておけば、切り屑が真後ろに排出されやすく、しかも
左右にずれなく、ぜんまい状に巻かれやすいためであ
る。
【0013】そして請求項5に記載の発明は、略多角形
板状をなし、切れ刃稜線を板厚方向にもつ切れ刃を複数
の角部に有し、焼結体からなるスローアウェイチップに
おいて、すくい面には、その後方に傾斜状をなす傾斜壁
を設けるとともに、前記切れ刃稜線の両端寄り部位に隆
起状の凸部を設け、射出成形された未焼成成形体を焼結
してなることを特徴とする。
【0014】このものは、すくい面の後方に傾斜状をな
す傾斜壁を備えているものの、請求項1〜4に記載のス
ローアウェイチップとは異なり、すくい面に、前記切れ
刃稜線寄り部位から前記傾斜壁を分割する部位まで前後
に延びる陥没状の凹部は設けられていない。したがっ
て、この凹部がない分、切り屑を断面略U字形に変形す
る作用効果は低い。しかし、それでも、切り屑がすくい
面の幅方向の略中央にある凸部に押し付けられて排出さ
れるように構成された従来のチップに比べると、凸部が
切れ刃稜線の両端寄り部位に設けられていることから、
切り屑の後方への排出における左右への振れも小さくな
るため、安定した排出が得られる。
【0015】しかも、請求項5に記載のチップは、射出
成形された未焼成成形体を焼結してなるものである。し
たがって、前記切れ刃稜線の両端寄り部位に隆起状の凸
部を設けたものであるが、未焼成成形体を形成する段階
においてその凸部を形成できるので、コストの増大を招
かず製造できる。すなわち、未焼成成形体をプレス成形
で形成する場合には、均質のプレス成形体とする必要か
ら、加工代をみこんだ平坦なすくい面をもつ未焼成成形
体をプレス成形し、その後、焼結して焼成後の平坦なす
くい面に放電加工や機械加工(以下、放電加工という)
などによって凸部を形成することを要する。これに対
し、本発明では、このような加工を要しないことから、
コストの増大を招かず製造できる。
【0016】そして、請求項6に記載の発明は、前記凸
部が、前方側が球面状とされている請求項5記載のスロ
ーアウェイチップである。また、請求項7に記載の発明
は、前記凸部が、略円錐台状とされている請求項5記載
のスローアウェイチップである。さらに、請求項8に記
載の発明は、前記スローアウェイチップは、板厚方向に
貫通するバイトへの取付け穴が設けられている請求項
5、6又7記載のスローアウェイチップである。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明に係るチップの実施形態に
ついて、図1〜図5を参照して詳細に説明する。図中、
1は本実施形態に係る溝入れ用チップであり、全体が略
三角形板状をなし、3つの角部(コーナー)13には図
2に示したように、切れ刃稜線14を板厚方向にもつ切
れ刃15を備えている。ただし、板状の一面(図1手前
の面)側は、3つの角部13の近傍の横逃げ面17を除
いて厚肉とされてバイトへの取付け部18とされてい
る。そして、この取付け部18の略中央にはバイトへの
取付け穴19が貫通して設けられている。本形態のチッ
プ1における3つの切れ刃15はいずれも同じ構成のた
め、以下、一の切れ刃15について説明する。なお、こ
のようなチップ1は、超硬合金、サーメット又はセラミ
ックなどの焼結体からなるものである。
【0018】すなわち、本形態のチップ1は、角部13
を挟んで連なる2つの周面21には、切れ刃稜線14を
挟んですくい面23と前逃げ面24が形成され、1つの
切れ刃15を構成している。この切れ刃15の切れ刃稜
線14は、チップ1の板厚方向に略垂直な直線状をなし
ている。すくい面23は、上から見て略矩形をなすと共
に、その両側縁面は僅かの後退角が付けられており、後
方に向かうにしたがい、やや幅狭となりかつすくい面2
3より下方にいくにしたがい横逃げ角がつくように形成
されている。なお、切れ刃稜線14の長さW(すくい面
23の幅)は、例えば3mm程度である。
【0019】一方、このようなすくい面23の後方に
は、後方に向かうにしたがって高くなる(隆起する)よ
うに傾斜する傾斜壁26が設けられている。このような
傾斜壁26は、本形態ではその傾斜がすくい面23に対
して45度程度であり、高さH2は、0.5mmとされ
ている。なお、切れ刃稜線14から傾斜壁26の頂部
(チップ周面21と傾斜壁26の交差稜)までのすくい
面23を上から見た時(平面視)の長さLは、3mm程
度とされており、ブレーカー範囲とされている。
【0020】また、すくい面23には、略一定の幅で、
切れ刃稜線14寄り部位から後方に延びる陥没状の凹部
28が設けられている。この凹部28は、傾斜壁26に
切込まれるように形成され、傾斜壁26をその略中央で
分割して幾分後方に延びている。このような凹部28
は、中央が一定深さ(H3)で平坦な底部29を有し、
底部29の周囲は傾斜状に浅くなっており、その深さH
3は、0.5mm程度とされている。なお、凹部28の
底部周囲のうち、切れ刃15側はすくい面23に対し角
度α(例えば45度程度)で浅くなっており、後方も同
程度の角度で浅くなって、チップ周面(傾斜壁26の頂
部)21に切りあがっている。なお、傾斜壁26におけ
る凹部28の溝深さはすくい面23における凹部28の
平坦な底部29の溝深さ(H3)と略同じとされてい
る。また凹部28の底部29の周囲のうち、すくい面2
3の前後方向に直交する左右両端側はすくい面23に対
し、角度β(例えば20度程度)で浅くなるように構成
されている。
【0021】こうして、すくい面23のうち、切れ刃稜
線14に沿う微小な一定幅部位と左右両端側に沿う一定
幅(W2)部位とが平坦部とされている。なおこの幅W
2は、切れ刃稜線14の長さWの1/6程度とされ、左
右の傾斜壁26の幅と略同じとされている。一方、すく
い面23の切れ刃稜線14の両端の各端寄り部位であ
り、凹部28の切れ刃稜線14寄り端部の左右両端近傍
には、円錐台状に隆起する凸部31を備えている。な
お、凸部31のすくい面23からの高さH1は、0.2
mmとされている。
【0022】このようなチップ1は、図示しないバイト
のチップ取付け座に、立て置き状にその取付け部18を
配置、着座させ、取付け穴19に挿入されるクランプネ
ジやロックピン等のクランプ手段を介してバイトへ着脱
自在にクランプされ、旋削における溝入れ加工に使用さ
れる。
【0023】しかして、このようなチップ1で溝入れす
る場合において、切り屑は次のように排出される。すな
わち、切れ刃15にて切込まれると、切れ刃稜線14の
長さを幅とする一定厚さの切り屑が生成され、すくい面
23の後方に向けて排出されるが、その切り屑は、前方
の2つの凸部31に衝突して乗り上げるため、その両側
が持ち上げられるように断面U型に変形されて後方に排
出される。さらに、切り屑は、切れ刃稜線14より後方
に凹部28があることから、その幅方向の中央は下向き
変形が許容されるため、U型変形が保持されたまま流れ
る。
【0024】こうして後方に排出される切り屑は、両側
が持ち上げられることに加え、中央下面が仮に凹部28
がないとすれば下向き変形が押し戻されるような作用を
うけるのに対し、凹部28があることから効果的に断面
略U字形とされて幅が狭くなって後方に流れる。後方に
流れた切り屑は、後方の左右両側の傾斜壁26に衝突し
て上向きに方向転換されながら排出されるが、凹部28
がこの傾斜壁26にも切込んでいるため、傾斜壁26に
て方向転換される際においても、その断面の変形が積極
的に保持される。と同時に切り屑は傾斜壁26の凹部2
8に案内されて流れるため、左右への振れが防止されて
流れることになる。このように本形態においては、左右
両凸部31で変形された切り屑はその後の排出過程で断
面の変形が損なわれることなく排出される。したがっ
て、幅が狭くかつ安定してカールし、適当長さで切断さ
れる、安定した切り屑となすことができる。かくして、
多角形板状チップ1でありながら、溝端面に傷を付ける
ことも防止できる。
【0025】本形態のチップ1は超硬合金などの焼結体
製とされるのが普通であるが、射出成形による未焼成成
形体の段階で、凹部28及び凸部31を形成すること
で、問題なくその製造ができる。すなわち、原料粉体に
バインダーを混合して流動性を与えた生地をつくり、樹
脂射出成形製品と同様、これを射出成形型中に射出(充
填)して成形体とし、これを型開きして取出し、その後
焼結することで製造できる。
【0026】なお、本形態では三角チップであることか
ら、射出成形型のうち、チップの周面(板厚面)21を
なす型を、中央から120度間隔で分割可能に形成し、
それぞれを120度間隔で放射状方向に動くものとして
おくことで、その型開き(抜き)をするようにすればよ
い。このように射出成形によって未焼成成形体を形成で
きることから、焼成後の平坦なすくい面に放電加工によ
って凹部及び凸部を成形する場合に比べ、格段に低コス
トで製造できるし、プレス成形することにより成形体を
製造する場合と比べても、略同一コストでの製造が可能
となる。なお、本形態では凸部を略円錐台状のものとし
て具体化したが、球面状の凸部として具体化してもよ
い。
【0027】さて次に、本発明の前記実施形態のチップ
(試料No.5)と比較例チップ(試料No.1〜4)
とで同一溝入れ加工をし、それぞれの切り屑の排出性を
評価し、比較した。比較例1(試料No.1)は、すく
い面に凹部がなく、切れ刃稜線寄り部位の幅方向中央に
本形態と同様の凸部を1つ設けたもので、凸部の後方に
傾斜壁がないものである。比較例2(試料No.2)
は、すくい面に凸部はないが、本形態と同様の凹部を同
位置に設けたもので、凹部の後方に傾斜壁はないもので
ある。比較例3(試料No.3)は、すくい面に凹部は
ないが、すくい面の後方に分割された傾斜壁があり、本
形態と同様の凸部を同位置に2つ設けたものである。比
較例4(試料No.4)は、本形態と同様の凸部を同位
置に2つ設けたものであり、すくい面にも凹部を設けた
ものであるが、凹部後方に分割されていない傾斜壁があ
るもの(凹部の後端が傾斜面に至っていないもの)であ
る。なお、切削条件は次のようである。被削材:S45
C、加工径(被削材の加工前直径):φ55mm。切削
速度:100m/min、切削送り速度:0.05〜
0.3mm/rev、切込み量(溝深さ):3.0m
m、切削油:DRY。結果は表1に示したとおりであ
る。
【0028】
【表1】
【0029】以上の結果のとおり、比較例1(試料N
o.1)のものの評価は、いずれの切削送りにおいて
も、すくい面に設けられた1つの凸部によって切り屑断
面の変形はあるが、ぜんまい状とならず団子状の不安定
な切り屑であった。また、比較例2(試料No.2)の
ものの評価は、いずれの切削送りにおいても、凹部の溝
の効果によって切り屑断面の変形はあるが、凹部の後方
に傾斜壁がないため、ぜんまい状とならず団子状の不安
定な切り屑であった。そして、比較例3(試料No.
3)のものの評価は、切削送り:0.05〜0.1mm
/revにおいては、切り屑断面の変形が少なく、ぜん
まい状の切り屑とならずやや不安定な切り屑であった。
しかし、切削送り:0.2〜0.3mm/revにおい
ては、切り屑の変形は少ないが(0.05〜0.1mm
/revのときよりは大きい)、ぜんまい状の切り屑と
なり、極めて安定した切り屑であった。
【0030】そして、比較例4(試料No.4)のもの
の評価は、いずれの切削送りにおいても切り屑断面の変
形があった。ただし、切削送り:0.05〜0.1mm
/revにおいては安定した切り屑であったが、切削送
り:0.2〜0.3mm/revにおいてはやや不安定
な切り屑であった。このような比較例の各評価に対し、
本発明品(試料No.5)における評価は、いずれの切
削送りにおいても切り屑断面の変形があった。そして切
削送り:0.05〜0.1mm/revにおいては、ぜ
んまい状の安定した切り屑となり、切削送り:0.2〜
0.3mm/revにおいては、極めて安定したぜんま
い状の切り屑であった。これらの結果は、本発明の効果
を実証するものである。
【0031】さて次に、本発明の請求項5の実施の形態
について図8〜14を参照して詳細に説明する。ただ
し、このものは、前記形態における陥没状の凹部がない
点のみが前記形態と相違する。したがって、この相違点
を中心に説明し、同一の部位には同一の符号を付し、適
宜その説明を省略する。
【0032】本形態のチップ51においては、すくい面
23は平坦であり、そのすくい面23の後方に傾斜状を
なす傾斜壁26を備えている。そして、すくい面23に
は、切れ刃稜線14の両端の各端寄り部位に隆起状の凸
部31が設けられている。しかして、前記形態のように
本形態のチップは、すくい面23に凹部がないものの、
左右両側に2つの凸部31があるため、ワーク外周面に
溝を入れるように切り込まれるときは、切り屑は次のよ
うに排出される。
【0033】すなわち、このようなチップ51の切れ刃
15にて切込まれると、切れ刃稜線14の長さを幅とす
る一定厚さの切り屑が生成され、すくい面23の後方に
向けて排出される。その切り屑は、前方の2つの凸部3
1に衝突して乗り上げるため、その両側が持ち上げられ
るように断面U型に変形され、その幅が狭くなって後方
に排出される。このとき、切り屑は、切れ刃稜線14よ
り後方の平坦なすくい面23に沿ってその断面U型形状
のまま、後方に流れる。そして後方に流れた切り屑は、
後方の左右両側の傾斜壁26に衝突して上向きに方向転
換されながら流れるが、前方の2つの凸部31の作用に
より、左右への振れが防止されて流れるため、安定した
切り屑処理が得られる。
【0034】このように本形態では、前記形態のよう
に、すくい面に陥没状の凹部がないため、前記形態のも
のに比べると、切り屑を断面略U字形に積極的に変形さ
せる作用効果は低い。しかし、それでも、従来のチップ
による場合のように切り屑がすくい面の幅方向の略中央
にある凸部に押し付けられて排出される場合に比べる
と、切り屑の後方への排出における左右への振れも小さ
くなるため、安定した排出が得られる。
【0035】なお、本形態のスローアウェイチップ51
は、超硬合金などの未焼成成形体を焼結してなる焼結体
からなるものであるが、その未焼成成形体は射出成形に
より形成してなるものである。したがって、未焼成成形
体をプレス成形して製造した後で焼成して得たスローア
ウェイチップ仕掛かり品(焼結体)の平坦なすくい面部
分に対し、その後、例えば放電加工によって凹部及び凸
部を成形する製法による場合に比べ、格段に低コストで
製造できる。また、射出成形することで未焼成成形体を
製造することとしたため、プレス成形することにより未
焼成成形体を製造する場合と比べて、略同一コストでそ
の未焼成成形体を製造できる。
【0036】なお、射出成形により未焼成成形体を成形
するのに用いる射出成形型の型割面や分割型数は特に限
定されるものではなく、チップ形状に応じて、適宜の型
割面や分割型数とすればよい。つまり、射出成形では、
型閉じして製品に対応したキャビティーが形成され、そ
のキャビティー内に原料粉体にバインダーを混合して流
動性を与えた生地を射出(充填)してそれが形成でき、
その形成後において型開きして射出成形した未焼成成形
体を取出すことができればよい。したがって、その型割
面や分割型数は特に限定されるものではない。ただし、
前記もしたように、チップ51の板厚方向に開閉する2
つの型と、チップの周面(板厚面)21つまり三角チッ
プであればその三辺をなす3つの型の全部で5つの型か
らなる射出成形型とするのが好ましい。なお、三角チッ
プであればチップの3つの周面(板厚面)21をなす型
は、それぞれ一辺に対応するように120度間隔で3つ
に分割して形成し、それぞれを周面21の各辺に対して
例えば直角方向(120度間隔の放射状方向)に動くも
のとしておくことで、その型の開閉をするような設計に
しておけばよい。
【0037】前記形態では三角チップにおいて本発明の
溝入れ用チップを具体化したが、本発明は、略多角形板
状をなし、切れ刃稜線を板厚方向にもつ切れ刃を複数の
角部に有するスローアウェイチップについては、いずれ
のものにおいても具体化できるものであり、本発明の要
旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更して具体化で
きる。例えば、平行四辺形、正方形等の略多角形板状を
なし、切れ刃稜線を板厚方向にもつ切れ刃を複数の角部
に有するチップなど、バイトに立て置きでクランプされ
るものに広く適用できる。
【0038】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、略多角形板状をなし、切れ刃稜線を板厚方向
にもつ切れ刃を複数の角部に有するスローアウェイチッ
プでありながら、溝入れ加工において安定した切り屑が
得られるため、切り屑処理性に優れると共に溝端面に傷
を付けることの防止にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスローアウェイチップの斜視図。
【図2】図1のA部(要部)拡大図。
【図3】図2のチップ要部をすくい面に沿って横逃げ面
側から見た図。
【図4】図2のチップ要部をすくい面側から見た平面
図。
【図5】図2のチップ要部を前逃げ面側から見た図。
【図6】凹部を説明する図3中のB−B線断面図。
【図7】凹部を説明する図3中のC−C線矢視断面図。
【図8】本発明の請求項5のスローアウェイチップの斜
視図。
【図9】図8のA部(要部)拡大図。
【図10】図9のチップ要部をすくい面に沿って横逃げ
面側から見た図。
【図11】図9のチップ要部をすくい面側から見た平面
図。
【図12】図9のチップ要部を前逃げ面側から見た図。
【図13】図10中のB−B線断面図。
【図14】図10中のC−C線矢視断面図。
【符号の説明】
1、51 スローアウェイチップ 13 角部 14 切れ刃稜線 15 切れ刃 19 取付け穴 23 すくい面 26 傾斜壁 28 凹部 31 凸部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 略多角形板状をなし、切れ刃稜線を板厚
    方向にもつ切れ刃を複数の角部に有するスローアウェイ
    チップにおいて、 すくい面には、その後方に傾斜状をなす傾斜壁を備える
    と共に、前記切れ刃稜線寄り部位から前記傾斜壁を分割
    する部位まで前後に延びる陥没状の凹部が設けられ、 しかも、前記すくい面には、前記切れ刃稜線の両端寄り
    部位に隆起状の凸部が設けられていることを特徴とする
    スローアウェイチップ。
  2. 【請求項2】 前記凸部は、前方側が球面状とされてい
    る請求項1記載のスローアウェイチップ。
  3. 【請求項3】 前記凸部は、略円錐台状とされている請
    求項1記載のスローアウェイチップ。
  4. 【請求項4】 前記スローアウェイチップは、板厚方向
    に貫通するバイトへの取付け穴が設けられている請求項
    1、2又3記載のスローアウェイチップ。
  5. 【請求項5】 略多角形板状をなし、切れ刃稜線を板厚
    方向にもつ切れ刃を複数の角部に有し、焼結体からなる
    スローアウェイチップにおいて、 すくい面には、その後方に傾斜状をなす傾斜壁を設ける
    とともに、前記切れ刃稜線の両端寄り部位に隆起状の凸
    部を設け、射出成形された未焼成成形体を焼結してなる
    ことを特徴とするスローアウェイチップ。
  6. 【請求項6】 前記凸部は、前方側が球面状とされてい
    る請求項5記載のスローアウェイチップ。
  7. 【請求項7】 前記凸部は、略円錐台状とされている請
    求項5記載のスローアウェイチップ。
  8. 【請求項8】 前記スローアウェイチップは、板厚方向
    に貫通するバイトへの取付け穴が設けられている請求項
    5、6又7記載のスローアウェイチップ。
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