JP2001321949A - プラズマアークスポット溶接機 - Google Patents

プラズマアークスポット溶接機

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Abstract

(57)【要約】 【課題】1サイクルの正常な溶接シーケンスに従ったア
ーク電圧の挙動から現在の溶接状況を監視して様々な溶
接異常を判別し、溶接品質の安定化を図ったプラズマア
ークスポット溶接機を提供する。 【解決手段】溶接機(10)は、アーク電圧を計測する電圧
計測手段(26)と1サイクルの正常な溶接シーケンスの全
工程に従って発生する電圧変動基準曲線を記憶する記憶
手段とを備えている。前記電圧計測手段(26)により連続
して実測される複数の実測変動電圧領域と前記電圧変動
基準曲線上の対応する複数の領域の基準変動電圧とを連
続的又は断続的に比較する。その比較値が予め設定され
た範囲(A〜D)や時間帯(T1 〜T5) から逸脱したか否かを
判断する。異常であると判断すると、その指令は所要の
信号に変換され、警報表示装置に連動する。爆飛発生、
リーク発生、ワイヤ送給異常、ガス流量異常やキーホー
ル形成不良等の異常現象に対して溶接機(10)本体の構成
部材(11 〜15) 等の作動を制御することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の技術分野】本発明はアーク電極、ノズル、シ
ールドキャップ、フィラーワイヤ等の構成部材を備え、
プラズマアークを用いてワークをスポット溶接するプラ
ズマアークスポット溶接機に係わり、特に、1サイクル
の正常な溶接シーケンスに基づいて溶接状況を監視可能
にしたプラズマアークスポット溶接機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、亜鉛メッキ鋼板を溶接するTIG
溶接機がある。かかる溶接機を用いた溶接方法が、例え
ば特開平7−40050号公報に開示されている。亜鉛
メッキ鋼板のTIG溶接方法によると、一般的に亜鉛の
沸点は約910℃と低いため、板厚が1.5及び3mm
の板が重なっている部分の亜鉛メッキがアークにより加
熱されると瞬時に溶融沸騰して亜鉛蒸気となる。この亜
鉛蒸気は、沸点が低い亜鉛メッキを含んだ溶融池内に侵
入する。この溶融池にアーク入熱が投入され続けると、
同溶融池内に侵入した亜鉛蒸気は膨脹して溶融池表面か
ら吹き出る。
【0003】このとき、同溶融池表面が振動して、その
表面の高さが高くなる。その結果、溶融金属がタングス
テン電極に付着して、この電極と前記溶融池とが短絡
し、同電極が汚損して変形するとしている。また、前記
電極と溶融池との短絡が破れてアークが再生するとき、
アークは電極の上方から発生しやすく、アーク再生時の
電圧が高くなる。このため、アーク入熱が過大となり、
溶け落ちが発生するとしている。
【0004】かかる不具合を解決するため、上記公報に
開示された亜鉛メッキ鋼板のTIG溶接は溶接中に発生
する沸騰現象が生じ初めて溶融池の振動が大きくなる前
に、アークの電圧降下が2〜3V程度生じることを検出
する。更に、この検出信号により溶接電流を5〜10m
秒の期間だけ一時的に、アークを維持できる低い電流値
に減少させるか、或いは溶接電流を零にすることにより
前記沸騰現象を抑制しながら、TIG溶接する。この従
来の亜鉛メッキ鋼板のTIG溶接は前記タングステン電
極と溶融池との短絡によって生じる電極の汚損を防止
し、同電極の汚損後に生じる溶け落ちを防止している。
【0005】一方、図8に示すように、例えば間隔をお
いて上板16a及び下板16bを重ね合わせた亜鉛メッ
キ鋼板からなるワーク16をスポット溶接するプラズマ
アークスポット溶接機10が知られている。この溶接に
よると、同図(a)及び(b)に示すごとく前記上板1
6aの溶接部にノズル12から吹き出したプラズマアー
クを着火させ、前記上板16aに穴を明けて貫通する
と、プラズマアークにより前記下板16bの溶接部が加
熱される。上下の各板16a,16bの溶接部を充分に
加熱したのち、同図(c)に示すごとく鉄部材からなる
フィラーワイヤ14をプラズマアーク中に送給して融か
すことにより、同フィラーワイヤ14の溶融鉄を各板1
6a,16bの溶接部に落下させ、各板16a,16b
をスポット溶接する。
【0006】このとき、同図(d)及び(e)に示すご
とく、溶融した上板16aの一部が広い範囲にわたって
覆い被さるように前記下板16b上に落下すると、亜鉛
は鉄の溶融温度よりも極めて小さいため、互いの溶融温
度差により前記ワーク16の亜鉛メッキが急激に気化し
て膨脹する。その爆発的な膨脹により急激に発生した亜
鉛ガスが逃げられなくなり、亜鉛ガスの圧力により、溶
融池を形成しているワーク16の一部が爆発的に吹き飛
ばされるような爆飛が発生する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述の特開
平7−40050号公報に開示された亜鉛メッキ鋼板の
TIG溶接方法は、溶接中にアーク電圧が数V低下する
現象に基づいてアーク電圧が数V低下したとき、アーク
を維持できる低い電流値に減少させて溶融池の沸騰現象
を抑制している。しかしながら、上記プラズマアークス
ポット溶接においては、従来の上記公報に開示されたT
IG溶接等とは異なり、1サイクルの溶接工程中に溶接
電流やプラズマガスの流量等を変化させるため、それ自
体によってもアーク電圧が変化する。このため、アーク
電圧の変化に基づいて溶接現象を判別して制御するに
は、現在、どのような溶接条件下で溶接を行っているか
ということを考慮しなければならない。
【0008】本件発明者等は、プラズマアークスポット
溶接において、アーク電圧の計測や高速度カメラによる
撮影等により溶接中の現象を調査し、アーク電圧の変化
と溶接中の現象との関係を究明した。その結果、プラズ
マアークスポット溶接にあっては、以下のように上記の
ごとき爆飛の他にも、リークにより発生する溶接異常や
キーホールの形成不良、ガス流量異常、ワイヤ送給異常
により溶接不良が生じることを知った。
【0009】(1)爆飛について、上述した爆飛は溶接
中に最長で約5m秒程度の極めて短い短絡で発生する。
爆飛現象は溶接時にいつでも発生し得るものであり、1
サイクルの溶接工程中に数回起きることもある。溶接品
質は発生タイミングや発生回数等により影響の度合いが
異なる。プラズマアークスポット溶接にあっては、比較
的短時間に必要な量のフィラーワイヤを溶接部に供給す
るため、爆飛により溶融金属の一部が吹き飛ぶと、ワー
クに切れ等の溶接不良を生じる確率が高い。
【0010】爆飛が溶接の初期に起こったときは、爆飛
後にフィラーワイヤを供給するため、溶接異常とならな
い場合もある。溶接自体には影響がなくても、吹き飛ば
された溶融金属の一部がアーク電極、ノズルやシールド
キャップ等に付着し、瞬間的に新たな電気経路が形成さ
れるため、ワークに投入するアーク電圧(投入電力)が
低下して、その後の溶接に悪影響を及ぼすこともある。
【0011】(2)リークについて、ここで、リークと
は、例えばノズルとシールドキャップとの間に発生する
短絡、ノズルとフィラーワイヤとの間に発生する短絡、
ノズルとワークとの間に発生する短絡などをいう。これ
らの短絡原因として、ノズルとシールドキャップとの間
のガス通路にスパッタが堆積して短絡経路を形成するこ
と、ワークの溶融金属の一部が盛り上がってノズルに接
触すること、溶融したフィラーワイヤの先端がノズルに
接触することなどが挙げられる。リーク現象は1サイク
ルの溶接工程中に連続的に又は断続的に発生する。
【0012】上記爆飛との違いは、特に、アーク電圧が
減少する継続時間が長いという点にある。既述したごと
きスパッタ堆積等を除去しなければ、溶接時はいつでも
発生する。そのスパッタ堆積が自然に除去されることも
ある。リーク発生時間が長いと溶接品質に及ぼす影響は
大きいが、上記爆飛現象と同様に発生タイミングや発生
回数等により溶接品質への影響の度合いが異なる。
【0013】プラズマアークスポット溶接機にあって
は、前記シールドキャップとフィラーワイヤとはワーク
と同電位に構成されている。このため、例えば電気的な
絶縁状態にあるノズルとシールドキャップとが短絡する
と、そのノズルが前記ワークと同電位となる。このた
め、溶接電流が上記アーク電極と前記ノズルとに流れ、
上記アーク電極と前記ワークとの抵抗が変わり、アーク
電圧が変わる。溶接電流が上記アーク電極と前記ノズル
とに流れるため、前記ワークへの投入電力が減り、溶接
不良となる場合がある。上記アーク電極と前記ノズルと
の電気絶縁性が減少するプラズマガス流量切換え後に発
生することが多いが、溶接開始以前から短絡していた場
合には溶接開始の直後に発生することもある。
【0014】(3)キーホール形成不良について、間隙
をおいて上板及び下板を重ね合わせたワークをスポット
溶接するとき、前記上板の貫通穴を介してプラズマアー
クがプラズマガスの流れに乗って伸びるため、アーク長
がアーク電極と前記下板との間の長さとなり、アーク電
圧が大幅に上昇する。従って、キーホールの形成タイミ
ングになっても、アーク電圧が上昇しなければ、キーホ
ールの形成不良となる。また、キーホール形成による電
圧の上昇が大きすぎるとき、或いはキーホールの形成時
間が長く続くときには前記下板を貫通するおそれがあ
る。
【0015】キーホールの形成時における溶接条件にお
いて、何らかの原因により前記ワークにおけるキーホー
ルの形成を失敗すると、フィラーワイヤをプラズマアー
ク中に投入しても、ワークに貫通穴や切れ等の溶接不良
が生じる。ワークに形成した穴を埋めて上下の各板同士
を接合することができず、溶接強度等が低下する。
【0016】(4)ガス流量異常について、プラズマア
ークスポット溶接機にあっては、溶接対象であるワーク
に対するプラズマアークの着火性を向上させることなど
を目的としてプラズマガスの流量切換えを行う。プラズ
マガス流量を多くするとアーク電圧は上がり、そのガス
流量を少なくするとアーク電圧は下がる。従って、プラ
ズマガス流量が切り換わるとアーク電圧に変化を生じる
が、プラズマガスが不足している場合やガス供給装置や
配管等の関連装置に異常がある場合などはプラズマガス
流量を切換えたにもかかわらず、アーク電圧に変化を生
じない。プラズマガス流量はノズル拘束部でのアーク電
圧の上昇に大きく影響するため、プラズマガス流量が大
きい場合は、プラズマガス流量が小さい場合と比べる
と、アーク電圧は大幅に上昇する。
【0017】(5)ワイヤ送給異常について、この異常
現象としては、フィラーワイヤの送給指令が出力されて
いるにもかかわらず、フィラーワイヤ送給が指令通りに
行われないことなどが挙げられる。その原因として、フ
ィラーワイヤの形態不良や不足、ワイヤ送給装置等の関
連装置の故障などがある。従って、フィラーワイヤの送
給を指令したときでなければ、フィラーワイヤ送給の機
械的な異常を判断することはできない。
【0018】本発明は、かかる従来の課題を解消すべく
なされたものであり、その具体的な目的は、1サイクル
の正常な溶接シーケンスに従ったアーク電圧の挙動から
現在の溶接状況を監視して様々な溶接異常を判別し、溶
接品質の安定化を図ったプラズマアークスポット溶接機
を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段及び作用効果】本件発明者
等は、上述のごとく1サイクルの溶接シーケンスの全工
程で発生する現象を踏まえて、上記課題を解決すべく鋭
意検討を重ねたところ、1サイクルの溶接工程中に発生
する正常なアーク電圧の挙動に基づいて、溶接中に連続
して実測されるアーク電圧の変動を監視することにより
上記問題が解決されるとの結論に達した。
【0020】すなわち、溶接の開始時点から終了時点ま
での最適な溶接シーケンスの全工程にわたって電圧変動
を測定し、その電圧変動と溶接中に連続して実測される
変動電圧とを比較し、例えば約5m秒内に終了する大き
な電圧低下が生じたとき、その上記爆飛による異常現象
であると判断する。この判断がなされたとき、溶接を一
時停止し、トーチの点検を行うか、或いはそのまま溶接
を継続し、次の異常現象を検出したとき、その異常現象
が前回の爆飛による影響によるか等を検討する。その検
討結果に基づき、本発明のプラズマアークスポット溶接
機の構成部材の作動を制御し、或いは溶接シーケンスの
プログラムを変更する。
【0021】本件請求項1に係る第1の発明は、アーク
電極、ノズル、シールドキャップ、フィラーワイヤなど
の構成部材を備え、プラズマアークを用いてワークをス
ポット溶接するプラズマアークスポット溶接機にあっ
て、アーク電圧を計測する電圧計測手段と、1サイクル
の正常な溶接シーケンスに従って発生する電圧変動基準
曲線を記憶する記憶手段と、前記電圧計測手段により連
続して実測される実測変動電圧領域と前記電圧変動基準
曲線上の対応する領域の基準変動電圧とを比較する少な
くとも2以上の比較手段と、同比較手段により比較され
た比較値が予め設定された許容範囲を越えたとき異常で
あると判断する判断手段とを備えてなることを特徴とし
ている。
【0022】ここで、前記電圧変動基準曲線とは、1サ
イクルの正常な溶接工程中に、ガス流量の切換時におけ
るアーク電圧低下、フィラーワイヤの送給開始時におけ
るアーク電圧低下、同フィラーワイヤの送給終了時にお
けるアーク電圧上昇などによる正常なアーク電圧の変化
を示すものであって、正常な溶接工程において得られる
溶接時間に対するアーク電圧の変動を予め制御部におい
て演算により得た基準曲線である。
【0023】この第1発明において、1サイクルの溶接
中に、連続して実測される実測変動電圧領域とは、溶接
工程の全域であったり、或いは特定の時間帯の領域であ
ったり、任意に決めることができるが、例えば爆飛であ
れば溶接工程の全域に発生する可能性を含むため全領域
で電圧測定が必要であり、或いはガス流量の変動に基づ
く電圧の急激な変動はガス供給流量の切換え時に発生し
やすいことから、前記領域をガス流量切換え時の時間帯
とし、また例えばフィラーワイヤの送給時の送給不良に
よる電圧低下の減少等を監視するにはフィラーワイヤの
送給時の時間帯を前記領域として設定しておく必要があ
る。
【0024】本発明にあっては、前述のごとく設定され
た複数の領域を常時監視することに特徴があり、1サイ
クルの正常な溶接シーケンスに従って予め記憶された前
記電圧変動基準曲線上の複数の上記領域における基準変
動電圧と、対応する複数の領域における実測変動電圧と
が継続的又は断続的に比較される。その比較値が予め設
定された許容範囲を越えたとき、正常な溶接を阻害する
異常があると判断される。
【0025】上記構成を備えることにより、1サイクル
の正常な溶接シーケンスに従ったアーク電圧の挙動から
現在の溶接状態を連続的に又は断続的に監視して様々な
溶接異常を即座に判別ができると共に、各異常現象同士
の因果関係の究明材料とすることができるため、そのメ
ンテナンスが容易であり常に安定した溶接品質を効果的
に得ることができる。
【0026】また、例えば重ね合わせた複数のワークを
溶接対象とする場合がある。この場合には一枚目のワー
クに着火して貫通穴を明けるときのアーク電圧と、その
貫通穴を介して次位のワークに着火するときのアーク電
圧とは異なる。つまり、各ワーク間の隙間寸法が広いと
きにはアーク電圧は大きく上昇し、各ワーク間の隙間寸
法が狭いときにはアーク電圧の上昇は小さくなる。この
ときのアーク電圧の変化を監視することにより各ワーク
間の隙間寸法の測定が行われる。
【0027】このようにアーク電圧の変化を監視するこ
とにより、プラズマガス流量の供給時間や供給量等が効
果的に制御できると共に、ワークに対するアーク入熱が
適切に制御できる。また、この制御に基いて、ワークの
穴形成後のフィラーワイヤの供給時間や供給量を増減す
れば、各種のワーク同士を正確に且つ効率的に溶接する
ことができる。
【0028】請求項2に係る第2の発明は、一部の上記
実測変動電圧領域が、少なくともリーク発生領域である
ことを特徴としている。この第2発明は、1サイクルの
溶接工程中に、上記実測変動電圧領域と前記電圧変動基
準曲線上の対応する領域の基準変動電圧とを比較したと
き、その比較値が予め設定された許容範囲外のアーク電
圧まで低下し、その低下時間が継続して約5m秒を越え
た場合にはリークの発生と判断することができる。
【0029】この第2発明によれば、1サイクルの溶接
工程中に予め設定したリーク発生時間や回数以上であっ
て継続的に又は断続的に前記許容範囲外のアーク電圧の
低下を生じたときをリークとし、例えば約5m秒内の瞬
間的なアーク電圧の低下を生じたときを爆飛として判断
することができる。1サイクルの溶接工程中に発生した
リークや爆飛の各異常現象を個別に且つ的確に把握する
ことができる。
【0030】請求項3に係る第3の発明は、一部の前記
実測変動電圧領域が、少なくともプラズマガスの供給量
切換え領域であることを特徴としている。溶接中にプラ
ズマガスを大流量から小流量に切り換えるときアーク電
圧は低下する。この第3発明は、プラズマガス切換開始
時点から一定の時間内の予め設定された許容範囲(電圧
低下域)の値だけ低下しなかったとき、ガス流量異常が
発生したと判断とすることができる。プラズマガスの供
給量を切り換えたにもかかわらず、一定の時間内に所要
のアーク電圧の変化を生じなかった場合にはプラズマガ
ス流量の切換えが円滑に行われなかったと判断でき、ガ
ス供給装置や配管等の関連装置に異常があることが分か
る。
【0031】請求項4に係る第4の発明は、一部の前記
実測変動電圧領域が、少なくともキーホール形成領域で
あることを特徴としている。この第4発明は、キーホー
ルを形成するとき、キーホール形成開始時点から予め設
定された時間内のアーク電圧上昇を監視する。その監視
によるアーク電圧上昇が許容範囲から逸脱したとき、キ
ーホール形成の関連装置に何らかの異常が発生したと判
断することができる。このとき、アーク電圧の上昇時間
を監視して異常を発見することもできる。
【0032】キーホールの形成時間帯のアーク電圧を計
測することにより、例えば重ね合わされた複数のワーク
にキーホールを形成するとき、最下位に配されたワーク
を貫通させるおそれもなく、所望のキーホールを瞬時に
形成することができると共に、貫通穴や切れ等の溶接不
良を防止することができる。1サイクルの正常な溶接シ
ーケンスに従って、複数のワーク間の間隙寸法、プラズ
マガス流量、溶接電流、フィラーワイヤ送給の開始タイ
ミング等を適宜に設定することにより、ワークのキーホ
ールが効果的に形成される。
【0033】請求項5に係る第5の発明は、一部の前記
実測変動電圧領域が、少なくともフィラーワイヤの送給
領域であることを特徴としている。フィラーワイヤが送
給された状態では、上記アーク電極とフィラーワイヤと
の間の距離が実質的なアーク長となり、フィラーワイヤ
が送給されていない状態では上記アーク電極とワークと
の間の距離がアーク長となる。フィラーワイヤとワーク
とは同電位で構成されているため、フィラーワイヤが送
給されたときのアーク電圧はフィラーワイヤが送給され
ていないときのアーク電圧よりも小さくなり、アーク電
圧は低下する。
【0034】この第5発明によれば、1サイクルの正常
な溶接シーケンスに従って送給されるフィラーワイヤの
送給開始時点から予め設定された時間内におけるアーク
電圧の低下状況を監視することができる。予め設定され
た時間内のアーク電圧の低下が許容範囲から逸脱したと
き、フィラーワイヤ送給の関連装置に何らかの異常が発
生したと判断することができる。フィラーワイヤを退避
させるときも、予め設定された時間内のアーク電圧上昇
を監視することができる。アーク電圧がフィラーワイヤ
送給終了時点から予め設定された時間内に許容範囲から
逸脱するとき、例えばアーク電圧が上記基準線を越えて
大きく上昇したとき、或いはその上昇が極端に少ないと
き、異常が発生したと判断することができる。
【0035】こうして、アーク電圧を計測することによ
りフィラーワイヤの送給や退避状態が即座に判断でき
る。また、フィラーワイヤがアーク中に入った瞬間、即
ちフィラーワイヤに溶接電流が流れたことを検出するこ
とができる。また、その検出タイミングはフィラーワイ
ヤ送給装置とトーチ先端でのフィラーワイヤの遊び量や
遣い回しの固さ等により送給指令のタイミングから幾分
の遅れがあるため、その遅れを比較してフィラーワイヤ
送給の関連装置の機械的な誤差を監視することができ
る。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を添付図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明
の代表的な実施形態であるプラズマアークスポット溶接
機に適用されるプラズマトーチの要部を一部切欠して示
す概略構成図であり、図2は1サイクルの正常な溶接工
程に従って発生するアーク電圧波形と時間との関係を示
す波形図である。なお、同図において、図8に示された
従来のプラズマトーチと実質的に同じ部材には同一の符
号と部材名を付している。
【0037】図1において、本実施形態に係るプラズマ
アークスポット溶接機10のプラズマトーチ15は、ア
ーク電極11、同アーク電極11を内蔵したノズル1
2、同ノズル12を冷却する冷却用キャップ13’を介
してノズル外周部に配されたシールドキャップ13等の
構成部材を備えている。同シールドキャップ13と冷却
用キャップ13’との間は所定の間隙を有しており、絶
縁リング17が介装されている。前記シールドキャップ
13の開口端部には三個の脚部18,18,18が等間
隔に突設されている。
【0038】前記シールドキャップ13の本体には取付
部材19を介してワークと同等な材質、例えば鉄からな
るフィラーワイヤ14を、溶接ポイントに送給するフィ
ラー送給装置20が取り付けられている。同フィラー送
給装置20に設けられたパイプ状の案内部材21の先端
にはフィラーノズル22が装着されている。同フィラー
ノズル22の先端部は前記シールドキャップ13の下端
部に穿設された貫通穴を介して螺着されている。前記フ
ィラーワイヤ14は、制御部27から送られるワイヤ送
給信号に基づき、図示せぬモータにより前記案内部材2
1を介して前記フィラーノズル22の先端開口部から連
続的に押し出され、前記ワイヤ14の露出端部を前記ノ
ズル12のプラズマ吹出口の下方に所定の間隔をおいて
臨ませている。
【0039】前記アーク電極11とノズル12との間に
は高温のプラズマガスが供給され、同ノズル12の先端
吹出口から吹き出る。プラズマガスはアルゴンガス、或
いはアルゴンと水素との混合ガスである。本実施形態に
あっては、アルゴンと水素との混合ガスを使用してい
る。前記シールドキャップ13と冷却用キャップ13’
との間にはシールドガスが流れる。シールドガスはアル
ゴンガス、炭素ガス、或いはアルゴンと酸素との混合ガ
スである。本実施形態にあっては、アルゴンと酸素との
混合ガスを採用している。
【0040】前記プラズマトーチ15は主アーク電源
(直流電源)23を備えており、前記アーク電極11の
固定接点は直流電源23のマイナス側に接続されてい
る。所要の間隙をおいて上板16a及び下板16bを重
ね合わせた亜鉛メッキ鋼板からなるワーク16は直流電
源23のプラス側にリード線を介して接続されると共
に、同じくリード線を介して前記フィラーノズル22に
接続されている。前記ノズル12はスイッチ24と抵抗
25とを有するパイロットアーク電源を介して前記電源
23のプラス側に接続される。前記シールドキャップ1
3とフィラーワイヤ14とは前記ワーク16と同電位に
構成されている。前記直流電源23はアーク電圧を計測
する電圧計測手段26に接続され、同電圧計測手段26
は本発明の特徴部の一部を構成する制御部27に接続さ
れている。
【0041】この制御部27は、CPU、ROM、RA
M等を有するマイクロコンピュータにより構成されてい
る。前記制御部27には、正常な状態で溶接がなされた
ときの、1サイクルの溶接シーケンスの全工程に従って
発生する電圧変動曲線に基づき演算された電圧変動基準
曲線を示す演算式が予め記憶されている。本実施形態で
は、1サイクルの溶接シーケンスに従った全溶接工程に
わたり、その実測変動電圧領域のアーク電圧の変動を連
続して計測している。計測された実測変動電圧は前記制
御部27に読込まれる。
【0042】ここで、前記電圧変動基準曲線とは、既述
したとおり1サイクルの溶接工程にあって、ガス流量の
切換時におけるアーク電圧低下、フィラーワイヤの送給
開始時におけるアーク電圧低下、同フィラーワイヤの送
給終了時におけるアーク電圧上昇などにより生じる正常
なアーク電圧の経時的な変化を、予め前記制御部27に
おいて演算して得られるモデル化した演算式であり、正
常な溶接工程の溶接時間に対する1サイクルのアーク電
圧の変動を基準曲線として表したものである。
【0043】また、前記実測変動電圧領域とは、溶接工
程の全領域、或いは特定の時間帯の領域をいう。例え
ば、爆飛であれば溶接工程の全域に発生する可能性を含
むため全領域で電圧測定が必要であるため、爆飛の発生
領域となり得る溶接工程の略全時間帯であり、ガス流量
の変動に基づく電圧の急激な変動はガス供給流量の切換
え時に発生しやすいことから、ガス流量切換え時の時間
帯とし、或いはフィラーワイヤの送給時の送給不良によ
る電圧低下の減少等を監視するにはフィラーワイヤの送
給時の時間帯を前記実測変動電圧領域として設定してお
く。
【0044】本発明の最も特徴とするところは、前述の
ごとく設定された複数の実測変動電圧領域を常に監視す
ることにある。本実施形態にあっては、1サイクルの正
常な溶接シーケンスに従って予め記憶された前記電圧変
動基準曲線上の複数の領域における基準変動電圧と、そ
の各領域に対応する複数の領域における実測変動電圧と
を、制御部27の演算部にて継続的又は断続的に比較す
る。得られた比較値が予め設定された範囲から逸脱した
か否かを制御部27の判断部で判断する。各領域におい
て一つでも電圧変動に異常があると判断すると、その指
令は所要の信号に変換され、図示せぬモニター、ブザー
やランプ等の警報表示装置に出力する。
【0045】本実施形態によれば、二枚の上板16a及
び下板16bを間隙をおいて重ね合わされた亜鉛メッキ
鋼板からなるワーク16を溶接対象としている。前記上
板16aに着火して穴を明けるときのアーク電圧と前記
上板16aに形成された貫通穴を介して前記下板16b
に着火したときのアーク電圧とは異なっている。上下の
各板16a,16b間の隙間寸法が広いときには電圧変
化が大きくなり、各板16a,16b間の隙間寸法が狭
いときには電圧変化が小さくなる。このようなアーク電
圧の変化を監視することにより、各ワーク16間の隙間
寸法を測定し、測定された隙間寸法に基づいてプラズマ
ガス流量を制御する。
【0046】この構成を備えることにより、重ね合わさ
れた複数のワーク16の各板同士間の隙間寸法を把握し
て、ワーク穴形成時に必要な量のプラズマガスの供給時
間や供給量等が効果的に制御できると共に、異なる隙間
寸法をもつワーク16に対してアーク入熱や上記フィラ
ーワイヤ14の送給時における供給量や供給時間等を適
切に制御することができる。
【0047】図2は、二枚の上板16a及び下板16b
を密着して重ねたワーク16の1サイクルの溶接シーケ
ンスに従って発生する正常なアーク電圧波形と時間との
関係を示している。同図に示すように本発明のプラズマ
アークスポット溶接は1サイクルの正常な溶接シーケン
スの全工程に従って発生する電圧変動に基づいて行われ
る。
【0048】前記ワーク16に穴を形成するときの時間
帯(0.05〜0.2秒)T1において、アーク電圧は
予め設定された電圧上昇範囲A内で直線的に数V(1.
5V)上昇する。このとき、前記ワーク16の上板16
aに対するプラズマ着火時に毎分約4リットルのプラズ
マガスを流し、前記ワーク16の下板16bに対するプ
ラズマ着火時にガス流量を切換えて毎分約1リットルの
プラズマガスを流している。このガス流量切換え時の時
間帯(0.2〜0.5秒)T2内においてプラズマガス
を大流量から小流量に切り換えるとき、そのガス流量の
切換え量に応じて、アーク電圧が予め設定された電圧降
下範囲B内で低下する。このときのアーク電圧の低下は
約13Vの幅があり、緩やかな二次曲線を描く。続い
て、その低下したアーク電圧は時間帯(0.5〜0.8
5秒)T3において、前記電圧降下範囲Bの所定の下限
域B1で約39〜42V程度の電圧値を維持する。
【0049】このように、前記ワーク16の上板16a
に穴を明けるときのみプラズマガス流量を多くすること
によりプラズマアークの着火性が向上できると共に、前
記上板16aの穴明け能力が向上できる。前記上板16
aの貫通穴を形成したのち、下板16bに対するプラズ
マ着火時にプラズマガス流量を少なくすることにより、
ワーク16に対するアーク入熱を下げて、ワーク16の
一部(溶融池)が吹き飛ぶことを防止している。
【0050】続いて、正常な溶接シーケンスに従ったフ
ィラーワイヤ14の送給時の時間帯(0.85〜0.9
秒)T4において、アーク電圧は予め設定された加工電
圧範囲C内を直線的に且つ瞬間的に数V(5〜6V)低
下し、前記加工電圧範囲Cの所定の下限域C1で約36
〜37V程度の電圧値に達する。このアーク電圧はフィ
ラーワイヤ14の送給終了時までの予め設定された時間
帯(0.9〜2.3秒)T5にわたって僅かに漸減しな
がら継続する。このときのアーク電圧は予め設定された
溶接電圧範囲D内の電圧値を維持する。また、溶接の終
了に伴うフィラーワイヤ14の退避時の時間帯(2.3
〜2.6秒)T6において、アーク電圧は予め設定され
た電圧上昇範囲E内で数V(5〜6V)上昇し、この電
圧上昇範囲Eの所定の上限域E1に達する。
【0051】前記フィラーワイヤ14が送給されている
状態では、前記フィラーワイヤ14と上記アーク電極1
1との間の距離がアーク長となる。前記フィラーワイヤ
14が送給されていない状態では上記アーク電極11と
ワーク16との間の距離がアーク長となる。既述したご
とくフィラーワイヤ14とワーク16とは同電位である
ため、前記アーク電極11とワーク16との間のアーク
電圧はアーク電極11とフィラーワイヤ14との間のア
ーク電圧より数V程度大きくなる。例えば、アーク長が
約1mm伸びる毎にアーク電圧が約1V程度大きくな
る。
【0052】以上のごとく構成された本発明のプラズマ
アークスポット溶接機10を用いて前記ワーク16を溶
接する際には、始めに上記スイッチ24を閉じて上記ノ
ズル12とアーク電極11とを導通させると共に、アー
ク放電を起こさせ、プラズマガスの流れに乗せてプラズ
マアークを前記ノズル12のプラズマ吹出口から吹き出
す。
【0053】プラズマアーク発生後、前記スイッチ24
を開いて前記ノズル12とアーク電極11との間の回路
を遮断すると、溶接電流は同アーク電極11、前記フィ
ラーノズル14、ワーク16を介して流れる。溶接の開
始と同時に、1サイクルの溶接シーケンスの全工程にわ
たってアーク電圧の測定を開始する。
【0054】いま、プラズマアークが前記ワーク16の
上板16aの表面に着火する。プラズマアークにより前
記上板16aに貫通穴を明け、続いてその貫通穴を介し
て下板16bの表面にプラズマアークが着火する。プラ
ズマアークにより上下の各板16a,16bに穴を明け
て各板16a,16bを充分に加熱したのち、前記フィ
ラーワイヤ14をプラズマアーク中に送給する。所定の
送給速度で前記フィラーワイヤ14を送給しながら溶融
することにより、各板16a,16bの穴を埋めて各板
16a,16bを接合させる。各板16a及び16bの
溶接終了後、前記フィラーワイヤ14を退避させ、プラ
ズマアークにより前記上板16aの表面を滑らかにした
のち、プラズマアークの発生を止める。
【0055】上述のごとく安定した状態でプラズマアー
クスポット溶接を実施している場合には、アーク電圧や
アーク電流は、1サイクルの正常な溶接シーケンスに従
った電位変動曲線上の基準変動値の範囲(A〜E)に維
持されている。しかして、溶接中において、上述のよう
な爆飛、リーク、キーホールの形成不良、ガス流量異
常、ワイヤ送給異常等により溶接不良が生じる場合があ
る。
【0056】本実施形態にあっては、溶接の開始時点か
ら終了時点までの上述の溶接シーケンスに従い、アーク
電圧を継続的に計測して溶接異常や溶接不良を監視して
いる。なお、上記異常現象を検出することが可能な約2
m秒内の周期で、アーク電圧を継続的に計測する。以
下、この送給異常や溶接不良を生じたときの本発明にお
ける溶接時の監視形態について説明する。 (1)爆飛の場合、図3は1サイクルの溶接工程中に発
生した爆飛現象の一例を示している。本実施形態によれ
ば、この監視形態は約2m秒周期で常に監視している。
上記電圧計測手段26により連続して実測される図3に
示した実測変動電圧領域が、図2に示した1サイクルの
正常な溶接工程中の電圧変動基準曲線上の対応する時間
帯T1〜T6の基準変動電圧と比較される。
【0057】図3に示すように、前記電圧変動基準曲線
上の対応する時間帯(0.9〜2.6秒)T5における
約35Vの基準変動電圧に対して、前記実測変動電圧領
域のアーク電圧が予め設定された溶接電圧範囲Dを越え
て瞬間的に約22Vに低下する。このとき、爆飛の発生
と判断することができる。
【0058】また、1サイクルの正常な溶接シーケンス
に従って上記フィラーワイヤ14を送給したのち、例え
ばアーク電圧が(N+1)回目のサンプリング時にN回
目の電圧より約5V以上の電圧に低下し、(N+4)回
目のサンプリング時にN回目の電圧に復帰していたなら
ば、爆飛が発生したと判断することができる。その爆飛
回数は上記制御部27に記憶する。爆飛回数が予め設定
された回数を越えた場合には、消耗品の交換や上記プラ
ズマトーチ15の清掃を促す信号等を上記警報装置に出
力する。また、連続して実測されたアーク電圧が予め設
定された電圧しきい値よりも低下しており、予め設定さ
れた時間を経過したとき、爆飛が発生したと判断するこ
とができる。
【0059】図4は、爆飛発生時における溶接時間の延
長を説明するための電流波形を示している。同図に示す
ように、爆飛が発生した溶接シーケンスにおいて、予め
設定された正常な溶接時間に所定の補正時間を加えて溶
接時間を延長させ、爆飛補正用の溶接条件を設定する。
爆飛発生時点の前後の溶接条件を爆飛が発生しないよう
に自動補正することができる。
【0060】(2)リークの場合、図5は1サイクルの
溶接工程中に連続的に発生したリーク現象の一例を表し
ており、図6は同溶接工程中に断続的に発生したリーク
現象の一例を示している。本実施形態によると、この監
視形態は上記爆飛と同様に約2m秒周期で監視してい
る。上記電圧計測手段26により連続して実測される実
測変動電圧領域が図2に示した電圧変動基準曲線上の対
応する時間帯T1〜T6の基準変動電圧と比較される。
【0061】図5に示すように、前記電圧変動基準曲線
上の対応する時間帯T5における約35Vの基準変動電
圧に対して、前記実測変動電圧領域のアーク電圧が、予
め設定された溶接電圧範囲Dを越えて急激に20V以下
に低下し、約16〜20Vのアーク電圧を連続的に維持
する。このとき、リークが発生したと判断することがで
きる。また、前記アーク電圧が予め設定された電圧しき
い値よりも低下し、且つ予め設定された時間を経過した
ときリークの発生が判断できる。図6に示すようにリー
クが断続的に発生したときはリークの発生時間や発生回
数を記憶し、上記制御部27のメモリ上に予め記憶され
たプログラムによりリークの有無を判断することができ
る。
【0062】リークが発生したと判断したならば、リー
クが発生した溶接シーケンスが終了した時点で直ちにリ
ーク発生信号を上記警報装置に出力し、上記プラズマト
ーチ15の清掃、消耗品交換、溶接箇所の確認や補正等
を行う。次の溶接を開始することを阻止して溶接不良が
連続して発生することが防止できる。
【0063】(3)キーホール形成不良の場合、図7は
1サイクルの溶接工程中に発生したキーホール形成不良
の一例を示している。この監視形態は、上記爆飛やリー
クが1サイクルの溶接工程を連続的に監視するのに対し
て特定の時間のみ監視している。上記電圧計測手段26
により連続して実測される実測変動電圧領域が、図2に
示した電圧変動基準曲線上の対応するキーホール形成時
の時間帯(0.05〜0.2秒)T1の基準変動電圧と
比較される。
【0064】図7に示すように、キーホール形成時の上
記時間帯T1内の予め設定された加工電圧範囲Aの基準
変動電圧に対して、実測されたアーク電圧が予め設定さ
れたキーホール形成時の上記時間帯T1内で漸減したの
ち、上記ガス流量切換え時の時間帯T2(0.2秒〜
0.25秒)で上記電圧上昇範囲Aを急激に逸脱して約
3V上昇する。この場合には、正常なキーホールがワー
ク16に形成されない。
【0065】上記時間帯T1において、実測されたアー
ク電圧が上記電圧上昇範囲A内における所定の上限域A
1の基準変動電圧に上昇しなかったときには、キーホー
ルがワーク16に形成されていないと判断することがで
きる。また、キーホール形成終了時において、キーホー
ル形成終了時点に実測されたアーク電圧が所定の基準変
動電圧に低下しなかったとき、上記ワーク16の下板1
6aを貫通した異常なキーホールが形成されたと判断す
ることができる。
【0066】キーホール形成異常が発生したと判断した
ならば、キーホール形成異常が発生した溶接シーケンス
の終了時点で直ちにキーホール形成異常発生信号を上記
警報装置に出力し、溶接電流等の見直し、図示せぬ消耗
品、同じく図示を省略したガス流量等の関連装置の異常
チェック、溶接箇所の確認や補正等を行う。
【0067】(4)ガス流量異常の場合、この監視形態
は上記キーホール形成異常と同様に特定の時間だけを監
視している。上記電圧計測手段26により連続して実測
される実測変動電圧領域が、図2に示した電圧変動基準
曲線上の対応するガス流量切換時の時間帯(0.2〜
0.5秒)T2の基準変動電圧と比較される。
【0068】図7に示すように、キーホール形成不良に
より上記加工電圧範囲Aを逸脱して上昇したアーク電圧
は、プラズマガス切換開始時の上記時間帯T2を過ぎて
急激に且つ瞬間的に約13〜14V程度低下する。この
低下したアーク電圧は上記時間帯T2を大幅に過ぎて直
線的に漸減し、続いて上記時間帯T3で上記電圧降下範
囲Bの所定の下限域B1よりも約5V低下する。プラズ
マガスが大流量から小流量に切換わるとき、実測された
アーク電圧がプラズマガス切換開始時点から一定の時間
内に予め設定した電圧降下範囲Bにおける下限域B1の
基準変動電圧に低下しなかったならば、ガス流量の異常
を判断することができる。
【0069】ガス流量異常が発生したと判断したなら
ば、ガス流量異常が発生した溶接シーケンスの終了時点
で即座にガス流量異常発生信号を上記警報装置に出力
し、図示せぬガスボンベ、同じく図示を省略したガス配
管や電磁弁等の関連装置の異常チェックや溶接箇所の確
認、補正等を行う。
【0070】(5)ワイヤ送給異常の場合、この監視形
態は上記ガス流量異常やキーホール形成不良と同様に特
定の時間のみ監視している。上記電圧計測手段26によ
り連続して実測される実測変動電圧領域が、図2に示し
た電圧変動基準曲線上の対応するワイヤ送給開始時の時
間帯(0.85〜0.9秒)T4の基準変動電圧と比較
される。その時間帯T4において、実測されたアーク電
圧が予め設定された加工電圧範囲C内で所定の下限域C
1の基準変動電圧に低下しなかったとき、フィラーワイ
ヤ送給の関連装置に何らかの異常が発生したと判断する
ことができる。
【0071】また、前記実測変動電圧領域が、図2に示
した電圧変動基準曲線上の対応するワイヤ送給終了時の
時間帯(2.3〜2.55秒)T6の基準変動電圧と比
較される。実測されたアーク電圧がワイヤ送給終了時点
から所定の時間T6内において、予め設定した電圧上昇
範囲Eにおける上限域E1の基準変動電圧に上昇しなか
ったとき、異常が発生したと判断とすることができる。
【0072】ワイヤ送給異常が発生したと判断したなら
ば、ワイヤ送給異常が発生した溶接シーケンスが終了し
た時点で即座に送給異常発生信号を上記警報装置に出力
し、上記フィラーワイヤ14の有無や異常チェック、上
記フィラー送給装置20の異常や溶接箇所の確認、補正
等を行う。
【0073】以上の説明からも明らかなように、本発明
に係るプラズマアークスポット溶接機によれば、1サイ
クルの溶接中に連続して実測される複数の実測変動電圧
領域と1サイクルの正常な溶接シーケンスの全工程に従
って発生する予め記憶された電圧変動基準曲線上の対応
する複数の領域の基準変動電圧とが連続的又は断続的に
比較される。その比較値を予め設定された許容範囲と照
合して、溶接異常等があるか否かを判断することができ
る。
【0074】このため、1サイクルの正常な溶接工程に
従った複数のアーク電圧の挙動から現在の溶接状態を断
続的に又は連続的に監視して各種の溶接不良等を即座に
判別することができると共に、溶接品質が安定化する。
溶接中に発生する色々な溶接現象に応じて溶接機本体を
構成する構成部材の作動を制御することができると共
に、溶接シーケンスを適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な実施形態であるプラズマアー
クスポット溶接機に適用されるプラズマトーチの要部を
一部切欠して示す概略構成図である。
【図2】本発明の代表的な実施形態である1サイクルの
正常な溶接工程に従って発生するアーク電圧と時間との
関係を示す波形図である。
【図3】同溶接工程に従って発生した爆飛現象の一例を
示す波形図である。
【図4】爆飛発生時における溶接時間の延長を説明する
ための電流波形図である。
【図5】同溶接工程に従って連続的に発生したリーク現
象の一例を示す波形図である。
【図6】同溶接工程に従って断続的に発生したリーク現
象の一例を示す波形図である。
【図7】同溶接工程に従って発生したキーホール形成不
良の一例を示す波形図である。
【図8】溶接時に発生した異常現象の一例を概略的に示
す説明図である。
【符号の説明】
10 プラズマアークスポット溶接機 11 アーク電極 12 ノズル 13 シールドキャップ 13’ 冷却用キャップ 14 フィラーワイヤ 15 プラズマトーチ 16 ワーク 16a 上板 16b 下板 17 絶縁リング 18 脚部 19 取付部材 20 フィラー送給装置 21 案内部材 22 フィラーノズル 23 直流電源 24 スイッチ 25 抵抗 26 電圧計測手段 27 制御部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新垣 淑隆 神奈川県平塚市万田1200 株式会社小松製 作所研究本部内 (72)発明者 黒川 巌 神奈川県平塚市万田1200 株式会社小松製 作所研究本部内 (72)発明者 神谷 賢吾 愛知県刈谷市一里山町金山100番地 トヨ タ車体株式会社内 (72)発明者 滝 徹也 愛知県刈谷市一里山町金山100番地 トヨ タ車体株式会社内 (72)発明者 野間 一浩 愛知県刈谷市一里山町金山100番地 トヨ タ車体株式会社内 (72)発明者 植松 偉人 愛知県刈谷市一里山町金山100番地 トヨ タ車体株式会社内 Fターム(参考) 4E001 AA03 BA04 CC02 DC01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アーク電極、ノズル、シールドキャッ
    プ、フィラーワイヤなどの構成部材を備え、プラズマア
    ークを用いてワークをスポット溶接するプラズマアーク
    スポット溶接機にあって、 アーク電圧を計測する電圧計測手段と、 1サイクルの正常な溶接シーケンスに従って発生する電
    圧変動基準曲線を記憶する記憶手段と、 前記電圧計測手段により連続して実測される実測変動電
    圧領域と前記電圧変動基準曲線上の対応する領域の基準
    変動電圧とを比較する少なくとも2以上の比較手段と、 同比較手段により比較された比較値が予め設定された許
    容範囲を越えたとき異常であると判断する判断手段と、
    を備えてなることを特徴とするプラズマアークスポット
    溶接機。
  2. 【請求項2】 一部の前記実測変動電圧領域が、少なく
    ともリーク発生領域であることを特徴とする請求項1記
    載のプラズマアークスポット溶接機。
  3. 【請求項3】 一部の前記実測変動電圧領域が、少なく
    ともプラズマガスの供給量切換え領域であることを特徴
    とする請求項1記載のプラズマアークスポット溶接機。
  4. 【請求項4】 一部の前記実測変動電圧領域が、少なく
    ともキーホール形成領域であることを特徴とする請求項
    1記載のプラズマアークスポット溶接機。
  5. 【請求項5】 一部の前記実測変動電圧領域が、少なく
    ともフィラーワイヤの送給領域であることを特徴とする
    請求項1記載のプラズマアークスポット溶接機。
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