JP2001321630A - 硫化水素含有ガスの洗浄方法 - Google Patents
硫化水素含有ガスの洗浄方法Info
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Abstract
ミン水溶液による洗浄方法において、ガス洗浄装置の運
転を停止することなく、ガス洗浄装置の材質に悪影響を
及ぼす不純物成分を除去して、長期間安定して硫化水素
を含有するガスの洗浄を行うことのできる方法を提供す
ること。 【解決手段】硫化水素含有ガスのアルカノールアミン水
溶液による洗浄法において用いたアルカノールアミン水
溶液を、アニオン交換樹脂と接触処理した後に該洗浄に
用いることを特徴とする硫化水素含有ガスの洗浄方法。
Description
の洗浄方法に関する。さらに詳しくは、ガス洗浄装置の
運転を停止することなく、ガス洗浄装置の材質に悪影響
を及ぼす不純物成分を除去して、長期間安定して硫化水
素含有ガスの洗浄を行うことのできる方法に関する。
や化学原料用ガスあるいは天然ガスなどの各種ガスに
は、その原料中に含まれる不純物成分や製造工程で混入
する物質に由来する不純物成分が含まれているため、こ
れら不純物成分を除去するためにガスの洗浄が行われて
いる。
人体に対する毒性が高く、装置や機器類の腐食性が強い
ほか、燃料用ガスに含まれると燃焼後に亜硫酸ガスの発
生を招いて自然環境に悪影響を及ぼすようになる。そこ
で、これらガス製品中に含まれる硫化水素の濃度を著し
く低減させるため、硫化水素を含有する粗製ガスはアル
カノールアミン類の水溶液により洗浄されている。
ガスの洗浄は、通常、このアルカノールアミン水溶液
を、粗製ガスに接触させて硫化水素を吸着した後、アミ
ン再生塔に導入してそのリボイラーの熱源によって、硫
化水素をアルカノールアミンから分離し、この再生アル
カノールアミン水溶液を繰返し硫化水素の吸着に使用す
るようにしている。
粗製ガスには、硫化水素の他にも、その原料中に含まれ
る様々な不純物成分や、さらに製造工程で混入する物質
に由来する不純物成分が含まれている。そして、これら
不純物の中でも親水性の高い不純物は、ガス洗浄装置に
おけるアルカノールアミン水溶液に蓄積し、その不純物
成分の濃度が高まると、ガス洗浄装置の材質に悪影響を
及ぼすようになる。しかしながら、これまで、ガス洗浄
装置の運転を停止することなく、このアルカノールアミ
ン水溶液中に蓄積されたガス洗浄装置の材質に悪影響を
及ぼす不純物成分を除去する方法は見出されていない。
ルカノールアミン水溶液による洗浄装置に蓄積して悪影
響を及ぼす不純物成分を、該洗浄装置の運転を停止する
ことなく効果的に除去して、該洗浄装置を長期間にわた
って安定的に運転することのできる方法を確立すること
が望まれている。
有ガスのアルカノールアミン水溶液による洗浄法におい
て、ガス洗浄装置の運転を停止することなく、該ガス洗
浄装置の材質に悪影響を及ぼす不純物成分を除去し、長
期間安定して硫化水素含有ガスの洗浄を行うことのでき
る方法を提供することを目的とするものである。
の解決のために種々検討を重ねた結果、硫化水素含有ガ
スのアルカノールアミン水溶液による洗浄法において用
いられたアルカノールアミン水溶液を、アニオン交換樹
脂と接触処理した後に該洗浄に用いる方法を採用すれ
ば、このガス洗浄装置の運転を停止することなく、該ガ
ス洗浄装置の材質に悪影響を及ぼす不純物成分を除去す
ることが可能であり、上記目的を達成することができる
ことを見出し、かかる知見に基づいて、本発明を完成さ
せるに至った。
ある。 (1)硫化水素含有ガスのアルカノールアミン水溶液に
よる洗浄法において用いられたアルカノールアミン水溶
液を、アニオン交換樹脂と接触処理した後に該洗浄に用
いることを特徴とする硫化水素含有ガスの洗浄方法。 (2)アニオン交換樹脂との接触処理によりアルカノー
ルアミン水溶液中の塩素イオン濃度を1ppm以下に低
減させる前記(1)に記載の硫化水素含有ガスの洗浄方
法。
ルカノールアミン水溶液による洗浄法において用いられ
たアルカノールアミン水溶液を、アニオン交換樹脂と接
触処理した後に該洗浄に用いることからなる硫化水素含
有ガスの洗浄方法である。
きる硫化水素含有ガスとしては、原油や石炭を原料とし
て、その精製や分解、合成などの各工程において生成す
るメタンやエタン、プロパン、ブタンなどの低級炭化水
素を主成分とする燃料用ガス、水素ガスや一酸化炭素ガ
スなどの化学原料用ガス、あるいは天然ガスなどの各種
ガスが挙げられる。
処理に用いることのできるアルカノールアミン化合物と
しては、例えばモノエタノールアミンやジエタノーアミ
ン、トリエタノールアミン、メチルジエタノーアミン、
ジエチルエタノールアミン、ジエチルブタノールアミン
などの水溶液が挙げられる。
換樹脂としては、基体樹脂として、例えば、スチレン−
ジビニルベンゼン共重合体を用い、その基体樹脂の側鎖
に第4級アンモニウム塩基を持つ強塩基性のアニオン交
換樹脂であってもよいし、この基体樹脂の側鎖に第1〜
3級アミノ基を持つ弱塩基性のアニオン交換樹脂であっ
てもよい。
ールアミン水溶液による硫化水素の吸着除去処理につい
ては、通常のガス洗浄装置により行うことができ、この
硫化水素含有ガスをアミン洗浄塔の下方から導入し、ア
ミン洗浄塔の上方からアルカノールアミン水溶液を導入
して、これら気液を向流接触させて、硫化水素含有ガス
中の硫化水素をアルカノールアミン化合物により吸着さ
せる。そして、硫化水素を吸着したアルカノールアミン
化合物は、アミン洗浄塔の塔底より抜き出してアミン再
生塔に導入し、このアミン再生塔の塔底に設けてあるリ
ボイラーの熱源により加熱して、硫化水素を脱離させ、
再生されたアルカノールアミン化合物の水溶液は、適正
な温度に調整して再びアミン洗浄塔に戻して、再び硫化
水素の吸着に用いるようにする。なお、ここで分離され
た硫化水素は、硫黄回収装置において、部分酸化するこ
とにより硫黄として回収する。
アルカノールアミン濃度は、10〜50質量%の範囲で
あるものが適しており、また、硫化水素含有ガスとアル
カノールアミン水溶液との接触時の温度は、40〜85
℃の範囲とすればよい。さらに、アミン再生塔において
は、その塔底温度を100〜150℃の範囲に維持し、
アルカノールアミンに吸着された硫化水素を脱離させ
て、この硫化水素ガスをアミン再生塔の塔頂から抜き出
すことにより、アルカノールアミンの再生をすればよ
い。
アニオン交換樹脂との接触処理に際しては、アミン再生
塔において硫化水素を脱離して再生されたアルカノール
アミン水溶液を用いて行うのが好ましい。この場合、こ
のアルカノールアミン水溶液は、熱交換器により温度調
節してアニオン交換樹脂充填塔に導入し、アルカノール
アミン水溶液をアニオン交換樹脂に接触させて、アルカ
ノールアミン水溶液中の不純物成分をアニオン交換樹脂
に吸着させる。アニオン交換樹脂充填塔において不純物
成分を除去されたアルカノールアミン水溶液は、再び、
再生塔系のアルカノールアミン水溶液に合流させて、ア
ミン洗浄塔に供給し、硫化水素含有ガスの洗浄に使用す
る。
するアルカノールアミン水溶液の温度は、30〜50℃
の範囲内に調節するのがよい。また、ここで用いるアニ
オン交換樹脂充填塔は、その形態に制約はないが、塔型
や槽型であるものが、アニオン交換樹脂の充填や取り替
えの操作がしやすく、アルカノールアミン水溶液の処理
能力が高いことから好ましい。さらに、このアニオン交
換樹脂充填塔は1基でもよいし、2基以上を直列にある
いは並列に配置してもよい。
アニオン交換樹脂の接触処理により不純物成分を除去す
る際には、この接触処理後のアルカノールアミン水溶液
中の不純物成分のうち、塩素イオンの濃度が1ppm以
下となるように制御するのが好ましい。これは、このア
ニオン交換樹脂との接触処理によって吸着される不純物
成分には、塩素イオンのほか、硫酸イオンや有機酸イオ
ンなど種々の陰イオンが吸着除去されるが、これらの中
でも塩素イオンが、ガス洗浄装置内で蓄積してその濃度
が高まると、この装置内のステンレス製の機器類や配管
に応力腐食割れを発生させる危険性が高くなるからであ
る。
填されたアニオン交換樹脂を再生するに際しては、不純
物成分の吸着量が、このアニオン交換樹脂の陰イオンの
吸着能力の50〜90%に相当する吸着量に達した時点
で行うのが好ましい。そして、この場合、まずアニオン
交換樹脂による接触処理系を、アルカノールアミン水溶
液によるガス洗浄系から切り離す。ついで、このアニオ
ン交換樹脂による接触処理系に残留するアルカノールア
ミン水溶液を抜き出して回収し、さらに、純水または凝
縮水により置換し、アニオン交換樹脂の容量の2〜5倍
量の純水または凝縮水で系内の洗浄をする。
化ナトリウムの濃度1〜20質量%の水溶液を、アニオ
ン交換樹脂充填塔に導入してアニオン交換樹脂と接触さ
せ、アニオン交換樹脂に結合している塩素イオンなどの
陰イオンと反応させて、それらの塩に転化させ、その後
これらのイオンをアニオン交換樹脂から離脱させること
により、アニオン交換樹脂の再生処理をする。この場
合、例えば水酸化ナトリウムを使用する際には、アニオ
ン交換樹脂1リットルあたり、水酸化ナトリウム50〜
150gの範囲内とすればよい。
交換樹脂充填塔には、残留する水酸化ナトリウムなどの
アルカリ水溶液を純水または凝縮水により置換し、さら
に、系内の水のpHが7〜11の範囲内となるまで水洗
する。この水洗の終了後は、このアニオン交換樹脂充填
塔に、再び、不純物成分を含むアルカノールアミン水溶
液を導入して、再生されたアニオン交換樹脂による不純
物成分の吸着除去処理に用いることができる。
含有される不純物成分をアニオン交換樹脂により吸着除
去処理することのできる装置を、アルカノールアミン水
溶液によるガス洗浄装置に組み込むことにより、このガ
ス洗浄装置の運転を停止することなく、アルカノールア
ミン水溶液に蓄積して機器類や配管に悪影響を及ぼす不
純物成分を効果的に除去することができる。
群などと一体に組み込まれているので、ガス洗浄装置を
運転停止することなく、装置運転に支障をきたすおそれ
のある不純物成分を除去できるということは、石油精製
装置などの装置全体の長期連続運転に寄与することがで
きるのである。
に説明する。 〔実施例1〕不純物成分を含有するアルカノールアミン
水溶液として、石油精製装置におけるガス洗浄装置で運
転中のアミン再生塔において再生したアルカノールアミ
ン水溶液の一部であって、その塩素イオン濃度が450
ppmであるアルカノールアミン水溶液を用いた。この
アルカノールアミン水溶液は、メチルジエタノールアミ
ンの40質量%水溶液である。
交換器により50℃に調節した後、アニオン交換樹脂
〔住友化学社製;デュオライトA113(強塩基性)〕
をそれぞれ725リットル充填したアニオン交換樹脂充
填塔2基を直列に接続してなるアニオン交換装置に、
7.5m3 /hr(液空間速度:5)の通液速度におい
て、210分間流通させて接触処理し、アルカノールア
ミン水溶液中の不純物成分をこのアニオン交換樹脂によ
り吸着させた。
ン水溶液は、ガス洗浄装置における再生アミン系に戻し
て、アミン吸収塔における硫化水素の吸収に使用した。
この結果、アニオン交換装置において接触処理をしたア
ルカノールアミン水溶液中の塩素イオン濃度は、1pp
mであった。
るアルカノールアミン水溶液を回収した後、アニオン交
換装置内に純水を導入して、30分間水洗した。その
後、このアニオン交換装置内に、濃度4質量%の水酸化
ナトリウム水溶液を、3m3 /hrの通液速度において
75分間流通させて、アニオン交換樹脂に結合している
不純物成分をそれらの塩に転化してアニオン交換樹脂か
ら離脱させ、アニオン交換樹脂の再生処理をした。さら
に、この再生処理の終了後、アニオン交換装置内に残留
している水酸化ナトリウム水溶液を排出して、系内の水
のpHが11になるまで水洗した。
停止することなく、アルカノールアミン水溶液に蓄積し
た不純物、殊に塩素イオンの濃度を十分に安全な水準ま
で低減させることができた。
スのアルカノールアミン水溶液による洗浄に際し、該ガ
ス洗浄装置の運転を停止することなく、該ガス洗浄装置
の材質に悪影響を及ぼす不純物成分を除去し、長期間安
定して硫化水素含有ガスの洗浄を行うことのできる方法
を提供することができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 硫化水素含有ガスのアルカノールアミン
水溶液による洗浄法において用いられたアルカノールア
ミン水溶液を、アニオン交換樹脂と接触処理した後に該
洗浄に用いることを特徴とする硫化水素含有ガスの洗浄
方法。 - 【請求項2】 アニオン交換樹脂との接触処理によりア
ルカノールアミン水溶液中の塩素イオン濃度を1ppm
以下に低減させる請求項1に記載の硫化水素含有ガスの
洗浄方法。
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