JP2001318092A - アレルギー原因物質の診断方法 - Google Patents

アレルギー原因物質の診断方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多様な物質の中から、短時間で、しかも極
めて正確にアレルギー原因物質を特定するための、汎用
性のある診断方法、および診断キットを提供する。 【解決手段】 1種以上のアレルギー原因物質の抗体イ
ムノグロブリンE(IgE)を含有する血清を、細胞分
散液に添加した後、該アレルギー原因抗体に対応するア
レルギー原因抗原を1種ずつ添加し、マスト細胞内のカ
ルシウムイオン濃度の変化を測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、アレルギ
ー原因物質を特定する方法と該方法を用いて、アレルギ
ー原因物質を診断するためのキットに関するものであ
る。さらに詳しくは、この出願の発明は、即時型アレル
ギーの原因物質をマスト細胞内のカルシウムイオン濃度
の変化より診断する方法と該方法を用いたアレルギー原
因物質診断キットに関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】免疫グロブリンE(IgE)
は、血清中に微量に存在する抗体であるが、細胞表面の
Fc受容体と結合することにより、その影響力は多大な
ものとなる。例えば、マスト細胞や好塩基細胞、あるい
は好酸細胞上に存在する高親和性Fc(FcεRI)(Ka=
1010-1)は、IgEとの結合により細胞を感作し、
そのIgE−FcεRI複合体への抗原の結合、刺激によ
り、抗原即時型アレルギー性疾患を誘発することが知ら
れている。
【0003】IgEは、哺乳類の血液中で様々な抗原
(アレルゲン)に対して産生される物質であり、その中
には、喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー等の過
敏症を引き起こすものがある。代表的なアレルゲンとし
ては、喘息を引き起こすハウスダスト(ダニ)、カビ、
樹木の花粉、食物アレルギーの原因となる卵、牛乳、大
豆などが挙げられる。また、ペニシリン等の低分子量化
合物も、即時型過敏症を引き起こすIgEを産生するこ
とが知られている。
【0004】このような即時型アレルギーの治療や予防
においては、アレルギー原因物質を正確に、かつ短時間
で診断することが必要である。
【0005】アレルギー原因物質の特定方法としては、
原因物質と予想される抗体を皮内投与し、抗原で感作す
る方法(PCA)や、抗体に標識した酵素活性を測定す
る方法(ELISA)等が知られており、いずれもアレ
ルギーの診断方法として一般的に使用されている。しか
し、これらの従来法は、いずれも様々な問題点を有する
のが実情である。
【0006】例えばPCAでは、煩雑な操作を要する
上、測定結果の個体差が大きいために測定精度が低く、
精度を上げるためには多検体のデータが必要となり、長
い時間と費用がかかるという問題がある。また、ELI
SAは、比較的簡便で低コストな測定法として、アレル
ギー診断法やIgEの定量法として、近年広く用いられ
ているが、血清中にはIgE抗体よりも多く免疫グロブ
リンG(IgG)抗体が存在するため、抗原と抗体との
結合に基づくELISAでは、同じ抗原に対して特異的
に反応するIgGの反応の影響を受けやすく、測定値が
必ずしも正確ではない。
【0007】そこで、この出願の発明は、以上の通りの
事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を
解消し、多様な物質の中から、短時間で、しかも極めて
正確にアレルギー原因物質を特定するための、汎用性の
ある診断方法、および診断キットを提供することを課題
としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、まず第1には、アレルギ
ー原因物質の抗体イムノグロブリンE(IgE)を含有
する血清を、マスト細胞に接触させた後、アレルギー誘
発物質を1種ずつ添加し、マスト細胞内のカルシウムイ
オン濃度の変化を測定することを特徴とするアレルギー
原因物質の診断方法を提供する。
【0009】第2には、この出願の発明は、上記のアレ
ルギー原因物質の診断方法において、カルシウムイオン
濃度の変化を、直接カルシウムイオン蛍光指示薬により
可視化して測定することを提供する。
【0010】また、第3には、この出願の発明は、上記
のいずれかのアレルギー原因物質の診断方法を用いて、
アレルギー原因物質を診断するためのアレルギー原因物
質診断キットを提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】この出願の発明のアレルギー原因
物質の診断方法の原理について、以下に詳しく説明す
る。
【0012】ラット好塩基性白血病(RBL)細胞や骨
髄由来のマスト細胞(BMMC)及びヒトのマスト細胞
(臍帯血前駆細胞)は、その表面に、高親和性Fc受容
体(FcεRI)を有し、アレルギー原因抗体イムノグロブ
リンE(IgE)を含む種々のIgEのFc部位はこの
受容体に特異的に捕捉される。FcεRIは、主にマスト細
胞と好塩基細胞に存在するものであり、即時型過敏症の
発生において、重要な役割を果たす。
【0013】図1は、マスト細胞におけるシグナル導入
機構を表す概略摸式図である。図1に従って、即時型ア
レルギーが誘発される際にマスト細胞内で起こる一連の
反応を説明する。
【0014】特定のアレルギー原因抗原(5)が隣接す
る二つのアレルギー原因抗原特異的IgE−FcεRI複合
体(31)に近づくと、細胞表面(4)でこれらが架橋
(6)される(a)。このアレルギー原因抗原特異的I
gE−FcεRI複合体(31)の架橋(6)は、細胞内の
シグナル導入における第1ステップとして知られている
(Cell 1995, 80, 213-23)。つまり、このような架橋
(6)により、高親和性Fc受容体(FcεRI)(2)の
リン酸化が起こり、リン酸スフィンゴシン(sphingosin
e-1-phosphate)およびIP3の濃度が上昇して、カルシウ
ムシグナルが誘発されるのである(b)。
【0015】Ca2+は、小胞体などの細胞内カルシウム貯
蔵サイト(7)から放出され(c−1)、カルシウム遊
離活性化カルシウム(CRAC)チャンネル(8)を通
じたCa2+流入が誘発される(c−2)。Ca2+濃度の持続
的な上昇(c)は、分泌細胞質顆粒(9)からの脱顆粒
の際に、細胞外領域へ即時型過敏症誘発媒介物質の遊離
を促進する(d、e)。このような媒介物質の中でも、
特に、分泌顆粒中のヒスタミン、β−ヘキソサミニダー
ゼ、およびセロトニン等がアレルギーに関連した症状を
誘発するものとして知られている。
【0016】この出願の発明のアレルギー原因物質の診
断方法は、マスト細胞での細胞内Ca 2+のシグナル導入に
基づいて、血清中に存在するアレルギー原因抗体IgE
を、簡便に、短時間で特定する新しい方法である。
【0017】図2は、この出願の発明の方法によるアレ
ルギー原因物質の診断方法の概念を示す概略摸式図であ
る。図2に従って、この出願の発明のアレルギー原因物
質の診断方法を詳しく説明する。
【0018】この出願の発明のアレルギー原因物質の診
断方法では、まず、アレルギー原因抗体IgE(11)
を含有する血清をマスト細胞に接触させる(f)。この
とき、これらのIgE(1、11)は、それぞれ細胞表
面の対応するFcεRI(2)に捕捉される(g)。ここに
アレルギー原因抗体IgE(11)にアレルギー原因抗
原(5)が添加されると、隣接する二つのアレルギー原
因抗原特異的IgE−FcεRI複合体(31)が細胞表面
(4)で架橋(6)される(h)。これにより細胞内Ca
2+情報伝達系が刺激され(i)、マスト細胞内における
Ca2+濃度が上昇することから、分析(j)により、Ca2+
濃度の変化を測定すれば、アレルギー原因物質が特定で
きる。
【0019】したがって、この方法を用いることによ
り、血清試料から、アレルギー原因抗体IgEを特定す
ることが可能となる。
【0020】従来よりアレルギー原因物質の診断方法と
して使用されてきたELISAは、酵素活性を利用して
抗原あるいは抗体の存在を検出するため、抗原が単価性
(IgE−FcεRI複合体の架橋が起こらない)の場合で
も抗原、あるいは抗体が検出されてしまうため、正確な
診断が難しかった。しかし、Ca2+シグナルの導入に基づ
く本出願の方法は、抗原による架橋がなされない単価性
の受容体では細胞内にCa2+シグナル導入が起こらないた
め、精度良い測定が可能となるのである。したがって、
アレルギーを誘発する抗体IgEのみを検出でき、アレ
ルギー原因物質を特定することができるのである。ま
た、同様の理由で、この出願の発明の診断方法は、血清
中において濃度高く存在するIgGの影響を受けない。
以上の点において、この出願の発明の方法は、従来法で
あるELISAよりも優れているといえる。
【0021】この出願の発明のアレルギー原因物質の診
断方法は、以上のとおりの原理に基づき、以上の手順で
行われるものである。
【0022】より具体的には、例えばアレルギー性疾患
の患者から血清を採取し、一次培養されたヒトマスト細
胞等に接触させた試料を調製した後、各種のアレルギー
誘発物質を1種ずつ該試料に添加し、マスト細胞におけ
るカルシウムイオン濃度の変化を公知の方法で測定する
ものである。アレルギー原因物質が添加された試料にお
いては、前述の機構により細胞内のカルシウムイオン濃
度が上昇することから、アレルギー原因物質を特定する
ことができる。
【0023】また、この出願の発明のアレルギー原因物
質の診断方法は、患者のアレルギー症状の原因特定だけ
でなく、アレルギー症状の解明、治療法や医薬品の開発
などの様々な研究のために適用することができる。
【0024】この出願の発明のアレルギー原因物質の診
断方法では、細胞は、マスト細胞、あるいは、好塩基細
胞であれば、どのようなものであってもよく、公知の方
法で一次培養されたものや前駆細胞から分化されたも
の、あるいは、種々の方法により摘出されたものであっ
てもよい。
【0025】患者のアレルギー症状の原因を特定する場
合には、ヒトマスト細胞を用いることが好ましい。例え
ば、ヒトマスト細胞としては、臍帯血前駆細胞から分化
されるもの(Biochem.Biophys.Res.Commun. 1999, 27,
895-900、J.Immunol. 1996,157, 343-350)が知られて
おり、好ましく適用できる。さらに、患者自身から摘出
されたマスト細胞を用いた場合には、該細胞内におい
て、すでにアレルギー原因抗原特異的IgE−FcεRI複
合体が存在するため、患者の血清を採取して細胞と接触
させる必要がなくなる。したがって、直接、種々のアレ
ルギー誘発物質を細胞試料に添加し、Ca2+濃度の測定を
行えばよい。しかし、患者の苦痛や診断の簡便さを考慮
すれば、前述のとおり、血清のみを患者から採取し、あ
らかじめプレート等に準備された一次培養ヒトマスト細
胞に接触させることが好ましい。
【0026】一方、研究目的の診断の場合には、ラッ
ト、マウス、ウサギなどのマスト細胞が好ましく用いら
れる。
【0027】この出願の発明のアレルギー原因物質の診
断方法においては、上記のようなマスト細胞は、例えば
ウェルやプレート上で公知の種々の培地に固定化された
ものや、溶液中に存在しているものが使用される。いず
れの場合においても、マスト細胞は、培養液や血清など
を含む環境下に置かれていることが好ましい。このよう
な培養液や血清はどのようなものであってもよく、例え
ばDulbecco's modified Eagles's Medium (DMEM)、ウシ
胎児血清などが例示される。このとき、マスト細胞の濃
度は、とくに限定されないが、好ましくは5×105
1×106(細胞/ml)である。さらに、このような
マスト細胞には、アミノ酸類、ペニシリンやストレプト
マイシン等の抗生物質、培養液などを添加してもよい。
これらの物質の濃度は、アレルギー原因物質の反応を阻
害しない範囲であればとくに限定されず、一般的な細胞
培養条件を適用することができる。その他にも、必要に
応じて種々のインターロイキンなどを添加し、マスト細
胞に適した環境を調製してもよい。
【0028】アレルギー原因抗体IgEは、例えば、食
物アレルギーと考えられる症状を表す患者の血清中に存
在する。また、特定の抗原に免疫化された動物において
も、血清中に該抗原に特異的なIgEが生成され、存在
する。
【0029】このようなIgE含有血清(12)を前述
のマスト細胞に接触させた後、種々のアレルギー誘発物
質を1種ずつ加える。患者のアレルギー性疾患の原因と
なっているアレルギー原因物質が添加された試料では、
マスト細胞内において、前述のとおりの機構によって、
Ca2+濃度が上昇する。このCa2+濃度の上昇を測定するこ
とにより、アレルギー原因物質を特定できる。また、任
意の抗原に対して免疫された免疫動物での抗原特異的I
gEの生成を確認することもできる。
【0030】Ca2+濃度の測定方法としては、化学、生物
学、生物化学等の実験で一般的に実施される様々な方法
が適用できる。好ましくは、分光学的方法であり、より
好ましくは、蛍光分析であり、とくに、カルシウムイオ
ンに特異的に結合するカルシウムイオン蛍光指示薬によ
り、Ca2+を可視化し、直接測定する方法が好ましい。も
ちろん、これ以外の方法を用いてもよい。
【0031】この出願の発明のアレルギー原因物質の診
断方法では、他にも、緩衝液やpH調製剤、水、生理食
塩水などを添加し、診断に適した条件を調製してもよ
い。また、以上の一連の操作を実施する温度は、とくに
限定されず、好ましくは、生体内の温度に近い35〜3
8℃、より好ましくは、37℃とすることができる。も
ちろん、目的に応じて、低温や高温に設定して診断を行
なってもよい。
【0032】この出願の発明は、さらには、以上のよう
なアレルギー原因物質の診断方法を用いてアレルギー原
因物質を診断するために用いられる診断キットに関する
ものである。
【0033】このようなアレルギー原因物質診断キット
は、上記の方法でのアレルギー原因物質の診断を実施す
るために、例えば、一次培養ヒトマスト細胞などの同一
の細胞を有する複数のセルから成るものが例示される。
このような細胞含有セルに、患者から採取した血清を滴
下し、アレルギーを誘発していると考えられる物質を、
各セルに各々1種ずつ添加した後、各セルにおけるカル
シウムイオン濃度の変化を測定できるような構造である
ことが好ましい。
【0034】したがって、この出願の発明のアレルギー
原因物質診断キットとしては、複数の同一マスト細胞
と、種々のアレルギー誘発物質から成るものが好ましく
例示される。さらには、カルシウムイオン蛍光指示薬
や、必要に応じて、アミノ酸類、抗生物質、インターロ
イキン、緩衝液、洗浄液などを含むものであってよい。
【0035】以下、添付した図面に沿って実施例を示
し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明す
る。もちろん、この発明は以下の例に限定されるもので
はなく、細部については様々な態様が可能であることは
言うまでもない。
【0036】
【実施例】<試薬>以下の実施例において、カルシウム
イオン蛍光指示薬としては、Fura−2/AM(Do
jindo社製)を用いた。
【0037】ジニトロフェニル化ヒト血清アルブミン
(DNP35−HSA)およびアルブミン鶏卵(OV
A)は、Sigma社より購入した。
【0038】Dulbecco's modified Eagle's medium(D
MEM)は、ニッスイ社より購入した。
【0039】ウシ胎児血清は、大日本製薬社より購入し
た。
【0040】PIPESは和光純薬社より購入した。 <細胞>RBL−2H3(Eur.J.Immunol. 1981, 11, 3
17-23)細胞は、10重量%のウシ胎児血清を加え、D
MEM上で保存した。
【0041】BMMCは、生後10週間のメスのBAL
B/cマウス(SLC社より入手)の骨髄から得て、1
0%(v/v)のウシ胎児血清、0.1mMのアミノ酸、
抗生物質(100U/mlペニシリン、および100μg
/ml ストレプトマイシン)、インターロイキン(I
L)−3(50μL)、および50%WEHI培養上澄
を含むDMEM上で保存した。 <抗体>マウスanti−ジニトロフェニル(DNP)Ig
Eモノクローナル抗体を、公知の方法(J. Inflamm. Re
s., 1995, 44, 335-39)に基づいて、準備した。川端ら
の方法(J.Immunol.Methods 1993, 162, 9-15)に従
い、メスBALB/cマウスからオバルブミン(OV
A)特異的IgEを得た。実施例1 カルシウムイオン(Ca2+)濃度の測定 緩衝液:140mM NaCl、5mM KCl、
0.6mM MgCl2、1.0mM CaCl2、5.
5mMグルコース、および10mM PIPES、pH
7.4。
【0042】ラット好塩基性白血病細胞(RBL−2H
3)(6×105 cells/ml)または、マウス骨髄マス
ト細胞(BMMC)(4×105 cells/ml)に様々な
濃度のDNP−特異的IgE(RBL−2H3細胞のと
き:0.5ng/ml〜5000ng/ml;BMMC
細胞のとき:1ng/ml〜10μg/ml)または、
OVA−特異的IgE(RBL−2H3細胞のとき:5
ng/ml〜50ng/ml;BMMC細胞のとき:5
ng/ml〜50ng/ml)を添加し、6μMのfu
ra−2/AMを加えた。
【0043】また、OVA−特異的IgEの場合、0.
05%のPluronic F−127(ノニオン系の
分散助剤であり、色素分子を生理媒体中に溶解させる効
果がある)をFura−2/AMとともに添加した。
【0044】遠心分離により、過剰の色素と非結合のI
gEを除去した後、細胞を2mlのPIPES緩衝液に
再分散し、DNP−HSA(RBL−2H3細胞のと
き:10-2ng/ml〜100ng/ml;BMMC細
胞のとき:1ng/ml〜100μg/ml)またはO
VA(RBL−2H3細胞のとき:1ng/ml〜10
μg/ml;BMMC細胞のとき:100ng/ml〜
10μg/ml)によって刺激させた。
【0045】幅1cm-1の石英セルに各溶液を入れ、S
himadzu RF−5300PC蛍光光度計を用い
て、37℃にて蛍光測定を行なった。Fura−2を添
加したセルは、335および362nmで励起し、特定
の抗原で刺激され、IgE受容体の架橋が起こった後
は、各々の励起波長に対する495nmの蛍光強度が変
化した。細胞内のカルシウムイオン濃度は、蛍光測定の
結果より、既知の方法(J.Biol.Chem.1985, 260, 3440-
50)を用いて算出した。 <A> RBL−2H3細胞におけるCa2+濃度の変化 様々な濃度のIgEで感作された細胞を様々な濃度の抗
原で刺激した。この系における静止細胞のCa2+濃度は、
64〜86nMであった。
【0046】DNP特異的IgEおよび抗原(DNP−
HSA)濃度とRBL−2H3細胞におけるCa2+濃度の
関係を図3に示した。
【0047】RBL−2H3細胞におけるCa2+濃度の上
昇は、5μg/mlのDNP特異的IgEで感作し、1
0ng/mlの抗原で刺激されたときに最も大きかっ
た。また、RBL−2H3細胞における測定限界は、D
NP特異的IgE濃度<25ng/mlであることが分
かった。さらに、10ng/mlのDNP−HSAによ
って誘発されたCa2+濃度の増大は、細胞を感作するため
に用いられたDNP特異的IgEの濃度にしたがって大
きくなった。一方、Ca2+濃度は、IgE濃度が25ng
/mlから5μg/mlに増大するに従って、150n
Mから300nMへと増大した。
【0048】次に、様々な濃度のOVA特異的IgEで
感作された細胞を様々な濃度の抗原(OVA)で刺激し
た。この系における静止細胞のCa2+濃度は、70〜80
nMであった。
【0049】OVA特異的IgEおよび抗原(OVA)
濃度とRBL−2H3細胞におけるCa2+濃度の関係を図
4に示した。
【0050】RBL−2H3細胞におけるCa2+濃度の上
昇は、0.1μg/mlまたは1μg/mlのOVA特
異的IgEで感作し、0.1μg/mlまたは1μg/
mlの抗原で刺激されたときに最も大きかった。また、
RBL−2H3細胞における測定限界は、1μg/ml
のOVAで刺激されるとき、OVA特異的IgE濃度<
25ng/mlであることが分かった。
【0051】この出願の発明の方法では、RBL−2H
3細胞を用いたとき、DNP特異的IgEにおいても、
OVA特異的IgEにおいても、25ng/mlまで検
出することが可能であることが明らかになった。これ
は、ELISAの測定限界とほぼ同等である。 <B> BMMC細胞におけるCa2+濃度の変化 様々な濃度のDNP特異的IgEで感作されたBMMC
細胞を様々な濃度の抗原(DNP−HSA)で刺激し
た。この系における静止細胞のCa2+濃度は、40〜45
nMであった。
【0052】図5に示すように、BMMC細胞における
Ca2+濃度の上昇は、10ng/mlの抗原で刺激された
ときに最も大きかった。したがって、IgE濃度を測定
する上でのDNP−HSAの最適濃度は、10ng/m
lであることが分かった。
【0053】また、BMMC細胞における測定限界は、
10ng/mlのDNP−HSAによって感作されたと
き、DNP特異的IgE濃度<50ng/mlであるこ
とが分かった。
【0054】さらに、10ng/mlのDNP−HSA
によって刺激されたCa2+濃度の増大は、細胞を感作する
ために用いられたDNP特異的IgEの濃度にしたがっ
て大きくなった。また、Ca2+濃度は、IgE濃度が5n
g/mlから1μg/mlに増大するに従って、50n
Mから250nMへと増大した。
【0055】次に、様々な濃度のOVA特異的IgEで
感作された細胞を様々な濃度の抗原(OVA)で刺激し
た。
【0056】OVA特異的IgEおよび抗原(OVA)
濃度とBMMC細胞におけるCa2+濃度の関係を図6に示
した。
【0057】結果より、IgE測定における抗原の最適
濃度が1μg/mlであることが分かった。また、BM
MC細胞における測定限界は、1μg/mlのOVAで
刺激されるとき、OVA特異的IgE濃度10ng/m
lであることが分かった。
【0058】さらに、IgE濃度が5ng/mlから5
0ng/mlに増大するとき、Ca2+濃度は、50nMか
ら110nMに増加した。
【0059】以上の結果より、Ca2+濃度を測定すること
により、アレルギー原因抗体の存在を確認することがで
き、アレルギー原因物質を特定することができることが
示された。また、この出願の発明のアレルギー原因物質
の診断方法は、アレルギー原因物質(抗原)が隣接する
二つのIgE−FcεRI複合体を架橋することのみを必須
とし、あらゆる抗原特異的IgEに適用できるものであ
ることが示された。
【0060】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明によ
って、多様な物質の中から、短時間で、精度良く、アレ
ルギー原因物質を特定できる汎用性のある診断方法と診
断キットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】マスト細胞におけるシグナル導入機構を表す概
略摸式図である。
【図2】この出願の発明の方法によるアレルギー原因物
質の診断方法の概念を示す概略摸式図である。
【図3】この発明の実施例におけるDNP特異的IgE
および抗原(DNP−HSA)濃度とRBL−2H3細
胞におけるCa2+濃度の関係を示した図である。
【図4】この発明の実施例におけるOVA特異的IgE
および抗原(OVA)濃度とRBL−2H3細胞におけ
るCa2+濃度の関係を示した図である。
【図5】この発明の実施例におけるDNP特異的IgE
および抗原(DNP−HSA)濃度とBMMC細胞にお
けるCa2+濃度の関係を示した図である。
【図6】この発明の実施例におけるOVA特異的IgE
および抗原(OVA)濃度とBMMC細胞におけるCa2+
濃度の関係を示した図である。
【符号の説明】
1 抗体イムノグロブリンE(IgE) 11 アレルギー原因抗体IgE 12 IgE含有血清 2 高親和性Fc受容体(FcεRI) 3 IgE−FcεRI複合体 31 アレルギー原因抗原特異的IgE−FcεRI複合体 4 細胞表面 5 アレルギー原因抗原 6 架橋 7 カルシウム貯蔵サイト 8 CRACチャンネル 9 分泌細胞質顆粒
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:91) C12R 1:91) (72)発明者 明谷 早映子 神奈川県川崎市宮前区宮崎2−6−11、C −223 Fターム(参考) 2G045 AA40 BB01 BB10 BB51 CA01 DB07 FA29 FB12 GC15 2G054 AA08 AB04 BB01 BB02 CA10 CE02 EA03 EB01 GA04 GB02 4B063 QA01 QA05 QQ03 QQ08 QQ89 QQ96 QR48 QR51 QR66 QR77 QS33 QS36 QX02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アレルギー原因物質の抗体イムノグロブ
    リンE(IgE)を含有する血清を、マスト細胞に接触
    させた後、アレルギー誘発物質を1種ずつ添加し、マス
    ト細胞内のカルシウムイオン濃度の変化を測定すること
    を特徴とするアレルギー原因物質の診断方法。
  2. 【請求項2】 カルシウムイオン濃度の変化を、直接カ
    ルシウムイオン蛍光指示薬により可視化して測定する、
    請求項1のアレルギー原因物質の診断方法。
  3. 【請求項3】 請求項1ないし2いずれかの方法を用い
    てアレルギー原因物質を診断するためのアレルギー原因
    物質診断キット。
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