JP2001311508A - 触媒燃焼装置およびその制御方法 - Google Patents

触媒燃焼装置およびその制御方法

Info

Publication number
JP2001311508A
JP2001311508A JP2000128700A JP2000128700A JP2001311508A JP 2001311508 A JP2001311508 A JP 2001311508A JP 2000128700 A JP2000128700 A JP 2000128700A JP 2000128700 A JP2000128700 A JP 2000128700A JP 2001311508 A JP2001311508 A JP 2001311508A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
combustion
output
flame
temperature
fuel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000128700A
Other languages
English (en)
Inventor
Shoichi Muraoka
正一 村岡
Yasusada Higuchi
保定 樋口
Yoshihiro Suzuki
美博 鈴木
Atsushi Nishino
西野  敦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Orion Machinery Co Ltd
Original Assignee
Orion Machinery Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Orion Machinery Co Ltd filed Critical Orion Machinery Co Ltd
Priority to JP2000128700A priority Critical patent/JP2001311508A/ja
Publication of JP2001311508A publication Critical patent/JP2001311508A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Spray-Type Burners (AREA)
  • Feeding And Controlling Fuel (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 触媒燃焼装置において、起動時の触媒プレー
トのヒートショックを軽減し、耐久性の高い触媒燃焼装
置を提供する。 【解決手段】 燃料を気化して触媒層に供給する気化室
12の内部で火炎を形成して気化室12および触媒プレ
ート20を予熱する予備燃焼において、予備燃焼の初期
には100%の出力で火炎燃焼し、その後に、80%の
出力に下げる。初期に出力を上げることにより気化室1
2を急速に加熱すると共に、その後は、出力を下げるこ
とにより触媒プレート20を徐々に加熱する。したがっ
て、予備燃焼の時間を増やさずに、触媒プレート20に
対するヒートショックを軽減することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気化燃料を触媒燃
焼する触媒燃焼装置およびその制御方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】火炎燃焼に比べて燃焼温度が低く無炎で
燃焼する触媒燃焼が知られている。触媒燃焼は、NOx
などの燃焼排ガスの排出が少なく、また、希薄混合気の
燃焼が可能で、燃焼量の調整範囲が広く、放射熱量が大
きい等の様々なメリットを有している。このため、触媒
燃焼を温風あるいは赤外線を放出する暖房機器などに用
いられ始めている。その1つとして、前方にプレート状
の触媒層を設け、この触媒層の後方に、噴霧された液体
燃料を加熱および気化する気化室が配置された触媒燃焼
装置が実現されている。
【0003】この触媒燃焼装置では、触媒燃焼プレート
では、触媒燃焼プレート自身の温度によって触媒反応
(触媒燃焼)が進行し、その触媒燃焼の熱によって燃焼
プレートの温度が維持される。さらに、気化室において
は、触媒燃焼プレートからの輻射熱により加熱され、噴
霧された液体燃料が気化されると共に、触媒燃焼が可能
な温度まで加熱される。したがって、起動時には、何ら
かの方法によって触媒燃焼プレートと気化室(気化筒)
の温度を触媒燃焼が維持できる状態にしないと触媒燃焼
は開始されない。
【0004】このため、起動時に、気化室において噴霧
器(バーナ)から噴霧された液体燃料にイグナイタによ
って着火し、火炎燃焼させて触媒プレートおよび気化室
を活性温度に予熱する予備燃焼を行うようにしている。
そして、触媒プレートおよび気化室が十分に加熱された
段階で、燃料の供給をいったん絶ち、火炎燃焼を止めて
から、燃料の噴霧を再開し、触媒燃焼に移行するように
している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような触媒燃焼装
置の起動時間を短くするには、予備燃焼により急速に気
化室および触媒プレートを加熱することが必要であり、
火炎燃焼の出力をできるだけ高くすることが望ましい。
すなわち、火炎燃焼を維持可能な最大燃料を噴霧し、そ
れに応じた燃焼空気を供給する100%出力で予備燃焼
を行うことが望ましい。しかしながら、触媒プレート
は、白金などの触媒を担持したセラミック製の多孔質の
素材が用いられており、予備燃焼により急激に温度が上
昇するとヒートショックによりひび割れが発生するため
寿命を縮める要因となる。
【0006】急激な温度上昇に伴うヒートショックを軽
減するには、予備燃焼をしている間の出力(負荷、バー
ナ出力あるいは燃料投入量)を下げることが最も容易で
ある。しかしながら、予備燃焼中の出力を下げれば、気
化室および触媒燃焼プレートの温度を上げるのに時間が
かかり、起動時間は延びてしまう。
【0007】また、気化室および触媒プレートを急激に
加熱したときには、温度分布が一様にならないという問
題もある。すなわち、予備燃焼中の火炎により加熱され
やすい個所と、されにくい個所があり、特に、表面積の
大きな気化室では、温度むらが生じやすい。気化室に温
度むらがあると、温度が低い領域では燃料の気化および
加温が十分でない状態で燃料が触媒プレートに供給され
る。このため、触媒燃焼が順調に行われず、その領域の
触媒プレートの温度も上がりにくい。その結果、輻射熱
も低いので、気化室の温度がさらに上がりにくいという
循環が生ずる。したがって、安定した触媒燃焼が得られ
ずに不完全燃焼による異臭や未燃分が発生したり、安定
した燃焼が得られるまでの実質的な起動時間が非常に長
くなる可能性がある。
【0008】温度むらを抑制するには、気化室全体が予
熱されるまで十分に長い間、余分に加熱する必要があ
り、この点でも安定した触媒燃焼を得るためには起動時
間を長くしなければならない。
【0009】触媒プレートに対するヒートショックを軽
減するために、予備燃焼中に火炎燃焼の出力を徐々に上
げていくというオペレーションも可能である。しかしな
がら、予備燃焼中に出力を上げると火炎が大きくなるの
で燃焼ガスの温度も変化する。したがって、気化室およ
び触媒プレートを加熱する状態が安定せず、温度むらが
さらに拡大される可能性があり、最終的には一定の負荷
である程度の時間だけ余分に加熱する必要が生じ、起動
時間を短縮するのが難しい。
【0010】そこで、本発明においては、起動時間を長
くせずにヒートショックを軽減でき、さらに、気化室な
どの燃料を加熱する領域の起動時における温度むらも抑
制することができる触媒燃焼装置を提供することを目的
としている。そして、短時間に安定した触媒燃焼を達成
することができる触媒燃焼装置およびその制御方法を提
供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】このため、本発明におい
ては、予備燃焼の初期の火炎燃焼の出力を高くし、その
後、出力を低くすることにより、ヒートショックを軽減
すると共に、予熱時間を短縮し、さらに、温度むらも抑
制できるようにしている。すなわち、本発明の触媒燃焼
装置は、気化状態の燃料の触媒燃焼を行う触媒層と、こ
の触媒層からの輻射熱により該触媒層に供給する燃料を
加熱する経路と、この加熱する経路で燃料を火炎燃焼可
能な燃焼手段と、この燃焼手段により火炎燃焼を行い上
記加熱する経路(加熱経路)および触媒層を予熱する予
備燃焼の初期に高い出力で火炎燃焼し、その後、出力を
低くする制御手段とを有することを特徴としている。ま
た、本発明の、気化状態の燃料を触媒層からの輻射熱に
より加熱する経路を通して該触媒層に供給し触媒燃焼を
行う触媒燃焼装置の制御方法においては、加熱する経路
(加熱経路)内で燃料を火炎燃焼して該加熱する経路お
よび触媒層を予熱する予備燃焼工程を有し、この予備燃
焼工程では、初期に高い出力で火炎燃焼し、その後、出
力を低くすることを特徴としている。
【0012】本発明の触媒燃焼装置およびその制御方法
においては、予備燃焼の初期に出力を高くし、その後、
出力を低くする。予備燃焼初期の出力を高くすることに
より、冷えていた加熱経路を急速に加熱できる。また、
初期には火炎燃焼により発生する熱、特に燃焼ガスの熱
は加熱経路を加熱するためにほとんど消費されるので、
触媒層に到達する時点では燃焼ガスの温度は比較的低
い。このため、火炎燃焼の出力を高くしても触媒層を加
熱するために消費される熱量はそれほど高くなく、触媒
層の温度は急激に上昇せずヒートショックを軽減でき
る。したがって、セラミック製などのヒートショックに
弱い触媒層あるいは触媒プレートを採用することがで
き、その寿命を長くすることができる。
【0013】加熱経路の温度が上昇しはじめると、触媒
層に到達する燃焼ガスの温度も高くなる。したがって、
その時点で燃焼出力を低くすることにより燃焼ガスが高
温になりすぎるのを避けることができ、触媒層をさらに
加熱するときのヒートショックを軽減できる。また、予
備燃焼の際に徐々に出力を上げるのではなく、まず、出
力を上げてから下げることにより、予備燃焼の後半で
は、出力を一定に保持することが可能となる。したがっ
て、触媒プレートを加熱する予備燃焼の後半で一定の条
件で加熱経路を予熱でき、加熱経路の温度むらを抑制で
きる。このため、加熱経路の温度むらをなくすために余
分に加熱する時間を省くことができる。さらに、予備燃
焼の後半では、出力を一定に保持でき、加熱経路が予熱
されているので、触媒層に到達する燃焼ガスおよび輻射
熱の条件も大きく変動しない。このため、触媒雄も均一
に加熱(予熱)することができると共に、温度変動に伴
うヒートショックもさらに小さくできる。
【0014】予備燃焼の初期には、できるだけ高い出力
で燃焼することが望ましい。したがって、予備燃焼の初
期にほぼ100%の出力で火炎燃焼し、その後、出力を
下げた状態、たとえば80%程度の出力の状態を保持す
ることが望ましい。出力を下げるには、予備燃焼のため
に投入する燃料流量を下げても良く、火炎燃焼をデュー
ティーが80%程度になるようにオンオフ運転すること
で出力を下げることも可能である。加熱する経路で火炎
燃焼させる燃料は触媒燃焼を行う燃料と同じものが利用
できる。気体燃料の場合は着火することにより火炎燃焼
を起こせる。また、液体燃料の場合は、加熱経路が液体
燃料を気化する機能を備えており、そのために加熱経路
に液体燃料を噴霧する手段があるので、それを燃焼手段
として用い、噴霧された液体燃料に着火することにより
火炎を形成できる。
【0015】このように、本発明の触媒燃焼装置および
その制御方法においては、予備燃焼の初期に出力を高く
し、その後、出力を下げることにより、触媒層のヒート
ショックを大幅に軽減でき、その寿命を長くできる。ま
た、予備燃焼中に出力をさげ、さらに、温度を均一にす
るために余分に加熱する必要もなくなるので、予備燃焼
に費やされる燃料を削減することもできる。それに伴っ
て、予備燃焼中に排出される排ガスも少なくなるので、
クリーンな燃焼が得られる触媒燃焼装置に適した予備燃
焼の方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。図1に、本発明に係る触媒燃焼装
置の概略構成を模式的に示してある。本例の触媒燃焼装
置5は、灯油などの液体燃料70を気化室12で気化し
加熱した後、触媒層20に供給して触媒燃焼を行い、そ
の燃焼による放射熱(赤外線)73を出力あるいは利用
できるものである。
【0017】本例の触媒燃焼装置5は、筒状の気化室1
2を備えており、この気化室の前方12aには、気化状
態の燃料71の触媒燃焼を行うプレート状の触媒層(触
媒プレート)20が取付けられている。本例の触媒プレ
ート20は、セラミック製の部材であり、例えば、アル
ミン酸石灰−溶解シリカ−酸化チタンなどが用いられ
る。そして、このセラミックに白金などの燃焼用の触媒
が担持されており、所定の温度に加熱された状態で気化
された燃料が酸素(空気)と共に供給されると触媒燃焼
が行われる。
【0018】気化室12は、SUS430およびアルミ
含有のフェライト系などの耐熱性材料により外殻(シェ
ル)11が形成された中空のスペースであり、前方12
aの触媒層20からの輻射熱74により液体燃料70が
気化および加熱される。気化室12の後方には、燃料ポ
ンプ7により供給される液体燃料70を噴霧する燃料噴
霧部13、燃焼用空気を供給するブロワ(送風機)1
5、およびブロワ15を駆動するブロワモータ15aが
配置されている。本例の燃料噴霧部13は、バーナとし
ての機能も備えており、気化室12および触媒層20を
予熱するときは、このバーナ13から噴霧された液体燃
料にイグナイタ14で点火し火炎72を形成する。一
方、触媒燃焼中は、バーナ13から液体燃料を噴霧し、
火炎を形成することなく気化室12でガス化し加熱され
た燃料が触媒層(触媒プレート)20に供給される。
【0019】気化室12には、さらに、触媒層20に面
し、これとほぼ平行に対峙するように多孔性の輻射板3
0が配置されている。輻射板30は、多孔性のセラミッ
ク板、あるいはパンチングメタルにセラミックが溶射さ
れた材料などにより形成される。この輻射板30は、触
媒層20の後方に面して配置され、触媒層20の輻射熱
74を直に受ける。したがって、触媒燃焼が開始する
と、その熱を受けて高温となり、気化室12の後方から
供給される液体燃料70と接触し、その気化を促進する
役割を担っている。
【0020】本例の触媒燃焼装置5は装置の制御および
監視を行う制御パネル50を備えており、その1つの大
きな機能はセンサーにより燃焼状態を監視することであ
る。このため、本例の燃焼装置5は、センサーをいくつ
か備えている。先ず、気化室12の後方の燃料噴霧部1
3の近傍に、気化室内の火炎72を検出する火炎センサ
ー(フレームアイ)40が設置されている。本例では、
火炎センサー40により予備燃焼中はバーナ13による
火炎72を検知すると正常と判断する一方、同じ火炎セ
ンサー40により、触媒燃焼中は、火炎を検出すると異
常と判断する。さらに、2つの温度センサーを備えてお
り、第1の温度センサー41は、輻射板30の温度を検
出可能なように設置され、第2の温度センサー42は、
触媒層20の温度を検出可能なように設置されている。
これらのセンサーからの出力は制御パネル50の監視部
51に入力され、異常があるとそれを自動的に検出する
と共に、必要な場合には危険を回避するための処理を自
動的に行う機能を備えている。
【0021】制御パネル50のもう1つの大きな機能は
自動起動を行う機能であり、そのために、パネル50の
起動制御部52と燃料ポンプ7、ブロワモータ15a、
イグナイタ14などが制御線で接続されている。したが
って、起動制御部52は、これらの機器をあらかじめ設
定されたプログラムにしたがって自動的にオンオフした
り、燃料ポンプ7およびブロワモータ15aにおいては
設定された出力に応じて回転数、容量などの能力を制御
できるようになっている。
【0022】図2に、起動制御部52による起動制御の
概略を示してある。まず、起動スイッチがオンになる
と、先ず、気化室12および触媒層20を予熱するため
の予備燃焼を行う(ST1)。予備燃焼の工程では、気
化室12でバーナ13から液体燃料70を噴霧して火炎
72を形成し火炎燃焼させる。このとき、輻射板30の
温度を温度センサー41により監視し、輻射板30が所
定の温度、例えば400℃程度に達したところで予備燃
焼を終了する。
【0023】次に、一旦、燃料ポンプ7を停止して火炎
を消した後、再び燃料ポンプ7を起動して、バーナ13
から液体燃料70を噴霧し、気化室12および輻射板3
0を通して気化した燃料71を触媒層20に供給するこ
とにより触媒燃焼を開始する(ST2)。このように、
触媒燃焼に移行することにより、触媒層20で無炎の燃
焼が継続し、その前面(赤外線放射面)21から赤外線
73が出力され、暖房などに用いられる。
【0024】ユーザが操作したり、異常な状態が検出さ
れて緊急停止するまで、触媒燃焼装置5は触媒層20に
おける無炎燃焼を継続する。そして、スイッチをオフし
たり、異常状態が継続すると燃料ポンプ7が停止され、
気化室12を経由した燃料供給が止まり、その結果、触
媒燃焼が停止する。そして、ブロワ15により気化室1
2を冷却する冷却運転が行われる(ST3)。
【0025】図3に、起動制御部52によりシーケンス
あるいはプログラム制御される予備制御工程ST1のさ
らに詳細な制御を示してある。まず、ステップ80で、
点火に適当な条件が成立するように燃料ポンプ7および
ブロワモータ15aの出力を制御し、イグナイタ14で
点火して気化室12の内部に火炎を形成する。点火を確
認した後、ステップ81で、燃料ポンプ7およびブロワ
モータ15aを100%で稼動し、出力100%の状態
で火炎燃焼を行う。そして、ステップ82で所定の時間
T1だけ出力100%の状態を維持した後、ステップ8
3で燃料ポンプ7およびブロワモータ15aの出力を8
0%相当まで下げる。さらに、ステップ84で所定の時
間T2だけ出力80%の状態を維持した後、ステップ8
5で燃料ポンプ7を停止し消火する。その後、ステップ
86で適当な時間T3をおいて消火を確認した後に、ス
テップST2で再び燃料ポンプ7を起動し、燃料を気化
室12に噴霧する。この状態では気化室12および触媒
プレート20は十分に加熱されており、400℃前後の
活性温度に達しているので、気化室12で液体燃料が気
化し空気と混合された状態で、さらに加熱されて触媒プ
レート20に到達する。したがって、触媒プレート20
では、気化した燃料で触媒燃焼が行われ、さらに発熱す
る。その結果、触媒プレート20からの輻射熱で気化室
12の温度が維持され、液体燃料の気化および加熱が継
続して行われる状態になるので、触媒プレートにおける
触媒燃焼が安定して継続する。
【0026】図4に、予備燃焼時の気化室12と触媒プ
レート20の温度上昇の傾向を示してある。本例の触媒
燃焼装置5においては、時刻t1に火炎を形成して予備
燃焼を開始すると、実線91および92に示すように、
気化室12の温度と、触媒プレート20の温度はそれぞ
れ上昇する。しかしながら、気化室12が冷えた状態で
あると、火炎燃焼による燃焼ガスは気化室12の温度9
1を上げるのに消費される。したがって、触媒プレート
20の温度92の上昇速度は気化室の温度上昇91に比
較すると緩い。
【0027】次に、時間T1、たとえば、10秒程度、
100%の出力で火炎燃焼した後の時刻t2に、燃料お
よび空気を80%相当まで下げて、出力も100%から
80%に下げる。この状態で、1分から2分程度にセッ
トされた所定の時間T2だけ予備燃焼を継続すると、気
化室12の温度91および触媒プレート20の温度92
は徐々に上昇し、活性温度である400から700℃に
到達する。したがって、時刻t1から時間T2後の時刻
t3に燃料ポンプ7だけを停止し消火する。そして、適
当なインターバルT3をおいてから再び燃料ポンプ7を
起動することにより触媒燃焼に移行することは上述した
とおりである。80%で継続して燃焼する時間T2を設
定する代わりに、上述したように、輻射板30の温度
や、触媒プレート20の温度を検出し、これらが適当な
活性温度のレンジに達したら火炎燃焼を停止して触媒燃
焼に移行するようにしてももちろん良い。
【0028】これに対し、時刻t2で出力を80%に低
下せずに、予備燃焼の間、100%の出力で燃焼を継続
したときの気化室12および触媒プレート20の温度の
変化の傾向93および94を同じ図面上に破線で示して
ある。気化室12の温度93は、加速度的に上昇し、活
性温度を超えて火炎の温度に近い状況まで上昇する。ま
た、触媒プレート20においても、時刻t2の後は、気
化室12の温度が上がりつつあるので、触媒プレート2
0に到達する燃焼ガスの温度も高くなり、それによって
急激に加熱され、活性温度に比較的短時間で達する。し
かしながら、気化室12および触媒プレート20は急激
な温度上昇があったので温度むらが生じており、触媒燃
焼を安定的に行うには、温度むらをなくして均一にする
必要がある。したがって、活性温度以上になってもさら
に火炎燃焼による加熱を継続する必要があり、結果とし
て余分に加熱するので起動時間がかかり、それと共に気
化室12の温度もさらに上昇する。
【0029】一方、時刻t2に出力を80%まで下げた
場合は、燃焼ガスの量が減るので気化室12を加熱する
ために消費される熱量を考慮すると、100%出力で燃
焼を継続していた場合と比較し、触媒プレート20に到
達する燃焼ガスの温度もそれほど極端に上昇しない。し
たがって、温度上昇のカーブ92は緩やかになる。ま
た、出力を下げているので気化室12の温度上昇も緩や
かになる。予備燃焼の初期には100%で火炎燃焼して
いるために気化室12の内面は急激に温度上昇して温度
むらも大きいが、その後、出力を80%まで落として継
続して加熱することにより温度が均一化されながら加熱
される。したがって、予備燃焼行程の最後、すなわち、
全体が活性温度に達した時点ではほとんど温度むらもな
い状態になる。
【0030】このように、本例の触媒燃焼装置5では、
予備燃焼の初期に出力を大きくし、次に出力を下げるこ
とにより、気化室12および触媒プレート20の温度上
昇率を小さくすることができる。したがって、触媒プレ
ート20におけるヒートショックはほとんどなくなり、
起動のたびにひびなどが発生して寿命を損ねることはな
く、長期間にわたり安定して触媒燃焼を行うことができ
る触媒燃焼装置を提供できる。
【0031】また、予備燃焼の初期にいったん出力を上
げて火炎燃焼することにより、気化室12を急激に加熱
し、その後は出力を下げて継続して加熱しているので、
温度分布が均一になり、活性温度に達した後に、余分に
予熱する必要がない。このため、出力を下げてもトータ
ルの予備燃焼の時間は100%出力で継続して加熱した
ときと同じあるいは短い時間で、気化室12および触媒
プレート20の条件を整えることができる。したがっ
て、より短期間で触媒燃焼装置5を起動し触媒燃焼に移
行できるようになり、さらに、起動時に火炎燃焼で消費
される燃料量も少なくすることができる。
【0032】図4には示していないが、出力を低い状態
から徐々に上げていく制御も可能であり、予備燃焼の初
期に出力が低いので気化室および触媒プレートの温度上
昇はさらに緩くでき、ヒートショックの少ない起動方法
と考えられる。しかしながら、気化室の温度が低い状態
で火炎燃焼の出力を絞ると、気化室の温度がなかなか上
昇しないので起動時間は長くなる。また、気化室の温度
が上昇しないので、予備燃焼初期には触媒プレートの温
度はほとんど上昇しないと考えられ、その点でも予備燃
焼の時間が延び、起動時間も延びてしまう。さらに、燃
焼出力を徐々に上げると、それに応じて燃焼ガスの温度
も大きく変わるので、気化室12の温度および触媒プレ
ート20の温度はさらに安定しにくくなる。加えて、出
力を一定に保持できる時間を確保しにくいので、温度む
らが生じやすい状態となる。温度むらをなくすために出
力を一定に保持する時間を十分に設けると、予備燃焼に
費やされる時間は長くなり、起動時間はさらに長くなっ
てしまう。予備燃焼の時間を短くしようとして、出力を
上げる割合を大きくすれば、温度むらがさらに生じやす
くなり、効果的な解決とは言えない。
【0033】本例の触媒燃焼装置5では、このような問
題は発生せず、起動時間を短縮することができ、触媒プ
レート20にはヒートショックを与えずに済むので、セ
ラミック製であってもその寿命を延ばすことができる。
さらに、予備燃焼で消費される燃料も少なくなる。そし
て、短時間で起動できるので、火炎燃焼により発生する
排ガスが少なくなり、よりクリーンな排ガスが出力され
る触媒燃焼によるサービス期間を長くすることができ
る。
【0034】なお、上記の例では、予備燃焼の出力を低
下する際に、燃料流量と空気量を絞って出力を下げてい
るが、デューティー比が80%程度となるように火炎燃
焼をオンオフして出力を下げる制御方法を採用すること
も可能である。火炎燃焼をオンオフ制御して出力を調整
すれば、出力可変方の燃料ポンプを用いずに、出力固定
の燃料ポンプで本発明に係る制御および触媒燃焼装置を
実現することができる。
【0035】また、触媒燃焼装置5では、液体燃料70
を用いた例を説明しているが、これに限らず、気化する
必要のないガス燃料などを用いた触媒燃焼装置にも本発
明を適用することができる。さらに、本例の触媒燃焼装
置5は赤外線を外部に照射するタイプであるが、触媒燃
焼により得られる温風を外部に放出する装置などの他の
タイプの触媒燃焼装置においても本発明を適用すること
ができる。
【0036】さらに、上記では10秒程度の間、100
%出力で火炎燃焼した後に80%に出力を低下している
が、出力およびそれを維持する時間は例示に過ぎず、上
記の値に限定されるものではない。しかしながら、予備
燃焼の初期にできるだけ高い出力で短時間燃焼させた方
が、気化室の条件を急速に整えやすいので、初期には1
00%の出力で火炎燃焼することが望ましい。100%
の負荷を維持する時間は、触媒燃焼装置5の気化室のサ
イズなどの装置の特性に依存する。また、出力を低下す
る値、およびそれを維持する時間も、気化室のサイズ、
触媒プレートのサイズ、厚みなど、触媒燃焼装置5の特
性に依存し、適当な値に設定することが望ましい。ただ
し、本願の発明者らの実験によると、80%程度の負荷
に下げることにより、機種などによる依存性はそれほど
大きくなく、ほぼ予備燃焼の時間を延ばすことなく活性
温度に到達できるようである。
【0037】また、上述した予備燃焼工程などを含めた
制御は、触媒燃焼装置5の制御装置50に組み込まれた
シーケンサあるいはプログラマブルな制御機構などを用
いて実行することが可能である。そして、上記のフロー
チャートに基づき説明した処理を実行可能な命令を有す
る制御プログラムとして、これらの制御機構あるいはコ
ンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録して提供す
ることができる。
【0038】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の触媒燃
焼装置およびその制御方法においては、気化室などの、
触媒プレートからの輻射熱により燃料を加熱する加熱経
路で火炎を形成して予備燃焼する際に、初期に高い出力
で火炎燃焼して予熱し、その後さらに出力を下げて予熱
する。このようも出力を代えて予備燃焼することによ
り、触媒層が急激に加熱されるのを防止することがで
き、触媒層に対しするヒートショックを軽減でき、セラ
ミックなどのヒートショックにそれほど強くない素材に
より形成される触媒層の寿命を延ばすことができる。さ
らに、気化室などの加熱経路および触媒層の温度むらも
抑制できるので、触媒燃焼に移行したときに、安定した
触媒燃焼を早期に得ることができる。したがって、起動
時間が短く、安定した触媒燃焼を確実に得ることがで
き、さらに耐久性の高い触媒燃焼装置を本発明により提
供することができる。
【0039】また、本発明の触媒燃焼装置およびその制
御方法では、予備燃焼中に出力を下げるので、予備燃焼
で消費される燃料も節約することができ、同時に、火炎
燃焼で放出される排ガスも少なくできる。したがって、
無炎燃焼することで窒素酸化物などの有害物質の生成割
合が低く、さらに匂いや騒音も少ないという数多くの触
媒燃焼のメリットをさらに活かした触媒燃焼装置を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る触媒燃焼装置の構成を示す図であ
る。
【図2】図1に示す触媒燃焼装置の燃焼工程を示すフロ
ーチャートである。
【図3】図2に示す予備燃焼工程をさらに詳しく示すフ
ローチャートである。
【図4】予備燃焼における温度上昇の様子と、出力変化
の状態を示す図である。
【符号の説明】
5 触媒燃焼装置 7 燃料ポンプ 11 気化室の壁 12 気化室 13 噴霧装置(バーナ) 14 イグナイタ 15 ブロワ 15a ブロワモータ 20 触媒層 30 輻射板 40 火炎センサー 41 輻射板の温度センサー 42 触媒層の温度センサー 50 制御装置 51 監視部 52 起動制御部 70 液体燃料(灯油)
フロントページの続き (72)発明者 鈴木 美博 長野県須坂市大字幸高246番地 オリオン 機械株式会社内 (72)発明者 西野 敦 長野県須坂市大字幸高246番地 オリオン 機械株式会社内 Fターム(参考) 3K052 AA02 AA03 AA05 AA06 FA01 FA05 FA08 3K065 TA01 TA06 TA07 TA08 TD04 TK02 TK04 TN01 3K068 AA15 AB21 AB23 BA07 CA11 CA26 EA03 FA01 FB06 FC02 FC06 FD07 GA01 GA03 JA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気化状態の燃料の触媒燃焼を行う触媒層
    と、 この触媒層からの輻射熱により該触媒層に供給する燃料
    を加熱する経路と、 この加熱する経路で燃料を火炎燃焼可能な燃焼手段と、 この燃焼手段により火炎燃焼を行い前記加熱する経路お
    よび触媒層を予熱する予備燃焼の初期に高い出力で火炎
    燃焼し、その後、出力を低くする制御手段とを有する触
    媒燃焼装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記制御手段は、前
    記予備燃焼の初期にほぼ100%の出力で火炎燃焼し、
    その後、出力を下げた状態を保持することを特徴とする
    触媒燃焼装置。
  3. 【請求項3】 請求項1において、前記加熱する経路
    は、液体燃料を気化する機能を備えており、前記燃焼手
    段は、前記液体燃料を噴霧して火炎を形成可能であるこ
    とを特徴とする触媒燃焼装置。
  4. 【請求項4】 気化状態の燃料を触媒層からの輻射熱に
    より加熱する経路を通して該触媒層に供給し触媒燃焼を
    行う触媒燃焼装置の制御方法であって、前記加熱する経
    路内で燃料を火炎燃焼して該加熱する経路および前記触
    媒層を予熱する予備燃焼工程を有し、 この予備燃焼工程では、初期に高い出力で火炎燃焼し、
    その後、出力を低くすることを特徴とする触媒燃焼装置
    の制御方法。
  5. 【請求項5】 請求項4において、前記予備燃焼工程で
    は、初期にほぼ100%の出力で火炎燃焼し、その後、
    出力を下げた状態を保持することを特徴とする触媒燃焼
    装置の制御方法。
JP2000128700A 2000-04-28 2000-04-28 触媒燃焼装置およびその制御方法 Pending JP2001311508A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000128700A JP2001311508A (ja) 2000-04-28 2000-04-28 触媒燃焼装置およびその制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000128700A JP2001311508A (ja) 2000-04-28 2000-04-28 触媒燃焼装置およびその制御方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001311508A true JP2001311508A (ja) 2001-11-09

Family

ID=18638104

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000128700A Pending JP2001311508A (ja) 2000-04-28 2000-04-28 触媒燃焼装置およびその制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001311508A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102767825A (zh) * 2012-07-03 2012-11-07 上海大学 一种无焰可调温的催化燃烧装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102767825A (zh) * 2012-07-03 2012-11-07 上海大学 一种无焰可调温的催化燃烧装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5256553B2 (ja) 乾留ガス化焼却処理装置および焼却処理方法
JP2001311508A (ja) 触媒燃焼装置およびその制御方法
JP4768465B2 (ja) バイオマス燃料の着火方法
CN110023680B (zh) 燃料运行的车辆加热器和用于运行该燃料运行的车辆加热器的方法
JP4100828B2 (ja) 触媒燃焼装置およびその制御方法
JP6396769B2 (ja) ポット式燃焼器
JP3766814B2 (ja) 触媒燃焼装置およびその制御方法
JP3313520B2 (ja) 触媒燃焼装置の制御方法
JP3843599B2 (ja) 触媒燃焼装置
JP3869627B2 (ja) 液体燃料燃焼装置
JPS6246124A (ja) 液体燃料燃焼装置
JP2001141214A (ja) 触媒燃焼装置およびその制御方法
JP2773452B2 (ja) 燃焼装置
JP2001263658A (ja) 触媒燃焼装置およびその制御方法
JP2539573Y2 (ja) 触媒燃焼装置
JP3872623B2 (ja) 気化式石油燃焼装置
JP2538260B2 (ja) 燃焼制御装置
JP3253576B2 (ja) 液体燃料燃焼装置
JP3033282B2 (ja) 燃焼装置
JP2004191049A (ja) 触媒燃焼装置の燃焼制御方法
JPH0783429A (ja) 液体燃料燃焼装置
JP2002013732A (ja) 気化式燃焼装置
JP2000018547A (ja) ガス化焼却装置およびガス化焼却装置の運転制御方法
JPH0599430A (ja) 燃焼装置
JP2001012707A (ja) 触媒燃焼装置