JP2001310232A - 移動ステージの精密送り装置 - Google Patents

移動ステージの精密送り装置

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JP2001310232A JP2000131287A JP2000131287A JP2001310232A JP 2001310232 A JP2001310232 A JP 2001310232A JP 2000131287 A JP2000131287 A JP 2000131287A JP 2000131287 A JP2000131287 A JP 2000131287A JP 2001310232 A JP2001310232 A JP 2001310232A
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electrorheological fluid
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moving stage
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Kazuhiko Sano
一彦 佐野
Hidehiro Yoshida
英博 吉田
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
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  • Non-Mechanical Conveyors (AREA)
  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】送りむらが極めて小さな移動ステージの送り装
置を提供する。 【解決手段】電気粘性流体を入れた容器であって、かつ
前記電気粘性流体を挟んで対向する固定された第1の電
極及び第2の電極を有する容器と、前記第1の電極と前
記第2の電極との間に電圧をかける電源部と、少なくと
も一部が前記電気粘性流体の中に存在する移動プレート
であって、前記第1の電極と前記第2の電極との間を僅
かな距離を隔てて移動可能に配置された絶縁体よりなる
移動プレートを、少なくとも1つ有する移動ステージ
と、前記移動ステージを前記第1の電極及び前記第2の
電極に実質的に平行に移動させる駆動部と、を具備する
送り装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光ディスクの原盤に
信号を記録するレーザビームレコーダ又は半導体のステ
ッパー等の高い送り精度が要求される精密送り装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】CD又はDVD(Digital Ve
rsatile Discの略称。登録商標。)等の光
ディスクの再生装置の普及に伴い、音楽又は映画等のコ
ンテンツを記録したCD又はDVD等の需要が伸びてい
る。市場で販売されるCD又はDVD等の光ディスク
は、信号を記録した原盤からスタンピングにより製造さ
れる。光ディスクのマスタリング装置(原盤の作成装
置)は、公知のフォトエレクトロフォーミング法により
作られる。ガラスの円板をクリーニングし、クリーニン
グした円板にフォトレジストをコーティングする。フォ
トレジストコーティングした円板をベーキングして、フ
ォトレジストの溶剤を除去し、フォトレジストを硬化さ
せる。ベーキングした円板にレーザビームを用いて信号
を記録する。
【0003】記録した円板を現像する。現像により、レ
ーザビームを照射された部分のフォトレジストが除去さ
れる。ガラスの円板は非導電性であり次の電気鋳造を行
うためには導電性の膜を生成する必要がある故に、現像
した円板にNiをスパッタリングする。スパッタリング
された円板に電気鋳造(エレクトロフォーミング)を行
い、円板上に原盤を生成する。電気鋳造された原盤の背
面を研磨し、ガラスの円板から剥離する。剥離された原
盤の中心軸の穴を抜く。穴を抜いた原盤をクリーニング
し、表面に残留するフォトレジスト等を除去する。以上
の工程により、原盤が完成する。その後は、原盤からス
タンパーを生成し、スタンパーによりスタンピングする
ことにより、光ディスクを複製する。
【0004】光ディスクの原盤記録装置(レーザビーム
レコーダ)は、上記の工程の中の、原盤にレーザビーム
を用いて信号を記録する工程において使用される。図1
2は、光ディスク(DVD等)の原盤記録装置の概略的
な構成を示す。101はレーザ発振器、102はスピン
ドルモータ、103はスライダ、104はレコーディン
グレンズ、105はビームスポットモニタ、106は移
動光学系、107はDVDの原盤、108は除振台であ
る。レーザ発振器101が出力する紫外線レーザ光(例
えばアルゴンレーザ光)は、デジタル映像信号又はデジ
タル音声信号等により変調され、移動光学系106を通
り、レコーディングレンズ104(移動光学系106に
含まれる。)を通って、スピンドルモータ102によっ
て回転している原盤107に照射される。
【0005】スピンドルモータ102で原盤を回転させ
るとともに、原盤107の半径方向にスライダ103を
ゆっくりと移動させることによりスライダ103上に取
り付けられているレコーディングレンズ104を含む移
動光学系106を移動させながら、レーザ光を原盤10
7に照射させて信号を記録する。DVDはデータを一定
の密度で記録するCLV方式(Constant Li
near Velocity方式。線速度一定方式)を
採用しているため、ディスクの内周と外周ではスピンド
ルモータ102の回転数が異なる。これに伴いスライダ
103の移動速度もディスクの内周と外周で異なる。例
えば図12の原盤記録装置においては、スライダ103
は、ディスクの外周では5μm/sの低速で移動し、デ
ィスクの内周では10μm/s以上の高速で移動する。
【0006】原盤に照射されたレーザ光の反射光を入力
し、ビームスポットモニター105で反射光の信号レベ
ルを検出する。検出出力に基づいて、レコーディングレ
ンズの高さを最適に調整する。原盤記録装置は、極めて
精度の高い加工を行うため、外乱の影響を取り除く必要
がある。原盤記録装置の主要な構成要素101から10
6は、外乱による振動を吸収するダンパー機構の上に搭
載された除振台108の上に置かれている。
【0007】光ディスクに高密度記録を行う技術の進歩
に伴い、光ディスクのトラックピッチは非常に狭くなっ
てきた。CDのトラックピッチは1.6μmであった
が、DVDのトラックピッチは0.74μmであり、H
D画像信号を記録するHD−DVDのトラックピッチは
0.4μm前後である。将来的にはさらに狭トラックピ
ッチの光ディスクが規格化されると考えられる。光ディ
スクのトラックピッチが狭くなるにつれ、原盤記録装置
のスライダ103の速度むらの許容値も非常に狭くなっ
ている(高い精度を要求される)。原盤記録装置で作成
した原盤から複製されたDVDは任意のDVD再生装置
で完全に再生出来ることが必要である。具体的には、製
造されたDVDの原盤のトラックピッチのゆれを約20
nm以下に抑える必要がある。しかも、今後さらにトラ
ックピッチの光ディスクが登場することを考慮すると、
原盤のトラックピッチのゆれを数nm以下にすることが
望ましい。このような精度を実現するためには、記録レ
ーザの冷却水の振動や周囲の処理装置から発生する床振
動などの外乱により生じる微小な送りむらも許容できな
い。
【0008】本発明は、トラックピッチのゆれが数nm
以下の原盤を製造出来る光ディスクの原盤記録装置に関
し、特に、そのような原盤記録装置のスライダ(移動ス
テージ)を含む送り装置に関する。又、本発明は、高精
度の移動ステージの送り装置が要求される任意の装置
(例えば半導体ステッパー等)に応用が可能である。
【0009】多くの従来の光ディスクの原盤記録装置の
移動ステージ(スライダ)の送り装置は、静圧空気軸受
けを用いた送りガイドを有している。静圧空気軸受けは
すべり軸受けや転がり軸受けに比べ抵抗がなく、なめら
かでむらのない送りが得られる。しかし、静圧空気軸受
けは送り方向の動剛性がないため、特に外乱に対して弱
いという欠点を有している。上記の問題を解決するため
に移動ステージの移動に対してダンピングを積極的に与
え、外乱に対する剛性を上げる様々な試みが行われてい
る。例えば、移動ステージに機械的な負荷を加えたり、
フィードバック量の最適化により、移動ステージが外乱
に対して素早く応答するようにする。しかし、移動ステ
ージに機械的な負荷を加えると、移動ステージの移動に
伴う当該負荷の変動が新たな外乱を生じる。
【0010】この問題を解決する手段として、静圧空気
軸受を用いた送りガイドを有していて、電気粘性流体を
用いて送り抵抗を得る移動ステージが提案されている
(日本機会学会論文集(C編)65巻630号(199
9−2)論文No.98−0962)。電気粘性流体を
用いて送り抵抗を得る方法は、印加する電圧によって抵
抗を自由に変えることができるため効果的な利用が可能
である。光ディスクの原盤記録では記録ゾーンまでは毎
秒数mm以上の早送りでヘッドを移動させ、記録ゾーン
では毎秒数μmという超低速での送りが必要である。電
気粘性流体を用いれば、早送り時は電気粘性流体に電圧
をかけず抵抗の少ない状態にし、記録時には電圧を印加
しダンピングの利いた状態にすれば理想的な使い方が実
現できる。
【0011】図3は、電気粘性流体を用いた移動ステー
ジの送り装置の一部を示す拡大断面図である。移動ステ
ージの上板10に絶縁体21を介して移動プレート11
が取付けられている。例えば、DVDの原盤記録装置に
おいては、上板10の上にレコーディングレンズを含む
移動光学系が搭載されている。移動プレート11(第2
の電極14を兼ねる。)は高圧ケーブル18によって高
圧の電源部19の陰極に接続されており(第2の電極は
移動電極である。)、電気粘性流体15を満たした容器
12の内側の両側面に貼り付けられた第1の電極13は
高圧ケーブル18によって電源部19の陽極に接続され
ている(第1の電極は固定されている。)。移動プレー
ト11は電気粘性流体15の中を紙面に垂直の方向に移
動する。移動プレートが移動するときに、電源部19に
より移動プレート11(第2の電極14)と第1の電極
13との間に例えば1〜4kVのDC電圧をかける。す
ると、電気粘性流体中に電界が生じる(例えば陽極と陰
極との間の距離が1mmであれば、1.0〜4.0kV
/mmの電界)。その結果電気粘性流体は誘導分極を起
し移動プレート11と容器12の間に粒子鎖を形成す
る。この粒子鎖が移動プレート11の移動時にせん断抵
抗を生じ、移動ステージの送り方向にダンピング効果を
与える。上記の装置により、速度むらが非常に小さな移
動ステージを実現できる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図3の装置に
おいては、移動ステージ側に高圧ケーブルを繋がなけれ
ばならない。極めて高精度の記録を行う光ディスクの原
盤記録装置(又はステッパ等)においては、高圧ケーブ
ルを繋いだ状態で移動ステージを移動させると、移動ス
テージの移動中に微小な速度むらを生じる。高圧ケーブ
ルは剛性があり、その負荷は一定でなく、移動ステージ
の位置によって変動する。そのため微小な速度むらを生
じ、結果としてトラックピッチのむらを生じた。同様に
ステッパーなどの位置決め精度が要求される装置でも、
高圧ケーブルの剛性は停止時の安定性に影響を与える。
本発明は、高圧ケーブルに起因する速度むらが発生しな
い、高精度の移動ステージの送り装置を提供することを
目的とする。
【0013】又、従来の電気粘性流体においては、容器
の側面に取り付けた固定電極と僅かな距離を隔て(例え
ば0.5mm〜1mm)かつ高い電位差(例えば1kV
〜4kV)を有しながら、移動プレートである移動電極
が移動する。もし、何らかの事故により固定電極と移動
電極とが接触事故を起こすと高圧がショートされる故
に、非常に危険である。本発明は、固定電極と移動電極
とが接触事故を起こした場合にも、重大な事故を生じな
い安全な移動ステージの送り装置を提供することを目的
とする。
【0014】又、光ディスクの記録装置においては、光
ディスクの内周と外周では移動ステージの移動速度が異
なる。移動ステージの移動速度が異なると、制御系全体
が最適に収束するための負荷も異なる。しかし、機械的
な負荷を移動速度に応じて変化させることは、一般に困
難である。又、移動ステージの位置を位置検出スケール
によって検出し、当該位置を最適に制御しても、スケー
ルから離れたところではガイドの微小ガタ及び静圧軸受
けのエアー共振等が発生し、光ディスクのトラッキング
精度に換算して数nmの微小振動が引き起こされる。本
発明は、速度むらが極めて小さな高精度の移動ステージ
の送り装置を提供することを目的とする。
【0015】本発明は、運送(例えば工場からユーザま
での運送)が容易な移動ステージの送り装置を提供する
ことを目的とする。本発明は、電気粘性流体に代えて、
磁性流体を用いて、上記の課題を解決する移動ステージ
の送り装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載
の発明は、電気粘性流体を入れた容器であって、かつ前
記電気粘性流体を挟んで対向する固定された第1の電極
及び第2の電極を有する容器と、前記第1の電極と前記
第2の電極との間に電圧をかける電源部と、少なくとも
一部が前記電気粘性流体の中に存在する移動プレートで
あって、前記第1の電極と前記第2の電極との間を僅か
な距離を隔てて移動可能に配置された絶縁体よりなる移
動プレートを、少なくとも1つ有する移動ステージと、
前記移動ステージを前記第1の電極及び前記第2の電極
に略平行に移動させる駆動部と、を具備する送り装置で
ある。
【0017】本発明の移動ステージの送り装置は、固定
した電極に電圧を印加することにより電気粘性流体にせ
ん断応力を発生させ、当該せん断応力のダンピング効果
を利用して極めて小さな速度むらを実現する移動ステー
ジの送り装置である。移動ステージと固定部とを接続す
るケーブル(固体)をなくすことにより、ケーブルの曲
がりによる負荷変動による外乱を除去する。移動ステー
ジと固定部とは液体(電気粘性流体)と気体(静圧気体
軸受け)を介して結合され、外乱は電気粘性流体のダン
ピング効果により抑圧される。高圧ケーブルが移動プレ
ート(電極を兼ねる。)に接続されていると、硬い高圧
ケーブルが移動プレートに伴って移動する際に、当該高
圧ケーブルが移動ステージに外乱を与えた。本発明にお
いては、高圧ケーブルは固定された電極に接続されてい
る故に常に静止しており、当該高圧ケーブルは外乱を生
じない。このため、本発明は、極めて送りむらの少ない
移動ステージを実現できるという作用を有する。又、本
発明においては、移動プレートは導電性でなくてもよ
い。そこで、非導電性の材料も含む広い範囲の材料の中
から、最適の材料を用いて移動プレートを構成すること
が出来る。
【0018】又、万一移動プレート(絶縁体でも導体で
も良い。)がいずれか一方の固定電極と接触する事故が
起きたとしても、2個の固定電極の間には依然として絶
縁物(電気粘性流体)が存在する故に、4kVの高圧が
ショートすると言う事故は防げる。本発明は、安全性の
高い移動ステージの送り装置を実現することが出来ると
いう作用を有する。又、安全性が高い故に、実用上固定
電極と移動プレートとの間の隙間を小さくすることが出
来る(安全のための距離が不要である。)。本発明は、
効率の良い電気粘性流体を用いた制動装置を具備する移
動ステージの送り装置を実現することが出来るという作
用を有する。印加される電圧がDC電圧である場合は、
「第1の電極と第2の電極」は陽極と陰極である。
【0019】本発明の請求項2に記載の発明は、前記移
動プレートがセラミックまたはガラスまたは強化プラス
チックよりなることを特徴とする請求項1に記載の送り
装置である。
【0020】本発明においては移動プレートは電極を構
成しないため(電極は2個とも固定電極である。)、移
動プレートは導電性を有する必要がない。薄くて面積の
大きな移動プレートは(薄いほど電界強度を大きくする
ことが出来るためせん断応力は大きくなり、又面積が大
きいほど抵抗は大きい。)、大きなせん断応力(抵抗)
を受けながら電気粘性流体中を移動する。移動時に応力
を受けた移動プレートが振動しないように、移動プレー
トは出来るだけ剛性を有する材料で作られていることが
好ましい。セラミック等からなる本発明の移動プレート
は、剛性を有し、高い応力を受けながら移動する際に、
ほとんど振動等を生じない。このため、本発明は、極め
て送りむらの少ない移動ステージを実現できるという作
用を有する。
【0021】又、万一移動プレートがいずれか一方又は
両方の固定電極と接触する事故が起きたとしても、4k
Vの高圧がショートすると言う事故は防げる。本発明
は、安全性の高い移動ステージの送り装置を実現するこ
とが出来るという作用を有する。
【0022】本発明の請求項3に記載の発明は、前記移
動プレートが金属よりなり、かつ前記移動プレートと前
記移動ステージとが相互に絶縁されていることを特徴と
する請求項1に記載の送り装置である。
【0023】本発明においては、移動プレートは導電性
を有する。電圧を印加すると、電界はほとんど電気粘性
流体が存在する空間にのみ発生し(導体である移動プレ
ート中には電界が発生しない。)、大きな電界が得られ
る。そのため、大きなせん断応力が得られる。この場
合、移動プレートと移動ステージとが電気的に導通を有
していると、移動プレート及び移動ステージ全体が大き
な電位を有することになるので(例えば、2個の電極間
に4kVの直流電圧を印加し、移動プレートが2個の電
極の間の空間の真中にあるとすれば、移動プレート及び
移動ステージは4kV/2=2kVの電位を有す
る。)、万一人間が移動ステージに接触すると危険であ
る。又、移動ステージと固定部との間で放電が発生する
可能性もある。そこで、本発明は移動プレートと移動ス
テージとを相互に絶縁する。本発明は、さらに、効率が
良くかつ感電等の事故を防止できる移動ステージの送り
装置を実現するという作用を有する。
【0024】又、万一移動プレートがいずれか一方の固
定電極と接触する事故が起きたとしても、2個の固定電
極の間には依然として絶縁物(電気粘性流体)が存在す
る故に、4kVの高圧がショートすると言う事故は防げ
る。本発明は、安全性の高い移動ステージの送り装置を
実現することが出来るという作用を有する。
【0025】好ましくは、電気粘性流体が入った容器及
び移動プレートは絶縁物(例えばプラスチック)でカバ
ーされ、人間が誤って接触する事故を防ぐ。さらに好ま
しくは、移動ステージは細くて軟らかい線によりグラウ
ンドに接続されている(これは、他の請求項の発明につ
いても適用可能である。)。移動プレートと移動ステー
ジが絶縁されていても、通常移動ステージ全体が固定部
と接触していないため、いずれ移動ステージが帯電する
おそれがある。そのため、感電又は放電等が発生する可
能性がある。移動ステージとグラウンドとを軟らかい線
で接続しておけば、移動ステージが帯電する事故を防止
することが出来る。この場合、移動ステージとグラウン
ドを結ぶ線には電流は流れず電圧もまったくかからない
ため(上記の例でいえば、移動プレートにかかる2kV
とグラウンド(0V)との電位差は、全て移動プレート
と移動ステージとの間の絶縁物にかかる。)、細くて軟
らかい線を用いることが出来る(高圧ケーブルは不要で
ある)。そのため、当該線が移動ステージに外乱を与え
ることはない。
【0026】他の発明においては、電気粘性流体に交流
電圧を印加する。これにより、感電の危険を小さくする
ことが出来、かつ移動ステージが帯電しにくい。本発明
は、感電又は放電等の事故を防止できる移動ステージの
送り装置を実現するという作用を有する。
【0027】本発明の請求項4に記載の発明は、前記移
動プレートが通気性のあるポーラスな材質又は移動方向
に貫通穴が開いている部材であることを特徴とする請求
項1から請求項3のいずれかの請求項に記載の送り装置
である。
【0028】ポーラスな材質の移動プレートは、その中
を貫通して存在する電気粘性流体を含む。移動プレート
は、その電気粘性流体中に存在する粒子鎖を切断して移
動するため、さらに大きなせん断応力が発生する。本発
明は、さらに効率が良い移動ステージの送り装置を実現
するという作用を有する。又、先端と後端との間に1個
又は複数個の貫通穴を有する部材からなる移動プレート
を具備することにより、電気粘性流体が容器から溢れる
ことを防止する。本発明により、電気粘性流体のスムー
ズな流れを確保することが可能になるため、例えば、移
動プレートと容器との隙間を狭くすることが出来る。本
発明は、例えば効率の良い移動ステージの送り装置を実
現することが出来るという作用を有する。
【0029】本発明の請求項5に記載の発明は、電気粘
性流体を入れた容器であって、内側の側面に固定された
第1の電極を有する容器と、少なくとも一部が前記電気
粘性流体の中に存在する移動プレートであって、表面が
絶縁された第2の電極を有する移動プレートを、少なく
とも1つ有する移動ステージと、前記第1の電極と前記
第2の電極とが前記電気粘性流体を間に挟みかつ僅かな
距離を隔てて対向した状態で、前記移動ステージを移動
させる駆動部と、前記第1の電極と前記第2の電極との
間に電圧をかける電源部と、を具備する送り装置であ
る。
【0030】本発明は、従来例である図3と類似の構成
を有しているが、第2の電極の表面が絶縁されているこ
とを特徴とする。又、万一移動プレートが固定電極と接
触する事故が起きたとしても、2個の電極の間には絶縁
層があるため(第2の電極の表面の絶縁層)が存在する
故に、4kVの高圧がショートすると言う事故は防げ
る。本発明は、安全性の高い移動ステージの送り装置を
実現することが出来るという作用を有する。
【0031】本発明の請求項6に記載の発明は、電気粘
性流体を入れた容器と、少なくとも一部が前記電気粘性
流体の中に存在し、かつ移動可能な少なくとも1個の移
動プレートと、前記移動プレートを有する移動ステージ
と、前記移動ステージを移動させる駆動部と、前記移動
プレートの移動方向と実質的に直角の方向の電界であっ
て前記移動ステージの移動方向の位置に応じた電界を前
記電気粘性流体に印加する電源部と、を具備する送り装
置である。
【0032】本発明は、移動ステージの移動方向の位置
に依存する電圧を電気粘性流体に印加する。例えばロボ
ット制御の位置決め機構に電気粘性流体を応用した場合
は、目標位置は都度変化し、他の要因(制御対象の移動
速度、負荷の大きさ等)によっても最適の印加電圧は変
化する。しかし、光ディスクの原盤記録装置等において
は、電気粘性流体に印加する最適な電圧が、移動ステー
ジの移動方向の位置と電気粘性流体の特性とによって決
まる。又、原盤記録装置等は、移動ステージの位置を精
密に測定する位置検出スケール8と読み取りヘッド9を
具備する。そこで、本発明は、電気粘性流体に印加する
最適な電圧を移動ステージの移動方向の位置情報に基づ
いて決定する。これにより、本発明は、移動ステージが
いかなる位置にあっても常に適切なダンピング効果が得
られる移動ステージの送り装置を実現できるという作用
を有する。本発明は、特に光ディスクの原盤記録装置、
ステッパ、又は位置に応じたダンピングファクタが要求
される任意の装置において、特に有効である。
【0033】本発明の請求項7に記載の発明は、電気粘
性流体を入れた容器であって電気粘性流体が巡回可能な
経路を有する容器と、少なくとも一部が前記電気粘性流
体の中に存在し、かつ移動可能な少なくとも1個の移動
プレートと、前記移動プレートを有する移動ステージ
と、前記移動ステージを移動させる駆動部と、前記移動
プレートの移動方向と実質的に直角の方向の電界を前記
電気粘性流体に印加する電源部と、を具備する送り装置
である。
【0034】本発明の送り装置の容器は、巡回可能な経
路(例えば、容器の長手方向の両端を結ぶ管)を有す
る。移動プレートと容器との隙間は非常に狭く、かつ当
該隙間に存在する電気粘性流体の粘度は非常に高い故に
(電界が印加されているため)、当該隙間を通って電気
粘性流体が移動プレートの後方に流れにくい。本発明に
おいては、移動プレートの移動に伴い、当該移動プレー
トの前に押された電気粘性流体が当該経路を通じて移動
プレートの後ろに回ることが出来る。当該経路は、電界
が印加されていないため、電気粘性流体はスムーズに流
れる。これにより電気粘性流体の液面は一定に保たれ、
電気粘性流体が容器から溢れたり、移動プレートの前で
電気粘性流体の液面が盛り上がってせん断応力による抵
抗が大きくなりすぎることを防ぐことが出来る。本発明
により、電気粘性流体のスムーズな流れを確保すること
が可能になるため、例えば、移動プレートと容器との隙
間を狭くすることが出来る。本発明は、例えば効率の良
い移動ステージの送り装置を実現することが出来るとい
う作用を有する。
【0035】本発明の請求項8に記載の発明は、電気粘
性流体を入れた容器と、少なくとも一部が前記電気粘性
流体の中に存在し、かつ移動可能な少なくとも1個の移
動プレートと、前記移動プレートを有する移動ステージ
と、前記移動ステージを移動させる駆動部と、前記移動
プレートの移動方向と実質的に直角の方向の電界を前記
電気粘性流体に印加する電源部と、を具備する送り装置
であって、前記容器は、容器の側面又は底面に設けられ
た開口部を有し、かつ、前記開口部に直接取り付けられ
た栓、前記開口部に接続された管に取り付けられた栓、
又は一端を前記開口部に接続された管の他の端に接続さ
れた他の容器に取り付けられた栓のいずれかの栓を有す
る、ことを特徴とする送り装置である。
【0036】電気粘性流体を移動ステージの制動装置に
使用する送り装置においては、通常容器は密閉されてい
ない。例えばDVDの原盤記録装置を工場から光ディス
クのマスタリング会社に運送する場合、運送時の振動等
により電気粘性流体がこぼれる恐れがある。電気粘性流
体15は無害であるが極めて高価である故に、移動ステ
ージの運送時に電気粘性流体がこぼれて失われることを
防止する必要がある。又、容器と他の部材(例えば移動
プレート)との位置関係は高い精度で調整されている故
に、運送時に移動ステージから容器を外して容器の中の
電気粘性流体を他の容器に移すことは好ましくない。容
器を再び移動ステージに組み込む際の調整作業が大変だ
からである。本発明においては、運送前に電気粘性流体
を他の容器に移し、運送後に再び電気粘性流体を容器に
戻すことが容易に出来る。本発明は、運送が容易な移動
ステージの送り装置を実現することが出来るという作用
を有する。
【0037】本発明の請求項9に記載の発明は、前記電
気粘性流体を磁性流体に代えて、第1の電極及び第2の
電極をギャップを有する磁気回路に代えたことを特徴と
する請求項1から請求項8のいずれかの請求項に記載し
た送り装置である。
【0038】本発明は、電気粘性流体に代えて磁性流体
を使用する。本発明は、上記の請求項の発明について記
載したのと同様の作用を有する。又、磁性流体を用いた
場合は、電極に電荷が蓄積されることがない故に、感電
等の危険が少ないという作用を有する。
【0039】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施をするための最
良の形態を具体的に示した実施例について図面とともに
記載する。本発明は、電気粘性流体の中で移動プレート
を移動させることにより送り抵抗を得る。電気粘性流体
について説明する。電気粘性流体は、電圧を印加するこ
とにより発生する電界強度に応じて粘度が変化する(ウ
ィンズロー効果と言う。)液体である。ER流体とも言
う(Electrorheological Flui
dの略称)。電気粘性流体には、分散系の電気粘性流体
と均一系の電気粘性流体とがある。分散系の電気粘性流
体は、誘電性の微粒子(例えばイオン解離基を含有する
微粒子、電子分極する微粒子、チタン酸バリウム等の誘
電体の微粒子等)を絶縁油(例えば、シリコーンオイ
ル、炭化水素系オイル又はハロゲン系オイル等)に分散
させた流体である。分散系の電気粘性流体は、粒子に水
を含む含水型と水を含まない非含水型とがある。均一系
の電気粘性流体は、液晶のように電界で分子が配向し異
方性を示す物質からなる流体である。
【0040】図7は、分散系の電気粘性流体(図7
(a))と、均一系の電気粘性流体(図7(b))との
特徴的な相違点を示す模式図である。それぞれ、横軸は
せん断速度dγ/dt、縦軸はせん断応力τである。電
界をかけない状態においては(E=0)両者ともニュー
トン流動(物体の移動速度(又はせん断速度)に比例し
た応力)を示す。しかし、電界をかけると(E>0)、
分散系の電気粘性流体はせん断応力の直線が並行移動し
て上がるビンガム流動を示し(物体の移動速度(又はせ
ん断速度)に依存しない応力)、均一系の電気粘性流体
はせん断応力の直線の勾配(粘度)が大きくなるニュー
トン流動を示す。分散系の電気粘性流体には、例えば藤
倉化成株式会社のTH−403又はFKER−Ver.
5、株式会社日本触媒のTX−ER8がある。均一系の
電気粘性流体には、例えば旭化成工業株式会社のARC
01がある。
【0041】図8は、分散系の電気粘性流体の原理を示
す。(a)は電気粘性流体に電界をかけていない状態
を、(b)は電気粘性流体に電界をかけた状態を示す。
(a)の状態(電圧を印加していない。)においては、
分散相粒子である誘電性の固体微粒子は、分散媒である
油の中にバラバラに存在している。固体微粒子は非常に
小さく、例えば数十nmから数μmの直径を有する(分
散相の種類により直径は大きく異なる。)。物体を
(a)の状態の当該流体中で移動させた時に受ける抵抗
は、油の粘性抵抗にほぼ等しい。
【0042】(b)の状態(電圧を印加する。)におい
ては、分散相粒子である誘電性の固体微粒子は、分散媒
である油の中でつながりあって鎖を構成する。電界強度
が大きければ、鎖の数は増加し、鎖の平均の長さは長く
なる。物体を(b)の状態の当該流体中を図8(b)の
左から右の方向(電界に垂直の方向)に移動させた時
は、物体が鎖をせん断しながら移動することになるた
め、物体は鎖のせん断抵抗を受ける。せん断抵抗は鎖の
数が多いほど大きく鎖の長さが長いほど大きい。
【0043】図9は、電気粘性流体中で物体を移動させ
たときにせん断抵抗が発生する様子を図示する。図8に
おいて、下側の電極(例えば陽極)を固定し、上側の電
極(例えば陰極)を図8で左から右に向かう方向に移動
させると、電気粘性流体はせん断応力(流体のマッチ箱
を台形に変形させることにより発生する応力)を受け
る。図9において、減衰力fd(電極の移動に対する抵
抗力)はせん断応力に電極の面積(Le×B)を掛けた
値である。せん断速度γは、上側の電極の移動速度vに
比例し、電気粘性流体の幅(2個の電極間の距離)hに
反比例する。せん断応力とせん断速度γとの関係は後述
する(図10及び図11)。
【0044】図10及び図11は、株式会社日本触媒が
販売している電気粘性流体TX−ER6の特性図である
(株式会社日本触媒の資料による。)。TX−ER6
は、絶縁性油の分散媒に、スルホン化重合体の分散相
(直径は数μm程度である。)を分散した分散系の電気
粘性流体である。図10は、せん断速度200/sにお
ける電気粘性流体に印加される電界強度とせん断応力と
の関係を示す図である。横軸は電界強度(kV/m
m)、縦軸はせん断応力(Pa)である。実線は直流
(DC)の電界における電界強度とせん断応力との関係
を示し、破線はAC50Hzの交流の電界における電界
強度とせん断応力との関係を示す。図10より、電界強
度の2乗にほぼ比例したせん断応力が生じることが分か
る。もっとも、電界強度とせん断応力の関係は製品によ
って異なる。例えば、藤倉化成株式会社のTH−403
及び株式会社日本触媒のTX−ER8は、せん断応力は
電界強度にほぼ比例する。旭化成工業株式会社のARC
01は、電界強度が0〜1kV/mmの間はせん断応力
が電界強度にほぼ比例しており、電界強度が1kV/m
mを超えると、電界強度が大きくなるに応じてせん断応
力は飽和気味に緩やかに増加する。比例定数もそれぞれ
異なる。
【0045】電界をかけない状態(図8(a))で15
0/sのせん断速度において4.5Paのせん断抵抗を
生じる。AC50Hz及び4kV/mmの電界で150
/sのせん断速度において2100Paのせん断応力を
生じ、この応力は電界をかけない場合の応力の約460
倍である。このことから、十分高い電圧を電気粘性流体
に印加することにより、鎖のせん断抵抗を通常の油の粘
性抵抗よりもはるかに大きくすることが出来ることが分
かる。
【0046】図11を説明する。図11(a)は、AC
50Hzの交流の電界におけるせん断速度とせん断応力
との関係を示す。図11(b)は、直流(DC)の電界
におけるせん断速度(単位は/s)とせん断応力(単位
はPa)との関係を示す。それぞれ、破線は1kV/m
mの電界、1点鎖線は2kV/mmの電界、2点鎖線は
3kV/mmの電界及び実線は4kV/mmの電界にお
ける関係を示す。せん断速度とせん断応力との関係も、
分散系の電気粘性流体の製品間で異なる。例えば、藤倉
化成株式会社のTH−403は、せん断速度が変化して
もせん断応力はあまり変化せず、せん断速度が増加する
とせん断応力も少しずつ増加する傾向を有する。株式会
社日本触媒のTX−ER8は、せん断速度が変化しても
せん断応力はあまり変化せず、せん断速度が増加すると
せん断応力は少しずつ減少する傾向を有する。
【0047】上記のような電気粘性流体を光ディスク
(CD、DVD等を含む。)の原盤記録装置に応用出来
る。光ディスクの原盤記録装置においては、レコーディ
ングレンズが記録開始点上に来るまで当該レコーディン
グレンズを含む移動光学系を搭載した移動ステージを毎
秒数mm以上の早送り速度で移動させ、記録開始後は移
動ステージを毎秒数μmという超低速で移動させる。原
盤記録装置に電気粘性流体を使用した移動ステージの移
動機構を採用し、早送り時は電気粘性流体に電圧をかけ
ず抵抗の少ない状態で移動ステージを移動させ、記録時
には電圧を印加しダンピングの利いた状態で移動ステー
ジを移動させる。これにより、理想的な移動ステージの
移動機構が実現できる。
【0048】《実施例1》本発明の実施例を図1から図
6を用いて説明する。本実施例は、DVDの原盤記録装
置に含まれる、移動光学系を搭載した移動ステージの送
り装置である。図1は本発明の実施例である移動ステー
ジの送り装置の正面図である。図2は図1の実施例の平
面図である。1は静圧気体軸受け(典型的には静圧空気
軸受け)のガイドであり、装置基台上にガイド支持部材
2で門型に両端を支持されている。スライド3はガイド
1に沿って移動する。4はスライド3の下部に取付けら
れてスライド3を紙面に垂直方向に移動させるリニアモ
ータ(ボイスコイルモータ)のコイルアセンブリであ
る。5はリニアモータの磁気回路を形成するヨークで装
置基台に固定されている。6はヨーク5に固定された永
久磁石、7はセンターヨークである。磁石6とヨーク5
およびセンターヨーク7で構成される磁気回路の磁界の
中にあるコイルに電流を流すことによってコイルアセン
ブリ4は紙面に垂直の方向に駆動力を得る。8はスライ
ド3の側面に取付けられた位置検出スケール、9はその
読み取りヘッドで、5のヨーク上に固定されている。リ
ニアモータが移動ステージを駆動する駆動力のベクトル
は、移動ステージの重心を通る移動ステージの移動方向
に平行な線を含む平面であって、地面に垂直な平面に実
質的に含まれる。
【0049】位置検出スケール8は一定の間隔で細かい
縞模様を有する。読み取りヘッド9は、発光ダイオード
と受光ダイオードを含む反射型のフォトインタラプタか
らなる読み取りヘッドであり、フォトインタラプタの前
面に位置検出スケールと同じ間隔の細かい縞模様のスリ
ットを有する。発光ダイオードが出力した光は位置検出
スケール8によって反射され、受光ダイオードが反射光
を入力する。スライド3が移動すると、位置検出スケー
ル8の縞模様と読み取りヘッド9のスリットとの干渉に
より受光ダイオードが入力する反射光のレベルが変化す
る。これにより、読み取りヘッド9は、スライド3の移
動量を検出する。スライド3の位置情報を不揮発性の記
憶装置に記憶し、最初に位置情報の較正を行うことによ
り、スライド3の絶対位置を知ることが出来る。スライ
ド3上には移動ステージの上板10が固定されている。
光ディスクの記録装置においては、レコーディングレン
ズや光学ホルダー等の移動光学系がこの上に取付けら
れ、レコーディングレンズは回転する原盤上を移動す
る。
【0050】移動ステージの上板10の両サイドには絶
縁体からなる移動プレート11が取付けられている。2
個の移動プレート11は移動ステージの上板10とほぼ
同じ横幅を有している(図2における横幅)。移動プレ
ート11は容器12の中に挿入されている。容器12の
内側両サイドの側壁に陽極となる第1の電極13と陰極
になる第2の電極14が取付けられている。従って、第
1の電極と第2の電極とは固定されている。容器12
は、その中に電気粘性流体(例えば、株式会社日本触媒
製のTX−ER8)15を満たしている。移動プレート
11は、第1の電極13及び第2の電極14のそれぞれ
と0.5mm以下の僅かな間隔を隔てた状態で、図2の
横方向に移動する。移動プレート11は移動ステージの
移動に伴って移動する。16は容器15の台である。第
1の電極13及び第2の電極14は、移動プレート11
の移動方向(移動ステージの移動方向)に直角の方向の
電界を発生する。両サイドの移動ステージが発生する制
動力(抵抗)のベクトルは、移動ステージの重心を通る
移動ステージの移動方向に平行な線を含む平面であっ
て、地面に垂直な平面に対して、互いに実質的に対称で
ある。好ましくは、容器12は絶縁性のプラスチック等
で形成されている。これにより、使用者が容器12の外
壁に触れた場合の感電事故を防止する。上記のように、
本実施例の送り装置の移動ステージは、静圧空気軸受
(又は他の気体を使用した静圧気体軸受)により保持さ
れ、ボイスコイルモータにより駆動されるとともに、電
気粘性流体による制動力を受ける。従って、基本的には
(電気の接続線等を除く。)移動部と固定部は液体又は
気体を介して接触している。
【0051】図4は、第1の実施例の容器12の部分の
拡大断面図を図4に示す。図4の動作を説明する。19
は高圧の電源部で、高圧ケーブル17および18で第1
の電極13及び第2の電極14に接続されている。第1
の電極13及び第2の電極14は、容器12の内側の両
側面にそれぞれ貼り付けられている。第1の電極13及
び第2の電極14は、ともに固定電極である。本発明で
は高圧ケーブルは共に固定されている。本発明では第1
の電極13と第2の電極14の間に3〜4kVの電圧が
印加され、電気粘性流体15は粒子鎖を電極間で形成す
る。絶縁体である移動プレート11も電界の中で誘電分
極し、第1の電極13と移動プレート11との間及び第
2の電極14と移動プレート11との間に電気粘性流体
15の粒子鎖を形成する。かかる状態で電極間に置かれ
た移動プレート11が移動すると(図4の紙面に垂直の
方向に移動する。)粒子鎖の分断によるせん断応力が生
じ、スライド3の動きにダンピング作用を与える。上記
の構成では移動プレート11は高圧ケーブルを引っ張っ
ていないため、高圧ケーブルの負荷変動を受けない。
【0052】本発明の移動プレート11は絶縁体ででき
ている。移動プレート11の厚さが薄い方が電気粘性流
体が存在する空間の電界を大きくすることが出来る(移
動プレートが存在する空間に存在する電界は何の仕事も
しない。)。しかし電気粘性流体中を抵抗を受けながら
移動するために、薄くてもねじれないような剛性が必要
である。そのために本発明の移動プレート11は剛性の
あるセラミック、ガラス、又は強化プラスチックからな
る。
【0053】また図5の拡大断面図に示す他の実施例に
おいては、移動プレート11が導電性の金属で出来てい
る。金属の移動プレートは高い剛性を有する。又、金属
内には電界が存在しないため、それだけ電気粘性流体の
存在する空間の電界が大きくなり、大きなせん断応力が
発生する。第1の電極13及び第2の電極14は、容器
12の内側の両側面にそれぞれ貼り付けられている。第
1の電極13及び第2の電極14は、ともに固定電極で
ある。しかし、例えば陽極の第1の電極13及び陰極の
第2の電極14の間に4kVが印加され、移動プレート
11が第1の電極13及び第2の電極14の間の真中に
ある場合には、移動プレート11は2kVの電位を有す
る。従って、もし移動プレート11と移動ステージの上
板10が互いに電気的に導通していれば、移動ステージ
全体が2kVの電位を有する。万一移動ステージに触れ
ば感電するため危険である。又、スライダ3とガイド1
の間の静圧気体軸受け等の絶縁耐圧が弱い部分で放電す
る可能性もある。
【0054】又、移動ステージ(上板10、移動プレー
ト11、スライド3、コイルアセンブリ4、センターヨ
ーク7、位置検出スケール8等を含む。)がどこかで固
定部と接触することにより移動プレート11の電位が接
地された場合(0V)、移動プレート11と陰極の第2
の電極14の間の電位が0Vで、移動プレート11と陽
極の第1の電極13との間の電位が4kVになる。この
ような場合、移動プレート11の片側にのみせん断応力
が働くため、移動プレート11にねじれ力が働き、安定
な動作をしない。そこで、移動プレート11と移動ステ
ージの上板10との間に、絶縁体21を挿入し、移動ス
テージの上板10を移動プレート11から絶縁する。好
ましくは、移動ステージとグラウンドとの間を細くて軟
らかい導線で接続する(従来例の図3又は実施例の図4
若しくは図5のいずれにおいても適用可能である。)。
又、好ましくは、容器12及び移動プレート11の全体
をプラスチックの薄い板でカバーし、感電事故を防止す
る(従来例の図3又は実施例の図4若しくは図5のいず
れにおいても適用可能である。)。
【0055】また別の実施例では移動プレート11は通
気性のあるポーラスな材質でできている。通気性のある
ポーラスな材質では、その中を貫通して存在する電気粘
性流体があり、移動プレート11が動く時にその電気粘
性流の粒子鎖を切断して進むことになる。そのため通常
のせん断応力より高い抵抗が得られる。更に他の実施例
においては、移動プレートは、先端から後端に抜ける1
個又は複数個の貫通穴(進行方向にほほ平行な穴)を有
する。移動プレートの実質的な前面の面積を減らすこと
により、移動プレートの前面が電気粘性流体を前に押し
て電気粘性流体を容器12から溢れさせることを防止す
るとともに、電気粘性流体が当該先端から後端に抜ける
穴を通して移動プレートの後ろ側に移動することを可能
にし、電気粘性流体が容器12から溢れることを防止す
る。
【0056】上記の説明は電圧の印加によって分極した
粒子が電界方向にブリッジを形成する分散系と呼ばれる
電気粘性流体について説明したが、移動ステージの移動
速度がある程度高い場合には、流体を構成する分子やド
メインが電界により配向することによって粘性が増大す
る均一系と呼ばれる電気粘性流体についても同様の効果
がある。もっとも、光ディスクの原盤記録装置の移動ス
テージのように記録時の移動速度が極めて遅い場合は、
ビンガム流動を示す分散系の電気粘性流体を使用するこ
とが好ましい。移動速度が遅すぎて、ニュートン流動を
示す均一系の電気粘性流体によっては十分な抵抗を発生
できないからである。
【0057】光ディスクの原盤記録装置の移動ステージ
の送り装置に本発明を用いる場合について説明する。光
ディスクの原盤は通常直径200mm程度の大きさのガ
ラス盤が用いられるが、記録される領域は半径でほぼr
1=約20mm(内周)からr2=約65mm(外周)
である。また記録の開始は内周から始まるものが多い。
そのため、記録ヘッドはまず早送りモードで記録開始位
置まで移動し、その位置から低速での記録が行われ、記
録終了後に再び早送りモードで待機位置に戻ってくる。
本発明装置では早送りモードでは電極に電圧を印加せ
ず、抵抗の少ないスムースな送りを実現し、低速での記
録モードでのみ電極に高圧を印加し、強いダンピング効
果を得ることができる。
【0058】図6は、本実施例の移動ステージの送り装
置の制御装置のブロック図を示す。v0は目標速度、x
は移動ステージの現在位置、v=dx/dtは移動ステ
ージの移動速度、k1は比例制御装置の比例定数、k2
は積分制御装置の積分定数、fd(x)は位置の関数で
ある制動装置の伝達関数(電気粘性流体に電圧を印加す
ることにより抵抗を発生する。)、g(x,t)は位置
及び時間の関数である外乱(静圧気体軸受けの抵抗等も
含む。)、mは移動ステージの質量、(dv/dt)は
移動ステージの加速度である。減算器30は、目標速度
v0と実際の速度vを入力し、差分(v0−v)を出力
する。比例制御装置31は、差分(v0−v)を入力
し、k1(v0−v)を出力する。積分制御装置32
は、差分(v0−v)を入力し、Σk2(v0−v)を
出力する。加算装置34は、比例制御装置31の出力信
号k1(v0−v)と積分制御装置32の出力信号Σk
2(v0−v)とを加算し、制動装置が発生する抵抗f
d(x)と外乱g(x,t)とを減算する。移動ステー
ジに印加される力Fは、下記の(1)式で表せる。 F=k1(v0−v)+Σk2(v0−v)−fd(x)−g(x,t) =m・(dv/dt) (1)
【0059】fd(x)がない場合k1及びk2の最適
値は小さいが、大きなfd(x)が存在する場合にはk
1(v0−v)等によってfd(x)を相殺する必要が
あるため、k1及びk2の最適値は大きくなる。位置検
出装置35は、移動ステージの位置xを出力する。制動
装置(電気粘性流体を含む)33は、位置xを入力し、
抵抗fd(x)を出力する。微分装置36は位置xを入
力し、位置の微分(速度)v=dx/dtを出力する。
速度vは、例えば読み取りヘッド9が一定の時間内に入
力する位置検出スケールの出力パルス数をカウントして
測定する。又、他の実施例においては、位置検出スケー
ルのパルス間の間隔の時間を測定すること(例えば、位
置検出スケールのパルス間に発生する他の非常に速いパ
ルスの数をカウントする。)により速度を測定する。上
記の式(1)において、安定状態において発生する微小
な外乱の影響を考えると、積分制御系への影響は微小で
あり、制動装置の抵抗は変化しないから、 ΔF=k1・Δv−Δg(t) (2) ΔF=0とおくと、Δv=Δg(t)/k1 k1は大きい故に、Δg(t)に基づく速度むらΔvは
小さい。
【0060】又、CD又はDVD等のCLV方式の光デ
ィスクにおいては、記録中の移動ステージの移動速度が
ディスクの内周と外周で異なる。内周(半径r1)では
移動ステージの移動速度v1は速く、外周(半径r2)
では移動ステージの移動速度v1は遅い。単位時間あた
りにレーザ光が走査するディスク上の面積は一定である
から、関係式は、下記の(3)式で表せる。 r1・v1=r2・v2 (r1<r2) (3) 移動ステージの速度むらを光ディスクの外周から内周ま
で最小にするためには、光ディスクの内周から外周ま
で、 (流体粘度)×(移動速度)=一定 (4) に保つことが好ましい。
【0061】又、図11に示すように、移動ステージの
移動速度(即ち移動プレートのせん断速度)が変化する
と、電界強度が一定の状態において、電気粘性流体のせ
ん断応力が変化する。光ディスクの原盤記録装置の移動
ステージの送り装置においては光ディスクの移動速度は
移動ステージの移動方向の位置xの関数であるから、制
動装置33の伝達関数fd(x)をxの関数に定め、移
動ステージの任意の位置において、(4)式が成立する
様に定める。伝達関数fd(x)は、位置xにおける移
動プレートの移動速度と、当該移動速度における電気粘
性流体のせん断応力(例えば図11)と、電界とせん断
応力との関係(例えば図10)に基づいて定められる。
具体的には、例えば株式会社日本触媒製のTX−ER6
を使用した制動装置においては、移動ステージの移動速
度が速い位置においてはfd(v)の値を大きくするこ
とにより、CLV方式の光ディスクの原盤記録装置を精
度良くかつ安定に制御することが出来る。上述の藤倉化
成株式会社の電気粘性流体はせん断速度が増加するとせ
ん断応力も少しずつ増加する傾向を有するため、移動ス
テージの移動速度が速い位置においてはfd(x)の値
も小さくすることにより、CLV方式の光ディスクの原
盤記録装置を精度良くかつ安定に制御することが出来
る。
【0062】制動装置33は、電気粘性流体の2個の電
極間にかける電圧を移動ステージの位置に応じて変化さ
せる。移動ステージの移動速度は5μm/sec〜10μm
/secであり、電極間の距離は例えば1mmである。印加
電圧は、速度に応じて1.0kV〜4.0kVまで変化
させる(図3の電極を有する場合)。図5の電極を有す
る送り装置においては、導体である移動プレートが1m
mの厚さを有し、移動プレートと各電極との距離を各
0.5mmとする。印加電圧は、速度に応じて1kV〜
4kVまで変化させる。
【0063】移動ステージの移動速度(実際には、移動
ステージの移動方向の位置)に応じて電気粘性流体に電
界を加えることにより、移動ステージの振れが抑制され
る。図8に示したように、電気粘性流体は絶縁性の流体
に電気分極性を有する粒子を分散させたコロイド溶液で
ある。電気粘性流体に電界を印加することにより、粒子
に分極が生じ、クラスタと呼ばれる粒子の連鎖が形成さ
れることによって流体の見かけの粘度が変化する。な
お、積分制御装置32のゲインk2を大きくして、fd
(x)を一定値fd0に維持しつつ移動ステージの移動
速度を制御することも出来る。
【0064】他の実施例においては、常にボイスコイル
モータが移動ステージを駆動できる限界に近い負荷を与
える。これにより速度むらを最小に抑える。この場合
は、移動ステージの目標移動速度が速くなった場合(移
動ステージの移動速度が速い位置)には移動ステージに
印加する負荷(抵抗)fd(x)を軽減させなければ、
ボイスコイルモータが最大の駆動力を発揮しても目標速
度に達しない。そこで、目標移動速度が速い位置におい
ては移動ステージに印加する負荷fd(x)を軽減す
る。これにより、常に速度むらを最小に抑える。
【0065】さらに、電気粘性流体に印加する電圧を交
流電圧(AC電圧)にすることによって、感電した場合
に危険性を低くし(一般に、AC電圧に感電するより
も、DC電圧に感電する方が人体にとって危険であると
言われている。)、かつ移動ステージが帯電しにくくな
る。
【0066】[電気粘性流体の容器12の説明(図1
3)]図13は、本発明の実施例である電気粘性流体の
容器12を示す(電極13及び14の記載を省略してい
る。)。容器12に移動プレート11を挿入した状態
で、移動プレート11と容器12の側面の電極13(又
は13及び14)との隙間は非常に狭く(例えば0.5
mmである。)かつ電気粘性流体がせん断応力を有する
故に、移動プレート11の移動につれて移動プレートの
前方に電気粘性流体15が盛り上がる。そのため、電気
粘性流体15が容器12から溢れ出る恐れがある。
【0067】本発明の実施例である容器12は、容器1
2の長手方向の両端を接続する管131を具備する。移
動プレート11が移動するにつれて移動プレート11の
前方に盛り上がった電気粘性流体15は、管131を通
って容器12の移動プレート11の後ろ側に移動する。
管131が電気粘性流体15の逃げ道になる。管131
及び管131の近辺では電界が存在しないようにする。
管131を通る電気粘性流体の粘度は十分低いので、管
131は一般的には細くてもよい。管131の太さ及び
形状は任意である。容器12が回遊型の形状(容器12
の中で電気粘性流体15が巡回する形状)をしていても
よい。
【0068】又、管131は、蓋を具備する容器132
に接続されている。例えばDVDの原盤記録装置を工場
から光ディスクのマスタリング会社に運送する場合、移
動ステージに使用される容器12は密閉構造ではない故
に、運送時の振動等により電気粘性流体15がこぼれる
恐れがある。電気粘性流体15は無害であるが極めて高
価である故に、移動ステージの運送時に電気粘性流体が
こぼれて失われることを防止する必要がある。容器12
と他の部材(例えば移動プレート11)との位置関係は
高い精度で調整されている故に、運送時に移動ステージ
から容器12を外して容器12の中の電気粘性流体15
を他の容器に移すことは好ましくない。容器12を再び
移動ステージに組み込む際の調整作業が大変だからであ
る。
【0069】本発明の容器12は、管131が容器12
の底面に接しており、かつ3つに分岐する管131の1
個の枝は蓋のある容器132に接続されている。又、容
器132に接続される枝は、軟らかい素材で作られてい
る。管131全体が軟らかい部材で出来ていても良く、
容器12の前後を接続する部分は硬質の部材で出来てお
り容器132に接続される枝のみが柔らかい部材で出来
ていても良い。更に、容器132は、管131の接続部
に栓133を具備する。DVDの原盤記録装置を運送す
る前に、蓋を開けた容器132を容器12より低い位置
に置いて、栓133を開く。すると、全ての電気粘性流
体15が容器132の中に入る。栓133を閉じ、容器
132の蓋を閉める。この状態で原盤記録装置を運送し
ても、電気粘性流体が容器132からこぼれる恐れはな
い。
【0070】運送後に、蓋を開けた容器132を容器1
2より高い位置に置いて、栓133を開く。すると、全
ての電気粘性流体15が容器12の中に入る。栓133
を閉じる。この状態で原盤記録装置を駆動することが出
来る。容器132の高さを上下することにより、容器1
2の中の電気粘性流体の液面の高さを調整することが出
来る。又、容器132に余分の電気粘性流体を蓄積して
おく。容器132の中に蓄積された電気粘性流体を出し
入れして(容器132の高さを上下させたり、栓133
を開け閉めすることにより実施出来る。)、容器12の
中の電気粘性流体の液面の高さを調整することが出来
る。この機能は、特に、電気粘性流体が僅かでも揮発性
である場合に有効である。
【0071】栓133は、容器132に代えて、管13
1に設けられていても良い。又、例えば132に接続さ
れている枝上であって、他の枝との分岐点に近い位置に
設けられていても良い。好ましくは、容器12は容器1
32を具備するが、容器12が栓133を具備する管1
31のみを有することも出来る。この場合は、ユーザ
は、ユーザが別途用意した容器(容器132に相当す
る。)を使用することにより、上記と同様のことが出来
る。
【0072】更に、栓133が容器12に直接取り付け
られていても良い。一般的には、容器12の管131の
取付場所と異なる場所に、栓133が取り付けられる。
この場合は、容器132を具備していなくても良い。容
器はユーザが別途用意することが出来る。同様に、管1
31がなくてもよい。
【0073】[磁性流体を用いた制動装置の説明(図1
4)]上記の説明は、全て電気粘性流体を用いている
が、電気粘性流体に代えて、磁性流体を用いることも出
来る。図14は、容器12に電気粘性流体に代えて磁性
流体を入れた制動装置の概略構成を示す。磁性流体は、
磁界をかけるとせん断能力が増加する。例えば、米国の
Lord Corporationが販売しているMR
F−132LD等がある。図14において、移動ステー
ジ10の移動プレート11は、磁性流体201を満たし
た容器12の中を移動する。
【0074】巻線203を有するコア202は、僅かな
ギャップを有しており、当該僅かなギャップの中に移動
プレートと磁性流体が挟まれている。容器12も当該ギ
ャップの中にあっても良い。又は、コア202が容器1
2の中に入り込んでいて、コア202のギャップに面し
た面が容器の内壁の一部を形成していても良い。後者の
方がギャップの距離を狭くすることが出来、高い磁界が
得られるために好ましい。コア202及び当該ギャップ
は、磁気回路を形成する。コア202は高い透磁率の素
材(例えばフェライト)で形成されている。電源部20
4は巻線203に電流を流す。これにより磁気回路(コ
ア202及びギャップ)に磁束が流れ、ギャップに強い
磁界が形成される。強い磁界中に置かれた磁性流体20
1中を移動プレート11が移動すると、高いせん断応力
が発生する。これにより、図14の装置は、制動装置と
して機能する。図14の制動装置を上記の実施例に応用
することにより、上記の実施例と同様の効果が得られ
る。
【0075】
【発明の効果】本発明の移動ステージの送り装置は、固
定した電極に電圧を印加することにより電気粘性流体に
せん断応力を発生させ、当該せん断応力のダンピング効
果を利用して極めて小さな速度むらを実現する移動ステ
ージの送り装置である。本発明の移動ステージの送り装
置では、移動プレートなどの移動体に高圧ケーブルが繋
がれてないので、変動のある負荷を受けない。そのため
に負荷が安定し、一定した速度の送りが実現できる。ま
た記録されたトラックピッチのバラツキを小さくするこ
とができる。本発明により、極めて送りむらの少ない移
動ステージの送り装置を実現できるという有利な効果が
得られる。
【0076】高圧ケーブルを固定しており、移動ステー
ジの移動に伴って高圧ケーブルを移動させない故に安全
である。電気粘性流体に交流電圧を印加することによ
り、感電の危険を小さくすることが出来、かつ移動ステ
ージが帯電しにくい。本発明により、感電又は放電等の
事故を防止できる安全な移動ステージの送り装置を実現
するという有利な効果が得られる。
【0077】本発明の移動ステージの送り装置では、万
一移動プレートがいずれか一方の固定電極と接触する事
故が起きたとしても高圧がショートすると言う事故は起
きない。本発明によれば、安全性の高い移動ステージの
送り装置を実現することが出来るという有利な効果が得
られる。又、安全性が高い故に、実用上固定電極と移動
プレートとの間の隙間を小さくすることが出来る。本発
明によれば、効率の良い電気粘性流体を用いた制動装置
を具備する移動ステージの送り装置を実現することが出
来るという有利な効果が得られる。
【0078】又、本発明においては、移動プレートは剛
性の高いセラミック、ガラス、強化プラスチックなどか
ら作られている故に、電極の間を移動中に電気粘性流体
の抵抗でねじれなどの変形を起さない。従って、本発明
により、極めて送りむらの少ない移動ステージの送り装
置を実現できるという有利な効果が得られる。
【0079】また本発明の他の実施例では、移動プレー
トは導体である金属よりなり、かつ移動プレートと移動
ステージとを相互に絶縁する。好ましくは、移動ステー
ジは細くて軟らかい線によりグラウンドに接続されてい
る。本発明は、効率が良くかつ感電等の事故を防止でき
る移動ステージの送り装置を実現することが出来るとい
う有利な効果が得られる。
【0080】また本発明のさらに他の実施例では、移動
電極の表面が絶縁層に覆われている。本発明では、万一
移動電極と固定電極とが接触事故を起こしても高圧がシ
ョートしない。本発明によれば、安全性が高い移動ステ
ージの送り装置を実現することが出来るという有利な効
果が得られる。
【0081】また移動プレートが通気性のあるポーラス
な材質で作られており、電気粘性流体の粒子鎖を切断し
て進むため、よる大きい抵抗を得ることができる。本発
明によれば、さらに効率が良い移動ステージの送り装置
を実現するという有利な効果が得られる。また、本発明
は、移動プレートに貫通穴を設けることにより、電気粘
性流体のスムーズな流れを確保する。これにより、例え
ば、移動プレートと容器との隙間を狭くすることが出来
る。本発明によれば、例えば効率の良い移動ステージの
送り装置を実現することが出来るという有利な効果が得
られる。
【0082】本発明の装置では、記録領域に記録ヘッド
がある時のみ電圧を印加して粘性抵抗を得、外乱が生じ
ても移動ステージの動きが影響されることがない。また
記録領域以外の早送り時は電圧を印加せず抵抗がほとん
どない状態をつくることができる。そのため、スムース
な早送りが可能で記録作業にかかる時間を少なくするこ
とができる。
【0083】本発明は、移動ステージの移動方向の位置
に依存する電圧を電気粘性流体に印加する。本発明によ
り、特に光ディスクの原盤記録装置等において、いかな
る位置においても常に適切なダンピング効果が得られる
移動ステージの送り装置を実現できるという有利な効果
が得られる。又、本発明により、特に光ディスクの原盤
記録装置等において、いかなる位置においても常にボイ
スコイルモータが移動ステージを駆動できる限界に近い
負荷を与える。これにより常に速度むらを最小に抑える
移動ステージの送り装置を実現できるという有利な効果
が得られる。本発明は、特に光ディスクの原盤記録装置
若しくはステッパ等の位置決め精度が要求される装置、
又は位置に応じたダンピングファクタが要求される任意
の装置において、特に有効である。
【0084】本発明の送り装置の容器は、巡回可能な経
路(例えば、容器の長手方向の両端本発明により、電気
粘性流体のスムーズな流れを確保することが可能になる
ため、例えば、移動プレートと容器との隙間を狭くする
ことが出来る。本発明は、例えば効率の良い移動ステー
ジの送り装置を実現することが出来るという作用を有す
る。
【0085】本発明においては、運送前に電気粘性流体
を他の容器に移し、運送後に再び電気粘性流体を容器に
戻すことが容易に出来る。本発明によれば、運送が容易
な移動ステージの送り装置を実現することが出来るとい
う有利な効果が得られる。
【0086】本発明は、電気粘性流体に代えて磁性流体
を使用する。本発明によれば、上記の請求項の発明につ
いて記載したのと同様の効果が得られる。又、本発明に
よれば、感電等の危険が少ないという有利な効果が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例である移動ステージの
送り装置の正面図。
【図2】 図1の平面図。
【図3】 図1の一部(電気粘性流体部分)の概略的な
拡大断面図。
【図4】 本発明の他の実施例の一部(電気粘性流体部
分)の概略的な拡大断面図。
【図5】 本発明の他の実施例の一部(電気粘性流体部
分)の概略的な拡大断面図。
【図6】 本発明の実施例の送り装置の制御装置のブロ
ック図。
【図7】 分散系の電気粘性流体と均一系の電気粘性流
体の応力特性を示す図。
【図8】 分散系の電気粘性流体の発現機構の原理を示
す図。
【図9】 電気粘性流体によりせん断応力が発生する様
子を示す図。
【図10】 電気粘性流体の電界強度とせん断応力との
関係を示す図。
【図11】 電気粘性流体のせん断速度とせん断応力と
の関係を示す図。
【図12】 光ディスクの原盤記録装置の概略的な構成
図。
【図13】 本発明の電気粘性流体の容器を示す図。
【図14】 本発明の他の実施例の一部(磁性流体部
分)の概略的な拡大透視図。
【符号の説明】
1 ガイド 2 ガイド支持部材 3 スライド 4 コイルアセンブリ 5 ヨーク 6 永久磁石 7 センターヨーク 8 位置検出スケール 9 読み取りヘッド 10 移動ステージの上板 11 移動プレート 12 容器 13 第1の電極 14 第2の電極 15 電気粘性流体 16 容器台 17、18 高圧ケーブル 19 高圧の電源部 21 絶縁体 30 減算器 31 比例制御装置 32 積分制御装置 33 制動装置 34 加算器 35 位置検出装置 36 微分装置 101 レーザ発振器 102 スピンドルモータ 103 スライダ 104 レコーディングレンズ 105 ビームスポットモニタ 106 移動光学系 107 光ディスクの原盤 108 除振台 131 管 132 容器 133 栓 201 磁性流体 202 コア 203 巻線 204 電源部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H097 AB07 BA10 LA20 3F021 AA03 BA02 CA06 DA03 DA04 5D121 BB21 BB38 5F046 CC01 CC19

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気粘性流体を入れた容器であって、か
    つ前記電気粘性流体を挟んで対向する固定された第1の
    電極及び第2の電極を有する容器と、 前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧をかける
    電源部と、 少なくとも一部が前記電気粘性流体の中に存在する移動
    プレートであって、前記第1の電極と前記第2の電極と
    の間を僅かな距離を隔てて移動可能に配置された絶縁体
    よりなる移動プレートを、少なくとも1つ有する移動ス
    テージと、 前記移動ステージを前記第1の電極及び前記第2の電極
    に実質的に平行に移動させる駆動部と、 を具備する送り装置。
  2. 【請求項2】 前記移動プレートがセラミックまたはガ
    ラスまたは強化プラスチックよりなることを特徴とする
    請求項1に記載の送り装置。
  3. 【請求項3】 前記移動プレートが金属よりなり、かつ
    前記移動プレートと前記移動ステージとが相互に絶縁さ
    れていることを特徴とする請求項1に記載の送り装置。
  4. 【請求項4】 前記移動プレートが通気性のあるポーラ
    スな材質又は移動方向に貫通穴が開いている部材である
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかの請
    求項に記載の送り装置。
  5. 【請求項5】 電気粘性流体を入れた容器であって、内
    側の側面に固定された第1の電極を有する容器と、 少なくとも一部が前記電気粘性流体の中に存在する移動
    プレートであって、表面が絶縁された第2の電極を有す
    る移動プレートを、少なくとも1つ有する移動ステージ
    と、 前記第1の電極と前記第2の電極とが前記電気粘性流体
    を間に挟みかつ僅かな距離を隔てて対向した状態で、前
    記移動ステージを移動させる駆動部と、 前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧をかける
    電源部と、 を具備する送り装置。
  6. 【請求項6】 電気粘性流体を入れた容器と、 少なくとも一部が前記電気粘性流体の中に存在し、かつ
    移動可能な少なくとも1個の移動プレートと、 前記移動プレートを有する移動ステージと、 前記移動ステージを移動させる駆動部と、 前記移動プレートの移動方向と実質的に直角の方向の電
    界であって前記移動ステージの移動方向の位置に応じた
    電界を前記電気粘性流体に印加する電源部と、 を具備する送り装置。
  7. 【請求項7】 電気粘性流体を入れた容器であって電気
    粘性流体が巡回可能な経路を有する容器と、 少なくとも一部が前記電気粘性流体の中に存在し、かつ
    移動可能な少なくとも1個の移動プレートと、 前記移動プレートを有する移動ステージと、 前記移動ステージを移動させる駆動部と、 前記移動プレートの移動方向と実質的に直角の方向の電
    界を前記電気粘性流体に印加する電源部と、 を具備する送り装置。
  8. 【請求項8】 電気粘性流体を入れた容器と、 少なくとも一部が前記電気粘性流体の中に存在し、かつ
    移動可能な少なくとも1個の移動プレートと、 前記移動プレートを有する移動ステージと、 前記移動ステージを移動させる駆動部と、 前記移動プレートの移動方向と実質的に直角の方向の電
    界を前記電気粘性流体に印加する電源部と、 を具備する送り装置であって、 前記容器は、容器の側面又は底面に設けられた開口部を
    有し、かつ、前記開口部に直接取り付けられた栓、前記
    開口部に接続された管に取り付けられた栓、又は一端を
    前記開口部に接続された管の他の端に接続された他の容
    器に取り付けられた栓のいずれかの栓を有する、ことを
    特徴とする送り装置。
  9. 【請求項9】 前記電気粘性流体を磁性流体に代えて、
    第1の電極及び第2の電極をギャップを有する磁気回路
    に代えたことを特徴とする請求項1から請求項8のいず
    れかの請求項に記載した送り装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012152149A (ja) * 2011-01-27 2012-08-16 Hitachi High-Technologies Corp ステージ機構およびステージ機構を用いたdnaシーケンサ
KR20180126702A (ko) * 2017-05-18 2018-11-28 건양대학교산학협력단 전단형 mrg 댐퍼

Cited By (3)

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