JP2001302897A - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物

Info

Publication number
JP2001302897A
JP2001302897A JP2000123128A JP2000123128A JP2001302897A JP 2001302897 A JP2001302897 A JP 2001302897A JP 2000123128 A JP2000123128 A JP 2000123128A JP 2000123128 A JP2000123128 A JP 2000123128A JP 2001302897 A JP2001302897 A JP 2001302897A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester resin
resin composition
composition according
flame retardant
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000123128A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Hase
寛之 長谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Polyplastics Co Ltd
Original Assignee
Polyplastics Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Polyplastics Co Ltd filed Critical Polyplastics Co Ltd
Priority to JP2000123128A priority Critical patent/JP2001302897A/ja
Publication of JP2001302897A publication Critical patent/JP2001302897A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 難燃剤が成形品表面に析出するのを防ぎ、成
形時のゲル化及び増粘を抑制できる樹脂組成物、その製
造方法及びこの樹脂組成物から得られた成形品を提供す
る。 【解決手段】 樹脂組成物は、(A)ポリエステル樹脂
(ポリブチレンテレフタレート系樹脂など)と、(B)
難燃剤と、(C)トリアジン系化合物(メラミンシアヌ
レートなど)と、(D)高級脂肪酸エステル(ペンタエ
リスリトールテトラステアレートなど)で構成できる。
難燃剤(B)は、ハロゲン化フェノキシ樹脂(B1)と、ア
ンチモン化合物(三酸化アンチモン)(B2)とで構成され
ていてもよい。トリアジン系化合物(C)と高級脂肪酸
エステル(D)との割合は、前者/後者(重量比)=9
0/10〜10/90程度である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属に対する腐食
性が少なく、成形時にゲル化又は増粘しないポリエステ
ル樹脂組成物、その製造方法及びこの樹脂組成物で形成
された成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリブチレンテレフタレート樹脂(PB
T樹脂)などのポリエステル樹脂は、機械的性質、電気
的性質、その他物理的・化学的特性に優れているため、
自動車部品、電子・電気機器部品などの広い分野で使用
されている。一方、ポリエステル樹脂の用途が拡がるに
つれ、その成形品には安全性の点から高い難燃性が要求
される。難燃化の方法としては、一般に、ハロゲン系難
燃剤を樹脂組成物に添加する方法などが知られている。
しかし、ハロゲン系難燃剤を使用して、金属の接点を有
する部品(以下、有接点部品という場合がある)を形成
すると、成形品表面にハロゲン系難燃剤が滲出(ブリー
ド)し、ハロゲン原子が金属と接触して金属を腐食し、
接点不良を生じる場合がある。そのため、表面にブリー
ドしにくい高分子量のハロゲン系難燃剤(例えば、ハロ
ゲン化フェノキシ樹脂など)が使用されている。
【0003】特開昭59−149954号公報には、ポ
リブチレンテレフタレート系樹脂と、特定のエポキシ価
及びフェノール性酸価を有する臭素化フェノキシ樹脂
と、無機系難燃助剤(三酸化アンチモンなど)とで構成
された難燃性ポリエステル樹脂組成物が開示されてい
る。この文献には、前記樹脂組成物は成形時にゲル化す
ることなく、溶融粘度が安定しているとともに、金属の
腐食を低減できることが開示されている。
【0004】特開平3−195765号公報には、ポリ
ブチレンテレフタレート系樹脂と、ブロム系難燃剤(テ
トラブロムビスフェノール型エポキシ樹脂オリゴマーな
ど)と、三酸化アンチモンと、メラミン類(メラミンイ
ソシアヌレート、メラミン樹脂など)とで構成された樹
脂組成物が開示されている。この文献には、前記樹脂組
成物が、金属の腐食を低減できるとともに、接点特性が
良好であることが開示されている。
【0005】また、特開平4−351657号公報に
は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂と、ハロゲン系
フェノキシ樹脂と、アンチモン化合物(五酸化アンチモ
ン及びアルカリ金属酸化物を構成要素として含む)と、
多価アルコールの脂肪酸エステルとで構成された樹脂組
成物が開示されている。この文献には、前記樹脂組成物
が、成形時の流動性を改善できるとともに、金属の腐食
を低減し、樹脂の分解によって生じる有機ガス発生量を
低減できるので、有接点部品として有用であることが開
示されている。
【0006】このような難燃剤を使用すれば、有接点部
品において、ある程度金属の腐食を抑制できる。しか
し、ハロゲン化フェノキシ樹脂などでは、難燃性を高め
るため難燃助剤を併用することが多く、成形時の溶融状
態において架橋して三次元化(ゲル化)し、スクリュー
にゲル化した樹脂が付着したり、増粘して流動性が低下
する場合がある。このような現象は、アンチモン化合物
(三酸化アンチモンなど)を併用した場合には特に顕著
である。このようなゲル化を抑制するために、ハロゲン
化フェノキシ樹脂の重合度を大きくすると、樹脂の粘度
が増加し流動性が損なわれる。また、ハロゲン化フェノ
キシ樹脂の重合度を小さくすると、流動性をある程度改
善できるものの、ゲル化が起こりやすくなる。従って、
表面にブリードしにくい高分子量の難燃剤を使用して
も、樹脂の溶融粘度を安定させ、かつゲル化を抑制する
のは困難である。
【0007】一方、難燃剤として、デカブロモジフェニ
ルエーテル、臭素化ポリカーボネートオリゴマーなどの
ハロゲン系難燃剤を使用すると、前記のようなゲル化及
び増粘などの問題は回避できるが、このような難燃剤を
含む成形品を高温下又は長時間使用すると、難燃剤が成
形品表面にブリードし、金属を腐食する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、成形品の表面に難燃剤が滲出するの防ぎ、金属の腐
食を抑制できるとともに、成形工程又は過程での滞留樹
脂のゲル化及び増粘を抑制でき、溶融粘度が極めて安定
な樹脂組成物及びその製造方法を提供することにある。
【0009】本発明の他の目的は、金属と接触する部位
を有していても、金属の腐食を防止でき、長期に亘り優
れた接点特性を維持できる成形品(特に、有接点部品)
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため鋭意検討を重ねた結果、ポリエステル樹脂
と、難燃剤とで構成された樹脂組成物に、トリアジン系
化合物及び高級脂肪酸エステルを添加すると、成形時の
ゲル化を抑制でき、溶融粘度が極めて安定であるととも
に、金属に対する腐食性を大きく改善できることを見い
だし、本発明を完成した。
【0011】すなわち、本発明のポリエステル樹脂組成
物は、(A)ポリエステル樹脂と、(B)難燃剤、
(C)トリアジン系化合物と、(D)高級脂肪酸エステ
ルとで構成できる。ポリエステル樹脂(A)は、ポリア
ルキレンアリーレート系樹脂(特に、ポリブチレンテレ
フタレート系樹脂)であってもよい。難燃剤(B)は、
ハロゲン化フェノキシ樹脂(B1)と難燃助剤(B2)(アンチ
モン化合物など)とで構成されていてもよい。ハロゲン
化フェノキシ樹脂(B1)は、下記式(1)で表される繰り
返し単位を有していてもよい。
【0012】
【化2】
【0013】(式中、Xはハロゲン原子、Yはアルキレ
ン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基、シクロア
ルキリデン基、カルボニル基、酸素原子、硫黄原子、ス
ルフィニル基又はスルフィド基を示す。nは1〜4の整
数を示し、Xの種類は繰り返し単位nによって異なって
いてもよい)トリアジン系化合物(C)は、アミノ基を
有するトリアジン類とシアヌール酸との反応生成物(特
に、メラミンシアヌレート)であってもよい。高級脂肪
酸エステル(D)は、多価アルコールの脂肪酸エステル
であってもよい。アンチモン化合物(B2)は、三酸化アン
チモンであってもよい。トリアジン系化合物(C)と高
級脂肪酸エステル(D)との割合は、前者/後者(重量
比)=90/10〜10/90程度である。また、本発
明のポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂
(A)100重量部に対して、(B)難燃剤1〜100
重量部(例えば、ハロゲン化フェノキシ樹脂1〜100
重量部とアンチモン化合物0.1〜50重量部程度)、
(C)トリアジン系化合物0.1〜50重量部及び
(D)高級脂肪酸エステル0.01〜30重量部程度を
含んでいてもよい。
【0014】本発明には、ポリエステル樹脂(A)と、
難燃剤(B)と、トリアジン系化合物(C)と、高級脂
肪酸エステル(D)と混合して前記ポリエステル樹脂組
成物を製造する方法、及び前記ポリエステル樹脂組成物
で形成された成形品(特に、金属の接点を有する成形部
品など)も含まれる。
【0015】
【発明の実施の形態】[ポリエステル樹脂(A)]ポリ
エステル樹脂(A)は、ジカルボン酸成分とジヒドロキ
シ成分との重縮合、オキシカルボン酸又はラクトン成分
の重縮合、又はこれらの成分の重縮合などにより得るこ
とができ、ホモポリエステルであってもコポリエステル
であってもよい。ポリエステル樹脂(A)としては、通
常、芳香族ポリエステル樹脂、特に、ジカルボン酸成分
が芳香族ジカルボン酸である芳香族ポリエステル樹脂
(ポリアルキレンアリーレート系樹脂など)が使用でき
る。
【0016】ジカルボン酸成分としては、例えば、芳香
族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、フタル
酸、ナフタレンジカルボン酸(2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸など)、ジフェニルカルボン酸、ジフェニルエ
ーテルジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、
ジフェニルエタンジカルボン酸などのC8-16芳香族ジカ
ルボン酸などが使用できる。好ましい芳香族ジカルボン
酸成分は、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など
である。なお、他のジカルボン酸成分として、例えば、
脂環族ジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボ
ン酸などのC4- 10シクロアルカンジカルボン酸)、脂肪
族ジカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸などのC4-12脂肪族ジカルボン
酸)又はそれらの誘導体などを併用し、コポリエステル
を形成してもよい。前記誘導体として、エステル形成可
能な誘導体、例えば、ジメチルエステルなどの低級アル
キルエステル、酸無水物、酸クロライドなどの酸ハライ
ドが例示される。これらのジカルボン酸成分は、単独で
又は二種以上組合せて使用できる。
【0017】ジヒドロキシ成分としては、通常、脂肪族
ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ブタンジオール(1,3−ブタンジオール、1,4
−ブタンジオールなど)、ネオペンチルグリコール、ヘ
キサンジオール、オクタンジオールなどのC2-10アルキ
レンジオール)が使用される。好ましい脂肪族ジオール
は、エチレングリコール、ブタンジオールなどのC2-6
アルキレンジオ−ルである。なお、他のジヒドロキシ成
分として、脂環族ジオール(シクロヘキサンジオール、
シクロヘキサンジメタノールなどのC4-12脂環族ジオー
ル)、芳香族ジオール(ハイドロキノン、レゾルシン、
ジヒドロキシビフェニル(4,4−ジヒドロキシビフェ
ニルなど)、ナフタレンジオール、ジヒドロキシジフェ
ニルエーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン(ビスフェノールA)などのC6-20芳香族
ジオール)、前記芳香族ジオールのアルキレンオキサイ
ド付加体(例えば、ビスフェノールAのエチレンオキサ
イド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキ
サイド2モル付加体などのビスフェノールAのC2-4
ルキレンオキサイド付加体)、ポリオキシアルキレング
リコール(例えば、ジエチレングリコール、ポリオキシ
エチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリ
オキシC2-4アルキレングリコール)などを併用し、コ
ポリエステルを形成してもよい。これらのジヒドロキシ
成分は、エステル形成可能な誘導体、例えば、アルキル
基、アルコキシ基又はハロゲン置換体などであってもよ
い。これらのジヒドロキシ成分は、単独で又は二種以上
組合せて使用できる。
【0018】また、オキシカルボン酸(例えば、オキシ
安息香酸、オキシナフトエ酸、ジフェニレンオキシカル
ボン酸などのオキシカルボン酸)及びその誘導体、ラク
トン(例えば、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バ
レロラクトン、カプロラクトン(例えば、ε−カプロラ
クトンなど)などのC3-12ラクトンなど)などを使用し
てもよい。前記誘導体には、前記ジカルボン酸成分及び
ジヒドロキシ成分に対応する誘導体が含まれる。これら
の化合物も一種で又は二種以上組合せて使用できる。さ
らに、必要により、多官能性モノマー、例えば、トリメ
リット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの多価カ
ルボン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリ
メチロールエタン、ペンタエリスリトールなどの多価ア
ルコールを少量併用してもよい。このような多官能性モ
ノマーの使用により生成する分岐又は架橋構造を有する
ポリエステルも使用できる。
【0019】好ましいポリエステル樹脂(A)は、ポリ
アルキレンアリーレート系樹脂(すなわち、アルキレン
アリーレート単位を主成分とするホモポリエステル樹脂
やコポリエステル樹脂、又は前記ホモ又はコポリエステ
ル樹脂を主成分とする樹脂組成物)である。上記ホモポ
リエステル樹脂には、ポリアルキレンアリーレート(例
えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレートなどのポリC2-4アルキレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレ
ートなどのポリC2-4アルキレンナフタレート)などが
含まれる。また、上記コポリエステル樹脂には、アルキ
レンアリーレート単位を少なくとも60重量%以上有す
るポリアルキレンアリーレート[例えば、アルキレンア
リーレート(特に、ブチレンテレフタレート)単位を6
0重量%以上(70〜98重量%程度)有する共重合体
など]が含まれる。特に、ポリブチレンテレフタレート
系樹脂(ポリブチレンテレフタレート、コポリブチレン
テレフタレート(共重合体)、これらのホモ又はコポリ
ブチレンテレフタレートを含む樹脂組成物)が好まし
い。
【0020】ポリエステル樹脂(A)の末端カルボキシ
ル基濃度は、樹脂1kg当たり1〜120ミリ当量、好
ましくは3〜100ミリ当量、さらに好ましくは3〜6
0ミリ当量程度である。
【0021】ポリエステル樹脂(ポリブチレンテレフタ
レート系樹脂など)の固有粘度(溶媒:o−クロロフェ
ノール、濃度:0.5重量%、温度:25℃)は、0.
4dl/g以上(例えば、0.4〜1.4dl/g)、
好ましくは0.5〜1.2dl/g、さらに好ましくは
0.6〜1dl/g程度である。固有粘度が小さすぎる
と樹脂の分解によって生じる有機ガス発生量を抑制でき
ず、固有粘度が高すぎると成形時の流動性が低下する。
【0022】ポリエステル樹脂(A)の製造には、ポリ
エステル樹脂の慣用の製造法が利用できる。例えば、ジ
カルボン酸成分又はその誘導体とジヒドロキシ成分と
を、エステル化又はエステル交換反応させ、反応で副生
する水などの脱離成分や過剰のモノマーを留去しつつ重
縮合することによりポリエステル樹脂を得ることができ
る。重合は、溶融重合、溶液重合などの慣用の重合法で
行うことができる。
【0023】[難燃剤(B)]難燃剤(B)としては、
デカブロモジフェニルエーテル、臭素化ポリカーボネー
トオリゴマーなどの高分子量化合物を使用してもよい
が、通常、高分子量のフェノキシ樹脂(特にハロゲン化
フェノキシ樹脂)が使用される。さらに、難燃助剤(ア
ンチモン化合物など)を併用してもよい。好ましい難燃
剤(B)は、ハロゲン化フェノキシ樹脂とアンチモン化
合物とで構成できる。
【0024】(ハロゲン化フェノキシ樹脂(B1))ハロゲ
ン化フェノキシ樹脂としては、下記式(1)で表される
繰り返し単位を有する樹脂、好ましくは下記式(2)で
表される繰り返し単位を有する樹脂が使用できる。
【0025】
【化3】
【0026】(式中、Xはハロゲン原子、Yはアルキレ
ン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基、シクロア
ルキリデン基、カルボニル基、酸素原子、硫黄原子、ス
ルフィニル基、スルフィド基を示す。nは1〜4の整数
を示し、Xの種類は繰り返し単位nによって異なってい
てもよい) Xで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素
原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。特に、塩素
原子、臭素原子が好ましい。
【0027】Yで表されるアルキレン基としては、メチ
レン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサ
メチレンなどのC1-6アルキレン基(好ましくはC1-4
ルキレン基)が挙げられ、アルキリデン基としては、メ
チリデン、エチリデン、プロピリデン基などのC1-6
ルキリデン基(好ましくはC1-4アルキリデン基)が挙
げられる。シクロアルキレン基としては、シクロヘキシ
レンなどのC4-20シクロアルキレン基(好ましくはC
6-12シクロアルキレン基)が挙げられ、シクロアルキリ
デン基としては、シクロヘキシリデンなどのC4-20シク
ロアルキリデン基(好ましくはC6-12シクロアルキリデ
ン基)が挙げられる。
【0028】nは1〜4の整数を示し、好ましくは2又
は3である。
【0029】前記式(1)で表される繰り返し単位を有
するハロゲン化フェノキシ樹脂は、ビスフェノール類と
エピクロルヒドリンとの反応によって得られたフェノキ
シ樹脂をハロゲン化することにより製造してもよいが、
通常、ハロゲン化ビスフェノール類とエピクロルヒドリ
ンとの反応によって得られる。また、ハロゲン化ビスフ
ェノールグリシジルエーテルとハロゲン化ビスフェノー
ル類とを反応させてもよい。
【0030】ハロゲン化ビスフェノール類としては、例
えば、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニ
ル)メタン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ
フェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−
4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3,
5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒド
ロキシフェニル)フェニルメタンなどのビス(4−ヒド
ロキシ−ハロフェニル)−C1-4アルカン(特に、ベン
ゼン環に1〜4個(特に、2又は3個)のハロゲン原子
(臭素又は塩素原子)が置換したビスフェノール類);
ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ス
ルホン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェ
ニル)スルホン;ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロ
キシフェニル)エーテル;ビス(3,5−ジブロモ−4
−ヒドロキシフェニル)ケトン;ビス(3,5−ジブロ
モ−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,
5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)スルフィドな
どが挙げられる。これらのハロゲン化ビスフェノール類
は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
好ましいハロゲン化ビスフェノール類としては、2,2
−ビス(3,5−ジブロム−4−ヒドロキシフェニル)
プロパン(テトラブロモビスフェノールA)が挙げられ
る。
【0031】なお、ハロゲン化フェノキシ樹脂は、非ハ
ロゲン化ビスフェノール類を含んでいてもよい。非ハロ
ゲン化ビスフェノール類としては、ビスフェノールA
(4,4'−ジヒドロキシジフェニル−2,2'−プロパ
ン)、ビスフェノールF(4,4'−ジヒドロキシジフ
ェニルメタン)、ビスフェノールAD(4,4'−ジヒ
ドロキシジフェニル−1,1'−エタン)、4,4'−ビ
ス(ヒドロキシフェニル)−2,2'−ブタンなどの
4,4'−ビス(ヒドロキシフェニル)−C1-6アルカン
類、ビスフェノールS(4,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホン)などが挙げられる。これらのビスフェノ
ール類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用しても
よい。
【0032】なお、ハロゲン化フェノキシ樹脂の末端
は、ヒドロキシル基であってもよく、エポキシ基であっ
てもよい。また、ハロゲン化フェノキシ樹脂の末端は、
カルボン酸類、フェノール類、アミン類、アルコール類
などで封鎖(結合)されていてもよい。
【0033】ハロゲン化フェノキシ樹脂の数平均分子量
(ポリスチレン換算)は、成形品表面にブリードするの
を防ぐため高分子量であるのが好ましく、例えば、数平
均分子量で2,000〜50,000程度、好ましくは
4,000〜40,000程度、さらに好ましくは6,
000〜35,000程度である。また、前記フェノキ
シ樹脂の平均重合度は、2〜80、好ましくは5〜6
5、さらに好ましくは8〜55程度である。
【0034】ハロゲン化フェノキシ樹脂の使用量は、前
記ポリエステル樹脂100重量部に対して、1〜100
重量部、好ましくは3〜80重量部、さらに好ましくは
5〜60重量部程度である。ハロゲン化フェノキシ樹脂
の使用量の使用量が少なすぎると十分な難燃性が得られ
ず、多すぎるとポリエステル樹脂の機械的特性や熱的特
性を損なう。
【0035】(難燃助剤(B2))難燃助剤としては、通
常、アンチモン化合物が使用される。アンチモン化合物
としては、酸化アンチモン(例えば、三酸化アンチモ
ン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモンなど)、アン
チモン酸塩(例えば、アンチモン酸ナトリウムなどのア
ンチモン酸アルカリ金属塩など)、有機酸のアンチモン
塩(例えば、酒石酸アンチモンなど)などが挙げられ
る。このようなアンチモン化合物は、前記ハロゲン化フ
ェノキシ樹脂とともに使用され、難燃助剤として樹脂の
難燃性をさらに高める。
【0036】アンチモン化合物の平均粒径は、特に制限
されず、例えば、0.01μm〜10mm、好ましくは
0.01〜5μm(0.02〜5μm)、さらに好まし
くは0.02〜3μm(例えば、0.02〜1μm)程
度である。
【0037】難燃助剤(アンチモン化合物など)の使用
量は、前記ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し
て、0.1〜50重量部、好ましくは3〜40重量部、
さらに好ましくは5〜30重量部(例えば、6〜25重
量部)程度である。使用量が少なすぎると難燃性を十分
に改善できず、多すぎるとポリエステル樹脂の機械的特
性が損なわれる。
【0038】前記ハロゲン化フェノキシ樹脂(B1)と難燃
助剤(B2)(アンチモン化合物)との割合は、前者/後者
(重量比)=20/80〜95/5、好ましくは30/
70〜90/10、さらに好ましくは40/60〜85
/15(特に50/50〜85/15)程度である。
【0039】難燃剤(B)の使用量は、前記ポリエステ
ル樹脂100重量部に対して、1〜100重量部、5〜
80重量部、さらに好ましくは10〜70重量部(特
に、15〜60重量部)程度である。難燃剤の使用量が
少なすぎると、難燃性を大きく改善できない。
【0040】[トリアジン系化合物(C)]トリアジン
系化合物としては、トリアジン類又はメラミン類(例え
ば、メラミン、メラム、メレム、アンメリン、メラミン
ホルムアルデヒド樹脂、グアナミン、アセトグアナミ
ン、ベンゾグアナミンなど)又はその誘導体(前記トリ
アジン類のN−C1-4アルキル置換体など)、シアヌー
ル酸又はその誘導体(ヒドロキシル基がC1-4アルキル
基で置換されたシアヌール酸)などが挙げられる。な
お、前記トリアジン系化合物(シアヌール酸など)に
は、互変異性体(イソシアヌール酸など)も含まれる。
また、トリアジン系化合物には、アミノ基を有するトリ
アジン類とシアヌール酸又はその誘導体との反応生成物
(例えば、メラミンシアヌレート、グアナミンシアヌレ
ート、アセトグアナミンシアヌレート、ベンゾグアナミ
ンシアヌレートなど)などが含まれる。前記トリアジン
系化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用して
もよい。好ましいトリアジン系化合物には、少なくとも
1つのアミノ基を有するトリアジン類が含まれ、さらに
好ましくは少なくとも1つのアミノ基を有するトリアジ
ン類と、シアヌール酸との反応生成物(特に、メラミン
シアヌレート)が含まれる。
【0041】トリアジン類とシアヌール酸との反応生成
物は、例えば、トリアジン類の水溶液とシアヌール酸の
水溶液とを混合し、必要により攪拌しながら反応させ、
生成した沈殿物を濾取することによって得られる。な
お、反応温度は、60〜100℃(例えば、90〜10
0℃)程度である。トリアジン類とシアヌール酸との使
用割合は、前者:後者(モル比)=1:1〜1:2程度
である。
【0042】トリアジン系化合物の平均粒径は、0.0
1μm〜1mm、好ましくは0.05〜500μm、さ
らに好ましくは0.1〜100μm(例えば、1〜10
μm)程度である。
【0043】トリアジン系化合物の使用量は、前記ポリ
エステル樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜5
0重量部、好ましくは0.5〜40重量部、さらに好ま
しくは0.6〜30重量部(例えば、0.6〜20重量
部)程度である。
【0044】なお、前記難燃剤(特にハロゲン化フェノ
キシ樹脂及びアンチモン化合物)の使用量をαとし、ト
リアジン系化合物の使用量をβとすると、α/β(重量
比)=5〜30、好ましくは6〜28、さらに好ましく
は7〜25程度である。α/βの値が小さすぎると樹脂
の機械的特性が損なわれる。
【0045】[高級脂肪酸エステル(D)]高級脂肪酸
エステル(D)は、高級脂肪酸とアルコール類との反応
によって得られる。脂肪酸としては、直鎖又は分岐鎖の
飽和脂肪酸(例えば、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリ
スチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリ
ン酸、ベヘン酸、アラキジン酸、リグノセリン酸、セチ
ロン酸、モンタン酸、メリシン酸などの飽和高級C
10-35脂肪酸(好ましくはC12-30脂肪酸)、直鎖又は分
岐鎖の不飽和脂肪酸(オレイン酸、リノール酸、リノレ
ン酸などの不飽和高級C10 -35(好ましくはC14-30、さ
らに好ましくはC14-28)脂肪酸)、前記脂肪酸の誘導
体(例えば、2−ブロモステアリン酸、18−ブロモス
テアリン酸などの脂肪酸のハロゲン化物、18−ヒドロ
キシステアリン酸、ヒドロキシベヘン酸などのヒドロキ
シ置換された脂肪酸など)が挙げられる。これらの高級
脂肪酸は、単独で又は2種以上組合せて使用できる。
【0046】好ましい高級脂肪酸は、飽和C12-28(好
ましくはC14-26)脂肪酸(例えば、ミリスチン酸、パ
ルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸な
ど)、不飽和C18-20脂肪酸(例えば、オレイン酸な
ど)である。特に、ステアリン酸、ベヘン酸などのC
16-24高級脂肪酸が好ましい。
【0047】アルコール類としては、脂肪族アルコー
ル、例えば、1価の飽和脂肪族アルコール(例えば、デ
シルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアル
コールなどの飽和高級C10-26脂肪族アルコール)、1
価の不飽和脂肪族アルコール(オレイルアルコールなど
の不飽和高級C16-20脂肪族アルコール)などを使用し
てもよいが、通常、多価アルコール類(エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、1,2−オクタンジオール、ヘキサデカン−1,
2−ジオール、オクタデカン−1,2−ジオール、イコ
サン−1,2−ジオールなどのC2-20アルキレンジオー
ル(好ましくはC2-10(さらに好ましくはC2-8)アル
キレンジオール);1,2−シクロノナンジオール、
1,2−シクロデカンジオールなどのC 6-20シクロアル
カンジオール(好ましくはC6-16(さらに好ましくはC
8-10)シクロアルカンジオール);グリセリン、トリメ
チロールプロパンなどのC3-8アルカントリオール(好
ましくはC3-6アルカントリオール);エリスリトー
ル、ペンタエリスリトールなどのC4-8アルカンテトラ
オール(好ましくはC4-5アルカンテトラオール);ソ
ルビトールなどのヘキサオール);及び前記多価アルコ
ールの縮合体(ジペンタエリスリトール、トリペンタエ
リスリトール、ジエチレングリコール、ポリエチレング
リコール、ジグリセロール、トリグリセロールなど)な
どが使用できる。これらのアルコール類は、単独で又は
2種以上組合せて使用できる。
【0048】好ましいアルコール類は、一価の飽和高級
14-24アルコール、C2-6アルキレンジオール、C3-6
アルカントリオール、C4-6アルカンテトラオールであ
る。特に、グリセリンなどのC3-6アルカントリオー
ル、ペンタエリスリトールなどのC4-6アルカンテトラ
オールが好ましい。
【0049】高級脂肪酸エステル(D)として、飽和C
12-26(好ましくはC14-24)脂肪酸とモノC12-24(好
ましくはC14-24)アルコールとのエステル(例えば、
ステアリルステアレート、ベヘニルベヘネートなど)、
2-6(好ましくはC2-4)アルキレンジオールとC
12-26脂肪酸とのエステル[例えば、エチレングリコー
ルのモノ又はジC14-24飽和脂肪酸エステル(エチレン
グリコールモノ又はジパルミチネート、エチレングリコ
ールモノ又はジステアレート、エチレングリコールモノ
又はジベヘネート、エチレングリコールモノ又はジモン
タネートなど)など]、C3-6アルカントリオールとC
12-24脂肪酸とのエステル[例えば、グリセリンと飽和
14-24脂肪酸とのモノ、ジ又はトリエステル(グリセ
リンモノ(ジ又はトリ)パルミチネート、グリセリンモ
ノ(ジ又はトリ)ステアレート、グリセリンモノ(ジ又
はトリ)ベヘネート、グリセリンモノ(ジ又はトリ)モ
ンタネートなど)など]、C4-6アルカンテトラオール
とC12-24脂肪酸とのエステル[例えば、ペンタエリス
リトールと飽和C14-24脂肪酸とのモノ、ジ、トリ又は
テトラエステル(ペンタエリスリトールモノ(ジ、トリ
又はテトラ)パルミチネート、ペンタエリスリトールモ
ノ(ジ、トリ又はテトラ)ステアレート、ペンタエリス
リトールモノ(ジ、トリ又はテトラ)ベヘネート、ペン
タエリスリトールモノ(ジ、トリ又はテトラ)モンタン
ートなど)など]が好ましく使用される。特に、ステア
リン酸、ベヘン酸などのC16-24脂肪酸と、グリセリン
又はペンタエリスリトールとのエステルが好ましい。
【0050】高級脂肪酸エステルは、慣用のエステル化
方法により調製できる。
【0051】高級脂肪酸エステルの使用量は、前記ポリ
エステル樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜
30重量部、0.1〜20重量部、さらに好ましくは
0.5〜15重量部程度である。高級脂肪酸エステルの
使用量が少なすぎるとポリエステル樹脂の流動性が改善
されず、多すぎると機械的特性が損なわれる。
【0052】[他の添加剤]本発明の樹脂組成物は、機
械的強度、剛性、耐熱性、寸法安定性(そり、変形な
ど)及び電気的性質などをさらに向上させるため、充填
剤により改質されていてもよい。充填剤(補強剤又は強
化剤)には、繊維状充填剤、非繊維状充填剤(粉粒状充
填剤、板状充填剤など)が含まれる。
【0053】繊維状充填剤としては、ガラス繊維、アス
ベスト繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、シリカ・アル
ミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ
素繊維、ホウ素繊維、チタン酸カリウム繊維、金属繊維
(ステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮などの
金属繊維状物)、高融点有機質繊維(例えば、脂肪族又
は芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル、フッ素系樹
脂、ポリアクリロニトリルなどのアクリル樹脂など)な
どが例示できる。
【0054】非繊維状充填剤のうち、粉粒状充填剤に
は、カーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビー
ズ、ガラス粉、ミルドファイバー(例えば、ミルドガラ
スファイバーなど)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミ
ニウム、カオリン、タルク、クレー、ケイ藻土、ウォラ
ストナイトなどのケイ酸塩;酸化鉄、酸化チタン、酸化
亜鉛、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム
などの金属酸化物;水酸化アルミニウムなどの金属水酸
化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの金属の
炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属の硫
酸塩、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの金属
粉末が含まれる。
【0055】板状充填剤には、例えば、マイカ、ガラス
フレーク、各種金属箔などが挙げられる。
【0056】好ましい繊維状充填剤としては、ガラス繊
維、カーボン繊維が挙げられ、好ましい非繊維状充填剤
としては、粉粒状又は板状充填剤、特に、ミルドファイ
バー、カオリン、タルク、マイカ、及びウォラストナイ
トが挙げられる。特に好ましい充填剤には、高い強度・
剛性を有するガラス繊維が含まれる。
【0057】樹脂組成物中の充填剤の割合は、例えば、
組成物全体に対して、0〜50重量%程度、好ましくは
5〜50重量%程度、さらに好ましくは10〜40重量
%程度である。
【0058】これらの充填剤において、必要ならば収束
剤又は表面処理剤を使用することが望ましい。このよう
な収束剤又は表面処理剤としては、官能性化合物、例え
ば、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラ
ン系化合物、チタネート系化合物などが挙げられる。
【0059】充填剤は、前記収束剤又は表面処理剤によ
り、収束処理又は表面処理されていてもよい。処理の時
期については、充填剤の添加と同時に処理してもよく、
添加前に予め処理していてもよい。収束剤又は表面処理
剤(特に、官能性表面処理剤)の使用量は、充填剤に対
して5重量%以下、好ましくは0.05〜2重量%程度
である。
【0060】また、必要により、燃焼時の火種及び融液
の滴下(ドリップ)を抑制するために、ドリッピング防
止剤、例えば、種々のフッ素樹脂(ポリテトラフルオロ
エチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニ
リデンフルオライドなどの単独重合体;テトラフルオロ
エチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラ
フルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテ
ル共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合
体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体な
どの共重合体など)を使用してもよい。これらのフッ素
系樹脂は、一種で又は二種以上混合して使用できる。
【0061】本発明の樹脂組成物には、ポリエステル樹
脂の特性を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂を添加
してもよい。他の熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹
脂[ポリメチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)ア
クリル系単量体の単独または共重合体、エチレン−(メ
タ)アクリル酸エステル共重合体などの(メタ)アクリ
ル系単量体と共重合性単量体との共重合体など];6−
ナイロン、6,6−ナイロンなどのポリアミド系樹脂;
ポリアセタール樹脂;ポリスチレン、ゴム変性ポリスチ
レン(HIPS)、グラフト共重合体(スチレン−ブタ
ジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジ
エン−(メタ)アクリル酸(又はそのエステル共重合
体)など)、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン
−アクリロニトリル共重合体などのスチレン系樹脂;塩
素化ポリプロピレンなどのハロゲン化ポリオレフィン;
塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル系樹脂;ポリカーボ
ネート;ポリウレタン;ポリフェニレンオキシド;ポリ
フェニレンスルフィド;ゴム質重合体(ポリブタジエ
ン、ブチルゴムなど);ポリアクリレートを主とする多
層グラフト共重合体(コア−シェルポリマー)などが挙
げられる。
【0062】さらに、樹脂組成物には、目的に応じて種
々の添加剤を含んでいてもよい。他の添加剤としては、
酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤な
ど)、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、耐候安定剤などの安
定剤、滑剤、離型剤、潤滑剤、染料や顔料などの着色
剤、衝撃改良剤、可塑剤、結晶化促進剤、結晶核剤、帯
電防止剤、他の難燃剤などを添加してもよい。
【0063】本発明では、前記ポリエステル樹脂(A)
及び難燃剤(B)(ハロゲン化フェノキシ樹脂及びアン
チモン化合物)で構成された樹脂組成物に、トリアジン
系化合物(C)及び高級脂肪酸エステル(D)を添加す
ることにより、難燃剤に含まれるハロゲン原子が成形品
表面に析出するのを防止でき、成形品に接触する金属の
腐食を低減できる。さらに、成形時(滞留時)にゲル化
や増粘せず、安定した溶融粘度を示すため、成形性(流
動性など)に優れている。
【0064】[ポリエステル樹脂組成物の製造]本発明
のポリエステル樹脂組成物は、例えば、ポリエステル樹
脂(A)と、難燃剤(B)と、トリアジン系化合物
(C)と、高級脂肪酸エステル(D)とを混合すること
により製造できる。混合は、慣用の混合手段(例えば、
混合機、ニーダ、押出機など)を用いて行うことができ
る。混合において各成分は、それぞれ、種々の形態、例
えば、粉末状、ペレット状などの形態でも使用できる。
また、樹脂組成物はペレットの形態であってもよい。
【0065】例えば、(1)各成分を混合して、一軸又
は二軸の押出機により混練して押出してペレットを調製
した後、成形する方法、(2)一旦組成の異なるペレッ
トを調製し、そのペレットを所定量混合(希釈)して成
形に供し、所定の組成の成形品を得る方法、(3)成形
機に各成分を直接仕込む方法により調製してもよい。
【0066】また、成形品に用いられる組成物の調製に
おいて、熱可塑性樹脂の粉粒体(例えば、樹脂の一部又
は全部を粉砕した粉粒体)と他の成分(難燃剤など)を
混合して溶融混練すると、添加物の分散を向上させるの
に有利である。
【0067】本発明の樹脂組成物は、高い難燃性を有す
るとともに、成形工程又は過程においてゲル化などを溶
融粘度が極めて安定で、成形加工性に優れているので、
慣用の成形方法(押出成形、射出成形、ブロー成形な
ど)により成形して成形品を得ることができる。得られ
た成形品は、表面に難燃剤がブリードすることがないた
め、金属の腐食を防止でき、長期に亘り優れた接点特性
を安定に維持できる。そのため、種々の分野、特に金属
との接点を有する成形品(例えば、有接点部品など)、
例えば、電子・電気機器製品のリレー、スイッチなどの
部品に有用である。
【0068】
【発明の効果】本発明では、ポリエステル樹脂及び難燃
剤(ハロゲン化フェノキシ樹脂及びアンチモン化合物)
で構成された樹脂組成物に、トリアジン系化合物及び高
級脂肪酸エステルを添加するので、成形品表面への難燃
剤の滲出を抑制でき、金属の腐食を防止できる。そのた
め、金属の接点を有する成形品の接点特性を長期に亘り
維持できる。さらに、成形時の滞留樹脂の溶融粘度も安
定しており、ゲル化を生じるようなこともなく、成形加
工性を改善できる。
【0069】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0070】(1)スクリューへのゲル化物付着量、
(2)難燃性、(3)金属腐食性及び(4)流動性は、
以下の方法で測定した。
【0071】(1)スクリューへのゲル化物付着量 東洋精機製ME−25型ラボプラストミル(測定ヘッド
はD20−28型一軸押出機を使用)用いて、下記の組
成物からなるポリエステル樹脂組成物のペレットをシリ
ンダー温度275℃、吐出量1kg/hrで30分間押し出
した後、1時間スクリューを停止させ、再び吐出量1kg
/hrで30分間押し出した。その後、押出機のスクリュ
ー部をポリエチレンでパージし、スクリュー表面に付着
しているポリエステル樹脂組成物のゲル化物の付着量を
目視にて観察し、以下の基準にしたがって判定した。
【0072】 ◎:付着物無し ○:付着物僅かに有り △:付着物有り ×:付着物多量に有り (2)難燃性 アンダーライターズ・ラボラトリーズのサブジェクト9
4(UL94)の方法に準じ、5本の試験片(厚み1/
16インチ)を用いて難燃性及び樹脂の難燃時の滴下特
性について試験した。
【0073】(3)金属腐食性(付着物) ペレット20gと、銀板とを100mlの栓付ガラス瓶
に入れ150℃で500時間放置後、銀板上の腐食状態
を目視にて観察し、以下の基準にしたがって判定した。
【0074】 ◎:腐食(付着物)無し ○:腐食(付着物)僅かに有り △:腐食(付着物)全面に薄く有り ×:腐食(付着物)全面に厚く有り (4)流動性 ペレットを用いて、下記の条件に設定した成形機を用
い、薄肉の試験片(幅5mm×厚さ0.5mm)を成形
し、その流動長(樹脂の充填された長さ)から流動性を
評価した。
【0075】 シリンダー温度 260℃ 射出圧 73.5MPa 実施例及び比較例で使用した各成分を以下に示す。 (A)ポリエステル樹脂 (A−1)ポリブチレンテレフタレート(固有粘度0.
8) (A−2)ポリブチレンテレフタレート(固有粘度1.
0) (B)難燃剤 (ハロゲン化フェノキシ樹脂) (B−1)前記式(1)で表される繰り返し単位を平均
で16個有するハロゲン化フェノキシ樹脂(阪本薬品工
業(株)製 SR−5000) (B−2)前記式(1)で表される繰り返し単位を平均
で40個有するハロゲン化フェノキシ樹脂(阪本薬品工
業(株)製 SR−20000) (アンチモン化合物) 三酸化アンチモン(日本精鉱(株)製PATOX−M) (C)トリアジン系化合物 メラミンシアヌレート(日産化学工業(株)製 MC−
610) (D)高級脂肪酸エステル (D−1)ペンタエリスリトールテトラステアレート (D−2)グリセリンモノベヘネート (D−3)ステアリン酸 (E)充填剤 ガラス繊維(日本電気硝子(株)製ECS03T18
7) 実施例1〜6及び比較例1〜3 ポリブチレンテレフタレート(A)に、表に示す割合で
各成分(B)難燃剤、(C)トリアジン系化合物、
(D)高級脂肪酸エステルを配合し、Vブレンダーにて
均一混合した。この得られた混合物を直径30mmの2
軸押し出し機で(E)ガラス繊維を表に示す割合でサイ
ドフィードし、バレル温度260℃にて溶融混合し、ダ
イスから吐出されるストランドを冷却後切断して、ペレ
ットを得た。得られたペレットを使用して、(1)スク
リューへのゲル化物付着量、(2)難燃性、(3)金属
腐食性及び(4)流動性を前記方法に従って評価した。
結果を表1及び2に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】表から明らかなように、本発明の樹脂組成
物から得られた成形品は、成形時の滞留によってゲル化
などが生じることもなく、高い難燃性を備えているとと
もに、成形品を長期間使用した場合であっても、優れた
接点特性を維持できる(接点の汚れ、付着物などがな
い)。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 71/10 C08L 71/10 Fターム(参考) 4F071 AA43 AA45 AA46 AA51 AB18 AC10 AC19 AE07 AH12 BA01 BB05 BB06 BC07 4J002 CF001 CF041 CF051 CF061 CF071 CF081 CF181 CF191 CG032 CH082 DE126 ED076 EH008 EH048 EH078 EU187 EU197 FD132 FD136 GQ00

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリエステル樹脂と、(B)難燃
    剤と、(C)トリアジン系化合物と、(D)高級脂肪酸
    エステルとで構成されたポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリエステル樹脂(A)が、ポリアルキ
    レンアリーレート系樹脂である請求項1記載のポリエス
    テル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ポリアルキレンアリーレート系樹脂が、
    ポリブチレンテレフタレート系樹脂である請求項2記載
    のポリエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 難燃剤(B)が、ハロゲン化フェノキシ
    樹脂(B1)と、アンチモン化合物(B2)とで構成されている
    請求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 ハロゲン化フェノキシ樹脂(B1)が、下記
    式(1) 【化1】 (式中、Xはハロゲン原子、Yはアルキレン基、アルキ
    リデン基、シクロアルキレン基、シクロアルキリデン
    基、カルボニル基、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル
    基又はスルフィド基を示す。nは1〜4の整数を示し、
    Xの種類はnによって異なっていてもよい)で表される
    繰り返し単位を有する請求項4記載のポリエステル樹脂
    組成物。
  6. 【請求項6】 アンチモン化合物(B2)が、三酸化アンチ
    モンである請求項4記載のポリエステル樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 トリアジン系化合物(C)が、アミノ基
    を有するトリアジン類である請求項1記載のポリエステ
    ル樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 トリアジン系化合物(C)が、メラミン
    シアヌレートである請求項1記載のポリエステル樹脂組
    成物。
  9. 【請求項9】 高級脂肪酸エステル(D)が、多価アル
    コールの脂肪酸エステルである請求項1記載のポリエス
    テル樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 トリアジン系化合物(C)と高級脂肪
    酸エステル(D)との割合が、前者/後者(重量比)=
    90/10〜10/90である請求項1記載のポリエス
    テル樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 ポリエステル樹脂(A)100重量部
    に対して、(B)難燃剤1〜100重量部、(C)トリ
    アジン系化合物0.1〜50重量部及び(D)高級脂肪
    酸エステル0.01〜30重量部を含む請求項1記載の
    ポリエステル樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 難燃剤(B)が、ハロゲン化フェノキ
    シ樹脂(B1)とアンチモン化合物(B2)とを、前者/後者
    (重量比)=20/80〜95/5の割合で含む請求項
    4記載のポリエステル樹脂組成物。
  13. 【請求項13】 ポリエステル樹脂(A)と、難燃剤
    (B)と、トリアジン系化合物(C)と、高級脂肪酸エ
    ステル(D)と混合して請求項1記載のポリエステル樹
    脂組成物を製造する方法。
  14. 【請求項14】 請求項1記載のポリエステル樹脂組成
    物で形成された成形品。
  15. 【請求項15】 金属の接点を有する成形部品である請
    求項13記載の成形品。
JP2000123128A 2000-04-24 2000-04-24 ポリエステル樹脂組成物 Pending JP2001302897A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000123128A JP2001302897A (ja) 2000-04-24 2000-04-24 ポリエステル樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000123128A JP2001302897A (ja) 2000-04-24 2000-04-24 ポリエステル樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001302897A true JP2001302897A (ja) 2001-10-31

Family

ID=18633491

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000123128A Pending JP2001302897A (ja) 2000-04-24 2000-04-24 ポリエステル樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001302897A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007517126A (ja) * 2003-12-30 2007-06-28 メタボリックス インコーポレイティッド 増核剤
US8283435B2 (en) 2003-02-21 2012-10-09 Metabolix, Inc. PHA adhesive compositions
WO2015115425A1 (ja) * 2014-01-31 2015-08-06 ウィンテックポリマー株式会社 ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物
US10030135B2 (en) 2012-08-17 2018-07-24 Cj Cheiljedang Corporation Biobased rubber modifiers for polymer blends
US10611903B2 (en) 2014-03-27 2020-04-07 Cj Cheiljedang Corporation Highly filled polymer systems
US10669417B2 (en) 2013-05-30 2020-06-02 Cj Cheiljedang Corporation Recyclate blends

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8283435B2 (en) 2003-02-21 2012-10-09 Metabolix, Inc. PHA adhesive compositions
JP2007517126A (ja) * 2003-12-30 2007-06-28 メタボリックス インコーポレイティッド 増核剤
US10030135B2 (en) 2012-08-17 2018-07-24 Cj Cheiljedang Corporation Biobased rubber modifiers for polymer blends
US10669417B2 (en) 2013-05-30 2020-06-02 Cj Cheiljedang Corporation Recyclate blends
WO2015115425A1 (ja) * 2014-01-31 2015-08-06 ウィンテックポリマー株式会社 ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物
JP5789349B1 (ja) * 2014-01-31 2015-10-07 ウィンテックポリマー株式会社 ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物
US9663652B2 (en) 2014-01-31 2017-05-30 Wintech Polymer Ltd. Polybutylene terephthalate resin composition
US10611903B2 (en) 2014-03-27 2020-04-07 Cj Cheiljedang Corporation Highly filled polymer systems

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2915168B2 (ja) 難燃性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物
KR890001461B1 (ko) 난연성 수지 조성물
JPH0774302B2 (ja) 難燃性ポリエステル樹指組成物
JPS6166746A (ja) 難燃性ポリブチレンテレフタレ−ト組成物
JP2001254009A (ja) ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる成形品
JP3235939B2 (ja) 難燃性ポリエステル樹脂組成物
JP2001302897A (ja) ポリエステル樹脂組成物
WO2001025332A1 (fr) Composition de resine de polyester ignifuge, article moule a base de cette composition et procede de moulage de cet article
JP2000256545A (ja) 難燃性ポリエステル樹脂組成物、その成形品およびその製造方法
JP2002128998A (ja) 難燃性ポリエステル樹脂組成物
JP3313019B2 (ja) 難燃性ポリエステル樹脂組成物
JP3024846B2 (ja) 難燃性ポリエステル樹脂組成物
JP3316151B2 (ja) 難燃性ポリエステル樹脂組成物およびその製造方法
JPH1135809A (ja) 難燃性ポリエステル樹脂組成物
JP7112913B2 (ja) ポリエステル系樹脂組成物及び成形品
JPH0517669A (ja) 難燃性ポリエステル樹脂組成物
JP2003119362A (ja) 難燃性強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物
JPH0657109A (ja) 難燃性ポリエステル樹脂組成物
JP3428600B2 (ja) 樹脂組成物
JP3316150B2 (ja) 難燃性ポリエステル樹脂組成物およびその製造方法
JP2597668B2 (ja) 難燃性ポリエステル組成物
JP2005154570A (ja) 難燃性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物
JP2004269703A (ja) ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物
JP2000319491A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0627246B2 (ja) 難燃性芳香族ポリエステル樹脂組成物