JP2001302403A - 植物の鮮度保持剤およびそれを用いた植物の鮮度保持方法 - Google Patents

植物の鮮度保持剤およびそれを用いた植物の鮮度保持方法

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Keiichi Tanaka
敬一 田中
Toshikazu Asakura
利員 朝倉
Noboru Muramatsu
昇 村松
Ariyoshi Maeda
有美 前田
Tsukasa Bodai
司 菩提
Takuo Matsumoto
卓生 松本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 植物体自身のエチレンの発生を抑制し、優れ
た鮮度保持効果を奏する植物の鮮度保持剤の提供。それ
を用いた植物の鮮度保持方法の提供。 【解決手段】 安息香酸および/または安息香酸の塩類
(亜鉛塩、カリウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩な
ど)を有効成分として含む植物の鮮度保持剤であり、使
用に際しては安息香酸および/または安息香酸の塩類の
濃度を1〜1000質量ppmに調整することが好まし
い。この植物の鮮度保持剤を対象植物の全体あるいは一
部に適用することにより課題を解決できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は植物の鮮度保持剤お
よびそれを用いた植物の鮮度保持方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、植物の鮮度保持剤としては、切花
に適用するチオ硫酸銀を主成分とする鮮度保持剤をはじ
め、様々な鮮度保持剤が提案されている。具体的には、
例えば特開平11−158003号公報には、カチオ
ン、アニオン又はノニオン界面活性剤の利用が提案され
ており、銀および銀化合物を鮮度保持剤として利用する
提案としては特開平11−5701号公報、特開平11
−180801号公報、特開平11−189501号公
報、特開平11−217303号公報などがあり、フェ
ノール酸、有機酸(ケイヒ酸、スルホサリチル酸、シク
ロデキストリン)を鮮度保持剤として利用する提案とし
ては特開平9−154482号公報、特開平9−249
501号公報、特開平10−273402号公報などが
ある。
【0003】一方、特開平10−501553号公報に
は、1−アミノシクロプロパン−1−カルボン酸(AC
C)合成阻害剤としてマレイン酸、マロン酸、リンゴ
酸、サリチル酸、酒石酸の利用が提案されている。
【0004】また、特開平7−67596号公報には、
食品の保存剤として安息香酸またはそれらの塩が細菌、
かびおよび酵母等に対して防腐効果を示した例が開示さ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記の特開平
7−67596号公報には、安息香酸または安息香酸塩
を植物に適用することに関する記載はなく、それにより
植物の鮮度を保持できることに関する示唆もない。本発
明の第1の目的は、安定的にしかも容易に手に入る安価
な資材であって製剤化も容易で利用し易い資材を用い
て、植物体自身のエチレンの発生を抑制し、優れた鮮度
保持効果を挙げることができる植物の鮮度保持剤を提供
することであり、本発明の第2の目的は、そのような鮮
度保持剤を植物に適用して植物の鮮度を保持する方法を
提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、安息香酸や安息香酸
の塩類が植物体自身のエチレンの発生を抑制し、優れた
鮮度保持効果を挙げるという新しい機能を有することを
見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明の請求項1記載の植物の
鮮度保持剤は、安息香酸および/または安息香酸の塩類
を有効成分として含むことを特徴とする。
【0008】本発明の請求項2記載の植物の鮮度保持剤
は、請求項1記載の植物の鮮度保持剤において、使用に
際して安息香酸および/または安息香酸の塩類の濃度を
1〜1000質量ppmに調整したことを特徴とする。
【0009】本発明の請求項3記載の植物の鮮度保持剤
は、請求項1あるいは請求項2記載の植物の鮮度保持剤
において、安息香酸の塩類が亜鉛塩、カリウム塩、カル
シウム塩、ナトリウム塩から選択される少なくとも1種
の塩類であることを特徴とする。
【0010】本発明の請求項4記載の植物の鮮度保持方
法は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の植物の
鮮度保持剤を対象植物の全体あるいは一部に適用するこ
とを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】次に本発明を以下に示す実施の形
態に基づいて詳細に説明する。本発明は、前記のように
本発明者等により安息香酸や安息香酸の塩類が植物体自
身のエチレンの発生を抑制し、優れた鮮度保持効果を挙
げるという新しい機能を有することを初めて見出したこ
とに基づいて成されたものである。本発明で用いる安息
香酸や安息香酸の塩類は、安定的にしかも容易に手に入
る安価な資材であり、水溶性であるので製剤化も容易で
利用し易い資材である。
【0012】本発明の植物の鮮度保持剤が植物自体のエ
チレン発生を抑制する作用機作の解明はできていない
が、植物から次のような経路でエチレンが発生すると考
えられている。すなわち、メチオニンからS−アデノシ
ルメチオニン(SAM)を経由して1−アミノシクロプ
ロパン−1−カルボン酸(ACC)が合成され、そして
ACCからエチレンが生成するというのがエチレンの生
合成の経路である。本発明の植物の鮮度保持剤の有効成
分である安息香酸や安息香酸塩がACCからエチレンに
なる経路においてエチレン合成酵素の働きを抑制しエチ
レンの発生を抑制するものと考えられる。
【0013】本発明においては、安息香酸や安息香酸塩
は単独使用でも両者を併用してもいずれでもよいが、植
物の栄養に有効とされる硝酸塩などの窒素源、燐酸塩、
カリ塩、苦土塩、カルシウム塩などの多量肥料成分の他
に、マンガン、ホウ素、亜鉛、銅、モリブデンなど微量
要素成分などとの混用も必要に応じて適宜行うことがで
きる。安息香酸や安息香酸塩とともに前記多量肥料成分
や微量要素成分などと混用することにより、切り花など
植物の収穫前に鮮度保持効果と肥料効果の両面を兼ね備
えた施用を行うことができ、それにより植物の樹勢を維
持し、収穫後も鮮度を保持することができる。
【0014】本発明において用いる安息香酸塩は、特に
限定されるものではないが、例えばニッケル塩、アルミ
ニウム塩、銅塩、マンガン塩などは水に溶けにくく、リ
チウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩などは水に
溶けるが、製剤が困難である場合があり、さらに、クロ
ム塩、水銀塩、セリウム塩、コバルト塩、鉛塩などは環
境汚染の心配があるので、亜鉛塩、カリウム塩、カルシ
ウム塩、ナトリウム塩から選択される少なくとも1種の
塩類が好ましく使用できる。
【0015】本発明の植物の鮮度保持剤は、使用に際し
ては安息香酸や安息香酸塩をラウリルジメチルアミノ酢
酸ベタインなどの両性界面活性剤や食品工業に用いられ
るショ糖脂肪酸エステルや、食品工業で用いられるアル
ギン酸ナトリウムやカルボキシメチルセルロースなどの
増粘補助剤とともに、水に分散させた後、粉砕して製造
されるような、水溶液や予め溶かしやすいようにしたフ
ロアブル剤としたり(勿論、界面活性剤や増粘剤の種類
は上記のものに限定されない)、安息香酸や安息香酸塩
をけいそう土、クレー、炭酸カルシウム、タルクなどの
鉱物質微粉からなる増量剤と混合して、輸送コストや製
造コストを低減するため普及性の良い粉体の形態にした
り(勿論、増量剤の種類は上記のものに限定されな
い)、安息香酸や安息香酸塩をけいそう土、クレー、炭
酸カルシウム、タルクなどの鉱物質微粉からなる増量剤
と混合し粉砕し、必要に応じて水中での懸垂性を保つた
めアルギン酸ナトリウムやカルボキシセルローズなどの
界面活性剤を添加して水和剤にしたり、炭化水素をプロ
ペラントとしてそのまま散布できるエアゾール剤とした
り、安息香酸や安息香酸塩とカオリナイト群、モンモリ
ロナイト群などの鉱物類などを担体に用いて打錠して使
用場面の多様性のある錠剤などにしたり(勿論、担体の
種類は上記のものに限定されない)することができる。
上記のように本発明の植物の鮮度保持剤は、使用局面に
応じて適宜剤形を変えて、例えば対象植物を浸漬した
り、葉面散布して使用したりするなどして使用すること
ができる。
【0016】本発明の植物の鮮度保持剤は、上記のよう
な適宜の剤型にして植物の葉菜類への葉面散布や収穫物
の浸漬など対象植物全体への適用・施用したり、花卉類
への茎葉や切り口など植物の一部に部分散布したり植物
の一部を浸漬したりなどして適用・施用することもでき
る。本発明の植物の鮮度保持剤を適用・施用する剤形や
時期や時間などは植物の種類や適用箇所などにより異な
ることがあるので、植物に合わせて適宜決定することが
好ましい。
【0017】本発明の植物の鮮度保持剤を対象植物の全
体あるいは一部に適用したり施用したりして使用に際し
ては、本発明の植物の鮮度保持剤をそのまま散布したり
することもできるが、安息香酸および/または安息香酸
の塩類の濃度を1〜1000質量ppm、好ましくは5
〜900質量ppm、さらに好ましくは10〜500質
量ppmに調整して使用することが望ましい。1質量p
pm未満では鮮度保持効果が得られない恐れがあり、1
000質量ppmを超えてもさらなる鮮度保持効果の向
上がないか逆に鮮度保持効果が低下する恐れがある。
【0018】本発明の植物の鮮度保持剤の使用時期は特
に限定されないが、例えば、植物の収穫前、収穫後の両
時期に使用できる。また、対象植物は特に限定されるも
のではないが、例えば、キク、バラ、カーネーションな
どの花卉類、ホウレンソウ、キャベツ、レタスコマツナ
などの葉菜類、モヤシ、ゴボウ、ニンジンなどの根菜
類、リンゴ、ナシ、イチゴなどの果実類などを挙げらる
ことができる。
【0019】
【実施例】以下実施例および比較例により本発明を説明
するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定される
ものではない。 (実施例1) (本発明の植物の鮮度保持剤の調製)ACC合成酵素阻
害剤(1−α−(2−アミノエトキシビニル)グリシン
(AVG))およびエチレンの前駆物質(1−アミノシ
クロプロパン−1−カルボン酸(ACC))を含む0.
1M メス(MES:2−モルホリノエタンスルホン酸
1水和物)緩衝液(pH4.9)の溶液に安息香酸、安
息香酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸カリ
ウム、安息香酸亜鉛の最終濃度が1〜1000質量pp
mになるようにそれぞれ調整し溶解して本発明の植物の
鮮度保持剤(溶液)を調製した。
【0020】リンゴ果肉をNo.3のコルクボーラーで
くりぬき、5mmずつに切り、本発明の植物の鮮度保持
剤を適量だけ同量入れた各試験管にリンゴを2切片ずつ
入れて浸漬し、シリコンキャップをつけ、よく混合し
た。その状態で常温で2時間後および4時間後に各試験
管のヘッドスペースから気体を採取し、ガスクロマトグ
ラフィーを用いて、エチレンの発生量を測定した。下記
の比較例1の場合のエチレンの発生量を100として相
対値で表した2時間後の測定結果を表1に、4時間後の
測定結果を表2に示す。
【0021】(比較例1)本発明の植物の鮮度保持剤を
用いる替わりに水を用いた以外は実施例1と同様にして
エチレンの発生量を測定した。測定結果を表1および表
2に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】エチレンの前駆物質であるACCからエチ
レンを介在する酵素であるACC酸化酵素の活性を測定
するために、AVGでACC合成酵素活性を阻害してエ
チレン生成阻害活性を測定した。表1および表2に示し
たように、比較例1に比べ、本発明の植物の鮮度保持剤
を用いた場合、試料添加後、2時間、4時間ともに1質
量ppm区を除くと安息香酸、安息香酸ナトリウム、安
息香酸カルシウム、安息香酸カリウム、安息香酸亜鉛と
もにエチレン生成阻害効果が認められ、特に1000質
量ppmで顕著に阻害しエチレン発生量が少なくなるこ
とが判る。
【0025】(実施例2)安息香酸亜鉛の濃度1〜10
00質量ppmの水溶液からなる本発明の植物の鮮度保
持剤を調製した。開花状態を統一した撫子F1(タキイ
種苗)を収穫後水切りを行い、3本ずつ試験に供した。
各種溶液の液量は4mlとし、撫子F1(タキイ種苗)
の茎部を24時間浸漬し、その後蒸留水に変え、経過日
数とともに、花の状態がどのように変化するかを観察
し、各試験区ごとに1本ずつ下記のしおれ程度の評価基
準に従って評価点数をつけ、3本を平均した。観察評価
結果を表3に示す。 (しおれ程度の評価基準)しおれ程度を5段階評価と
し、萎れがなく健全な状態を5、ほぼ全体が萎縮してい
る状態を1とし、その間を1刻みで評価する。
【0026】(比較例2)本発明の植物の鮮度保持剤を
用いる替わりに水を用いた以外は実施例2と同様にして
しおれ程度を評価した。評価結果を表3に示す。
【0027】
【表3】
【0028】表3に示したように、安息香酸亜鉛の濃度
1〜100質量ppmの本発明の植物の鮮度保持剤は鮮
度保持の効果がみられたが、比較例2の場合は5日目か
らすでにしおれが見られた。
【0029】(実施例3)安息香酸カリウムの濃度1〜
1000質量ppm水溶液からなる本発明の植物の鮮度
保持剤を調製し、実施例2と同様にしてしおれ程度を評
価した。評価結果を表4に示す。
【0030】(比較例3)本発明の植物の鮮度保持剤を
用いる替わりに水を用いた以外は実施例3と同様にして
しおれ程度を評価した。評価結果を表4に示す。
【0031】
【表4】
【0032】表4に示したように安息香酸カリウムの濃
度10〜100質量ppmで鮮度保持効果がみられ、安
息香酸カリウムの濃度100質量ppmに関しては9日
目でも充分に鑑賞できる程度であった。それに対して、
比較例3の場合は7日目からしおれが見られた。
【0033】(実施例4)安息香酸カルシウムの濃度1
〜1000質量ppm水溶液からなる本発明の植物の鮮
度保持剤を調製し、実施例2と同様にしてしおれ程度を
評価した。評価結果を表5に示す。
【0034】(比較例4)本発明の植物の鮮度保持剤を
用いる替わりに水を用いた以外は実施例4と同様にして
しおれ程度を評価した。評価結果を表5に示す。
【0035】
【表5】
【0036】表5に示したように安息香酸カルシウムの
濃度10〜1000質量ppmで鮮度保持効果がみられ
た。1000質量ppmの水溶液からなる本発明の植物
の鮮度保持剤の場合は、9日目でも充分鑑賞できる状態
であった。それに対して、比較例4の場合は7日目から
しおれが見られた。
【0037】(実施例5)安息香酸ナトリウムの濃度1
〜1000質量ppmの水溶液からなる本発明の植物の
鮮度保持剤を調製し、実施例2と同様にしてしおれ程度
を評価した。評価結果を表6に示す。
【0038】(比較例5)本発明の植物の鮮度保持剤を
用いる替わりに水を用いた以外は実施例5と同様にして
しおれ程度を評価した。評価結果を表6に示す。
【0039】
【表6】
【0040】表6に示したように安息香酸ナトリウムの
濃度1〜100質量ppmの水溶液からなる本発明の植
物の鮮度保持剤は鮮度保持効果がみられた。それに対し
て、比較例5の場合は5日目からしおれが見られた。
【0041】(実施例6)安息香酸の濃度1〜1000
質量ppmの水溶液からなる本発明の植物の鮮度保持剤
を調製し、実施例2と同様にしてしおれ程度を評価し
た。評価結果を表7に示す。
【0042】(比較例6)本発明の植物の鮮度保持剤を
用いる替わりに水を用いた以外は実施例6と同様にして
しおれ程度を評価した。評価結果を表7に示す。
【0043】
【表7】
【0044】表7に示したように安息香酸の濃度1質量
ppmの水溶液からなる本発明の植物の鮮度保持剤は鮮
度保持効果がみられた。安息香酸の濃度10質量ppm
の水溶液からなる本発明の植物の鮮度保持剤溶液は7日
目以降で鮮度保持効果がみられた。それに対して、比較
例6の場合は7日目からしおれが悪化した。
【0045】(実施例7)安息香酸、安息香酸塩類(亜
鉛、カリウム、カルシウム、ナトリウム)の500質量
ppmと100質量ppmの水溶液からなる本発明の植
物の鮮度保持剤を各々調製した。20日間栽培した小松
菜(品種;河北)3〜4株を採取し茎部を各溶液に常温
で24時間浸漬し、その後4℃で9日間保存し、しおれ
程度を下記の評価基準で観察評価した。観察評価結果を
表8に示した。
【0046】(しおれ程度の評価基準)しおれ程度を、
健全4から全体しおれ1まで4段階評価とし、各本発明
の植物の鮮度保持剤ごとに平均して結果を示す。
【0047】(比較例7)本発明の植物の鮮度保持剤を
用いる替わりに水を用いた以外は実施例7と同様にして
しおれ程度を評価した。評価結果を表8に示す。
【0048】
【表8】
【0049】表8に示したように、播種20日後の小松
菜は、茎部の24時間常温浸漬で、安息香酸を除く安息
香酸塩類は500質量ppmで鮮度保持効果がみられ、
100質量ppmでは安息香酸を含めた全ての安息香酸
塩類で鮮度保持効果が顕著に現れた。それに対して、比
較例7の場合は3日目からしおれが悪化した。
【0050】(実施例8)安息香酸、安息香酸塩類(亜
鉛、カリウム、カルシウム、ナトリウム)の500質量
ppmの水溶液からなる本発明の植物の鮮度保持剤を各
々調製した。40日栽培した小松菜(品種;河北)と6
0日栽培したほうれん草(品種;ソロモン)を用い、小
松菜は2株、ほうれん草は4株の茎部を各水溶液に24
時間常温で浸漬し、その後4℃で9日間保存し、実施例
7と同様にしてしおれ程度を観察評価した。観察評価結
果を表9に示した。
【0051】(比較例8)本発明の植物の鮮度保持剤を
用いる替わりに水を用いた以外は実施例8と同様にして
しおれ程度を評価した。評価結果を表9に示す。
【0052】
【表9】
【0053】表9に示したように、小松菜においては、
安息香酸と安息香酸亜鉛を用いた本発明の植物の鮮度保
持剤は6日目まで鮮度保持効果が顕著であった。またほ
うれん草では6日目まで全ての区において、本発明の植
物の鮮度保持剤は鮮度保持の効果が顕著であった。それ
に対して、比較例8の場合は3日目からしおれが悪化し
た。
【0054】
【発明の効果】以上説明した本発明の請求項1記載の本
発明の植物の鮮度保持剤は、安定的にしかも容易に手に
入る安価で製剤化も容易で利用し易い安息香酸および/
または安息香酸の塩類を有効成分として含む鮮度保持剤
であり、植物体自身のエチレンの発生を抑制し、優れた
鮮度保持効果を奏する。
【0055】本発明の請求項2記載の本発明の植物の鮮
度保持剤は使用に際して安息香酸および/または安息香
酸の塩類の濃度を1〜1000質量ppmに調整したの
で、植物の種類、適用時期、植物への適用箇所などに応
じて公知の適用方法を用いて適宜容易に適用して優れた
鮮度保持効果を挙げることができる。
【0056】本発明の請求項3記載の本発明の植物の鮮
度保持剤は安定的にしかも容易に手に入る安価で製剤化
も容易で利用し易い安息香酸の亜鉛塩、カリウム塩、カ
ルシウム塩、ナトリウム塩から選択される少なくとも1
種の塩類を使用するので容易に低コストで優れた鮮度保
持効果を挙げることができる。
【0057】本発明の請求項4記載の植物の鮮度保持方
法により前記本発明の植物の鮮度保持剤を対象植物に容
易に適用でき、そして優れた鮮度保持効果を挙げること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村松 昇 茨城県つくば市松代4−405−105 (72)発明者 前田 有美 熊本県阿蘇郡西原村大字鳥子312番地4 エーザイ生科研株式会社熊本事業所内 (72)発明者 菩提 司 熊本県阿蘇郡西原村大字鳥子312番地4 エーザイ生科研株式会社熊本事業所内 (72)発明者 松本 卓生 熊本県阿蘇郡西原村大字鳥子312番地4 エーザイ生科研株式会社熊本事業所内 Fターム(参考) 4H011 BB06 BB18 CB10 CB11 CD03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 安息香酸および/または安息香酸の塩類
    を有効成分として含むことを特徴とする植物の鮮度保持
    剤。
  2. 【請求項2】 使用に際して安息香酸および/または安
    息香酸の塩類の濃度を1〜1000質量ppmに調整し
    たことを特徴とする請求項1記載の植物の鮮度保持剤。
  3. 【請求項3】 安息香酸の塩類が亜鉛塩、カリウム塩、
    カルシウム塩、ナトリウム塩から選択される少なくとも
    1種の塩類であることを特徴とする請求項1あるいは請
    求項2記載の植物の鮮度保持剤。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれかに記載
    の植物の鮮度保持剤を対象植物の全体あるいは一部に適
    用することを特徴とする植物の鮮度保持方法。
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EP1721851A2 (en) * 2005-05-10 2006-11-15 Seiko Epson Corporation Roll paper transportation device and printing apparatus
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