JP2001299368A - D−型サイクリンに関連する使用方法 - Google Patents
D−型サイクリンに関連する使用方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 G1期において活性である哺乳類サイクリンを
コードする遺伝子を同定する。 【解決手段】 変異酵母細胞に、試験DNA配列を含む酵
母発現ベクターを導入し、前記変異酵母細胞が、細胞周
期の開始に必須な少なくとも一つの遺伝子内に変異を有
し、前記変異酵母細胞を、前記遺伝子あるいは複数の遺
伝子の発現を阻害するような条件下で増殖させたとき
に、前記変異が、前記細胞周期の開始の直前の期におけ
る停止を引き起こし、前記形質転換された酵母細胞を、
前記遺伝子あるいは複数の遺伝子の発現を阻害する条件
下における増殖能力について、選択するステップを行
う。ここで、前記形質転換された酵母細胞を細胞周期の
開始点に導入するようなDNA試験配列を発現する、形質
転換された酵母細胞が選択される。
コードする遺伝子を同定する。 【解決手段】 変異酵母細胞に、試験DNA配列を含む酵
母発現ベクターを導入し、前記変異酵母細胞が、細胞周
期の開始に必須な少なくとも一つの遺伝子内に変異を有
し、前記変異酵母細胞を、前記遺伝子あるいは複数の遺
伝子の発現を阻害するような条件下で増殖させたとき
に、前記変異が、前記細胞周期の開始の直前の期におけ
る停止を引き起こし、前記形質転換された酵母細胞を、
前記遺伝子あるいは複数の遺伝子の発現を阻害する条件
下における増殖能力について、選択するステップを行
う。ここで、前記形質転換された酵母細胞を細胞周期の
開始点に導入するようなDNA試験配列を発現する、形質
転換された酵母細胞が選択される。
Description
【0001】発明の背景 典型的な真核細胞の細胞周期は、核分裂(有糸分裂)と
細胞質分裂あるいはサイトキネシスを含むM期と、G1
期から始まってS期に入り、G2期で終了する間期と、
を含む。間期は、次のM期の開始まで、有糸分裂が始ま
るまで続く。S期では、DNA複製とヒストンの合成が
行なわれる。一方、G1及びG2期では、損傷を受けた
DNAは修復されるが、正味のDNA合成は起こらな
い。細胞周期の間には、いくつかの重要な変化が起こ
る。それには、拘束点あるいは開始点と呼ばれるG1期
中の決定的な時点が含まれる。この点を越えると、細胞
は、S、G2、M期を完了するように方向付けられる。
M期の開始は、あらゆる哺乳細胞で、共通の機構によっ
て調節されているようである。この機構の鍵となる因子
は、プロテインキナーゼp34cdc2である。この因
子の活性には、リン酸化状態の変化と、サイクリンと呼
ばれるタンパク質との相互作用が必要である。サイクリ
ンもまた、活性化の後、M期を進行させる役割を担う。
サイクリンは、海産無脊椎動物の卵で受精に続いて急激
に合成されることから、発見されたタンパク質である
(Rosenthal, E.T.ら, Cell 20:487-494(1980))。次
に、2つの型のサイクリン、つまりAとBの量が、初期
卵割の間に変動することが観察された。これは、これら
のポリペプチドが、有糸分裂の際にタンパク質分解され
るためであり、このことから、この名前が付いた(Evan
s, T.ら, Cell 33:389-396(1983);Swenson, K.I.ら, C
ell 47:867-870(1986);Standart, N.ら, Dev. Biol. 1
24:248-258(1987))。クラムのサイクリンmRNAが、
カエルの卵母細胞を活性化し、これらの細胞をM期に導
入することができることから、サイクリンは、受動的と
いうよりも、能動的に、細胞分裂の調節に関与している
ことが明らかとなった(Swenson, K.I.ら, Cell 47:867
-870(1986))。カエルの卵母細胞の活性化は、MPFと
して知られるM期誘導因子の合成を伴う(Masui, Y.と
C.L. Markert, J. Exp. Zool. 177:129-146(1971);Smi
th, L.D.とR.E. Ecker, Dev. Biol. 25:232-247(197
1))。MPFは、プロテインキナーゼであり、その触媒
サブユニットはcdc2プロテインキナーゼのカエルに
おける相同物である(Dunphy, W.G.ら, Cell 54:423-43
1(1988);Gautier, J.ら, Cell 54:433-439(1988);Ari
on, D.ら, Cell 55:371-378(1988))。これまでに、3
つの型のサイクリンが同定されている:B、A、及び、
CLNサイクリンである。B−型サイクリンは、cdc
2プロテインキナーゼの不可欠なサブユニットとして機
能することで、有糸分裂中に働くことが示されている
(Booher, R.とD. Beach, EMBO J. 6:3441-3447(198
7);Draetta, G.ら, Cell 56:829-838(1989);Labbe,
J.C.ら, Cell 57:253-263(1989);Labbe, J.C.ら, EMBO
J. 8;3053-3058(1989);Meijer, L.ら, EMBO J. 8:2275
-2282(1990);Gautier,J.ら, Cell 60:487-494(199
0))。また、A−型サイクリンも、独立にcdc2キナ
ーゼと結合し、有糸分裂以前の分裂周期初期に機能する
酵素を形成する(Draetta, G.ら, Cell 56:829-838(198
9);Minshull, J.ら, EMBO J. 9:2865-2875(1990);Gio
rdano, A.ら, Cell 58:981-990(1989);Pines, J.とT.
Hunter, Nature 346:760-763(1990))。これらの2つの
クラスのサイクリンの機能上の違いは、完全にはわかっ
ていない。無脊椎動物と脊椎動物の胚におけるサイクリ
ンの細胞学的及び分子的研究は、特に、子嚢酵母におけ
る遺伝学的研究を伴って行なわれた。分裂酵母では、c
dc13遺伝子は、cdc2と共に作用して有糸分裂へ
の移行を調節するB−型サイクリンをコードする(Booh
er, R.とD. Beach, EMBO J. 6:3441-3447(1987);Boohe
r, R.とD. Beach, EMBO J. 7:2321-2327(1988);Hagan,
I.ら, J. Cell Sci. 91:587-595(1988);Solomon, M.
Cell 54:738-740(1988);Goebl, M.とB. Byers, Cell 5
4:433-439(1988);Booher, R.N.ら, Cell 58:485-497(1
989))。出芽酵母及び分裂酵母での遺伝学的研究から、
cdc2(あるいは出芽酵母ではCDC28)が、細胞
周期の2つの別個の時点で作用することが明らかとなっ
た:有糸分裂と、いわゆる細胞周期の”開始点”におい
て、である(Hartwell,L.H., J. Mol. Biol., 104:803-
817(1971);Nurse, P.とY. Bissett, Nature 292:558-5
60(1981);Piggot, J.R.ら, Nature 298:391-393(198
2);Reed, S.I.とC. Wittenberg, Proc. Nat. Acad. Sc
i. USA 87:5697-5701(1990))。出芽酵母では、CDC
28タンパク質の開始機能には、このプロテインキナー
ゼの触媒サブユニットが、構造的にA及びB−型サイク
リンに関連した補助的なタンパク質と結合することが必
要である。この第三のクラスのサイクリンは、Clnク
ラスと呼ばれており、3つの遺伝子が部分的に重複した
遺伝子ファミリーを形成していることが報告されている
(Nash, R.ら, EMBO J. 7:4335-4346(1988);Hadwiger,
J.A.ら, Prot. Natl. Acad. Sci. USA 86:6255-6259(1
989);Richardson, H.E.ら, Cell 59:1127-1133(198
9))。CLN遺伝子は、開始点の実行に必須であり、こ
れがないと、細胞は細胞周期のG1期で停止する。CL
N1及びCLN2転写物は、細胞周期を通して量が変動
するが、CLN3転写物は変動しない。さらに、Cln
2タンパク質が、そのmRNAと並行して変動すること
が示されている(Nash, R.ら, EMBO J. 7:4335-4347(19
88);Cross, F.R., Mol.Cell. Biol. 8:4675-4584(198
8);Richardson, H.E.ら, Cell 59:1127-1133(1988);W
ittenberg,ら, 1990)。様々なサイクリンと結合するこ
とによってcdc2/CDC28に与えられる正確な生
化学的性質は、まだ完全に解明されていない。しかし、
サイクリン変異体の遺伝学的研究から、これらが触媒サ
ブユニットに対して”G1”及び”G2”の性質を与え
ることが明示された(Booher, R.とD. Beach, EMBO J.
6:3441-3447(1987);Nash, R.ら, EMBO J. 7:4335-4347
(1988);Richardson, H.E.ら, Cell 59:1127-1133(198
8))。cdc2とサイクリンは、胚と酵母中だけではな
く、ヒトの体細胞中でも発見されている。cdc/サイ
クリンB酵素の機能は、ヒト細胞中でも、その他の型の
細胞と、同一であるようである(Riabowol, K.ら, Cell
57:393-401(1989))。また、ヒトA型サイクリンも、
cdc2と結合した状態で発見されている。CLN型の
サイクリンは、哺乳細胞中では発見されていない。細胞
周期の調節に関わる因子とそれらの相互作用をよりよく
理解することは、細胞複製と、おそらくその過程の調節
あるいは変化を、よりよく理解することに貢献するであ
ろう。
細胞質分裂あるいはサイトキネシスを含むM期と、G1
期から始まってS期に入り、G2期で終了する間期と、
を含む。間期は、次のM期の開始まで、有糸分裂が始ま
るまで続く。S期では、DNA複製とヒストンの合成が
行なわれる。一方、G1及びG2期では、損傷を受けた
DNAは修復されるが、正味のDNA合成は起こらな
い。細胞周期の間には、いくつかの重要な変化が起こ
る。それには、拘束点あるいは開始点と呼ばれるG1期
中の決定的な時点が含まれる。この点を越えると、細胞
は、S、G2、M期を完了するように方向付けられる。
M期の開始は、あらゆる哺乳細胞で、共通の機構によっ
て調節されているようである。この機構の鍵となる因子
は、プロテインキナーゼp34cdc2である。この因
子の活性には、リン酸化状態の変化と、サイクリンと呼
ばれるタンパク質との相互作用が必要である。サイクリ
ンもまた、活性化の後、M期を進行させる役割を担う。
サイクリンは、海産無脊椎動物の卵で受精に続いて急激
に合成されることから、発見されたタンパク質である
(Rosenthal, E.T.ら, Cell 20:487-494(1980))。次
に、2つの型のサイクリン、つまりAとBの量が、初期
卵割の間に変動することが観察された。これは、これら
のポリペプチドが、有糸分裂の際にタンパク質分解され
るためであり、このことから、この名前が付いた(Evan
s, T.ら, Cell 33:389-396(1983);Swenson, K.I.ら, C
ell 47:867-870(1986);Standart, N.ら, Dev. Biol. 1
24:248-258(1987))。クラムのサイクリンmRNAが、
カエルの卵母細胞を活性化し、これらの細胞をM期に導
入することができることから、サイクリンは、受動的と
いうよりも、能動的に、細胞分裂の調節に関与している
ことが明らかとなった(Swenson, K.I.ら, Cell 47:867
-870(1986))。カエルの卵母細胞の活性化は、MPFと
して知られるM期誘導因子の合成を伴う(Masui, Y.と
C.L. Markert, J. Exp. Zool. 177:129-146(1971);Smi
th, L.D.とR.E. Ecker, Dev. Biol. 25:232-247(197
1))。MPFは、プロテインキナーゼであり、その触媒
サブユニットはcdc2プロテインキナーゼのカエルに
おける相同物である(Dunphy, W.G.ら, Cell 54:423-43
1(1988);Gautier, J.ら, Cell 54:433-439(1988);Ari
on, D.ら, Cell 55:371-378(1988))。これまでに、3
つの型のサイクリンが同定されている:B、A、及び、
CLNサイクリンである。B−型サイクリンは、cdc
2プロテインキナーゼの不可欠なサブユニットとして機
能することで、有糸分裂中に働くことが示されている
(Booher, R.とD. Beach, EMBO J. 6:3441-3447(198
7);Draetta, G.ら, Cell 56:829-838(1989);Labbe,
J.C.ら, Cell 57:253-263(1989);Labbe, J.C.ら, EMBO
J. 8;3053-3058(1989);Meijer, L.ら, EMBO J. 8:2275
-2282(1990);Gautier,J.ら, Cell 60:487-494(199
0))。また、A−型サイクリンも、独立にcdc2キナ
ーゼと結合し、有糸分裂以前の分裂周期初期に機能する
酵素を形成する(Draetta, G.ら, Cell 56:829-838(198
9);Minshull, J.ら, EMBO J. 9:2865-2875(1990);Gio
rdano, A.ら, Cell 58:981-990(1989);Pines, J.とT.
Hunter, Nature 346:760-763(1990))。これらの2つの
クラスのサイクリンの機能上の違いは、完全にはわかっ
ていない。無脊椎動物と脊椎動物の胚におけるサイクリ
ンの細胞学的及び分子的研究は、特に、子嚢酵母におけ
る遺伝学的研究を伴って行なわれた。分裂酵母では、c
dc13遺伝子は、cdc2と共に作用して有糸分裂へ
の移行を調節するB−型サイクリンをコードする(Booh
er, R.とD. Beach, EMBO J. 6:3441-3447(1987);Boohe
r, R.とD. Beach, EMBO J. 7:2321-2327(1988);Hagan,
I.ら, J. Cell Sci. 91:587-595(1988);Solomon, M.
Cell 54:738-740(1988);Goebl, M.とB. Byers, Cell 5
4:433-439(1988);Booher, R.N.ら, Cell 58:485-497(1
989))。出芽酵母及び分裂酵母での遺伝学的研究から、
cdc2(あるいは出芽酵母ではCDC28)が、細胞
周期の2つの別個の時点で作用することが明らかとなっ
た:有糸分裂と、いわゆる細胞周期の”開始点”におい
て、である(Hartwell,L.H., J. Mol. Biol., 104:803-
817(1971);Nurse, P.とY. Bissett, Nature 292:558-5
60(1981);Piggot, J.R.ら, Nature 298:391-393(198
2);Reed, S.I.とC. Wittenberg, Proc. Nat. Acad. Sc
i. USA 87:5697-5701(1990))。出芽酵母では、CDC
28タンパク質の開始機能には、このプロテインキナー
ゼの触媒サブユニットが、構造的にA及びB−型サイク
リンに関連した補助的なタンパク質と結合することが必
要である。この第三のクラスのサイクリンは、Clnク
ラスと呼ばれており、3つの遺伝子が部分的に重複した
遺伝子ファミリーを形成していることが報告されている
(Nash, R.ら, EMBO J. 7:4335-4346(1988);Hadwiger,
J.A.ら, Prot. Natl. Acad. Sci. USA 86:6255-6259(1
989);Richardson, H.E.ら, Cell 59:1127-1133(198
9))。CLN遺伝子は、開始点の実行に必須であり、こ
れがないと、細胞は細胞周期のG1期で停止する。CL
N1及びCLN2転写物は、細胞周期を通して量が変動
するが、CLN3転写物は変動しない。さらに、Cln
2タンパク質が、そのmRNAと並行して変動すること
が示されている(Nash, R.ら, EMBO J. 7:4335-4347(19
88);Cross, F.R., Mol.Cell. Biol. 8:4675-4584(198
8);Richardson, H.E.ら, Cell 59:1127-1133(1988);W
ittenberg,ら, 1990)。様々なサイクリンと結合するこ
とによってcdc2/CDC28に与えられる正確な生
化学的性質は、まだ完全に解明されていない。しかし、
サイクリン変異体の遺伝学的研究から、これらが触媒サ
ブユニットに対して”G1”及び”G2”の性質を与え
ることが明示された(Booher, R.とD. Beach, EMBO J.
6:3441-3447(1987);Nash, R.ら, EMBO J. 7:4335-4347
(1988);Richardson, H.E.ら, Cell 59:1127-1133(198
8))。cdc2とサイクリンは、胚と酵母中だけではな
く、ヒトの体細胞中でも発見されている。cdc/サイ
クリンB酵素の機能は、ヒト細胞中でも、その他の型の
細胞と、同一であるようである(Riabowol, K.ら, Cell
57:393-401(1989))。また、ヒトA型サイクリンも、
cdc2と結合した状態で発見されている。CLN型の
サイクリンは、哺乳細胞中では発見されていない。細胞
周期の調節に関わる因子とそれらの相互作用をよりよく
理解することは、細胞複製と、おそらくその過程の調節
あるいは変化を、よりよく理解することに貢献するであ
ろう。
【0002】発明の概要 本発明は、以前に報告されたA、BあるいはCLN型サ
イクリンに関連するが、別個な、D−型サイクリンと称
される哺乳類由来の新しいクラスのサイクリンに関する
ものである。詳細には、本発明は、酵母において細胞周
期の開始に必須なCLN−型遺伝子を代替することがで
きることが示されている遺伝子にコードされる、ヒトサ
イクリンに関するものである。本発明のヒトサイクリン
は、細胞周期の開始に必須なタンパク質を相補し、タン
パク質構造に基づくと、進化樹で、A、BあるいはCL
N型サイクリンとは異なる枝上に位置する。ここでは、
ヒトD−型遺伝子ファミリーと称される、D−型サイク
リンという新しいファミリーに属する3つのメンバーを
説明する。これらは、コード領域全体で平均57%、サ
イクリンボックスで78%の同一性を共有する小さな
(33−34KDa)タンパク質をコードする。この新
しいサイクリンファミリーの第一のメンバーであるサイ
クリンD1、あるいは、CCDN1は、295アミノ酸
残基で、33,670ダルトン(Da)の推定分子量を
有する。第二のメンバーであるサイクリンD2、あるい
は、CCDN2は、289アミノ酸残基であり、33,
045ダルトンの推定分子量を有する。これは、染色体
12pのバンドp13にマッピングされている。第三の
メンバーであるサイクリンD3、あるいは、CCDN3
は、292アミノ酸残基であり、約32,482ダルト
ンの推定分子量を有する。これは、染色体6pのバンド
p21にマッピングされている。ここで説明されている
D−型サイクリンは、これまでに同定されたうちで、最
小のサイクリンタンパク質である。ここで説明されてい
る3つのサイクリン遺伝子は、全て、同じ位置にイント
ロンが挿入されている。組換え技術を用いて、本発明の
D−型サイクリンを生産することができる。また、化学
合成、あるいは、これらが天然に存在する供給源から単
離または精製することができる。従って、本発明は、組
換えD−型サイクリンと、単離あるいは精製されたD−
型サイクリンと、合成D−型サイクリンとを含む。ま
た、本発明は、哺乳類由来、詳細には、ヒト由来のD−
型サイクリンをコードするDNAあるいはRNAと、哺
乳類由来、詳細には、ヒト由来のD−型サイクリンに特
異的なポリクローナル及びモノクローナル抗体に関す
る。さらに、本発明は、例えば、その他のD−型サイク
リン、あるいは、関連する(しかし、非D−型の)サイ
クリンなどの、その他のサイクリンをコードする遺伝子
を単離するための方法に関する。また、本発明は、診断
及び治療の側面も有する。例えば、本発明は、組織、及
び、血液、尿、糞便、粘液、唾液などの生物検体中の、
一種のD−型サイクリン(あるいは複数のサイクリン)
の存在、及び/あるいは、量を決定する方法に関する。
この方法では、ここに記載されているD−型サイクリン
の遺伝子または複数の遺伝子に基づく核酸プローブ、あ
るいは、D−型サイクリンに特異的な抗体を使用する。
この実施例を用いて、サイクリンレベルあるいは活性が
上昇しているかどうかを調べることによって(活性レベ
ルが上昇していることは、細胞が異常に速い速度で細胞
分裂を行う可能性が高いことを示唆する)、細胞が異常
に速い速度で細胞分裂を行う可能性があるかどうか(す
なわち、細胞が発癌しているか)、を予測することがで
きる。また、本発明は、一種(複数)のD−型サイクリ
ン、一種(複数)のD−型サイクリンをコードする遺伝
子、あるいは、一種(複数)の転写産物(RNA)が、
異常に高レベルであることに基づいて、細胞分裂が異常
に速い速度で起こる可能性を評価する診断方法にも関す
る。さらに、本発明は、細胞中の少なくとも一つのD−
型サイクリン、例えば、D2、D2あるいはD3、の活
性を変化させることによって、細胞分裂を調節する(低
下あるいは上昇させる)方法に関する。詳細には、本発
明は、一種(複数)のD−型サイクリンの活性、あるい
は、機能に干渉することによって、細胞分裂の上昇を阻
害するための方法に関する。D−型サイクリンは(通
常)プロテインキナーゼを活性化するが、この治療方法
では、D−型サイクリン活性を直接あるいは間接的に阻
害する物質を用いて、D−型サイクリンのプロテインキ
ナーゼ(例えば、p34cdc2、あるいは、関連のプ
ロテインキナーゼ)活性化力を阻害して、(複数の)D
−型サイクリンの機能を阻害(部分的にあるいは完全
に)する。このような物質には、アンチ−センス配列、
あるいは、DサイクリンをコードするDNAあるいはR
NAに結合するその他の転写調節因子;D−型サイクリ
ン、あるいは、細胞周期を開始するという役割を果たす
ためにD−型サイクリンが相互作用、または、結合しな
ければならない分子、に結合する抗体;(複数の)D−
型サイクリンと結合する物質;(複数の)D−型サイク
リンを分解、あるいは別の方法で不活性化する物質(例
えば、プロテアーゼ);D−型サイクリンがキナーゼの
触媒サブユニットに結合することを妨害する物質(例え
ば、小さな有機分子)、が含まれる。また、本発明の要
旨は、記載の単離方法、診断方法、治療方法に有用な物
質(例えば、オリゴヌクレオチド、抗体、ペプチド)に
関する。
イクリンに関連するが、別個な、D−型サイクリンと称
される哺乳類由来の新しいクラスのサイクリンに関する
ものである。詳細には、本発明は、酵母において細胞周
期の開始に必須なCLN−型遺伝子を代替することがで
きることが示されている遺伝子にコードされる、ヒトサ
イクリンに関するものである。本発明のヒトサイクリン
は、細胞周期の開始に必須なタンパク質を相補し、タン
パク質構造に基づくと、進化樹で、A、BあるいはCL
N型サイクリンとは異なる枝上に位置する。ここでは、
ヒトD−型遺伝子ファミリーと称される、D−型サイク
リンという新しいファミリーに属する3つのメンバーを
説明する。これらは、コード領域全体で平均57%、サ
イクリンボックスで78%の同一性を共有する小さな
(33−34KDa)タンパク質をコードする。この新
しいサイクリンファミリーの第一のメンバーであるサイ
クリンD1、あるいは、CCDN1は、295アミノ酸
残基で、33,670ダルトン(Da)の推定分子量を
有する。第二のメンバーであるサイクリンD2、あるい
は、CCDN2は、289アミノ酸残基であり、33,
045ダルトンの推定分子量を有する。これは、染色体
12pのバンドp13にマッピングされている。第三の
メンバーであるサイクリンD3、あるいは、CCDN3
は、292アミノ酸残基であり、約32,482ダルト
ンの推定分子量を有する。これは、染色体6pのバンド
p21にマッピングされている。ここで説明されている
D−型サイクリンは、これまでに同定されたうちで、最
小のサイクリンタンパク質である。ここで説明されてい
る3つのサイクリン遺伝子は、全て、同じ位置にイント
ロンが挿入されている。組換え技術を用いて、本発明の
D−型サイクリンを生産することができる。また、化学
合成、あるいは、これらが天然に存在する供給源から単
離または精製することができる。従って、本発明は、組
換えD−型サイクリンと、単離あるいは精製されたD−
型サイクリンと、合成D−型サイクリンとを含む。ま
た、本発明は、哺乳類由来、詳細には、ヒト由来のD−
型サイクリンをコードするDNAあるいはRNAと、哺
乳類由来、詳細には、ヒト由来のD−型サイクリンに特
異的なポリクローナル及びモノクローナル抗体に関す
る。さらに、本発明は、例えば、その他のD−型サイク
リン、あるいは、関連する(しかし、非D−型の)サイ
クリンなどの、その他のサイクリンをコードする遺伝子
を単離するための方法に関する。また、本発明は、診断
及び治療の側面も有する。例えば、本発明は、組織、及
び、血液、尿、糞便、粘液、唾液などの生物検体中の、
一種のD−型サイクリン(あるいは複数のサイクリン)
の存在、及び/あるいは、量を決定する方法に関する。
この方法では、ここに記載されているD−型サイクリン
の遺伝子または複数の遺伝子に基づく核酸プローブ、あ
るいは、D−型サイクリンに特異的な抗体を使用する。
この実施例を用いて、サイクリンレベルあるいは活性が
上昇しているかどうかを調べることによって(活性レベ
ルが上昇していることは、細胞が異常に速い速度で細胞
分裂を行う可能性が高いことを示唆する)、細胞が異常
に速い速度で細胞分裂を行う可能性があるかどうか(す
なわち、細胞が発癌しているか)、を予測することがで
きる。また、本発明は、一種(複数)のD−型サイクリ
ン、一種(複数)のD−型サイクリンをコードする遺伝
子、あるいは、一種(複数)の転写産物(RNA)が、
異常に高レベルであることに基づいて、細胞分裂が異常
に速い速度で起こる可能性を評価する診断方法にも関す
る。さらに、本発明は、細胞中の少なくとも一つのD−
型サイクリン、例えば、D2、D2あるいはD3、の活
性を変化させることによって、細胞分裂を調節する(低
下あるいは上昇させる)方法に関する。詳細には、本発
明は、一種(複数)のD−型サイクリンの活性、あるい
は、機能に干渉することによって、細胞分裂の上昇を阻
害するための方法に関する。D−型サイクリンは(通
常)プロテインキナーゼを活性化するが、この治療方法
では、D−型サイクリン活性を直接あるいは間接的に阻
害する物質を用いて、D−型サイクリンのプロテインキ
ナーゼ(例えば、p34cdc2、あるいは、関連のプ
ロテインキナーゼ)活性化力を阻害して、(複数の)D
−型サイクリンの機能を阻害(部分的にあるいは完全
に)する。このような物質には、アンチ−センス配列、
あるいは、DサイクリンをコードするDNAあるいはR
NAに結合するその他の転写調節因子;D−型サイクリ
ン、あるいは、細胞周期を開始するという役割を果たす
ためにD−型サイクリンが相互作用、または、結合しな
ければならない分子、に結合する抗体;(複数の)D−
型サイクリンと結合する物質;(複数の)D−型サイク
リンを分解、あるいは別の方法で不活性化する物質(例
えば、プロテアーゼ);D−型サイクリンがキナーゼの
触媒サブユニットに結合することを妨害する物質(例え
ば、小さな有機分子)、が含まれる。また、本発明の要
旨は、記載の単離方法、診断方法、治療方法に有用な物
質(例えば、オリゴヌクレオチド、抗体、ペプチド)に
関する。
【0003】発明の詳細な説明 ここでは、D−型サイクリンと称される、新しいクラス
の哺乳類サイクリンタンパク質が同定、単離され、細胞
周期の開始のための制御因子として機能することが示さ
れたことについて説明する。D−型サイクリンは、細胞
周期の開始に活性が必須であるプロテインキナーゼを活
性化することにより、既知のサイクリンタンパク質の機
能を果たす。このG1期の出来事によって、細胞は、細
胞分裂を行うよう方向付けられる。詳細には、ヒトのD
−型サイクリンタンパク質と、それらをコードする遺伝
子が同定され、単離された。そして、これらが、酵母で
細胞周期の開始に必須であることが知られているCLN
型サイクリンを代替可能であることが示された。また、
CCDN2とCCDN3の染色体上の座位を決定した。
その結果、新しいクラスのサイクリン(D型)と、前記
新規なD−型サイクリンをコードするDNA及びRNA
と、D−型サイクリンに特異的な(結合する)抗体が提
供される。また、これらを用いて、生物検体中でその他
のサイクリンを同定したり、そのようなタンパク質及び
オリゴヌクレオチドを検出する方法、異常に速い速度で
起こる細胞分裂の阻害や、サイクリン阻害剤の同定を行
う方法が提供される。ヒトD−型サイクリンの同定と性
質、及び、これらの新規なサイクリンとその関連物の使
用法について、下記に説明する。
の哺乳類サイクリンタンパク質が同定、単離され、細胞
周期の開始のための制御因子として機能することが示さ
れたことについて説明する。D−型サイクリンは、細胞
周期の開始に活性が必須であるプロテインキナーゼを活
性化することにより、既知のサイクリンタンパク質の機
能を果たす。このG1期の出来事によって、細胞は、細
胞分裂を行うよう方向付けられる。詳細には、ヒトのD
−型サイクリンタンパク質と、それらをコードする遺伝
子が同定され、単離された。そして、これらが、酵母で
細胞周期の開始に必須であることが知られているCLN
型サイクリンを代替可能であることが示された。また、
CCDN2とCCDN3の染色体上の座位を決定した。
その結果、新しいクラスのサイクリン(D型)と、前記
新規なD−型サイクリンをコードするDNA及びRNA
と、D−型サイクリンに特異的な(結合する)抗体が提
供される。また、これらを用いて、生物検体中でその他
のサイクリンを同定したり、そのようなタンパク質及び
オリゴヌクレオチドを検出する方法、異常に速い速度で
起こる細胞分裂の阻害や、サイクリン阻害剤の同定を行
う方法が提供される。ヒトD−型サイクリンの同定と性
質、及び、これらの新規なサイクリンとその関連物の使
用法について、下記に説明する。
【0004】ヒトサイクリンD1、D2、D3の単離と
性質 図1に図示し、例1で詳細に説明するように、3つのC
LN遺伝子のうちの2つ(CLN1及びCLN2)が不
活性であり、第3のCLN遺伝子の発現が条件的である
ような酵母の変異株を用いて、酵母をCLN欠損からレ
スキューするような、ヒトcDNAクローンを同定し
た。酵母発現ベクター(pADNS)内に組み込まれた
ヒト神経膠芽細胞種cDNAライブラリーを、前記酵母
変異株に導入した。CLN遺伝子の機能が3つとも欠損
しているにも関わらず増殖し、かつ、復帰突然変異株で
はないような、酵母の形質転換株2株(pCYCD1−
21及びpCYCD1−19)を同定し、E.coli
中に回収した。これらを酵母に再び導入すると、どちら
も変異株(CLN欠損株)をレスキューした。しかし、
レスキューの効率は低く、レスキューされた株の増殖は
比較的悪かった。pCYCD1−19及びpCYCD1
−21は、制限マッピングと、部分的なDNA配列分析
によって、同じ遺伝子を表す別個のクローンであること
が示された。完全長のcDNAクローンを得るために、
pCYCD1−21の1.2kbの挿入断片をプローブ
として用いて、HeLaのcDNAライブラリーをスク
リーニングした。この方法で同定された9個のポジティ
ブクローンのうちの、最長のクローン(pCYCD1−
12;1325bp)について、完全に配列決定を行な
った。前記1.2kbの挿入断片の配列を図2に示す。
この遺伝子の予想されるタンパク質産物は、およそ分子
量34,000ダルトンである。例4に示すように、ポ
リメラーゼ連鎖反応と、D−型サイクリンのよく保存さ
れた3つの領域由来の3つのオリゴヌクレオチドプロー
ブを用いて、サイクリンD2及びD3cDNAを単離し
た。記載の通り、この目的のために、2つの5’オリゴ
ヌクレオチドと、1つの3’縮重オリゴヌクレオチドを
使用した。CCND2遺伝子のヌクレオチド及びアミノ
酸配列と、コードされているD2サイクリンタンパク質
を、図3に示す。CCDN3遺伝子のヌクレオチド及び
アミノ酸配列と、コードされているD3サイクリンタン
パク質を、図4に示す。ブダペスト条約の合意に基づ
き、1991年5月14日に、プラスミドpCYC−D
3をアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション
(ロックビル、メリーランド州)に寄託した。この寄託
に対して、受託番号68620を得た。CYCD1−H
12にコードされているタンパク質の配列を、既知のサ
イクリンのタンパク質配列(図5Aを参照)と比較した
ところ、この新規サイクリンと、A、B、CLN型サイ
クリンとの間には、相同性が見られた。しかし、CYC
D1が、これらの既存のクラスとは異なることも、明ら
かとなった。この新規サイクリン遺伝子及びその産物
が、その他のサイクリン遺伝子と、進化上、どのように
関連しているかを評価するために、既知の全サイクリン
のアミノ酸配列の比較を広範囲で行なった(図5B及び
例1)。この比較の結果、CYCD1が、ここではサイ
クリンDと称される、新しいクラスのサイクリンである
ことが示された。例2に示すように、ノーザン分析を用
いて、ヒト細胞中でのサイクリンD1の発現を調査し
た。結果として、いくつかの細胞株では、サイクリンD
1の発現レベルが非常に低いことが示された。CYCD
1遺伝子の全コード領域を用いて、HeLa細胞由来の
ポリ(A)+RNAを検索した。そして、主要な転写物
が2つ存在し、一方がおよそ4.8kb、もう一方はお
よそ1.7kbであり、分子量の大きい方がより豊富で
あることが示された。様々なcDNAライブラリーから
単離されたcDNAのうちのほとんどは、クローンλC
YCD1−H12に非常に類似していることが判明し
た。従って、ノーザンブロットで検出された1.7kb
の転写物は、図2のヌクレオチド配列に対応すると考え
られる。大きい(4.8kb)転写物の由来は不明であ
る。例2で説明するように、検出された2種類(4.8
kb及び1.7kb)の転写物は、CYCD1(図6)
のポリアデニル化の差異によって生成したと考えられ
る。例3で説明するように、様々な組織及び細胞株にお
けるサイクリンD1の特異的な発現を評価した。完全長
のCYCD1クローンを得るために、cDNAライブラ
リーのスクリーニングを行なったところ、酵母の形質転
換株作成に使用したヒト神経膠芽細胞腫細胞株(U11
8 MG)由来のcDNAライブラリーからは、他の3
つのcDNAライブラリー(ヒトHeLa細胞cDN
A、ヒトT細胞cDNA、ヒト奇形腫細胞cDNA)よ
りも多くのポジティブが得られることが示された。ノー
ザン及びウエスタン分析を行って、サイクリンD1が差
異的に発現されているかを調べた。結果(例3)より、
神経膠芽細胞腫(U118 MG)細胞では、転写物の
レベルが、HeLa細胞よりも、7から10倍高いこと
が示された。また、HeLa及びU118 MG細胞中
には、高分子量及び低分子量の転写物が存在することが
示された。抗CYL1抗体を用いたウエスタンブロッテ
ィングでは、神経膠芽細胞腫細胞中で、34kdのポリ
ペプチドが容易に検出された。また、このタンパク質が
HeLa細胞中では非常に少なく、293細胞中では検
出されないことが示された。U118 MG及びHeL
a細胞中で同定された、抗CYL1抗体に交差反応する
物質の分子量は、E.coli中で発現されたヒトCY
CD1タンパク質の分子量と同じであった。以上の結果
より、調査した細胞では、サイクリンD1が差異的に発
現し、神経由来の細胞で最も高いレベルであることが示
された。また、ここでは(例6)、cDNAプローブを
用いてヒトゲノムライブラリーをスクリーニングし、ヒ
トD−型サイクリンのゲノムクローン、詳細には、D
1、D2、D3、を単離し、性質を調べたことを説明す
る。サイクリンD1、D2、D3プロモーターの核酸配
列を、図11−13に示す。詳細には、サイクリンD1
cDNAクローン全体をプローブとして用いて、正常ヒ
ト肝ゲノムライブラリーをスクリーニングし、その結
果、3個のポジティブクローンを得た。これらのクロー
ンのうちの1つ(G6)は、1150bpの上流プロモ
ーター配列と、198bpのエクソンと、それに続いて
イントロンを含むDNA挿入断片を含んでいた。同様の
方法を用いて、ヒトサイクリンD2に対応するラムダゲ
ノムクローンと、ヒトサイクリンD3に対応するラムダ
ゲノムクローンを単離し、性質を調べた。あるクローン
(γD2−G4)は、2.7kbのSacI SmaI
断片を含むことが示された(図8B)。この断片は、D
2cDNA中(図3)で同定された推定の開始メチオニ
ンコドンの5’側の配列を1620bpと、195bp
のエクソンと、それに続く907bpの介在配列を含
む。あるクローン(G9)は、D3cDNA中(図4)
で同定された推定の開始メチオニンコドンの5’側の配
列を1.8kbと、198bpのエクソン1、684b
pのエクソン2と、870bpのイントロンを含むこと
が示された(図8C)。このように、ここで説明した研
究の結果、サイクリンD、あるいは、D−型サイクリン
と称される新しいクラスの哺乳類サイクリンが同定さ
れ、遺伝子産物(タンパク質)の構造に基づいて、以前
から知られているサイクリンとは異なることが示され
た。この新しいクラスの3つのメンバー、サイクリンD
1あるいはCCND1、サイクリンD2あるいはCCD
N2、サイクリンD3あるいはCCDN3、と称され
る、を単離し、配列決定を行なった。これらは、酵母で
細胞周期の開始に必須なプロテインキナーゼ(CDC2
8)を活性化する際に、別のサイクリン(CLN型)の
役割を果たすことが示された。また、サイクリンD1遺
伝子は、様々な細胞型で差異的に発現されており、神経
由来の細胞で最も高く発現されいることが示された。
性質 図1に図示し、例1で詳細に説明するように、3つのC
LN遺伝子のうちの2つ(CLN1及びCLN2)が不
活性であり、第3のCLN遺伝子の発現が条件的である
ような酵母の変異株を用いて、酵母をCLN欠損からレ
スキューするような、ヒトcDNAクローンを同定し
た。酵母発現ベクター(pADNS)内に組み込まれた
ヒト神経膠芽細胞種cDNAライブラリーを、前記酵母
変異株に導入した。CLN遺伝子の機能が3つとも欠損
しているにも関わらず増殖し、かつ、復帰突然変異株で
はないような、酵母の形質転換株2株(pCYCD1−
21及びpCYCD1−19)を同定し、E.coli
中に回収した。これらを酵母に再び導入すると、どちら
も変異株(CLN欠損株)をレスキューした。しかし、
レスキューの効率は低く、レスキューされた株の増殖は
比較的悪かった。pCYCD1−19及びpCYCD1
−21は、制限マッピングと、部分的なDNA配列分析
によって、同じ遺伝子を表す別個のクローンであること
が示された。完全長のcDNAクローンを得るために、
pCYCD1−21の1.2kbの挿入断片をプローブ
として用いて、HeLaのcDNAライブラリーをスク
リーニングした。この方法で同定された9個のポジティ
ブクローンのうちの、最長のクローン(pCYCD1−
12;1325bp)について、完全に配列決定を行な
った。前記1.2kbの挿入断片の配列を図2に示す。
この遺伝子の予想されるタンパク質産物は、およそ分子
量34,000ダルトンである。例4に示すように、ポ
リメラーゼ連鎖反応と、D−型サイクリンのよく保存さ
れた3つの領域由来の3つのオリゴヌクレオチドプロー
ブを用いて、サイクリンD2及びD3cDNAを単離し
た。記載の通り、この目的のために、2つの5’オリゴ
ヌクレオチドと、1つの3’縮重オリゴヌクレオチドを
使用した。CCND2遺伝子のヌクレオチド及びアミノ
酸配列と、コードされているD2サイクリンタンパク質
を、図3に示す。CCDN3遺伝子のヌクレオチド及び
アミノ酸配列と、コードされているD3サイクリンタン
パク質を、図4に示す。ブダペスト条約の合意に基づ
き、1991年5月14日に、プラスミドpCYC−D
3をアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション
(ロックビル、メリーランド州)に寄託した。この寄託
に対して、受託番号68620を得た。CYCD1−H
12にコードされているタンパク質の配列を、既知のサ
イクリンのタンパク質配列(図5Aを参照)と比較した
ところ、この新規サイクリンと、A、B、CLN型サイ
クリンとの間には、相同性が見られた。しかし、CYC
D1が、これらの既存のクラスとは異なることも、明ら
かとなった。この新規サイクリン遺伝子及びその産物
が、その他のサイクリン遺伝子と、進化上、どのように
関連しているかを評価するために、既知の全サイクリン
のアミノ酸配列の比較を広範囲で行なった(図5B及び
例1)。この比較の結果、CYCD1が、ここではサイ
クリンDと称される、新しいクラスのサイクリンである
ことが示された。例2に示すように、ノーザン分析を用
いて、ヒト細胞中でのサイクリンD1の発現を調査し
た。結果として、いくつかの細胞株では、サイクリンD
1の発現レベルが非常に低いことが示された。CYCD
1遺伝子の全コード領域を用いて、HeLa細胞由来の
ポリ(A)+RNAを検索した。そして、主要な転写物
が2つ存在し、一方がおよそ4.8kb、もう一方はお
よそ1.7kbであり、分子量の大きい方がより豊富で
あることが示された。様々なcDNAライブラリーから
単離されたcDNAのうちのほとんどは、クローンλC
YCD1−H12に非常に類似していることが判明し
た。従って、ノーザンブロットで検出された1.7kb
の転写物は、図2のヌクレオチド配列に対応すると考え
られる。大きい(4.8kb)転写物の由来は不明であ
る。例2で説明するように、検出された2種類(4.8
kb及び1.7kb)の転写物は、CYCD1(図6)
のポリアデニル化の差異によって生成したと考えられ
る。例3で説明するように、様々な組織及び細胞株にお
けるサイクリンD1の特異的な発現を評価した。完全長
のCYCD1クローンを得るために、cDNAライブラ
リーのスクリーニングを行なったところ、酵母の形質転
換株作成に使用したヒト神経膠芽細胞腫細胞株(U11
8 MG)由来のcDNAライブラリーからは、他の3
つのcDNAライブラリー(ヒトHeLa細胞cDN
A、ヒトT細胞cDNA、ヒト奇形腫細胞cDNA)よ
りも多くのポジティブが得られることが示された。ノー
ザン及びウエスタン分析を行って、サイクリンD1が差
異的に発現されているかを調べた。結果(例3)より、
神経膠芽細胞腫(U118 MG)細胞では、転写物の
レベルが、HeLa細胞よりも、7から10倍高いこと
が示された。また、HeLa及びU118 MG細胞中
には、高分子量及び低分子量の転写物が存在することが
示された。抗CYL1抗体を用いたウエスタンブロッテ
ィングでは、神経膠芽細胞腫細胞中で、34kdのポリ
ペプチドが容易に検出された。また、このタンパク質が
HeLa細胞中では非常に少なく、293細胞中では検
出されないことが示された。U118 MG及びHeL
a細胞中で同定された、抗CYL1抗体に交差反応する
物質の分子量は、E.coli中で発現されたヒトCY
CD1タンパク質の分子量と同じであった。以上の結果
より、調査した細胞では、サイクリンD1が差異的に発
現し、神経由来の細胞で最も高いレベルであることが示
された。また、ここでは(例6)、cDNAプローブを
用いてヒトゲノムライブラリーをスクリーニングし、ヒ
トD−型サイクリンのゲノムクローン、詳細には、D
1、D2、D3、を単離し、性質を調べたことを説明す
る。サイクリンD1、D2、D3プロモーターの核酸配
列を、図11−13に示す。詳細には、サイクリンD1
cDNAクローン全体をプローブとして用いて、正常ヒ
ト肝ゲノムライブラリーをスクリーニングし、その結
果、3個のポジティブクローンを得た。これらのクロー
ンのうちの1つ(G6)は、1150bpの上流プロモ
ーター配列と、198bpのエクソンと、それに続いて
イントロンを含むDNA挿入断片を含んでいた。同様の
方法を用いて、ヒトサイクリンD2に対応するラムダゲ
ノムクローンと、ヒトサイクリンD3に対応するラムダ
ゲノムクローンを単離し、性質を調べた。あるクローン
(γD2−G4)は、2.7kbのSacI SmaI
断片を含むことが示された(図8B)。この断片は、D
2cDNA中(図3)で同定された推定の開始メチオニ
ンコドンの5’側の配列を1620bpと、195bp
のエクソンと、それに続く907bpの介在配列を含
む。あるクローン(G9)は、D3cDNA中(図4)
で同定された推定の開始メチオニンコドンの5’側の配
列を1.8kbと、198bpのエクソン1、684b
pのエクソン2と、870bpのイントロンを含むこと
が示された(図8C)。このように、ここで説明した研
究の結果、サイクリンD、あるいは、D−型サイクリン
と称される新しいクラスの哺乳類サイクリンが同定さ
れ、遺伝子産物(タンパク質)の構造に基づいて、以前
から知られているサイクリンとは異なることが示され
た。この新しいクラスの3つのメンバー、サイクリンD
1あるいはCCND1、サイクリンD2あるいはCCD
N2、サイクリンD3あるいはCCDN3、と称され
る、を単離し、配列決定を行なった。これらは、酵母で
細胞周期の開始に必須なプロテインキナーゼ(CDC2
8)を活性化する際に、別のサイクリン(CLN型)の
役割を果たすことが示された。また、サイクリンD1遺
伝子は、様々な細胞型で差異的に発現されており、神経
由来の細胞で最も高く発現されいることが示された。
【0005】本発明の使用法 ここに説明されている方法と材料を用いて、その他のサ
イクリン(細胞周期の開始に必須な遺伝子を代替するD
NAあるいはRNA)をコードする遺伝子(DNAある
いはRNA)を同定することが可能である。この方法
は、ヒトあるいはヒト以外由来の、サイクリンDクラ
ス、あるいは、その他の(非D−型)サイクリンに属す
るその他のメンバーを同定するために、使用することが
できる。これは、例えば、例1に説明されているよう
に、CLNを条件的に発現するような出芽酵母の菌株を
用いて、その他のcDNAライブラリーをスクリーニン
グすることによって行うことができる。あるいは、ある
遺伝子がサイクリンの発現を代替する能力を持つかを評
価できるような、その他の変異株を用いて、サイクリン
の相同物を同定することができる。この方法は、ここで
説明するように、特に例1と図1に示すようにして、行
うことができる。適切な酵母ベクター(例えばpADN
S)に組み込まれたcDNAライブラリーを、ここに記
載されているような(例1及び実験方法)酵母の変異株
に導入する。使用される株は、改変されたCLN遺伝子
を含む。ここに記載した特定の菌株の場合は、CLN1
及びCLN2遺伝子が挿入変異によって不活性化されて
おり、また、CLN3遺伝子の改変によって、これがガ
ラクトース誘導性・グルコース抑制性のプロモーターか
ら条件的に発現するようになっている。実施例では、こ
のプロモーターは、ガラクトース誘導性・グルコース抑
制性のプロモーターであるが、その他のプロモーターを
用いることもできる。発現ベクター内のcDNAライブ
ラリーで形質転換した酵母の変異株を、グルコース含有
培地上での増殖能力によって、スクリーニングした。ガ
ラクトースを含有する培地上では、CLN3遺伝子が発
現され、CLN1及びCLN2がないにも関わらず、細
胞の生存能力が維持される。グルコースを含有する培地
上では、全てのCLN機能が失われるため、酵母細胞
は、細胞周期のG1期で停止する。従って、酵母の形質
転換株が、グルコース含有培地上で増殖できるというこ
とは、その形質転換株中に、細胞周期の開始に必須な遺
伝子の機能を代替できるDNAが存在することを示して
いる。必ずしも必要ではないが、これは、選択マーカー
(pADNS中には、LEU2マーカーが存在する)を
有する発現ベクター、例えばpADNS、を用いること
で確認することができる。プラスミドの安定性を確認す
ることにより、グルコース含有培地上での増殖能力が、
復帰突然変異の結果であるか、あるいは、DNA機能の
存在(細胞周期の開始に必須であり、発現していない、
あるいは、機能していない酵母遺伝子を代替するDNA
の導入)の結果であるかどうかが示される。この方法を
用いて、形質転換株をグルコース上で増殖させた時のC
LN3機能の代替能力によって、全ての型のサイクリン
(D型、非D型)を同定することができる。その他のサ
イクリン遺伝子を同定するために、ここに開示されてい
るヒトD−型サイクリンDNAの全体あるいは一部をプ
ローブとして用いて、その他のcDNAあるいはゲノム
ライブラリーをスクリーニングすることができる。例え
ば、それぞれ図2−4の、D1、D2、D3cDNA配
列の全体あるいは一部、あるいは、ここに記載されてい
る対応するゲノム配列の全体あるいは一部を、プローブ
として用いることができる。ハイブリッド形成条件は、
望ましいように変更可能であり、その結果、同定される
配列の、プローブ配列に対する相補性は、高くなった
り、低くなったりする(すなわち、もし、より厳しい、
あるいは、より緩い条件を用いると)。さらに、CYL
1や、D1、D3あるいはその他のヒトD−型サイクリ
ンに対して作成された抗体を用いて、サイクリンをコー
ドすると考えられるDNAを含むベクターで形質転換さ
れた適切な宿主細胞内で生産されたその他の組換えD−
型サイクリンを、検出することができる。ここに記載さ
れている研究に基づいて、組織由来の細胞、あるいは、
血液、尿、糞便、粘液、唾液などの生物検体中の、D−
型サイクリンの発現の変化、あるいは、細胞分裂速度の
上昇を検出することができる。これは、診断、及び、予
後診断の目的で使用できる可能性がある。なぜならば、
例えば、サイクリン遺伝子発現の変化と、細胞のトラン
スフォーメーション、あるいは、細胞の異常な増殖との
間には、何らかの関連があると考えられるからである。
例えば、以前のいくつかの報告では、変化したヒトサイ
クリンAが、発ガン性に機能することが示唆されてい
る。ヒトサイクリンA遺伝子は、肝細胞癌において、B
型肝炎ウイルス組み込みの標的であることが発見されて
いる(Wand, J.ら, Nature 343:555-557(1990))。ま
た、サイクリンAは、ウイルスに感染した細胞中で、ア
デノウイルスE1Aと結合することが示されている(Gi
ordano, A.ら, Cell 58:981-990(1989); Pines, J.とT.
Hunter, Nature 346:760-736(1990))。さらに、サイ
クリンD1遺伝子と同じ配列を有するPRAD1遺伝子
は、染色体11q13の異常とともに、様々な腫瘍(た
とえば、上皮小体新生物、ヒト乳癌、扁平上皮癌)の形
成において、重要な役割を果たしている可能性がある。
特に、CCDN1(PRAD1)が、BCL1癌遺伝子
の候補として同定されたことは、サイクリン遺伝子の発
癌能力を示す最も直接的な証拠を提供する。また、これ
は、D−型サイクリンのその他のメンバーが、発癌に関
与している可能性を示唆する。これに関して、CCDN
2及びCCDN3の染色体上の座位が、それぞれ、12
p13と、6p21であることを決定した。領域12p
13は、急性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄単球性白血
病、急性骨髄性白血病などの疾患の、特定の免疫表現型
に関係する、複数の転移部位を含む。特に、染色体12
[1(12p)]短腕の同腕染色体は、ヒトの固形腫瘍
で一貫して見られる数少ない染色体異常であり、成人精
巣生殖細胞腫瘍の90%で観察される。一方、領域6p
21は、HLA(ヒト白血球会合)複合体の遺伝子座で
あり、ヒトのゲノム中で最もよく性質が調べられている
領域の一つである。これまでに、多くの疾患がKLA複
合体に関連づけられてきたが、これらの疾患のうちで、
病因が完全にわかっているものは、ほとんどない。サイ
クリンD2及びD3の分子クローニングと染色体上の座
位決定を行うことで、このような転移に、これらが直接
関与しているかどうか、そして、もし関与している場合
には、これらが活性化されているかを、決定することが
できる。これらの関与が証明された場合には、ここに説
明されている診断及び治療方法を用いて、個人の病態
や、そのような転移に関連して、あるいは、その結果と
して、何らかの状態が発生する可能性を評価することが
でき、また、治療効果の監視(細胞増殖に対する薬剤あ
るいは薬剤類の効果を評価することにより)や、治療を
提供することができる。本発明は、サイクリンD1、D
2、D3、あるいは、その他のD−型サイクリンなど
の、サイクリン遺伝子の発現変化を検出するための、診
断方法を含む。この方法を用いて、細胞内、あるいは、
生物検体中の発現変化を検出することができる。ここに
示すように、サイクリンD遺伝子の間では、配列の相同
性が高い。このことは、細胞周期を調節する際に、D−
型サイクリンの他のメンバーも、同様の機構を使用して
いる可能性を示唆する(例えば、同じ触媒サブユニット
に結合する、同じ基質に作用する)。マウス及びヒト細
胞の双方で、細胞特異的な差異的な発現が見られること
より、異なる細胞系統あるいは異なる組織では、非常に
類似の機能を行うために異なるD−型サイクリンが使用
されており、転移あるいはその他の変異の結果としてサ
イクリンD遺伝子の組織特異的発現が変化することが、
異常な細胞増殖に寄与している、と示唆することは合理
的であると考えられる。ここで説明するように、サイク
リンDは、分析した組織で差異的に発現している。詳細
には、神経由来の細胞(例えば、神経膠芽細胞腫細胞)
で、最も高いレベルで発現されていることが示された。
ここで説明する研究の結果、D−型サイクリンの発現を
検出、及び/あるいは、定量することができ、その結果
を、細胞増殖が正常か、異常か(例えば、異常に速い速
度の)、の指標として利用することができる。差異的な
発現(様々な細胞型内、あるいは、Dサイクリンの1つ
あるいは複数の型の発現)を調べることも可能である。
本発明の診断方法では、個人から入手した細胞を加工し
て、その中の核酸配列が、相補的な核酸配列とハイブリ
ッドを形成できるようにする。D1、D2、及び/ある
いは、D3サイクリン(あるいはその他のD−型サイク
リン遺伝子)の配列の、全体あるいは一部分を、プロー
ブとして使用することができる。そのようなプローブ
は、D−型サイクリンの一部分でもよい。そのような部
分は、検体中の相補的な配列とハイブリッドを形成する
ために充分な長さであり、使用条件でハイブリッド形成
を維持し、一般的に、少なくとも6ヌクレオチド長でな
ければならない。ハイブリッド形成は、既知の技術を用
いて検出される(例えば、放射性標識、あるいは、蛍光
標識オリゴヌクレオチドプローブを用いた場合は、標識
されたハイブリッド複合体を測定する)。ハイブリッド
形成が起こった程度を定量する。D−型サイクリン遺伝
子レベルの上昇は、細胞分裂の可能性が上昇したことの
指標である。あるいは、既知の技術とD−型サイクリン
に特異的な抗体を利用することにより、細胞内、特定の
細胞型内、あるいは、体液中に、D−型サイクリン(あ
るいは複数のサイクリン)がどの程度存在するかを決定
することができる。第3の診断方法では、D−型サイク
リンが通常あるいは典型的に結合するプロテインキナー
ゼと、D−型サイクリンの複合体形成を、外来の基質、
たとえばヒストンH1を基質として用いて、評価するこ
とができる。Arion, D.ら, Cell, 55:371-378(1988)。
どの診断方法においても、分析した細胞や体液から得ら
れた結果と、適切な対照(例えば、正常なD−型サイク
リンレベル及び/あるいは活性を有することが知られて
いる同じ型の細胞。あるいは、正常なD−型サイクリン
レベル及び/あるいは活性を有することが知られている
個人から入手した同じ体液。)から得られた結果との比
較を行う。D−型サイクリンレベル、及び/あるいは、
活性の上昇は、異常な細胞増殖あるいは発癌の可能性が
高いこと、あるいは、異常な増殖あるいは発癌が実際に
起こっていること、の指標である。また、一組のプロー
ブ(例えば、一組の核酸プローブ、あるいは、一組の抗
体)を用いることで、細胞あるいは組織中で、一種以上
のサイクリン(例えば、A、B、及び/あるいは、D)
を検出することが可能である。この一組のプローブの構
成成分は、それぞれ特定のサイクリンを認識して結合
し、分析した細胞あるいは組織内における2種あるいは
それ以上のサイクリンに関する情報を、ひとまとめにし
て提供する。そのようなプローブもまた、本発明の主題
である。一般には、それらは、検出可能なように標識さ
れている(例えば、放射性標識、蛍光物質、ビオチンあ
るいは結合対のその他の成分、あるいは、酵素によっ
て)。細胞分裂の阻害、詳細には、さもなければ異常に
速い速度で起こるような細胞分裂の阻害、も可能であ
る。例えば、細胞内に、プロテインキナーゼ−D−型サ
イクリン複合体の形成を直接あるいは間接的に阻害し
て、プロテインキナーゼの活性化を阻害することができ
る薬剤あるいはその他の物質を導入することによって、
細胞増殖の上昇を抑制、あるいは、防止することができ
る。ある実施態様では、例えば、D−型サイクリンDN
A及び/あるいはRNAの、転写及び/あるいは翻訳を
防止することによって、間接的に複合体形成を阻害する
ことができる。これは、細胞内にアンチセンスオリゴヌ
クレオチドを導入することによって行うことができる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、細胞内で、サイク
リンをコードする核酸配列とハイブリッドを形成し、そ
れらがそれ以上加工されることを防止する。また、必須
なD−型転写因子を妨害することによって、サイクリン
の発現を阻害することも可能である。細胞周期と細胞増
殖の調節において、サイクリン遺伝子の転写が重要な役
割を果たしており、また、サイクリンmRNAレベルの
変動が細胞分裂の調節において重大である、と考えるの
には理由がある。G1期とは、外因及び内因に反応し
て、細胞が新しく細胞分裂を行うように方向付けられる
時期である。従って、G1サイクリンの発現を調節する
転写因子は、細胞増殖の調節において必ず重要である。
転写因子を調節することは、D−型サイクリンの活性に
影響を与えることができる、1つの方法である。その結
果、転写因子の機能を阻害あるいは防止すると、D−型
サイクリンの活性が減少する。あるいは、例えば、プロ
テアーゼ、あるいは、サイクリンの分解を促進する物質
を細胞内へ導入することによって、D−型サイクリンを
分解して、複合体形成を間接的に防止することができ
る。どちらの場合も、この方法を行わない場合よりも、
有効なD−型サイクリン量が減少し、効果は間接的であ
る。別の実施態様では、プロテインキナーゼあるいはD
−型サイクリンに結合する、あるいは、サイクリンが活
性化するプロテインキナーゼとサイクリンとの間の物理
的結合に干渉する(例えば、挿入によって)、あるい
は、プロテインキナーゼの触媒活性を破壊するような、
薬剤あるいはその他の物質を、細胞内に導入することに
よって、プロテインキナーゼ−D−型サイクリン複合体
の形成を、より直接的な方法で防止することができる。
これは、この酵素あるいはサイクリンに結合する抗体を
用いて行うことができる。あるいは、内因性のD−型サ
イクリンのようにプロテインキナーゼに結合するが、そ
れが結合してもこの酵素が活性化されない、あるいは、
この酵素の不活性化あるいは分解がおこるような、ペプ
チドあるいは低分子量の有機化合物を用いて行うことが
できる。このような目的で使用されるペプチドあるいは
小さな有機化合物は、D−型サイクリンのアミノ酸分析
に基づいて、結合に必要な残基を含み、存在すると活性
化に結びつくような残基を除くように、デザインされ
る。これは、例えば、結合部位を系統的にマッピングし
て、活性化に必要な部位を認識あるいは結合するが、活
性化を起こさないような分子をデザインすることによっ
て行うことができる。ここで説明するように、組織内で
は、D−型サイクリンが差異的に発現されている。従っ
て、特定の型の(あるいは複数の型の)Dサイクリンの
活性、及び/あるいは、発現レベルを干渉(阻害)する
ようにデザインされた薬剤(例えば、抗体、あるいは、
アンチセンスあるいはその他の核酸分子)を用いること
によって、細胞の細胞分裂活性を選択的に減少させるこ
とが可能である。例えば、中枢神経系、あるいは、その
他の非造血組織の腫瘍を治療する際には、サイクリンD
1を特異的に阻害する薬剤が特に有効ではないかと期待
されている。なぜならば、D1は、差異的に発現するこ
とが示されているからである(神経由来の細胞で、特に
高レベルで発現されている)。また、既知の方法を用い
て、本発明のD−型サイクリンに特異的に反応する抗体
を作成することができる。例えば、抗血清を入手したい
D−型サイクリンを、適切な宿主(例えば、ウサギ、マ
ウス、ラット、ブタ)に注射して、抗体が形成されるた
めに充分な時間がたった後、宿主生物から血液を回収す
ることによって、抗D−型サイクリン抗血清を作成する
ことができる。既知の方法を使って、モノクローナル抗
体を作成することもできる。Sambrook, J.ら, Molecula
r Cloning: A Laboratory Manual, コールド・スプリン
グ・ハーバー・ラボラトリー、コールド・スプリング・
ハーバー、ニューヨーク州 (1989)。本発明は、また、
化合物あるいは分子を、サイクリン、特にD−型サイク
リンの機能を阻害あるいは抑制する能力に関してスクリ
ーニングする方法を含む。例えば、ここに記載されてい
るような、D1あるいはD3のようなD−型サイクリン
を発現する変異細胞を用いることができる。D−型サイ
クリンを阻害する能力を評価する化合物あるいは分子
を、その化合物あるいは分子が細胞内に入るために適し
た条件で、細胞と接触させる。サイクリンが阻害される
と、その結果、細胞が停止する、あるいは、細胞分裂速
度が減少する。評価する化合物あるいは分子の存在下で
の細胞分裂速度あるいは程度を、適切な対照(例えば、
試験する薬剤を添加していない同じ型の細胞)の細胞分
裂と比較することによって、その化合物あるいは分子
が、サイクリンを阻害できるか、阻害できないか、が示
される。既存の化合物あるいは分子、あるいは、サイク
リンによるプロテインキナーゼの活性化を阻害するよう
に開発された化合物あるいは分子の有効性を、この方法
を用いてスクリーニングすることができる。D−型サイ
クリンを阻害する薬剤もまた、本発明の主題である。本
発明を、以下の例を用いて説明するが、以下の説明は、
何ら限定的なものではない。
イクリン(細胞周期の開始に必須な遺伝子を代替するD
NAあるいはRNA)をコードする遺伝子(DNAある
いはRNA)を同定することが可能である。この方法
は、ヒトあるいはヒト以外由来の、サイクリンDクラ
ス、あるいは、その他の(非D−型)サイクリンに属す
るその他のメンバーを同定するために、使用することが
できる。これは、例えば、例1に説明されているよう
に、CLNを条件的に発現するような出芽酵母の菌株を
用いて、その他のcDNAライブラリーをスクリーニン
グすることによって行うことができる。あるいは、ある
遺伝子がサイクリンの発現を代替する能力を持つかを評
価できるような、その他の変異株を用いて、サイクリン
の相同物を同定することができる。この方法は、ここで
説明するように、特に例1と図1に示すようにして、行
うことができる。適切な酵母ベクター(例えばpADN
S)に組み込まれたcDNAライブラリーを、ここに記
載されているような(例1及び実験方法)酵母の変異株
に導入する。使用される株は、改変されたCLN遺伝子
を含む。ここに記載した特定の菌株の場合は、CLN1
及びCLN2遺伝子が挿入変異によって不活性化されて
おり、また、CLN3遺伝子の改変によって、これがガ
ラクトース誘導性・グルコース抑制性のプロモーターか
ら条件的に発現するようになっている。実施例では、こ
のプロモーターは、ガラクトース誘導性・グルコース抑
制性のプロモーターであるが、その他のプロモーターを
用いることもできる。発現ベクター内のcDNAライブ
ラリーで形質転換した酵母の変異株を、グルコース含有
培地上での増殖能力によって、スクリーニングした。ガ
ラクトースを含有する培地上では、CLN3遺伝子が発
現され、CLN1及びCLN2がないにも関わらず、細
胞の生存能力が維持される。グルコースを含有する培地
上では、全てのCLN機能が失われるため、酵母細胞
は、細胞周期のG1期で停止する。従って、酵母の形質
転換株が、グルコース含有培地上で増殖できるというこ
とは、その形質転換株中に、細胞周期の開始に必須な遺
伝子の機能を代替できるDNAが存在することを示して
いる。必ずしも必要ではないが、これは、選択マーカー
(pADNS中には、LEU2マーカーが存在する)を
有する発現ベクター、例えばpADNS、を用いること
で確認することができる。プラスミドの安定性を確認す
ることにより、グルコース含有培地上での増殖能力が、
復帰突然変異の結果であるか、あるいは、DNA機能の
存在(細胞周期の開始に必須であり、発現していない、
あるいは、機能していない酵母遺伝子を代替するDNA
の導入)の結果であるかどうかが示される。この方法を
用いて、形質転換株をグルコース上で増殖させた時のC
LN3機能の代替能力によって、全ての型のサイクリン
(D型、非D型)を同定することができる。その他のサ
イクリン遺伝子を同定するために、ここに開示されてい
るヒトD−型サイクリンDNAの全体あるいは一部をプ
ローブとして用いて、その他のcDNAあるいはゲノム
ライブラリーをスクリーニングすることができる。例え
ば、それぞれ図2−4の、D1、D2、D3cDNA配
列の全体あるいは一部、あるいは、ここに記載されてい
る対応するゲノム配列の全体あるいは一部を、プローブ
として用いることができる。ハイブリッド形成条件は、
望ましいように変更可能であり、その結果、同定される
配列の、プローブ配列に対する相補性は、高くなった
り、低くなったりする(すなわち、もし、より厳しい、
あるいは、より緩い条件を用いると)。さらに、CYL
1や、D1、D3あるいはその他のヒトD−型サイクリ
ンに対して作成された抗体を用いて、サイクリンをコー
ドすると考えられるDNAを含むベクターで形質転換さ
れた適切な宿主細胞内で生産されたその他の組換えD−
型サイクリンを、検出することができる。ここに記載さ
れている研究に基づいて、組織由来の細胞、あるいは、
血液、尿、糞便、粘液、唾液などの生物検体中の、D−
型サイクリンの発現の変化、あるいは、細胞分裂速度の
上昇を検出することができる。これは、診断、及び、予
後診断の目的で使用できる可能性がある。なぜならば、
例えば、サイクリン遺伝子発現の変化と、細胞のトラン
スフォーメーション、あるいは、細胞の異常な増殖との
間には、何らかの関連があると考えられるからである。
例えば、以前のいくつかの報告では、変化したヒトサイ
クリンAが、発ガン性に機能することが示唆されてい
る。ヒトサイクリンA遺伝子は、肝細胞癌において、B
型肝炎ウイルス組み込みの標的であることが発見されて
いる(Wand, J.ら, Nature 343:555-557(1990))。ま
た、サイクリンAは、ウイルスに感染した細胞中で、ア
デノウイルスE1Aと結合することが示されている(Gi
ordano, A.ら, Cell 58:981-990(1989); Pines, J.とT.
Hunter, Nature 346:760-736(1990))。さらに、サイ
クリンD1遺伝子と同じ配列を有するPRAD1遺伝子
は、染色体11q13の異常とともに、様々な腫瘍(た
とえば、上皮小体新生物、ヒト乳癌、扁平上皮癌)の形
成において、重要な役割を果たしている可能性がある。
特に、CCDN1(PRAD1)が、BCL1癌遺伝子
の候補として同定されたことは、サイクリン遺伝子の発
癌能力を示す最も直接的な証拠を提供する。また、これ
は、D−型サイクリンのその他のメンバーが、発癌に関
与している可能性を示唆する。これに関して、CCDN
2及びCCDN3の染色体上の座位が、それぞれ、12
p13と、6p21であることを決定した。領域12p
13は、急性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄単球性白血
病、急性骨髄性白血病などの疾患の、特定の免疫表現型
に関係する、複数の転移部位を含む。特に、染色体12
[1(12p)]短腕の同腕染色体は、ヒトの固形腫瘍
で一貫して見られる数少ない染色体異常であり、成人精
巣生殖細胞腫瘍の90%で観察される。一方、領域6p
21は、HLA(ヒト白血球会合)複合体の遺伝子座で
あり、ヒトのゲノム中で最もよく性質が調べられている
領域の一つである。これまでに、多くの疾患がKLA複
合体に関連づけられてきたが、これらの疾患のうちで、
病因が完全にわかっているものは、ほとんどない。サイ
クリンD2及びD3の分子クローニングと染色体上の座
位決定を行うことで、このような転移に、これらが直接
関与しているかどうか、そして、もし関与している場合
には、これらが活性化されているかを、決定することが
できる。これらの関与が証明された場合には、ここに説
明されている診断及び治療方法を用いて、個人の病態
や、そのような転移に関連して、あるいは、その結果と
して、何らかの状態が発生する可能性を評価することが
でき、また、治療効果の監視(細胞増殖に対する薬剤あ
るいは薬剤類の効果を評価することにより)や、治療を
提供することができる。本発明は、サイクリンD1、D
2、D3、あるいは、その他のD−型サイクリンなど
の、サイクリン遺伝子の発現変化を検出するための、診
断方法を含む。この方法を用いて、細胞内、あるいは、
生物検体中の発現変化を検出することができる。ここに
示すように、サイクリンD遺伝子の間では、配列の相同
性が高い。このことは、細胞周期を調節する際に、D−
型サイクリンの他のメンバーも、同様の機構を使用して
いる可能性を示唆する(例えば、同じ触媒サブユニット
に結合する、同じ基質に作用する)。マウス及びヒト細
胞の双方で、細胞特異的な差異的な発現が見られること
より、異なる細胞系統あるいは異なる組織では、非常に
類似の機能を行うために異なるD−型サイクリンが使用
されており、転移あるいはその他の変異の結果としてサ
イクリンD遺伝子の組織特異的発現が変化することが、
異常な細胞増殖に寄与している、と示唆することは合理
的であると考えられる。ここで説明するように、サイク
リンDは、分析した組織で差異的に発現している。詳細
には、神経由来の細胞(例えば、神経膠芽細胞腫細胞)
で、最も高いレベルで発現されていることが示された。
ここで説明する研究の結果、D−型サイクリンの発現を
検出、及び/あるいは、定量することができ、その結果
を、細胞増殖が正常か、異常か(例えば、異常に速い速
度の)、の指標として利用することができる。差異的な
発現(様々な細胞型内、あるいは、Dサイクリンの1つ
あるいは複数の型の発現)を調べることも可能である。
本発明の診断方法では、個人から入手した細胞を加工し
て、その中の核酸配列が、相補的な核酸配列とハイブリ
ッドを形成できるようにする。D1、D2、及び/ある
いは、D3サイクリン(あるいはその他のD−型サイク
リン遺伝子)の配列の、全体あるいは一部分を、プロー
ブとして使用することができる。そのようなプローブ
は、D−型サイクリンの一部分でもよい。そのような部
分は、検体中の相補的な配列とハイブリッドを形成する
ために充分な長さであり、使用条件でハイブリッド形成
を維持し、一般的に、少なくとも6ヌクレオチド長でな
ければならない。ハイブリッド形成は、既知の技術を用
いて検出される(例えば、放射性標識、あるいは、蛍光
標識オリゴヌクレオチドプローブを用いた場合は、標識
されたハイブリッド複合体を測定する)。ハイブリッド
形成が起こった程度を定量する。D−型サイクリン遺伝
子レベルの上昇は、細胞分裂の可能性が上昇したことの
指標である。あるいは、既知の技術とD−型サイクリン
に特異的な抗体を利用することにより、細胞内、特定の
細胞型内、あるいは、体液中に、D−型サイクリン(あ
るいは複数のサイクリン)がどの程度存在するかを決定
することができる。第3の診断方法では、D−型サイク
リンが通常あるいは典型的に結合するプロテインキナー
ゼと、D−型サイクリンの複合体形成を、外来の基質、
たとえばヒストンH1を基質として用いて、評価するこ
とができる。Arion, D.ら, Cell, 55:371-378(1988)。
どの診断方法においても、分析した細胞や体液から得ら
れた結果と、適切な対照(例えば、正常なD−型サイク
リンレベル及び/あるいは活性を有することが知られて
いる同じ型の細胞。あるいは、正常なD−型サイクリン
レベル及び/あるいは活性を有することが知られている
個人から入手した同じ体液。)から得られた結果との比
較を行う。D−型サイクリンレベル、及び/あるいは、
活性の上昇は、異常な細胞増殖あるいは発癌の可能性が
高いこと、あるいは、異常な増殖あるいは発癌が実際に
起こっていること、の指標である。また、一組のプロー
ブ(例えば、一組の核酸プローブ、あるいは、一組の抗
体)を用いることで、細胞あるいは組織中で、一種以上
のサイクリン(例えば、A、B、及び/あるいは、D)
を検出することが可能である。この一組のプローブの構
成成分は、それぞれ特定のサイクリンを認識して結合
し、分析した細胞あるいは組織内における2種あるいは
それ以上のサイクリンに関する情報を、ひとまとめにし
て提供する。そのようなプローブもまた、本発明の主題
である。一般には、それらは、検出可能なように標識さ
れている(例えば、放射性標識、蛍光物質、ビオチンあ
るいは結合対のその他の成分、あるいは、酵素によっ
て)。細胞分裂の阻害、詳細には、さもなければ異常に
速い速度で起こるような細胞分裂の阻害、も可能であ
る。例えば、細胞内に、プロテインキナーゼ−D−型サ
イクリン複合体の形成を直接あるいは間接的に阻害し
て、プロテインキナーゼの活性化を阻害することができ
る薬剤あるいはその他の物質を導入することによって、
細胞増殖の上昇を抑制、あるいは、防止することができ
る。ある実施態様では、例えば、D−型サイクリンDN
A及び/あるいはRNAの、転写及び/あるいは翻訳を
防止することによって、間接的に複合体形成を阻害する
ことができる。これは、細胞内にアンチセンスオリゴヌ
クレオチドを導入することによって行うことができる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、細胞内で、サイク
リンをコードする核酸配列とハイブリッドを形成し、そ
れらがそれ以上加工されることを防止する。また、必須
なD−型転写因子を妨害することによって、サイクリン
の発現を阻害することも可能である。細胞周期と細胞増
殖の調節において、サイクリン遺伝子の転写が重要な役
割を果たしており、また、サイクリンmRNAレベルの
変動が細胞分裂の調節において重大である、と考えるの
には理由がある。G1期とは、外因及び内因に反応し
て、細胞が新しく細胞分裂を行うように方向付けられる
時期である。従って、G1サイクリンの発現を調節する
転写因子は、細胞増殖の調節において必ず重要である。
転写因子を調節することは、D−型サイクリンの活性に
影響を与えることができる、1つの方法である。その結
果、転写因子の機能を阻害あるいは防止すると、D−型
サイクリンの活性が減少する。あるいは、例えば、プロ
テアーゼ、あるいは、サイクリンの分解を促進する物質
を細胞内へ導入することによって、D−型サイクリンを
分解して、複合体形成を間接的に防止することができ
る。どちらの場合も、この方法を行わない場合よりも、
有効なD−型サイクリン量が減少し、効果は間接的であ
る。別の実施態様では、プロテインキナーゼあるいはD
−型サイクリンに結合する、あるいは、サイクリンが活
性化するプロテインキナーゼとサイクリンとの間の物理
的結合に干渉する(例えば、挿入によって)、あるい
は、プロテインキナーゼの触媒活性を破壊するような、
薬剤あるいはその他の物質を、細胞内に導入することに
よって、プロテインキナーゼ−D−型サイクリン複合体
の形成を、より直接的な方法で防止することができる。
これは、この酵素あるいはサイクリンに結合する抗体を
用いて行うことができる。あるいは、内因性のD−型サ
イクリンのようにプロテインキナーゼに結合するが、そ
れが結合してもこの酵素が活性化されない、あるいは、
この酵素の不活性化あるいは分解がおこるような、ペプ
チドあるいは低分子量の有機化合物を用いて行うことが
できる。このような目的で使用されるペプチドあるいは
小さな有機化合物は、D−型サイクリンのアミノ酸分析
に基づいて、結合に必要な残基を含み、存在すると活性
化に結びつくような残基を除くように、デザインされ
る。これは、例えば、結合部位を系統的にマッピングし
て、活性化に必要な部位を認識あるいは結合するが、活
性化を起こさないような分子をデザインすることによっ
て行うことができる。ここで説明するように、組織内で
は、D−型サイクリンが差異的に発現されている。従っ
て、特定の型の(あるいは複数の型の)Dサイクリンの
活性、及び/あるいは、発現レベルを干渉(阻害)する
ようにデザインされた薬剤(例えば、抗体、あるいは、
アンチセンスあるいはその他の核酸分子)を用いること
によって、細胞の細胞分裂活性を選択的に減少させるこ
とが可能である。例えば、中枢神経系、あるいは、その
他の非造血組織の腫瘍を治療する際には、サイクリンD
1を特異的に阻害する薬剤が特に有効ではないかと期待
されている。なぜならば、D1は、差異的に発現するこ
とが示されているからである(神経由来の細胞で、特に
高レベルで発現されている)。また、既知の方法を用い
て、本発明のD−型サイクリンに特異的に反応する抗体
を作成することができる。例えば、抗血清を入手したい
D−型サイクリンを、適切な宿主(例えば、ウサギ、マ
ウス、ラット、ブタ)に注射して、抗体が形成されるた
めに充分な時間がたった後、宿主生物から血液を回収す
ることによって、抗D−型サイクリン抗血清を作成する
ことができる。既知の方法を使って、モノクローナル抗
体を作成することもできる。Sambrook, J.ら, Molecula
r Cloning: A Laboratory Manual, コールド・スプリン
グ・ハーバー・ラボラトリー、コールド・スプリング・
ハーバー、ニューヨーク州 (1989)。本発明は、また、
化合物あるいは分子を、サイクリン、特にD−型サイク
リンの機能を阻害あるいは抑制する能力に関してスクリ
ーニングする方法を含む。例えば、ここに記載されてい
るような、D1あるいはD3のようなD−型サイクリン
を発現する変異細胞を用いることができる。D−型サイ
クリンを阻害する能力を評価する化合物あるいは分子
を、その化合物あるいは分子が細胞内に入るために適し
た条件で、細胞と接触させる。サイクリンが阻害される
と、その結果、細胞が停止する、あるいは、細胞分裂速
度が減少する。評価する化合物あるいは分子の存在下で
の細胞分裂速度あるいは程度を、適切な対照(例えば、
試験する薬剤を添加していない同じ型の細胞)の細胞分
裂と比較することによって、その化合物あるいは分子
が、サイクリンを阻害できるか、阻害できないか、が示
される。既存の化合物あるいは分子、あるいは、サイク
リンによるプロテインキナーゼの活性化を阻害するよう
に開発された化合物あるいは分子の有効性を、この方法
を用いてスクリーニングすることができる。D−型サイ
クリンを阻害する薬剤もまた、本発明の主題である。本
発明を、以下の例を用いて説明するが、以下の説明は、
何ら限定的なものではない。
【0006】例 例3のあとに、例1−3の実験方法を示す。
【0007】例1 CLN欠損をレスキューするヒトc
DNAクローンの同定 S. cerevisiae 内には、3種類のClnタ
ンパク質が存在する。CLN遺伝子のうちのどれか一つ
を破壊しても、増殖には、ほとんど影響しない。しか
し、3つのCLN遺伝子全部を破壊すると、細胞はG1
期で停止する(Richardson, H. E.ら, Cell 59:1127-11
33(1989))。以下に示すように、酵母の菌株を作成し
た。この菌株は、CLN1及びCLN2遺伝子内に挿入
変異を含み、これらが不活性化されている。残りのCL
N3遺伝子をさらに改変し、ガラクトース誘導性・グル
コース抑制性のプロモーターGAL1から条件的に発現
するようにした(図1参照)。この菌株を305−15
d #21と命名する。ガラクトースを含有する培地中
ではCLN3遺伝子が発現され、CLN1及びCLN2
遺伝子が欠損しているにも関わらず、細胞の生存能力が
保持される(図1)。グルコース含有培地中では、全て
のCLNの機能が失われ、細胞は細胞周期のG1期で停
止する。酵母の発現ベクターpADNS(Colicelli,
J.ら, Pro. Natl. Acad. Sci. USA 86:3599-3603(198
9))中に組み込まれたヒト神経膠芽細胞腫cDNAライ
ブラリーを、この酵母に導入した。このベクターpAD
NSは、LEU2マーカーと、2μ複製開始点と、酵母
アルコール脱水素酵素遺伝子由来のプロモーター及びタ
ーミネーター配列を有する(図1)。およそ3×106
個の形質転換株に関して、グルコース含有培地上での増
殖能力について、スクリーニングを行なった。12日間
インキューベートした後、12個のコロニーが得られ
た。これらの大部分は、復帰突然変異株であることが判
明した。しかし、プラスミド安定性試験で評価したとこ
ろ、2個については、グルコース上での増殖活性と、L
EU2マーカーの保持とが相関した。これらの2個の酵
母形質転換株は、pCYCD1−21、及び、pCYC
D1−19と称されるプラスミドを含んでいた(下記参
照)。双方をE.coli内に回収した。酵母に再び導
入すると、このプラスミドはCLN欠損株をレスキュー
した。しかし、レスキューの効率が悪く、レスキューさ
れた菌株の増殖も比較的悪かった。制限地図と、部分的
なDNA配列分析より、pCYCD1−19とpCYC
1−21は、同じ遺伝子を示す、別個のクローンである
ことが示された。pCYCD1−21の1.2kbの挿
入断片をプローブとして用いて、完全長のcDNAクロ
ーンのために、ヒトHeLacDNAライブラリーをス
クリーニングした。およそ200万個のcDNAクロー
ンをスクリーニングし、ポジティブを9個得た。これら
のうちの最長のクローンであるpCYCD1−H12
(1325bp)を、完全に配列決定した。この配列
は、コード領域内で非常に高いGC含量(61%)を示
し、ポリAテイル(69個のA残基)を含んでいた。こ
の遺伝子の推定されるタンパク質産物の分子量は、ヌク
レオチド145に位置する読み枠に一致する最初のAU
Gコドンから始めて、33,670ダルトンである(図
2)。推定されるタンパク質は、その他のサイクリンに
関連しており(下記参照)、pI4.9という非常に低
い値を有する(ヒトサイクリンAの6.4、ヒトサイク
リンBの7.7、CLN1の5.6と比較して)。これ
は、C末端に酸性残基が高密度に存在することに大きく
起因する。ヌクレオチド145の推定開始メチオニンよ
りも5’側には、メチオニンコドンも、停止コドンも存
在しない。このことと、その他のサイクリンと比較し
て、CYCD1にはN末端が欠損しているように見える
ことから(詳細には下記参照)、さらに4種類のヒトc
DNAライブラリーをスクリーニングし、λCYCD1
−H12クローンが、cDNAの完全な5’部分を欠い
ているかどうかを調べた。このスクリーニングで単離さ
れた100個以上のcDNAクローンのうち、λCYC
D1−H12よりも長い5’領域を有するクローンは見
つからなかった。後に、ウエスタンブロット分析によっ
て、クローンH12が完全長をコードする能力を有する
ことを確認した(下記参照)。ヒトサイクリンAの49
kd、ヒトサイクリンBの50kd、S. cerev
isiaeのCLN1の49kdと比較して、CYCD
1は、これまでに同定されたサイクリンタンパク質の中
で、最小(34kd)のものをコードする。A及びB型
サイクリンと比較したところ、この違いは、A及びB型
サイクリンで同定されている、いわゆる”デストラクシ
ョンボックス”を含む、ほとんど全てのN−末端部分を
欠くためであった(Glotzer, M.ら, Nature 349:132-13
8(1991))。
DNAクローンの同定 S. cerevisiae 内には、3種類のClnタ
ンパク質が存在する。CLN遺伝子のうちのどれか一つ
を破壊しても、増殖には、ほとんど影響しない。しか
し、3つのCLN遺伝子全部を破壊すると、細胞はG1
期で停止する(Richardson, H. E.ら, Cell 59:1127-11
33(1989))。以下に示すように、酵母の菌株を作成し
た。この菌株は、CLN1及びCLN2遺伝子内に挿入
変異を含み、これらが不活性化されている。残りのCL
N3遺伝子をさらに改変し、ガラクトース誘導性・グル
コース抑制性のプロモーターGAL1から条件的に発現
するようにした(図1参照)。この菌株を305−15
d #21と命名する。ガラクトースを含有する培地中
ではCLN3遺伝子が発現され、CLN1及びCLN2
遺伝子が欠損しているにも関わらず、細胞の生存能力が
保持される(図1)。グルコース含有培地中では、全て
のCLNの機能が失われ、細胞は細胞周期のG1期で停
止する。酵母の発現ベクターpADNS(Colicelli,
J.ら, Pro. Natl. Acad. Sci. USA 86:3599-3603(198
9))中に組み込まれたヒト神経膠芽細胞腫cDNAライ
ブラリーを、この酵母に導入した。このベクターpAD
NSは、LEU2マーカーと、2μ複製開始点と、酵母
アルコール脱水素酵素遺伝子由来のプロモーター及びタ
ーミネーター配列を有する(図1)。およそ3×106
個の形質転換株に関して、グルコース含有培地上での増
殖能力について、スクリーニングを行なった。12日間
インキューベートした後、12個のコロニーが得られ
た。これらの大部分は、復帰突然変異株であることが判
明した。しかし、プラスミド安定性試験で評価したとこ
ろ、2個については、グルコース上での増殖活性と、L
EU2マーカーの保持とが相関した。これらの2個の酵
母形質転換株は、pCYCD1−21、及び、pCYC
D1−19と称されるプラスミドを含んでいた(下記参
照)。双方をE.coli内に回収した。酵母に再び導
入すると、このプラスミドはCLN欠損株をレスキュー
した。しかし、レスキューの効率が悪く、レスキューさ
れた菌株の増殖も比較的悪かった。制限地図と、部分的
なDNA配列分析より、pCYCD1−19とpCYC
1−21は、同じ遺伝子を示す、別個のクローンである
ことが示された。pCYCD1−21の1.2kbの挿
入断片をプローブとして用いて、完全長のcDNAクロ
ーンのために、ヒトHeLacDNAライブラリーをス
クリーニングした。およそ200万個のcDNAクロー
ンをスクリーニングし、ポジティブを9個得た。これら
のうちの最長のクローンであるpCYCD1−H12
(1325bp)を、完全に配列決定した。この配列
は、コード領域内で非常に高いGC含量(61%)を示
し、ポリAテイル(69個のA残基)を含んでいた。こ
の遺伝子の推定されるタンパク質産物の分子量は、ヌク
レオチド145に位置する読み枠に一致する最初のAU
Gコドンから始めて、33,670ダルトンである(図
2)。推定されるタンパク質は、その他のサイクリンに
関連しており(下記参照)、pI4.9という非常に低
い値を有する(ヒトサイクリンAの6.4、ヒトサイク
リンBの7.7、CLN1の5.6と比較して)。これ
は、C末端に酸性残基が高密度に存在することに大きく
起因する。ヌクレオチド145の推定開始メチオニンよ
りも5’側には、メチオニンコドンも、停止コドンも存
在しない。このことと、その他のサイクリンと比較し
て、CYCD1にはN末端が欠損しているように見える
ことから(詳細には下記参照)、さらに4種類のヒトc
DNAライブラリーをスクリーニングし、λCYCD1
−H12クローンが、cDNAの完全な5’部分を欠い
ているかどうかを調べた。このスクリーニングで単離さ
れた100個以上のcDNAクローンのうち、λCYC
D1−H12よりも長い5’領域を有するクローンは見
つからなかった。後に、ウエスタンブロット分析によっ
て、クローンH12が完全長をコードする能力を有する
ことを確認した(下記参照)。ヒトサイクリンAの49
kd、ヒトサイクリンBの50kd、S. cerev
isiaeのCLN1の49kdと比較して、CYCD
1は、これまでに同定されたサイクリンタンパク質の中
で、最小(34kd)のものをコードする。A及びB型
サイクリンと比較したところ、この違いは、A及びB型
サイクリンで同定されている、いわゆる”デストラクシ
ョンボックス”を含む、ほとんど全てのN−末端部分を
欠くためであった(Glotzer, M.ら, Nature 349:132-13
8(1991))。
【0008】D1の配列分析とその他のサイクリンとの
比較 配列分析により、CYCD1−H12にコードされてい
るタンパク質と、その他のサイクリンとの相同性が明ら
かとなった。しかし、CYCD1が、既存の3つのクラ
スのサイクリン、A、B及びCLN、とは異なることは
明らかである。この新しいサイクリンが、その他のサイ
クリンと、進化上、どのように関連するかを調べるため
に、全てのサイクリン遺伝子について、アミノ酸配列の
比較を広範囲に行なった。まず、以前に公表されている
15個のサイクリンの配列と、CYCD1の配列を、Xi
ongとEickbush(Xiong, Y.とT.H. Eickbush, EMBO J.
9:3353-3362(1990))によって詳説されている方法を用
いて並べた。挿入/欠失の導入を最小にして、配列間の
相同性が最大となるように、また、可能な限り多くの配
列を含むように努力した。CLNサイクリンを除いて
は、この整列には約200個のアミノ酸残基が含まれて
おり、これは、CYCD1の全コード領域の70%以上
を占める(図5A)。A及びB型サイクリンのメンバー
の、並べた領域のN−末端側には、保存領域と、いくつ
かの分散した類似点が見られた(Glotzer,M.ら, Nature
349:132-138(1991))。しかし、これは、CLNサイク
リン、あるいは、CYCD1及びCYL1には存在しな
いため、整列中には含まれていない。整列した17個の
配列を全て対にして比較を行い、パーセント・ダイバー
ジェンスを計算した。それを用いて、ネイーバー・ジョ
イニング法(Saitou, N.とM.Nei, Mol. Biol. Evol. 4:
406-425(1987)、及び、実験方法)により、サイクリン
遺伝子ファミリーの進化樹を作成した。CLNサイクリ
ンと、その他の3種のサイクリンとの類似性が最も低か
ったため、CLNサイクリンとその他のサイクリンとの
結合点を、進化樹(図5B)の根とした。この進化樹か
ら、CYCD1、CYCD2、及び、CYCD3が、サ
イクリンDと称される新しいクラスのサイクリンである
ことが明らかとなった。
比較 配列分析により、CYCD1−H12にコードされてい
るタンパク質と、その他のサイクリンとの相同性が明ら
かとなった。しかし、CYCD1が、既存の3つのクラ
スのサイクリン、A、B及びCLN、とは異なることは
明らかである。この新しいサイクリンが、その他のサイ
クリンと、進化上、どのように関連するかを調べるため
に、全てのサイクリン遺伝子について、アミノ酸配列の
比較を広範囲に行なった。まず、以前に公表されている
15個のサイクリンの配列と、CYCD1の配列を、Xi
ongとEickbush(Xiong, Y.とT.H. Eickbush, EMBO J.
9:3353-3362(1990))によって詳説されている方法を用
いて並べた。挿入/欠失の導入を最小にして、配列間の
相同性が最大となるように、また、可能な限り多くの配
列を含むように努力した。CLNサイクリンを除いて
は、この整列には約200個のアミノ酸残基が含まれて
おり、これは、CYCD1の全コード領域の70%以上
を占める(図5A)。A及びB型サイクリンのメンバー
の、並べた領域のN−末端側には、保存領域と、いくつ
かの分散した類似点が見られた(Glotzer,M.ら, Nature
349:132-138(1991))。しかし、これは、CLNサイク
リン、あるいは、CYCD1及びCYL1には存在しな
いため、整列中には含まれていない。整列した17個の
配列を全て対にして比較を行い、パーセント・ダイバー
ジェンスを計算した。それを用いて、ネイーバー・ジョ
イニング法(Saitou, N.とM.Nei, Mol. Biol. Evol. 4:
406-425(1987)、及び、実験方法)により、サイクリン
遺伝子ファミリーの進化樹を作成した。CLNサイクリ
ンと、その他の3種のサイクリンとの類似性が最も低か
ったため、CLNサイクリンとその他のサイクリンとの
結合点を、進化樹(図5B)の根とした。この進化樹か
ら、CYCD1、CYCD2、及び、CYCD3が、サ
イクリンDと称される新しいクラスのサイクリンである
ことが明らかとなった。
【0009】例2 ヒト細胞内でのサイクリンD1の発
現 ヒト細胞内でのサイクリンD1の発現を、ノーザン分析
を用いて調べた。最初の調査から、いくつかの細胞株で
は、サイクリンD1の発現レベルが非常に低いことが示
されていた。ポリ(A)+RNAをHeLa細胞から調
製し、CYCD1遺伝子の全コード領域を用いて調べ
た。4.8kb及び1.7kbの、2つの主要転写物が
検出された。高分子量の方がより豊富に存在した。5’
あるいは3’末端が欠損していた数個のcDNAクロー
ンを除いては、様々な異なるcDNAライブラリーから
単離されたほとんどのcDNAクローンは、クローンλ
CYCD1−H12に非常に類似していた(図2)。従
って、ノーザン分析で検出された1.7kbの転写物
は、図2のヌクレオチド配列に対応すると考えられる。
4.8kbの大きい転写物の起源を明らかにする目的
で、λCYCD1−H12クローンの5’及び3’末端
のサブフラグメントを用いて、cDNA及びゲノムライ
ブラリーのスクリーニングを行なった。そして、択一的
な転写開始、ポリアデニル化、及び/あるいは、mRN
Aスプライシングが行われているかを調べた。より長い
cDNAクローンを2個、HeLa細胞由来のλCYC
D1−H034(1.7kb)とヒト奇形種細胞由来の
λDYDC1−T078(4.1kb)と、さらに、い
くつかのゲノムクローンを単離し、部分的に配列決定を
行なった。λCYCD1−H034と、λDYDC1−
T078の双方は、5’末端から、λCYCD1−H1
2と同じ配列を有する(図6)。どちらも、ポリアデニ
ル化部位の後ろ側の3’側に、追加の配列を有する点
が、λCYCD1−H12と異なっている。これらの
3’配列は、λCYCD1−H034と、λDYDC1
−T078とで同一であるが、後者のクローンではさら
に伸張している(図6)。λDYDC1−T078クロ
ーンには、1塩基欠失(A残基)がある。これは多型性
の結果と考えられるが、その他の機構が関与している可
能性を除去することはできない。クローンT078由来
の、3’末端の余分な配列をプローブとして用いること
により、同じ4.8kbの転写物が検出されたが、1.
7kbの転写物は検出されなかった。ノーザン分析で検
出された2つのmRNAは、ポリアデニル化の差異によ
って生じると考えられる(図6)。ポリアデニル化は明
らかにおこっているのにも関わらず、奇妙なことに、認
識可能なポリアデニル化配列(AAUAAA)は、クロ
ーンλCYCD1−H12の配列中のどこにも存在しな
い(図2)。AAUAAAに非常に類似した変異型も存
在しない(ミスマッチ2個以下のものはない)。
現 ヒト細胞内でのサイクリンD1の発現を、ノーザン分析
を用いて調べた。最初の調査から、いくつかの細胞株で
は、サイクリンD1の発現レベルが非常に低いことが示
されていた。ポリ(A)+RNAをHeLa細胞から調
製し、CYCD1遺伝子の全コード領域を用いて調べ
た。4.8kb及び1.7kbの、2つの主要転写物が
検出された。高分子量の方がより豊富に存在した。5’
あるいは3’末端が欠損していた数個のcDNAクロー
ンを除いては、様々な異なるcDNAライブラリーから
単離されたほとんどのcDNAクローンは、クローンλ
CYCD1−H12に非常に類似していた(図2)。従
って、ノーザン分析で検出された1.7kbの転写物
は、図2のヌクレオチド配列に対応すると考えられる。
4.8kbの大きい転写物の起源を明らかにする目的
で、λCYCD1−H12クローンの5’及び3’末端
のサブフラグメントを用いて、cDNA及びゲノムライ
ブラリーのスクリーニングを行なった。そして、択一的
な転写開始、ポリアデニル化、及び/あるいは、mRN
Aスプライシングが行われているかを調べた。より長い
cDNAクローンを2個、HeLa細胞由来のλCYC
D1−H034(1.7kb)とヒト奇形種細胞由来の
λDYDC1−T078(4.1kb)と、さらに、い
くつかのゲノムクローンを単離し、部分的に配列決定を
行なった。λCYCD1−H034と、λDYDC1−
T078の双方は、5’末端から、λCYCD1−H1
2と同じ配列を有する(図6)。どちらも、ポリアデニ
ル化部位の後ろ側の3’側に、追加の配列を有する点
が、λCYCD1−H12と異なっている。これらの
3’配列は、λCYCD1−H034と、λDYDC1
−T078とで同一であるが、後者のクローンではさら
に伸張している(図6)。λDYDC1−T078クロ
ーンには、1塩基欠失(A残基)がある。これは多型性
の結果と考えられるが、その他の機構が関与している可
能性を除去することはできない。クローンT078由来
の、3’末端の余分な配列をプローブとして用いること
により、同じ4.8kbの転写物が検出されたが、1.
7kbの転写物は検出されなかった。ノーザン分析で検
出された2つのmRNAは、ポリアデニル化の差異によ
って生じると考えられる(図6)。ポリアデニル化は明
らかにおこっているのにも関わらず、奇妙なことに、認
識可能なポリアデニル化配列(AAUAAA)は、クロ
ーンλCYCD1−H12の配列中のどこにも存在しな
い(図2)。AAUAAAに非常に類似した変異型も存
在しない(ミスマッチ2個以下のものはない)。
【0010】例3 様々な細胞型におけるサイクリンD
1の差異的な発現 CYCD1の完全長クローンを得るために、cDNAラ
イブラリーをスクリーニングしているときに、酵母の形
質変異株を作成したヒト神経膠芽細胞腫細胞株(U11
8 MG)由来のcDNAライブラリーからは、その他
の4つのcDNAライブラリーよりも、多くのポジティ
ブが得られることが明らかとなった。ノーザン及びウエ
スタンブロッティングを行って、サイクリンD1が、異
なる組織あるいは細胞株内で、差異的に発現されている
可能性を調べた。全RNAを、U118 MGから単離
し、CYCD1遺伝子のコード領域をプローブとして用
いて、ノーザンブロットによって分析した。神経膠芽細
胞腫細胞では、Hela細胞と比較して、転写物のレベ
ルが7から10倍の高さであった。HeLa及びU11
8 MG細胞の双方で、高分子及び低分子の転写物が両
方とも観察された。U118 MG細胞中の豊富なCY
CD1メッセンジャーが、タンパク質レベルに反映され
ているかどうかを調べるために、細胞抽出物を調製し、
マウスCYL1に対して調製した抗CYL1を用いて、
ウエスタンブロッティングを行なった(Matsushime, H.
らより提供)。この抗CYL1抗体は、ウエスタンブロ
ッティング上で、ナノグラム量の組換えCYCD1を検
出することができた(データ未公開)。また、この抗体
は、免疫沈降とウエスタン分析によって、もとの酵母形
質転換株中のCYCD1を検出することもできた。He
La、293、U118 MG由来の全細胞抽出物を用
いた最初の実験では、シグナルを得ることができなかっ
た。しかし、SDS−PAGEとイムノブロッティング
を行う前に、細胞抽出物を前記の血清で免疫沈降したと
ころ、U118 MG細胞中には、34kdのポリペプ
チドが容易に検出された。このタンパク質は、HeLa
細胞中では豊富というには程遠く、293細胞中には検
出できなかった。U118 MG及びHeLa由来の、
抗CYCL1交差反応性物質の分子量は、E.coli
中で発現されたヒトCYCD1タンパク質の分子量と、
全く同じであった。これから、配列決定を行なったcD
NAクローンが、読み取り枠全体を含むことが示され
た。
1の差異的な発現 CYCD1の完全長クローンを得るために、cDNAラ
イブラリーをスクリーニングしているときに、酵母の形
質変異株を作成したヒト神経膠芽細胞腫細胞株(U11
8 MG)由来のcDNAライブラリーからは、その他
の4つのcDNAライブラリーよりも、多くのポジティ
ブが得られることが明らかとなった。ノーザン及びウエ
スタンブロッティングを行って、サイクリンD1が、異
なる組織あるいは細胞株内で、差異的に発現されている
可能性を調べた。全RNAを、U118 MGから単離
し、CYCD1遺伝子のコード領域をプローブとして用
いて、ノーザンブロットによって分析した。神経膠芽細
胞腫細胞では、Hela細胞と比較して、転写物のレベ
ルが7から10倍の高さであった。HeLa及びU11
8 MG細胞の双方で、高分子及び低分子の転写物が両
方とも観察された。U118 MG細胞中の豊富なCY
CD1メッセンジャーが、タンパク質レベルに反映され
ているかどうかを調べるために、細胞抽出物を調製し、
マウスCYL1に対して調製した抗CYL1を用いて、
ウエスタンブロッティングを行なった(Matsushime, H.
らより提供)。この抗CYL1抗体は、ウエスタンブロ
ッティング上で、ナノグラム量の組換えCYCD1を検
出することができた(データ未公開)。また、この抗体
は、免疫沈降とウエスタン分析によって、もとの酵母形
質転換株中のCYCD1を検出することもできた。He
La、293、U118 MG由来の全細胞抽出物を用
いた最初の実験では、シグナルを得ることができなかっ
た。しかし、SDS−PAGEとイムノブロッティング
を行う前に、細胞抽出物を前記の血清で免疫沈降したと
ころ、U118 MG細胞中には、34kdのポリペプ
チドが容易に検出された。このタンパク質は、HeLa
細胞中では豊富というには程遠く、293細胞中には検
出できなかった。U118 MG及びHeLa由来の、
抗CYCL1交差反応性物質の分子量は、E.coli
中で発現されたヒトCYCD1タンパク質の分子量と、
全く同じであった。これから、配列決定を行なったcD
NAクローンが、読み取り枠全体を含むことが示され
た。
【0011】実験方法 菌株の作成 親株は、BF305−15d(MATa leu2−3
leu2−112his3−11 his3−15
ura3−52 trp1 ade1 met14 a
rg5,6)である(Futcher, B.とJ. Carbon, Mol. C
ell. Biol. 6:2213-2222(1986))。この菌株を、3段階
で、条件的cln−株に変換した。まず、染色体CLN
3遺伝子を、GAL1プロモーターの調節下においた。
二方向性のGAL10−GAL1プロモーターを含む
0.75kbのEcoRI−BamHI断片を、Bam
HI(GAL1)末端が、CLN3開始コドンの110
ヌクレオチド上流に接続するように、CLN3遺伝子の
5’末端に融合させた。次に、GAL10プロモーター
からCLN3の中程まで伸張するEcoRI断片を(Na
sh, R.ら, EMBO J. 7:4335-4346(1988))、pBF30
のXhoIとEcoRI部位の間にサブクローニングし
た(Nash, R.ら, EMBO J. 7:4335-4346(1988))。Xh
oI末端とEcoRI末端との連結反応は、末端をクレ
ノウで埋めて、平滑末端連結反応によって行なった(E
coRI部位を破壊して)。その結果、通常、CLN3
の上流−110から−411に見られるDNAが、GA
L1プロモーターで置きかわった。次に、この新しいp
BF30誘導体型から、EcoRIからSphIまでの
断片を切除した。この断片は、5’及び3’が、CLN
3領域と非常に相同であるが、CLN3のすぐ上流にG
AL1プロモーターとURA3マーカーを有している。
BF305−15d株をこの断片で形質転換し、Ura
+の形質転換株を選択した。これをサザン分析で確認し
た。さらに、GAL1プロモーターが誘導されたとき
と、誘導されていないときとで、細胞の大きさの平均値
を測定した。細胞を1%ラフィノース及び1%ガラクト
ース中で培養して、GAL1プロモーターを誘導する
と、細胞体積の平均値は約25μm3(比較として、親
株の細胞体積の平均値は約40μm3である)であり、
一方、プロモーターを誘導しないと(ラフィノースの
み)、あるいは、グルコース存在下で抑制すると、細胞
体積は、野生株よりもずっと大きくなる。これらの実験
から、CLN3がGAL1プロモーターの調節下にある
ことが示された。この細胞では、このGAL1に調節さ
れたグルコース抑制性の遺伝子が、CLN3の唯一の供
給源である、ということに留意することが重要である。
第2に、CLN1遺伝子を破壊した。I. FitchよりCL
N1断片を入手し、これを用いて、ハイブリッド形成に
より、CLN1の完全長のクローンを入手し、それをp
UCプラスミドにサブクローニングした。HIS3遺伝
子を含むBamHI断片を、CLN1読み枠中のNco
I部位に挿入した。次に、5’及び3’が、CLN1領
域と高い相同性を有するような巨大なEcoRI断片を
切除し、これを用いて、上述したBF305−15d
GAL−CLN3株を形質転換した。YNB−hisラ
フィノース・ガラクトース平板上で、形質転換をおこな
った。His+のクローンを選択し、サザン分析で確認
した。最後に、CLN2遺伝子を破壊した。I. Fitchよ
りCLN2断片を入手し、これを用いて、ハイブリッド
形成により、CLN2の完全長のクローンを入手し、そ
れをpUCプラスミドにサブクローニングした。TRP
1遺伝子を含むEcoRI断片を、CLN2読み枠中の
SpeI部位に挿入した。BamHI−KpnI断片を
切除し、これを用いて、上述のBF305−15d G
AL−CLNHIS3::cln1株を形質転換した。
YNB−trpラフィノース・ガラクトース平板上で、
形質転換をおこなった。Trp+のクローンを選択し
た。この場合は、TRP1断片がARS(自律複製配
列)を含むために、形質転換株の多くは、破壊されたC
LN2遺伝子ではなく、自律的に複製するプラスミドを
含んでいた。しかし、形質転換株のうちの数パーセント
は、単純なTRP1::cln2破壊株であることが、
表現型分析とサザン分析によって示された。クローン#
21と称される、ある特定の305−15d GAL1
−CLN3HIS3::cln1 TRP1::cln
2形質転換株について、詳細に分析した。この株を1%
ラフィノース及び1%ガラクトース中で生育させると、
この株は、CLN野生型の親株と区別できない倍加時間
を有していた。しかし、この株は、CLN3過剰発現株
について推定されたとおりに、やや、わい小な表現型を
示した(細胞体積が小さい)。グルコースを添加する
と、あるいは、ガラクトースを除去すると、細胞はG1
期に蓄積し、細胞分裂が停止した。しかし、細胞の質量
及び体積は増加し続けた。G1期に停止した状態で、一
晩、インキュベートした後、出芽した細胞は実質的に観
察されなかった。そして、大部分の細胞は、調節されず
に大きくなったために、溶菌していた。305−d15
#21をグルコース平板上に塗布すると、10−7の
頻度で復帰突然変異株が発生した。これらのグルコース
耐性・ガラクトース非依存性変異株の性質については、
調査を行わなかった。
leu2−112his3−11 his3−15
ura3−52 trp1 ade1 met14 a
rg5,6)である(Futcher, B.とJ. Carbon, Mol. C
ell. Biol. 6:2213-2222(1986))。この菌株を、3段階
で、条件的cln−株に変換した。まず、染色体CLN
3遺伝子を、GAL1プロモーターの調節下においた。
二方向性のGAL10−GAL1プロモーターを含む
0.75kbのEcoRI−BamHI断片を、Bam
HI(GAL1)末端が、CLN3開始コドンの110
ヌクレオチド上流に接続するように、CLN3遺伝子の
5’末端に融合させた。次に、GAL10プロモーター
からCLN3の中程まで伸張するEcoRI断片を(Na
sh, R.ら, EMBO J. 7:4335-4346(1988))、pBF30
のXhoIとEcoRI部位の間にサブクローニングし
た(Nash, R.ら, EMBO J. 7:4335-4346(1988))。Xh
oI末端とEcoRI末端との連結反応は、末端をクレ
ノウで埋めて、平滑末端連結反応によって行なった(E
coRI部位を破壊して)。その結果、通常、CLN3
の上流−110から−411に見られるDNAが、GA
L1プロモーターで置きかわった。次に、この新しいp
BF30誘導体型から、EcoRIからSphIまでの
断片を切除した。この断片は、5’及び3’が、CLN
3領域と非常に相同であるが、CLN3のすぐ上流にG
AL1プロモーターとURA3マーカーを有している。
BF305−15d株をこの断片で形質転換し、Ura
+の形質転換株を選択した。これをサザン分析で確認し
た。さらに、GAL1プロモーターが誘導されたとき
と、誘導されていないときとで、細胞の大きさの平均値
を測定した。細胞を1%ラフィノース及び1%ガラクト
ース中で培養して、GAL1プロモーターを誘導する
と、細胞体積の平均値は約25μm3(比較として、親
株の細胞体積の平均値は約40μm3である)であり、
一方、プロモーターを誘導しないと(ラフィノースの
み)、あるいは、グルコース存在下で抑制すると、細胞
体積は、野生株よりもずっと大きくなる。これらの実験
から、CLN3がGAL1プロモーターの調節下にある
ことが示された。この細胞では、このGAL1に調節さ
れたグルコース抑制性の遺伝子が、CLN3の唯一の供
給源である、ということに留意することが重要である。
第2に、CLN1遺伝子を破壊した。I. FitchよりCL
N1断片を入手し、これを用いて、ハイブリッド形成に
より、CLN1の完全長のクローンを入手し、それをp
UCプラスミドにサブクローニングした。HIS3遺伝
子を含むBamHI断片を、CLN1読み枠中のNco
I部位に挿入した。次に、5’及び3’が、CLN1領
域と高い相同性を有するような巨大なEcoRI断片を
切除し、これを用いて、上述したBF305−15d
GAL−CLN3株を形質転換した。YNB−hisラ
フィノース・ガラクトース平板上で、形質転換をおこな
った。His+のクローンを選択し、サザン分析で確認
した。最後に、CLN2遺伝子を破壊した。I. Fitchよ
りCLN2断片を入手し、これを用いて、ハイブリッド
形成により、CLN2の完全長のクローンを入手し、そ
れをpUCプラスミドにサブクローニングした。TRP
1遺伝子を含むEcoRI断片を、CLN2読み枠中の
SpeI部位に挿入した。BamHI−KpnI断片を
切除し、これを用いて、上述のBF305−15d G
AL−CLNHIS3::cln1株を形質転換した。
YNB−trpラフィノース・ガラクトース平板上で、
形質転換をおこなった。Trp+のクローンを選択し
た。この場合は、TRP1断片がARS(自律複製配
列)を含むために、形質転換株の多くは、破壊されたC
LN2遺伝子ではなく、自律的に複製するプラスミドを
含んでいた。しかし、形質転換株のうちの数パーセント
は、単純なTRP1::cln2破壊株であることが、
表現型分析とサザン分析によって示された。クローン#
21と称される、ある特定の305−15d GAL1
−CLN3HIS3::cln1 TRP1::cln
2形質転換株について、詳細に分析した。この株を1%
ラフィノース及び1%ガラクトース中で生育させると、
この株は、CLN野生型の親株と区別できない倍加時間
を有していた。しかし、この株は、CLN3過剰発現株
について推定されたとおりに、やや、わい小な表現型を
示した(細胞体積が小さい)。グルコースを添加する
と、あるいは、ガラクトースを除去すると、細胞はG1
期に蓄積し、細胞分裂が停止した。しかし、細胞の質量
及び体積は増加し続けた。G1期に停止した状態で、一
晩、インキュベートした後、出芽した細胞は実質的に観
察されなかった。そして、大部分の細胞は、調節されず
に大きくなったために、溶菌していた。305−d15
#21をグルコース平板上に塗布すると、10−7の
頻度で復帰突然変異株が発生した。これらのグルコース
耐性・ガラクトース非依存性変異株の性質については、
調査を行わなかった。
【0012】酵母スフェロプラストの形質転換 S. cerevisiae スフェロプラストの形質転
換を、BurgersとPercivalとAllshireに従って行なった
(Burgers, P.M.J.とK.J. Percival, Anal. Biochem. 1
63:391-397(1987); Allshire, R.C., Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA 87:4043-4047(1990))。
換を、BurgersとPercivalとAllshireに従って行なった
(Burgers, P.M.J.とK.J. Percival, Anal. Biochem. 1
63:391-397(1987); Allshire, R.C., Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA 87:4043-4047(1990))。
【0013】細胞培養 HeLa及び293細胞を、37℃で、10%ウシ胎児
血清で補足したダルベッコ改変イーグル培地(DME
M)中で、プレート上あるいは浮遊状態で培養した。神
経膠芽細胞腫U118 MG細胞を、プレート上で、1
5%ウシ胎児血清と0.1mM非必須アミノ酸(ギブ
コ)で補足したDMEM中で培養した。
血清で補足したダルベッコ改変イーグル培地(DME
M)中で、プレート上あるいは浮遊状態で培養した。神
経膠芽細胞腫U118 MG細胞を、プレート上で、1
5%ウシ胎児血清と0.1mM非必須アミノ酸(ギブ
コ)で補足したDMEM中で培養した。
【0014】核酸に関する方法 ほとんどの分子生物学的技術は、Sambrookらによる記載
と実質的に同じである(Sambrook, J.ら, Molecular Cl
oning: A Laboratory Manual コールド・スプリング
・ハーバー・ラボラトリー、コールド・スプリング・ハ
ーバー、ニューヨーク州 (1989))。クローニングベク
ターとして、ファジミドベクターである、pUC118
あるいはpUC119(Vieira, J.とJ. Messing, Met
h. Enzymol. 153:3-11(1987))、あるいは、pBlue
script(ストラタジーン)を用いた。シークエネ
ース・キット(ユナイテッド・ステイツ・バイオケミカ
ル)を用いたチェーン・ターミネーター法(Sanger, F.
ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74:5463-5467(197
7))、あるいは、オートメーテッド・シークエンシング
・システム(373A、アプライド・バイオシステム
ス)によって、DNA配列を決定した。λZAPIIに
入ったヒトHeLa細胞cDNAライブラリーを、スト
ラタジーンより購入した。λgt10に入ったヒトT細
胞cDNAライブラリーは、M.Gillmanから寄贈された
(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー)。
ヒト神経膠芽細胞腫U118 MG、及び、λZAPI
Iに入った神経膠芽細胞腫SW1088細胞cDNAラ
イブラリーは、M. Wiglerから寄贈された(コールド・
スプリング・ハーバー・ラボラトリー)。λgt10に
入ったヒト奇形腫細胞cDNAライブラリーは、Skowro
nskiより寄贈された(コールド・スプリング・ハーバー
・ラボラトリー)。ヒト正常肝ゲノムライブラリーλG
EM−11は、プロメガより購入した。細胞培養より、
全RNAを、Sambrookらによる記載の通りに(Sambroo
k, J.ら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual
コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー、コー
ルド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク州 (198
9))、グアニジウム・チオシアネートと、引き続いてC
sCl中の遠心分離を用いて抽出した。ポリ(A)+ク
イック・プッシュ・カラム(ストラタジーン)を用い
て、全RNAよりポリ(A)RNA+を単離した。RN
Aサンプルを、1%アガロース−ホルムアルデヒド−M
OPSゲルで分離し、ニトロセルロースフィルター上に
移した。ノーザンハイブリダイゼーションを(ライブラ
リーのスクリーニングも)、68℃で、5×デンハルド
溶液、2×SSC、0.1%SDS、100μg/ml
変性サケ精子DNA、25μMNaPO4(pH7.
0)、10%デキストラン硫酸を含む溶液中で行なっ
た。プローブを、ランダム・プライミング・ラベリング
法により標識した(Feinberg, A.とB. Vogelstein, Ana
l. Biochem. 132:6-13(1983))。cDNAクローンpC
YCD1−H12由来の1.3kbのHindIII断
片を、ノーザンハイブリダイゼーション及びゲノムクロ
ーニング用のコード領域プローブとして用いた。cDN
AクローンpCYCD1−T078由来の1.7kbの
HindIII−EcoRI断片を、3’断片プローブ
として使用した。バクテリア内でヒトサイクリンD1遺
伝子を発現するために、pCYCD1−H12の、CY
CD1の読み枠全体を含む1.3kbのNcoI−Hi
ndIII断片を、T7発現ベクターにサブクローニン
グした(pET3d、Studier, F.W.ら, Methods in En
zymology 185:60-89 (1990))。この発現構築物を収容
するE.coli株BL21(DE3)を、Studierに
従って作成した(Studier,F.W.ら, Methods in Enzymol
ogy 185:60-89 (1990))。6M尿素(CYCD1にコー
ドされているp34は、8M尿素に部分的に可溶性であ
るにすぎない)を含む溶解緩衝液(5mMEDTA、1
0%グリセロール、50mMTris−HCl、pH
8.0、0.005%トリトンX−100)中で、音波
処理により、バクテリアの培養物を溶菌し、20,00
0gの力で15分間遠心分離を行なった。沈澱物を、6
M尿素を含む溶解緩衝液で1回洗浄し、再び沈澱させ、
8M尿素を含む溶菌緩衝液で再懸濁して、遠心分離を行
なった。34kdのタンパク質に富む上澄み液を、10
%ポリアクリルアミドゲルにロードした。34kdのバ
ンドをゲルより切り出し、0.1%SDS含有PBS中
で溶出した。
と実質的に同じである(Sambrook, J.ら, Molecular Cl
oning: A Laboratory Manual コールド・スプリング
・ハーバー・ラボラトリー、コールド・スプリング・ハ
ーバー、ニューヨーク州 (1989))。クローニングベク
ターとして、ファジミドベクターである、pUC118
あるいはpUC119(Vieira, J.とJ. Messing, Met
h. Enzymol. 153:3-11(1987))、あるいは、pBlue
script(ストラタジーン)を用いた。シークエネ
ース・キット(ユナイテッド・ステイツ・バイオケミカ
ル)を用いたチェーン・ターミネーター法(Sanger, F.
ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74:5463-5467(197
7))、あるいは、オートメーテッド・シークエンシング
・システム(373A、アプライド・バイオシステム
ス)によって、DNA配列を決定した。λZAPIIに
入ったヒトHeLa細胞cDNAライブラリーを、スト
ラタジーンより購入した。λgt10に入ったヒトT細
胞cDNAライブラリーは、M.Gillmanから寄贈された
(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー)。
ヒト神経膠芽細胞腫U118 MG、及び、λZAPI
Iに入った神経膠芽細胞腫SW1088細胞cDNAラ
イブラリーは、M. Wiglerから寄贈された(コールド・
スプリング・ハーバー・ラボラトリー)。λgt10に
入ったヒト奇形腫細胞cDNAライブラリーは、Skowro
nskiより寄贈された(コールド・スプリング・ハーバー
・ラボラトリー)。ヒト正常肝ゲノムライブラリーλG
EM−11は、プロメガより購入した。細胞培養より、
全RNAを、Sambrookらによる記載の通りに(Sambroo
k, J.ら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual
コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー、コー
ルド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク州 (198
9))、グアニジウム・チオシアネートと、引き続いてC
sCl中の遠心分離を用いて抽出した。ポリ(A)+ク
イック・プッシュ・カラム(ストラタジーン)を用い
て、全RNAよりポリ(A)RNA+を単離した。RN
Aサンプルを、1%アガロース−ホルムアルデヒド−M
OPSゲルで分離し、ニトロセルロースフィルター上に
移した。ノーザンハイブリダイゼーションを(ライブラ
リーのスクリーニングも)、68℃で、5×デンハルド
溶液、2×SSC、0.1%SDS、100μg/ml
変性サケ精子DNA、25μMNaPO4(pH7.
0)、10%デキストラン硫酸を含む溶液中で行なっ
た。プローブを、ランダム・プライミング・ラベリング
法により標識した(Feinberg, A.とB. Vogelstein, Ana
l. Biochem. 132:6-13(1983))。cDNAクローンpC
YCD1−H12由来の1.3kbのHindIII断
片を、ノーザンハイブリダイゼーション及びゲノムクロ
ーニング用のコード領域プローブとして用いた。cDN
AクローンpCYCD1−T078由来の1.7kbの
HindIII−EcoRI断片を、3’断片プローブ
として使用した。バクテリア内でヒトサイクリンD1遺
伝子を発現するために、pCYCD1−H12の、CY
CD1の読み枠全体を含む1.3kbのNcoI−Hi
ndIII断片を、T7発現ベクターにサブクローニン
グした(pET3d、Studier, F.W.ら, Methods in En
zymology 185:60-89 (1990))。この発現構築物を収容
するE.coli株BL21(DE3)を、Studierに
従って作成した(Studier,F.W.ら, Methods in Enzymol
ogy 185:60-89 (1990))。6M尿素(CYCD1にコー
ドされているp34は、8M尿素に部分的に可溶性であ
るにすぎない)を含む溶解緩衝液(5mMEDTA、1
0%グリセロール、50mMTris−HCl、pH
8.0、0.005%トリトンX−100)中で、音波
処理により、バクテリアの培養物を溶菌し、20,00
0gの力で15分間遠心分離を行なった。沈澱物を、6
M尿素を含む溶解緩衝液で1回洗浄し、再び沈澱させ、
8M尿素を含む溶菌緩衝液で再懸濁して、遠心分離を行
なった。34kdのタンパク質に富む上澄み液を、10
%ポリアクリルアミドゲルにロードした。34kdのバ
ンドをゲルより切り出し、0.1%SDS含有PBS中
で溶出した。
【0015】配列の整列と進化樹の作成 タンパク質配列の整列は、XiongとEickbush(Xiong, T.
とT.H. Eickbush, EMBO J. 9:3353-3362(1990))によっ
て詳細に説明、かつ、論じられている方法に従って、実
質上、目視で行なった。いくつかの配列中の数字は、挿
入の結果、配列から省略したアミノ酸の数を示してい
る。いくつかの配列中の数字は、挿入の結果、配列から
省略したアミノ酸の数を示している(例えば、CLN1
に関して、...TWG25RLS...とは、GとR
との間から、アミノ酸25個を省略したことを示す)。
この整列と進化樹で使用した配列の出所は以下の通りで
ある:CYCA−Hs、ヒトA型サイクリン(Wang, J.
ら, Nature 343:555-557(1990));CYCA−X1、ア
フリカツメガエルA−型サイクリン(Minshull, J.ら,
EMBO J. 9:2865-2875(1990));CYCA−Ss、クラ
ムA−型サイクリン(Swenson, K.I.ら, Cell 47:867-8
70(1986));CYCA−Dm、ショウジョウバエA−型
サイクリン(Lehner,C.F.とP.H. O'Farrell, Cell 56:9
57-968(1989));CYCB1−Hs、ヒトB1−型サイ
クリン(Pines, J.とT. Hunter,Cell 58:833-846(198
9));CYCB1−X1及びCYCB2−X1、アフリ
カツメガエルB1−及びB2−型サイクリン(Minshul
l, J.ら,Cell 56:947-956(1989));CYCB−Ss、
クラムB−型サイクリン(Westendorf, J.M.ら, J. Cel
l. Biol., 108:1431-1444(1989));CYCB−As
p、ヒトデB−型サイクリン(Tachibana, K.ら, Dev.
Biol. 140:241-252(1990));CYCB−Arp、ウニ
B−型サイクリン(Pines, J.とT. Hunter,EMBO J. 6:2
987-2995(1987));CYCB−Dm、ショウジョウバエ
B−型サイクリン(Lehner,C.F.とP.H. O'Farrell, Cel
l 61:535-547);CDC13−Sp、S.pombeの
CDC13(Booher, R.とD. Beach, EMBO J. 7:2321-2
327(1988));CLN1−Sc及びCLN2−Sc、
S.cerevisiaeのサイクリン1及び2(Hadw
iger, J.A.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:6255-6
259(1989));CLN3−Sc、S.cerevisi
aeのサイクリン3(Nash, R.ら,EMBO J. 7:4335-4346
(1988))。全部で17種類のサイクリン配列を整列させ
た。各クラスの代表的な2配列を図5Aに示す。17種
類の配列を全部対にして比較し、17配列で共通であっ
た154アミノ酸残基から、パーセント・ダイバージェ
ンスを計算した。このアミノ酸残基は、A、B、及びD
−型サイクリンのN−末端に位置する50残基の部分を
含まない。なぜならば、この部分はCLN型サイクリン
には存在しないからである。ギャップ/挿入は、大きさ
に関わらず、ミスマッチ1つとして数えた。進化樹の作
成に先立って、ポワソン補正(d=−logeS、ここ
でS=配列相同性(Nei, M. Mollecular Evolutionary
Genetics pp. 387-326 コロンビア大学出版、ニューヨ
ーク州 (1987))により、全ての値を距離に直した。ロ
チェスター大学で開発されたコンピュータープログラム
を使用して、対の比較、及び、ポワソン補正の計算を行
なった。サイクリン遺伝子ファミリーの進化樹を、ネイ
バー・ジョイニング・プログラムにより作成した(Sait
ou, N.とM. Nei, Mol. Biol. Evol. 4:406-425(198
7))。コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー
のVAXコンピューター・マイクロVMS V4.4を
用いて、全計算を行なった。より多数の残基(例えば、
A、B、及び、D−型サイクリンのC−末端に位置する
50残基の部分、図5A)を含む配列の部分集合(例え
ば、A、B、及び、D−型サイクリン)を用いて、ある
いは、その他のいくつかの未公表のサイクリン配列を追
加することにより、進化樹の信頼性を評価した。どの場
合にも、図5Bに示す進化樹と同じトポロジーを有する
進化樹が作成された。
とT.H. Eickbush, EMBO J. 9:3353-3362(1990))によっ
て詳細に説明、かつ、論じられている方法に従って、実
質上、目視で行なった。いくつかの配列中の数字は、挿
入の結果、配列から省略したアミノ酸の数を示してい
る。いくつかの配列中の数字は、挿入の結果、配列から
省略したアミノ酸の数を示している(例えば、CLN1
に関して、...TWG25RLS...とは、GとR
との間から、アミノ酸25個を省略したことを示す)。
この整列と進化樹で使用した配列の出所は以下の通りで
ある:CYCA−Hs、ヒトA型サイクリン(Wang, J.
ら, Nature 343:555-557(1990));CYCA−X1、ア
フリカツメガエルA−型サイクリン(Minshull, J.ら,
EMBO J. 9:2865-2875(1990));CYCA−Ss、クラ
ムA−型サイクリン(Swenson, K.I.ら, Cell 47:867-8
70(1986));CYCA−Dm、ショウジョウバエA−型
サイクリン(Lehner,C.F.とP.H. O'Farrell, Cell 56:9
57-968(1989));CYCB1−Hs、ヒトB1−型サイ
クリン(Pines, J.とT. Hunter,Cell 58:833-846(198
9));CYCB1−X1及びCYCB2−X1、アフリ
カツメガエルB1−及びB2−型サイクリン(Minshul
l, J.ら,Cell 56:947-956(1989));CYCB−Ss、
クラムB−型サイクリン(Westendorf, J.M.ら, J. Cel
l. Biol., 108:1431-1444(1989));CYCB−As
p、ヒトデB−型サイクリン(Tachibana, K.ら, Dev.
Biol. 140:241-252(1990));CYCB−Arp、ウニ
B−型サイクリン(Pines, J.とT. Hunter,EMBO J. 6:2
987-2995(1987));CYCB−Dm、ショウジョウバエ
B−型サイクリン(Lehner,C.F.とP.H. O'Farrell, Cel
l 61:535-547);CDC13−Sp、S.pombeの
CDC13(Booher, R.とD. Beach, EMBO J. 7:2321-2
327(1988));CLN1−Sc及びCLN2−Sc、
S.cerevisiaeのサイクリン1及び2(Hadw
iger, J.A.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:6255-6
259(1989));CLN3−Sc、S.cerevisi
aeのサイクリン3(Nash, R.ら,EMBO J. 7:4335-4346
(1988))。全部で17種類のサイクリン配列を整列させ
た。各クラスの代表的な2配列を図5Aに示す。17種
類の配列を全部対にして比較し、17配列で共通であっ
た154アミノ酸残基から、パーセント・ダイバージェ
ンスを計算した。このアミノ酸残基は、A、B、及びD
−型サイクリンのN−末端に位置する50残基の部分を
含まない。なぜならば、この部分はCLN型サイクリン
には存在しないからである。ギャップ/挿入は、大きさ
に関わらず、ミスマッチ1つとして数えた。進化樹の作
成に先立って、ポワソン補正(d=−logeS、ここ
でS=配列相同性(Nei, M. Mollecular Evolutionary
Genetics pp. 387-326 コロンビア大学出版、ニューヨ
ーク州 (1987))により、全ての値を距離に直した。ロ
チェスター大学で開発されたコンピュータープログラム
を使用して、対の比較、及び、ポワソン補正の計算を行
なった。サイクリン遺伝子ファミリーの進化樹を、ネイ
バー・ジョイニング・プログラムにより作成した(Sait
ou, N.とM. Nei, Mol. Biol. Evol. 4:406-425(198
7))。コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー
のVAXコンピューター・マイクロVMS V4.4を
用いて、全計算を行なった。より多数の残基(例えば、
A、B、及び、D−型サイクリンのC−末端に位置する
50残基の部分、図5A)を含む配列の部分集合(例え
ば、A、B、及び、D−型サイクリン)を用いて、ある
いは、その他のいくつかの未公表のサイクリン配列を追
加することにより、進化樹の信頼性を評価した。どの場
合にも、図5Bに示す進化樹と同じトポロジーを有する
進化樹が作成された。
【0016】免疫沈降及びウエスタンブロット 60から80%の密集度の100mmディッシュ由来の
細胞を、1mlの溶解緩衝液(50mMTris−HC
l、pH7.4、150mMNaCl、20mMEDT
A、0.5%NP−40、0.5%デオキシコール酸N
a、1mMPMSF)中で、氷上で30分間溶解させ
た。各細胞溶解物からタンパク質1mg分を用いて、4
℃で一晩、免疫沈降を行なった。溶解緩衝液で平衡化し
た後、60μlのプロテインA−アガロース(ピアー
ス)を各免疫沈降物に添加し、一定速度で回転しなが
ら、4℃で1時間インキュベートした。免疫沈降物を溶
解緩衝液で3回洗浄し、最後に50μlの2×SDSタ
ンパク質サンプル緩衝液に再懸濁した。これを5分間煮
沸し、10%ポリアクリルアミドゲルにロードした。S
DEエレクトロブロッティング・システム(ミリポア)
を用いて、400mAの定電流を45分間で、タンパク
質をニトロセルロースフィルターへ移した。フィルター
を、1×PBS、3%BSA、0.1%アジ化ナトリウ
ムで、2から6時間ブロッキングし、NETゲル緩衝液
(50mMTris−HCl、pH7.5、150mM
NaCl、0.1%NP−40、1mMEDTA、0.
25%ゼラチン、0.02アジ化ナトリウム)で、各1
0分間ずつ6回洗浄した。そして、ブロッキング溶液中
で1時間、振とうしながら、125I−プロテインAで
放射線標識した。次に、オートラジオグラフィーの前
に、ブロットをNETゲル緩衝液中で各10分間ずつ6
回洗浄した。進化樹をネイバー・ジョイニング法(Sait
ou, N.とM. Nei, Mol. Biol. Evol.4:406-425(1987))
を用いて作成した。水平線の長さがダイバージェンスを
反映している。CLNサイクリンとその他のサイクリン
を結びつけている節の間の枝の長さは、任意に分けた。
細胞を、1mlの溶解緩衝液(50mMTris−HC
l、pH7.4、150mMNaCl、20mMEDT
A、0.5%NP−40、0.5%デオキシコール酸N
a、1mMPMSF)中で、氷上で30分間溶解させ
た。各細胞溶解物からタンパク質1mg分を用いて、4
℃で一晩、免疫沈降を行なった。溶解緩衝液で平衡化し
た後、60μlのプロテインA−アガロース(ピアー
ス)を各免疫沈降物に添加し、一定速度で回転しなが
ら、4℃で1時間インキュベートした。免疫沈降物を溶
解緩衝液で3回洗浄し、最後に50μlの2×SDSタ
ンパク質サンプル緩衝液に再懸濁した。これを5分間煮
沸し、10%ポリアクリルアミドゲルにロードした。S
DEエレクトロブロッティング・システム(ミリポア)
を用いて、400mAの定電流を45分間で、タンパク
質をニトロセルロースフィルターへ移した。フィルター
を、1×PBS、3%BSA、0.1%アジ化ナトリウ
ムで、2から6時間ブロッキングし、NETゲル緩衝液
(50mMTris−HCl、pH7.5、150mM
NaCl、0.1%NP−40、1mMEDTA、0.
25%ゼラチン、0.02アジ化ナトリウム)で、各1
0分間ずつ6回洗浄した。そして、ブロッキング溶液中
で1時間、振とうしながら、125I−プロテインAで
放射線標識した。次に、オートラジオグラフィーの前
に、ブロットをNETゲル緩衝液中で各10分間ずつ6
回洗浄した。進化樹をネイバー・ジョイニング法(Sait
ou, N.とM. Nei, Mol. Biol. Evol.4:406-425(1987))
を用いて作成した。水平線の長さがダイバージェンスを
反映している。CLNサイクリンとその他のサイクリン
を結びつけている節の間の枝の長さは、任意に分けた。
【0017】材料及び方法 以下の材料と方法を、例4−6に記載されている研究中
で用いた。分子クローニング ヒトHeLa細胞cDNAライブラリー、ヒト神経膠芽
細胞腫細胞U118MGcDNAライブラリー、ヒト正
常肝ゲノムライブラリー、及び、ハイブリッド形成緩衝
液は、上述の通りである。ヒト海馬cDNAライブラリ
ーをストラタジーン社より購入した。高ストリンジェン
シー及び低ストリンジェンシーのハイブリッド形成を、
それぞれ68℃及び50℃で行なった。PCR反応用の
鋳型DNAを調製するために、各cDNAライブラリー
から約200万個のラムダファージを105PFU/1
50mmプレートの密度でまいた。プレート溶菌液よ
り、Sambrook, J.ら, Molecular Cloning: A Laborator
y Manual 、第二版、コールド・スプリング・ハーバー
・ラボラトリー、コールド・スプリング・ハーバー、ニ
ューヨーク州 (1989)に従って、DNAを調製した。
で用いた。分子クローニング ヒトHeLa細胞cDNAライブラリー、ヒト神経膠芽
細胞腫細胞U118MGcDNAライブラリー、ヒト正
常肝ゲノムライブラリー、及び、ハイブリッド形成緩衝
液は、上述の通りである。ヒト海馬cDNAライブラリ
ーをストラタジーン社より購入した。高ストリンジェン
シー及び低ストリンジェンシーのハイブリッド形成を、
それぞれ68℃及び50℃で行なった。PCR反応用の
鋳型DNAを調製するために、各cDNAライブラリー
から約200万個のラムダファージを105PFU/1
50mmプレートの密度でまいた。プレート溶菌液よ
り、Sambrook, J.ら, Molecular Cloning: A Laborator
y Manual 、第二版、コールド・スプリング・ハーバー
・ラボラトリー、コールド・スプリング・ハーバー、ニ
ューヨーク州 (1989)に従って、DNAを調製した。
【0018】例4 ヒトサイクリンD2及びD3cDN
Aの単離 ヒトサイクリンD2及びD3cDNAを単離するため
に、ヒトCCDN1、マウスcyl1、cyl2、及
び、cyl3D−型サイクリンで非常によく保存された
3つの領域から、2個の5’オリゴヌクレオチドと、1
個の3’縮重オリゴヌクレオチドを作成した(Matsushi
me, H.ら, Cell 65:701-713(1991);Xiong,Y.ら,Cell 6
5:691-699;図8)。第一の5’オリゴヌクレオチドプ
ライマーであるHCND11は、8192倍に縮重した
38マー(TGGATG[T/C]TNGA[A/G]
GTNTG[T/C]GA[A/C]GA[A/G]C
A−[A/G]AA[A/G]TG[T/C]GA[A
/G]GA)(SEQ IDNo.37)であり、アミ
ノ酸13個をコードする(WMLEVCEEQKCE
E)(SEQ ID No.38)。第二の5’オリゴ
ヌクレオチドプライマーであるHCND12は、819
2倍に縮重した29マー(GTNTT[T/C]CCN
[T/C]TNGCNATGAA[T/C]TA[T/
C]−TNGA)(SEQ ID No.39)であ
り、アミノ酸10個をコードする(VFPLAMNYD
L)(SEQ ID No.40)。3’プライマーで
あるHCND13は、3072倍に縮重した24マー
([A/G]TCNGT[A/G]TA[A/G/T]
AT−[A/G]CANA[A/G][T/C]TT−
[T/C]TC)(SEQ ID No.41)であ
り、アミノ酸8個をコードする(EKLCIYTD)
(SEQ ID No.42)。PCR反応を、94℃
で1分間、48℃で1分間、72℃で1分間で、30サ
イクル行なった。反応液は、50mMKCl、10mM
Tris−HCl(pH8.3)、1.5mMMgCl
2、0.01%ゼラチン、dATP、dGTP、dCT
P、dTTPを各0.2mM、2.5ユニットのTaq
ポリメラーゼ、5μMのオリゴヌクレオチド、2−10
μgの鋳型DNAを含む。HCND11とHCND13
で合成されたPCR産物を、HCND12とHCND1
3をプライマーとして用いた第二ラウンドPCT反応に
よって確認した。1.2%アガロースゲルで分析した
後、期待された長さ(プライマーHCND11とHCN
D13との間で200bp)のDNA断片を精製し、配
列決定のために、ファジミドベクターpUC118のS
maI部位にサブクローニングした。完全長のサイクリ
ンD3cDNAを単離するために、D3 PCR産物の
201−bpの断片を、オリゴヌクレオチドプライマー
HCND11とHCND13を用いて、ランダム・プラ
イム標識法(Feinberg,A. P.ら, Anal. Biochem. 132:6
-13(1983))で標識し、ヒトHeLa細胞cDNAライ
ブラリーのスクリーニングに使用した。CCDN3遺伝
子を目的としたヒトゲノムライブラリーのスクリーニン
グに使用したプローブは、cDNAクローンλD3−H
34由来の2−kbのEcoRI断片であった。ヒトサ
イクリンD3のスクリーニングのための全ハイブリッド
形成を、高ストリンジェンシーで行った。CCDN1及
びCCDN3に対応するPCRクローンを、両cDNA
ライブラリーから、繰り返し単離した。CCDN2は単
離しなかった。サイクリンD2を単離するために、マウ
スcyl2cDNA由来の1−kbのEcoRI断片を
プローブとして用いて、ヒトゲノムライブラリーをスク
リーニングした。低ストリンジェンシー条件下では、こ
のプローブは、ヒトサイクリンD1及びD2の両方にハ
イブリダイズした。高ストリンジェンシーで、ヒトサイ
クリンD1プローブとの別のハイブリッド形成を行うこ
とにより、サイクリンD1クローンを除去した。続い
て、部分的な配列決定と、予測されるタンパク質配列
を、ヒトサイクリンD1及びD3、マウスcyl2と比
較することによって、ヒトCCDN2ゲノムクローンを
同定した。上述のように、遺伝子相補性スクリーニング
を用いて、Saccharomyces cerevi
siaeの三連Cln欠損変異株をレスキューすること
によって、ヒトCCDN1(サイクリンD1)を単離し
た。ヒトとマウスとの間の進化上の近縁度と、cyl
1、cyl2、及び、cyl3内で配列の類似性がある
ことから、ヒトのゲノム中には、さらに2種類のD−型
サイクリン遺伝子が存在することが示唆された。推定の
ヒトサイクリンD2及びD3遺伝子を単離するために、
まず、PCR法を用いた。ヒトCCDN1、マウスcy
l1、cyl2、及び、cyl3の非常によく保存され
た領域から、3個の縮重オリゴヌクレオチドプライマー
を作成した。これらのプライマーを用いて、サイクリン
D1と、マウスcyl3のヒトの相同物と考えられる2
00−bpのDNA断片を、ヒトHeLa細胞及び神経
膠芽細胞腫細胞cDNAライブラリーから単離した。こ
のPCR産物をプローブに用いて、完全長のD3クロー
ンを得るために、ヒトHeLa細胞cDNAライブラリ
ーをスクリーニングした。約120万個のcDNAクロ
ーンをスクリーニングし、6個のポジティブを得た。こ
のスクリーニングからの最長のcDNAクローンである
λD3−H34(1962bp)を、完全に配列決定し
た(図4)。仮定のヒトサイクリンD2cDNAがPC
Rで検出されなかったことから、異種プローブとしてマ
ウスcyl2cDNAを用いて、低ストリンジェンシー
で、ヒトcDNAライブラリーをスクリーニングした。
この結果、HeLa細胞cDNAライブラリーから、ま
ず、10個のクローンが単離された。しかし、制限マッ
ピングに基づくと、全クローンがヒトサイクリンD1遺
伝子に対応していた。これは、おそらく、HeLa細胞
中では、サイクリンD2の発現が非常に低レベルである
からである。そこで、D1とD2の構成はほとんど同一
であるという仮定に基づいて、同じプローブを用いてヒ
トゲノムライブラリーをスクリーニングした。得られた
18個のポジティブのうち、10個がヒトサイクリンD
1に対応し、8個がヒトサイクリンD2配列を含むと考
えられた(下記参照)。次に、8個の仮定サイクリンD
2クローンのうちの一つであるλD2−G1由来の、
0.4−kbのBamHI断片をプローブとして用い
て、サイクリンD2遺伝子の完全長cDNAクローンを
探すために、高ストリンジェンシーでヒト海馬cDNA
ライブラリーをスクリーニングした。約100万個のc
DNAクローンをスクリーニングした後、9個のポジテ
ィブが得られた。最長のcDNAクローン、λD2−P
3(1911bp)を完全に配列決定した(図3)。λ
D2−P3も、λD3−H34も、ポリ(A)配列を含
まないことから、3’非翻訳領域の一部分が欠けている
ことが示唆された。λD2−P3のDNA配列より、計
算上の分子量33,045−Da、289−アミノ酸の
タンパク質をコードできる読み枠が、明らかとなった。
λD3−H34についての同様の分析から、計算上の分
子量32,482−Daのタンパク質をコードする、2
92−アミノ酸の読み枠が明らかとなった。ヒトサイク
リンD1の場合と同様に、λD2−P3(ヌクレオチド
位置22、図3)と、λD3−H34(ヌクレオチド位
置101、図4)の仮定の開始メチオニンコドンよりも
5’側には、メチオニンコドンも停止コドンも存在しな
い。ヒトサイクリンD1及びマウスcyl1(図7)の
タンパク質配列との比較と、リボヌクレアーゼ保護実験
の予備結果に基づいて、λD2−P3とλD3−H34
は、どちらも完全長のコード領域を含むと考えられる。
これまでに同定された11種類の哺乳類サイクリンの全
てのタンパク質配列を比較して、構造上及び進化上の関
係を評価した。これには、サイクリンA、サイクリンB
1及びB2、6個のD−型サイクリン(3個がヒト由
来、3個がマウス由来)と、最近同定されたサイクリン
E及びC(図7)が含まれる。この比較から、D−型サ
イクリンに関するいくつかの特徴が観察された。第一に
は、サイクリンD1に関して前述したように、3種のサ
イクリンD遺伝子は、全て、289から295アミノ酸
残基の範囲の、同様の小さなサイズのタンパク質をコー
ドする。これは、これまでに発見されたもののうちで最
短のサイクリンである。第二には、これらは全て、A−
及びB−型サイクリンのN−末端で同定されている、い
わゆる”デストラクション・ボックス”、を欠く。デス
トラクション・ボックスは、サイクリンを、ユビキチン
依存性分解経路へ標的設定する(Glotzer, M.ら, Natur
e 349:132-138(1991))。このことから、D−型サイク
リンは、各細胞周期間の自身の周期的な分解を制御する
ために、別個の機構を進化させた、あるいは、D−型サ
イクリンはそのような分解を受けない、の何れかが示唆
される。第三に、3種のヒトサイクリンD遺伝子は、コ
ード領域全体にわたって非常に高い類似性を有する:D
1とD2との間で60%、D2とD3との間で60%、
D1とD3との間で52%である。第四に、D−型サイ
クリンのメンバーは、B−型サイクリンのメンバーより
も、互いにより密接に関連している。サイクリン・ボッ
クス内で、3種のサイクリンD遺伝子では平均78%で
あるのに対して、2種のサイクリンB遺伝子では57%
である。これより、サイクリンB1からB2が分離した
あとに、D−型サイクリンの分離(出現)が起こったこ
とが示唆される。最後に、よく性質が調べられている核
分裂B−型サイクリンを指標として用いると、最も密接
に関連する遺伝子は、サイクリンA(平均51%)、続
いて、E−型(40%)、D−型(29%)、そして、
C−型サイクリン(20%)である。
Aの単離 ヒトサイクリンD2及びD3cDNAを単離するため
に、ヒトCCDN1、マウスcyl1、cyl2、及
び、cyl3D−型サイクリンで非常によく保存された
3つの領域から、2個の5’オリゴヌクレオチドと、1
個の3’縮重オリゴヌクレオチドを作成した(Matsushi
me, H.ら, Cell 65:701-713(1991);Xiong,Y.ら,Cell 6
5:691-699;図8)。第一の5’オリゴヌクレオチドプ
ライマーであるHCND11は、8192倍に縮重した
38マー(TGGATG[T/C]TNGA[A/G]
GTNTG[T/C]GA[A/C]GA[A/G]C
A−[A/G]AA[A/G]TG[T/C]GA[A
/G]GA)(SEQ IDNo.37)であり、アミ
ノ酸13個をコードする(WMLEVCEEQKCE
E)(SEQ ID No.38)。第二の5’オリゴ
ヌクレオチドプライマーであるHCND12は、819
2倍に縮重した29マー(GTNTT[T/C]CCN
[T/C]TNGCNATGAA[T/C]TA[T/
C]−TNGA)(SEQ ID No.39)であ
り、アミノ酸10個をコードする(VFPLAMNYD
L)(SEQ ID No.40)。3’プライマーで
あるHCND13は、3072倍に縮重した24マー
([A/G]TCNGT[A/G]TA[A/G/T]
AT−[A/G]CANA[A/G][T/C]TT−
[T/C]TC)(SEQ ID No.41)であ
り、アミノ酸8個をコードする(EKLCIYTD)
(SEQ ID No.42)。PCR反応を、94℃
で1分間、48℃で1分間、72℃で1分間で、30サ
イクル行なった。反応液は、50mMKCl、10mM
Tris−HCl(pH8.3)、1.5mMMgCl
2、0.01%ゼラチン、dATP、dGTP、dCT
P、dTTPを各0.2mM、2.5ユニットのTaq
ポリメラーゼ、5μMのオリゴヌクレオチド、2−10
μgの鋳型DNAを含む。HCND11とHCND13
で合成されたPCR産物を、HCND12とHCND1
3をプライマーとして用いた第二ラウンドPCT反応に
よって確認した。1.2%アガロースゲルで分析した
後、期待された長さ(プライマーHCND11とHCN
D13との間で200bp)のDNA断片を精製し、配
列決定のために、ファジミドベクターpUC118のS
maI部位にサブクローニングした。完全長のサイクリ
ンD3cDNAを単離するために、D3 PCR産物の
201−bpの断片を、オリゴヌクレオチドプライマー
HCND11とHCND13を用いて、ランダム・プラ
イム標識法(Feinberg,A. P.ら, Anal. Biochem. 132:6
-13(1983))で標識し、ヒトHeLa細胞cDNAライ
ブラリーのスクリーニングに使用した。CCDN3遺伝
子を目的としたヒトゲノムライブラリーのスクリーニン
グに使用したプローブは、cDNAクローンλD3−H
34由来の2−kbのEcoRI断片であった。ヒトサ
イクリンD3のスクリーニングのための全ハイブリッド
形成を、高ストリンジェンシーで行った。CCDN1及
びCCDN3に対応するPCRクローンを、両cDNA
ライブラリーから、繰り返し単離した。CCDN2は単
離しなかった。サイクリンD2を単離するために、マウ
スcyl2cDNA由来の1−kbのEcoRI断片を
プローブとして用いて、ヒトゲノムライブラリーをスク
リーニングした。低ストリンジェンシー条件下では、こ
のプローブは、ヒトサイクリンD1及びD2の両方にハ
イブリダイズした。高ストリンジェンシーで、ヒトサイ
クリンD1プローブとの別のハイブリッド形成を行うこ
とにより、サイクリンD1クローンを除去した。続い
て、部分的な配列決定と、予測されるタンパク質配列
を、ヒトサイクリンD1及びD3、マウスcyl2と比
較することによって、ヒトCCDN2ゲノムクローンを
同定した。上述のように、遺伝子相補性スクリーニング
を用いて、Saccharomyces cerevi
siaeの三連Cln欠損変異株をレスキューすること
によって、ヒトCCDN1(サイクリンD1)を単離し
た。ヒトとマウスとの間の進化上の近縁度と、cyl
1、cyl2、及び、cyl3内で配列の類似性がある
ことから、ヒトのゲノム中には、さらに2種類のD−型
サイクリン遺伝子が存在することが示唆された。推定の
ヒトサイクリンD2及びD3遺伝子を単離するために、
まず、PCR法を用いた。ヒトCCDN1、マウスcy
l1、cyl2、及び、cyl3の非常によく保存され
た領域から、3個の縮重オリゴヌクレオチドプライマー
を作成した。これらのプライマーを用いて、サイクリン
D1と、マウスcyl3のヒトの相同物と考えられる2
00−bpのDNA断片を、ヒトHeLa細胞及び神経
膠芽細胞腫細胞cDNAライブラリーから単離した。こ
のPCR産物をプローブに用いて、完全長のD3クロー
ンを得るために、ヒトHeLa細胞cDNAライブラリ
ーをスクリーニングした。約120万個のcDNAクロ
ーンをスクリーニングし、6個のポジティブを得た。こ
のスクリーニングからの最長のcDNAクローンである
λD3−H34(1962bp)を、完全に配列決定し
た(図4)。仮定のヒトサイクリンD2cDNAがPC
Rで検出されなかったことから、異種プローブとしてマ
ウスcyl2cDNAを用いて、低ストリンジェンシー
で、ヒトcDNAライブラリーをスクリーニングした。
この結果、HeLa細胞cDNAライブラリーから、ま
ず、10個のクローンが単離された。しかし、制限マッ
ピングに基づくと、全クローンがヒトサイクリンD1遺
伝子に対応していた。これは、おそらく、HeLa細胞
中では、サイクリンD2の発現が非常に低レベルである
からである。そこで、D1とD2の構成はほとんど同一
であるという仮定に基づいて、同じプローブを用いてヒ
トゲノムライブラリーをスクリーニングした。得られた
18個のポジティブのうち、10個がヒトサイクリンD
1に対応し、8個がヒトサイクリンD2配列を含むと考
えられた(下記参照)。次に、8個の仮定サイクリンD
2クローンのうちの一つであるλD2−G1由来の、
0.4−kbのBamHI断片をプローブとして用い
て、サイクリンD2遺伝子の完全長cDNAクローンを
探すために、高ストリンジェンシーでヒト海馬cDNA
ライブラリーをスクリーニングした。約100万個のc
DNAクローンをスクリーニングした後、9個のポジテ
ィブが得られた。最長のcDNAクローン、λD2−P
3(1911bp)を完全に配列決定した(図3)。λ
D2−P3も、λD3−H34も、ポリ(A)配列を含
まないことから、3’非翻訳領域の一部分が欠けている
ことが示唆された。λD2−P3のDNA配列より、計
算上の分子量33,045−Da、289−アミノ酸の
タンパク質をコードできる読み枠が、明らかとなった。
λD3−H34についての同様の分析から、計算上の分
子量32,482−Daのタンパク質をコードする、2
92−アミノ酸の読み枠が明らかとなった。ヒトサイク
リンD1の場合と同様に、λD2−P3(ヌクレオチド
位置22、図3)と、λD3−H34(ヌクレオチド位
置101、図4)の仮定の開始メチオニンコドンよりも
5’側には、メチオニンコドンも停止コドンも存在しな
い。ヒトサイクリンD1及びマウスcyl1(図7)の
タンパク質配列との比較と、リボヌクレアーゼ保護実験
の予備結果に基づいて、λD2−P3とλD3−H34
は、どちらも完全長のコード領域を含むと考えられる。
これまでに同定された11種類の哺乳類サイクリンの全
てのタンパク質配列を比較して、構造上及び進化上の関
係を評価した。これには、サイクリンA、サイクリンB
1及びB2、6個のD−型サイクリン(3個がヒト由
来、3個がマウス由来)と、最近同定されたサイクリン
E及びC(図7)が含まれる。この比較から、D−型サ
イクリンに関するいくつかの特徴が観察された。第一に
は、サイクリンD1に関して前述したように、3種のサ
イクリンD遺伝子は、全て、289から295アミノ酸
残基の範囲の、同様の小さなサイズのタンパク質をコー
ドする。これは、これまでに発見されたもののうちで最
短のサイクリンである。第二には、これらは全て、A−
及びB−型サイクリンのN−末端で同定されている、い
わゆる”デストラクション・ボックス”、を欠く。デス
トラクション・ボックスは、サイクリンを、ユビキチン
依存性分解経路へ標的設定する(Glotzer, M.ら, Natur
e 349:132-138(1991))。このことから、D−型サイク
リンは、各細胞周期間の自身の周期的な分解を制御する
ために、別個の機構を進化させた、あるいは、D−型サ
イクリンはそのような分解を受けない、の何れかが示唆
される。第三に、3種のヒトサイクリンD遺伝子は、コ
ード領域全体にわたって非常に高い類似性を有する:D
1とD2との間で60%、D2とD3との間で60%、
D1とD3との間で52%である。第四に、D−型サイ
クリンのメンバーは、B−型サイクリンのメンバーより
も、互いにより密接に関連している。サイクリン・ボッ
クス内で、3種のサイクリンD遺伝子では平均78%で
あるのに対して、2種のサイクリンB遺伝子では57%
である。これより、サイクリンB1からB2が分離した
あとに、D−型サイクリンの分離(出現)が起こったこ
とが示唆される。最後に、よく性質が調べられている核
分裂B−型サイクリンを指標として用いると、最も密接
に関連する遺伝子は、サイクリンA(平均51%)、続
いて、E−型(40%)、D−型(29%)、そして、
C−型サイクリン(20%)である。
【0019】例5 CCDN2及びCCDN3の染色体
上の座位決定 CCDN2 及びCCDN3の染色体上の座位を、蛍光i
n situハイブリッド形成法によって決定した。以
前の記載通りに(Lichter, T.ら, Science 247:64-69(1
990);Baldini, A.ら, Genomics 9: 770-774(1991))、
染色体in situ抑制ハイブリッド形成法、及び、
in situハイブリッド・バンド形成法を行なっ
た。簡単には、それぞれ15及び16kbの挿入配列を
含むラムダゲノムDNAλD2−G4及びλD3−G9
を、ニック−トランスレーション(Brigatti, D.J.ら,
Urology 126:32-50(1983);Boyle, A.L., Current Prot
ocols in Molecular Biology、ウイレー、ニューヨー
ク、1991)によって、ビオチン−11−dUDP
(シグマ)で標識した。プローブの大きさは、200か
ら400ヌクレオチドの範囲であり、取り込まれなかっ
たヌクレオチドを、セファデックスG−50スピン・カ
ラムを用いて、プローブより分離した(Sambrook,J.ら,
Molecular Cloning: A Laboratory Manual 、第二版、
コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー、コー
ルド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク州 (198
9))。常法(Lichter, T.ら, Science 247:64-69(199
0))によって調製した中期染色体の展開物を、ビオチン
−標識D2−G4あるいはD3−G9で、in sit
uハイブリッド形成を行なった。デオキシリボヌクレア
ーゼ処理した5μgのヒト胎盤DNA、デオキシリボヌ
クレアーゼ処理した7μgのサケ精子DNA、及び、1
00ngの標識プローブを、変性、プレアニーリングし
た後、この混合物をAluプレハイブリダイズしたスラ
イドに加えた。この展開物で、40ngのAlu48マ
ー・オリゴヌクレオチドを用いて、共ハイブリッド形成
を行った。それによって、染色体の同定、及び、プロー
ブ位置を明視化するために用いる、in situハイ
ブリッド形成法のバンドパターンを作成した。変性した
染色体に加える前に、このAlu配列を、ジゴキシゲニ
ン−11−dUTP(ベーリンガー−マンハイム)で化
学標識し、変性した。37℃で16−18時間インキュ
ベートし、ハイブリッド形成後の洗浄を行なった後、ス
ライドをブロック溶液と検出試薬でインキュベートした
(Lichter, T.ら, Science 247:64-69(1990))。蛍光イ
ソチオシアン酸(FITC)と共役したアビジンDCS
(5μg/ml)(ベクター・ラボラトリーズ)を用い
て、ビオチン標識DNAを検出した;ジゴキシゲニン標
識DNAを、ローダミンと共役した抗ジゴキシゲニン抗
体(ベーリンガー・マンハイム)を用いて検出した。冷
却したCCDカメラ(フォトメトリックスCH220)
を装着したツァイス・アクシオスコープ−20・エピ蛍
光顕微鏡を用いて、蛍光シグナルを別々にイメージ化し
た。アップル・マッキントッシュIIXコンピューター
を用いて、カメラの調製、及び、像の補足を行なった。
以前の記載(Baldini, A.ら, Genomics 9: 770-774(199
1))通りに、灰色の縮小図を、電子的に仮彩色し、合成
した。FITCとローダミンの像を合成するために、ジ
ーン・ジョイン・マックスピックス(Tim Randによるソ
フトウエア、D.Ward研究室、イエール)を用いて、マッ
キントッシュIIciコンピューターでイメージ・プロ
セシングを行なった。コンピューターのモニターから、
直接、写真を撮影した。染色体蛍光in situハイ
ブリッド形成法を用いて、D2−G4及びD3−G9の
座位を決定した。ビオチン標識プローブと、ジゴキシゲ
ニン標識Alu48マー・オリゴヌクレオチドを用い
た、二色の蛍光in situハイブリッド形成を、直
接、明視化することによって、D2−G4が染色体12
pのバンド13上であり、D3−G9が染色体6pのバ
ンド21上である、という細胞遺伝的座位の決定を行な
った(図5)。従来のRバンド・パターンと一致するA
lu48マーのRバンドをイメージ化し、D2−G4及
びD3−G9ハイブリダイズ・プローブでできた像と合
成した。対応するFITC及びローダミン像を合成する
ことによって、D2−G4及びD3−G9の座位を、A
luバンドに対して明視化した。合成像により、D2−
G4及びD3−G9が、それぞれ染色体12及び6上に
あることが、直接、明視化された。D2−G4プローブ
は、ポジティブRバンド12p13上に位置し、D3−
G9は、ポジティブRバンド6p21上に位置する。偽
遺伝子サイクリンD2あるいはD3との、交差ハイブリ
ッド形成は観察されなかった。これは、おそらく、交差
ハイブリッドを形成する可能性のある配列が、プローブ
として使用した15及び16kbのゲノム断片のうち
の、ごく小さな部分であり、また、偽遺伝子のヌクレオ
チド配列が、先祖である活性遺伝子の配列からかけ離れ
てしまったためであると考えられる。
上の座位決定 CCDN2 及びCCDN3の染色体上の座位を、蛍光i
n situハイブリッド形成法によって決定した。以
前の記載通りに(Lichter, T.ら, Science 247:64-69(1
990);Baldini, A.ら, Genomics 9: 770-774(1991))、
染色体in situ抑制ハイブリッド形成法、及び、
in situハイブリッド・バンド形成法を行なっ
た。簡単には、それぞれ15及び16kbの挿入配列を
含むラムダゲノムDNAλD2−G4及びλD3−G9
を、ニック−トランスレーション(Brigatti, D.J.ら,
Urology 126:32-50(1983);Boyle, A.L., Current Prot
ocols in Molecular Biology、ウイレー、ニューヨー
ク、1991)によって、ビオチン−11−dUDP
(シグマ)で標識した。プローブの大きさは、200か
ら400ヌクレオチドの範囲であり、取り込まれなかっ
たヌクレオチドを、セファデックスG−50スピン・カ
ラムを用いて、プローブより分離した(Sambrook,J.ら,
Molecular Cloning: A Laboratory Manual 、第二版、
コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー、コー
ルド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク州 (198
9))。常法(Lichter, T.ら, Science 247:64-69(199
0))によって調製した中期染色体の展開物を、ビオチン
−標識D2−G4あるいはD3−G9で、in sit
uハイブリッド形成を行なった。デオキシリボヌクレア
ーゼ処理した5μgのヒト胎盤DNA、デオキシリボヌ
クレアーゼ処理した7μgのサケ精子DNA、及び、1
00ngの標識プローブを、変性、プレアニーリングし
た後、この混合物をAluプレハイブリダイズしたスラ
イドに加えた。この展開物で、40ngのAlu48マ
ー・オリゴヌクレオチドを用いて、共ハイブリッド形成
を行った。それによって、染色体の同定、及び、プロー
ブ位置を明視化するために用いる、in situハイ
ブリッド形成法のバンドパターンを作成した。変性した
染色体に加える前に、このAlu配列を、ジゴキシゲニ
ン−11−dUTP(ベーリンガー−マンハイム)で化
学標識し、変性した。37℃で16−18時間インキュ
ベートし、ハイブリッド形成後の洗浄を行なった後、ス
ライドをブロック溶液と検出試薬でインキュベートした
(Lichter, T.ら, Science 247:64-69(1990))。蛍光イ
ソチオシアン酸(FITC)と共役したアビジンDCS
(5μg/ml)(ベクター・ラボラトリーズ)を用い
て、ビオチン標識DNAを検出した;ジゴキシゲニン標
識DNAを、ローダミンと共役した抗ジゴキシゲニン抗
体(ベーリンガー・マンハイム)を用いて検出した。冷
却したCCDカメラ(フォトメトリックスCH220)
を装着したツァイス・アクシオスコープ−20・エピ蛍
光顕微鏡を用いて、蛍光シグナルを別々にイメージ化し
た。アップル・マッキントッシュIIXコンピューター
を用いて、カメラの調製、及び、像の補足を行なった。
以前の記載(Baldini, A.ら, Genomics 9: 770-774(199
1))通りに、灰色の縮小図を、電子的に仮彩色し、合成
した。FITCとローダミンの像を合成するために、ジ
ーン・ジョイン・マックスピックス(Tim Randによるソ
フトウエア、D.Ward研究室、イエール)を用いて、マッ
キントッシュIIciコンピューターでイメージ・プロ
セシングを行なった。コンピューターのモニターから、
直接、写真を撮影した。染色体蛍光in situハイ
ブリッド形成法を用いて、D2−G4及びD3−G9の
座位を決定した。ビオチン標識プローブと、ジゴキシゲ
ニン標識Alu48マー・オリゴヌクレオチドを用い
た、二色の蛍光in situハイブリッド形成を、直
接、明視化することによって、D2−G4が染色体12
pのバンド13上であり、D3−G9が染色体6pのバ
ンド21上である、という細胞遺伝的座位の決定を行な
った(図5)。従来のRバンド・パターンと一致するA
lu48マーのRバンドをイメージ化し、D2−G4及
びD3−G9ハイブリダイズ・プローブでできた像と合
成した。対応するFITC及びローダミン像を合成する
ことによって、D2−G4及びD3−G9の座位を、A
luバンドに対して明視化した。合成像により、D2−
G4及びD3−G9が、それぞれ染色体12及び6上に
あることが、直接、明視化された。D2−G4プローブ
は、ポジティブRバンド12p13上に位置し、D3−
G9は、ポジティブRバンド6p21上に位置する。偽
遺伝子サイクリンD2あるいはD3との、交差ハイブリ
ッド形成は観察されなかった。これは、おそらく、交差
ハイブリッドを形成する可能性のある配列が、プローブ
として使用した15及び16kbのゲノム断片のうち
の、ごく小さな部分であり、また、偽遺伝子のヌクレオ
チド配列が、先祖である活性遺伝子の配列からかけ離れ
てしまったためであると考えられる。
【0020】例6 ヒトD−型サイクリンのゲノムクロ
ーンの単離と性質の調査 ゲノム構造を調べ、染色体マッピング用のプローブを得
る目的で、ヒトD−型サイクリンのゲノムクローンを単
離し、性質を調べた。1.3kbのサイクリンD1cD
NAクローン全体をプローブとして用いて、ヒト正常肝
ゲノムライブラリーをスクリーニングした。500万個
のゲノムクローンをスクリーニングし、ポジティブを3
個得た。まず、制限地図とハイブリッド形成を行なった
後、ラムダクローンG6を選択し、さらに分析した。λ
D1−G6の1.7kbのBamHI断片を、pUC1
18にサブクローニングし、完全に配列決定を行なっ
た。以前に単離されたcDNAクローンとの比較と、リ
ボヌクレアーゼ保護分析の結果(Withers, D.A.ら, Mo
l. Cell. Biol. 11:4846-4853(1991))から、この断片
が、サイクリンD1遺伝子の5’部分に対応することが
示された。図8Aに示すように、これは、1150bp
の上流プロモーター配列と、198bpのエクソンと、
それに続くイントロンを含む。上述のように(例4)、
マウスcyl2cDNAをプローブとして用いた低スト
リンジェンシー・ハイブリッド形成条件下で、同様のス
クリーニングにより、18個のラムダクローンが単離さ
れた。以前のcDNAライブラリー・スクリーニング
で、低ストリンジェンシーでは、マウスcyl2cDN
Aプローブは、ヒトD1遺伝子と交差ハイブリッドを形
成することが分かっていた。そのため、ヒトサイクリン
D1cDNAをプローブとして用いて、高ストリンジェ
ンシーで、ドットブロット・ハイブリッド形成法を行な
った。18個のクローンのうち、10個が、ヒトD1プ
ローブとハイブリッドを形成し、8個は形成しなかっ
た。高ストリンジェンシーでヒトD1プローブとハイブ
リッドを形成しなかった8個のラムダクローンを、制限
消化分析に基づいて、λD2−G1、λD2−G2、λ
D2−G4で示される3クラスにそれぞれ分類した。こ
れらのラムダクローンをpUCプラスミドベクターへサ
ブクローニングし、マウスcyl2cDNAプローブを
用いて、サザンハイブリッド形成法により、コード領域
を含む小さな制限断片を同定した。次に、λD2−G1
由来の0.4kbのBamHI断片をプローブとして用
いて、高ストリンジェンシーで、ヒト海馬cDNAライ
ブラリーをスクリーニングした。詳細な制限地図と、部
分的な配列決定から、λD2−G1及びλD2−G2
は、同じ遺伝子に対応する異なるクローンであり、一方
で、λD2−G4は、異なる遺伝子に対応すると考えら
れることが示された。λD2−G4由来の2.7kbの
SacI−SmaI断片と、λD2−G1由来の1.5
kbのBclI−BglII断片を、完全に配列決定し
た。ヌクレオチド配列の比較より、クローンλD2−G
4は、D2cDNAクローンλD2−P3に対応するこ
とが明かとなった(図3)。図8Aに示すように、2.
7kbのSacI−SmaI断片は、D2cDNA(図
3)中で同定された仮定の開始メチオニンコドンの5’
側の配列を1620bpと、195bpのエクソンと、
それに続く907bpの介在配列を含む。ヒトサイクリ
ンD3に対応するラムダゲノムクローンを、ヒトD3c
DNAをプローブとして用いて、同じゲノムライブラリ
ーから単離した。スクリーニングした400万個のクロ
ーンのうち、9個がポジティブであった。λD3−G4
及びλD3−G9で示される2クラスのクローンを、制
限消化分析により区別した。これらは、どちらも5’サ
イクリンD3cDNAプローブにハイブリダイズしたた
め、より詳細に制限地図を作成し、完全に配列決定を行
なうために、λD3−G5由来の2.0kbのHind
III−ScaI制限断片と、λD3−G9由来の3.
7kbのSacI−HindIII制限断片を、さら
に、pUCプラスミドベクターへサブクローニングし
た。図9Cに示すように、クローンG9由来の3.7k
b断片は、D3cDNA(図4)中に同定された仮定の
開始メチオニンコドンの5’側の配列を1.8kbと、
198bpのエクソン1、684bpのエクソン2、及
び、870bpのイントロンを含む。サイクリンD1、
D2、D3のゲノムクローンの比較から、3種のヒトC
CDN遺伝子のコード領域は、全て、同じ位置にイント
ロンが介入していることが明かとなった(図8で矢印で
示されている)。これは、サイクリンD遺伝子が分離す
る前に、イントロンが生じたことを示す。
ーンの単離と性質の調査 ゲノム構造を調べ、染色体マッピング用のプローブを得
る目的で、ヒトD−型サイクリンのゲノムクローンを単
離し、性質を調べた。1.3kbのサイクリンD1cD
NAクローン全体をプローブとして用いて、ヒト正常肝
ゲノムライブラリーをスクリーニングした。500万個
のゲノムクローンをスクリーニングし、ポジティブを3
個得た。まず、制限地図とハイブリッド形成を行なった
後、ラムダクローンG6を選択し、さらに分析した。λ
D1−G6の1.7kbのBamHI断片を、pUC1
18にサブクローニングし、完全に配列決定を行なっ
た。以前に単離されたcDNAクローンとの比較と、リ
ボヌクレアーゼ保護分析の結果(Withers, D.A.ら, Mo
l. Cell. Biol. 11:4846-4853(1991))から、この断片
が、サイクリンD1遺伝子の5’部分に対応することが
示された。図8Aに示すように、これは、1150bp
の上流プロモーター配列と、198bpのエクソンと、
それに続くイントロンを含む。上述のように(例4)、
マウスcyl2cDNAをプローブとして用いた低スト
リンジェンシー・ハイブリッド形成条件下で、同様のス
クリーニングにより、18個のラムダクローンが単離さ
れた。以前のcDNAライブラリー・スクリーニング
で、低ストリンジェンシーでは、マウスcyl2cDN
Aプローブは、ヒトD1遺伝子と交差ハイブリッドを形
成することが分かっていた。そのため、ヒトサイクリン
D1cDNAをプローブとして用いて、高ストリンジェ
ンシーで、ドットブロット・ハイブリッド形成法を行な
った。18個のクローンのうち、10個が、ヒトD1プ
ローブとハイブリッドを形成し、8個は形成しなかっ
た。高ストリンジェンシーでヒトD1プローブとハイブ
リッドを形成しなかった8個のラムダクローンを、制限
消化分析に基づいて、λD2−G1、λD2−G2、λ
D2−G4で示される3クラスにそれぞれ分類した。こ
れらのラムダクローンをpUCプラスミドベクターへサ
ブクローニングし、マウスcyl2cDNAプローブを
用いて、サザンハイブリッド形成法により、コード領域
を含む小さな制限断片を同定した。次に、λD2−G1
由来の0.4kbのBamHI断片をプローブとして用
いて、高ストリンジェンシーで、ヒト海馬cDNAライ
ブラリーをスクリーニングした。詳細な制限地図と、部
分的な配列決定から、λD2−G1及びλD2−G2
は、同じ遺伝子に対応する異なるクローンであり、一方
で、λD2−G4は、異なる遺伝子に対応すると考えら
れることが示された。λD2−G4由来の2.7kbの
SacI−SmaI断片と、λD2−G1由来の1.5
kbのBclI−BglII断片を、完全に配列決定し
た。ヌクレオチド配列の比較より、クローンλD2−G
4は、D2cDNAクローンλD2−P3に対応するこ
とが明かとなった(図3)。図8Aに示すように、2.
7kbのSacI−SmaI断片は、D2cDNA(図
3)中で同定された仮定の開始メチオニンコドンの5’
側の配列を1620bpと、195bpのエクソンと、
それに続く907bpの介在配列を含む。ヒトサイクリ
ンD3に対応するラムダゲノムクローンを、ヒトD3c
DNAをプローブとして用いて、同じゲノムライブラリ
ーから単離した。スクリーニングした400万個のクロ
ーンのうち、9個がポジティブであった。λD3−G4
及びλD3−G9で示される2クラスのクローンを、制
限消化分析により区別した。これらは、どちらも5’サ
イクリンD3cDNAプローブにハイブリダイズしたた
め、より詳細に制限地図を作成し、完全に配列決定を行
なうために、λD3−G5由来の2.0kbのHind
III−ScaI制限断片と、λD3−G9由来の3.
7kbのSacI−HindIII制限断片を、さら
に、pUCプラスミドベクターへサブクローニングし
た。図9Cに示すように、クローンG9由来の3.7k
b断片は、D3cDNA(図4)中に同定された仮定の
開始メチオニンコドンの5’側の配列を1.8kbと、
198bpのエクソン1、684bpのエクソン2、及
び、870bpのイントロンを含む。サイクリンD1、
D2、D3のゲノムクローンの比較から、3種のヒトC
CDN遺伝子のコード領域は、全て、同じ位置にイント
ロンが介入していることが明かとなった(図8で矢印で
示されている)。これは、サイクリンD遺伝子が分離す
る前に、イントロンが生じたことを示す。
【0021】例7 2個のサイクリンD偽遺伝子の単離
と性質調査 クローンλD2−G1からサブクローニングされた1.
5kbのBclI−BglII断片を、完全に配列決定
し、サイクリンD2cDNAクローンであるλD2−P
3と比較した。図10に示すように、これは、内部に停
止コドンを3個(ヌクレオチド位置495,956、1
310、アステリスクで示す)と、フレームシフト2個
(位置1188、1291、スラッシュ線)と、挿入1
個と、欠失1個を含んでいた。また、多数のミスセンス
・ヌクレオチド置換を蓄積しており、そのうちのいくつ
かは、全サイクリンで保存されている位置で発生してい
た。例えば、D2cDNA(図3)の位置277から2
79に位置するトリプレットCGTは、アミノ酸Arg
をコードし、これは全サイクリンで不変の残基である
(図8A)。クローンD2−G1(図10)の対応する
位置(ヌクレオチド731)で、ヌクレオチドがCから
Tへ変化することにより、Argではなく、Cysをコ
ードするトリプレットTGTが発生した。クローンλD
3−G5由来の2.0kbのHindII−ScaI断
片の配列決定から、サイクリンD3偽遺伝子が明らかと
なった(図11)。ナンセンス変異(ヌクレオチド位置
1265)、フレームシフト2個(位置1210、16
79)、15bpの内部重複(位置1361から137
6の下線領域)、及び、多数のミスセンス変異に加え
て、位置1182でAがGへ変化することにより、その
結果、仮定の開始メチオニンコドンATGから、Val
をコードするGTGへ、アミノ酸が変化した。これらの
分析に基づいて、クローンλD2−P3及びλD3−G
5が、それぞれサイクリンD2及びD3の偽遺伝子を含
むと、結論した。
と性質調査 クローンλD2−G1からサブクローニングされた1.
5kbのBclI−BglII断片を、完全に配列決定
し、サイクリンD2cDNAクローンであるλD2−P
3と比較した。図10に示すように、これは、内部に停
止コドンを3個(ヌクレオチド位置495,956、1
310、アステリスクで示す)と、フレームシフト2個
(位置1188、1291、スラッシュ線)と、挿入1
個と、欠失1個を含んでいた。また、多数のミスセンス
・ヌクレオチド置換を蓄積しており、そのうちのいくつ
かは、全サイクリンで保存されている位置で発生してい
た。例えば、D2cDNA(図3)の位置277から2
79に位置するトリプレットCGTは、アミノ酸Arg
をコードし、これは全サイクリンで不変の残基である
(図8A)。クローンD2−G1(図10)の対応する
位置(ヌクレオチド731)で、ヌクレオチドがCから
Tへ変化することにより、Argではなく、Cysをコ
ードするトリプレットTGTが発生した。クローンλD
3−G5由来の2.0kbのHindII−ScaI断
片の配列決定から、サイクリンD3偽遺伝子が明らかと
なった(図11)。ナンセンス変異(ヌクレオチド位置
1265)、フレームシフト2個(位置1210、16
79)、15bpの内部重複(位置1361から137
6の下線領域)、及び、多数のミスセンス変異に加え
て、位置1182でAがGへ変化することにより、その
結果、仮定の開始メチオニンコドンATGから、Val
をコードするGTGへ、アミノ酸が変化した。これらの
分析に基づいて、クローンλD2−P3及びλD3−G
5が、それぞれサイクリンD2及びD3の偽遺伝子を含
むと、結論した。
【0022】変更例 当業者には、通常の実験法を用いて、ここに記載されて
いる特定の実施例に関して、多くの変更例を実施するこ
とができることがわかるであろう。そのような変更例
も、特許請求の範囲で網羅される。
いる特定の実施例に関して、多くの変更例を実施するこ
とができることがわかるであろう。そのような変更例
も、特許請求の範囲で網羅される。
【0023】寄託された微生物への言及 本微生物は、国際出願日の明細書12ページ、28行に
記載されている。 A.寄託の証明 寄託先 アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション 寄託先の住所 アメリカ合衆国 20852 メリーランド州 ロック
ビル パークローンドライブ 12301 寄託日 1991年5月14日受託番号 68620 B.追加指示 ヨーロッパ特許の指定国に関して、出願人は、ヨーロッ
パ特許条約施行規則第28規則(4)にもとづいて、下
記をヨーロッパ特許庁へ報告する。アメリカン・タイプ
・カルチャー・コレクションに受託番号68620で寄
託された生物学的物質は、ヨーロッパ特許の特許付与の
公表、ヨーロッパ特許の拒絶日、取り下げ日、取り下げ
られたとみなされる日まで、ヨーロッパ特許条約施行規
則第28規則(5)に従う請求によって指名された専門
家に対してのみ、入手可能である。 C.上記指示の指定国 EP(ヨーロッパ) CA(カナダ) JP(日本) D.上記指示の備考 受託番号68620
記載されている。 A.寄託の証明 寄託先 アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション 寄託先の住所 アメリカ合衆国 20852 メリーランド州 ロック
ビル パークローンドライブ 12301 寄託日 1991年5月14日受託番号 68620 B.追加指示 ヨーロッパ特許の指定国に関して、出願人は、ヨーロッ
パ特許条約施行規則第28規則(4)にもとづいて、下
記をヨーロッパ特許庁へ報告する。アメリカン・タイプ
・カルチャー・コレクションに受託番号68620で寄
託された生物学的物質は、ヨーロッパ特許の特許付与の
公表、ヨーロッパ特許の拒絶日、取り下げ日、取り下げ
られたとみなされる日まで、ヨーロッパ特許条約施行規
則第28規則(5)に従う請求によって指名された専門
家に対してのみ、入手可能である。 C.上記指示の指定国 EP(ヨーロッパ) CA(カナダ) JP(日本) D.上記指示の備考 受託番号68620
図1は、ヒトサイクリン遺伝子の遺伝子スクリーニング
を図示する。図2は、ヒトサイクリンD1の核酸配列
(SEQ ID No.1)及びアミノ酸配列(SEQ
ID No.2)である。ヌクレオチド番号とアミノ
酸番号を右に記す。アミノ酸番号は、開始メチオニンを
1番として数えた。停止コドンをアスタリスクで示す。
図3は、ヒトサイクリンD2の核酸配列(SEQ ID
No.3)及びアミノ酸配列(SEQ ID No.
4)である。ヌクレオチド番号とアミノ酸番号を右に記
す。アミノ酸番号は、開始メチオニンを1番として数え
た。停止コドンをアスタリスクで示す。図4は、ヒトサ
イクリンD3の核酸配列(SEQ ID No.5)及
びアミノ酸配列(SEQ ID No.6)である。ヌ
クレオチド番号とアミノ酸番号を右に記す。アミノ酸番
号は、開始メチオニンを1番として数えた。停止コドン
をアスタリスクで示す。図5は、サイクリン遺伝子ファ
ミリーを示す。図5Aは、7種のサイクリン遺伝子のア
ミノ酸配列を整列したものを示す(CYCD1−Hs,
SEQ ID No.7;CYCA−Hs,SEQ I
D No.8;CYCA−Dm,SEQ ID No.
9;CYCB1−Hs,SEQID No.10;CY
C13−Sp,SEQ ID No.11;CLN1−
Sc,SEQ ID No.12;CLN3−Sc,S
EQ ID No.13)。いくつかの配列中の数字
は、挿入の結果、配列から省略したアミノ酸残基の数を
示す。図5Bは、ネイバー・ジョイニング法で作成した
サイクリン・ファミリーの進化樹を図示する;水平線の
長さがダイバージェンスを示す。図6は、サイクリンD
1遺伝子転写物の択一的ポリアデニル化を示す。図6A
は、様々な細胞株から単離されたいくつかのcDNAク
ローンの比較を示す。白抜きの箱は、サイクリンD1遺
伝子のコード領域を含む1.7kbの小さな転写物を示
す。斜線の箱は、4.8kb長の転写物に存在する3’
断片を示す。各cDNAクローンの上に制限部位を示し
て、これらのクローンが整列されていることを示す。図
6Bは、いくつかのクローンに関して、最初のポリアデ
ニル化部位を取り囲むヌクレオチド配列を示す(CYC
D1−21,SEQ ID No.14;CYCD1−
H12,SEQ ID No.15;CYCD1−H0
34,SEQID No.16;CYCD1−T07
8,SEQ ID No.17、及び、ゲノムクロー
ン;CYCD1−G068,SEQ ID No.1
8)。図7は、11種の哺乳類サイクリンのタンパク質
配列の比較を示す(CYCD1−Hs,SEQ ID
No.19;CYL1−Mm,SEQ ID No.2
0;CYCD2−Hs,SEQ ID No.21;C
YCL2−Mm,SEQ ID No.22;CYCD
3−Hs,SEQ ID No.23;CYL3−M
m,SEQ ID No.24;CYCA−Hs,SE
Q ID No.25;CYCB1−Hs,SEQ I
D No.26;CYCB2−Hs,SEQ ID N
o.27;CYCC−Hs,SEQ ID No.2
8;CYCE−Hs,SEQ ID No.29)。図
8は、ヒトサイクリンD遺伝子のゲノム構造を図示す
る。各図形は、各サイクリンD遺伝子由来の、完全に配
列決定を行った制限断片を示す。黒塗の箱は、エクソン
配列を示す。白抜きの箱は、イントロン、あるいは、
5’及び3’非翻訳配列を示す。斜線の箱は、偽遺伝子
を示す。各クローンの上に、いくつかの制限部位、AT
G、及び、停止コドンを示す。図9は、サイクリンD2
偽遺伝子の核酸配列(SEQ ID No.30)及び
アミノ酸配列(SEQ ID No.31)を示す。図
10は、サイクリンD3偽遺伝子の核酸配列(SEQ
ID No.32)及びアミノ酸配列(SEQ ID
No.33)を示す。図11は、1.3kbのヒトサイ
クリンD1プロモーターの核酸配列(SEQID N
o.34)を示す。この配列は、開始ATGコドンで終
わる。転写は、およそヌクレオチド−160で開始す
る。図12は、1.6kbのヒトサイクリンD2プロモ
ーターの核酸配列(SEQID No.35)を示す。
この配列は、開始ATGコドンで終わる。転写は、およ
そヌクレオチド−170で開始する。図13は、3.2
kbのヒトサイクリンD3プロモーターの核酸配列(S
EQID No.36)を示す。この配列は、開始AT
Gコドンで終わる。転写は、およそヌクレオチド−16
0で開始する。
を図示する。図2は、ヒトサイクリンD1の核酸配列
(SEQ ID No.1)及びアミノ酸配列(SEQ
ID No.2)である。ヌクレオチド番号とアミノ
酸番号を右に記す。アミノ酸番号は、開始メチオニンを
1番として数えた。停止コドンをアスタリスクで示す。
図3は、ヒトサイクリンD2の核酸配列(SEQ ID
No.3)及びアミノ酸配列(SEQ ID No.
4)である。ヌクレオチド番号とアミノ酸番号を右に記
す。アミノ酸番号は、開始メチオニンを1番として数え
た。停止コドンをアスタリスクで示す。図4は、ヒトサ
イクリンD3の核酸配列(SEQ ID No.5)及
びアミノ酸配列(SEQ ID No.6)である。ヌ
クレオチド番号とアミノ酸番号を右に記す。アミノ酸番
号は、開始メチオニンを1番として数えた。停止コドン
をアスタリスクで示す。図5は、サイクリン遺伝子ファ
ミリーを示す。図5Aは、7種のサイクリン遺伝子のア
ミノ酸配列を整列したものを示す(CYCD1−Hs,
SEQ ID No.7;CYCA−Hs,SEQ I
D No.8;CYCA−Dm,SEQ ID No.
9;CYCB1−Hs,SEQID No.10;CY
C13−Sp,SEQ ID No.11;CLN1−
Sc,SEQ ID No.12;CLN3−Sc,S
EQ ID No.13)。いくつかの配列中の数字
は、挿入の結果、配列から省略したアミノ酸残基の数を
示す。図5Bは、ネイバー・ジョイニング法で作成した
サイクリン・ファミリーの進化樹を図示する;水平線の
長さがダイバージェンスを示す。図6は、サイクリンD
1遺伝子転写物の択一的ポリアデニル化を示す。図6A
は、様々な細胞株から単離されたいくつかのcDNAク
ローンの比較を示す。白抜きの箱は、サイクリンD1遺
伝子のコード領域を含む1.7kbの小さな転写物を示
す。斜線の箱は、4.8kb長の転写物に存在する3’
断片を示す。各cDNAクローンの上に制限部位を示し
て、これらのクローンが整列されていることを示す。図
6Bは、いくつかのクローンに関して、最初のポリアデ
ニル化部位を取り囲むヌクレオチド配列を示す(CYC
D1−21,SEQ ID No.14;CYCD1−
H12,SEQ ID No.15;CYCD1−H0
34,SEQID No.16;CYCD1−T07
8,SEQ ID No.17、及び、ゲノムクロー
ン;CYCD1−G068,SEQ ID No.1
8)。図7は、11種の哺乳類サイクリンのタンパク質
配列の比較を示す(CYCD1−Hs,SEQ ID
No.19;CYL1−Mm,SEQ ID No.2
0;CYCD2−Hs,SEQ ID No.21;C
YCL2−Mm,SEQ ID No.22;CYCD
3−Hs,SEQ ID No.23;CYL3−M
m,SEQ ID No.24;CYCA−Hs,SE
Q ID No.25;CYCB1−Hs,SEQ I
D No.26;CYCB2−Hs,SEQ ID N
o.27;CYCC−Hs,SEQ ID No.2
8;CYCE−Hs,SEQ ID No.29)。図
8は、ヒトサイクリンD遺伝子のゲノム構造を図示す
る。各図形は、各サイクリンD遺伝子由来の、完全に配
列決定を行った制限断片を示す。黒塗の箱は、エクソン
配列を示す。白抜きの箱は、イントロン、あるいは、
5’及び3’非翻訳配列を示す。斜線の箱は、偽遺伝子
を示す。各クローンの上に、いくつかの制限部位、AT
G、及び、停止コドンを示す。図9は、サイクリンD2
偽遺伝子の核酸配列(SEQ ID No.30)及び
アミノ酸配列(SEQ ID No.31)を示す。図
10は、サイクリンD3偽遺伝子の核酸配列(SEQ
ID No.32)及びアミノ酸配列(SEQ ID
No.33)を示す。図11は、1.3kbのヒトサイ
クリンD1プロモーターの核酸配列(SEQID N
o.34)を示す。この配列は、開始ATGコドンで終
わる。転写は、およそヌクレオチド−160で開始す
る。図12は、1.6kbのヒトサイクリンD2プロモ
ーターの核酸配列(SEQID No.35)を示す。
この配列は、開始ATGコドンで終わる。転写は、およ
そヌクレオチド−170で開始する。図13は、3.2
kbのヒトサイクリンD3プロモーターの核酸配列(S
EQID No.36)を示す。この配列は、開始AT
Gコドンで終わる。転写は、およそヌクレオチド−16
0で開始する。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年3月29日(2001.3.2
9)
9)
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒトサイクリン遺伝子の遺伝子スクリーニング
を図示する。
を図示する。
【図2】ヒトサイクリンD1の核酸配列(SEQ ID
No.1)及びアミノ酸配列(SEQ ID No.
2)である。ヌクレオチド番号とアミノ酸番号を右に記
す。アミノ酸番号は、開始メチオニンを1番として数え
た。停止コドンをアスタリスクで示す。
No.1)及びアミノ酸配列(SEQ ID No.
2)である。ヌクレオチド番号とアミノ酸番号を右に記
す。アミノ酸番号は、開始メチオニンを1番として数え
た。停止コドンをアスタリスクで示す。
【図3】ヒトサイクリンD2の核酸配列(SEQ ID
No.3)及びアミノ酸配列(SEQ ID No.
4)である。ヌクレオチド番号とアミノ酸番号を右に記
す。アミノ酸番号は、開始メチオニンを1番として数え
た。停止コドンをアスタリスクで示す。
No.3)及びアミノ酸配列(SEQ ID No.
4)である。ヌクレオチド番号とアミノ酸番号を右に記
す。アミノ酸番号は、開始メチオニンを1番として数え
た。停止コドンをアスタリスクで示す。
【図4】ヒトサイクリンD3の核酸配列(SEQ ID
No.5)及びアミノ酸配列(SEQ ID No.
6)である。ヌクレオチド番号とアミノ酸番号を右に記
す。アミノ酸番号は、開始メチオニンを1番として数え
た。停止コドンをアスタリスクで示す。
No.5)及びアミノ酸配列(SEQ ID No.
6)である。ヌクレオチド番号とアミノ酸番号を右に記
す。アミノ酸番号は、開始メチオニンを1番として数え
た。停止コドンをアスタリスクで示す。
【図5】サイクリン遺伝子ファミリーを示す。図5A
は、7種のサイクリン遺伝子のアミノ酸配列を整列した
ものを示す(CYCD1−Hs,SEQ ID No.
7;CYCA−Hs,SEQ ID No.8;CYC
A−Dm,SEQ ID No.9;CYCB1−H
s,SEQID No.10;CYC13−Sp,SE
Q ID No.11;CLN1−Sc,SEQ ID
No.12;CLN3−Sc,SEQ ID No.
13)。いくつかの配列中の数字は、挿入の結果、配列
から省略したアミノ酸残基の数を示す。図5Bは、ネイ
バー・ジョイニング法で作成したサイクリン・ファミリ
ーの進化樹を図示する;水平線の長さがダイバージェン
スを示す。
は、7種のサイクリン遺伝子のアミノ酸配列を整列した
ものを示す(CYCD1−Hs,SEQ ID No.
7;CYCA−Hs,SEQ ID No.8;CYC
A−Dm,SEQ ID No.9;CYCB1−H
s,SEQID No.10;CYC13−Sp,SE
Q ID No.11;CLN1−Sc,SEQ ID
No.12;CLN3−Sc,SEQ ID No.
13)。いくつかの配列中の数字は、挿入の結果、配列
から省略したアミノ酸残基の数を示す。図5Bは、ネイ
バー・ジョイニング法で作成したサイクリン・ファミリ
ーの進化樹を図示する;水平線の長さがダイバージェン
スを示す。
【図6】サイクリンD1遺伝子転写物の択一的ポリアデ
ニル化を示す。図6Aは、様々な細胞株から単離された
いくつかのcDNAクローンの比較を示す。白抜きの箱
は、サイクリンD1遺伝子のコード領域を含む1.7k
bの小さな転写物を示す。斜線の箱は、4.8kb長の
転写物に存在する3’断片を示す。各cDNAクローン
の上に制限部位を示して、これらのクローンが整列され
ていることを示す。図6Bは、いくつかのクローンに関
して、最初のポリアデニル化部位を取り囲むヌクレオチ
ド配列を示す(CYCD1−21,SEQ ID N
o.14;CYCD1−H12,SEQ ID No.
15;CYCD1−H034,SEQID No.1
6;CYCD1−T078,SEQ ID No.1
7、及び、ゲノムクローン;CYCD1−G068,S
EQ ID No.18)。
ニル化を示す。図6Aは、様々な細胞株から単離された
いくつかのcDNAクローンの比較を示す。白抜きの箱
は、サイクリンD1遺伝子のコード領域を含む1.7k
bの小さな転写物を示す。斜線の箱は、4.8kb長の
転写物に存在する3’断片を示す。各cDNAクローン
の上に制限部位を示して、これらのクローンが整列され
ていることを示す。図6Bは、いくつかのクローンに関
して、最初のポリアデニル化部位を取り囲むヌクレオチ
ド配列を示す(CYCD1−21,SEQ ID N
o.14;CYCD1−H12,SEQ ID No.
15;CYCD1−H034,SEQID No.1
6;CYCD1−T078,SEQ ID No.1
7、及び、ゲノムクローン;CYCD1−G068,S
EQ ID No.18)。
【図7】11種の哺乳類サイクリンのタンパク質配列の
比較を示す(CYCD1−Hs,SEQ ID No.
19;CYL1−Mm,SEQ ID No.20;C
YCD2−Hs,SEQ ID No.21;CYCL
2−Mm,SEQ IDNo.22;CYCD3−H
s,SEQ ID No.23;CYL3−Mm,SE
Q ID No.24;CYCA−Hs,SEQ ID
No.25;CYCB1−Hs,SEQ ID N
o.26;CYCB2−Hs,SEQ IDNo.2
7;CYCC−Hs,SEQ ID No.28;CY
CE−Hs,SEQ ID No.29)。
比較を示す(CYCD1−Hs,SEQ ID No.
19;CYL1−Mm,SEQ ID No.20;C
YCD2−Hs,SEQ ID No.21;CYCL
2−Mm,SEQ IDNo.22;CYCD3−H
s,SEQ ID No.23;CYL3−Mm,SE
Q ID No.24;CYCA−Hs,SEQ ID
No.25;CYCB1−Hs,SEQ ID N
o.26;CYCB2−Hs,SEQ IDNo.2
7;CYCC−Hs,SEQ ID No.28;CY
CE−Hs,SEQ ID No.29)。
【図8】ヒトサイクリンD遺伝子のゲノム構造を図示す
る。各図形は、各サイクリンD遺伝子由来の、完全に配
列決定を行った制限断片を示す。黒塗の箱は、エクソン
配列を示す。白抜きの箱は、イントロン、あるいは、
5’及び3’非翻訳配列を示す。斜線の箱は、偽遺伝子
を示す。各クローンの上に、いくつかの制限部位、AT
G、及び、停止コドンを示す。
る。各図形は、各サイクリンD遺伝子由来の、完全に配
列決定を行った制限断片を示す。黒塗の箱は、エクソン
配列を示す。白抜きの箱は、イントロン、あるいは、
5’及び3’非翻訳配列を示す。斜線の箱は、偽遺伝子
を示す。各クローンの上に、いくつかの制限部位、AT
G、及び、停止コドンを示す。
【図9】サイクリンD2偽遺伝子の核酸配列(SEQ
ID No.30)及びアミノ酸配列(SEQ ID
No.31)を示す。
ID No.30)及びアミノ酸配列(SEQ ID
No.31)を示す。
【図10】サイクリンD3偽遺伝子の核酸配列(SEQ
ID No.32)及びアミノ酸配列(SEQ ID
No.33)を示す。
ID No.32)及びアミノ酸配列(SEQ ID
No.33)を示す。
【図11】1.3kbのヒトサイクリンD1プロモータ
ーの核酸配列(SEQ ID No.34)を示す。こ
の配列は、開始ATGコドンで終わる。転写は、およそ
ヌクレオチド−160で開始する。
ーの核酸配列(SEQ ID No.34)を示す。こ
の配列は、開始ATGコドンで終わる。転写は、およそ
ヌクレオチド−160で開始する。
【図12】1.6kbのヒトサイクリンD2プロモータ
ーの核酸配列(SEQ ID No.35)を示す。こ
の配列は、開始ATGコドンで終わる。転写は、およそ
ヌクレオチド−170で開始する。
ーの核酸配列(SEQ ID No.35)を示す。こ
の配列は、開始ATGコドンで終わる。転写は、およそ
ヌクレオチド−170で開始する。
【図13】3.2kbのヒトサイクリンD3プロモータ
ーの核酸配列(SEQ ID No.36)を示す。こ
の配列は、開始ATGコドンで終わる。転写は、およそ
ヌクレオチド−160で開始する。
ーの核酸配列(SEQ ID No.36)を示す。こ
の配列は、開始ATGコドンで終わる。転写は、およそ
ヌクレオチド−160で開始する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12Q 1/68 (C12Q 1/68 A //(C12Q 1/68 C12R 1:645) C12R 1:645) C12N 15/00 ZNAA
Claims (6)
- 【請求項1】 G1期において活性である哺乳類サイクリ
ンをコードする遺伝子を同定するための方法であって、 変異酵母細胞に、試験DNA配列を含む酵母発現ベクター
を導入し、前記変異酵母細胞が、細胞周期の開始に必須
な少なくとも一つの遺伝子内に変異を有し、前記変異酵
母細胞を、前記遺伝子あるいは複数の遺伝子の発現を阻
害するような条件下で増殖させたときに、前記変異が、
前記細胞周期の開始の直前の期における停止を引き起こ
し、 前記形質転換された酵母細胞を、前記遺伝子あるいは複
数の遺伝子の発現を阻害する条件下における増殖能力に
ついて、選択する、ステップから成り、 前記形質転換された酵母細胞を細胞周期の開始点に導入
するようなDNA試験配列を発現する、形質転換された酵
母細胞が選択される、ことを特徴とする方法。 - 【請求項2】 前記酵母発現ベクターがpADNSであり、
前記変異酵母細胞が、不活性なCLN1遺伝子と、不活性な
CLN2遺伝子と、変異CLN3遺伝子とを有し、前記変異CLN3
遺伝子が、グルコース抑制性のプロモーターから条件的
に発現され、発現を阻害する前記条件が、グルコースか
ら構成される培地の存在下での増殖であることを特徴と
する、請求項1に記載の方法。 - 【請求項3】 D-型サイクリンを含む複合体のキナーゼ
活性の阻害剤を同定するための方法であって、D-型サイ
クリン及びプロテインキナーゼの複合体を試験化合物で
処理する工程と、結果として生じた複合体のキナーゼ活
性を、前記化合物によるサイクリン依存性キナーゼ活性
の阻害を示すキナーゼ活性の減少によって、測定する方
法と、を包含する方法。 - 【請求項4】 D-型サイクリン依存性キナーゼ活性の阻
害剤と同定された複合体が細胞に進入するのに適した条
件において、前記細胞を前記複合体で処理し、細胞分裂
の速度を測定し、この速度と、処理されていない細胞の
分裂速度とを比較する更なる工程、を包含する請求項3
に記載の方法。 - 【請求項5】 阻害剤として同定された1つ又はそれ以
上の化合物を、患者に対する薬剤として投与するために
調剤する更なる工程、を包含する請求項3又は4に記載
の方法。 - 【請求項6】 請求項5に従って調剤された1つ又はそ
れ以上の化合物を、不必要な細胞分裂を制御するのに十
分な量で投与すること、を包含する不必要な細胞分裂の
速度を低下させるための方法。
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---|---|---|---|
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US701,514 | 1991-05-16 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
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Family
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Family Applications (2)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5500242A Withdrawn JPH06507787A (ja) | 1991-05-16 | 1992-05-18 | D−型サイクリン並びにそれに関連する使用方法 |
JP2001060722A Pending JP2001299368A (ja) | 1991-05-16 | 2001-03-05 | D−型サイクリンに関連する使用方法 |
Family Applications Before (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5500242A Withdrawn JPH06507787A (ja) | 1991-05-16 | 1992-05-18 | D−型サイクリン並びにそれに関連する使用方法 |
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JP (2) | JPH06507787A (ja) |
CA (1) | CA2103161A1 (ja) |
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