JP2001296903A - モールドレベル制御装置、モールドレベル制御方法及び記憶媒体 - Google Patents

モールドレベル制御装置、モールドレベル制御方法及び記憶媒体

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JP2001296903A
JP2001296903A JP2000110799A JP2000110799A JP2001296903A JP 2001296903 A JP2001296903 A JP 2001296903A JP 2000110799 A JP2000110799 A JP 2000110799A JP 2000110799 A JP2000110799 A JP 2000110799A JP 2001296903 A JP2001296903 A JP 2001296903A
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Masaaki Yamana
正哲 山名
Naoki Yagi
直樹 八木
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 CCの操業中に発生する外乱に対する抑制性
能を向上させるとともに、H∞理論に沿って制御する場
合の調整法を簡便化するとともに制御特性の変更を可能
とし、かつ低次元のH∞コントローラで制御系を構成す
る。 【解決手段】 モールドレベル検出値とCCモールドレ
ベル制御系への操作量を入力とするオブザーバー22で
制御対象の状態量を推定し、状態量と前記操作量を入力
としてNNプロセス同定器23でむだ時間補償信号を生
成し、目標モールドレベル値と検出値の偏差を差分器2
6で計算した後PI演算器25で計算し、その結果とむ
だ時間補償信号を加算器28で加算し、加算した結果を
主コントローラでPID演算して操作量1を算出し、外
乱抑制の為にH∞コントローラにモールドレベル値を入
力して操作量2を算出し、操作量1と操作量2を加算器
で加算した値を最終的な操作量とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無視できないむだ
時間を有する連続鋳造設備(以下CCと称する)モール
ドレベル制御系のモールドレベルを好適に制御する制御
装置、制御方法及び記憶媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、CCモールドレベル制御系はワン
ループのPIDコントローラにより、目標とするモール
ドレベル値とモールドレベル検出器で検出したモールド
レベル値との偏差に基づく比例・積分・微分制御(PI
D制御)を行うのが一般的であった。しかしながらこの
PID制御方式は目標モールドレベル値に実モールドレ
ベル値を制定することに主眼を置いた定値制御であり、
CCの操業中に発生するインジェクションノズルのアル
ミナ剥離によるモールドへの注入溶融金属の増大による
モールドレベルの急上昇やモールドレベルが周期的に変
動するあるいは鋳造速度が変化したときに生じるモール
ドレベルの乱れと言うような外乱に対する抑制能力が劣
ると言う欠点があった。
【0003】更に、近年はH∞理論を適用したH∞コン
トローラでモールドレベル制御系を制御する手法が提案
されている(特開平5−177321号公報、特開平6
−79423号公報、特開平7−60423号公報)
が、無視できないむだ時間を制御対象の摂動として捕ら
え、H∞理論で定式化して、H∞コントローラを求める
ものでH∞コントローラ内にむだ時間に対する補償を含
めて制御するものであり、むだ時間を個別に補償するも
のではなく、制御特性を変えようと思えばそのたびごと
に毎回H∞コントローラを求めなおす必要があり、PI
Dコントローラのようにゲインを調整して制御特性を変
えられると言う簡便性にかけていたと言う欠点があっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は上述のように従来のPID制御では実現でき
なかった、CCの操業中に発生するインジェクションノ
ズルのアルミナ剥離によるモールドレベルへの注入溶融
金属の増大により生じるモールドレベルの急上昇やモー
ルドレベルが周期的に変動するといった現象や鋳造速度
が変更されたときモールドレベルが変動すると言った外
乱に対する抑制性能を向上させるとともにH∞理論に沿
ってH∞コントローラを求めてこれで制御する場合、制
御特性を望ましい状態に変更しようとすればこれまでは
H∞コントローラをその都度もとめる必要があったが、
そういう調整法を簡便化し、調整可能な主コントローラ
あるいはPI補償器のゲインを調節して目標値応答性や
外乱抑制性における整定時間の調整などの制御特性を変
えられ、かつ低次元のH∞コントローラで制御系を構成
できるような制御装置を提供することに有る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のモールドレベル
制御装置は、モールド内の溶融金属のモールドレベル検
出値を検出するモールドレベル検出器と、前記モールド
レベル検出値からモールド内へ注入する溶融金属の注入
量の操作量を演算する操作量演算器と、前記操作量に応
じて注入量を操作する注入量操作器とを備えたモールド
レベル制御装置であって、前記モールドレベル検出値と
前記操作量を入力として制御対象の状態量を推定する推
定手段と、前記状態量のみ又は前記状態量と前記操作量
とを入力としてむだ時間補償信号を生成するむだ時間補
償信号生成手段と、目標モールドレベル値と前記モール
ドレベル検出値の偏差を演算する差分演算手段と、演算
した前記偏差をPI演算器で計算しその結果と前記むだ
時間補償信号とを加算する第1の加算手段と、前記第1
の加算器で得られた結果をPID演算あるいはファジー
演算し、その結果を第1の操作量として算出する主コン
トロール手段と、外乱抑制の為に前記モールドレベル検
出値を入力として第2の操作量を算出する、H∞理論を
適用したH∞コントロール手段と、前記第1の操作量と
前記第2の操作量とを加算して最終的な前記操作量を算
出する第2の加算手段とを有する。
【0006】また、本発明のモールドレベル制御方法
は、溶融金属を連続して鋳造する連続鋳造設備におい
て、モールド内の溶融金属のレベル値を検出し、前記検
出したレベル値から前記モールド内へ注入する溶融金属
の注入量の操作量を計算し、計算した操作量に応じて前
記注入量を操作するモールドレベル制御方法であって、
前記検出したレベル値とCCモールドレベル制御系への
前記操作量を入力とするオブザーバー又はカルマンフィ
ルターで制御対象の状態量を推定し、前記推定した状態
量のみあるいは前記状態量と前記操作量とを入力とし同
定したニューラルネットワークによるプロセス同定モデ
ルでむだ時間補償信号を生成し、目標モールドレベル値
と前記レベル値の偏差を計算し、前記偏差に前記むだ時
間補償信号を加算し、加算した結果をPID演算あるい
はファジー演算して第1の操作量を算出し、外乱抑制の
為に、CCモールドレベル制御系に対して求めたH∞コ
ントローラにより前記モールドレベル値から第2の操作
量を算出し、前記第1の操作量と前記第2の操作量を加
算した値を最終的な前記操作量として演算するようにし
ている。
【0007】また、本発明の記憶媒体は、上記のCCモ
ールドレベル制御方法の各手順をコンピュータに実行さ
せるためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り
可能な記憶媒体である。
【0008】本発明では、溶融金属を連続して鋳造する
連続鋳造設備でモールド内の溶融金属のレベルを検出す
るモールドレベル検出器と該モールドレベル検出器で検
出したモールドレベル値からモールドレベル内へ注入す
る溶融金属の注入量の操作量を計算する操作量演算器と
該操作量演算器が計算した操作量に応じて注入量を操作
する注入量操作器とを具備するモールドレベル制御装置
において、上記操作量演算器が、前記モールドレベル検
出値とCCモールドレベル制御系への操作量を入力とす
る、オブザーバー又はカルマンフィルター22で制御対
象の状態量を推定し、その推定した状態量のみあるいは
その状態量と前記操作量を入力とし、同定したニューラ
ルネットワーク(以下NNとも称する)によるプロセス
同定モデル23で行うこれらむだ時間補償器でむだ時間
の補償信号を生成し、目標モールドレベル値とモールド
レベル検出値の偏差を差分器26で計算し、それをPI
演算器25で計算したものに、上記むだ時間補償信号を
加算器27で加え、主コントローラ21でPID演算あ
るいはファジー演算し、操作量1を計算しCCモールド
レベル制御系に対して求めたH∞コントローラ29にモ
ールドレベル値を作用させて操作量2を計算し、前記操
作量1と上記操作量2を加算器28で加算した値を最終
的な操作量として演算するものである(図1、図2参
照)。
【0009】即ち本発明では、無視できないむだ時間を
補償するむだ時間補償信号に起因する操作量1と外乱抑
制の為に導入したH∞コントローラによる操作量2を加
算器で加算した値を最終的な操作量とするような制御装
置であり、この点に最大の特徴がある。
【0010】言いかえれば無視できないむだ時間を補償
する信号に起因する操作量1を積極的に残すことで調整
可能な主コントローラあるいはPI補償器のゲインが調
整できるようになり、制御特性の調整がこのゲインで実
施できる利点が生じ、更にH∞コントローラによる操作
量2で外乱抑制性能を高めると言う役割分担ができる。
【0011】従って、本発明は以上のような手段を講じ
たことにより、CCモールドレベル制御系の状態量を推
定するオブザーバーあるいはカルマンフィルターはCC
モールドレベル制御系への操作量とモールドレベル検出
器で検出したモールドレベル値を入力として、CCモー
ルドレベル制御系の状態量を推定し、その状態量を出力
値として、この状態量の推定値のみあるいはこの状態量
の推定値とCCモールドレベル制御系への操作量を入力
とし、同定されたNNによるプロセス同定器に受け継
ぎ、このNNによるプロセス同定器でむだ時間を補償す
る補償信号を計算し、CCモールドレベルの目標値とC
Cモールドレベル検出器で検出したモールドレベル値の
偏差を計算する差分器の出力信号をPI演算し、その結
果と前述のむだ時間補償信号を加算したものを調整可能
な主コントローラに送り、この主コントローラでPID
演算あるいはファジー演算を行い、該演算結果を操作量
1とし、CCモールドレベル制御系に対して求めたH∞
コントローラにCCモールドレベル検出器で検出したモ
ールドレベル値を入力して、外乱抑制信号を計算し、こ
れを操作量2とし、上記操作量1と操作量2を加算器で
加算した値を、CCモールドレベル制御系への最終的な
操作量とする操作量演算装置を構成するCCモールドレ
ベル制御系の制御装置が装備でき、外乱抑制性能の向上
と、目標値応答性や外乱抑制性における整定時間を調整
すると言った制御特性をゲイン調整により実施でき、制
御特性の調整の簡便化とH∞コントローラの低次元化を
同時に実現できる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明はCCモールドレベル制御
装置に関するものであるが、このCCモールドレベル制
御系を図1に従って説明する。溶融金属Mはバッファで
あるタンディッシュ11に一時的に注入され、タンディ
ッシュ11からインジェクションノズル12を経てモー
ルド内へ注がれ、注がれた溶融金属Mはモールド13で
冷却され、モールド13下部でさらに冷却され凝固して
引き抜かれる。ところでタンディッシュ11から注ぐ溶
融金属Mの注入量は、タンディッシュ11内に挿入され
たストッパー10により調節され、インジェクションノ
ズル12を経てモールド13内に注がれるが、モールド
レベルは例えばLLDセンサー16により検出される。
検出されたモールドレベル値は制御装置17内に取り込
まれ操作量としてストッパー10の開度を計算して、ス
トッパー10を駆動する油圧シリンダー18に出力され
る。
【0013】このCCモールドレベル制御系をブロック
線図で表すと図2のようになる。図2において、制御対
象20としては溶融金属Mの注入量を調整するストッパ
ーを駆動する油圧系30の応答と、むだ時間を含むスト
ッパー・モールド系31及び積分系32とモールドレベ
ルを検出するレベル計33の応答とからなる。上述の油
圧系30の応答としては近似的に一次遅れで表され、時
定数はTHである。又ストッパー・モールド系31ではタ
ンディッシュ11からインジェクションノズル12を経
てモールド内のモールドレベルに反映されるまでのむだ
時間Lと積分項で表され、モールドレベルの検出器であ
るレベル計33は通常近似的に一次遅れで表され時定数
はTLである。
【0014】また操作量演算器は、CCモールドレベル
制御系20の状態量を推定するオブザーバーあるいはカ
ルマンフィルター22は、CCモールドレベル制御系2
0への操作量とモールドレベル検出器で検出したモール
ドレベル値を入力として、CCモールドレベル制御系2
0の状態量を推定し、その状態量を出力値として、この
状態量の推定値のみあるいはこの状態量の推定値とCC
モールドレベル制御系20への操作量を入力とし、同定
されたNNによるプロセス同定器23に受け継ぎ、この
NNによるプロセス同定器23でむだ時間を補償する補
償信号を計算し、CCモールドレベルの目標値とCCモ
ールドレベル検出器で検出したモールドレベル値の偏差
を計算する差分器26の出力信号をPI補償器25で演
算し、その結果と前述のむだ時間補償信号を加算器27
で加算したものを調整可能な主コントローラ21に送
り、この主コントローラ21でPID演算あるいはファ
ジー演算を行い、該演算結果を操作量1とし、CCモー
ルドレベル制御系20に対して求めたH∞コントローラ
29にCCモールドレベル検出器で検出したモールドレ
ベル値を入力して、外乱抑制信号を計算し、これを操作
量2とし、上記操作量1と操作量2を加算器28で加算
した値を、CCモールドレベル制御系20への最終的な
操作量とする構成である。
【0015】この制御対象(即ちCCモールドレベル制
御系20)に対して今回の発明を実現する手順を説明す
る。
【0016】最初に行わねばならないことは、オブザー
バーあるいはカルマンフィルターを制御対象に応じて設
置することである。ここではオブザーバーの設置方法に
ついて説明するが、カルマンフィルターについても同様
である。
【0017】さてオブザーバーは状態観測器とも呼ば
れ、制御対象の状態量を推定するものである。制御対象
の状態量を推定するオブザーバーには制御対象の制御量
(ここではモールドレベル検出器であるレベル計の出力
値)を1つの状態量とみなしてオブザーバーの状態変数
の数を低減する最小次元オブザーバーと制御対象の状態
変数をそのまま推定する同一次元オブザーバーがある。
ここではオブザーバーの次元を下げる最小次元オブザー
バーを例に説明する。
【0018】(最小次元オブザーバー)CCモールドレ
ベル制御系の特性が次の状態空間表現で表されるとき、
【0019】
【数1】
【0020】但し、x(t)はn 次元ベクトルu(t)はm次元
ベクトル、y(t)はl次元ベクトルである。又、Φは(n×
n)行列、Γは(n×m)行列、Cは(1×n)行列で理論的に伝
達関数から状態空間表現に変換したものあるいは適切な
同定法に従って求めた行列である。
【0021】最小次元オブザーバーは次式で表される。
【0022】
【数2】
【0023】状態変数の推定値はxh(t) であり、最小次
元オブザーバーは上記Φ0,K,Γ0,D,Hを求める問題と
なる。
【0024】それでは各行列の求め方についてステップ
を踏んで説明する。先ず、Step1について説明する。こ
こでは、
【0025】
【数3】
【0026】が det S≠0となるように行列W( n-l×n
)を適切に選ぶ。
【0027】Step2では、
【0028】
【数4】
【0029】を計算し、Φ1112212212
を求める。
【0030】Step3では、 Φ022 − LΦ12 (n-l×n-l ) の固有値をγ1,…,γn-l になるように行列Lを決定す
る。これでΦ0が求まる。
【0031】Step4では、次のK,Γ0,D,Hを求める。
【0032】
【数5】
【0033】但し、Iは適当な次元の単位行列である。
【0034】今述べた手順でオブザーバーが求まった。
このオブザーバーを前述の様にCCモールドレベル制御
系に設置し、目標値応答あるいは外乱抑制応答を求め、
ニューラルネットワークの同定に必要なCCモールドレ
ベル制御系の状態量のみあるいはCCモールドレベル制
御系の状態量及び操作量(この場合ストッパーの開度)
と教師データであるCCモールドレベル制御系の制御量
をもとめる。これがNNの同定用データである。
【0035】さて次に同定するニューラルネットワーク
について簡単に説明する (図3参照)。ニューラルネ
ットワークは人間の脳の働きを模擬した工学モデルであ
り、最近ではパターン認識や非線型回帰問題等に積極的
に適用されている。本発明で採用するニューラルネット
ワークは階層型のニューラルネットワークであり、階層
内の入出力関係は持たず、階層間でのみ入出力関係を持
つもので通常1つの入力層、1つ以上の中間層、1つの
出力層で構成される。1つの層内はニューロンで構成さ
れ、このニューロンと他層のニューロンが重み係数で結
合され、それにより全体のネットワークを構成する。図
3(a)は2つの層間の入出力関係を模式的に表した図
である。また、以下の(1)式は1つのニューロンに関
する入力値の計算式を示している。
【0036】
【数6】
【0037】ここで、piはニューロンjへの入力値
を、xiはニューロンjへの入力信号を示している。
【0038】また、以下の(2)式は1つのニューロン
の出力値の計算式を示している。
【0039】
【数7】
【0040】ここで、qiはニューロンjの出力値を示
している。
【0041】従って、先に求めた同定用のデータを用い
てニューラルネットワークによるプロセス同定モデルを
求めるわけであるが、ニューラルネットワークの出力層
に教師信号であるCCモールドレベル制御系の制御量を
与えて、入力層には入力信号であるCCモールドレベル
制御系の状態量を加え、そのときの計算した出力層の出
力値と教師信号との誤差の2乗和が極小になるようにニ
ューロン間の重み係数を計算して同定するのである。こ
の計算方法は各階層の上流側即ち出力層側から順次下流
側即ち入力層側に重みを計算するのでバックプロパゲー
ション(逆伝播学習法)と呼ばれている。
【0042】このバックプロパゲーション法によりニュ
ーラルネットワークの同定モデルを求めたが、今回の例
ではニューラルネットワークの中間層は2層とし、全体
で4層のニューラルネットワークで入力層は3ニューロ
ン、中間層1は5ニューロン、中間層2は5ニューロ
ン、出力層は1ニューロンとした。
【0043】このようにしてすでに構築しているCCモ
ールドレベル制御系のオブザーバーと今求めたニューラ
ルネットワークによるプロセス同定モデルを図2のよう
に制御対象20に対して設置し、調整可能な主コントロ
ーラ、PI補償器をあわせて設けることにより、むだ時
間補償に起因する制御対象の操作量1を計算できる。
【0044】次に、外乱抑制のための外乱抑制信号を計
算するH∞コントローラの設計手順について説明する。
【0045】今回制御対象となるCCモールドレベル制
御系は前述の様に積分項を含む系である。このように原
点に極を持つ場合は、文献“制御系設計―H∞制御とそ
の応用:朝倉書店”に記載されているように、一例とし
てNCF(Normalized Coprime Factorization)法を用
いてH∞コントローラを求めるのが適切である。
【0046】以下にNCF法に基づいてH∞コントロー
ラを求める手順を説明する。
【0047】(NCF法によるH∞コントローラ設計手
順) 設計の前提条件 制御対象の特性が次の伝達関数で表されるとする。これ
は前述のCCモールドレベル制御系のブロック線図に基
づいて状態空間表現するとA,B,C,Dが求まる。その際勿
論むだ時間項を除いている。
【0048】G(s) = C(sI−A)-1B+D
【0049】このとき(C,A)可検出で、(A,B)可
安定とする。この条件はCCモールドレベル制御系では
成立する。
【0050】先ず、STEP1では、次のRiccati Eq.の正
定解X,Zを求める。
【0051】
【数8】
【0052】但し、
【0053】
【数9】
【0054】である。
【0055】STEP2では、STEP1で求めたRiccati Eq.
の正定解X,Zを用いて行列ZXの最大固有値λMAX(ZX)を求
める。この最大固有値を用いて次の値を計算する。
【0056】
【数10】
【0057】但し、δ>0である。このδが設計パラメ
ータであり、このδ値を適切に設定する。
【0058】STEP3では、中心解を求める。このとき準
最適問題‖TZW‖<γの中心解は下の式で求まる。TZW
一般化制御対象である。
【0059】
【数11】
【0060】但し、
【0061】
【数12】
【0062】である。
【0063】尚NCF法でH∞コントローラを求めるた
めには、CCモールドレベル制御系の前後にコントロー
ラV,Wを設けるが、今回の例ではV=−1、W=1に相当
する。これは、あくまで、計算の便宜上V=-1,W=1とした
もので構築する制御系が厳密にNCF法に対応している
わけではない。更に勿論このコントローラを他のものに
置き換えてもよいが、こうすることでH∞コントローラ
の次数を低減できる。
【0064】以上の手順を踏まえてH∞コントローラが
3次のコントローラとして求まるので、求まったH∞コ
ントローラを図2のように設置すると、CCモールドレ
ベル制御系のモールドレベル値からH∞コントローラを
経て外乱抑制信号である操作量2を演算できる。
【0065】このようにして本発明のCCモールドレベ
ル制御系の制御装置全体を実現できた。本発明による作
用は次のようになる。CCモールドレベル制御系の入力
信号である操作量(ストッパー開度に相当)とCCモー
ルドレベル制御系の出力である制御量(モールドレベル
値に相当)とを入力として2次元の最小次元オブザーバ
ーでCCモールドレベル制御系の3状態量を推定する。
このCCモールドレベル制御系の3状態量を今同定した
ニューラルネットワークによるプロセス同定モデルに入
力し、CCモールドレベル制御系の無視できないむだ時
間を補償する信号を生成する。この生成した信号と、C
Cモールドレベル制御系の目標値とCCモールドレベル
制御系の制御量との偏差のPI演算値とを加え,加算し
た信号を主コントローラでPID演算あるいはファジー
演算し、CCモールドレベル制御系への操作量1を計算
し、すでに求めたH∞コントローラはCCモールドレベ
ル制御系のモールドレベル値を入力とし、該コントロー
ラで外乱抑制信号を演算しCCモールドレベル制御系へ
の操作量2を計算し、上記操作量1と操作量2を加算器
で加算し、最終的な操作量を演算してCCモールドレベ
ル制御系を制御するのである。
【0066】なお、本実施形態では制御対象の状態量を
推定する手段として、最小次元オブザーバーを採用した
が、もちろん同一次元オブザーバーでも全く同様の効果
を発揮する。更にカルマンフィルターで状態推定しても
良いことは勿論である。
【0067】また、本実施形態はNNによるプロセス同
定器への入力信号はオブザーバーで推定した状態量のみ
で説明したが、オブザーバーで推定した状態量とCCモ
ールドレベル制御系への操作量をNNによるプロセス同
定器への入力信号として制御装置を構築しても全く同様
の効果を発揮することは勿論である。
【0068】更に、本発明は実施形態で示したストッパ
ータイプのCCのみに適用されるものではなく、スライ
ディングノズル方式のCCに対しても適用でき同様の効
果を発揮するものである。
【0069】以上述べたようなCCモールドレベル制御
系の制御装置を構築することにより、CCモールドレベ
ルの制御特性が改善できる。
【0070】その例について以下に示す。図4(a)及
び図4(b)は従来用いられてきたPID制御でステッ
プ外乱と周期的外乱に対する外乱抑制応答を模擬したも
のであり、図4(c)及び図4(d)は本発明の実施形
態によるステップ外乱と周期的外乱に対する外乱抑制応
答を示している。この結果によるとステップ外乱に対す
る外乱抑制性能は約30%改善でき、周期的外乱に対し
ては3分の1に低減できることがわかり、本発明が有効
であることが判る。
【0071】(その他の実施形態)上記様々な実施形態
に示した各機能ブロックおよび処理手順は、ハードウェ
アにより構成しても良いし、CPUあるいはMPU、R
OMおよびRAM等からなるマイクロコンピュータシス
テムによって構成し、その動作をROMやRAMに格納
された作業プログラムに従って実現するようにしても良
い。また、上記各機能ブロックの機能を実現するように
当該機能を実現するためのソフトウェアのプログラムを
RAMに供給し、そのプログラムに従って上記各機能ブ
ロックを動作させることによって実施したものも、本発
明の範疇に含まれる。
【0072】この場合、上記ソフトウェアのプログラム
自体が上述した各実施形態の機能を実現することにな
り、そのプログラム自体、及びそのプログラムをコンピ
ュータに供給するための手段、例えばかかるプログラム
を格納した記録媒体は本発明を構成する。かかるプログ
ラムを記憶する記憶媒体としては、上記ROMやRAM
の他に、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハー
ドディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−RO
M、CD−I、CD−R、CD−RW、DVD、zi
p、磁気テープ、あるいは不揮発性のメモリカード等を
用いることができる。
【0073】また、コンピュータが供給されたプログラ
ムを実行することにより、上述の実施形態の機能が実現
されるだけでなく、そのプログラムがコンピュータにお
いて稼働しているOS(オペレーティングシステム)あ
るいは他のアプリケーションソフト等の共同して上述の
実施形態の機能が実現される場合にもかかるプログラム
は本発明の実施形態に含まれることは言うまでもない。
【0074】さらに、供給されたプログラムがコンピュ
ータの機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能
拡張ユニットに備わるメモリに格納された後、そのプロ
グラムの指示に基づいてその機能拡張ボードや機能拡張
ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全
部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が
実現される場合にも本発明に含まれることは言うまでも
ない。
【0075】
【発明の効果】本発明によれば、CCモールドレベル制
御系の制御装置に関するもので、従来のPID制御方法
に比べ外乱抑制性能を飛躍的に向上させ、鋳片の品質を
向上させることができ、かつ従来のH∞コントローラの
制御に比べ、目標値応答や外乱抑制応答の応答特性をゲ
インによっても調整でき、簡便な調整法を提供できかつ
H∞コントローラの次数を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】CCモールドレベル制御系を示す模式図であ
る。
【図2】本発明に係るCCモールドレベル制御系のブロ
ック線図である。
【図3】ニューラルネットワークを説明するための模式
図である。
【図4】本発明に関する効果の一例を示した図である。
【符号の説明】
10 ストッパー 11 タンディッシュ 12 インジェクションノズル 13 モールド 14 ピンチロール 15 冷却スプレー 16 湯面レベル計 17 コントローラ 18 油圧シリンダー 20 CCモールドレベル制御系 21 主コントローラ 22 オブザーバーあるいはカルマンフィルター 23 NNプロセス同定器 24 目標値設定器 25 PI補償器 26 差分器 27,28 加算器 29 H∞コントローラ 30 油圧系 31 ストッパー・モールド系 32 積分系 33 レベル計の応答
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22D 11/18 B22D 11/18 B G05B 11/36 501 G05B 11/36 501Z 13/04 13/04 Fターム(参考) 4E004 MB02 MB17 5H004 GA08 GA10 GA15 GB03 HA05 HB05 JA01 JB21 JB23 KB02 KB04 KB06 KC18 KC33 KC44 KD05 KD31 LA01 LA02 LA03 LA11 9A001 BB02 BB03 BB04 DD07 FF07 GG05 GG11 HH06 JJ48 JJ73 KK37 KK54

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モールド内の溶融金属のモールドレベル
    検出値を検出するモールドレベル検出器と、前記モール
    ドレベル検出値からモールド内へ注入する溶融金属の注
    入量の操作量を演算する操作量演算器と、前記操作量に
    応じて注入量を操作する注入量操作器とを備えたモール
    ドレベル制御装置であって、 前記モールドレベル検出値と前記操作量を入力として制
    御対象の状態量を推定する推定手段と、 前記状態量のみ又は前記状態量と前記操作量とを入力と
    してむだ時間補償信号を生成するむだ時間補償信号生成
    手段と、 目標モールドレベル値と前記モールドレベル検出値の偏
    差を演算する差分演算手段と、 演算した前記偏差をPI演算器で計算しその結果と前記
    むだ時間補償信号とを加算する第1の加算手段と、 前記第1の加算器で得られた結果をPID演算あるいは
    ファジー演算し、その結果を第1の操作量として算出す
    る主コントロール手段と、 外乱抑制の為に前記モールドレベル検出値を入力として
    第2の操作量を算出する、H∞理論を適用したH∞コン
    トロール手段と、 前記第1の操作量と前記第2の操作量とを加算して最終
    的な前記操作量を算出する第2の加算手段とを有するこ
    とを特徴とするモールドレベル制御装置。
  2. 【請求項2】 モールド内の溶融金属のモールドレベル
    検出値を検出し、前記モールドレベル検出値から前記モ
    ールド内へ注入する溶融金属の注入量の操作量を演算
    し、前記操作量に応じて前記注入量を操作するモールド
    レベル制御方法であって、 前記検出したモールドレベル検出値と前記操作量とを入
    力として制御対象の状態量を推定し、前記状態量のみ又
    は前記状態量と前記操作量とを入力として同定したニュ
    ーラルネットワークによりむだ時間補償信号を生成し、
    目標モールドレベル値と前記モールドレベル検出値の偏
    差を計算し、前記偏差に前記むだ時間補償信号を加算
    し、加算した結果をPID演算あるいはファジー演算し
    て第1の操作量を算出し、 外乱抑制の為に、モールドレベル制御系に対して求めた
    H∞コントローラにより前記モールドレベル検出値から
    第2の操作量を算出し、 前記第1の操作量と前記第2の操作量を加算した値を最
    終的な前記操作量として演算するようにしたことを特徴
    とするモールドレベル制御方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のモールドレベル制御方
    法の各手順をコンピュータに実行させるためのプログラ
    ムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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