JP2001295093A - 耐食耐摩耗部材およびその製造方法、ならびにポンプ装置 - Google Patents

耐食耐摩耗部材およびその製造方法、ならびにポンプ装置

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JP2001295093A JP2000107136A JP2000107136A JP2001295093A JP 2001295093 A JP2001295093 A JP 2001295093A JP 2000107136 A JP2000107136 A JP 2000107136A JP 2000107136 A JP2000107136 A JP 2000107136A JP 2001295093 A JP2001295093 A JP 2001295093A
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一也 堤
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    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C28/00Coating for obtaining at least two superposed coatings either by methods not provided for in a single one of groups C23C2/00 - C23C26/00 or by combinations of methods provided for in subclasses C23C and C25C or C25D

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性を有する金属メッキの耐食性を向上
させ、耐食性と耐摩耗性を兼ね備えた耐食耐摩耗部材を
得ること。従来よりも長時間、初期性能の維持が可能な
ポンプ装置を得ること。 【解決手段】 母材11の表面を耐摩耗性金属メッキ層
12で被覆し、そのメッキ層12にシリコン樹脂または
フッ素樹脂を塗布し、その樹脂を乾燥、硬化させて密着
させる。それによって、耐摩耗性金属メッキ層12に存
在するき裂13を樹脂封孔部14により塞ぎ、き裂13
内へ環境水が浸入するのを防ぐ。また、ポンプ装置の主
軸において、軸受け部材に対して摺動する部位に、耐摩
耗性金属メッキ層のき裂を樹脂により封孔してなる耐食
耐摩耗被覆を設ける。それによって、金属メッキ層のき
裂内に環境水が浸入するのを防ぎ、金属メッキ層の剥離
を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐食耐摩耗部材お
よびその製造方法に関し、特にボイラなどのように腐食
が起こり得る環境で使用されるポンプ装置、さらにはそ
の主軸に適用して好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】耐摩耗性に優れた金属メッキとしてクロ
ムメッキが知られている。ポンプ装置の主軸において、
軸受け部材に対して摺動する部位には、耐摩耗性が要求
されるため、クロムメッキなどの処理がなされている。
【0003】図4は、クロムメッキ処理した部材の一部
を示す拡大断面図である。一般に、母材1の表面を被覆
するクロムメッキ層2の厚さは100μm程度である。
そのメッキ層2には、メッキ表面に開口し、かつ厚さ方
向に延びる多数のポーラス状の微細なき裂3が生じる。
主軸の摺動部位を被覆するクロムメッキ層にこのような
き裂があっても、軸受け部材との摺動によるクロムメッ
キ層の摩耗量は少ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、クロム
メッキ処理された装置や部材が、たとえば給水ポンプの
ように、水などが存在する腐食性の環境中で使用される
場合、次のようなメカニズムによってクロムメッキに損
傷が生じることがわかった。
【0005】まず、クロムメッキの微細なき裂内に環境
水が入り込み、そのき裂内で隙間腐食が生じる。その腐
食はクロムメッキと母材の界面まで進行し、母材の腐食
によりクロムメッキと母材の密着強度の低下をもたら
す。その際、環境水に流れがあると、エロージョン・コ
ロージョンによりクロムメッキが剥離してしまう。クロ
ムメッキが剥離してしまうと、耐摩耗性が損なわれるた
め、装置の性能が低下し、稼働上問題が生じる。
【0006】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたもので、耐摩耗性を有する金属メッキの耐食性を
向上させることによって、耐食性と耐摩耗性を兼ね備え
た耐食耐摩耗部材およびその製造方法を提供することを
目的とする。また、本発明の他の目的は、従来よりも長
時間、初期性能の維持が可能なポンプ装置を提供するこ
とである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者は、クロムメッキ層のき裂を樹脂で埋める
ことによって、き裂内への環境水の浸入を防ぎ、それに
よってクロムメッキの剥離を防止することができると考
え、鋭意研究の末、本発明の完成に至った。すなわち、
本発明にかかる耐食耐摩耗部材は、母材と、前記母材の
表面を被覆する耐摩耗性金属メッキ層と、前記金属メッ
キ層の表面に開口するき裂を埋め、前記金属メッキ層に
密着した樹脂封孔部と、を具備することを特徴とする。
【0008】この発明において、前記樹脂封孔部はシリ
コン樹脂またはフッ素樹脂でできていてもよい。また、
前記金属メッキ層はクロムでできていてもよい。
【0009】本発明にかかる耐食耐摩耗部材によれば、
金属メッキ層の微細なき裂が樹脂により塞がれているた
め、き裂内への環境水の浸入を防ぐことができる。した
がって、き裂内で隙間腐食が起こって母材が腐食してし
まうのを防ぐことができるので、金属メッキ層が剥離す
るのを抑制することができる。
【0010】また、本発明にかかる耐食耐摩耗部材の製
造方法は、母材の表面に耐摩耗性金属メッキ層を設ける
工程と、前記耐摩耗性金属メッキ層の表面に開口するき
裂を、濡れ性の良い樹脂により埋める工程と、前記樹脂
を乾燥させて前記金属メッキ層に密着させる工程と、を
含むことを特徴とする。
【0011】この発明において、前記き裂を樹脂で埋め
た後、その樹脂を乾燥させる前に、前記樹脂に圧力を作
用させる工程をおこなうようになっていてもよい。ま
た、前記樹脂はシリコン樹脂またはフッ素樹脂であって
よいし、前記金属メッキはクロムメッキであってもよ
い。
【0012】本発明にかかる耐食耐摩耗部材の製造方法
によれば、金属メッキ層の微細なき裂を密着性の高い樹
脂で塞ぐことができる、したがって、耐食性に優れた耐
食耐摩耗部材が得られる。
【0013】また、本発明にかかるポンプ装置は、軸受
け部材と、少なくとも前記軸受け部材に対して摺動する
部位の表面が耐摩耗性金属メッキ層により被覆され、か
つ前記金属メッキ層の表面に開口するき裂が、前記金属
メッキ層に密着した樹脂により埋められてなる主軸と、
を具備することを特徴とする。
【0014】この発明において、前記樹脂はシリコン樹
脂またはフッ素樹脂であってもよい。また、前記金属メ
ッキはクロムメッキであってもよい。
【0015】本発明にかかるポンプ装置によれば、主軸
の、軸受け部材に対して摺動する部位に設けられた金属
メッキ層の微細なき裂が樹脂により塞がれているため、
そのき裂内への環境水の浸入を防ぐことができる。した
がって、き裂内で隙間腐食が起こって主軸の母材が腐食
してしまうのを防ぐことができるので、金属メッキ層が
剥離するのを抑制することができる。それによって、従
来よりも長時間、初期性能の維持が可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について説明
する。まず、本発明にかかる耐食耐摩耗部材について説
明する。図1は、本発明にかかる耐食耐摩耗部材の一部
を示す拡大断面図である。この耐食耐摩耗部材は、母材
11の表面が耐摩耗性金属メッキ層12により被覆され
ており、そのメッキ層12の表面に開口する微細なき裂
13が、金属メッキ層12に密着した樹脂封孔部14に
より塞がれた構造となっている。
【0017】樹脂封孔部14を構成する樹脂は、特に限
定しないが、たとえばシリコン樹脂やフッ素樹脂(商品
名:テフロン)などである。好ましくは、き裂13は、
その先端、すなわちき裂13の底に至るまで樹脂で塞が
れているのがよい。
【0018】また、耐摩耗性金属メッキ層12を構成す
る金属は、特に限定しないが、たとえばクロムである。
つまり、耐摩耗性金属メッキはたとえばクロムメッキで
ある。なお、耐摩耗性金属メッキは、クロム以外の耐摩
耗性を有する金属によるメッキであってもよい。
【0019】つぎに、本発明にかかる耐食耐摩耗部材の
製造方法について説明する。図2は、本発明にかかる耐
食耐摩耗部材の製造方法の一例を示す工程図である。ま
ず、母材の表面を、研磨、洗浄、脱脂などの処理をおこ
なって金属メッキに適した状態にする。そして、母材の
表面を金属メッキ層で被覆する(ステップS1)。メッ
キ処理としては、電気メッキや無電解メッキなど周知の
方法が採用される。メッキ金属は、耐摩耗性に優れてい
れば特に問わないが、たとえばクロムである。
【0020】メッキ工程につづいて洗浄をおこない、そ
の後、メッキ表面に液状の樹脂(以下、樹脂液とする)
を塗布する(ステップS2)。あるいは、塗布の代わり
に、メッキ部分に樹脂液をかけてもよいし、樹脂液を満
たした槽内にメッキ部分を浸漬してもよい。
【0021】ここで、使用する樹脂の種類は、樹脂液の
状態でメッキ表面に対する濡れ性がよく、乾燥させて硬
化させた際にメッキ金属に密着する性質を有するもので
あればよい。特に限定しないが、たとえばシリコン樹脂
やフッ素樹脂(商品名:テフロン)などである。
【0022】つづいて、メッキ表面の樹脂液層に対して
加圧をおこない、メッキ層に存在する微細なき裂中に樹
脂液を浸透させる(ステップS3)。具体的には、たと
えば樹脂液が塗布された部材を圧力容器中に入れ、容器
内に空気を導入して高圧状態に保つ。
【0023】き裂中に樹脂液を十分に浸透させた後、樹
脂液を乾燥させて硬化させる(ステップS4)。硬化す
ると、き裂内で樹脂がメッキ層に密着し、き裂はその先
端まで十分に樹脂で塞がれる。
【0024】つぎに、本発明にかかる耐食耐摩耗部材を
適用したポンプ装置について説明する。図3は、本発明
にかかる耐食耐摩耗部材を適用したポンプ装置の一例を
示す断面図である。このポンプ装置は、ケーシングとな
る軸受け部材21および主軸22を備える。主軸22
の、軸受け部材21に対して摺動する部位には、耐食耐
摩耗被覆23a〜23sが設けられている。
【0025】主軸22の母材および耐食耐摩耗被覆23
a〜23sの断面構造は、図1に示す耐食耐摩耗部材と
同じである。すなわち、主軸22の母材表面が耐摩耗性
金属メッキ層により被覆されている。そして、そのメッ
キ層の表面に開口する微細なき裂が樹脂により埋められ
ている。
【0026】き裂を埋める樹脂は、特に限定しないが、
たとえばシリコン樹脂、フッ素樹脂(商品名:テフロ
ン)、などである。また、耐摩耗性金属メッキ層は、特
に限定しないが、たとえばクロムメッキ層である。
【0027】上述した実施の形態によれば、母材11の
表面を被覆する耐摩耗性金属メッキ層12に存在するき
裂13が樹脂封孔部14により塞がれるため、き裂13
内への環境水の浸入を防ぐことができる。したがって、
き裂13内で隙間腐食が起こって母材11が腐食してし
まうのを防ぐことができるので、金属メッキ層12が剥
離するのを抑制することができる。それによって、耐食
性に優れた耐食耐摩耗部材が得られる。
【0028】また、フッ素樹脂(商品名:テフロン)は
シリコン樹脂よりも耐熱性に優れるため、より高温環境
下で使用する場合には、フッ素樹脂(商品名:テフロ
ン)を用いるとよい。また、シリコン樹脂はフッ素樹脂
(商品名:テフロン)よりも安価であるため、シリコン
樹脂で耐え得る温度域であれば、シリコン樹脂を用いる
とよい。
【0029】また、ポンプ装置の主軸22において、軸
受け部材21に対して摺動する部位に、耐摩耗性金属メ
ッキ層のき裂を樹脂により封孔してなる耐食耐摩耗被覆
23a〜23sを設けることにより、金属メッキ層のき
裂内に環境水が浸入するのを防ぐことができる。したが
って、き裂内で隙間腐食が起こって主軸22の母材が腐
食してしまうのを防ぐことができるので、金属メッキ層
が剥離するのを抑制することができる。それによって、
従来よりも長時間、初期性能の維持が可能なポンプ装置
が得られる。なお、軸受け部材21の、主軸22に対し
て摺動する部位に、耐摩耗性金属メッキ層のき裂を樹脂
により封孔してなる耐食耐摩耗被覆を設けても、同様の
効果が得られる。
【0030】
【実施例】以下に、実施例および比較例を挙げて本発明
の特徴とするところを明らかとする。以下の各実施例お
よび比較例では、母材としてステンレス鋳鋼のSCS1
4を用いた。また、耐摩耗性金属メッキ層は厚さ150
μmのクロムメッキ層とした。
【0031】実施例1.図2に示す工程にしたがい、ま
ずSCS14よりなる試料片の表面処理をした後、その
表面にクロムをメッキした。そして、そのクロムメッキ
層の表面にシリコン樹脂液を塗布した。つづいて、試料
片を圧力容器内に入れ、その容器内の圧力を150kg
f/cm2 、温度を100℃とし、50時間保持した。
その後、圧力容器から試料片を取り出し、試料片を室温
大気中で100時間放置してシリコン樹脂を十分に乾燥
させて硬化させた。
【0032】実施例2.実施例1と同様にして、試料片
にメッキしたクロム層の表面に、フッ素樹脂(商品名:
テフロン)液を塗布し、加圧後、乾燥させてフッ素樹脂
(商品名:テフロン)を硬化させた。
【0033】比較例.比較として、クロムメッキ層の表
面を樹脂で封孔処理していない試料を作製した。
【0034】評価.実施例1および実施例2の各試料に
ついて、外観観察をおこなった。その結果、いずれの試
料においても樹脂とクロムメッキとの剥離は認められな
かった。また、実施例1の試料については200℃、実
施例2の試料については300℃の雰囲気温度にそれぞ
れさらした。実施例1および実施例2のいずれの試料
も、各雰囲気温度で1000時間経過しても樹脂の脱落
は認められなかった。
【0035】また、実施例1および実施例2の各試料の
縦断面に対してEPMAにより元素の分布を調べた。そ
の結果、実施例1の試料では、き裂の先端にいたるまで
シリコン樹脂が十分に浸透していることが確認された。
同様に、実施例2の試料では、き裂の先端にいたるまで
フッ素樹脂(商品名:テフロン)が十分に浸透している
ことが確認された。
【0036】また、実施例1および実施例2の各試料に
ついて、クロムメッキ層の硬さをビッカース硬度計によ
り測定した。比較のため、実施例1および実施例2の各
試料について、樹脂で封孔処理する前、すなわちメッキ
処理後ただちにクロムメッキ層の硬さをビッカース硬度
計により測定しておいた。それらの測定結果を比較した
ところ、実施例1および実施例2のいずれの試料におい
ても、封孔処理前の硬さと封孔処理後の硬さとの差は5
%以下であり、誤差範囲内であった。つまり、シリコン
樹脂やフッ素樹脂(商品名:テフロン)によりメッキ層
のき裂を埋めても、き裂を埋めていない従来のクロムメ
ッキ層と同程度の耐摩耗性を有することが確認された。
【0037】また、実施例1、実施例2および比較例の
各試料を、Cl:103 ppm+SO4 :102 ppm
で、溶存酸素量8ppmの腐食性を有する水の中に浸漬
させて腐食試験をおこなった。実施例1については水温
を160℃とし、実施例2については300℃とした。
また、比較例については160℃と300℃の両方の水
温で試験をおこなった。なお、実施例1および実施例2
の試料については、浸漬前にクロムメッキ層の表面を被
覆する余分な樹脂膜を研磨して除去した。
【0038】腐食試験の結果、実施例1および実施例2
のいずれの試料も、3000時間浸漬させてもクロムメ
ッキ層の表面に明確な腐食痕は認められなかった。それ
に対して、比較例の試料では、160℃および300℃
のいずれの温度においても、おおよそ2000時間浸漬
させた時点でクロムメッキ層の表面に腐食痕が認められ
た。この結果から、クロムメッキ層に存在するき裂をシ
リコン樹脂またはフッ素樹脂(商品名:テフロン)で塞
いだことによって、そのき裂中への水の浸入が防止され
たと考えられる。そして、隙間腐食が起こらなかったた
めに、母材のSCS14が腐食されなかったと推測され
る。
【0039】つぎに、実施例1、実施例2および比較例
の各試料を、溶存酸素量8ppmの腐食性を有する水温
50℃の純水中に浸漬し、その水を流速100m/sで
流して、エロージョン試験をおこなった。100時間経
過後、クロムメッキ層の表面および断面の観察をおこな
ったところ、実施例1と実施例2の試料の方が比較例よ
りもクロムメッキ層の摩耗量が少なかった。また、実施
例1および実施例2の各試料では、母材との界面におい
てクロムメッキ層の剥離は認められなかった。それに対
して、比較例の試料では、クロムメッキ層の剥離が認め
られた。
【0040】実施例1、実施例2および比較例の各試料
について、エロージョン試験の前後に重量測定をおこな
い、各試料の摩耗量を比較した結果、実施例1の試料の
摩耗量は比較例の2分の1以下であった。また、実施例
2の試料の摩耗量は比較例の3分の1以下であった。こ
の結果から、クロムメッキ層に存在するき裂をシリコン
樹脂またはフッ素樹脂(商品名:テフロン)で塞いだこ
とによって耐食性が向上し、母材界面でのクロムメッキ
層の剥離が減少したと推測される。
【0041】
【発明の効果】本発明にかかる耐食耐摩耗部材によれ
ば、母材と、前記母材の表面を被覆する耐摩耗性金属メ
ッキ層と、前記金属メッキ層の表面に開口するき裂を埋
め、前記金属メッキ層に密着した樹脂封孔部と、を具備
するため、き裂内への環境水の浸入を防ぐことができ
る。したがって、き裂内で隙間腐食が起こって母材が腐
食してしまうのを防ぐことができるので、金属メッキ層
が剥離するのを抑制することができる。
【0042】また、本発明にかかる耐食耐摩耗部材の製
造方法によれば、母材の表面に耐摩耗性金属メッキ層を
設ける工程と、前記耐摩耗性金属メッキ層の表面に開口
するき裂を、濡れ性の良い樹脂により埋める工程と、前
記樹脂を乾燥させて前記金属メッキ層に密着させる工程
と、を含むため、金属メッキ層の微細なき裂を密着性の
高い樹脂で塞ぐことができる。したがって、耐食性に優
れた耐食耐摩耗部材が得られる。
【0043】また、本発明にかかるポンプ装置によれ
ば、軸受け部材と、少なくとも前記軸受け部材に対して
摺動する部位の表面が耐摩耗性金属メッキ層により被覆
され、かつ前記金属メッキ層の表面に開口するき裂が、
前記金属メッキ層に密着した樹脂により埋められてなる
主軸と、を具備するため、金属メッキ層のき裂内に環境
水が浸入するのを防ぐことができる。したがって、き裂
内で隙間腐食が起こって主軸の母材が腐食してしまうの
を防ぐことができるので、金属メッキ層が剥離するのを
抑制することができる。それによって、従来よりも長時
間、初期性能の維持が可能なポンプ装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる耐食耐摩耗部材の一部を示す拡
大断面図である。
【図2】本発明にかかる耐食耐摩耗部材の製造方法の一
例を示す工程図である。
【図3】本発明にかかる耐食耐摩耗部材を適用したポン
プ装置の一例を示す断面図である。
【図4】従来のクロムメッキ処理をした部材の一部を示
す拡大断面図である。
【符号の説明】
11 母材 12 耐摩耗性金属メッキ層 13 き裂 14 樹脂封孔部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25D 5/26 C25D 5/26 D 5/48 5/48 F04B 53/00 F16C 33/20 Z F16C 33/20 F04B 21/00 N Fターム(参考) 3H071 AA01 CC26 DD45 DD46 EE01 EE07 3J011 QA03 QA05 SB12 SC01 SC04 4K022 AA02 BA07 BA31 BA36 DA01 EA04 4K024 AA02 AB02 AB15 BA02 BB05 BC10 GA01 GA04 GA12 4K044 AA02 AB04 BA02 BA21 BB03 BC01 BC02 BC04 BC05 CA15 CA18 CA53 CA67

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母材と、 前記母材の表面を被覆する耐摩耗性金属メッキ層と、 前記金属メッキ層の表面に開口するき裂を埋め、前記金
    属メッキ層に密着した樹脂封孔部と、 を具備することを特徴とする耐食耐摩耗部材。
  2. 【請求項2】 前記樹脂封孔部はシリコン樹脂またはフ
    ッ素樹脂でできていることを特徴とする請求項1に記載
    の耐食耐摩耗部材。
  3. 【請求項3】 前記金属メッキ層はクロムでできている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の耐食耐摩耗
    部材。
  4. 【請求項4】 母材の表面に耐摩耗性金属メッキ層を設
    ける工程と、 前記耐摩耗性金属メッキ層の表面に開口するき裂を、濡
    れ性の良い樹脂により埋める工程と、 前記樹脂を乾燥させて前記金属メッキ層に密着させる工
    程と、 を含むことを特徴とする耐食耐摩耗部材の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記き裂を樹脂で埋めた後、その樹脂を
    乾燥させる前に、前記樹脂に圧力を作用させる工程を有
    することを特徴とする請求項4に記載の耐食耐摩耗部材
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記樹脂はシリコン樹脂またはフッ素樹
    脂であることを特徴とする請求項4または5に記載の耐
    食耐摩耗部材の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記金属メッキはクロムメッキであるこ
    とを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の耐食耐
    摩耗部材の製造方法。
  8. 【請求項8】 軸受け部材と、 少なくとも前記軸受け部材に対して摺動する部位の表面
    が耐摩耗性金属メッキ層により被覆され、かつ前記金属
    メッキ層の表面に開口するき裂が、前記金属メッキ層に
    密着した樹脂により埋められてなる主軸と、 を具備することを特徴とするポンプ装置。
  9. 【請求項9】 前記樹脂はシリコン樹脂またはフッ素樹
    脂であることを特徴とする請求項8に記載のポンプ装
    置。
  10. 【請求項10】 前記金属メッキはクロムメッキである
    ことを特徴とする請求項8または9に記載のポンプ装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009054402A1 (ja) * 2007-10-24 2009-04-30 Ihi Corporation 耐摩耗補強方法及び摺動構造体
CN110952060A (zh) * 2019-12-19 2020-04-03 广东省新材料研究所 一种减速器动力传输轴的表面处理方法及涂层
CN112586099A (zh) * 2018-09-03 2021-03-30 日立汽车系统株式会社 电子控制装置

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