JP2001294723A - 難燃性スチレン系樹脂組成物 - Google Patents

難燃性スチレン系樹脂組成物

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JP2001294723A
JP2001294723A JP2000114931A JP2000114931A JP2001294723A JP 2001294723 A JP2001294723 A JP 2001294723A JP 2000114931 A JP2000114931 A JP 2000114931A JP 2000114931 A JP2000114931 A JP 2000114931A JP 2001294723 A JP2001294723 A JP 2001294723A
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group
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carbon atoms
flame
resin composition
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JP2000114931A
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Katsuhiro Yamanaka
克浩 山中
Yutaka Takeya
竹谷  豊
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性に優れ、耐衝撃性の良好な、高い難燃
性を有するスチレン系樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 (A)本文記載の方法で測定された還元
粘度が0.40〜1.50dl/gであるゴム変性スチ
レン系樹脂100重量部(a成分)、(B)(B−1)
特定の環状リン酸エステル化合物(b−1成分)および
(B−2)特定の有機リン酸エステル化合物(b−2成
分)よりなり、b−1成分とb−2成分との割合が重量
比で5:95〜95:5である難燃剤1〜70重量部
(b成分)からなる難燃性スチレン系樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性に優れ、耐
衝撃性の良好な、高い難燃性を有するスチレン系樹脂組
成物に関する。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂は耐衝撃性に優れ、さら
に成形性も優れていることから、オフィスオートメーシ
ョン機器部品、家電製品部品、自動車部品など多岐の分
野で使用されているが、スチレン系樹脂の易燃性のため
に、その用途は制限されている。スチレン系樹脂の難燃
化の方法としてはハロゲン系、リン系、無機系の難燃剤
を添加することが知られており、それによりある程度難
燃化が達成されている。しかしながら、製品の安全性を
高める為にオフィスオートメーション機器や、家電製品
の成形品には、アメリカの規格であるアンダーライター
ズラボラトリー(UL)社のサブジェクト94にもとづ
く難燃試験の規制が年々厳しくなっており、より高度の
難燃化が要求されている。
【0003】従来、スチレン系樹脂の難燃性を向上させ
る方法として、例えばスチレン系樹脂、メラミン等の窒
素化合物、ポリオールおよび有機リン酸エステルからな
る樹脂組成物(特開平4−117442号公報)や特定
平均ゴム粒子径のゴム変性スチレン樹脂とハロゲン系難
燃剤からなる着火溶融滴下型自己消炎性スチレン系樹脂
組成物(特公平6−43542号公報)が知られてい
る。しかしながら、これらの公報の樹脂組成物は難燃性
が充分ではなく、その使用範囲が限られるという問題が
あった。
【0004】さらに、近年、ハロゲンを含有する有機化
合物が、環境に悪影響を及ぼすという報告がなされ、欧
州を中心としてノンハロゲン化の動きが盛んになってき
た。難燃剤においてもノンハロゲン系の需要が高まり、
各樹脂に対するノンハロゲン系難燃剤の開発が盛んに行
われるようになった。ところが、スチレン系樹脂のノン
ハロゲン難燃化に関しては、これまでは、その易燃性か
ら困難とされてきた。
【0005】かかる分野の公知技術として、特開平8−
176396号公報や特開平8−120152号公報で
は特定のゴム変性スチレン系樹脂とリン系難燃剤との樹
脂組成物が開示され、具体的には、リン系難燃剤として
トリフェニルホスフェート及びその誘導体や赤リンが使
用され、溶融滴下自己消火性の難燃性が発現することが
示されている。しかしながら、トリフェニルホスフェー
ト及びその誘導体は、その可塑効果によって流動性を上
げ、着火溶融滴下を容易にし、難燃性を発現したもので
あり、かかる樹脂組成物は、耐熱性が著しく低下し、実
用性に乏しいという欠点がある。赤リンを用いた場合
は、樹脂組成物の押出成形時に有毒なホスフィンガスが
発生し易く、赤リンの取り扱いが難しい等の問題があ
り、また得られる樹脂組成物が赤リン特有の褐色にな
り、その使用範囲が限られるという欠点がある。
【0006】また、特開平8−311278号公報で
は、ゴム変性スチレン系樹脂、有機リン化合物単量体と
有機リン化合物縮合体およびシリコーンオイルからな
り、該有機リン化合物中に上記単量体を50〜100重
量%含むことを特徴とする溶融滴下自己消火性スチレン
系難燃樹脂組成物が開示されている。しかしながら、か
かる樹脂組成物も耐熱性に劣り、実用性に乏しいという
欠点がある。
【0007】このように、従来のゴム変性スチレン系難
燃樹脂組成物においては、難燃性は達成されるけれども
耐熱性に劣り、殊にOA機器ハウジング等の高い耐熱性
を要求される用途に使用することは困難であり、その改
善が求められている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐熱性に優
れ、耐衝撃性の良好な着火溶融滴下型の難燃性能を持つ
ゴム変性スチレン系樹脂組成物を提供することを目的と
する。本発明者は、前記目的を達成するために、鋭意検
討した結果、還元粘度が特定のものであるゴム変性スチ
レン系樹脂に、特定の環状リン酸エステル化合物および
特定の有機リン酸エステル化合物を特定量配合すること
により、殊に耐熱性に優れ、耐衝撃性および難燃性の良
好な樹脂組成物が得られることを見出し本発明に到達し
た。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明によれ
ば、(A)本文記載の方法で測定された還元粘度が0.
40〜1.50dl/gであるゴム変性スチレン系樹脂
100重量部(a成分)、(B)(B−1)下記式
(1)で表わされる環状リン酸エステル化合物(b−1
成分)および(B−2)下記式(3)で表わされる有機
リン酸エステル化合物(b−2成分)よりなり、b−1
成分とb−2成分との割合が重量比で5:95〜95:
5である難燃剤1〜70重量部(b成分)からなる難燃
性スチレン系樹脂組成物。
【0010】
【化5】
【0011】(式中、R1およびR2は、同一または異な
っていてもよく、下記式(2)で表される1価の芳香族
基である。)
【0012】
【化6】
【0013】(式中、Arはフェニル基、ナフチル基、
アントリル基、ビフェニル基、ピリジル基およびトリア
ジル基から選択されるいずれか一つの基を表し、lは0
〜5の整数である。R3はそれぞれが同一であっても異
なっていてもよく、Ar上の酸素原子を介してリン原子
に結合している部分以外のどの部分に結合していてもよ
く、メチル、エチル、プロピル、ブチルもしくはそのA
rへの結合基が、酸素原子、硫黄原子または炭素数1〜
4の脂肪族炭化水素基を介する炭素数3〜14のアリー
ル基を示す。)
【0014】
【化7】
【0015】(式中、mは1〜5の整数であり、R4
5、R6、及びR7は同一または異なっていてもよく、
下記式(4)で表される1価の芳香族基である。また、
Ar1及びAr2は同一または異なっていてもよく、炭素
数3〜14のアリーレン基を示し、炭素数3〜14の芳
香族基、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数1
〜4の脂肪族炭化水素基を介する炭素数3〜14の芳香
族基、酸素原子あるいは硫黄原子を介する炭素数3〜1
4の芳香族基または酸素原子あるいは硫黄原子を介する
炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を置換基に有してい
てもよい。また、Xは単結合、炭素原子数1〜20の芳
香族基を含んでもよい炭化水素基、O、S、SO、SO
2、CO又はCOO基を示す。)
【0016】
【化8】
【0017】(式中、Arはフェニル基、ナフチル基、
アントリル基、ビフェニル基、ピリジル基およびトリア
ジル基から選択されるいずれか一つの基を表し、nは0
〜5の整数である。R10はそれぞれが同一であっても異
なっていてもよく、Ar上の酸素原子を介してリン原子
に結合している部分以外のどの部分に結合していてもよ
く、メチル、エチル、プロピル、ブチルもしくはそのA
rへの結合基が、酸素原子、硫黄原子または炭素数1〜
4の脂肪族炭化水素基を介する炭素数3〜14のアリー
ル基を示す。)
【0018】本発明のa成分として使用するゴム変性ス
チレン系樹脂は主に芳香族ビニル系重合体よりなるマト
リックス中にゴム状重合体が粒子状に分散してなる重合
体をいい、ゴム状重合体の存在下に芳香族ビニル単量体
を必須成分とする単量体混合物を加えて公知の塊状重
合、塊状懸濁重合、溶液重合または乳化重合することに
より得られる。
【0019】前記ゴム状重合体の例としては、ポリブタ
ジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリ
ロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴムおよび上記
ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレンゴム、
クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル
系ゴム、およびエチレン−プロピレン−ジエンモノマー
三元共重合体(EPDM)等を挙げることができ、特に
ジエン系ゴムが好ましい。
【0020】上記ゴム状重合体の存在下に重合させるグ
ラフト共重合可能な単量体混合物中の必須成分である芳
香族ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルス
チレン、パラメチルスチレン等であり、スチレンが最も
好ましい。
【0021】上記ゴム変性スチレン系樹脂中のゴム状重
合体成分は、好ましくは1〜10重量%、より好ましく
は2〜8.5重量%であり、芳香族ビニル系重合体成分
は、好ましくは99〜90重量%、より好ましくは98
〜91.5重量%である。この範囲内では得られる樹脂
組成物の耐熱性、耐衝撃性および剛性のバランスが向上
し、また、不飽和結合が少なく酸化され難くなり熱安定
性に優れるため好ましい。
【0022】本発明におけるゴム変性スチレン系樹脂の
分子量の尺度である還元粘度ηsp/C(0.5g/dl
のトルエン溶液を30℃で測定)は、0.40〜1.5
0dl/gであり、好ましくは0.45〜1.20dl
/gであり、より好ましくは0.60〜1.00dl/
gである。ゴム変性スチレン系樹脂の還元粘度ηsp/C
に関する上記条件を満たすための手段としては、重合開
始材料、重合温度、連鎖移動剤量の調整等を挙げること
ができる。還元粘度が高くなると耐衝撃性に優れる。
【0023】また、上記ゴム変性スチレン系樹脂のMF
R値は1〜15g/10minが好ましく、2〜10g
/10minがより好ましい。かかる範囲のMFR値を
有するゴム変性スチレン系樹脂を使用することにより得
られる樹脂組成物の耐熱性が良好となり好ましい。ま
た、上記範囲のMFR値を有するゴム変性スチレン系樹
脂は、前記式(1)で表される環状リン酸エステル化合
物単独で難燃性を達成するには配合量が多量必要とな
り、前記式(3)で表される有機リン酸エステル化合物
と組み合わせて使用することにより少量で難燃性が達成
され、さらに耐熱性、耐衝撃性に優れるため特に好まし
く使用される。このMFR値はJIS−K7210で規
定される測定法に準じて、230℃、荷重37.3N
(3.8kgf)の条件で求めたものである。
【0024】本発明において、b成分として使用する難
燃剤は、上記式(1)で表される環状リン酸エステル化
合物(b−1成分)および上記式(3)で表される有機
リン酸エステル化合物(b−2成分)である。かかる難
燃剤を併用して使用することにより、難燃性、耐熱性お
よび耐衝撃性に優れたスチレン系樹脂組成物を得ること
ができる。
【0025】b−1成分の環状リン酸エステル化合物
は、前記式(1)において、R1およびR2は、同一また
は異なっていてもよく、前記式(2)で表される1価の
芳香族基であり、前記式(2)において、Arはフェニ
ル基、ナフチル基、アントリル基、ピリジル基およびト
リアジル基から選択されるいずれか一つの基、好ましく
はフェニル基を表し、lは0〜5、好ましくは0〜4の
整数であり、R3はそれぞれが同一であっても異なって
いてもよく、Ar上の酸素原子を介してリン原子に結合
している部分以外のどの部分に結合していてもよく、メ
チル、エチル、プロピル(異性体を含む)、ブチル(異
性体を含む)もしくはそのArへの結合基が、酸素原
子、イオウ原子または炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基
を介する炭素数3〜14、好ましくは炭素数6〜14の
アリール基である。
【0026】上記式(1)中、R1およびR2の好ましい
具体例としては、フェニル基、クレジル基、キシリル
基、トリメチルフェニル基、4−フェノキシフェニル
基、クミル基、ナフチル基、4−ベンジルフェニル基等
が挙げられ、特にフェニル基が好ましい。
【0027】かかる環状リン酸エステル化合物は、基本
的に隣接ジオール骨格にオキシ3塩化リンを反応させし
かる後に、適宜フェノール性水酸基を反応させることに
よって得られる。かかる反応は、例えば、特開平9−1
83786号公報に開示されている手法、或いは、R.
M.McConnell等、J.Org.Chem.、
24巻、630〜635ページ(1959)に記載され
ている手法が採用される。
【0028】具体的に、本発明で使用されるかかる環状
リン酸エステル化合物は、ペンタエリスリトールにオキ
シ3塩化リンを反応させた後、例えばフェノール、2,
5−ジメチルフェノール、クレゾール等を反応させる事
によって得られる。或いは、事前に、オキシ3塩化リン
の塩素の一部をこれらのフェノール類で変成した後に、
同じように反応させることも可能である。
【0029】b−2成分の有機リン酸エステル化合物
は、前記式(3)において、式中、mは1〜5の整数で
あり、mの値の異なる化合物の混合物でもよく、mは1
〜3の整数が好ましく、mは1がより好ましい。
【0030】R4、R5、R6、及びR7は同一または異な
っていてもよく、前記式(4)で表される1価の芳香族
基である。前記式(4)において、Arはフェニル基、
ナフチル基、アントリル基、ピリジル基およびトリアジ
ル基から選択されるいずれか一つの基、好ましくはフェ
ニル基を表し、nは0〜5、好ましくは0〜4の整数で
あり、R10はそれぞれが同一であっても異なっていても
よく、Ar上の酸素原子を介してリン原子に結合してい
る部分以外のどの部分に結合していてもよく、メチル、
エチル、プロピル(異性体を含む)、ブチル(異性体を
含む)もしくはそのArへの結合基が、酸素原子、イオ
ウ原子または炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を介する
炭素数3〜14、好ましくは炭素数6〜14のアリール
基である。
【0031】前記式(3)中、R4、R5、R6、及びR7
の好ましい具体例としては、フェニル基、o−トルエニ
ル基、p−トルエニル基、2,6−ジメチルフェニル
基、3,5−ジメチルフェニル基、ビフェニル基または
ベンジルフェニル基等が挙げられ、なかでもフェニル基
及び2,6−ジメチルフェニル基が好ましく、特にフェ
ニル基が好ましい。
【0032】また、前記式(3)において、Ar1及び
Ar2は同一または異なっていてもよく、炭素数3〜1
4のアリーレン基を示し、炭素数3〜14の芳香族基、
炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜4の脂
肪族炭化水素基を介する炭素数3〜14の芳香族基、酸
素原子あるいは硫黄原子を介する炭素数3〜14の芳香
族基または酸素原子あるいは硫黄原子を介する炭素数1
〜10の脂肪族炭化水素基を置換基に有していてもよ
い。
【0033】前記式(3)中、Ar1及びAr2の好まし
い具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基、メチ
ルフェニレン基、2,5−ジメチルフェニレン基が挙げ
られ、なかでもフェニレン基が好ましい。
【0034】また、前記式(3)において、Xは単結
合、炭素原子数1〜20の芳香族基を含んでもよい炭化
水素基、O、S、SO、SO2、CO又はCOO基であ
る。Xの好ましい具体例としては、単結合、酸素原子、
硫黄原子、イソプロピリデン基、メチレン基、シクロヘ
キシレン基、フェニルエチレン基およびジフェニルメチ
レン基が挙げられ、イソプロピリデン基、メチレン基、
シクロヘキシレン基が好ましく、特にイソプロピリデン
基が好ましい。
【0035】前記式(3)において、(Ar1−X−A
2)単位の具体例として、HO−Ar1−X−Ar2
OHで示される化合物で表すと、例えば4,4′−ビフ
ェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メ
タン(ビスフェノールF)、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)エタン(ビスフェノールE)、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノ
ールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチル
フェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ン(ビスフェノールZ)、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタ
ン、4,4′−(p−フェニレンジイソプロピリデン)
ジフェノール、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−m−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノール
M)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−
イソプロピルシクロヘキサンなどが挙げられ、なかでも
ビスフェノールA、ビスフェノールZ、ビスフェノール
C、ビスフェノールF、ビスフェノールE、ビスフェノ
ールMが好ましく、ビスフェノールA、ビスフェノール
Z、ビスフェノールC、ビスフェノールFがより好まし
く、特にビスフェノールAが好ましい。
【0036】本発明に用いるb−2成分の有機リン酸エ
ステル化合物として特に好ましいものは、ビスフェノー
ルA−ビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノー
ルA−ビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)]ホスフ
ェート、ビスフェノールF−ビス(ジフェニル)ホスフ
ェート、ビスフェノールZ−ビス(ジフェニル)ホスフ
ェート、ビスフェノールC−ビス(ジフェニル)ホスフ
ェートが挙げられ、特にビスフェノールA−ビス(ジフ
ェニル)ホスフェートが好ましい。
【0037】上記ゴム変性スチレン系樹脂100重量部
(a成分)に対して、上記環状リン酸エステル化合物
(b−1成分)および上記有機リン酸エステル化合物
(b−2成分)からなる難燃剤(b成分)の配合量は1
〜70重量部であり、より好ましくは2〜55重量部、
さらに好ましくは3〜35重量部である。1重量部より
少ないと得られる樹脂組成物は難燃性に劣り好ましくな
く、70重量部より多く配合すると樹脂組成物の物性、
特に耐衝撃性低下の原因となり、またコスト的に不利で
もあり好ましくない。
【0038】また、上記b−1成分とb−2成分との割
合が重量比で5:95〜95:5であり、好ましくは3
0:70〜92:8であり、より好ましくは50:50
〜90:10である。かかる範囲内で上記難燃剤を併用
することにより、得られる樹脂組成物は、難燃性、耐熱
性および耐衝撃性に優れることとなる。
【0039】一般に、ゴム変性スチレン系樹脂に有機リ
ン化合物を配合することにより、耐熱性(荷重たわみ温
度)が大幅に低下することが知られている。しかしなが
ら、本発明により得られた樹脂組成物は、使用するゴム
変性スチレン系樹脂からの荷重たわみ温度低下率が好ま
しくは20%以下であり、より好ましくは16%以下で
あり、かかる低下率の範囲では実用上大きな欠点となり
得ず、ゴム変性スチレン系樹脂本来の高い耐熱性を保持
することを特徴とする。ここで、かかる荷重たわみ温度
低下率は、a成分のゴム変性スチレン系樹脂の荷重たわ
み温度x(℃)とa成分およびb成分からなるスチレン
系樹脂組成物の荷重たわみ温度y(℃)との関係におい
て、{(x−y)/x}×100(%)の計算式で算出
される。また、本発明の樹脂組成物は、ASTM−D6
48に準拠した方法で1/4インチ試験片を用いて荷重
1.81MPa(18.5kgf/cm2)で測定した
荷重たわみ温度の値が、好ましくは64〜75℃の範囲
である。
【0040】本発明の難燃性スチレン系樹脂組成物に
は、種々の難燃助剤、例えばシリコーンオイルなどを配
合しても良い。かかるシリコーンオイルとしては、ポリ
ジオルガノシロキサンを骨格とし、好ましくはポリジフ
ェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポ
リジメチルシロキサン、あるいはそれらの任意の共重合
物、混合物であり、なかでもポリジメチルシロキサンが
好ましく用いられる。その粘度は好ましくは0.8〜5
000センチポイズ(25℃)、より好ましくは10〜
1000センチポイズ(25℃)、さらに好ましくは5
0〜500センチポイズ(25℃)であり、かかる粘度
の範囲のものは難燃性に優れ好ましい。かかるシリコー
ンオイルの配合量は、上記ゴム変性スチレン系樹脂10
0重量部に対して、0.5〜10重量部の範囲が好まし
い。
【0041】また、本発明の難燃性スチレン系樹脂組成
物には、種々の添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、耐光安定剤などの劣化防止剤、滑剤、帯電防止
剤、離型剤、可塑剤、ガラス繊維、炭素繊維などの補強
繊維、タルク、マイカ、ワラストナイトなどの充填剤、
顔料などの着色剤などを添加しても良い。前記添加剤の
使用量は、耐熱性、耐衝撃性、機械的強度などを損なわ
ない範囲で、添加剤の種類に応じて適当に選択できる。
【0042】本発明の難燃性スチレン系樹脂組成物は、
通常a成分、b成分および必要に応じてその他の成分
を、V型ブレンダー、スーパーミキサー、スーパーフロ
ーター、ヘンシェルミキサーなどの混合機を用いて予備
混合し、かかる予備混合物は混練機に供給し、溶融混合
される。混練機としては、種々の溶融混合機、例えば、
ニーダー、単軸または二軸押出機などが使用でき、なか
でも二軸押出機などを用いてかかるスチレン系樹脂組成
物を150〜250℃、好ましくは170〜220℃程
度の温度で溶融して、サイドフィーダーにより液体成分
を注入し、押出し、ペレタイザーによりペレット化する
方法が好ましく使用される。
【0043】本発明の難燃性スチレン系樹脂組成物は、
殊に耐熱性が良好であり、オフィスオートメーション機
器部品、家電製品部品、自動車部品などの種々の成形品
を成形する材料として有用である。このような成形品は
慣用の方法、例えばペレット状の難燃性スチレン系樹脂
組成物を射出成形機により、例えば160〜220℃程
度のシリンダー温度で射出成形することにより製造でき
る。
【0044】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、評価は下記の方法で行った。
【0045】(1)難燃性(UL−94評価) 難燃性は厚さ1/8インチのテストピースを用い、難燃
性の評価尺度として、米国UL規格のUL−94に規定
されている垂直燃焼試験に準じて評価を行った。どの試
験片も炎を取り去った後の燃焼が30秒以内で、滴下し
て消火するものがV−2であり、この評価基準以下のも
のをnotVとした。
【0046】(2)還元粘度ηsp/C ゴム変性スチレン系樹脂1gにメチルエチルケトン18
mlとメタノール2mlの混合溶媒を加え、25℃で2
時間振とうし、5℃、4000rpmで30分間遠心分
離する。上澄み液を取り出し、メタノールで樹脂分を析
出させた後、乾燥した。このようにして得られた樹脂、
0.1gをトルエンに溶解し、0.5g/dlの溶液と
し、この溶液10mlを毛細管径約0.3mmであるオ
ストワルド型粘度計に入れ、30℃でこの溶液の流下秒
数t1を測定した。一方、同じ粘度計でトルエンの流下
秒数t0を測定し、以下の数式により算出した。このと
きトルエンの流下秒数t0は240秒程度になる。 ηsp/C=(t1/t0−1)/C (C:ポリマー濃
度g/dl)
【0047】(3)ゴム変性スチレン系樹脂中のゴム状
重合体成分量 核磁気共鳴測定装置(バリアン製、UNITY300)
により水素原子の核磁気共鳴を測定し、スチレンユニッ
トと、ブタジエンユニットのモル比よりゴム状重合体成
分量を算出した。
【0048】(4)荷重たわみ温度(HDT)、荷重た
わみ温度低下率 荷重たわみ温度は、ASTM−D648に準拠した方法
により1/4インチ試験片を用いて荷重1.81MPa
(18.5kgf/cm2)で測定した。また、荷重た
わみ温度低下率は、使用したゴム変性スチレン系樹脂の
荷重たわみ温度x(℃)とスチレン系樹脂組成物の荷重
たわみ温度y(℃)を測定し、{(x−y)/x}×1
00(%)の計算式により算出した。
【0049】(5)MFR値 JIS−K7210で規定される測定法に準じて、23
0℃、荷重37.3N(3.8kgf)の条件で求め
た。
【0050】実施例、比較例で用いる各成分は以下のも
のを用いた。 (a成分)ゴム変性スチレン系樹脂 還元粘度ηsp/C=0.96dl/g、ゴム状重合体成
分7.9重量%、MFR7.9g/10分であるゴム変
性スチレン系樹脂(以下HIPS−1と称する) (b成分)難燃剤 (b−1成分)環状リン酸エステル化合物 ジフェニルペンタエリスリトールジホスフェート{前記
式(1)でR1およびR2がともにフェニル基である環状
リン酸エステル化合物(以下FR−1と称する)} (b−2成分)有機リン酸エステル化合物 ビスフェノールA−ビス(ジフェニルホスフェート)
{前記式(3)でAr1及びAr2が1,4−フェニレン
基であり、Xがイソプロピリデン基であり、R4、R5
6およびR7がフェニル基であり、mが平均して約1で
ある有機リン酸エステル化合物、大八化学工業(株)製
CR−741(以下FR−2と称する)} (他の難燃剤)トリフェニルホスフェート(大八化学工
業(株)製TPP、以下TPPと称する。)
【0051】[実施例1〜2、比較例1〜6]表1記載
の各成分を表1記載の量(重量部)でタンブラーにて配
合し、15mmφ二軸押出機(テクノベル製、KZW1
5)にて樹脂温度180℃でペレット化し、得られたペ
レットを65℃の熱風乾燥機にて4時間乾燥を行った。
乾燥したペレットを射出成形機((株)日本製鋼所製
J75Si)にてシリンダー温度200℃で成形した。
成形板を用いて評価した結果を表1に示した。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】本発明は、難燃性、耐熱性および耐衝撃
性に優れたスチレン系樹脂組成物を提供するものであ
り、この樹脂組成物はオフィスオートメーション機器部
品、家電製品部品、自動車部品等の種々の成形品を成形
する材料として有用であり、その奏する工業的効果は格
別である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)本文記載の方法で測定された還元
    粘度が0.40〜1.50dl/gであるゴム変性スチ
    レン系樹脂100重量部(a成分)、(B)(B−1)
    下記式(1)で表わされる環状リン酸エステル化合物
    (b−1成分)および(B−2)下記式(3)で表わさ
    れる有機リン酸エステル化合物(b−2成分)よりな
    り、b−1成分とb−2成分との割合が重量比で5:9
    5〜95:5である難燃剤1〜70重量部(b成分)か
    らなる難燃性スチレン系樹脂組成物。 【化1】 (式中、R1およびR2は、同一または異なっていてもよ
    く、下記式(2)で表される1価の芳香族基である。) 【化2】 (式中、Arはフェニル基、ナフチル基、アントリル
    基、ビフェニル基、ピリジル基およびトリアジル基から
    選択されるいずれか一つの基を表し、lは0〜5の整数
    である。R3はそれぞれが同一であっても異なっていて
    もよく、Ar上の酸素原子を介してリン原子に結合して
    いる部分以外のどの部分に結合していてもよく、メチ
    ル、エチル、プロピル、ブチルもしくはそのArへの結
    合基が、酸素原子、硫黄原子または炭素数1〜4の脂肪
    族炭化水素基を介する炭素数3〜14のアリール基を示
    す。) 【化3】 (式中、mは1〜5の整数であり、R4、R5、R6、及
    びR7は同一または異なっていてもよく、下記式(4)
    で表される1価の芳香族基である。また、Ar1及びA
    2は同一または異なっていてもよく、炭素数3〜14
    のアリーレン基を示し、炭素数3〜14の芳香族基、炭
    素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜4の脂肪
    族炭化水素基を介する炭素数3〜14の芳香族基、酸素
    原子あるいは硫黄原子を介する炭素数3〜14の芳香族
    基または酸素原子あるいは硫黄原子を介する炭素数1〜
    10の脂肪族炭化水素基を置換基に有していてもよい。
    また、Xは単結合、炭素原子数1〜20の芳香族基を含
    んでもよい炭化水素基、O、S、SO、SO2、CO又
    はCOO基を示す。) 【化4】 (式中、Arはフェニル基、ナフチル基、アントリル
    基、ビフェニル基、ピリジル基およびトリアジル基から
    選択されるいずれか一つの基を表し、nは0〜5の整数
    である。R10はそれぞれが同一であっても異なっていて
    もよく、Ar上の酸素原子を介してリン原子に結合して
    いる部分以外のどの部分に結合していてもよく、メチ
    ル、エチル、プロピル、ブチルもしくはそのArへの結
    合基が、酸素原子、硫黄原子または炭素数1〜4の脂肪
    族炭化水素基を介する炭素数3〜14のアリール基を示
    す。)
  2. 【請求項2】 a成分のゴム変性スチレン系樹脂は、J
    IS K−7210に従って、温度230℃、荷重3
    7.3Nの条件で測定したMFR値が1〜15g/10
    minである請求項1記載の難燃性スチレン系樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 a成分のゴム変性スチレン系樹脂が、そ
    の樹脂中に、ゴム状重合体成分を1〜10重量%含む樹
    脂である請求項1記載の難燃性スチレン系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 b−2成分の有機リン酸エステル化合物
    は、前記式(3)において、R4、R5、R6およびR7
    フェニル基、o−トルエニル基、p−トルエニル基、
    2,6−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニ
    ル基、ビフェニル基またはベンジルフェニル基であり、
    Ar1およびAr2がフェニレン基、ナフチレン基、メチ
    ルフェニレン基、2,5−ジメチルフェニレン基であ
    り、Xが単結合、酸素原子、硫黄原子、イソプロピリデ
    ン基、メチレン基、シクロヘキシレン基、フェニルエチ
    レン基またはジフェニルメチレン基である請求項1記載
    の難燃性スチレン系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 a成分のゴム変性スチレン系樹脂の荷重
    たわみ温度x(℃)とa成分およびb成分からなるスチ
    レン系樹脂組成物の荷重たわみ温度y(℃)との関係に
    おいて、式{(x−y)/x}×100(%)で示され
    る荷重たわみ温度低下率が20%以下である請求項1記
    載の難燃性スチレン系樹脂組成物。
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