JP2001294485A - 固体電解質型燃料電池用インターコネクターに適した焼結体およびその製造方法 - Google Patents
固体電解質型燃料電池用インターコネクターに適した焼結体およびその製造方法Info
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Abstract
どに好適な焼結体、この焼結体部分を含む共焼結体、こ
れらの用途およびこれらを短時間で製造する方法を提供
する。 【解決手段】ランタンクロマイト系酸化物、YCrO3、CoC
r2O4およびNi-Al合金からなる群から選択される少なく
とも一種を含み、平均粒径がサブミクロンである焼結
体。
Description
電池のインターコネクターおよび発熱体として好適な焼
結体、この焼結体部分を有する共焼結体およびその高速
製造方法に関する。
率が期待されている。燃料電池は、天然ガス、メタノー
ル、石炭などの化石燃料を改質して得られる水素を利用
するので、化石燃料/電力変換デバイスとしても注目さ
れている。各種の燃料電池の中でも固体酸化物を電解質
に用いた固体電解質型燃料電池(固体酸化物燃料電池:So
lid Oxide Fuel Cell:SOFC)は、最も高いエネルギー変
換効率が得られると特に期待されおり、未来型の燃料電
池として注目されている。
動時に燃料と酸素ガスとが混合しないようにガス透過性
を有さない高密度焼結体である必要がある。ランタンク
ロマイト系酸化物は、SOFCの固体電解質として好適なYS
Z(イットリウムをドープした安定化ZrO2)と親和性が良
く、高い電子伝導性を示すのでSOFC用インターコネクタ
ーとして有力な材料である。ランタンクロマイト系酸化
物は融点が高く(2400℃以上)、高温酸化雰囲気におい
てCrO3が蒸発するので、高密度の焼結体を得るためには
電気炉などを用いて1700℃以上、酸素分圧10-6Pa程度の
還元雰囲気での外熱式焼結が必要である。
的低温(1600℃以下)で緻密体を得る方法として、Co、Ni
等の遷移金属のドーピング、Cr欠損の導入、焼結助剤の
添加等の方法が採られている。
した場合や焼結助剤を添加した場合には、焼結促進のた
めにドーピングした元素や焼結助剤が、高温(約1000℃)
かつ長時間のSOFC作動時にインターコネクターの粒界に
析出し抵抗を増大させるので、SOFCの劣化につながる
(G. M. Christie, et al., J. Euro. Ceram. Soc., 14
(1994)163)。
することにより余分となったLaが、La2O3としてLaCrO3
中に生成する。生成したLa2O3は発電時に生成する水蒸
気と反応してさらにLa(OH)3となる。これが、体積変化
を誘発し、燃料電池セルにクラックを生じさせ、ひいて
は発電効率の低下につながる(M. Mori et al., Solid S
tate Ionics, 123 (1999) 103)。
合物であるランタンクロマイト系酸化物などを短時間で
焼結する技術の開発が不可欠である。また、異種元素の
ドーピング量や焼結助剤の添加量をできるだけ低減した
場合にも、比較的低温で焼結可能で且つ高密度の焼結体
を得る技術を開発することが強く求められている。
ーコネクターなどを共焼結することによって得られ、一
般に以下のような多段階・長時間のプロセスで製造され
る。各電極材料、電解質材料、インターコネクター材料
のスラリーをそれぞれ調製し、これを用いてドクタープ
レード法によってグリーン膜を作成する。次にそれぞれ
のグリーン膜を切り出し、積層し、一昼夜プレスした
後、80時間以上かけて400℃に昇温し、脱脂処理を行
う。更に1300℃まで15時間以上かけて昇温し5時間保持
することにより共焼結を行う。
な工程をふまえることなく、短時間で共焼結体を製造す
る方法の開発も切望されている。
問題点を鑑みなされたものであって、固体電解質型燃料
電池のインターコネクターなどに好適な焼結体、上記焼
結体部分を有する共焼結体、これらの用途およびこれら
を短時間で製造する方法を提供することを主な目的とす
る。
重ねた結果、特定の原料粉末を放電プラズマ焼結法によ
って焼結することによって、高密度焼結体および共焼結
体を短時間で作製できることを見出し本発明を完成する
に至った。
体、その用途およびその製造方法に係るものである。 1.ランタンクロマイト系酸化物、YCrO3、CoCr2O4およ
びNi-Al合金からなる群から選択される少なくとも一種
を含み、平均粒径がサブミクロンである焼結体。 2.平均粒径がサブミクロンの原料粉末を放電プラズマ
焼結法によって焼結することにより得られるランタンク
ロマイト系酸化物、YCrO3、CoCr2O4およびNi-Al合金か
らなる群から選択される少なくとも一種を含む焼結体。 3.理論値に対する相対密度が、60〜100%である上記
1または2に記載の焼結体。 4.1000℃における直流導電率が、5〜100S/cmである上
記1〜3のいずれかに記載の焼結体。 5.上記1〜4のいずれかに記載の焼結体からなる固体
電解質型燃料電池用インターコネクター。 6.平均粒径がサブミクロンの原料粉末を放電プラズマ
焼結法によって焼結することを特徴とする固体電解質型
燃料電池用インターコネクターの製造方法。 7.ランタンクロマイト系酸化物、YCrO3、CoCr2O4およ
びNi-Al合金からなる群から選択される少なくとも一種
を含み、且つ平均粒径がサブミクロンである層を含む共
焼結体。 8.ランタンクロマイト系酸化物、YCrO3、CoCr2O4およ
びNi-Al合金からなる群から選択される少なくとも一種
を含み、且つ平均粒径がサブミクロンである層と、イッ
トリウムをドープした安定化ジルコニア(YZS)および/ま
たはNi-YZSサーメットを含む層からなる共焼結体。 9.ランタンクロマイト系酸化物、YCrO3、CoCr2O4およ
びNi-Al合金からなる群から選択される少なくとも一種
を含み、且つ平均粒径がサブミクロンである層とLaMnO3
を含む層からなる共焼結体。 10.共焼結体のそれぞれの層の原料粉末を積層させた
ものを放電プラズマ焼結法によって焼結することを特徴
とする共焼結体の製造方法。 11.上記1〜4のいずれかに記載の焼結体からなる発
熱体。
ロマイト系酸化物、YCrO3、CoCr2O4およびNi-Al合金か
らなる群から選択される少なくとも一種を含み、平均粒
径がサブミクロンである焼結体に係る。
系酸化物、YCrO3、CoCr2O4およびNi-Al合金からなる群
から選択される少なくとも一種を含み、且つ平均粒径が
サブミクロンである層を含む共焼結体に係る。
えば、LaCrO3、(La1-xSrx)CrO3(0<x≦0.2)、LaCr1-xMg
xO3(0≦x≦0.2)、(La1-xCax)CrO3(0<x≦0.2)、La1-xMg
xCr1 -yCayO3(0≦x≦0.1, 0≦y≦0.2)などを例示でき
る。
ンであれば特に制限されず、通常0.1〜0.9μm程度、好
ましくは0.1〜0.5μm程度、特に好ましくは0.1〜0.3μm
程度である。
相対密度として通常60〜100%程度、好ましくは80〜100
%程度、より好ましくは95〜100%程度、特に好ましく
は97〜100%程度である。
おいて、通常5〜100S/cm程度、好ましくは15〜100S/cm
程度である。
等の遷移金属をドーピングしてもよく、Cr欠損を導入し
てもよく、或いはLaF3,YF3などの焼結助剤を添加しても
良い。遷移元素のドーピング量は、焼結温度などに応じ
て適宜設定することができるが、原料粉末に対して通常
1〜15mol%程度、好ましくは1〜10mol%程度である。Cr
欠損の導入量は、焼結温度などに応じて適宜設定するこ
とができるが、通常1〜10mol%程度、好ましくは1〜5mol
%程度である。焼結助剤の添加量は、焼結温度などに応
じて適宜設定することができるが、原料粉末に対して通
常1〜10mol%程度、好ましくは1〜5mol%程度である。
用インターコネクター、発熱体などとして好適に使用す
ることができる。
て適宜選択することができる。例えば、固体電解質型燃
料電池用インターコネクターとして使用する場合には、
層状、円筒型などを例示することができる。焼結体の大
きさや厚さは、用途などに応じて適宜設定することがで
きる。焼結体の厚さは、通常10〜1000μm程度、好まし
くは100〜500μm程度である。
以下のような共焼結体を例示できる。 (i)ランタンクロマイト系酸化物、YCrO3、CoCr2O4およ
びNi-Al合金からなる群から選択される少なくとも一種
を含み、平均粒径がサブミクロンである層と、イットリ
ウムをドープした安定化ジルコニア(YZS)および/または
Ni-YZSサーメットを含む層からなる共焼結体(以下「共焼
結体(i)」ということがある)。 (ii)ランタンクロマイト系酸化物、YCrO3、CoCr2O4およ
びNi-Al合金からなる群から選択される少なくとも一種
を含み、平均粒径がサブミクロンである層と、LaMnO3を
含む層からなる共焼結体(以下「共焼結体(ii)」というこ
とがある)。
クロマイト系酸化物、YCrO3、CoCr2O4およびNi-Al合金
からなる群から選択される少なくとも一種を含み、且つ
平均粒径がサブミクロンである層(以下「第1層」という
ことがある)は、第1発明に係る焼結体と同様の性質を
示す。
ブミクロンであれば特に制限されず、通常0.1〜0.9μm
程度、好ましくは0.1〜0.5μm程度、特に好ましくは0.1
〜0.3μm程度である。共焼結体における第1層の密度
は、理論値に対する相対密度として通常60〜100%程
度、好ましくは80〜100%程度、より好ましくは95〜100
%程度、特に好ましくは97〜100%程度である。共焼結
体における第1層の直流導電率は、1000℃において、通
常5〜100S/cm程度、好ましくは15〜100S/cm程度であ
る。共焼結体の第1層には、必要に応じてCo、Ni等の遷
移金属をドーピングしてもよく、Cr欠損を導入してもよ
く、或いはLaF3,YF3などの焼結助剤を添加しても良い。
第1層への遷移元素のドーピング量は、焼結温度などに
応じて適宜設定することができるが、原料粉末に対して
通常1〜15mol%程度、好ましくは1〜10mol%程度であ
る。第1層へのCr欠損の導入量は、焼結温度などに応じ
て適宜設定することができるが、通常1〜10mol%程度、
好ましくは1〜5mol%程度である。第1層への焼結助剤の
添加量は、焼結温度などに応じて適宜設定することがで
きるが、原料粉末に対して通常1〜10mol%程度、好まし
くは1〜5mol%程度である。
安定化ジルコニア(YZS)および/またはNi-YZSサーメット
を含む層において、YZSまたはNi-YSZサーメットにおけ
るイットリウムのドープ量は、特に制限されない。YSZ
におけるイットリウムのドープ量は、通常1〜30mol%程
度、好ましくは10〜20mol%程度である。Ni-YSZサーメッ
トにおけるイットリウムのドープ量は、通常1〜30mol%
程度、好ましくは10〜20mol%程度である。Ni-YSZサーメ
ットにおけるNi含有量は、特に制限されないが、体積比
として、通常20〜60vol%程度、好ましくは30〜50vol%程
度である。
安定化ジルコニア(YZS)および/またはNi-YZSサーメット
を含む層の平均粒径は、特に制限されないが、通常0.1
〜5μm程度、好ましくは0.1〜1μm程度である。共焼結
体(ii)のLaMnO3を含む層の平均粒径は、特に制限されな
いが、通常0.1〜5μm程度、好ましくは0.1〜1μm程度で
ある。
インターコネクター/燃料極として好適に用いることが
できる。共焼結体(ii)は、固体電解質型燃料電池用イン
ターコネクター/空気極として好適に用いることができ
る。
ず、用途などに応じて適宜設定することができる。例え
ば、共焼結体(i)を固体電解質型燃料電池用インターコ
ネクター/燃料極として用いる場合には、円形、角形な
どの平板状などを例示することができる。共焼結体(ii)
を固体電解質型燃料電池用インターコネクター/空気極
として用いる場合には、円形、角形などの平板状などを
例示することができる。
じて適宜設定することができる。共焼結体の厚さは、通
常10〜3000μm程度、好ましくは100〜2000μm程度であ
る。共焼結体(i)の厚さは、通常10〜3000μm程度、好ま
しくは100〜2000μm程度である。共焼結体(ii)の厚さ
は、通常10〜3000μm程度、好ましくは100〜2000μm程
度である。共焼結体における第1層の厚さは、特に制限
されないが、通常10〜1000μm程度、好ましくは100〜50
0μm程度である。共焼結体(i)におけるYSZおよび/また
はNi-YSZサーメットを含む層の厚さは、特に制限されな
いが、通常10〜2000μm程度、好ましくは100〜1500μm
程度である。共焼結体(ii)におけるLaMnO3を含む層の厚
さは、特に制限されないが、通常10〜2000μm程度、好
ましくは100〜1500μm程度である。
ラズマ焼結法などを用いて、平均粒径がサブミクロンの
原料粉末を焼結する方法などにより得ることができる。
第2発明に係る共焼結体は、例えば、共焼結体のそれぞ
れの層の原料粉末を積層させたものを放電プラズマ焼結
法などを用いて焼結する方法などにより得ることができ
る。放電プラズマ焼結法とは、原料粉末に加圧下で直流
パルス電流を印加させて焼結する方法であり、放電焼
結、通電焼結とも称される。より具体的には、例えば、
原料粉末を圧縮して圧粉体とし、この圧粉体に加圧しな
がらON-OFFパルス状電流を通電すると共に、そのピーク
電流とパルス幅とを制御して材料温度を制御しつつ圧縮
焼結する方法を例示することができる。放電プラズマ焼
結機およびその作動原理などについては、例えば特許第
3007929号(特開平10-251070号公報)などを参照できる。
際の放電プラズマ焼結における圧力、焼結時間、焼結温
度、印加電流値、電圧値、パルス電流の周期などの焼結
条件は、特に制限されず、用いる原料粉末の組成、粒径
などに応じて適宜設定することができる。
力は、通常10〜50MPa程度、好ましくは20〜40MPa程度で
ある。放電プラズマ焼結を行う時間は、通常1〜30分程
度、好ましくは1〜5分程度である。放電プラズマ焼結を
行う温度は、通常1000〜1700℃程度、好ましくは1500〜
1700℃程度である。印加電流値および電圧値は、所定の
温度になるよう適宜設定する必要がある。放電プラズマ
焼結では、通常500〜1500A程度、好ましくは800〜1200A
程度の直流パルス電流を印加させる。電圧値は、通常1
〜5V程度、好ましくは2〜4V程度である。パルス電流の
周期は、通常1〜50Hz程度、好ましくは10〜40Hz程度で
ある。
特に制限されず、還元雰囲気下、酸化雰囲気下などで行
うことができる。ただし、空気雰囲気下などの酸化雰囲
気下において焼結を行う場合には、焼結治具から空気中
への熱の放散が速いことなどから、より高い焼結温度、
即ち高印加電流が必要となる。特に、ランタンクロマイ
ト系酸化物、YCrO3などのようにCrを含有する原料粉末
を酸化雰囲気下において焼結するとCrがCrO3として蒸発
するので、高密度の焼結体を得がたい。本発明の焼結体
および共焼結体を製造する場合には、1〜10Pa程度の減
圧下などの還元雰囲気において放電プラズマ焼結を行う
ことが好ましい。
る共焼結体の第1層の原料粉末の平均粒径は、サブミク
ロンであれば特に制限されず、通常0.1〜0.9μm程度、
好ましくは0.1〜0.5μm程度、特に好ましくは0.1〜0.3
μmである。なお、平均粒径の値は、電子顕微鏡観察法
による測定値とする。上記原料粉末の組成は、所望の焼
結体(または第1層)と同一の組成とすればよい。原料粉
末としては、例えば、LaCrO3、(La1-xSrx)CrO3(0<x≦
0.2)、LaCr1-xMgxO3(0≦x≦0.2)、(La1-xCax)CrO3(0<x
≦0.2)、La1-xMgxCr1-yCayO3(0≦x≦0.1, 0≦y≦0.2)な
どのランタンクロマイト系酸化物;YCrO3;CoCr2O4;Ni-A
l;これらの混合物などの粉末を例示することができる。
これらの原料粉末の調製方法は特に限定されず、例え
ば、固相反応法、加水分解法、ゾル−ゲル法、水熱法、
噴霧法、錯体合成法などの合成手法を例示することがで
きる。或いは、市販品を用いても良い。
安定化ジルコニア(YZS)および/またはNi-YZSサーメット
を含む層の原料粉末の平均粒径は、特に制限されない
が、通常0.1〜5μm程度、好ましくは0.1〜1μm程度であ
る。上記原料粉末の組成は、所望の層と同一の組成とす
ればよい。原料粉末としては、例えば、ZrO2、Zr(O
H)4、Y2O3、Y(NO3)3、金属Ni、これらの混合物などの粉
末を例示することができる。これらの原料粉末の調製方
法は特に限定されず、例えば、固相反応法、加水分解
法、ゾル-ゲル法、水熱法などの合成手法を例示するこ
とができる。或いは、市販品を用いても良い。
の平均粒径は、特に制限されないが、通常0.1〜5μm程
度、好ましくは0.1〜1μm程度である。上記原料粉末の
組成は、所望の層と同一の組成とすればよい。原料粉末
としては、例えば、La2O3、La(NO3)3、Mn2O3、Mn(N
O3)2、これらの混合物などの粉末を例示することができ
る。これらの原料粉末の調製方法は特に限定されず、例
えば、固相反応法、加水分解法、ゾル−ゲル法、水熱法
などの合成手法を例示することができる。或いは、市販
品を用いても良い。
体の第1層部分にCo、Niなどの遷移金属などをドーピン
グする場合またはCr欠損を導入する場合には、予め所望
の組成となるようにサブミクロンの原料粉末を調製し、
これを放電プラズマ焼結機で焼結すればよい。第1発明
の焼結体または第2発明の共焼結体の第1層部分に焼結
助剤を添加する場合には、平均粒径がサブミクロンであ
る焼結助剤を原料粉末に混合し、十分に混練したものを
放電プラズマ焼結によって焼結すればよい。いずれの場
合においても、従来法に比べて、より少量のドーピング
量/Cr欠損導入量/焼結助剤添加量で高密度の焼結体を得
ることができる。
場合に、例えば治具としてグラファイトを用いた場合な
どには、得られる焼結体または共焼結体の表面近傍に治
具の成分であるグラファイトが含まれることがある。こ
のように焼結体または共焼結体表面近傍にグラファイト
などの不純物が含まれる場合には、必要に応じて、焼結
体または共焼結体表面を研磨または大気中などで熱処理
してもよい。このような操作を行うことにより、不純物
を容易に取り除くことができる。
ことができる。大気雰囲気下または制御雰囲気下(例え
ば高酸素分圧下など)において、放電プラズマ焼結の焼
結温度と同程度またはそれ以下の温度、通常500〜1500
℃程度、好ましくは700〜1300℃程度において、1〜50時
間程度加熱処理を行う。熱処理には、通常の電気炉など
を用いることができる。焼結体または共焼結体は、それ
と反応しないアルミナなどのルツボに入れる。昇温・降
温速度は1〜30℃/分程度、好ましくは5〜20℃/分程度と
する。
インターコネクターとして好適である緻密な焼結体が得
られる。本発明によるとCo、Niなどの遷移金属のドーピ
ング、Cr欠損の導入、焼結助剤の添加などを行う必要が
なく、或いは行う場合であってもその程度を大幅に低減
することができるので、高性能の固体電解質型燃料電池
用インターコネクターを得ることができる。
熱式焼結法に比べ、より低温でかつ短時間で高密度焼結
体を安定に作製することができる。
て、共焼結体を作成することができ、従来法において必
要であったグリーン体の製造などの煩雑な工程を省くこ
とができる。
を研磨または大気中などで熱処理することにより、焼結
体表面のグラファイトなどの不純物を除去することがで
きるので、高緻密性のインターコネクターを得ることが
できる。グラファイトはSOFC作動温度(約1000℃)にCO2
となるので、インターコネクター表面にグラファイトが
存在すると、インターコネクターに空孔が生成し、その
緻密性が低下する恐れがある。インターコネクターの緻
密性が低下すると燃料ガスと空気とが混合し、発電効率
が低下する。
本発明の特徴とするところをより明確にする。本発明
は、これら実施例に限定されるものではない。
末として用いた市販のLSC粉末は、(La0.9Sr0.1)CrO3(SS
CInc.製、平均粒径0.2μm)である。
ラズマ焼結機SPS-515Sを用いた。治具として、グラファ
イト製で直径1.5cmの円筒形のものを用いた。
入れ、約40MPaの圧力を印加し、焼結チャンバー内を約7
Paまで脱気した。更に治具に約1100Aの直流パルス電流
を印加することにより試料周辺を昇温速度約170℃/min
で1300、1400、1500℃に加熱した。この状態を5分間保
持した後、電流および圧力印加を止め、試料を室温まで
冷却し、焼結チャンバー内を大気圧に戻した。
気伝導性を有していた。X線回折から焼結体には治具の
グラファイトが含まれていることが分かった。グラファ
イトの含有はエネルギー分散型X線分析(EDX)測定結果に
おいてLa、Sr、Cr、Oの他にCが認められたことからも明
らかである。
ものは、X線回折においてLSCのピークのみとなった。ま
たEDXの測定結果においてもLa、Sr、Cr、Oのみとなっ
た。すなわち、熱処理を施すことによりグラファイトを
含まないLSC焼結体を得ることができた。
得た。
て、直径1cm、厚さ1mm程度のペレットを作成した。これ
をアルミナルツボにいれ、通常の電気炉を用いて1500ま
たは1600℃で3時間焼結した。昇温・降温速度は、10℃/
分に制御した。
れた焼結体(熱処理を行ったもの)、および比較例1にお
いて得られた焼結体のX線回折パターンを示す。原料粉
末の回折パターンには、SrCrO4のピークが見られる。実
施例1において得られた焼結体の回折パターンは、斜方
晶のLSCのものであった。その格子定数は、a=0.5486(2)
nm(0.5486±0.0002nmを表す。以下同様)、b=0.5498(3)n
m、c=0.7745(2)nmであった。これらの値は、報告値(a=
0.5471(5)nm、b=0.5503(4)nm、c=0.7748(6)nm;C. P. Kh
attak and D. E. Cox, Mater. Res. Bull., 12(1977)46
3)と良い一致を示した。
び比較例1において得られた(La0.9Sr0.1)CrO3焼結体に
含まれるLa、SrおよびCr含有量並びにLa:Sr:Cr比を示
す。焼結体のLa、SrおよびCr含有量は、いずれも理論値
に近い値であった。
焼結体の密度の焼結温度に対する依存性を図2に示す。
実施例1において得られた焼結体の密度は、例えば1500
℃で5分焼結した場合には6.4g/cm3であり、この値は理
論密度(6.6g/cm3)の97%であった。これに対して、比較
例1において得られた焼結体の密度は、同じLSC原料粉
末を用いたにも拘わらず、例えば1600℃で3時間焼結し
た場合には、3.3g/cm3(理論密度の50%)であった。
雰囲気で焼結を行ったので、これによりCrO3の蒸発が抑
えられたことなどにより、高密度の焼結体が得られたも
のと考えられる。
径は、図3のSEM写真に示されている通りサブミクロンで
あり、粒子同士が非常に緻密に接触しているものであっ
た。一方、比較例1において得られた焼結体の粒径は、
1ミクロン以上に成長し、空孔の多い組織であった。
焼結体の直流導電率(σ)の温度依存性を図4に示す。実
施例1の焼結体の1000℃における直流導電率は、焼結温
度が1300℃の場合には9S/cm, 1400℃の場合には13S/cm,
1500℃の場合には15S/cmであった。これは、これまで
に高密度焼結体の直流導電率として報告された値(約10S
/cm;W. C. Webber, C. W. Griffin and J. L. Bates,
J. Am. Ceram. Soc., 70(1987)265)よりも高い値であっ
た。本発明の焼結体の平均粒径は約0.2μmであり、上記
文献記載の焼結体の粒径(1〜2μm)よりも小さいので、
本発明の焼結体はこの点においても固体電解質型燃料電
池用インターコネクターにより好適である。一方、比較
例1において得た焼結体は、1000℃において、0.9S/cm
の直流導電率しか示さなかった。
に沿って粒子の大きさの分だけ伸長すると考えられてい
る。SOFC作動時にインターコネクターに亀裂が生じる
と、燃料ガスと空気が混合するので、発電効率の低下が
引き起こされる。本発明の焼結体は、微細粒子からなる
ので、亀裂が生じたとしてもその進展が小さく、インタ
ーコネクターとして好適である。
例2として以下に記載する。
を加圧して直径約1.3cm、厚さ約3mmのペレットに成型し
た。このペレットを円筒型炉に入れ、それにO2、N2、CO
2およびH2からなる混合ガスを酸素分圧が10-14〜10-10a
tmとなるように導入した。なお、ガスの流量は、1リッ
トルcm/秒とする。この炉の温度を1625〜1720℃で1時間
加熱することにより焼結体を得た。
mol%)ドープしたジルコニア(YSZ)粉末(東ソー(株)製、
平均粒径0.2μm)を用いて、LSC層とYSZ層からなる共焼
結体を製造した。
ック製放電プラズマ焼結機SPS-515Sを用いた。焼結治具
は、グラファイト製で直径1.5cmの円筒形のものを用い
た。
れ、表面を平滑にした後、YSZ粉末約0.5gを均一に入れ
ることにより、共焼結体のそれぞれの層の原料粉末を積
層させた。これを焼結機のチャンバー内にセットし、約
40MPaの圧力を印加し、焼結チャンバー内を約7Paまで脱
気した。更に治具に約1100Aの直流パルス電流を印加す
ることにより試料周辺を昇温速度約170℃/minで1300、
1400、1500℃に加熱した。この状態を5分間保持した
後、電流及び圧力印加を止め、試料を室温まで冷却し、
焼結チャンバー内を大気圧に戻した。
電気伝導性を有していた。X線回折から、この共焼結体
には治具のグラファイトが含まれていることが分かっ
た。グラファイトの含有はエネルギー分散型X線分析(ED
X)測定結果においてY,Zr,La,Sr,Cr,Oの他にCが認
められたことからも明らかである。
たもの(SPS共焼結体)は、両相の境界面が明瞭(目視によ
る)で、室温中の1年以上の保存で剥離することはなかっ
た。それぞれの面のX線回折は、YSZ及びLSCのみのピー
クであった。またEDXの測定結果においてもY,Zr,La,
Sr,Cr,Oのみとなった。すなわち、熱処理によりグラ
ファイトを含まないYSZ/LSC共焼結体を得ることができ
た。なお、両粉末を積層して約150MPaで加圧成型し通常
の電気炉で焼結したものは、1500℃以下の焼結温度では
両相がすぐに剥離し、良好な共焼結体は得られなかっ
た。
SEM写真を図5に示す。両相の界面が明瞭であることが分
かる。図6には、図5のA-B線上でのEDXによるZr,La,
Cr元素分布測定結果を併せて示す。共焼結体の界面部分
でZr,La,Crの元素分布が急激に変化していることが分
かる。これは、放電プラズマ焼結法によりシャープな接
合面が形成できたことを示している。
%)ドープしたジルコニア(YSZ)粉末の代わりに、LaMnO3
粉末を用いた場合には、インターコネクター/空気極と
して好適な共焼結体を得ることができる。
(SPS)、通常焼結法(CS)により得られた(La0.9Sr0.1)CrO
3焼結体のX線回折パターンを示す。
S)により得られた(La 0.9Sr0.1)CrO3焼結体の密度の焼結
温度依存性を示す。
S)により得られた(La 0.9Sr0.1)CrO3焼結体の破断面のSE
M写真。
S)により得られた(La 0.9Sr0.1)CrO3焼結体の直流導電率
(σ/Scm-1)の温度依存性を示す。
(La0.9Sr0.1)CrO3共焼結体の界面近傍の破断面のSEM写
真を示す。
たYSZ/(La0.9Sr0.1)CrO3共焼結体のA-B線上におけるEDX
によるZr, LaおよびCr元素の分布測定結果を示す。
Claims (11)
- 【請求項1】ランタンクロマイト系酸化物、YCrO3、CoC
r2O4およびNi-Al合金からなる群から選択される少なく
とも一種を含み、平均粒径がサブミクロンである焼結
体。 - 【請求項2】平均粒径がサブミクロンの原料粉末を放電
プラズマ焼結法によって焼結することにより得られるラ
ンタンクロマイト系酸化物、YCrO3、CoCr2O4およびNi-A
l合金からなる群から選択される少なくとも一種を含む
焼結体。 - 【請求項3】理論値に対する相対密度が、60〜100%で
ある請求項1または2に記載の焼結体。 - 【請求項4】1000℃における直流導電率が、5〜100S/cm
である請求項1〜3のいずれかに記載の焼結体。 - 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の焼結体か
らなる固体電解質型燃料電池用インターコネクター。 - 【請求項6】平均粒径がサブミクロンの原料粉末を放電
プラズマ焼結法によって焼結することを特徴とする固体
電解質型燃料電池用インターコネクターの製造方法。 - 【請求項7】ランタンクロマイト系酸化物、YCrO3、CoC
r2O4およびNi-Al合金からなる群から選択される少なく
とも一種を含み、且つ平均粒径がサブミクロンである層
を含む共焼結体。 - 【請求項8】ランタンクロマイト系酸化物、YCrO3、CoC
r2O4およびNi-Al合金からなる群から選択される少なく
とも一種を含み、且つ平均粒径がサブミクロンである層
と、イットリウムをドープした安定化ジルコニア(YZS)
および/またはNi-YZSサーメットを含む層からなる共焼
結体。 - 【請求項9】ランタンクロマイト系酸化物、YCrO3、CoC
r2O4およびNi-Al合金からなる群から選択される少なく
とも一種を含み、且つ平均粒径がサブミクロンである層
とLaMnO3を含む層からなる共焼結体。 - 【請求項10】共焼結体のそれぞれの層の原料粉末を積
層させたものを放電プラズマ焼結法によって焼結するこ
とを特徴とする共焼結体の製造方法。 - 【請求項11】請求項1〜4のいずれかに記載の焼結体
からなる発熱体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000110104A JP2001294485A (ja) | 2000-04-12 | 2000-04-12 | 固体電解質型燃料電池用インターコネクターに適した焼結体およびその製造方法 |
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ID=18622677
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Country | Link |
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JP (1) | JP2001294485A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100453506C (zh) * | 2006-11-16 | 2009-01-21 | 武汉理工大学 | 一种提高Y2O3稳定ZrO2陶瓷材料中低温电导率的方法 |
JP2009152016A (ja) * | 2007-12-19 | 2009-07-09 | Tokyo Gas Co Ltd | 固体酸化物形燃料電池用インターコネクタへの保護膜コーティング方法 |
-
2000
- 2000-04-12 JP JP2000110104A patent/JP2001294485A/ja active Pending
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JP2009152016A (ja) * | 2007-12-19 | 2009-07-09 | Tokyo Gas Co Ltd | 固体酸化物形燃料電池用インターコネクタへの保護膜コーティング方法 |
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