JP2001283745A - イオン源 - Google Patents

イオン源

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JP2001283745A
JP2001283745A JP2000093213A JP2000093213A JP2001283745A JP 2001283745 A JP2001283745 A JP 2001283745A JP 2000093213 A JP2000093213 A JP 2000093213A JP 2000093213 A JP2000093213 A JP 2000093213A JP 2001283745 A JP2001283745 A JP 2001283745A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 気体を原料とした従来のイオン源では,微小
径のイオンビームを得ることは難しく,イオンの電界放
出を用いたイオン源では,微小径のイオンビームを得る
ことはできても,ガス効率が著しく低く装置も複雑にな
ってしまうという問題があった。 【解決手段】 本発明は,微小開孔からカソード電極の
開孔に向かって高圧噴射された原料ガスに電界を印加し
て,微小領域においてプラズマを生成することにより,
簡素な構成によりガス効率を損ねることなく微小径のイ
オンビームを得ることを図ったものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,例えば表面物理分
析装置や半導体製造の検査装置,欠陥リペア装置用イオ
ンプローブ,イオン注入,イオンビーム露光,イオンビ
ーム堆積,イオンビームエッチング,イオンビーム描画
などに用いられる微小径イオンビーム発生用のイオン源
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】He,Arなど気体を原料とした従来の
イオン源のほとんどが,隔壁で囲まれたプラズマ室にお
いて生成されたプラズマからイオンを引き出す方式を採
用している。この方式では,プラズマ室に原料ガスを導
入し,直流,交流,あるいは高周波高電圧により放電を
誘起し,高濃度のプラズマを生成させ,そのプラズマか
ら該隔壁の一部に開けられた開孔を通じて,イオンを利
用すべき真空空間へ導き,真空中の開孔近傍に設けられ
た引き出し電極に印加された負電位によって加速するこ
とにより,イオンビームが生成される。このようなイオ
ン源の一例として,PIG(Penning Ionization Gauge)
型ガスイオン源の概略構成を図5に示す。図5に示す如
く,このイオン源A0では,プラズマ室101に,対向
する2枚のカソード電極102(102a,102b)
と,その間に円筒形のアノード電極103があり,外部
コイル(又は磁石)104により,数十〔mT〕の軸方
向磁場が印加されている。原料ガス圧は一般に1×10
-1〜1×10-2〔Pa〕で動作する。電子は磁束線に巻
き付いた円運動をしながら,2枚のカソード電極102
の間を往復運動する。この間に原料ガス分子と衝突して
電離し,電子とイオンを生ぜしめる。イオンは電場で加
速され,カソード電極102に衝突して2次電子を複数
生成し,プラズマ室101に再び電子を供給する。これ
ら一連の電子増殖が,冷陰極気体放電によるプラズマ生
成である。アノード電極103とカソード電極102と
の間の電圧は,一般に1〜数〔kV〕程度である。一方
のカソード電極102aには,開孔1021が設けられ
ており,プラズマ室101において生成されたプラズマ
から前記開孔1021を通じてイオンが引き出される。
前記カソード電極102aの前記プラズマ室101とは
逆側に,引き出し電極105が設けられており,この引
き出し電極105と前記カソード電極101aとの間に
電圧を印加すると,前記カソード電極101aの開孔1
021から前記プラズマ室101のプラズマに電界が浸
透し,この電界に加速されてイオンがプラズマから引き
出されるのである。プラズマに電界が浸透した遷移領域
の大きさはデバイ長λD 程度である。図6に示す如く,
イオンは,ほぼ同数の電子(白丸)とイオン(黒丸)が
存在している無電界のプラズマから引き出され,イオン
が若干多い遷移領域を経て,イオンの空間電荷だけが存
在するイオンシースにて加速される。引き出されたイオ
ンは,前記引き出し電極105の開孔1051を通じて
放出される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したような,プラ
ズマ室からイオンを引き出す方式のイオン源では,イオ
ンが引き出されるカソード電極の開孔が比較的大きく,
電磁的なレンズを用いたとしても,微小径イオンビーム
を得ることは困難であった。これは,微小径イオンビー
ムを得るべく,カソード電極の開孔を小さくすると,イ
オンが引き出せなくなってしまうためである。例えばカ
ソード電極102aの厚さtが2〔mm〕,開孔102
1と引き出し電極105との距離dが10〔mm〕,開
孔径Dが20〔mm〕のときに,開孔1021付近の中
心軸上の電位分布を計算した計算結果を図7に示す。図
7に示す如く,開孔径Dが20〔mm〕のとき(黒四
角)には,開孔1021からプラズマ室101側に10
〔mm〕入ったところでも,引き出し電極1051とカ
ソード電極102aとの間の電圧VEXの最大電圧Vmax
うちの約3%の電位が入り込んでいる。しかしながら,
開孔径Dを4〔mm〕,2〔mm〕,0.2〔mm〕
(=200〔μm〕)と小さくするに連れてプラズマ室
101側に入り込む電位はほとんどなくなり,この状態
ではプラズマからイオンを引き出すことができない。イ
オンを引き出すためには,光学的条件として,t≦D≦
d≦3D〜5D程度の関係を保つ必要がある。この条件
は,プラズマ密度nや電圧VEXを大きくすることによっ
て若干緩和されるが,どちらのパラメータも一桁以上の
増大は物理的に不可能である。上の条件において,カソ
ード電極102aの厚みtは,加工や強度といった面か
ら考慮すると,小さく見積もっても,0.5〔mm〕が
限界であるから,開孔径Dの下限も0.5〔mm〕程度
となる。このように,プラズマ室からイオンを引き出す
方式では,開孔径Dが数100〔μm〕以下の微小イオ
ン源を実現することはほとんど不可能である。微小径イ
オンビームを得るイオン源としては,液体窒素あるいは
液体ヘリウムで冷却した金属表面に凝固させた気体原子
・分子層からイオンを電界放出させるものが存在する
が,引き出されたイオンビームのサイズは小さいもの
の,上述したような気体イオン源と比較してガス効率が
著しく悪くかつ装置構成も複雑になるという問題点があ
った。本発明は,このような従来の技術における課題を
解決するために,イオン源を改良し,微小開孔から高圧
噴射された原料ガスに放電を生ぜしめることによりイオ
ンが引き出される領域自体を微小にすることによって,
簡素な構成によりガス効率を損ねることなく微小径のイ
オンビームを得ることができるイオン源を提供すること
を目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに,本発明は,カソード電極の原料ガス導入側で生成
されたプラズマから前記カソード電極に設けられた開孔
を通じてイオンを引き出してなるイオン源において,前
記カソード電極の開孔よりも小さな微小開孔を備えた原
料ガス導入部を有し,前記原料ガス導入部と前記カソー
ド電極との間に電圧を印加することにより,前記原料ガ
ス導入部の微小開孔から前記カソード電極の開孔に向か
って高圧噴射された原料ガスをプラズマ化してなること
を特徴とするイオン源として構成されている。本発明で
は,カソード電極の開孔よりも小さな微小開孔を備えた
原料ガス導入部と前記カソード電極との間に電圧を印加
することにより,前記原料ガス導入部の微小開孔から前
記カソード電極の開孔に向かって高圧噴射された原料ガ
スがプラズマ化される。プラズマの生成領域は,ほぼ原
料ガスの噴射方向に沿った微小領域に限定される。前記
カソード電極の原料ガス導入部側とは逆側には,前記カ
ソード電極の開孔よりも大きな開孔が設けられた引き出
し電極が配置されており,前記引き出し電極と前記カソ
ード電極との間に電圧を印加すれば,前記微小領域にあ
るプラズマから前記カソード電極の開孔を通じてイオン
が引き出され,前記引き出し電極の開孔からイオンが放
出される。プラズマのある領域自体が微小であるため,
イオンが引き出される領域も微小となり,カソード電極
の開孔を小さくしたり,引き出し電極とカソード電極と
の間の印加電圧を変化させたり,プラズマ密度を変化さ
せたりするだけでは極めて困難な大きさにまでイオンの
引き出し領域を収束させることが可能となる。また,電
界放出を用いたイオン源と較べるとガス効率は格段に良
く,構成も簡素である。高圧噴射された原料ガスからプ
ラズマを良好に生成するためには,前記原料ガス導入部
と前記カソード電極との間に印加される電圧の大きさ
と,前記原料ガスの噴射圧力と,前記微小開孔から前記
カソード電極までの距離との関係を,パッシェンの法則
に基づいて定めればよい。前記関係をパッシェンの法則
に基づいて定めることによって,高圧噴射された原料ガ
スが存在する領域のうちでも,拡散によって圧力が低下
していない,粒子の方向が比較的揃った微小な領域に放
電を生ぜしめ,その微小な領域に良好にプラズマを生成
することが可能になる。本発明に係るイオン源におい
て,真空容器の内壁から前記カソード電極側に突出した
導電性の微細管の開孔から原料ガスを高圧噴射すれば,
突出した導電性の微細管の開孔付近に電界が集中するこ
とから,イオン化が促進されると共に,より放電を安定
させることができる。さらに,前記微細管の高圧側から
前記微細管内にレーザ光を入射して前記微細管内でレー
ザ光を全反射させれば,レーザ光源の出力が比較的小さ
い場合でも前記微細管内の原料ガスに大きなエネルギー
を与えてガス分子を励起させておくことが可能となり,
ガス分子の励起により前記微細管の開孔から噴射された
原料ガスのイオン化が促進され,より大きなイオン電流
を取り出すことが可能となる。前記原料ガス導入部と前
記カソード電極との間に印加する電圧は,直流電圧であ
ってもよいし,交流電圧,高周波電圧,さらにはこれら
の組み合わせでもよい。本発明に係るイオン源がマイク
ロイオン源として特に価値があるのは,前記微小開孔の
直径が100〔μmΦ〕以下である場合である。前記微
小開孔の直径が100〔μmΦ〕よりも大きくなると,
イオンの引き出し領域がそれに連れて大きくなってしま
うことはもちろんであるが,原料ガスの噴射圧力をある
程度大きくしたまま前記微小開孔の直径を大きくする
と,一般的なターボ分子ポンプでは,十分な排気が困難
になるためである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下,添付図面を参照して,本発
明の実施の形態につき説明し,本発明の理解に供する。
なお,以下の実施の形態は,本発明の具体的な例であっ
て,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではな
い。図1は本発明の実施の形態に係るイオン源の概略構
成を示す図である。図1に示す如く,本発明の実施の形
態に係るイオン源の真空容器1は,内壁2により,イオ
ンビームを生成するイオンビーム生成室3と,原料ガス
を真空容器1内に導入するための原料ガス導入室4とに
分けられている。前記イオンビーム生成室3には,カソ
ード電極5と,引き出し電極6とが配置される。前記カ
ソード電極5には,例えば直流電源51により,前記内
壁2(又は前記真空容器1)に対して負の電位が,前記
引き出し電極6には,直流電源61により,前記カソー
ド電極5に対して負の電位が与えられる。前記カソード
電極5,及び前記引き出し電極6には開孔52,62が
それぞれ設けられている。前記カソード電極5の開孔5
2を通じて,前記カソード電極5の前記内壁2側で生成
されたプラズマ7からイオンが引き出され,前記引き出
し電極6の開孔62からイオンが放出される。なお,前
記イオンビーム生成室3の引き出し電極6側にはターボ
分子ポンプなどの真空ポンプ8が接続されており,前記
真空ポンプ8により前記イオンビーム生成室3の真空度
は,1×10-3〔Pa〕程度に保たれる。前記原料ガス
導入室4には,例えばHeなどの気体原料ガスが外部か
ら導入される。前記内壁2には,100〔μmΦ〕以下
の直径を有する微小開孔9が設けられており,前記原料
ガス導入室4に導入された原料ガスは,前記微小開孔9
を通じて,前記カソード電極5の開孔52に向かって前
記イオンビーム生成室3側に高圧噴射される。前記微小
開孔9を備えた内壁2が本発明における原料ガス導入部
に相当する。
【0006】前記原料ガス導入室4に導入された原料ガ
スの圧力pの上限,ひいては前記微小開孔9を通じて前
記カソード電極5の開孔52に向かって噴射された原料
ガスの噴射圧力paは,前記イオンビーム生成室3側の
排気許容量Q′に応じて定められる。前記真空ポンプ8
の排気速度Sが,ターボ分子ポンプとしては一般的な5
00l/s以下であるとすると,排気許容量Q′はQ′
≪5×10-4〔Pa・m3 /s〕となる。ここで,微小
開孔9の直径2Dが9〔μmΦ〕であり,この微小開孔
9を,長さLが1〔mm〕のキャピラリであるとし,気
体流を粘性流として扱うと,前記原料ガス導入室4から
前記イオンビーム生成室3への原料ガスの流量Qは,次
式によって表される。 Q=(π/(8ηL))・D4 ・(p+pa)・(p−
pa)/2 ただし,ηは気体の粘性係数で,η=0.499vλρ
によって表される。vは分子平均速度,λは平均自由行
程,ρは気体密度である。上述した排気許容量Q′に流
量Qを当てはめれば,必要となる圧力paに対して圧力
pを定めることができる。前記原料ガス導入室4に導入
されたHeガスの圧力pを1×105 〔Pa〕とし,前
記微小開孔9から高圧噴射された直後のHeガスの圧力
paを4.8×102 〔Pa〕にするとすれば,このH
eガスに対する流量Qは3.8×10-5〔Pa・m3
s〕となる。この流量Qは前記排気許容量Q′より十分
に小さく,真空システムとしての具現性に問題はない。
長さLが数mmであれば,一般的なターボ分子ポンプを
用いても,微小開孔9の直径が100〔μmΦ〕以下で
あれば,問題はないことが実験的にも確かめられてい
る。前記微小開孔9から高圧噴射された直後のHeガス
の圧力paが4.8×10 2 〔Pa〕であるとき,前記
微小開孔9と前記カソード電極5との距離dを10〔m
m〕とすれば,両者の積pa・d=4.8〔Pa・m〕
となる。パッシェンの法則に従えば,Heガスについて
火花電圧が最小となるのは,圧力paと距離dの積pa
・dが5.3〔Pa・m〕となるときであり,最小火花
電圧は155〔V〕である。圧力paと距離dの積pa
・dが4.8〔Pa・m〕であるというのは,最小火花
電圧を与える場合よりも,少しだけ小さいが,前記微小
開孔9と前記カソード電極5との間に300〔V〕以上
の電圧が印加されれば,前記微小開孔9から高圧噴射さ
れたHeガスに十分に放電を生じさせることができる。
もちろん,上述のような条件と異なる場合でも,電源5
1により前記微小開孔9と前記カソード電極5との間に
印加される電圧の大きさVと,前記原料ガスの噴射圧力
paと,前記微小開孔9から前記カソード電極5までの
距離dとの関係をパッシェンの法則に基づいて定めれ
ば,原料ガスに十分に放電を生じさせることができる。
【0007】前記微小開孔9から高圧噴射された原料ガ
スは,前記微小開孔9から噴射された直後から徐々に広
がっていくが,ガスジェットの外部では急速にガス濃度
が低下する。パッシェンの法則によれば,ガスジェット
の外部では放電に必要な電圧が急速に大きくなるため,
前記微小開孔9と前記カソード電極5との間に電源51
により適当な電圧を印加すれば,放電の発生領域は,ガ
スジェットの存在領域に限定されることになる。ガスジ
ェットの存在領域はほぼ微小開孔9の径に対応し,この
領域で発生した放電によって原料ガスからプラズマが生
成されるため,プラズマの存在領域も径が数100〔μ
m〕以下の極めて小さいものとなる。前記カソード電極
5と前記引き出し電極6との間に電源61により電圧を
印加することによって形成された引き出し電界によって
前記カソード電極5の開孔を通じて引き出されるイオン
は,この微小なプラズマ領域から引き出されることにな
るから,イオンの引き出し領域自体が小さくなる。この
ように,本発明の実施の形態に係るイオン源では,微小
開孔から高圧噴射された原料ガスに放電を生ぜしめるこ
とによりイオンの引き出し領域自体が小さくされるか
ら,簡素な構成によりガス効率を損ねることなく微小径
のイオンビームを得ることができる。本発明に係るイオ
ン源を様々な用途に応用すれば,装置構成の簡素化,エ
ネルギー利用効率の向上などを図ることが可能となる。
例えば本発明に係るイオン源は,局所分析が可能なラザ
フォード後方散乱分析装置に応用することができる。ラ
ザフォード後方散乱分析装置では,Heイオンビームを
照射した局所領域における試料内元素の組成や量などが
得られる。比較的高エネルギーのHeイオンビームを試
料に入射させると,試料内元素の種類や深さ,量などの
情報を持ってHeイオンが後方散乱されるが,この後方
散乱されたHeイオンのエネルギーを検出することによ
り,試料内元素の組成や量などを得るのである。従来の
イオン源から引き出されたイオンビームの径は比較的大
きな径であったため,イオンビームを一旦対物スリット
でビーム径を微小サイズに整形した後,レンズによって
照射物表面に縮小投影させる必要があり,装置が大きく
なることが避けられず,また対物スリットでビーム電流
を損失することも避けることができなかった。これに対
し,本発明に係るイオン源を応用したラザフォード後方
散乱分析装置は,イオン源1の他,例えば図2に示す如
く,ビーム粒子にエネルギーを与える加速管201,ビ
ーム位置検出用のファラデーカップ又はビームプロファ
イルモニタ202,ビームプロファイルモニタ203,
質量選択用のWien filter 204,ビーム収束用の四重
極磁気レンズ(Q-magnet) 205,ターゲットに装着さ
れた試料206によって後方散乱されたイオンを検出す
る検出器207などを備えるが,本発明に係るイオン源
1を用いた場合には,イオンの発生点自体が極めて小さ
いため,対物スリットを設ける必要がなく単に縮小投影
するのみでよい。このため,光学系の構成が簡素にな
り,また光学系寸法を小さくすることが可能となる。さ
らに,対物スリットにおけるビーム電流の損失がなくな
る分だけ,加速すべきイオンビームのビーム電流が小さ
くなるから,高電圧発生器の電源容量も小さくすること
ができる。その結果,装置の製造コストを大幅に抑える
ことが可能となる。
【0008】
【実施例】前記実施の形態では,平面状の内壁2に設け
た微小開孔9から原料ガスを高圧噴射させていたが,こ
れに限られるものではなく,例えば図3に示すように,
真空容器1′の平面状の壁1a′から突出した微細管1
1(本発明における原料ガス導入部の他の例である)の
開孔9′から原料ガスを高圧噴射するようにしてもよ
い。この場合,真空側のガス噴出開孔9′に電界が集中
し,前記カソード電極5から飛来する電子が,ガスの濃
い開孔9′近傍に集中するため,イオン化が促進される
と共に,放電がより安定に維持されることになる。ま
た,微細管11の高圧側に配置した,わずかmW級半導
体レーザ12からのレーザ光を集束光学系121を介し
て,微細管11内に入射することによって,レーザ光を
微細管11内壁で全反射させながら低圧側へ進行させる
と,微細管11内に10〔MW/m2 〕もの密度の光エ
ネルギーが充満する。この光エネルギーにより微細管1
1内のガス分子は励起し,高圧噴射された際のイオン化
が促進される。その結果,より大きなイオン電流を取り
出すことが可能となる。また,前記実施の形態では,ラ
ザフォード後方散乱分析装置に本発明に係るイオン源を
応用した例を説明したが,この応用例も含めて,本発明
に係るイオン源の用途は,表面物理分析装置や半導体製
造の検査装置,欠陥リペア装置用イオンプローブ,イオ
ン注入,イオンビーム露光,イオンビーム堆積,イオン
ビームエッチング,イオンビーム描画など様々である。
他の例として,本発明に係るイオン源を反応性イオンビ
ームエッチング装置に応用した装置の構成例を図4に示
す。図4に示す如く,本発明に係るイオン源の微小開孔
9,カソード電極5の開孔52,及び引き出し電極6の
開孔62を複数個平面状に配列することによって,大口
径の平行イオンビームを発生させることが可能である。
本発明に係るイオン源では,イオンの発生点が極めて小
さいため,イオンビームの平行性が高く,原料ガスとし
て,反応性の高いフッ素や塩素などのハロゲン系元素や
酸素を用いれば,従来と較べて高いアスペクト比でのエ
ッチングが可能となる。また,前記実施の形態では,微
小開孔9とカソード電極5との間に電源51により直流
電圧を印加したが,これに限られるものではなく,交流
電圧や,高周波電源,あるいはこれらを組み合わせた電
圧を印加するようにしてもよい。
【0009】
【発明の効果】以上説明した通り,本発明に係るイオン
源によれば,微小開孔から高圧噴射された原料ガスに放
電を生ぜしめることによりイオンの引き出し領域自体が
小さくされるから,簡素な構成によりガス効率を損ねる
ことなく微小径のイオンビームを得ることができる。ま
た,本発明に係るイオン源では,前記原料ガス導入部と
前記カソード電極との間に印加される電圧の大きさと,
前記原料ガスの噴射圧力と,前記微小開孔から前記カソ
ード電極までの距離との関係を,パッシェンの法則に基
づいて定めることにより,良好にプラズマを生成するこ
とが可能となる。さらに,本発明に係るイオン源におい
て,真空容器の平面状の壁から前記カソード電極側に突
出した導電性の微細管の開孔から原料ガスを噴射すれ
ば,開孔近傍に電界が集中するため,噴射直後の原料ガ
スのイオン化が促進されると共に,より放電を安定させ
ることができる。さらに,前記微細管の高圧側から前記
微細管内にレーザ光を入射して前記微細管内でレーザ光
を全反射させれば,レーザ光源の出力が比較的小さい場
合でも微細管内にある原料ガスの分子には大きなエネル
ギーが与えられ,原料ガス分子が励起することによって
噴射直後のイオン化がより促進され,より大きなイオン
電流を取り出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るイオン源の概略構
成を示す図。
【図2】 本発明の実施の形態に係るイオン源を応用し
たラザフォード後方散乱分析装置の概略構成を示す図。
【図3】 本発明の一実施例に係るイオン源の概略構成
を示す図。
【図4】 本発明に係るイオン源を応用したエッチング
装置の概略構成を示す図。
【図5】 従来のイオン源の一例を示す図。
【図6】 プラズマからのイオンの引き出しを説明する
ための図。
【図7】 電界の浸透状態の変化を説明するための図。
【符号の説明】
1…真空容器 2…内壁 5…カソード電極 6…引き出し電極 9…微小開孔 11…微細管 12…レーザ光源 51,61…開孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/027 H01L 21/30 551 21/3065 21/302 D (72)発明者 井上 憲一 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 Fターム(参考) 2H097 AA03 CA01 CA11 LA10 4K029 CA10 DE02 5C030 DD03 DE04 5F004 BA11 BB03 BB12 BB13 BC02 BD06 CA02 DA22 5F056 AA40 EA01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カソード電極の原料ガス導入側で生成さ
    れたプラズマから前記カソード電極に設けられた開孔を
    通じてイオンを引き出してなるイオン源において,前記
    カソード電極の開孔よりも小さな微小開孔を備えた原料
    ガス導入部を有し,前記原料ガス導入部と前記カソード
    電極との間に電圧を印加することにより,前記原料ガス
    導入部の微小開孔から前記カソード電極の開孔に向かっ
    て高圧噴射された原料ガスをプラズマ化してなることを
    特徴とするイオン源。
  2. 【請求項2】 前記カソード電極の原料ガス導入部側と
    は逆側に配置され前記カソード電極の開孔よりも大きな
    開孔が設けられた引き出し電極と前記カソード電極との
    間に電圧を印加して,前記カソード電極の開孔を通じて
    イオンを引き出し前記引き出し電極の開孔からイオンを
    放出してなる請求項1に記載のイオン源。
  3. 【請求項3】 前記原料ガス導入部と前記カソード電極
    との間に印加される電圧の大きさと,前記原料ガスの噴
    射圧力と,前記微小開孔から前記カソード電極までの距
    離との関係を,パッシェンの法則に基づいて定めてなる
    請求項1又は2に記載のイオン源。
  4. 【請求項4】 前記微小開孔が,真空容器の平面状の壁
    から前記カソード電極側に突出した導電性の微細管の開
    孔である請求項3に記載のイオン源。
  5. 【請求項5】 前記微細管の高圧側から前記微細管内に
    レーザ光を入射して前記微細管内でレーザ光を全反射さ
    せてなる請求項4に記載のイオン源。
  6. 【請求項6】 前記原料ガス導入部と前記カソード電極
    との間に印加する電圧が,直流電圧,交流電圧,高周波
    電圧のうちの少なくとも一つである請求項1〜5のいず
    れか1項に記載のイオン源。
  7. 【請求項7】 前記微小開孔の直径が100〔μmΦ〕
    以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載のイオン
    源。
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