JP2001280421A - エンジンのバランスシャフトバックラッシュ調整方法 - Google Patents

エンジンのバランスシャフトバックラッシュ調整方法

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JP2001280421A
JP2001280421A JP2000090430A JP2000090430A JP2001280421A JP 2001280421 A JP2001280421 A JP 2001280421A JP 2000090430 A JP2000090430 A JP 2000090430A JP 2000090430 A JP2000090430 A JP 2000090430A JP 2001280421 A JP2001280421 A JP 2001280421A
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balance shaft
crankshaft
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JP2000090430A
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English (en)
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Sakuyoshi Hasefuji
作美 長谷藤
Masaaki Sato
雅昭 佐藤
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Mazda Motor Corp
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Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ギヤ駆動式のバランスシャフトを備えたエン
ジンにおいて、ギヤ噛み合い部のバックラッシュを、少
ない測定点数で調整することができる方法を提供する。 【解決手段】 回転軸に位相が180°オフセットされ
て第1、第2ウエイト部が設けられたバランスシャフト
14と、クランクシャフト1側の駆動ギヤ1cとバラン
スシャフト14における第1、第2ウエイト部の間に設
けられた従動ギヤ14eとでなる動力伝達手段とを有す
るエンジンにおいて、上記クランクシャフト1の各気筒
ごとの最減速点において上記両ギヤ1c,14e間のバ
ックラッシュ量を測定する第1ステップと、これらのバ
ックラッシュ量のうちの最小バックラッシュ量を選択す
る第2ステップと、この最小バックラッシュ量に基いて
上記両ギヤ1c,14eの噛み合い状態を調整する第3
ステップとを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はエンジンのバラン
スシャフト、特にギヤ駆動式のバランスシャフトにおけ
る動力伝達用ギヤの噛み合い部のバックラッシュ調整方
法に関し、エンジンの振動騒音対策技術の分野に属す
る。
【0002】
【従来の技術】自動車用等のエンジンにおいては、振動
騒音対策としてバランサ装置が備えられることがあり、
例えば特開平10−96450号公報には、5気筒エン
ジン用のバランサ装置として、回転軸の両側に180°
位相をオフセットさせて2つのバランスウエイトを備え
てなるバランスシャフトをクランクシャフトと平行に配
置するとともに、このバランスシャフトを上記クランク
シャフトによりチェーンを介して駆動するようにしたも
のが示されている。
【0003】この種のバランサ装置によれば、エンジン
の各気筒の爆発によって生じる振動が、バランスシャフ
トの回転によって生じる新たなモーメントによって打ち
消され、エンジン全体としての振動が低減されることに
なるが、その場合に、クランクシャフトからバランスシ
ャフトに動力を伝達する動力伝達機構において新たな騒
音が発生することがあり、特に、この動力伝達機構をギ
ヤで構成した場合には、クランクシャフト側のギヤとバ
ランスシャフト側のギヤとの噛み合い部におけるバック
ラッシュが適正でない場合に、その噛み合い部において
新たな騒音が発生することになる。
【0004】そこで、従来から、ギヤ駆動式のバランサ
装置を備えたエンジンの場合、動力伝達用ギヤのバック
ラッシュの調整を行っているのであるが、この調整はエ
ンジン1台ごとに行う必要があるために著しく能率の悪
い作業となっていた。
【0005】この問題に対処するものとして、特許第2
876819号公報には、ギヤ駆動式のバランサ装置に
おけるバックラッシュ調整方法の発明が開示されてい
る。この発明は、動力伝達用ギヤの噛み合い部における
騒音の発生は、駆動側のクランクシャフトの回転速度が
最も遅くなる最減速点での歯打ち音が原因であることに
着目することにより、バックラッシュ量の測定作業を極
力簡素化しながら、これを適正に調整しようとするもの
である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記発明によ
っても、最減速点でのバックラッシュを可能な限り小さ
く設定するためには、複数箇所の最減速点におけるバッ
クラッシュ量の測定作業の他に、クランクシャフト側の
ギヤとバランスシャフト側のギヤの最近点におけるバッ
クラッシュ量の測定が必要となる。
【0007】つまり、バランスシャフトは、ウエイト部
に作用する遠心力がシャフト全体に対してアンバランス
に発生するため、その軸線が屈曲した状態で回転し、或
いは軸受けクリアランスの範囲で軸線が正規の軸心回り
に回転しながら回転することになり、そのため、バラン
スシャフト側のギヤがクランクシャフト側のギヤに対し
て接近したり遠ざかったり、両ギヤの中心間距離が変動
しながら回転することになるのである。したがって、最
減速点においてバックラッシュ量を適正値に設定した場
合、ギヤが最も近づく最近点でバックラッシュ量が過小
となって、駆動抵抗が増大したりギヤの耐久性が低下す
るなどの新たな不具合が発生することになるのである。
【0008】そのため、例えば4気筒エンジンの場合、
上記特許公報にも記載されているように、1回転中にお
ける2つの最減速点と、同じく2つの最近点の合計4点
でバックラッシュ量を測定しなければならないことにな
る。また、2回転の間に5回爆発が行われる5気筒エン
ジンの場合は、1回転中における5つの最減速点と4つ
の最近点の合計9点でバックラッシュ量を測定しなけれ
ばならないことになり、バックラッシュ調整作業に多大
の労力を要することになるのである。
【0009】本発明は、ギヤ駆動式のバランサ装置を備
えたエンジンにおける上記のような問題に対処し、動力
伝達用ギヤの噛み合い部のバックラッシュをより簡素に
調整する方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0011】即ち、本願の請求項1の発明(以下、第1
発明という)に係るエンジンのバランスシャフトバック
ラッシュ調整方法は、回転軸に位相を180°オフセッ
トさせて第1、第2のウエイト部を設けてなるバランス
シャフトと、クランクシャフト側の駆動ギヤと上記バラ
ンスシャフトにおける第1、第2ウエイト部の間に設け
られて上記駆動ギヤに噛み合う従動ギヤとでなる動力伝
達手段とを有するエンジンにおいて、上記クランクシャ
フトの各気筒ごとの最減速点において上記駆動ギヤと従
動ギヤの噛み合い部のバックラッシュ量を測定する第1
ステップと、この第1ステップで得られた各最減速点に
おけるバックラッシュ量のうちの最小バックラッシュ量
を選択する第2ステップと、この最小バックラッシュ量
に基づいて上記駆動ギヤと従動ギヤの噛み合い状態を調
整する第3ステップとを有することを特徴とする。
【0012】また、請求項2の発明(以下、第2発明と
いう)は、上記第1発明の方法において、対象となるエ
ンジンは5気筒エンジンであって、第1ステップでは、
クランクシャフトの最減速点5点でバックラッシュ量を
測定することを特徴とする。
【0013】さらに、請求項3の発明(以下、第3発明
という)は、上記第1発明において、クランクシャフト
を支持するシリンダブロックを形成する第1の材料と、
動力伝達手段の駆動ギヤ及び従動ギヤを形成する第2の
材料の熱膨張率が異なり、バランスシャフトは、上記シ
リンダブロックから延設された第2の材料と同等の熱膨
張率を有する材料でなる支持部材に支持されているエン
ジンを対象とすることを特徴とする。
【0014】上記のように構成することにより、本願各
発明によれば次の作用が得られる。
【0015】まず、第1発明によれば、バランスシャフ
トに設けられた従動ギヤは、位相が180°オフセット
された第1、第2ウエイト部の中間に設けられているか
ら、これらのウエイト部に作用する遠心力が180°反
対方向を向き、その結果、該バランスシャフトの全体が
例えばS字状に屈曲するように変形しても、該従動ギヤ
はその変形の節の近傍に位置することになって、中心位
置がほとんど変位しないことになる。したがって、駆動
ギヤと従動ギヤの中心間距離がほぼ一定に保持される。
【0016】つまり、この第1発明の場合、駆動ギヤと
従動ギヤの最近点自体が存在しなくなり、したがって、
バックラッシュ量の測定は各気筒ごとの最減速点におけ
る測定だけで足りることになり、上記第1〜第3ステッ
プを実行することにより、少ない測定点数でバックラッ
シュ量を最適に調整することが可能となるのである。
【0017】そして、第2発明によれば、上記のような
位相が180°オフセットされた第1、第2ウエイト部
を有するバランスシャフトが採用される5気筒エンジン
において第1発明が適用され、その第1ステップとし
て、クランクシャフトの5つの最減速点でのバックラッ
シュ量の測定のみが行われることになる。
【0018】さらに、第3発明によれば、バランスシャ
フトをシリンダブロックから延設された支持部材に支持
させるとともに、この支持部材を上記駆動ギヤ及び従動
ギヤを構成する材料と同等の熱膨張率を有する材料で形
成したから、熱膨張により上記駆動側及び従動側のギヤ
の半径が増大したときに支持部材もほぼ等しい量だけ熱
膨張して、クランクシャフトとバランスシャフトとの軸
間距離が同様に変化することになる。
【0019】つまり、バランスシャフトをギヤとは熱膨
張率が異なる材料で形成されているシリンダブロックに
支持させた場合、ギヤの熱膨張量と、シリンダブロック
の熱膨張による軸間距離の変化量とが異なるため、駆動
ギヤと従動ギヤの噛み合い部におけるバックラッシュ量
が変化することになるのであるが、上記第3発明によれ
ば、第1発明または第2発明の方法で調整された適正な
バックラッシュ量が、エンジンの運転に伴う各部の熱膨
張に拘わらず維持されることになる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0021】まず、本発明が適用されるエンジンの例と
して、5気筒エンジンにおけるバランサ装置の構成を図
1〜図5に従って説明する。
【0022】図1は、5気筒エンジンのクランクシャフ
ト1及びその週辺部を示すもので、このクランクシャフ
ト1は、シリンダブロックの前後の壁部及び各気筒間の
壁部に設けられる主軸受に回転自在に支持される6つの
クランクジャーナル部1a…1aと、これらのクランク
ジャーナル部1a…1a間に軸心に対してオフセットさ
せて設けられた5つのクランクピン部1b…1bとを有
し、各クランクピン部1b…1bに、前方(図の左側)
から第1〜第5気筒のピストン(図示せず)がそれぞれ
コンロッド(図示せず)を介して連結されており、ま
た、このクランクシャフト1の後端部には、フライホイ
ール2が取り付けられている。
【0023】ここで、上記主軸受の構成を図2により説
明すると、この主軸受3は、シリンダブロック4の壁部
4aの下端に設けられた半円状の上部軸受孔3aと、こ
の壁部4aにボルト5,5を用いて結合された軸受ビー
ム6に設けられた同じく半円状の下部軸受孔3bとで構
成され、これらの軸受孔3a,3b間に上記クランクシ
ャフト1のジャーナル部1aが回転自在に保持されてい
る。
【0024】そして、このクランクシャフト1の下方に
はオイルパン7内に位置させてバランサ装置10が備え
られており、次に、このバランサ装置10について説明
する。
【0025】まず、このバランサ装置10の取付構造を
説明すると、図2に示すように、シリンダブロック4の
左右のスカート部4b,4bの内側には、上記軸受ビー
ム6の左右両側から下方に延びる1対の支持部材21,
21が配設され、それぞれ複数のボルト22…22を用
いてシリンダブロック4の下端面に結合されている。そ
して、左右の支持部材21,21の下端部間にバランサ
装置10が吊り下げ状に取り付けられている。
【0026】このバランサ装置10は、図1〜図3に示
すように、上下に分割された上部ケース11aと下部ケ
ース11bとを有し、これらのケース11a,11bが
複数のボルト12…12によって結合されているととも
に、左右両側部を結合するボルト12…12は上記支持
部材21,21に締め込まれ、これによりバランサ装置
10の全体が左右の支持部材21、21に支持されてい
る。その場合に、支持部材21,21の下面と上部ケー
ス11aの上面との間には、バランサ装置10の取り付
け高さを調整するためのシム13,13が挟み込まれて
いる。
【0027】また、上記ケース11a,11b内に、2
本のバランスシャフト14,14が回転自在に収納、保
持されている。これらのバランスシャフト14,14
は、クランクシャフト1の軸心方向に互いに隣接して平
行に配置され、いずれも、回転軸部14aと、その前端
部及び後端部に重心を軸心からオフセットさせてそれぞ
れ設けられた第1、第2ウエイト部14b,14cとを
有するとともに、図1、図4に示すように、両バランス
シャフト14,14は、第1ウエイト部14b,14b
の後方に隣接させて設けられた連動ギヤ14d,14d
が互いに噛み合わされていることにより、等速で反対方
向に回転するように構成されている。
【0028】その場合に、両バランスシャフト14,1
4における第1、第2ウエイト部14b,14cの重心
のオフセット方向の位相は180°反対側とされている
とともに、両バランスシャフト14,14の第1ウエイ
ト部14b,14b同士、及び第2ウエイト部14c,
14c同士が常に同じ高さに位置するように、上記連動
ギヤ14d,14dの噛み合せが設定されている。
【0029】さらに、図1、図5に示すように、一方の
バランスシャフト14の回転軸部14aにおける第1、
第2ウエイト部14b,14cの中間の部分には従動ギ
ヤ14eが設けられており、この従動ギヤ14eが、上
記クランクシャフト1における前方から4番目の(第4
気筒の)クランクピン部1bとその後方のクランクジャ
ーナル部1aとの間に設けられた駆動ギヤ1cに噛み合
わされている。
【0030】ここで、上記シリンダブロック4はアルミ
系金属で形成されているとともに、バランサ装置10を
支持する左右一対の支持部材21,21は、上記駆動ギ
ヤ1c及び従動ギヤ14eが鉄系金属で形成されている
のに合わせて、鉄系金属で形成されている。
【0031】次に、上記バランサ装置10の作用を簡単
に説明する。
【0032】エンジンの作動時において、クランクシャ
フト1が回転すると、該クランクシャフト1に設けられ
た駆動ギヤ1cとバランサ装置10の一方のバランスシ
ャフト14に設けられた従動ギヤ14eとを介して、こ
の一方のバランスシャフト14が回転駆動されるととも
に、さらに連動ギヤ14d,14dを介して他方のバラ
ンスシャフト14も回転駆動されることになる。
【0033】その場合に、これらのバランスシャフト1
4,14には、位相を180°オフセットさせて第1、
第2ウエイト部14b,14cが設けられているととも
に、両バランスシャフト14,14の第1ウエイト部1
4b,14b同士及び第2ウエイト部14c,14c同
士は常に同じ高さになるように回転するから、例えば図
1に示すように、両バランスシャフト14,14の第1
ウエイト部14b,14bが上死点に位置するときに
は、両バランスシャフト14,14の第2ウエイト部1
4c,14cは下死点に位置することになり、このと
き、バランサ装置10の全体によりM方向のモーメント
が生成されることになる。
【0034】また、これとは逆に、両バランスシャフト
14,14の第1ウエイト部14b,14bが下死点に
位置するときには、両バランスシャフト14,14の第
2ウエイト部14c,14cは上死点に位置することに
なり、このときは、バランサ装置10の全体によりM′
方向のモーメントが生成されることになる。
【0035】そして、このようにしてバランサ装置10
によって生成されるモーメントM,M′が、エンジン各
気筒の爆発によって発生するエンジン全体の振動を抑制
することになり、これにより、該エンジンの騒音が低減
されることになる。その場合に、特にこの実施の形態の
ように、当該バランサ装置10をピッチング振動が現れ
やすい5気筒エンジンに適用することにより、このピッ
チング振動が効果的に抑制されることになる。
【0036】一方、バランサ装置10の内部において
は、図6に示すように、各バランスシャフト14の回転
軸部14aの前、後端部にそれぞれ設けられた第1、第
2ウエイト部14b,14cに作用する遠心力F,Fが
180°反対側を向くため、図に鎖線X,Xで示すよう
なモードの曲げ変形が発生し、この状態で回転するため
に、回転軸部14aの両端部が矢印Y,Yで示すように
振れ回りすることになる。したがって、この回転軸部1
4aに動力を伝達するためのギヤを回転軸部の端部に取
り付けた場合、該ギヤの中心位置が変動して、クランク
シャフト側のギヤとの間の中心間距離が変動することに
なる。
【0037】しかし、このバランサ装置10において
は、バランスシャフト14に設けられる従動ギヤ14e
が、該シャフト14における第1、第2ウエイト部14
b,14cの中間部に配置されているので、上記のよう
な曲げモードの節もしくはその近傍に位置することにな
り、このようなモードの撓みが発生しても、該従動ギヤ
14eの中心位置がほぼ一定位置に保持されることにな
る。したがって、駆動ギヤ1cとの間の中心間距離もほ
ぼ一定に保持され、該駆動ギヤ1cと従動ギヤ14eと
の間に最近点等が存在しなくなり、その結果、これらの
ギヤ1c,14eの噛み合い部におけるバックラッシュ
調整が簡素化されることになる。
【0038】次に、本発明の実施の形態として、上記バ
ックラッシュの調整方法について説明する。
【0039】図7〜図16は、クランクシャフト1の1
回転中におけるバックラッシュ調整に関連する各状態を
それぞれ示すもので、図7は、クランクシャフト1の基
準位置として、第1気筒のピストンが圧縮上死点にある
ときを示し、該シャフト1はこの状態からX方向に回転
するものとする。また、このとき、ギヤ1c,14eを
介して駆動される一方のバランスシャフト14において
は、第1、第2ウエイト部14b,14cのいずれか一
方のウエイト部における半円形状断面の弦に相当する面
14′の水平面に対する回転角が、回転方向(Y方向)
の角度を+として−18°である。
【0040】なお、このとき、このバランスシャフト1
4の他方のウエイト部は、図示したウエイト部の180
°反対側に位置し、また、他方のバランスシャフト14
は、図示したバランスシャフト14に対して左右対称な
状態にある。
【0041】図8は、上記の基準位置からクランクシャ
フト1がX方向に約16°回転した状態で、この状態
は、バランスシャフト14におけるウエイト部の弦に相
当する面14′が、該バランスシャフト14とクランク
シャフト1の軸心間を結ぶ直線xに直交する状態、即ち
ウエイト部に作用する遠心力の方向が上記直線xの方向
と一致するときである。このとき、図示したウエイト部
に作用する遠心力はクランクシャフト1の軸心から遠ざ
かる方向を向くが、他方のウエイト部に作用する遠心力
はクランクシャフト1の軸心を向き、したがって、この
状態が、従動ギヤ14eが駆動ギヤ1cに最も近づく最
近点の1つとなる。
【0042】図9は、図7の基準位置からクランクシャ
フト1が30°回転した状態、即ち第1気筒の圧縮上死
点過ぎ30°の状態であって、この状態は第1気筒につ
いてのクランクシャフト1の回転速度が最も遅くなる最
減速点である。このとき、クランクシャフト1の回転は
減速状態から加速状態に移行し、駆動ギヤ1cの歯面の
後面側が従動ギヤ14eの歯面の前面側に対接している
状態から、該駆動ギヤ1cの歯がバックラッシュ分だけ
先行して、その前面側が従動ギヤ14eの歯の後面側に
当接する。そして、このときに発生する歯打ち音が動力
伝達機構で発生する騒音の原因となる。
【0043】図10は、図9に示す状態からクランクシ
ャフト1がX方向に72°回転した状態で、第5気筒に
おけるピストンの排気上死点過ぎ30°の状態である。
この状態もクランクシャフト1の回転速度が減速状態か
ら加速状態に移行するときで、この点が2番目の最減速
点となる。
【0044】また、図11は図10の状態からクランク
シャフトがX方向に所定量回転し、バランスシャフト1
4が図8に示す第1番面の最近点から180°Y方向に
回転した状態を示す。このときもバランサシャフト14
のいずれかのウエイト部に作用する遠心力がクランクシ
ャフト1の軸心方向を向くので、駆動ギヤ1cと従動ギ
ヤ14eの2番目の最近点となる。
【0045】以下、同様にして、図12は第2気筒の圧
縮上死点過ぎ30°で生じる3番目の最減速点を、図1
3は駆動ギヤ1cと従動ギヤ14eの3番目の最近点
を、図14は第3気筒の排気上死点過ぎ30°で生じる
4番目の最減速点を、図15は駆動ギヤ1cと従動ギヤ
14eの4番目の最近点を、図16は第4気筒の圧縮上
死点過ぎ30°で生じる5番目の最減速点をそれぞれ示
す。
【0046】以上のように、5気筒エンジンの場合、ク
ランクシャフト1の1回転中に、5つの最減速点と4つ
の最近点とを通過することになり、したががって、最近
点において駆動ギヤと従動ギヤのバックラッシュが過小
とならない範囲で、最減速点におけるバックラッシュを
できるだけ小さくするように調整しようとした場合、上
記の合計9点でバックラッシュ量を測定しなければなら
ないことになる。しかし、この実施の形態では、5つの
最減速点でのバックラッシュ量の測定だけで足りるので
ある。
【0047】つまり、前述のように、クランクシャフト
1からバランスシャフト14に動力を伝達する動力伝達
機構を構成するバランスシャフト14側の従動ギヤ14
eが該シャフト14の曲げ変形のモードの節の近傍に配
置されているので、その中心位置がほとんど変位せず、
事実上、最近点自体が存在しないことになる。したがっ
て、図8、図11、図13及び図15に示す状態でのバ
ックラッシュ量の測定が不要となるのである。
【0048】その結果、この実施の形態では、バックラ
ッシュの調整作業の第1ステップとしては、図9、図1
0、図12、図14及び図16に示す5つの最減速点の
みでバックラッシュ量を測定することになる。
【0049】そして、第2ステップとして、この5つの
測定値のうち、最もバックラッシュ量が小さな値を示す
最減速点を選択するとともに、第3ステップとして、選
択した最減速点におけるバックラッシュ量が可能な範囲
で小さくなるように、図2〜図5に示すシム13,13
の厚さを設定する。
【0050】これにより、9つの点でバックラッシュ量
の測定が必要であった5気筒エンジンのバックラッシュ
調整作業が5点の測定で足りることになり、該作業の大
幅な能率アップが実現されることになる。
【0051】そして、特にこの実施の形態に係るエンジ
ンにおいては、バランサ装置10が、シリンダブロック
4の下端面の軸受ビーム6の左右両側から下方に延びる
1対の支持部材21,21を介してシリンダブロック4
に取り付けられているが、この支持部材21,21は上
記駆動ギヤ1c及び従動ギヤ14eと同様に鉄系金属で
形成されているので、エンジンの運転に伴い、熱膨張に
より従動ギヤ1c及び駆動ギヤ14eの半径R1,R2
(図5参照)が増加しても、それらの増加量の和とほぼ
等しい量だけ該支持部材21,21が熱膨張し、図5に
示すクランクシャフト1とバランスシャフト14の軸間
距離Lも同様に増加することになる。
【0052】したがって、両ギヤ1c,14eの噛み合
い部におけるバックラッシュ量は、エンジンの運転に伴
う各部の熱膨張に拘らず、上記のようにして調整された
最適な値に維持されることになる。
【0053】なお、以上の実施の形態は本発明を5気筒
エンジンに適用した場合のものであるが、本発明は、こ
れに限らず、回転軸に位相を180°オフセットさせて
2つのウエイト部が設けられるバランスシャフトが用い
られる場合に、広く適用できるものである。
【0054】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、バラン
スシャフトに設けられる従動ギヤは、位相が180°オ
フセットされた第1、第2ウエイト部の中間に設けられ
ているから、このバランスシャフトが屈曲した状態で回
転し或いは軸受けクリアランスの範囲で軸線が正規の軸
線回りに回転しながら回転するような場合であっても、
該従動ギヤの中心位置はほとんど変位しないことにな
り、駆動ギヤと従動ギヤの中心間距離がほぼ一定に保持
されることになる。
【0055】したがって、バックラッシュ調整時に、従
来必要であった駆動ギヤと従動ギヤの最近点でのバック
ラッシュ量の測定が不要となり、各気筒ごとの最減速点
における測定で足りることになる。これにより、エンジ
ン1台ごとに行わなければならないこの種のバックラッ
シュ調整作業の能率が著しく向上することになり、大幅
な労力の軽減ないし生産性の向上が実現されることにな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るエンジンのクラン
クシャフト周辺を示す側面図である。
【図2】 図1のA−A線による断面図である。
【図3】 図1のB−B線による断面図である。
【図4】 図1のC−C線による断面図である。
【図5】 図1のD−D線による断面図である。
【図6】 バランスシャフトの変形のモードを示す説明
図である。
【図7】 バックラッシュ測定の基準点を示すクランク
シャフトとバランスシャフトの位相関係図である。
【図8】 同じく第1最近点の位相関係図である。
【図9】 同じく第1最減速点の位相関係図である。
【図10】 同じく第2最減速点の位相関係図である。
【図11】 同じく第2最近点の位相関係図である。
【図12】 同じく第3最減速点の位相関係図である。
【図13】 同じく第3最近点の位相関係図である。
【図14】 同じく第4最減速点の位相関係図である。
【図15】 同じく第4最近点の位相関係図である。
【図16】 同じく第5最減速点の位相関係図である。
【符号の説明】
1 クランクシャフト 1c 駆動ギヤ 14 バランスシャフト 14a 回転軸 14b 第1ウエイト部 14c 第2ウエイト部 14e 従動ギヤ 21 支持部材

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸に位相を180°オフセットさせ
    て第1、第2のウエイト部を設けてなるバランスシャフ
    トと、クランクシャフト側の駆動ギヤと上記バランスシ
    ャフトにおける第1、第2ウエイト部の間に設けられて
    上記駆動ギヤに噛み合う従動ギヤとでなる動力伝達手段
    とを有するエンジンのバランスシャフトバックラッシュ
    調整方法であって、上記クランクシャフトの各気筒ごと
    の最減速点において上記駆動ギヤと従動ギヤの噛み合い
    部のバックラッシュ量を測定する第1ステップと、この
    第1ステップで得られた各最減速点におけるバックラッ
    シュ量のうちの最小バックラッシュ量を選択する第2ス
    テップと、この最小バックラッシュ量に基づいて上記駆
    動ギヤと従動ギヤの噛み合い状態を調整する第3ステッ
    プとを有することを特徴とするエンジンのバランスシャ
    フトバックラッシュ調整方法。
  2. 【請求項2】 エンジンは5気筒エンジンであって、第
    1ステップでは、クランクシャフトの最減速点5点でバ
    ックラッシュ量を測定することを特徴とする請求項1に
    記載のエンジンのバランスシャフトバックラッシュ調整
    方法。
  3. 【請求項3】 クランクシャフトを支持するシリンダブ
    ロックを形成する第1の材料と、動力伝達手段の駆動ギ
    ヤ及び従動ギヤを形成する第2の材料の熱膨張率が異な
    り、バランスシャフトは、上記シリンダブロックから延
    設された第2の材料と同等の熱膨張率を有する材料でな
    る支持部材に支持されているエンジンを対象とする請求
    項1に記載のエンジンのバランスシャフトバックラッシ
    ュ調整方法。
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KR20130128320A (ko) * 2012-05-16 2013-11-26 베르트질레 슈바이츠 악티엔게젤샤프트 대형 크로스헤드 디젤 엔진, 스탠드 및 대형 크로스헤드 디젤 엔진용 진동 보상기
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