JP2001279565A - 編 地 - Google Patents

編 地

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JP2001279565A
JP2001279565A JP2000094335A JP2000094335A JP2001279565A JP 2001279565 A JP2001279565 A JP 2001279565A JP 2000094335 A JP2000094335 A JP 2000094335A JP 2000094335 A JP2000094335 A JP 2000094335A JP 2001279565 A JP2001279565 A JP 2001279565A
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Koichiro So
幸一郎 宗
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  • Orthopedics, Nursing, And Contraception (AREA)
  • Knitting Of Fabric (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表層から水分を素早く中間層、下層へと移行
させ、生地表面は常にドライ感があり、肌触りなどの機
能が優れているとともに、高濃度次亜塩素酸ソーダ洗濯
を繰り返してもそれらの機能が低下することがない編地
を提供する。 【解決手段】 吸水性繊維と非吸水性繊維からなる複数
の編成組織層が積層された多層編地1であって、パイル
組織で構成され、凸状をなし起毛された多数のパイル部
11とパイル部同士の間に配置され空隙状をなす凹部1
2とを有する非吸水繊維からなる表層10と、表層の背
面に配置されてパイル部を支持し、針抜きで編まれた吸
水性繊維もしくは吸水性繊維と非吸水性繊維からなる中
間層20a,bと、中間層の背面に配置され多数の透孔
部31を有する編成組織からなる吸水性繊維あるいは非
吸水性繊維もしくは吸水性繊維と非吸水性繊維からなる
下層30とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多層構造の編地に
関し、介護用おむつなどに利用され、表層から中間層、
下層への高速移水性能を有し、生地表面にドライ感覚が
あり、肌に対してやさしく、また繰り返し行われる高濃
度次亜塩素酸ソーダによる洗濯に対し、高速的な移水機
能が低下しない耐久性を併せ持つ編地に関する。
【0002】
【従来の技術】高齢者、病人、身体障害者などが使用す
る介護用製品の中でも特に介護用おむつについては、近
年、紙おむつが主流となっている。
【0003】しかし、使用者の増加と1回で使い捨てる
ということが、莫大なゴミを発生する原因ともなり、環
境維持の観点からみても大きな社会問題となりつつあ
る。
【0004】一方、何回も繰り返して使える介護用おむ
つとして、従来からある布おむつは排泄物が大小問わず
布表面に残留し、おむつ使用者に不快感、不潔感を与え
るので最近ではあまり利用されていない。
【0005】従来の布おむつの場合、洗濯による再利用
が可能であるが、使用されている生地に表面の水分を取
り除く機能がないか、あるいは一旦は取り除けても、生
地に対して体重による圧力がかかると、表面にもどって
きてドライ感触を失ってしまうという問題がある。
【0006】紙おむつの場合、高分子吸水ポリマーを使
用することにより、一旦吸水した水分を表面に戻さない
ようにできている。これは、おむつ使用者の使用感、清
潔感からすれば評価は高い。しかし、高分子吸水ポリマ
ーを使用した紙おむつは、販売価格が高い上に、1度の
使用で捨ててしまうので、おむつ使用者及びその介護者
に多大な出費を強いる結果となっている。
【0007】上記の問題を解消するために、最近、従来
からの布おむつではなく、紙おむつに近い吸水性能と表
面ドライ機能をもった成形布おむつも登場してきてい
る。この成形布おむつは非吸水性繊維をもって構成され
た多層構造の編地であって、その少なくとも表層部に撥
水防止加工を施したことにより、非吸水性繊維に吸水性
機能を付与したものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の成形お
むつについて、次のような問題が生じている。すなわ
ち、今日、従来の業務用のおむつについての洗濯方法の
基準が院内感染等の問題で検討され、その基準に基づい
た新しい業務用のおむつの洗濯方法は、高濃度次亜塩素
酸ソーダ洗濯をおこなうことで完全な殺菌を目指してい
る。そのため、この洗濯方法を前記成形布おむつに対し
て繰り返し行うと、撥水防止加工の効果が消滅して前記
した機能が著しく低下するので、業務用のおむつとして
耐えられないものとなっている。
【0009】本発明の目的は、介護用おむつなどに使用
される素材として、紙おむつが持つ高い水分移動性能や
水分の再移動防止性能などを有しながら、肌に対しても
やさしく、また、多数回の高濃度次亜塩素酸ソーダ洗濯
でもそれらの機能が低下しない編地の開発にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる編地は、
吸水性繊維と非吸水性繊維とからなる複数の編成組織層
が積層された多層編地であって、パイル組織で構成さ
れ、凸状をなし起毛された多数のパイル部とパイル部同
士の間に配置され空隙状をなす凹部とを有する非吸水性
繊維からなる表層と、表層の背面に配置されてパイル部
を支持し、針抜きで編まれた吸水性繊維もしくは吸水性
繊維と非吸水性繊維とからなる中間層と、中間層の背面
に配置され多数の透孔部を有する編成組織からなる吸水
性繊維あるいは非吸水性繊維もしくは吸水性繊維と非吸
水性繊維とからなる下層とを備える。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る編地の実施の
形態について詳細に説明する。図1は本発明に係る編地
の表面側から見た概略斜視図であり、図2は本発明に係
る編地の概略断面図であり、図3は本発明に係る編地の
裏面側から見た概略底面図である。なお、本発明は当該
図面に示される構成及び以下に詳述する実施例1〜7の
ものに限定されるものではない。
【0012】図1〜図3において、1は本発明に係る編
地であり、当該編地1は、表層10、上部中間層20a
(ミドル2)、下部中間層20b(ミドル1)、下層3
0より構成される積層構造の多層編地である。前記表層
10は、パイル組織で構成され、凸状をなし起毛された
多数のパイル部11と、各パイル部の間に空隙状をなす
凹部12とを有している。前記パイル部11は、その外
縁部分13にはポリステル高収縮糸が配されて収縮して
おり、したがって外縁部分13の高さが中央部14の高
さより低く形成されている。上部中間層20aは、表層
10の背面に配置されて表層10のパイル部11を支持
し、表層10における凹部12は上部中間層20aの上
面が露出した部分である。下層30は、下部中間層20
bの背面に配置され、多数の透孔部31を有しており、
透孔部31以外の個所は透孔部31から突出した凸部3
2となっていて、表面凹凸状をなす層である。
【0013】以下、多層編地、表層、中間層、下層及び
本発明に係る編地の用途について説明する。
【0014】〔多層編地〕編成組織が異なったり、編成
組織は同じでも使用する糸の太さや種類が違うなど、何
らかの構造が異なる複数の編成組織層が積層されて一体
的に編み込まれた編地である。
【0015】隣接する層同士は編成された糸同士が絡ん
でいたり出入りしたりしているので、それぞれの層が隔
離されて独立した状態で存在しているわけではない。
【0016】本発明では、表層と中間層と下層との少な
くとも3層構造を備えている。
【0017】多層編地は、複数の筬を有する経編装置を
用いて編成できる。各筬に使用する糸の種類や太さ、給
糸条件および編成組織の設定によって、多層編地が構成
できる。
【0018】〔表層〕パイル組織は、非吸水性繊維で構
成され、基本的には通常のパイル編地と同様の構造が採
用される。
【0019】パイル構造として、糸がリング状に突出す
るループパイル又は先端をカットした房状のカットパイ
ルが採用できる。基本となる編成組織として、例えばシ
ャークスキン編やサテン編が採用できる。より具体的な
編成構造として(10/34)(10/45)(10/
56)(10/67)(10/78)で表される編成組
織が採用できる。
【0020】パイル組織を構成するパイルに起毛が施さ
れる。起毛処理によって、肌触りや水切れが良好にな
る。起毛処理は、多層編地が編成された後の後加工で行
うことができる。起毛処理を、染色加工の前に行うこと
ができる。
【0021】パイル組織を構成する糸としては、具体的
には、単糸デニール1〜3の糸が使用できる。糸として
の総デニールは、50〜150デニールに設定すること
ができる。表層の糸は、太すぎると肌に対しての刺激が
強くなり、かぶれ等の原因となってしまう。細すぎると
パイル部分の起毛が寝てしまい、表面から中間層へ移動
した水分が、表面に戻りやすくなるので、上述した範囲
での糸デニールの設定が望ましい。
【0022】糸の材質としては、水分を吸収しない非吸
水性のものが使用される。具体的には、ポリエステル糸
が使用できる。ポリエステル糸は洗濯後の乾燥性が良好
である。強度を高めたポリエステル強力糸を用いること
で、耐洗濯性などの耐久性を向上させることができる
が、肌に対しての刺激が強くなり、かぶれ、肌荒れ等の
原因となるので、通常のポリエステル糸の使用が望まし
い。
【0023】パイル組織を、太さや材質の異なる複数種
の糸で構成することもできる。
【0024】パイル部は、上記のようなパイル組織から
なりループ状あるいは房状の糸が突出して凸状をなす。
おむつ等に使用したときには、パイル部の先端が肌に当
たる。使用時にパイル部が弾力的に変形してクッション
効果を発揮する。
【0025】凹部は、パイル部同士の間に配置され空隙
状をなす。表層に接触した水は、凹部を通って中間層か
ら下層へと移動する。凹部はパイル部の弾力的変形を許
容する空間としても機能する。
【0026】パイル部および凹部の配置形態は、用途お
よび要求性能に併せて適宜に設定できる。布おむつ等に
使用した場合には、パイル部と凹部の配置形態や特性が
肌触りや吸水性などの機能に影響を与える。
【0027】パイル部を直線的な畝状に配置して、畝状
のパイル部の間に溝状の凹部を配置することができる。
パイル部による畝を曲線状や屈曲線状に配置することも
できる。畝の幅は一定であってもよいし、長さ方向で連
続的あるいは段階的に幅が変わるものであってもよい。
幅の異なる畝を複数種組み合わせることもできる。
【0028】パイル部を格子状や網状に配置して、パイ
ル部で囲まれた空間に凹部を配置することができる。パ
イル部を島状あるいは斑点状に配置して、パイル部の周
囲が凹部で囲まれた構造に配置することもできる。
【0029】パイル部と凹部とを、10cm当たり10±
2個づつの間隔で配置することができる。ここでは、1
0cmの編地にパイル部と凹部とが一つずつ配置されてい
る場合を1個と勘定し、片方だけの場合は0.5個と勘
定する。
【0030】パイル部と凹部との面積割合を、パイル
部:凹部=1:1〜2:1の範囲に設定することができ
る。この範囲において比率を変更することで、パイル部
による感触性やドライ感などの機能と、凹部による吸水
などの機能とのバランスが調整できるが、パイル部の割
合が少な過ぎると、肌などが広い凹部の底で中間層に接
触してしまってドライ感が損なわれる。凹部の割合が少
な過ぎると、中間層側への水の通過性が悪くなる。
【0031】上述のパイル部と凹部との配置とパイル部
と凹部との面積割合の範囲であれば、表層表面から中間
層への水分移動の性能を高濃度次亜塩素酸ソーダ洗濯を
繰り返しおこなっても損なうことなく、表面は表層から
中間層、下層へと水分移行後、ドライ感触が得られ、ま
た、かぶれなどの肌に対する問題もおこらない。
【0032】パイル部と凹部の凹凸差すなわちパイル部
の高さは、全てのパイル部で同じであってもよいし、パ
イル部によって高さを変えることもできる。一つのパイ
ル部でも、全体が同じ高さであってもよいし、部分的に
高さを違えることもできる。例えば、パイル部の外縁部
分におけるパイル高さを中央側よりも低く設定しておく
ことで、パイル部上水分や水玉が、中央側から低くなっ
た外縁を経て凹部までスムーズに移動できるようにな
る。この場合、外縁のパイル高さを中央側に比べて1/
2〜1/4に設定することができる。
【0033】パイル部の高さを部分的に変える手段とし
て、他の部分よりも低くしたい個所に高収縮性糸を用
い、編成後に収縮性を発現させる加熱処理などを施すこ
とで、該当個所のパイルの高さを低くすることができ
る。高収縮性糸として、沸水収縮率25〜70%の高収
縮性ポリエステル糸が使用できる。
【0034】パイル部に撥水防止加工を施しておくこと
ができる。撥水防止加工は、パイル部を構成する糸また
は繊維が水をはじき難くなるように処理することで、中
間層および下層への水分の通過を良好にする。糸の材質
そのものの吸水性を変える処理ではない。撥水防止加工
は、中間層および下層にも有用であり、編成後の編地全
体に撥水防止加工を施しておくことができる。撥水防止
加工として、いわゆる制電吸水加工が採用できる。制電
吸水加工は、繊維の帯電性を低下させ、帯電性の低下に
よって水が繊維間を通過し易くなり編地組織の吸水性が
高まる。撥水防止加工は、各種の合成樹脂などからなる
撥水防止剤あるいは制電吸水剤をパイル部にコーティン
グ、塗工あるいは付着させる。
【0035】〔中間層〕表層のパイル組織を支持する構
造である。中間層は、機能面では表層側からの水分を確
実に吸い込み、下層側へとスムーズに水を通過させるこ
とであるが、中間層の表層側は一部、生地表面にあり、
表層部分の機能と相まって表面ドライ感と水分移行性能
を有している。中間層の素材は、吸水性繊維と非吸水性
繊維での構成、あるいは吸水性繊維のみでの構成が望ま
しい。具体的には吸水性繊維はキュプラとレーヨンが、
非吸水性繊維はポリエステルがあげられる。また、吸水
性繊維のなかでも、キュプラがその性質上、洗濯に対す
る耐久性や、高温乾燥などに耐えうる素材として最適で
ある。
【0036】非吸水性繊維のみでの構成であれば、新し
い業務用洗濯方法である高濃度次亜塩素酸ソーダ洗濯を
行えば、糸表面に撥水防止加工を施していても、高濃度
の塩素によってはがれてしまい、糸の表面に水分が付着
してもはじいてしまう。その結果として、表層、中間層
で構成されている生地表面から下層へと水分が移行しな
くなり、生地表面に水分が浮いてしまう。したがって、
結果として、業務用おむつとしての素材としては使用で
きなくなってしまう。
【0037】中間層を構成する糸が吸水性繊維と非吸水
性繊維とで構成される場合は、吸水性繊維はキュプラが
使用でき、糸の太さは、40〜150デニールが採用で
きる。非吸水繊維はポリエステルが使用できる。糸の太
さは、30〜100デニールが採用できる。
【0038】また吸水性繊維と非吸水性繊維との構成割
合であるが、吸水性繊維が大きければ吸水効果は大きく
なる。しかし大きすぎれば、吸水性繊維は水分を糸の内
部に吸水している関係上、濡れ感があり、生地表面に表
層部の凹部から中間層表面が露出していることを含める
と、表面ドライ感を損ねることとなる。また、キュプラ
は糸単価がきわめて高いので、効果がある最小限にとど
めておくのがコストの面から考えても望ましい。非吸水
性繊維は、加工糸を用いると、単繊維間密度が増え、洗
濯を繰り返しても撥水防止加工の効果が無くなり難いと
いう利点がある。
【0039】中間層の編成組織は、通常のパイル編地に
おける支持構造と同様の編成組織が採用できる。例え
ば、シャークスキン編やサテン編、メッシュ編、アトラ
ス編などが挙げられる。ここで大切なのは中間層を編む
時に編みを針抜きにして、隙間を大きくし、水分の下層
への通過性を高めることにある。
【0040】通常、ポリエステルに代表される非吸水性
繊維は、その表面に撥水防止加工などをほどこさなけれ
ば水分は糸の表面ではじいてしまう。そこで、後加工で
撥水防止加工などを施しているが、これも高濃度次亜塩
素酸ソーダ洗濯で、撥水防止加工の効果が著しく低下
し、水分をはじいてしまう結果となる。
【0041】そこで、中間層に吸水性繊維を使用するこ
とと同時に、編みを針抜きにすることにより高濃度次亜
塩素酸ソーダ洗濯を繰り返し行ったあとでも、表層の水
分が中間層へとスムーズに移行し、中間層から下層への
水分移行もスムーズにおこなえるようになる。
【0042】針抜きする場所は表層、中間層、下層とも
可能である。このなかで重要なのは中間層である。中間
層の中でも編成におけるミドル2にあたる部分が本編地
の基本となっており、この部分の針抜きは本編地の強度
の問題と編み構造の関係から、1本抜きや2本抜き、あ
るいはその組み合わせが望ましい。この部分の針抜きを
3本以上抜くと表層組織、下層組織構造が大幅に制限さ
れたり、組織が成り立たない箇所が発生するので、上述
の範囲までとする。また針抜きなどをおこなうことによ
り、コース、ウエルの数値が低下し、そのことにより、
大便等固定物のうち、比較的小さい固形物の表層から中
間層、下層への通過問題が発生するが、これは高濃度次
亜塩素酸ソーダ洗濯により、万一、残留した固形物も完
全に漂白、殺菌されるため問題とはならない。
【0043】中間層のうち、特に表層の凹部個所に対応
して表面側に露出する部分の糸密度を、仕上げ寸法でコ
ース20〜40/インチ、ウエル30〜50/インチに
設定することができる。
【0044】この糸密度は、表層の糸密度よりも特に高
くしておく必要はない。また、針抜きの効果もあるため
に一概に均等なコース、ウェルとはならない。
【0045】表層から中間層への水分移行は、毛細管現
象によることもあるが、中間層に使用される吸水性繊維
が、水分を吸収することにより発生する効果が大きく、
またこれにより、表層から中間層への水分移動効果が、
高濃度次亜塩素酸ソーダの連続洗濯をおこなった後でも
変化せず、機能を維持できる要因となっている。
【0046】〔下層〕編成組織中に透孔部を有していれ
ば、各種の編成組織が採用できる。例えば、アトラスネ
ット編が採用できる。透孔部を有する下層が配置された
編地の背面には凹凸が形成される。
【0047】中間層から下層への水分移行は主に毛細管
現象によって行われる。中間層で表面から移動した水分
が、毛細管現象により下層へと導かれる。毛細管現象を
おこしやすくするため加工糸をもちいると、その効果が
大きくなる。
【0048】下層を構成する糸は吸水性繊維あるいは非
吸水性繊維もしくは吸水性繊維と非吸水性繊維からなる
ものが使用できる。吸水性繊維としてはキュプラとレー
ヨンが、非吸水性繊維としてはポリエステルが使用でき
る。吸水性繊維が含まれていると、中間層から下層への
水分移行の手助けになるが、吸水性繊維(特にキュプ
ラ)はコストが高いため、必要最低限の使用量にとどめ
ておく。糸の太さは、いずれも50〜250デニールが
採用できる。
【0049】透孔部を有することで、弾力的な変形性が
発揮され、使用時の緩衝性が高まる。また、透孔部が、
中間層からの水の移行性を高める。編地の裏側から防水
シートを貼着して使用するような場合には、透孔部に水
が保持されるので保水性を高める機能もある。編地の下
に吸水パッドなどを配置して使用したときに、吸水パッ
ドと中間層との間に間隔をあけたり空気層を構成するこ
とで、中間層側への水分の逆流を阻止する。
【0050】編成組織によって透孔部の形状を変えるこ
とができる。例えば、アトラスネット編によって菱形状
の透孔部を前後左右に千鳥状に配置することができる。
その他、亀甲形状や矩形状、円形状その他の形状からな
る透孔部も採用できる。
【0051】また、表層の起毛部分と連動する形で下層
の組織を作成する。すなわち、図2に示すように表層の
凸部分と下層の凸部分とが中間層を挟んで同じ位置関係
にあれば、上方からの体重などによる押圧力を表層の凸
部分と下層の凸部分とが支持するため、編地全体が収縮
するようなことがないので、表層に水分が逆流すること
がない。
【0052】〔用途〕本発明の編地は、吸水、保水、逆
流防止などの機能を必要とする各種用途に利用できる
が、肌触りがよく、高濃度の次亜塩素酸ソーダ洗濯を繰
り返しおこなってもその機能が低下しないという特徴か
ら、具体的には、介護用おむつの肌に触れる部分の生地
に利用できる。この場合、パイル部を有する表層が肌に
触れる側に配置される。下層の背面には、綿状の吸水パ
ッドや不織布、綿編織物などからなる吸水体を配置して
おくことができる。吸水体の背面には通水遮断性のある
生地などを配置しておくことができる。
【0053】風呂場用マットの生地やベッドシーツ用の
生地などにも応用できる。水濡れや汗が付き易い各種衣
料品や生活用品にも適用できる。
【0054】
【実施例】以下に本発明の編地についてその具体的な実
施例について説明する。
【0055】なお、各実施例における編成組織は、フロ
ントとミドル2がシャークスキン編の変形であり、ミド
ル1とバックはアトラスネット(メッシュ編み)であ
り、ミドル2とミドル1との編成組織が糸の絡み合いに
より接着された状態で積層されている。
【0056】〔実施例1〕経編機(4バー構造)を用い
た。ニットパイル生地に千鳥格子調に凹凸をつけて凸部
分を起毛し、凹部分には吸水性繊維のキュプラ糸を挿入
する。各筬毎の使用糸と編成組織を示す。
【0057】 <使用糸> フロント:ポリエステル高収縮糸100D−36F ポリエステル強力糸100D−24F ミドル2:ポリエステル糸50D−24F キュプラ糸50D−36F ミドル1:ポリエステル加工糸150D−48F バック :ポリエステル加工糸150D−48F <編成組織> フロント:((10/56)×4、(1112/65)×4) ミドル2:((10/12)×4、(23/21)×4) ミドル1:(54/43・34/32・23/21・12/10 ・01/12・21/23・32/34・43/45) バック :(01/12・21/23・32/34・43/45 ・54/43・34/32・23/21・12/10) <糸通し> フロント: 100−36 100−24 100−36 × 1 8 1 (2) ミドル2: 50−24 50−36 50−24 8 1 3 ミドル1: × × (1) 3 (4) バック : × (5) 3 フロント筬が表層、ミドル2筬が中間層、ミドル1筬お
よびバック筬が下層にそれぞれ対応することになる。但
し、各筬による編成組織は互いに絡んで一体化した多層
編地を構成するので、一つの層を一つの筬だけで独立し
て編成しているわけではなく、複数の筬が連係してそれ
ぞれの層を構成することになる。
【0058】<編成後の加工>パイル起毛処理のあと、
撥水防止剤による撥水防止加工を行った。
【0059】<評価試験>次亜塩素酸ソーダ30%溶液
で洗濯を繰り返した。
【0060】<評価結果>次亜塩素酸ソーダ30%溶液
での洗濯30回まで吸水性が保持でき、表面のドライ感
が良好である。撥水防止加工は、パイル部での水滴形成
や各層での通過性を向上させる効果があるが、次亜塩素
酸ソーダ30%溶液での洗濯を繰り返すと、撥水防止加
工の機能がほとんどなくなった。そこで、キュプラ糸を
挿入することによって表面からの水分移行性能を高めた
ため、上記の結果が得られ、業務用おむつとして使用可
能である。
【0061】〔実施例2〕実施例1の試作品において、
吸水性繊維をいれず、ポリエステルのみで構成した。そ
の代わり、凹部分を針抜きで編んで、水分移動性能の向
上を図ってみた。それ以外の条件は実施例1と同じであ
った。
【0062】 <糸通し> ミドル2: 50−24 × 50−24 8 (1) 3 <評価結果>次亜塩素酸ソーダ30%溶液での洗濯30
回まで吸水性が保持でき、表面のドライ感が良好であ
る。実施例1と同様、撥水防止加工は、パイル部での水
滴形成や各層での通過性を向上させる効果があるが、次
亜塩素酸ソーダ30%溶液での洗濯とを繰り返すと、撥
水防止加工の機能がほとんどなくなった。そこで、中間
層を針抜きとすることによって表面からの水分移行性能
を高めたため、上記の結果が得られ、業務用おむつとし
て使用可能である。
【0063】〔実施例3〕実施例1の試作品において、
ミドル2の糸に吸水性繊維を使用した。そのほかは実地
例1と同じとした。
【0064】<使用糸> ミドル2:キュプラ糸50D−36F <評価結果>次亜塩素酸ソーダ30%溶液での洗濯30
回まで吸水性が保持でき、表面のドライ感が良好であ
る。これは、吸水性繊維を使用したため、上記の結果が
得られ、業務用おむつとして使用可能である。しかし、
表層の水分は中間層へと移行するが、中間層から下層へ
の水分移動が、中間層で水分を保持してしまうことによ
り、さまたげられる弊害があり、これを解消すればさら
に耐久性が向上するものと考えられる。
【0065】〔実施例4〕実施例3の試作品において、
ミドル2の糸にキュプラとポリエステルを使用した。ミ
ドル2における糸の使用した割合は、重量比率でキュプ
ラ0.63キログラム/反、ポリエステル2.82キロ
グラム/反とした。また、ミドル2を針抜き編みとし
た。その他は実施例3と同じとした。針抜きの詳細は下
記の通り。
【0066】 ミドル2: 50−24 50−36 × 50−36 50−24 6 1 (1) 1 3 <評価結果>次亜塩素酸ソーダ30%溶液での洗濯50
回まで吸水性が保持でき、表面のドライ感が良好であ
り、業務用おむつとして優れた結果が得られた。なお、
肌触りをさらに向上させれば、より一層優れた製品とな
る。
【0067】〔実施例5〕実施例4の結果をもとに肌触
りの改善を目的として試作した。フロントの糸デニール
を肌触りを改善する目的で変更し、バックの糸も生地自
体の堅さを軽減する目的で変更した。さらに柔らかさを
追求するため、フロント、バックとも組織の編成を変更
してみた。
【0068】 <使用糸> フロント:ポリエステル強力糸70D−24F ポリエステル糸75D−15F ミドル2:ポリエステル糸50D−24F キュプラ糸50D−36F ミドル1:ポリエステル加工糸75D−36F バック :ポリエステル加工糸75D−36F <編成組織> フロント:((10/56)×4・(1112/76)×4) ミドル2:((10/12)×4・(23/21)×4) ミドル1:((45/43)×3・32/21・(10/12)×3 ・23/34) バック :((10/12)×3・23/34・(45/43)×3 ・32/21) <糸通し> フロント: 75−15 75−24 75−15 × 1 8 1 (2) ミドル2: 50−24 50−36 × 50−36 50−24 6 1 (1) 1 3 ミドル1: × 3 (3) フロント: × (3) 3 <評価結果>吸水性及び表面のドライ感は実施例4と同
様であり、肌触りが向上した。なお、生地自体を厚くす
れば、より一層優れた製品となる。
【0069】〔実施例6〕肌触りのさらなる改善と、機
能面との両立を目指して作成した。
【0070】 <使用糸> フロント:ポリエステル糸100D−48F ミドル2:ポリエステル糸50D−24F キュプラ糸50D−36F ミドル1:ポリエステル加工糸150D−48F バック :ポリエステル加工糸150D−48F <編成組織> フロント:((10/56)×4、(1011/65)×4) ミドル2:((10/12)×4、(23/21)×4) ミドル1:(54/43・34/32・23/21・12/10 ・01/12・21/23・32/34・43/45) バック :(01/12・21/23・32/34・43/45 ・54/43・34/32・23/21・12/10) <糸通し> フロント: × 10 (2) ミドル2: 50−24 50−36 × 50−36 50−24 6 1 (1) 1 3 ミドル1: × × (1) 3 (4) バック : × (5) 3 <評価結果>次亜塩素酸ソーダ30%溶液での洗濯50
回まで吸水性が保持でき、表面のドライ感が良好であ
り、肌触りの点でも申し分のない業務用おむつとして優
れた結果が得られた。
【0071】〔実施例7〕次亜塩素酸ソーダ30%溶液
での洗濯50回以上の耐久性を持たせるべく改善した。
【0072】 <使用糸> フロント:ポリエステル糸100D−48F(2.0単糸デニール) ポリエステル高収縮糸100D−36F ミドル2:ポリエステル糸50D−24F キュプラ糸50D−36F ミドル1:ポリエステル加工糸150D−48F バック :ポリエステル加工糸150D−48F <編成組織> フロント:((10/56)×4、(1011/65)×4) ミドル2:((10/12)×4、(23/21)×4) ミドル1:(54/43・34/32・23/21・12/10 ・01/12・21/23・32/34・43/45) バック :(01/12・21/23・32/34・43/45 ・54/43・34/32・23/21・12/10) <糸通し> フロント: 100−36 100−48 100−36 × 1 8 1 (2) ミドル2: 50−24 50−36 × 50−36 50−24 6 1 (1) 1 3 ミドル1: × × (1) 3 (4) バック : × (5) 3 <評価結果>次亜塩素酸ソーダ洗濯100回でも問題な
く、また、肌に対する問題も全く生じず、業務用おむつ
として最適なものが得られた。
【0073】
【発明の効果】本発明にかかる編地は、介護用おむつ等
に使用したときに、表層に接触した水をパイル部から凹
部にスムーズに落とし込み、中間層に迅速に吸収させ
て、下層の透孔部から背面側へと送り出すことができ
る。表層のパイル部に接触する肌に対して乾燥した感触
を与えることができ、着用感の優れたものとなる。肌へ
の刺激に関しても問題がなく、また肌触りもよく、業務
用洗濯のこれからの水準ともなる高濃度次亜塩素酸ソー
ダ洗濯を繰り返しても吸水機能が低下しないので、業務
用おむつの肌にあたる素材として最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る編地の表面側から見た概略斜視
【図2】 本発明に係る編地の概略断面図
【図3】 本発明に係る編地の裏面側から見た概略底面
【符号の説明】
1 編地 10 表層 11 表層のパイル部 12 表層の凹部 13 パイル部の外縁部分 14 パイル部の中央部 20a 上部中間層 20b 下部中間層 30 下層 31 下層の透孔部 32 下層の凸部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸水性繊維と非吸水性繊維からなる複数
    の編成組織層が積層された多層編地で、パイル組織で構
    成され、凸状をなし起毛された多数のパイル部と、各パ
    イル部の間に空隙状をなす凹部とを有する表層と、表層
    の背面に配置されて表層のパイル部を支持する中間層
    と、中間層の背面に配置され、多数の透孔部を有する編
    成組織からなる下層とを備えてなる編地。
  2. 【請求項2】 前記表層のパイル部が、単糸デニール1
    〜3、総デニール50〜150の非吸水性繊維で編成さ
    れている請求項1に記載の編地。
  3. 【請求項3】 前記表層のパイル部と凹部とが、10cm
    当たり10±2個づつ配置されている請求項1または2
    に記載の編地。
  4. 【請求項4】 前記表層のパイル部と凹部との面積割合
    が、パイル部:凹部=1:1〜2:1である請求項1〜
    3の何れかに記載の編地。
  5. 【請求項5】 前記表層の凹部における中間層の糸密度
    が、仕上がり寸法において、コース20〜40/イン
    チ、ウエル30〜50/インチである請求項1〜4の何
    れかに記載の編地。
  6. 【請求項6】 前記表層のパイル部における外縁部分の
    パイル高さが該パイル部の中央側よりも低い請求項1〜
    5の何れかに記載の編地。
  7. 【請求項7】 前記中間層または下層あるいはその両方
    の、一部もしくは全部に吸水性繊維を用いた請求項1〜
    6の何れかに記載の編地。
  8. 【請求項8】 前記中間層が、針抜きで編まれた請求項
    1〜7の何れかに記載の編地。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009235600A (ja) * 2008-03-26 2009-10-15 Teijin Fibers Ltd 立毛経編地の製造方法および立毛経編地および内装材
CN106702579A (zh) * 2016-12-30 2017-05-24 上海嘉乐股份有限公司 一种高强耐磨结构的针织面料及其制造方法
CN109881352A (zh) * 2019-04-02 2019-06-14 天津工业大学 三维立体结构经编针织织物及其编织方法

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CN106702579B (zh) * 2016-12-30 2019-10-11 上海嘉乐股份有限公司 一种高强耐磨结构的针织面料及其制造方法
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