JP2001279339A - 鉄中不純物元素の溶解除去方法 - Google Patents

鉄中不純物元素の溶解除去方法

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JP2001279339A
JP2001279339A JP2000093591A JP2000093591A JP2001279339A JP 2001279339 A JP2001279339 A JP 2001279339A JP 2000093591 A JP2000093591 A JP 2000093591A JP 2000093591 A JP2000093591 A JP 2000093591A JP 2001279339 A JP2001279339 A JP 2001279339A
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molten
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Yoshiyuki Uejima
良之 上島
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】鉄スクラップ等をリサイクルするに際し、該鉄
スクラップ等から、均質な鋼材の安定的な製造の点で有
害なCu、Sn等の不純物元素を、溶融状態で安価に効率よ
く除去することができる鉄中不純物元素の溶融除去方法
を提供すること。 【解決手段】鉄および鉄に可溶性の元素合計を100 重量
%としてCu、Cuと親和力のある元素、及び不可避元素を
含む鉄スクラップを酸素を含む雰囲気中で溶解した後、
この溶解鉄にCの所要量に応じて特定元素の所要量を添
加し、次いで、溶融状態でFe富化層とCu富化層に分離
し、両層の比重差を利用して、該鉄スクラップに含まれ
るCuと親和力のある上記元素を、Cu富化層に沈殿分離さ
せることによりFe富化層から除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種産業および民
生分野から発生する鉄スクラップ等をリサイクルするに
際し、該鉄スクラップ等から、均質な鋼材の安定的な製
造の点で有害なCu、Sn等の不純物元素を、溶融状態で安
価に効率よく除去することができる鉄中不純物元素の溶
融除去方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、鋼材中にCu、Sn等のいわゆるト
ランプエレメントと呼ばれる不純物元素がある一定濃度
以上含まれると、連続鋳造時に鋳片表面に割れが発生し
たり、熱間圧延時に表面割れが発生する。そのため表面
研削等の余分な工程が必要になって製造コストが増加す
るうえに、生産性と歩留が低下し、また鋼材製品の伸
び、靱性、深絞り性など機械的性質が著しく劣化するこ
とはよく知られている。これらトランプエレメントは、
鉄鉱石を主原料とする高炉溶銑には、ごく微量しか含ま
れていないが、廃棄家電製品、廃棄自動車などの鉄スク
ラップには、多量に含まれている。従って、安価な鉄ス
クラップを主原料として鉄鋼製品を製造する場合、高い
機械的性質が要求される高級鋼は製造しがたく、また、
歩留良く安定して生産することも望めないのが現状であ
る。それ故、安価な鉄スクラップを使用して品質の高い
鋼材を安定して生産する方法が望まれている。
【0003】鉄スクラップからCu、Sn等のトランプエレ
メントを除去する方法としては、鉄スクラップをアンモ
ニア性水溶液に浸漬して脱銅する方法(例えば、特開平
6−2053号公報参照)や、鉄スクラップを溶融亜鉛
浴に浸潰してCu、Sn等を抽出分離する方法(例えば、特
開平7−269000号公報参照)や、スクラップを破砕した
のち鉄と銅を識別分離する方法(例えば、特開平7−25
3400号公報参照)が知られている。
【0004】しかしながら、アンモニア水溶液浸漬法、
及び、溶融亜鉛浸漬法には、鉄スクラップ表面に露出し
たCuを除去できるが、内部に含まれるCuを除去できない
という問題点があるとともに、容積の大きい特殊な浸漬
設備が必要となり、かつ、浸漬処理を低温で行うので処
理速度が遅いという問題点がある。また、破砕鉄スクラ
ップ識別法には、スクラップの破砕と識別に余分の工程
が必要となり、かつ処理速度が遅いうえに、トランプエ
レメントを鋼材から除去できないという問題点がある。
このように、上記三つの方法は、いずれも、トランプエ
レメントの除去の程度、及び、鉄スクラップの処理速度
の点に問題点があり、実用技術として用いることができ
ないものである。
【0005】一方、「Phase Equilibria in Iron Terna
ry Alloys, The Institute of Metals. 」(1988 年発
行)157 〜167 頁には、Cuを含んだ溶融鉄にC を0.1 %
以上添加すると、Fe富化層とCu富化層に分離することが
記載されている。上記文献に記載された知見によれば、
溶融鉄にC を4.5 %まで添加して、1184℃まで冷却して
保持して平衡させれば、溶融鉄中のCu濃度は4%まで低
減する可能性があることが類推できる(160 頁、図3.
65参照)。しかしながら、溶融鉄は、該鉄中のCuが少な
くとも3%以下に除去されて、初めて主原料として有用
なものとなるものであるから、上記知見を適用して、実
用的なトランプエレメント除去技術を構築することはで
きない。
【0006】また、「資源と素材、Vo1.113 、No.12(19
97)、社団法人資源・素材学会発行」1110〜1114頁、及
び、特開平11−293350号公報には、銅を含む鉄スクラッ
プを無酸化雰囲気中で溶融し、鉄の相に、C を2%以上
溶解させて、銅と鉄を分離して回収する方法が記載され
ている。しかしながら、上記方法は、実験室規模で、し
かも無酸化雰囲気中でスラグの生成を防止して行うもの
であるので、該雰囲気を継続して維持できる特別の溶解
炉を用意しなければならず、この点で、まず実用技術に
適さないが、さらに、鉄の相にC を2%以上溶解させて
も、該相中のCu濃度を3%以下に低減することができな
いものであり、この点でも、実用技術として適さない。
【0007】前述したように、鉄スクラップを溶解した
溶融鉄は、該鉄中のCu濃度が3%以下に低減されて、初
めて、鉄鋼原料として有用なものとなるのであるが、本
発明者らの調査によれば、上記溶融鉄中のCu濃度を3%
以下にする実用技術は、いかなる文献にも未だ開示され
ていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来の問題点を解決して、鉄スクラップを溶融したの
ち、該溶融鉄にC 及びその他の適切な合金元素を添加す
ることで、Cu、Sn等の不純物元素を溶融状態で効率よく
安価に除去し、鉄スクラップを有用な鉄鋼原料として安
価に提供することができる鉄中不純物元素の溶融除去方
法を提供することを目的として完成されたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決するために種々検討を行った結果、鉄スクラップ
を溶融し、該溶融鉄に、C 及びその他の適切な合金元素
を添加することにより、Cu、Sn等の不純物元素を除去す
ることに成功し、本発明を完成するに至った。
【0010】そして、本発明の要旨は、以下のとおりで
ある。 (1)鉄および鉄に可溶性の元素の合計を100 質量%と
して、Cuおよび不可避元素を含む鉄スクラップを酸素を
含む雰囲気中で溶解した後、この溶融鉄に、次式で示す
範囲でC を添加し、次いで、溶融状態でFe富化層とCu富
化層に分離し、両層の比重差を利用して、該鉄スクラッ
プに含まれるCuを、Cu富化層に沈殿分離させることによ
りFe富化層から除去することを特徴とする鉄中不純物元
素の溶融除去方法。
【数9】
【0011】(2)鉄および鉄に可溶性の元素の合計を
100 質量%として、Cuおよび不可避元素を含む鉄スクラ
ップを酸素を含む雰囲気中で溶解した後、この溶融鉄
に、次式で示す範囲でC 、及び、Cr、Moの1種または2
種を添加し、次いで、溶融状態でFe富化層とCu富化層に
分離し、両層の比重差を利用して、該鉄スクラップに含
まれるCuを、Cu富化層に沈殿分離させることによりFe富
化層から除去することを特徴とする鉄中不純物元素の溶
融除去方法。
【数10】
【0012】(3)鉄および鉄に可溶性の元素の合計を
100 質量%として、Cuおよび不可避元素を含む鉄スクラ
ップを酸素を含む雰囲気中で溶解した後、この溶融鉄
に、次式で示す範囲でC 、及び、Mn、V 、Tiの1種また
は2種以上を添加し、次いで、溶融状態でFe富化層とCu
富化層に分離し、両層の比重差を利用して、該鉄スクラ
ップに含まれるCuを、Cu富化層に沈殿分離させることに
よりFe富化層から除去することを特徽とする鉄中不純物
元素の溶融除去方法。
【数11】
【0013】(4)鉄および鉄に可溶性の元素の合計を
100 質量%として、Cuおよび不可避元素を含む鉄スクラ
ップを酸素を含む雰囲気中で溶解した竣、この溶融鉄
に、次式で示す範囲でC 、Cr、Moの1種または2種、及
び、Mn、V 、Tiの1種または2種以上を添加し、次い
で、溶融状態でFe富化層とCu富化層に分離し、両層の比
重差を利用して、該鉄スクラップに含まれるCuを、Cu富
化層に沈殿分離させることによりFe富化層から除去する
ことを特徴とする鉄中不純物元素の溶融除去方法。
【数12】
【0014】(5)鉄および鉄に可溶性の元素の合計を
100 質量%として、Cu、Cuと親和力のあるIIIa族、VIII
族、Ib族、IIb 族、IIIb族、IVb 族、Vb族の元素、およ
び、不可避元素を含む鉄スクラップを酸素を含む雰囲気
中で溶解した後、この溶融鉄に、次式で示す範囲でC を
添加し、次いで、溶融状態でFe富化層とCu富化層に分離
し、両層の比重差を利用して、該鉄スクラップに含まれ
るCu及びCuと親和力のあるIIIa族、VIII族、Ib族、IIb
族、IIIb族、IVb 族、Vb族の元素を、Cu富化層に沈殿分
離させることによりFe富化届から除去することを特徴と
する鉄中不純物元素の溶融除去方法。
【数13】
【0015】(6)鉄および鉄に可溶性の元素の合計を
100 質量%として、Cu、Cuと親和力のあるIIIa族、VIII
族、Ib族、IIb 族、IIIb族、IVb 族、Vb族の元素、およ
び、不可避元素を含む鉄スクラップを酸素を含む雰囲気
中で溶解した後、この溶融鉄に、次式で示す範囲でC 、
及び、Cr、Moの1種または2種を添加し、次いで、溶融
状態でFe富化層とCu富化層に分離し、両層の比重差を利
用して、該鉄スクラップに含まれるCu及びCuと親和力の
あるIIIa族、VIII族、Ib族、IIb 族、IIIb族、IVb 族、
Vb族の元素を、Cu富化層に沈殿分離させることによりFe
富化層から除去することを特徴とする鉄中不純物元素の
溶融除去方法。
【数14】
【0016】(7)鉄および鉄に可溶性の元素の合計を
100 質量%として、Cu、Cuと親和力のあるIIIa族、VIII
族、Ib族、IIb 族、IIIb族、IVb 族、Vb族の元素、およ
び、不可避元素を含む鉄スクラップを酸素を含む雰囲気
中で溶解した後、この溶融鉄に、次式で示す範囲でC 、
及び、Mn、V 、Tiの1種または2種以上を添加し、次い
で、溶融状態でFe富化層とCu富化層に分離し、両層の比
重差を利用して、該鉄スクラップに含まれるCu及びCuと
親和力のあるIIIa族、VIII族、Ib族、IIb 族、IIIb族、
IVb 族、Vb族の元素を、Cu富化層に沈殿分離させること
によりFe富化層から除去することを特徴とする鉄中不純
物元素の溶融除去方法。
【数15】
【0017】(8)鉄および鉄に可溶性の元素の合計を1
00 質量%として、Cu、Cuと親和力のあるIIIa族、VIII
族、Ib族、IIb 族、IIIb族、IVb 族、Vb族の元素、およ
び不可避元素を含む鉄スクラップを酸素を含む雰囲気中
で溶解した後、この溶融鉄に、次式で示す範囲でC 、C
r、Moの1種または2種、及び、Mn、V 、Tiの1種また
は2種以上を添加し、次いで、溶融状態でFe富化層とCu
富化層に分離し、両層の比重差を利用して、該鉄スクラ
ップに含まれるCu及びCuと親和力のあるIIIa族、VIII
族、Ib族、IIb 族、IIIb族、IVb 族、Vb族の元素を、Cu
富化層に沈殿分離させることによりFe富化層から除去す
ることを特徴とする鉄中不純物元素の溶融除去方法。
【数16】
【0018】(9)前記(1)〜(8)のいずれか1項
に記載の鉄中不純物元素の溶融除去方法において、溶融
鉄の総質量に対して、さらにAgを質量%で0.1 〜30%の
範囲で溶融鉄に添加し、あるいは接触させることを特徴
とする鉄中不純物元素の溶融除去方法。
【0019】(10)前記(1)〜(8)のいずれか1項
に記載の鉄中不純物元素の溶融除去方法において、溶融
状態でFe富化層とCu富化層に分離した後、Fe富化層のみ
を別の容器に移し替え、あるいはCu富化層を容器外に排
出し、その後、溶融鉄の総質量に対して、さらにAgを質
量%で0.1 〜30%の範囲で該溶融鉄に添加し、あるいは
接触させることを特徴とする鉄中不純物元素の溶融除去
方法。
【0020】(11)前記(1)〜(8)のいずれか1項
に記載の鉄中不純物元素の溶融除去方法において、溶融
鉄中に酸素を加え、Alを1質量%以下の範囲まで酸化除
去することを特徴とする鉄中不純物元素の溶融除去方
法。
【0021】(12)前記(1)〜(8)のいずれか1項
に記載の鉄中不純物元素の溶融除去方法において、溶融
鉄の総質量に対して、さらにAgを質量%で0.1 〜30%の
範囲で溶融鉄に添加し、あるいは接触させるとともに、
溶融鉄中に酸素を加え、Alを1重量%以下の範囲まで酸
化除去することを特徴とする鉄中不純物元素の溶融除去
方法。
【0022】(13)前記(1)〜(8)のいずれか1項
に記載の鉄中不純物元素の溶融除去方法において、溶融
状態でFe富化層とCu富化層に分離した後、Fe富化層のみ
を別の容器に移し替え、あるいはCu富化層を容器外に排
出し、その後、溶融鉄の総質量に対して、さらにAgを質
量%で0.1 〜30%の範囲で該溶融鉄に添加し、あるいは
接触させるとともに、溶融鉄中に酸素を加え、Alを1質
量%以下の範囲まで酸化除去することを特徴とする鉄中
不純物元素の溶融除去方法。
【0023】(14)前記(1)〜(8)のいずれか1項
に記載の鉄中不純物元素の溶融除去方法において、溶融
鉄を攪拌することを特徴とする鉄中不純物元素の溶融除
去方法。
【0024】(15)前記(1)〜(8)のいずれか1項
に記載の鉄中不純物元素の溶融除去方法において、鉄ス
クラップを電気炉で溶解し、続いて、該炉内で、Cu及び
Cuと親和力のあるIIIa族、VIII族、Ib族、IIb 族、IIIb
族、IVb 族、Vb族の元素を溶融除去することを特徴とす
る鉄中不純物元素の溶融除去方法。
【0025】(16)前記(1)〜(8)のいずれか1項
に記載の鉄中不純物元素の溶融除去方法において、鉄ス
クラップをキューポラで溶解することを特徴とする鉄中
不純物元素の溶融除去方法。
【0026】即ち、Cuなどを含む鉄スクラップを一旦溶
融すると、CuおよびCuと親和力のある不純物元素(例え
ばSn)は、SiやAl等と異なり酸素との親和力が小さいの
で酸素吹錬による酸化除去は望めず、また、CaO 、Al2O
3 、SiO2等を主成分とするいわゆる製鋼溶融スラグとも
反応しないのでスラグ精錬もできず、このため溶融鉄か
ら、CuおよびCuと親和力のある不純物元素(例えばSn)
を有効にかつ安価に除去する方法は見出されていなかっ
た。そこで、本発明者らは種々検討を重ねた結果、溶融
鉄スクラップ中に一定濃度以上のC を添加して、溶融状
態でFe富化層とCu富化層に分離せしめ、鉄スクラップ中
のCuおよびCuと親和力のあるIIIa族、VIII族、Ib族、II
b 族、IIIb族、IVb 族、Vb族の元素(Sn等)を、比重の
重いCu富化層に濃縮沈殿させることができることを見出
し、本発明を完成した。
【0027】以下に、本発明の原理につき説明する。C
とFeとの原子間では、吸引力が働くが、C とCuとの原子
間では反発力が働き、この結果、溶融鉄は、溶融状態で
Fe富化層とCu富化層に分離する。この分離状態で、さら
にC を過剰に添加して、Cuを事実上全く含まない炭化物
をFe富化層中に生成させ、Fe富化層中のCuを比重差によ
りCu富化層へさらに排出し濃縮分離する。このように、
生成物として炭化物を選択した理由は、C は優先的にFe
に溶解しCu中には溶解度が極めて低いこと、および、炭
化物の比重が溶鉄とほぼ同等でFe富化層に混在し、かつ
比重の大きいCu富化層の沈殿を妨げないという特性を有
することである。
【0028】さらに、C 以外にCr、Mn、Mo、Ti、V 等の
炭化物生成促進元素を適切な濃度範囲で添加しFe富化層
中に炭化物の生成を促進させることで、Fe富化層中のCu
およびCuと親和力のあるIIIa族、VIII族、Ib族、IIb
族、IIIb族、IVb 族、Vb族の元素濃度を顕著に低減でき
ることも見出した。また、溶融状態でFeをほとんど溶解
せず、CuおよびCuと親和力のある上記元素だけを吸収す
るAgを、一定濃度範囲で溶融鉄に添加するかあるいは接
触させると、不純物低減効果が顕著に増すことや、Fe富
化層とCu富化層の分離を阻害するAlを酸化精錬で除去し
同時に熱源として利用することが好ましいことも見出し
た。さらに、溶融状態で攪拌することで分離に要する時
間を短縮できることも見出した。
【0029】前述したように、本発明者らの調査によれ
ば、溶融鉄中のC 濃度を3%以下に低減する実用技術
は、いまだ、いかなる文献にも開示されていないから、
該Cu濃度を3%以下に低減する本発明は、近年の家電製
品や自動車等の廃棄物による環境問題、廃棄物リサイク
ルの重要性に対する社会の認識が高まる中で、産業およ
び社会全体に寄与する技術として、極めて大きな意義を
もつものである。
【0030】ここで、本発明の構成要件について説明す
る。まず、本発明の構成要件である溶解に係る条件の限
定理由について説明する。溶解と雰囲気:本発明におい
ては鉄スクラップを酸素の存在する雰囲気中で溶解す
る。溶解雰囲気中に酸素が存在すると溶解過程でスラグ
が生成したり、溶融鉄が酸化したりすることが懸念され
るが、本発明は、前述したように、鉄スクラップを有用
な鉄鋼原料として安価に提供することを目的として、多
量の鉄スクラップを一度に溶解するものであるから、か
りに、溶融鉄の表面が酸化しても、それによる損失は、
極少量である。また、スラグの生成は、溶融鉄の表面保
護や保温、さらに、以後の工程における成分調製の点で
むしろ好ましいものである。
【0031】これらの点が、本発明と、前記特開平11−
293350号公報に記載されている銅と鉄の分離回収方法と
が、基本的に異なる点である。溶解方法や、雰囲気中の
酸素濃度は特に限定されるものではない。通常、空気雰
囲気中で、溶解を行うが、溶解に用いる炉の種類によっ
て、雰囲気も含めた溶解の態様が多少異なる。
【0032】本発明の場合、電気炉またはキューポラで
溶解するのが好ましいので、この2つの炉における溶解
態様について説明する。 電気炉溶解と雰囲気: 〔1〕アーク溶解のみで加熱溶解する場合 炉底に電極を有する直流アーク溶解炉を用いる場合、炉
内に鉄スクラップを装入して炭素電極と該スクラップ間
に電圧を掛けアーク加熱溶解する。一旦溶融したのち造
滓材(スラグ)を投入して電極をスラグ内に浸漬する。
溶融鉄は、スラグで完全にカバーされることになり、雰
囲気から遮断される。それ故、炉内雰囲気は、大気雰囲
気で充分であり、これを無酸化雰囲気にする必要は全く
ない。
【0033】〔2〕アーク溶解に加えて、“炭材インジ
ェクション+酸素ガスバーナー”あるいは“重油燃焼バ
ーナー”を併用して加熱溶解する場合 この場合、積極的に酸素ガスを炭材あるいは重油と同時
に吹くバーナーでその燃焼熱を利用して溶解速度を上げ
ている。そして、この場合も、通常のアーク溶解と同様
に、溶解したのちスラグで溶融鉄を覆うので無酸化雰囲
気にする必要はい。なお、スラグの酸化度を上げて、溶
融鉄中の不純物Pを、りん酸として酸化除去することも
できる。また、この加熱溶解の場合、電力消費量(電力
原単位)を減らすことができるので、溶製コストを下げ
ることができる。
【0034】キューポラ溶解と雰囲気:この場合、炉頂
から鉄スクラップと炭素質材料を装入し、炉下部から空
気あるいは酸素ガスを送風する。炉下部では、C +1/
2O2 =COの反応によりCOが多量に生成して、いわゆる還
元雰囲気になる。炉上部では、CO+1/2O2 =CO2 の反
応によりCO2 が多く酸化雰囲気になる。従って1つの炉
内に還元、酸化両方の雰囲気が存在することになる。な
お、炭素質材料を燃料源として用いると、COガスあるい
はCO2 ガスで浸炭が起こり、鉄の融点が1536℃から1150
℃まで下がるので、効率的に鉄スクラップを溶解するこ
とができる。このように、酸素を含む雰囲気は、実際の
溶解作業において、還元雰囲気にも酸化雰囲気にもなり
得るが、本発明においては、いづれの雰囲気でもよい。
【0035】次に、本発明の構成要件であるC 等の添加
物に係る条件の限定理由について説明する。C :C は溶
融鉄において、上記Fe原子とCu原子間の斥力を増加さ
せ、また、積極的な炭化物生成によりFe富化層とCu富化
層に分離させる働きをする重要な元素である。次式のと
おり、C 濃度の下限は、少なくともFe富化層中のCu濃度
を3%以下とする条件、すなわち、Fe富化層中に溶融状
態で炭化物を生成させるに足る濃度であり、溶融鉄中の
Cu濃度の関数である。上限は溶製上のコストを考慮して
20%とした。
【数17】 ここで、鉄および鉄に可溶性の元素の合計を100 質量%
として、Cuおよび不可避元素を含む溶融鉄中において、
C 濃度の下限値は、本発明者が行った種々の実験結果を
解析した結果、図1に示すように、Cu濃度が増加する
と、炭化物が発生する下限C 濃度が低下することに基づ
いている。
【0036】なお、図1は、電気炉により100kg の溶融
純鉄を用意して1〜40%の範囲で純銅を添加し、さら
に、1〜7%の範囲で炭素を添加して、溶融状態で20分
間保持した後、徐冷却して得たインゴットの上部のFe富
化層を切り出し、Cu濃度を分析した結果を示すものであ
る。この図においては、Fe富化層中のCu濃度が3%以下
の場合を「○」印で表し、それより大きい場合を「×」
印で表した。
【0037】保持温度:溶融状態で溶融鉄をFe富化層と
Cu富化層を上下に分離できるので保持温度は特に限定し
ない。ただし、低温ほどFe富化層中のCuの溶解度が減少
してCuの排出が促進されるが、過剰に低温であると半凝
固状態となり溶湯の流動性が阻害されること、および過
剰に高温であると炭化物の生成が阻害されることを勘案
して、1100〜1400℃に保持することが好ましい。
【0038】Cr、Mo:これらの元素は、Fe富化層中のCu
溶解度を減少させる効果と炭化物の生成を促進する効果
を有する。これら元素の添加により、Cuの除去効果が顕
著に増大する。これら元素の添加濃度は、次式のとお
り、Cu溶解度減少効果と炭化物生成効果が得られる最小
濃度、4.5 ×(1−Cu/100)を下限とし、溶製コストを
考慮して30%を上限とする。なお、Cr、MoおよびC 濃度
の下限値は、本発明者が行った種々の実験結果を解析し
た結果、図2(A)及び図2(B)に示すように、Cu濃
度が増加すると、炭化物を発生する下限Cr、MoおよびC
濃度が低下することに基づいている。
【0039】なお、図2(A)及び図2(B)は、電気
炉により100kg の溶融純鉄を用意して1〜40%の範囲で
純銅を添加し、さらに、1〜7%の範囲で炭素を添加
し、かつ、1〜8%の範囲でCrあるいはMoを添加して、
溶融状態で20分間保持した後、徐冷却して得たインゴッ
トの上部のFe富化層を切り出し、Cu濃度を分析した結果
を示すものである。なお、図2(A)は、CrまたはMo濃
度を6%とした場合の結果を示し、図2(B)は、C 濃
度を5 %とした場合の結果を示す。これらの図において
は、Fe富化層中のCu濃度が3%以下の場合を「○」印で
表し、それより大きい場合を「×」印で表した。
【数18】
【0040】Mn、V 、Ti:これらの元素は、Fe富化層中
の炭化物の生成を促進する効果を有する。これら元素の
添加により、Cuの除去効果が顕著に増大する。これらの
元素の添加濃度は、次式のとおり、炭化物生成効果が得
られる最小濃度、4.0 ×(1−Cu/100)を下限とし、溶
製コストを考慮して30%を上限とする。なお、Mn、V 、
TiおよびC 濃度の下限値は、本発明者が行った種々の実
験結果を解析した結果、図3(A)及び図3(B)に示
すように、Cu濃度が増加すると、炭化物を発生する下限
Mn、V 、TiおよびC 濃度が低下することに基づいてい
る。
【0041】なお、図3(A)及び図3(B)は、電気
炉により100kg の溶融純鉄を用意して1 〜40%の範囲で
純銅を添加し、さらに1〜7%の範囲で炭素を添如し、
かつ、1〜8%の範囲でMn、V 及び/またはTiを添加し
て、溶融状態で20分間保持した後、徐冷却して得たイン
ゴットの上部のFe富化層を切り出し、Cu濃度を分析した
結果を示すものである。なお、図3(A)は、Mn、V 及
び/またはTi濃度を6%とした場合の結果を示し、図3
(B)は、C 濃度を5%とした場合の結果を示す。これ
らの図においては、Fe富化層中のCu濃度が3%以下の場
合を「○」印で表し、それより大さい場合を「×」印で
表した。
【数19】
【0042】Ag:上記C 、Cr等の添加により形成したFe
富化層に、Agを添加すると溶融Agは、Fe富化層中のCuお
よびCuと親和力のある元素のみを選択的に吸収する。こ
のようにして、Agは、CuおよびCuと親和力のある元素を
分離する作用を発揮する。即ち、Agは溶融鉄に溶解度が
なく、一方、溶銅にはほぼ100 %溶解し、しかも、比重
は鉄より大きいという特異な性質を有しており、この特
性を利用して、CuおよびCuと親和力のある元素を分離す
るのである。また、AgはCuより比重が大きいためFe富化
層中の浮遊Cu滴を捕捉して、Cu富化層に沈降せしめる効
果も有する。Agの添加濃度は、Cu除去効果が現れる最小
濃度0.1 %を下限とし、溶製コストを考慮して20%を上
限とする。
【0043】なお、Agの添加を行う前に、一旦Fe富化層
を別の容器に移し替え、あるいは沈殿したCu富化層を排
出して容器内にFe富化層のみ残した後、Ag添加を行うこ
とも、Fe富化層中のCu濃度を容易に1%以下にするため
に有効である。また、このようにして使用したAgは、Ag
に溶解したCu等の不純物元素を公知技術(例えば、湿式
電解精製法)で分離することにより再使用できるので、
製造コスト上有利である。
【0044】Al:Alは、多量に溶融鉄中に溶解している
と、Fe富化層とCu富化層への分離を阻害する要因とな
る。そこで、Alを酸素で酸化除去することが好ましい。
Al濃度が1%以下であれば分離に対する影響は殆ど無視
できるので、許容できるAl濃度の上限を1%とする。ま
た、除去のための精錬コストを考慮すると、下限の濃度
は0.0001%が好ましい。なお、Alの酸化燃焼熱は鉄スク
ラップの溶解熱源として有効利用できることは勿論であ
る。
【0045】攪拌:溶融鉄を攪拌することは、Fe富化層
中に懸濁する微小な溶融Cu滴を効率的にCu富化層へ沈降
せしめる点において効果がある。攪拌方法は特に限定さ
れないが、例えば、インペラーによる機械攪拌、ガス攪
拌、電磁攪拌などの方法を用いることができる。
【0046】以上述べたように本発明は、鉄スクラップ
を溶融したのち、C 及び、その他の適切な合金元素を添
加することにより、Cu、Sn等の不純物元素を溶融状態で
効率よく安価に除去することができるものである。よっ
て、本発明は従来の問題点を一掃した鉄中不純物元素の
溶融除去方法として、産業の発展に寄与するところは極
めて大である。
【0047】
【発明の実施の形態】(実施例1)表1に示される組成
よりなる鉄スクラップ(No.1は廃家電製品、No.2は廃車
より生じたスクラップである)を電気炉により約1600℃
で溶解した後、C を添加し、さらにCr、Mn、Mo、V 、Ti
の1種または2以上を添加して1100〜1400℃の範囲で30
分間保持した。その後、冷却して得たインゴットを縦に
切断して、インゴット上部のFe富化層とインゴット下部
のCu富化層の分離の有無を観察し、さらに、Fe富化層中
の元素濃度を分析した。その結果を表2に示す。表2に
示すように、Fe富化層中のCuが3%以下で鉄鋼原料とし
て有用性のある鉄を回収することができた。
【0048】なお、表2における判定基準は次の
(1)、(2)及び(3)のとおりである。 (1)Fe/Cu分離の判定基準は、冷却して得たインゴッ
トを縦に切断し、その面を目視検査して、上部が鉄色で
下部が銅色を呈した場合「有り」と判定し、上下の色差
がない場合「無い」と判定した。 (2)脱Cu率(%)=(スクラップ中のCu%−スクラッ
プ中のFe%)/100 (3)総合評価の判定基準は、Fe/Cu分離が「有り」
で、かつ、Fe富化層中のCuが3%以下であり、Cuと親和
力のある元素(Sn、Pb、Zn)濃度が減少している場合
「○」とし、それ以外の場合「×」とした。 C の添加量が条件式を満たさない場合を比較例として示
すが、Fe/Cu分離が見られず、また、分離があっても、
Fe富化層中のCu濃度が3%超となり、有用性を満足しな
いものであった。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】(実施例2)表1のスクラップNo.1に示し
た鉄スクラップを、電気炉により約1600℃で溶解した
後、C とAgを添加(一部のものはCr、Mn、Mo、V 、Tiの
1種または2種以上を添加)して、1100〜1400℃の範囲
で10分以上保持した。その後、冷却して得たインゴット
につき前記(実施例1)と同様に、Fe富化層中の元素濃
度を分析した。その結果を表3に示す。表3に示すよう
に、Fe富化層中のCu濃度が3%以下で、鉄鋼原料として
有用性のある鉄を回収することができた。なお、表3
中、実施例38および比較例4、5は、Alを10質量%含有
した鉄スクラップを使用し、実施例38と比較例4は、酸
素吹錬でそれぞれ0.5 質量%と2質量%まで溶解Al濃度
を低減したものである。なお、Cuと親和力のある不純物
元素のうちSn、PbはIVb 族に属し、ZnはIIb 族に属す
る。
【0052】
【表3】
【0053】(実施例3)表4のスクラップNo.3に示し
た組成の廃家電製品および廃棄電子部品からなる鉄スク
ラップ10t を、アーク溶解炉に投入し約1600℃に昇温し
て溶解した。表5に示す量のC を溶湯に添加(一部のも
のはC とAgを添加)して、1100〜1400℃の範囲で30分間
保持した。その後、冷却して得たインゴットにつき、前
記(実施例1)と同様に、Fe富化層中の元素濃度を分析
した。その結果を表5に示す。表5に示すように、Fe富
化層中のCuが3%以下で、鉄鋼原料として有用性のある
鉄を回収することができた。なお、表4において、REM
は希土類元素を表し、ここでは、La、Ce、Pr、Ndの合計
濃度で計算した。また、Cuと親和力のある不純物元素の
うち、SnはIVb 族、REM はIIIa族、AuはIb族、GaはIIIb
族、BiはVb族、PdはVIII族に属する。
【0054】このように本発明は、鉄スクラップを溶解
した溶融鉄中に一定濃度以上のC を添加して、溶融状態
で比重の小さいFe富化層と比重の大きいCu富化層とに分
離し、鉄スクラップ中に鋼材には不適当な不純物として
含まれるCu、および、Cuと親和力のあるIIIa族、VIII
族、Ib族、IIb 族、IIIb族、IVb 族、Vb族の元素をCu富
化層に濃縮沈殿させることにより、該不純物元素をCu富
化層に濃縮沈殿させ、溶融状態で分離除去するもので、
短時間に効率よく、かつ、安価に除去処理できるもので
ある。
【0055】また、C 以外に、Cr、Mn、Mo、Ti、V の炭
化物生成元素を適切な濃度範囲で添加してFe富化層中に
炭化物を生成させることや、溶融状態で鉄にほとんど溶
解しないで、Cu、Sn等の鋼材に好ましくない元素だけを
吸収するAgを一定濃度範囲で添加したりあるいは接触さ
せることにより、より有用性のある鋼材を得ることがで
きる。また、スクラップを溶解した段階でFe富化層とCu
富化層の分離を阻害するAlを溶湯上方に設置したランス
から、純酸素または空気を吹付ける酸化精錬で除去し
て、より確実に不純物元素の濃度を下げることができ
る。
【0056】前記(実施例3)では、3%以下のCu濃度
まで脱Cuした鉄をインゴットとして回収したが、1100〜
1400℃の溶融状態で3%以下に脱Cuした鉄を溶融状態で
回収することももちろん可能である。その際、比重の大
きいCu富化層は沈殿して、比重の小さいFe富化層が溶湯
の上部に存在するので、例えば炉底からCu富化層のみ排
出してFe富化層の溶湯を残す等の方法で分離できる。な
お、表5の実施例39〜46において、溶融状態でこのFe富
化層にCuを事実上全く含まない炭化物が多数分散してい
ることは、溶融状態のFe富化層を少量採取後急冷したサ
ンプルの金属組織分析結果からも明らかであった。
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
【発明の効果】以上述べたように、各種産業および民生
分野から発生する種々の鉄スクラップを溶解し、溶融状
態でFe濃度の高いFe富化層とCu濃度の高いCu富化層に分
離させる方法につき種々検討を行なった結果、新たな知
見を見出し、それに基づいて完成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】添加したC 濃度とCu濃度との関係を示すグラフ
である。
【図2】(A)は、添加したC 濃度とCu濃度との関係を
示すグラフ、(B)は、添加したCrまたはMo濃度とCu濃
度との関係を示すグラフである。
【図3】(A)は、添加したC 濃度とCu濃度との関係を
示すグラフ、(B)は、添加したMn、V またはTi濃度と
Cu濃度との関係を示すグラフである。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄および鉄に可溶性の元素の合計を100
    質量%として、Cuおよび不可避元素を含む鉄スクラップ
    を酸素を含む雰囲気中で溶解した後、この溶融鉄に、次
    式で示す範囲でC を添加し、次いで、溶融状態でFe富化
    層とCu富化層に分離し、両層の比重差を利用して、該鉄
    スクラップに含まれるCuを、Cu富化層に沈殿分離させる
    ことによりFe富化層から除去することを特徴とする鉄中
    不純物元素の溶融除去方法。 【数1】
  2. 【請求項2】 鉄および鉄に可溶性の元素の合計を100
    質量%として、Cuおよび不可避元素を含む鉄スクラップ
    を酸素を含む雰囲気中で溶解した後、この溶融鉄に、次
    式で示す範囲でC 、及び、Cr、Moの1種または2種を添
    加し、次いで、溶融状態でFe富化層とCu富化層に分離
    し、両層の比重差を利用して、該鉄スクラップに含まれ
    るCuを、Cu富化層に沈殿分離させることによりFe富化層
    から除去することを特徴とする鉄中不純物元素の溶融除
    去方法。 【数2】
  3. 【請求項3】 鉄および鉄に可溶性の元素の合計を100
    質量%として、Cuおよび不可避元素を含む鉄スクラップ
    を酸素を含む雰囲気中で溶解した後、この溶融鉄に、次
    式で示す範囲でC 、及び、Mn、V 、Tiの1種または2種
    以上を添加し、次いで、溶融状態でFe富化層とCu富化層
    に分離し、両層の比重差を利用して、該鉄スクラップに
    含まれるCuを、Cu富化層に沈殿分離させることによりFe
    富化層から除去することを特徽とする鉄中不純物元素の
    溶融除去方法。 【数3】
  4. 【請求項4】 鉄および鉄に可溶性の元素の合計を100
    質量%として、Cuおよび不可避元素を含む鉄スクラップ
    を酸素を含む雰囲気中で溶解した竣、この溶融鉄に、次
    式で示す範囲でC 、Cr、Moの1種または2種、及び、M
    n、V 、Tiの1種または2種以上を添加し、次いで、溶
    融状態でFe富化層とCu富化層に分離し、両層の比重差を
    利用して、該鉄スクラップに含まれるCuを、Cu富化層に
    沈殿分離させることによりFe富化層から除去することを
    特徴とする鉄中不純物元素の溶融除去方法。 【数4】
  5. 【請求項5】 鉄および鉄に可溶性の元素の合計を100
    質量%として、Cu、Cuと親和力のあるIIIa族、VIII族、
    Ib族、IIb 族、IIIb族、IVb 族、Vb族の元素、および、
    不可避元素を含む鉄スクラップを酸素を含む雰囲気中で
    溶解した後、この溶融鉄に、次式で示す範囲でC を添加
    し、次いで、溶融状態でFe富化層とCu富化層に分離し、
    両層の比重差を利用して、該鉄スクラップに含まれるCu
    及びCuと親和力のあるIIIa族、VIII族、Ib族、IIb 族、
    IIIb族、IVb 族、Vb族の元素を、Cu富化層に沈殿分離さ
    せることによりFe富化届から除去することを特徴とする
    鉄中不純物元素の溶融除去方法。 【数5】
  6. 【請求項6】 鉄および鉄に可溶性の元素の合計を100
    質量%として、Cu、Cuと親和力のあるIIIa族、VIII族、
    Ib族、IIb 族、IIIb族、IVb 族、Vb族の元素、および、
    不可避元素を含む鉄スクラップを酸素を含む雰囲気中で
    溶解した後、この溶融鉄に、次式で示す範囲でC 、及
    び、Cr、Moの1種または2種を添加し、次いで、溶融状
    態でFe富化層とCu富化層に分離し、両層の比重差を利用
    して、該鉄スクラップに含まれるCu及びCuと親和力のあ
    るIIIa族、VIII族、Ib族、IIb 族、IIIb族、IVb 族、Vb
    族の元素を、Cu富化層に沈殿分離させることによりFe富
    化層から除去することを特徴とする鉄中不純物元素の溶
    融除去方法。 【数6】
  7. 【請求項7】 鉄および鉄に可溶性の元素の合計を100
    質量%として、Cu、Cuと親和力のあるIIIa族、VIII族、
    Ib族、IIb 族、IIIb族、IVb 族、Vb族の元素、および、
    不可避元素を含む鉄スクラップを酸素を含む雰囲気中で
    溶解した後、この溶融鉄に、次式で示す範囲でC 、及
    び、Mn、V 、Tiの1種または2種以上を添加し、次い
    で、溶融状態でFe富化層とCu富化層に分離し、両層の比
    重差を利用して、該鉄スクラップに含まれるCu及びCuと
    親和力のあるIIIa族、VIII族、Ib族、IIb 族、IIIb族、
    IVb 族、Vb族の元素を、Cu富化層に沈殿分離させること
    によりFe富化層から除去することを特徴とする鉄中不純
    物元素の溶融除去方法。 【数7】
  8. 【請求項8】 鉄および鉄に可溶性の元素の合計を100
    質量%として、Cu、Cuと親和力のあるIIIa族、VIII族、
    Ib族、IIb 族、IIIb族、IVb 族、Vb族の元素、および不
    可避元素を含む鉄スクラップを酸素を含む雰囲気中で溶
    解した後、この溶融鉄に、次式で示す範囲でC 、Cr、Mo
    の1種または2種、及び、Mn、V 、Tiの1種または2種
    以上を添加し、次いで、溶融状態でFe富化層とCu富化層
    に分離し、両層の比重差を利用して、該鉄スクラップに
    含まれるCu及びCuと親和力のあるIIIa族、VIII族、Ib
    族、IIb 族、IIIb族、IVb 族、Vb族の元素を、Cu富化層
    に沈殿分離させることによりFe富化層から除去すること
    を特徴とする鉄中不純物元素の溶融除去方法。 【数8】
  9. 【請求項9】 請求の範囲1〜8のいずれか1項に記載
    の鉄中不純物元素の溶融除去方法において、溶融鉄の総
    質量に対して、さらにAgを質量%で0.1 〜30%の範囲で
    溶融鉄に添加し、あるいは接触させることを特徴とする
    鉄中不純物元素の溶融除去方法。
  10. 【請求項10】 請求の範囲1〜8のいずれか1項に記
    載の鉄中不純物元素の溶融除去方法において、溶融状態
    でFe富化層とCu富化層に分離した後、Fe富化層のみを別
    の容器に移し替え、あるいはCu富化層を容器外に排出
    し、その後、溶融鉄の総質量に対して、さらにAgを質量
    %で0.1 〜30%の範囲で該溶融鉄に添加し、あるいは接
    触させることを特徴とする鉄中不純物元素の溶融除去方
    法。
  11. 【請求項11】 請求の範囲1〜8のいずれか1項に記
    載の鉄中不純物元素の溶融除去方法において、溶融鉄中
    に酸素を加え、Alを1質量%以下の範囲まで酸化除去す
    ることを特徴とする鉄中不純物元素の溶融除去方法。
  12. 【請求項12】 請求の範囲1〜8のいずれか1項に記
    載の鉄中不純物元素の溶融除去方法において、溶融鉄の
    総質量に対して、さらにAgを質量%で0.1 〜30%の範囲
    で溶融鉄に添加し、あるいは接触させるとともに、溶融
    鉄中に酸素を加え、Alを1質量%以下の範囲まで酸化除
    去することを特徴とする鉄中不純物元素の溶融除去方
    法。
  13. 【請求項13】 請求の範囲1〜8のいずれか1項に記
    載の鉄中不純物元素の溶融除去方法において、溶融状態
    でFe富化層とCu富化層に分離した後、Fe富化層のみを別
    の容器に移し替え、あるいはCu富化層を容器外に排出
    し、その後、溶融鉄の総質量に対して、さらにAgを質量
    %で0.1 〜30%の範囲で該溶融鉄に添加し、あるいは接
    触させるとともに、溶融鉄中に酸素を加え、Alを1質量
    %以下の範囲まで酸化除去することを特徴とする鉄中不
    純物元素の溶融除去方法。
  14. 【請求項14】 請求の範囲1〜8のいずれか1項に記
    載の鉄中不純物元素の溶融除去方法において、溶融鉄を
    攪拌することを特徴とする鉄中不純物元素の溶融除去方
    法。
  15. 【請求項15】 請求の範囲1〜8のいずれか1項に記
    載の鉄中不純物元素の溶融除去方法において、鉄スクラ
    ップを電気炉で溶解し、続いて、該炉内で、Cu及びCuと
    親和力のあるIIIa族、VIII族、Ib族、IIb 族、IIIb族、
    IVb 族、Vb族の元素を溶融除去することを特徴とする鉄
    中不純物元素の溶融除去方法。
  16. 【請求項16】 請求の範囲1〜8のいずれか1項に記
    載の鉄中不純物元素の溶融除去方法において、鉄スクラ
    ップをキューポラで溶解することを特徴とする鉄中不純
    物元素の溶融除去方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009185369A (ja) * 2008-02-08 2009-08-20 Sumitomo Metal Ind Ltd 銅鉄スクラップからの金属回収法
JP2011006749A (ja) * 2009-06-26 2011-01-13 Osaka Univ 鉄スクラップに共存する元素の分離・回収方法
WO2011090102A1 (ja) * 2010-01-21 2011-07-28 住友金属工業株式会社 銅鉄スクラップからの白金族元素の効率的回収法

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