JP2001278822A - ジオール混合物の製造方法 - Google Patents

ジオール混合物の製造方法

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JP2001278822A
JP2001278822A JP2000057712A JP2000057712A JP2001278822A JP 2001278822 A JP2001278822 A JP 2001278822A JP 2000057712 A JP2000057712 A JP 2000057712A JP 2000057712 A JP2000057712 A JP 2000057712A JP 2001278822 A JP2001278822 A JP 2001278822A
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aqueous solution
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acid mixture
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Mitsuo Konishi
満月男 小西
Eizaburo Ueno
英三郎 上野
Koushirou Yokota
耕史郎 横田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アジピン酸製造時に副生するジカルボン酸混
合物を原料として直接水素化によりジオール類を長期間
安定に高収率で製造する方法を提供する。 【解決手段】 シクロヘキサノン及び/又はシクロヘキ
サノールを硝酸酸化してアジピン酸を製造する際に副生
する、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸を含むジカル
ボン酸混合物の水溶液を、ルテニウムおよびスズを含む
触媒を用い、水素と反応させてジオール混合物を得る方
法であり、且つ上記水溶液中の硝酸含有量がジカルボン
酸の合計重量に対して3重量%以下であるジオール混合
物の製造方法、および蒸留分離により1.4−ブタンジ
オールと1.5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサン
ジオール混合物を得る方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はシクロヘキサンノン
及び/又はシクロヘキサノールを硝酸酸化してアジピン
酸を製造する際に副生する、コハク酸、グルタル酸、ア
ジピン酸を含むジカルボン酸混合物を原料としてエステ
ル化工程を経ることなく直接水素化して1,4−ブタン
ジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオールを含むジオール混合物を製造する方法、及び
そのジオール混合物を蒸留分離する方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】ジオール類はポリエステル樹脂、ウレタ
ンフォームやウレタン塗料、接着剤の原料として有用な
物質であり、コハク酸あるいはマレイン酸を水素化し、
1,4−ブタンジオールを製造する方法は数多く報告さ
れている。例えば、最も良く知られている方法として銅
系の触媒を用いる方法がある。しかしながら、この方法
では、カルボン酸を直接水素化することができず、カル
ボン酸を一旦エステルに転換した後に水素化しなければ
ならず、製造工程が長くなるという問題があった。
【0003】一方、コハク酸あるいはマレイン酸を直接
水素化して1,4−ブタンジオールを製造する方法もい
くつか提案されている。その触媒系のみを列記するとル
テニウム−鉄酸化物からなる触媒(米国特許第4,82
7,001号明細書)、ルテニウム−錫をBET表面積
2000m/g以上の多孔質炭素に担持した触媒(特
開平5−246915号公報)、ルテニウム及び錫をチ
タニア及び/又はアルミナで修飾したシリカに担持した
触媒(特開平6−116182号公報)、ルテニウム及
び錫、並びにアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金
属を担体に担持した触媒(特開平6−239778号公
報)、ルテニウム、白金及びロジウムから選ばれた少な
くとも1種と錫とを活性炭、珪藻土、シリカ、アルミ
ナ、チタニア、ジルコニア等の多孔質担体に担持した触
媒(特開平7−165644号公報)、この多孔質担体
と同様の担体にルテニウムと錫を担持してなる触媒を用
い、過剰の水素を反応系に流通させ、同伴してくる生成
物を系外に除去しながら反応を行う方法(特開平9−1
2492号公報)、ルテニウム−錫−白金を上記と同様
の多孔質担体に担持した触媒(特開平9−59190号
公報)、炭素数5以下のカルボニル化合物が共存した担
持成分を含有する溶液を活性炭、グラファイト、黒鉛等
の炭素質担体に含浸して調整したルテニウム−錫−白金
を炭素質担体に担持した触媒(特開平10−15388
号公報)、担体としてあらかじめ硝酸と接触した活性
炭、グラファイト、黒鉛等の炭素質担体を使用すること
により、金属の担持状態を規定したルテニウム−錫−白
金を炭素質担体に担持した触媒(特開平10−7133
2号公報)、また、パラジウムとレニウム化合物からな
る触媒を用い、三級アルコールを溶媒として水素化を行
う方法(特開平7−82190号公報)などが提案され
ている。
【0004】また、米国特許第5,698,749号明
細書には、パラジウム−銀−レニウムをあらかじめ硝酸
酸化処理した活性炭上に担持した触媒を用いてマレイン
酸から1,4−ブタンジオールが比較的高収率で得られ
ることが述べられている。また、アジピン酸の直接水素
化についてはあらかじめ酸処理した活性炭にルテニウム
−錫−白金を担持した触媒を用いて1,6−ヘキサンジ
オールが高収率で得られること(特開平11−6052
3号公報)などが開示されている。
【0005】上記のようにコハク酸、マレイン酸、アジ
ピン酸などの個々のジカルボン酸の直接水素化の技術は
種々開示されているが、シクロヘキサンノンおよび/又
はシクロヘキサノールを硝酸酸化してアジピン酸を製造
する際に副生する、コハク酸、グルタル酸およびアジピ
ン酸を含むジカルボン酸混合物を直接水素化して1,4
−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6
−ヘキサンジオールを含むジオール混合物を製造する方
法に関しての記載はない。本発明者らがアジピン酸製造
時に副生するジカルボン酸混合物を原料として、上記の
直接水素化法を検討したところ、反応時間と共に触媒の
活性が著しく低下し、工業的ジオール製造法とはなり得
ないことがわかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アジピン酸
製造時に副生するジカルボン酸混合物を原料として直接
水素化によりジオール類を長期間安定に高収率で製造す
る方法を提供するものである。また得られたジオール混
合物から蒸留分離によりポリウレタンの原料として好適
なジオール類を得る方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく本
発明者らが鋭意検討した結果、驚くべきことに水素化の
原料となるアジピン酸製造時に副生するジカルボン酸混
合物水溶液中の不純物の量を特定濃度以下にし、特定の
触媒を使用することにより、長期間触媒活性の低下が無
く、高収率で長期間安定にジオール混合物を得ることが
できることを見いだし、本発明を完成したものである。
【0008】すなわち、本発明は、[1] シクロヘキ
サノン及び/又はシクロヘキサノールを硝酸酸化してア
ジピン酸を製造する際に副生する、コハク酸、グルタル
酸、アジピン酸を含むジカルボン酸混合物の水溶液を、
ルテニウムおよびスズを含む触媒を用い、水素と反応さ
せて1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオールを含むジオール混合物を
得る方法であり、且つ上記ジカルボン酸混合物の水溶液
中の硝酸含有量がジカルボン酸の合計重量に対して3重
量%以下であることを特徴とするジオール混合物の製造
方法、[2] ジカルボン酸混合物の水溶液が下記
(1)、(2)及び(3)を満足するものであることを
特徴とする[1]に記載のジオール混合物の製造方法、 (1)ジカルボン酸混合物の水溶液中の硝酸の含有量が
ジカルボン酸の合計重量に対して0.2重量%以下。 (2)ジカルボン酸混合物の水溶液中の銅、バナジウム
の含有量がジカルボン酸の合計重量に対して各々10p
pm以下。 (3)ジカルボン酸混合物の水溶液中のイオウ含有量が
ジカルボン酸の合計重量に対して40ppm以下。
【0009】[3] ジカルボン酸混合物の水溶液が下
記(1)を満足するものであることを特徴とする[2]
に記載のジオール混合物の製造方法、(1)ジカルボン
酸混合物の水溶液の355nmの吸光係数が0.1以
下。[4] ジカルボン酸混合物の水溶液中の酸素−窒
素結合を持つ化合物の含有量が、硝酸として換算した場
合に2000ppm以下であることを特徴とする[2]
又は[3]に記載のジオール混合物の製造方法、[5]
ルテニウムおよびスズを含む触媒が、更に7族の金属
から選ばれる少なくとも1種を含む触媒であることを特
徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のジオール混
合物の製造方法、[6] 7族の金属から選ばれる少な
くとも1種がレニウムであることを特徴とする[5]に
記載のジオール混合物の製造方法、[7] ルテニウム
およびスズを含む触媒が、更にルテニウム以外の8族、
9族および10族の金属から選ばれる少なくとも1種を
含む触媒であることを特徴とする[1]〜[6]のいず
れかに記載のジオール混合物の製造方法、[8] ルテ
ニウム以外の8族、9族および10族の金属から選ばれ
る少なくとも1種が白金であることを特徴とする[7]
に記載のジオール混合物の製造方法、[9] ルテニウ
ムおよびスズを含む触媒が、活性炭を担体とする触媒で
あることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載
のジオール混合物の製造方法、[10] 温度100℃
〜300℃、圧力1MPa〜25MPaの条件下でジカ
ルボン酸混合物水溶液を水素と反応させることを特徴と
する[1]〜[9]のいずれかに記載のジオール混合物
の製造方法、[11] ジカルボン酸混合物の水溶液が
下記の工程を経たジカルボン酸混合物水溶液であること
を特徴とする[1]〜[10]のいずれかに記載のジオ
ール混合物の製造方法、 (1)ジカルボン酸混合物の水溶液を常圧以下の圧力で
加熱して脱水および脱硝酸した後に水を加え水溶液とす
る工程。 (2)水溶液を陽イオン交換樹脂と接触させ、銅および
バナジウムを除去する工程。 (3)水溶液を陰イオン交換樹脂と接触させる工程。
【0010】[12] ジカルボン酸混合物の水溶液
が、(1)と(2)の工程間に、又は(2)と(3)の
工程間に活性炭と接触させる工程を行ったジカルボン酸
混合物の水溶液であることを特徴とする[11]に記載
のジオール混合物の製造方法、[13] ジカルボン酸
混合物の水溶液が、下記の工程を経たジカルボン酸混合
物の水溶液であることを特徴とする[1]〜[10]の
いずれかに記載のジオール混合物の製造方法、 (1)ジカルボン酸混合物の水溶液を常圧以下の圧力で
加熱し、水および硝酸を留去した後に130℃〜180
℃の温度に加熱して脱水および脱硝酸する工程。 (2)水を加え水溶液とし、陽イオン交換樹脂と接触さ
せ、銅およびバナジウムを除去する工程。 (3)水溶液を常圧以下の圧力で加熱して水を留去する
工程。 (4)常圧での沸点が200℃以下の芳香族化合物を加
え、芳香族化合物の沸点以下の温度に加熱し、再度冷却
した後に濾別してジカルボン酸混合物を回収した後、水
を加え水溶液とする工程。
【0011】[14] ジカルボン酸混合物の水溶液
が、[13]記載の(4)の工程後に、又は(2)と
(3)の工程の間に、水溶液を陰イオン吸着性物質と接
触させる工程を行ったジカルボン酸混合物の水溶液であ
ることを特徴とする[13]に記載のジオール混合物の
製造方法、[15] [1]〜[14]のいずれかに記
載のジオール混合物の製造方法において水素と反応させ
てジオール混合物を得た後に、下記の(1)から(5)
の工程を行うジオール類の製造方法、 (1)ジオール混合物を含有する反応液を冷却後、常圧
以下の条件下に該反応液から水素を分離する気液分離工
程。
【0012】(2)水素を分離した反応液を常圧下、加
熱し、水素化反応で副生した環状エーテル類、モノアル
コール類および水を留去する工程。 (3)塔底の液を蒸留して水及び水素化反応で副生した
γ−ブチロラクトンを留去する工程。 (4)塔底の液を蒸留して1,4−ブタンジオールを得
る工程。 (5)塔底の液を蒸留して1,5−ペンタンジオール及
び1,6−ヘキサンジオール混合物を得る工程。であ
る。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。シクロヘ
キサノン、シクロヘキサノールを硝酸酸化してアジピン
酸を製造する際には、主反応生成物のアジピン酸に加え
て、副生物としてグルタル酸、コハク酸、マロン酸、蓚
酸が生成する。これらの副生物はアジピン酸よりも溶解
度が高く、アジピン酸を晶析分離する際には母液側に移
る。母液は一般に濃縮され、新たに硝酸を適量添加して
再使用されるが、この操作を繰り返すうちに反応生成物
中の副生物濃度が増加して、製品であるアジピン酸の純
度を下げる結果になる。
【0014】これを防ぐために通常は母液の一部を系外
に取り出し、触媒、硝酸等の有効成分の大部分を回収
し、他の副生物はジカルボン酸混合物として回収され、
エステル化して溶剤として利用されるなどしている。こ
のジカルボン酸混合物の主成分は、グルタル酸、コハク
酸および回収できなかったアジピン酸である。本発明で
は、このアジピン酸製造時に副生するジカルボン酸混合
物の水溶液を使用する。水分及び硝酸をを除いたコハク
酸、グルタル酸、アジピン酸の濃度は、通常各々、約1
5〜約35重量%、約45〜約75重量%、約3〜約4
0重量%である。その他に硝酸、硝酸酸化の際に使用さ
れる触媒に由来するCu、Vおよびその他の微量不純物
を含有する。含有する硝酸の量は、硝酸回収工程の条件
によるが、ジカルボン酸混合物の重量に対して通常約6
重量%以上である。またジカルボン酸混合物は、含有す
る不純物によると考えられる黄色の着色が見られる。ア
ジピン酸製造時の副生物として得られるジカルボン酸混
合物の水溶液の濃度は、5重量%から40重量%であ
る。
【0015】本発明では、水素化反応の原料として用い
るアジピン酸製造時に副生するジカルボン酸混合物の水
溶液中に含まれる硝酸の含有量をジカルボン酸の合計重
量に対して3重量%以下にすることが必要であり、好ま
しくは下記(1)、(2)、(3)を満足することであ
る。 (1)ジカルボン酸混合物の水溶液中の硝酸の含有量が
ジカルボン酸の合計重量に対して0.2重量%以下であ
る。 (2)ジカルボン酸混合物の水溶液中の銅、バナジウム
の含有量がジカルボン酸の合計重量に対して各々10p
pm以下である。 (3)ジカルボン酸混合物の水溶液中のイオウ含有量が
ジカルボン酸の合計重量に対して40ppm以下であ
る。
【0016】本発明においては、上記したようにアジピ
ン酸製造時に副生するジカルボン酸混合物の水溶液中に
含まれる硝酸の含有量をジカルボン酸の合計重量に対し
て3重量%以下にすることが必要であり、好ましくは
0.2重量%以下である。さらに好ましくは0.05重
量%以下である。さらには硝酸を完全に除去することが
最も好ましいが、加熱処理やイオン交換樹脂処理を繰り
返すことが必要となり操作が煩雑となり現実的ではな
い。通常用いられる処理では0.01ppm程度が限界
である。3重量%よりも硝酸含有量が多いと触媒の活性
が経時的に低下し、長期間、安定してジオール類を得る
ことが出来ない。硝酸が水素化反応にどのような影響を
与えているかは必ずしも明確ではないが、触媒金属が一
部溶出するためと考えられる。金属材料、例えばステン
レス綱は硝酸により金属表面上に酸化被膜が形成され不
動態化し金属の溶出が進行しないことが一般的に知られ
ているが、本発明の水素化反応の場合、還元性雰囲気の
ため硝酸のそのような効果がないものと考えられる。
【0017】アジピン酸製造時に副生するジカルボン酸
混合物の水溶液から硝酸を除去する方法としては公知の
方法を用いることができる。例えば常圧から80kPa
程度の減圧下での水を伴う共沸蒸留よって除去する方
法、100℃〜200℃、好ましくは130℃〜180
℃の温度に加熱して硝酸を除去する方法、陰イオン交換
樹脂により除去する方法などを用いることができる。ま
たこれらの方法を併用してもよい。この中でも常圧下、
100℃〜130℃に10分〜3時間程度加熱して水と
大部分の硝酸を除去した後に、さらに120℃〜200
℃、好ましくは160℃〜180℃の温度で1分〜1時
間程度加熱する方法が簡便であり、好ましい。また、常
圧から80kPa程度の減圧下での共沸蒸留によって大
部分の硝酸を除去した後に、130℃〜180℃の温度
に加熱する方法も簡便であり好ましい。陰イオン交換樹
脂で除去する方法も有効であるが、含有する硝酸量が多
い場合には必要となるイオン交換樹脂の量が多くなり、
再生処理に多大の労力が必要となる。しかし、極微量の
硝酸を除くには有効な方法である。さらに硝酸含有量が
数重量%〜約10重量%の場合には苛性ソーダなどのア
ルカリ及びアルカリ土類水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩
等を用いて硝酸を中和して除去する方法も好ましく用い
られる。
【0018】次に銅及びバナジウムについて説明する。
本発明では、水素化反応の原料として使用するアジピン
酸製造時に副生するジカルボン酸混合物の水溶液中に含
有する銅及びバナジウムの濃度を、各々、ジカルボン酸
の合計重量に対して10ppm以下にすることが好まし
い。さらには5ppm以下にすることが好ましい。銅及
びバナジウムは、完全に除去することが最も好ましい
が、陽イオン交換樹脂による処理などを繰り返すことが
必要となり操作が煩雑となり現実的ではない。通常用い
られる処理では、銅及びバナジウム、各々0.05pp
m程度が限界である。ジカルボン酸混合物の水溶液中に
含有される銅及びバナジウムの化合物の形態は必ずしも
明確ではないが、本発明で言う銅及びバナジウムの含有
量とは、銅及びバナジウムの各々の元素としての含有量
である。
【0019】アジピン酸製造時の硝酸酸化の触媒に由来
する銅及びバナジウムを、ジカルボン酸混合物水溶液か
ら除去する方法としては公知の方法を用いることができ
るが、上記した陽イオン交換樹脂による方法が、簡便で
あり、且つ同時に副生する廃棄物の量が少なく好まし
い。すなわちジカルボン酸混合物の水溶液を、常温から
100℃以下の温度で陽イオン交換樹脂と接触させるこ
とにより本発明の目的を達することができる。なお、硝
酸除去工程等でジカルボン酸混合物が固体状態で得られ
た場合は、該ジカルボン酸混合物にイオン交換水を加え
て5〜50重量%のジカルボン酸混合物の水溶液とし
て、陽イオン交換樹脂と接触させる。陽イオン交換樹脂
としては、官能基がスルホン酸基またはカルボキシル基
であり、母体構造がスチレン系またはメタクリル系を用
いることができる。ジカルボン酸混合物100部に対し
て1部から100部の陽イオン交換樹脂を攪拌混合ある
いは充填塔方式により接触する方法を用いることができ
る。
【0020】次にイオウについて説明する。本発明では
水素化反応の原料として使用するアジピン酸製造時に副
生するジカルボン酸混合物の水溶液中に含有するイオウ
の含有濃度をジカルボン酸混合物重量に対して40pp
m以下にすることが好ましい。さらに好ましくは20p
pm以下である。イオウは、完全に除去することが最も
好ましいが、陰イオン交換樹脂による処理などを繰り返
すことが必要となり操作が煩雑となり現実的でない。通
常用いられる処理では0.2ppm程度が限界である。
【0021】イオウは硫酸根などを有する化合物として
存在するものと考えられるが、必ずしも明確ではない。
このようなイオウ化合物の除去方法としては、ジカルボ
ン酸混合物水溶液を陰イオン交換樹脂と接触させる方法
が有効である。上記のように、硝酸除去工程等でジカル
ボン酸混合物が固体状態で得られた場合は、該ジカルボ
ン酸混合物にイオン交換水を加えて5〜50重量%のジ
カルボン酸混合物の水溶液として、陰イオン交換樹脂と
接触させる。陰イオン交換樹脂としては、4級アンモニ
ウム塩を官能基に持つスチレン系またはアクリル系の樹
脂が好ましい。また3級アミンを官能基に持つスチレン
系またはアクリル系の弱塩基性イオン交換樹脂も所望に
より用いることができる。陰イオン交換樹脂の使用方法
は、ジカルボン酸混合物100部に対して陰イオン交換
樹脂1〜100部を攪拌混合あるいは充填塔方式により
接触する方法を用いることができる。
【0022】イオウの由来については必ずしも明確では
ないが、銅およびバナジウムを除去するために、スルホ
ン酸系陽イオン交換樹脂を用いた場合、スルホン酸基の
脱離、あるいはイオン交換樹脂のポリマー鎖の分解など
によりジカルボン酸混合物水溶液中にイオウを含む不純
物が溶出するものと考えられ、陰イオン交換樹脂により
イオウが除去できることからもこの推定が支持される。
上記のように、アジピン酸製造時に副生するジカルボン
酸混合物水溶液を用いてジカルボン酸混合物の水素化反
応を行う際に、経時的な触媒の活性低下をきたすことな
く、長期間、安定してジオール類を得るには、該水溶液
中の硝酸濃度がジカルボン酸の合計重量に対して3重量
%以下であることが必要であり、好ましくは硝酸濃度が
0.2重量%以下、銅、バナジウム含有量が各々10p
pm以下、およびイオウ含有量が40ppm以下とする
ことである。また、これらの不純物が多いと初期の触媒
活性も低くなる傾向があり好ましくない。
【0023】また、本発明では、ジカルボン酸混合物の
水溶液の355nmの吸光係数が0.1以下であること
がより好ましい。特に好ましくは0.03以下である。
本発明で言う吸光係数とは次式(1)で表される値であ
る。 E=A/(c×b) (1) 但し、Eは、本発明で言う355nmでの吸光係数であ
り、Aは常温で実測された355nmでのジカルボン酸
混合物の水溶液の吸光度であり、cは、測定に用いたジ
カルボン酸混合物の水溶液のジカルボン酸混合物の濃度
(純水100g中のジカルボン酸混合物の重量(g))
であり、bは、測定に用いたジカルボン酸混合物水溶液
の光路長(単位;cm)である。
【0024】355nmの吸収はコハク酸、グルタル
酸、アジピン酸にはない。従ってこの吸収は、ジカルボ
ン酸混合物中に含有される不純物に由来するものであ
る。本発明者らはこの不純物の分子構造を特定するに至
っていないが、文献(Zh.Prikl.Khim.4
7巻、4号、862〜865頁、1974)等から2,
5−ジニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノー
ル、2,6−ジニトロフェノールなどのジニトロフェノ
ール類、トリニトロフェノール類、1−ニトロシクロヘ
キセン、2−ニトロシクロヘキセノールのいずれか、ま
たはこれらの混合物であると考えられる。上記したよう
に純物質の吸収がないことから、吸収係数はゼロである
ことが最も好ましいが、活性炭処理や陰イオン吸着性交
換樹脂による処理を繰り返すことが必要となり操作が煩
雑となり現実的でない。通常用いられる処理では吸光係
数は0.0001程度が限界である。
【0025】355nmに吸収を持つ不純物を含むジカ
ルボン酸混合物から該不純物を除去する方法としては公
知の脱色方法を用いることができる。例えばジカルボン
酸混合物の水溶液を陰イオン吸着性物質で処理した後、
温度120〜200℃で加熱処理する方法(特公昭53
−41652号公報を参照)などを用いることができ
る。上記陰イオン吸着性物質とは、活性炭、陰イオン交
換樹脂および液状陰イオン交換体であり、さらに液状陰
イオン交換体とは、分子量200〜500の水難溶性一
級、二級および三級アミンの中から選ばれる1以上のア
ミンである。
【0026】活性炭を用いる場合の処理条件としては、
例えばジカルボン酸混合物100部に対して1部から2
0部の粉末状活性炭または粒状活性炭をジカルボン酸混
合物の水溶液に混合し、5分〜2時間攪拌後活性炭を濾
別する方法を用いることができる。陰イオン交換樹脂を
用いる条件はイオウの場合と同じ条件で行うことができ
る。さらに液状陰イオン交換体を用いる場合には、トリ
−n−オクチルアミンに代表される液状陰イオン交換体
を水難溶性の有機溶媒に0.1重量%〜10重量%程度
の濃度で混合して吸着液を調合し、この吸着液をジカル
ボン酸混合物の重量に対して液状陰イオン交換体が1重
量%〜30重量%になる量を用いてジカルボン酸混合物
の水溶液と接触させる。水難溶性の有機溶媒とは、具体
的には四塩化炭素、パークレン、トリクレンおよび流動
パラフィン等が適当である。接触処理する場合の装置と
しては、通常の液−液接触装置である抽出塔またはミキ
サーセトラータイプを用いることができる。
【0027】さらに本発明者らが検討した結果、脱水し
たジカルボン酸混合物に常圧での沸点が200℃以下の
芳香族化合物を加え、芳香族化合物の沸点以下の温度に
加熱後、再度室温以下に冷却した後に濾別してジカルボ
ン酸混合物を回収することによっても吸光係数を本発明
目的の範囲にすることができる。また本処理法は、イオ
ウの除去にも効果があり、上記した陰イオン交換樹脂に
よる処理にかえて用いることができる。ここで沸点が2
00℃以下の芳香族化合物の例としては、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベン
ゼン、プロピルベンゼン、トリメチルベンゼン、ブチル
ベンゼンなどである。この中でもベンゼン、トルエン、
キシレンが沸点が低く、濾別して回収したジカルボン酸
に残留しても、減圧加熱等の方法により除去が容易であ
り好ましい。使用する芳香族化合物の重量は、ジカルボ
ン酸混合物の重量に対して0.5倍から20倍が好まし
い。0.5倍未満であると脱色の効果が著しく低下す
る。使用量を増やすと脱色の効果が高くなる傾向が見ら
れるが20倍を越えるとその効果はほとんど頭打ちとな
り、回収再使用のために処理しなければならない芳香族
化合物の量が増えるだけであり好ましくない。
【0028】さらに本発明では、水素化反応の原料とし
て使用するアジピン酸製造時に副生するジカルボン酸混
合物の水溶液中の酸素−窒素結合を持つ化合物の含有量
は、硝酸として換算した場合に2000ppm以下であ
ることがより好ましい。特に好ましくは1200ppm
以下である。ここで酸素−窒素結合を持つ化合物とは、
−NO、−NH−NO、=N−OH等の官能基を持
つ有機化合物および硝酸、亜硝酸等の酸化窒素系無機化
合物を指す。具体的にはジカルボン酸の水溶液にNaO
Hを入れて加熱し、アンモニア等揮発成分を除去した後
にデバルタ合金を加えて還元処理を行い、生成するアン
モニアを定量してこれを硝酸量として計算するものであ
る。従って、ここで言う酸素−窒素結合を持つ化合物の
含有量には上記の硝酸も含まれるものである。硝酸を除
去する方法については、先に述べたが、硝酸以外の特に
酸素−窒素結合のある官能基を持つ有機化合物を除去す
る方法としては活性炭とジカルボン酸混合物水溶液を接
触させることが有効であることが本発明者らの検討によ
り明らかとなった。これらの化合物は完全に除去するこ
とが最も好ましいが、活性炭による処理を繰り返すこと
などが必要となり操作が煩雑となり現実的でない。通常
用いられる処理では50ppm程度が限界である。活性
炭を用いる方法としては、上記355nmに吸収を持つ
不純物の除去方法で述べた方法を用いることができる。
【0029】以上述べてきた水素化反応に障害となる成
分の除去方法を実施する順番は、まず硝酸を除去するこ
とが好ましい。その方法としては、常圧以下の圧力で加
熱して水及び硝酸を除去する方法を用いることができ
る。さらに詳しくは上述したように常圧下、100℃〜
130℃に10分〜3時間程度加熱して水と大部分の硝
酸を除去した後に、さらに120℃〜200℃の温度で
1分〜1時間程度加熱する方法が好ましく用いられる。
陽イオン交換樹脂による銅およびバナジウムの除去の際
に硝酸が存在すると除去効率が低下するため硝酸の除去
工程を初めに行うことが好ましい。
【0030】硝酸除去工程の次に固体状態で得られたジ
カルボン酸混合物にイオン交換水を加えて5〜50重量
%の水溶液とし陽イオン交換樹脂と接触させ、銅及びバ
ナジウムを除去することが好ましい。陽イオン交換樹脂
による処理の後に必要に応じて再度、脱水・脱硝酸処理
を行っても良い。次に陰イオン交換樹脂と接触させるこ
とによりイオウ化合物及び脱色を行うことができる。原
因は明確では無いが先に陽イオン交換樹脂で処理した方
が陰イオン吸着性物質での処理における脱色の効果が高
く好ましい。また、スルホン酸系陽イオン交換樹脂を用
いた場合は、該スルホン酸系陽イオン交換樹脂に由来す
るイオウ化合物を除去することも可能となる。さらに活
性炭でジカルボン酸混合物の水溶液を処理することによ
り脱色及び酸素−窒素結合を持つ化合物を除去すること
ができる。この活性炭処理は、硝酸除去工程の後に所望
の順番で行うことができる。
【0031】また、ジカルボン酸混合物に芳香族化合物
を加えて加熱後、冷却、ろ別回収する操作もイオウ化合
物の除去及び脱色に効果があり、硝酸除去処理と陽イオ
ン交換樹脂処理の後にこの操作を行うことにより、水素
化反応に障害となる成分の少ない本発明のジカルボン酸
混合物を得ることができる。この芳香族化合物の処理に
上記活性炭処理をあわせて行うとさらに障害成分の少な
いジカルボン酸混合物水溶液が得られ好ましい。
【0032】以上、述べてきた不純物の除去方法として
これまでに述べた方法の他にも減圧加熱下に蒸留する方
法や減圧下での水蒸気蒸留も効果があり、既に述べた方
法と併用して用いてもよい。以上、述べてきた個々の不
純物の除去方法の好ましい順番としては、アジピン酸製
造時に副生したジカルボン酸混合物の水溶液を常圧下、
100℃〜130℃に10分〜3時間程度加熱して水と
大部分の硝酸を除去した後に、さらに120℃〜200
℃の温度で1分〜1時間程度加熱するした後に、再び水
溶液とし陽イオン交換樹脂と接触させ、その後、得られ
たジカルボン酸の水溶液を液状陰イオン交換体による処
理を行う。次に得られたジカルボン酸の水溶液を活性炭
と接触させる処理を行い、最後に陰イオン交換樹脂によ
る処理を行うことが好ましい。なお、所望に応じて液状
陰イオン交換体による処理を行わなくともジカルボン酸
混合物に対する使用する活性炭の量を増やす等の方法に
より本発明の不純物の少ないジカルボン酸混合物の水溶
液を得ることができる。
【0033】本発明で用いる水素化触媒は、ルテニウム
及びスズを含むものである。ルテニウム及びスズに加え
て、さらに7族から選ばれる1種または2種以上の金属
および/またはルテニウム以外の8族、9族、10族か
ら選ばれる1種または2種以上の金属を含有させると活
性が向上するので好ましい。7族の金属としてはレニウ
ムが活性が高く特に好ましい。またルテニウム以外の8
族、9族、10族の金属としては白金が特に活性が高く
好ましい。
【0034】担体としては活性炭、アルミナ、シリカな
どの常用の多孔質担体を用いることができるが、特に活
性炭が好ましい。活性炭は水蒸気賦活炭、薬品賦活炭の
いずれも用いることができる。また反応形式にもよるが
粒状活性炭や粉末状活性炭を用いることができる。担体
に金属を担持させる方法には特に制限はなく、浸せき
法、イオン交換法などの担持型触媒の調製法として通常
用いられている方法を適用することができる。浸せき法
によるときは担持する金属成分の原料化合物を溶媒、例
えば水に溶解して金属化合物の水溶液とし、この溶液に
別途調製した多孔質担体を浸せきして担体に金属成分を
担持させる。担体に各金属を担持させる順序については
特に制限はなく、全ての金属を同時に担持させても、各
成分を個別に担持させてもよい。また所望に応じて各成
分を複数回に分けて担持させても良い。
【0035】触媒調製に用いる金属成分の原料として
は、触媒の調製法にもよるが通常は硝酸塩、硫酸塩、塩
酸塩などの鉱酸塩、酢酸塩などの有機酸塩、水酸化物、
酸化物、さらにアミン錯体、カルボニル錯体などの有機
金属化合物などを用いることができる。具体的にはルテ
ニウムの原料としては、好ましくは塩化ルテニウム、臭
化ルテニウム、硝酸ルテニウム、ルテニウムアセチルア
セトナート、ルテニウムカルボニル、ルテニウムブラッ
ク、ルテニウムパウダー、酸化ルテニウム、硝酸ニトロ
シルルテニウム、オキシデカクロロジルテニウム酸アン
モニウムなどであり、錫の原料としては塩化錫(I
I)、錫酸ナトリウム、酢酸錫(II)等であり、レニ
ウムの原料としては、ジレニウムデカカルボニル(レニ
ウムカルボニル)、酸化レニウム、過レニウム酸、過レ
ニウム酸アンモニウム、塩化レニウム、シクロペンタジ
エニルレニウムトリカルボニルなどであり、白金の原料
としては、塩化白金酸、硝酸白金、白金アセチルアセト
ナート、塩化白金、臭化白金、シアン化白金などが好ま
しく用いることができる。
【0036】ルテニウムと錫の担持量は担体に対してそ
れぞれの金属として0.5〜50重量%、好ましくは1
〜10重量%である。ルテニウム、錫の比率は金属とし
て元素比でルテニウム:錫比が1:0.1〜1:2の範
囲が好ましく、さらに好ましくは1:0.2〜1:1.
3である。7族金属および/またはルテニウム以外の8
族、9族、10族金属の担持量は、これら金属の合計と
して元素比でルテニウムに対して0.01〜5の範囲が
好ましく、さらに好ましくは0.1〜2の範囲である。
【0037】金属成分を担持した担体は乾燥し、次いで
所望により焼成、還元して触媒とする。乾燥は、通常室
温から200℃未満の温度で減圧下に保持するか、又は
窒素、空気などの乾燥気体を流通させて行う。また焼成
は通常200〜600℃の温度で1時間から24時間窒
素、空気などを流通させながら行う。還元は液相還元又
は気相還元のいずれで行ってもよい。通常は水素を還元
ガスとして、200〜500℃の温度で30分から24
時間で気相還元する。
【0038】なお、担体を用いない非担持型の触媒も金
属化合物の水溶液を還元剤で還元する方法や共沈法で得
た触媒金属を含む固体を液相または気相で還元すること
により調製することができる。非担持型触媒の場合も先
に列記した金属原料を用いることができる。ルテニウ
ム、錫の比率は金属として元素比でルテニウム:錫比が
1:0.1〜1:2の範囲が好ましく、さらに好ましく
は1:0.2〜1:1.3である。7族金属および/ま
たはルテニウム以外の8族、9族、10族金属とルテニ
ウムの比率は、金属合計として元素比でルテニウムに対
して0.01〜5の範囲が好ましく、さらに好ましくは
0.1〜2の範囲である。
【0039】本発明では上記のルテニウムと錫、並びに
レニウムに代表される7族金属および/またはルテニウ
ム以外の8族、9族、10族金属を含む触媒を用い、ア
ジピン酸を製造する際に副生する、コハク酸、グルタル
酸、アジピン酸を含むジカルボン酸混合物の水溶液を用
い、液相中で水素化還元する。ジカルボン酸混合物の水
溶液に、さらにアルコール類、エーテル類などの溶媒を
所望に応じて加えても良い。水素化還元反応におけるジ
カルボン酸混合物の水溶液の水の量はジカルボン酸混合
物に対して0.3〜100重量倍である。好ましくは1
〜20重量倍である。さらに好ましくは、2〜10重量
倍である。水素化還元温度においてジカルボン酸の全量
が溶解する水量が好ましい。
【0040】水素化還元の温度は、50〜400℃が好
ましく、さらに好ましくは100〜300℃である。水
素圧力は0.5〜40MPa、さらに好ましくは1MP
a〜25MPaである。用いる触媒量は、ジカルボン酸
混合物に対して1/1000重量倍〜10重量倍が好ま
しい。さらに好ましくは1/100重量倍〜1重量倍で
ある。水素還元反応は連続、回分のいずれで行ってもよ
い、また反応形式としては液相懸濁反応、固定床流通反
応のいずれも用いることができる。
【0041】上記ジカルボン酸混合物の水溶液を原料と
し、上記触媒を用いて、水素還元して得たジオール混合
物含有反応液から下記の精製工程を経ることによってポ
リウレタンの原料として好適な1,4−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ールを得ることができる。 (1)ジオール混合物含有反応液を冷却後、常圧以下の
条件下に該ジオール混合物含有反応液と水素を分離する
気液分離工程。 (2)水素を分離した反応液を常圧下、加熱し、水素化
反応で副生した環状エーテル類、モノアルコール類およ
び水の大部分を留去する工程。
【0042】(3)塔底の液を蒸留し、水及び水素化反
応で副生したγ−ブチロラクトンを留去する工程。 (4)塔底の液を蒸留し、1,4−ブタンジオールを得
る工程。 (5)塔底の液を蒸留し、1,5−ペンタンジオール及
び1,6−ヘキサンジオールを蒸留する工程。 このようにして得られたジオール類は、ポリエステル樹
脂、ウレタンフォームやウレタン塗料、接着剤の原料と
して有用な物質である。例えばポリウレタンの原料とし
ては、鎖延長剤としてそのまま用いることができ、また
ポリカーボネートジオールやポリエステルポリオールに
してソフトセグメントとして用いることも出来る。特に
1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオール
から得られる共重合ポリカーボネートジオール(特公平
5−029648号公報)は、それを原料とする熱可塑
性ポリウレタン(特公平7−684号公報)が、1,6
−ヘキサンジオールのみから得られるポリカーボネート
ジオールから作った熱可塑性ポリウレタンよりも耐加水
分解性、耐熱性に優れるという特性に加えて、その欠点
である低温柔軟性をも併せ持つという点で近年注目され
ている。本発明方法のジオール類の蒸留分離方法によれ
ば、この共重合ポリカーボネートジオールの原料として
好適な1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジ
オールの混合物が得られる。
【0043】以下に、より詳細に蒸留分離方法を述べ
る。水素化反応工程の次に、気液分離工程(1)によ
り、ジオール混合物含有反応液と過剰の水素が分離され
る。気液分離工程の条件としては、ジオール混合物含有
反応液を水素化反応温度から室温〜100℃未満の温度
に冷却した後に、常圧〜冷却温度が水の沸点とならない
減圧下にし、水素化反応に用いた過剰の水素とジオール
混合物含有反応液とを分離する。
【0044】気液分離したジオール混合物含有反応液
は、常圧下、100℃〜120℃に加熱して、水素化反
応で副生した環状エーテル類、具体的にはテトラヒドロ
フラン、テトラヒドロピラン、ヘキサメチレンオキシド
と、モノアルコール類、具体的にはプロパノール、ブタ
ノール、ペンタノール、ヘキサノール等と水の大部分を
留去する。なお、気液分離した水素は、微量含まれる一
酸化炭素及び二酸化炭素を除外設備で取り除いた後に再
度、水素化反応に用いることができる。
【0045】低沸点の有機化合物及び水の大部分を留去
した残液は、塔底の温度が130℃〜190℃、圧力
5.5kPa〜7.0kPa、塔頂の温度が10℃〜6
0℃、圧力3.5kPa〜5.5kPaの条件にした段
数が5〜15段の蒸留塔を用いて、残った水及び水素化
反応時副生したγ−ブチロラクトンを留去することがで
きる。次にγ−ブチロラクトンを留去した塔底の液は、
1,4−ブタンジオール蒸留塔で1,4−ブタンジオー
ルとそれ以外に分離される。1,4−ブタンジオール蒸
留の例としては、段数20〜40段の蒸留塔を用い、塔
底の温度が140℃〜180℃、圧力4.0kPa〜7
kPa、塔頂の温度が30℃〜60℃、圧力0.3kP
a〜1.0kPaの蒸留条件を用い、γ−ブチロラクト
ンを留去した液を塔底から約15段前後の中間段に供給
することにより蒸留することができる。
【0046】この蒸留により得られる1,4−ブタンジ
オールは、純度98.5%以上であり、好ましくはラク
トン類、ヒドロキシカルボン酸類、モノアルコール類及
び2級OH基と1級OH基を持つジオール化合物の合わ
せた含量が0.5重量%未満である。ここでラクトン類
とは、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−
カプロラクトンであり、ヒドロキシカルボン酸類とは、
ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロ
ン酸であり、モノアルコール類は前記したようにプロパ
ノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等で
あり、2級OH基と1級OH基を持つジオール化合物と
は、例えば1,3−ブタンジオール、1,4−ペンタン
ジオール、1,5−ヘキサンジオール等である。
【0047】1,4ブタンジオールをポリウレタンの原
料として使用する場合には、該ジオール中に、ラクトン
類、ヒドロキシカルボン酸類、モノアルコール類及び2
級OH基と1級OH基を持つジオール化合物を合わせて
0.5重量%以上混入すると、重合反応性が悪くなり、
高分子量のポリウレタンを得にくくなる。またラクトン
類やヒドロキシカルボン酸類の場合、ポリウレタンの耐
加水分解性等の物性に悪影響を与える。
【0048】δ−バレロラクトンとε−カプロラクトン
の沸点は1,4−ブタンジオールに近いことから、これ
らを1,4−ブタンジオールと蒸留分離することは蒸留
塔の段数が大きくなるなど設備が大きくなり好ましくな
い。一方、これらのラクトン類は水素化反応におけるジ
カルボン酸の水添中間体であることから、δ−バレロラ
クトン、ε−カプロラクトンの合わせた重量が1,4−
ブタンジオールの生成重量に対して0.5重量%未満に
なるような水素化条件、具体的には温度、水素化圧力、
水素化時間を用いることが望ましい。設備上の制約から
水素化反応において、止むをえずδ−バレロラクトンと
ε−カプロラクトンの合わせた重量が1,4−ブタンジ
オールの重量に対して0.5重量%を越える時は、水素
化工程の後の気液分離工程(1)または脱水工程(2)
の後に、ジオールを含む液に液重量の0.01重量%〜
10重量%のアルカリ金属および/又はアルカリ土類金
属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩から選ばれる少なく
とも一種の化合物を加え、含有するラクトン類およびヒ
ドロキシカルボン酸類をアルカリ金属および/又はアル
カリ土類金属の塩とし、ジオール類よりも高沸点の化合
物とすることが好ましい。この方法によりδ−バレロラ
クトン及びε−カプロラクトンの1,4−ブタンジオー
ルに対する生成比率が0.5重量%よりも多い場合で
も、得られた1,4−ブタンジオール中のδ−バレロラ
クトン及びε−カプロラクトンの含有量を0.5重量%
未満とすることができる。ジオールの収率を高める為に
は、水素化反応における水素化中間体であるラクトン類
の量は極力低く抑えることが望ましいのは言うまでもな
い。
【0049】次に1,4−ブタンジオールを蒸留分離し
た塔底の液から蒸留により、1,5−ペンタンジオール
と1,6−ヘキサンジオールの混合物を得ることができ
る。さらに詳しくは、例えば段数が3〜15段の蒸留塔
を用い、塔底の温度180℃〜220℃、圧力5.5k
Pa〜9.0kPa、塔頂の温度140℃〜180℃、
圧力4.0kPa〜7.0kPaの条件で、1,4−ブ
タンジオールを分離した液を中間段に供給することによ
り蒸留することができる。以上述べてきた蒸留分離方法
は、連続的に行っても良いし、バッチで行っても良い。
【0050】本発明により得られた1,5−ペンタンジ
オールと1,6−ヘキサンジオールの混合物は、1,5
−ペンタンジオールを主成分とするものであるが、本発
明者らがその不純物について検討した結果、従来の1,
5−ペンタンジオールに含有されていた1,5−ヘキサ
ンジオール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサンを実
質的に含有しないことが明らかとなった。さらに具体的
にはこれらの不純物の含有量は、従来の1,5−ペンタ
ンジオールでは各々0.2重量%以上であったものが本
発明の1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジ
オールの混合物中には各々0.1重量%以下であること
を見出した。
【0051】従来、1,5−ペンタンジオールは、シク
ロヘキサンを空気酸化してシクロヘキサノン及び/又は
シクロヘキサノールを製造する際に副生するグルタル
酸、アジピン酸、6−ヒドロキシカプロン酸を含むカル
ボン酸混合物を原料としてエステル化した後に銅系の触
媒を用いて水素化し、1,5−ペンタンジオール、1,
6−ヘキサンジオールとし、これを蒸留分離して製造さ
れている(米国第3268588号明細書)。しかしな
がらこの従来法で得られた1,5−ペンタンジオール中
には1,5−ヘキサンジオール及び1,4−ジヒドロキ
シシクロヘキサンが各々0.2〜1重量%含まれてい
る。1,5−ヘキサンジオールは2級OH基と1級OH
基を持つジオールであり、これを含む1,5−ペンタン
ジオールを原料としてポリカーボネートジオールやポリ
エステルポリオールを製造すると、1,5−ヘキサンジ
オールの2級OH基は、反応性が低いために、これらポ
リオールの末端基となる。このようなポリオールを用い
てウレタン化反応を行うと、重合速度が遅く十分な分子
量が得られない等の問題があった。また鎖延長剤として
直接ポリウレタン製造に用いた場合にも同様な問題があ
った。また1,4−ジヒドロキシシクロヘキサンは、2
個のOH基がいずれも2級OH基であり、反応性が低
く、未反応のままポリカーボネートジオール中に残留す
る事となり好ましくない。
【0052】これに対して本発明のアジピン酸製造時に
副生するコハク酸、グルタル酸、アジピン酸を原料とす
るジオールには1,5−ヘキサンジオール、1,4−ジ
ヒドロキシシクロヘキサンは実質的に含まれておらず、
ポリウレタンの鎖延長剤やソフトセグメントとなるポリ
カーボネートジオール、ポリエステルポリオールの原料
として好適である。
【0053】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例を用いて更
に詳細に説明する。なお、ジカルボン酸の組成は液体ク
ロマトグラフィーの分析値から算出し、ジオール類の収
率はガスクロマトグラフィーの分析値から算出した。
銅、バナジウム、イオウの含有量は、脱硝酸工程後のジ
カルボン酸混合物をイオン交換水に溶解し、10重量%
水溶液として誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP)
により分析した。
【0054】硝酸含有量は、液体クロマトグラフィーに
よって分析した。分析方法を詳細に述べる。液体クロマ
トグラフィーの条件:カラム;島津製作所製SCR−1
01H、展開液;過塩素酸でpH2.3に調整した蒸留
水、液流量;0.8ml/分、カラム温度;40℃、打
ち込み量;50マイクロリットル、検出器;RI検出器
あるいはUV検出器。これにジカルボン酸濃度が2〜3
重量%に調整した水溶液を打ち込み分析した。
【0055】355nmの吸光係数は、ジカルボン酸混
合物0.1gをイオン交換水10gに溶解し、光路長1
cmのセルを用いて室温で分光光度計を用いて測定し
た。この試料で吸光度が0.001以下の時はジカルボ
ン酸混合物の濃度を10倍にした試料を作成して測定し
直した。吸光度から吸光係数の計算は式1によった。酸
素−窒素結合を持つ化合物の分析は、ジカルボン酸混合
物の水溶液に固体NaOHを加え、溶解した後に加熱し
水と共に塩基性物質を留去し、次に残ったジカルボン酸
混合物に水を加えた後にデバルタ合金を加えて約70℃
に加熱して発生するアンモニアを定量した。定量したア
ンモニア量から換算した硝酸量をジカルボン酸混合物中
の酸素−窒素結合を持つ化合物の硝酸換算の含有量とし
た。
【0056】
【実施例1】市販試薬のシクロヘキサノールを蒸留精製
したものを原料として試薬特級の硝酸を用いてシクロヘ
キサノールの硝酸酸化を行い、得られたアジピン酸を晶
析分離した後のろ液5000gを常圧下、約120℃に
加熱し、水と大部分の硝酸を除いた。その後水分量が6
7重量%となるように再度イオン交換水に溶解し、スチ
レンを母体構造に持つスルホン酸系陽イオン交換樹脂
(オルガノ(株)製 商品名アンバーライトIR120
B)100gを加え室温で2時間緩く攪拌後、濾過して
イオン交換樹脂を除いた。得られたジカルボン酸混合物
の水溶液は、水が67重量%であり、ジカルボン酸の組
成は液体クロマトグラフィーによる分析からコハク酸7
重量%、グルタル酸18重量%、アジピン酸5重量%で
あった。また硝酸の含有量は、液体クロマトグラフィー
の分析から3重量%、ジカルボン酸重量を基準として
9.1重量%であった。
【0057】上記のジカルボン酸混合物水溶液500g
を1リットルのフラスコに入れ、攪拌しながら約120
℃に1時間加熱して水をほとんど留去した後、さらに1
70℃に15分間攪拌保持した。冷却後、液体クロマト
グラフィーにより分析した結果、硝酸の濃度はジカルボ
ン酸に対して0.1重量%であった。ジカルボン酸の組
成を液体クロマトグラフィーにより分析した結果、コハ
ク酸23重量%、グルタル酸60重量%、アジピン酸1
7重量%であった。またICPによる分析から銅、バナ
ジウム、イオウの含有量は、ジカルボン酸混合物に対し
て各々6ppm、2ppm、5ppmであった。また分
光光度計で測定した355nmの吸光係数は、0.08
5であった。硝酸換算の酸素−窒素化合物の含有量は、
1136ppmであった。このジカルボン酸混合物を水
素還元反応の原料とした。 <Ru−Sn−Re触媒の調製>100mlのナスフラ
スコにイオン交換水7.0g、塩化ルテニウム・3水和
物1.29gを入れて溶解した。その溶液に塩化スズ
(II価)・2水和物0.57gを加え溶解した。さら
に七酸化レニウム1.30gを加え溶解した。これに粒
状活性炭(粒径10〜20メッシュ、窒素吸着−BET
表面積1100m/g)10.0gを加え、室温で1
5時間振とうした。エバポレーターを用いて水を留去し
た後、窒素ガス流通下150℃、2時間乾燥処理し、つ
いで水素雰囲気下450℃で2時間還元処理した。再び
窒素ガス雰囲気にし、室温まで冷却した後に0.1%酸
素/窒素雰囲気で2時間静置し、5.0重量%ルテニウ
ム−3.0重量%錫−5.0重量%レニウムを活性炭に
担持した触媒を調製した。
【0058】<硝酸除去処理を行ったジカルボン酸混合
物の水素還元反応>電磁誘導式の攪拌機のついたハステ
ロイ製容量100mlのオートクレーブに、水10g、
上記硝酸除去処理を行ったジカルボン酸混合物5.0g
と上記方法で調製した触媒0.3gを仕込み、室温下窒
素でオートクレーブ内の雰囲気を置換した後、水素を2
Mpa圧入し、180℃まで昇温した。180℃に達し
た時点で水素を圧入し15MPaとした。この圧力で1
8時間水素化還元反応を行った。反応終了後、反応液だ
けを抜き出し、生成した1,4−ブタンジオール、1,
5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールをガ
スクロマトグラフィーにより定量した。オートクレーブ
に残った触媒に新たに上記硝酸除去処理を行ったジカル
ボン酸混合物5.0g、水10gを仕込み前回と同条件
で水素化反応を行った。この操作を計7回繰り返した。
7回目に得られた1,4−ブタンジオール、1,5−ペ
ンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールの量の総和
を1回目に生成したジオール量の総和で割った値を10
0倍して活性維持率とした。活性維持率が100未満の
場合、触媒活性が低下していることを意味する。反応結
果を表1に示した。
【0059】
【実施例2】<Ru−Sn−Pt触媒の調製>100m
lのナラスコに塩化白金酸・6水和物0.93gを入
れ、5N−塩酸7.0mlを加えて溶解した。この溶液
に塩化錫(II価)・2水和物0.95gを入れて溶解
し、3塩化ルテニウム・3水和物1.55gを入れて溶
解させた。この溶液に実施例1で用いたのと同じ活性炭
10.0gを加え、室温で15時間振とうした。エバポ
レーターを用いて水を留去した後、窒素ガス流通下15
0℃、2時間乾燥処理し、ついで水素雰囲気下450℃
で2時間還元処理した。再び窒素ガス雰囲気にし、室温
まで冷却した後に0.1%酸素/窒素雰囲気で2時間静
置し、6.0重量%ルテニウム−5.0重量%錫−3.
5重量%白金を活性炭に担持した触媒を調製した。 <硝酸除去処理を行ったジカルボン酸混合物の水素還元
反応>電磁誘導式攪拌機のついたハステロイ製容量10
0mlのオートクレーブに、水10g、実施例1で用い
たのと同じジカルボン酸混合物5.0gと上記方法で調
製した触媒0.3gを仕込み、室温下窒素でオートクレ
ーブ内の雰囲気を置換した後、水素を2MPa圧入し、
180℃まで昇温した。180℃に達した時点で水素を
圧入し15MPaとした。この圧力で18時間水素化還
元反応を行った。反応終了後、反応液だけを抜き出し、
生成した1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオールを液体クロマトグラ
フィーにより定量した。オートクレーブに残った触媒に
新たに実施例1の硝酸除去処理を行ったジカルボン酸混
合物5.0g、水10gを仕込み前回と同条件で水素化
反応を行った。この操作を計7回繰り返した。7回目に
得られた1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオールの量の総和を1回目
のジオールの総和で割った値を100倍して活性維持率
とした。反応結果を表1に示した。
【0060】
【比較例1】実施例1の硝酸除去する前の水67重量
%、コハク酸7重量%、グルタル酸18重量%、アジピ
ン酸5重量%、硝酸3重量%(ジカルボン酸重量を基準
として9.1重量%)からなるジカルボン酸混合物水溶
液を水素還元反応の原料とした。このジカルボン酸混合
物水溶液は硝酸の他に、ICPによる分析から銅、バナ
ジウム、イオウがジカルボン酸混合物に対して各々6p
pm、2ppm、5ppm含有されていた。また分光光
度計で測定した355nmの吸光係数は、0.051で
あった。硝酸換算の酸素−窒素化合物の含有量は、11
47ppmであった。このジカルボン酸混合物水溶液1
5.0gと実施例1の触媒0.3g重量仕込み、実施例
1と同様に水添反応を7回繰り返した結果を表1に示
す。
【0061】
【表1】
【0062】
【実施例3】<ジカルボン酸混合物の精製>アジピン酸
製造設備においてアジピン酸を晶析分離した後のろ液を
原料として精製を行った。即ち、ろ液1000gをビー
カー中で攪拌しながら常圧下、約120℃に1時間加熱
して水及び硝酸をほとんど留去した後、さらに170℃
〜175℃に30分間攪拌保持した。冷却後、アジピン
酸製造用の触媒を含むジカルボン酸混合物の重量は、3
80gであった。これをイオン交換水で38重量%水溶
液とし、不溶物質を濾別した。得られたろ液にスチレン
を母体構造に持つスルホン酸系陽イオン交換樹脂(オル
ガノ(株)製 商品名アンバーライトIR120B)3
00gを加え室温で3時間緩く攪拌後、濾過してイオン
交換樹脂を除いた。次に得られたろ液にスチレンを母体
構造に持つ4級アンモニウム塩型陰イオン交換樹脂(オ
ルガノ(株)製 商品名アンバーライトIRA900)
300gを加え室温で3時間緩く攪拌後、濾過してイオ
ン交換樹脂を除いた。
【0063】得られた水溶液中のジカルボン酸の合計は
液体クロマトグラフィーによる分析から35重量%であ
り、各ジカルボン酸の組成はコハク酸20重量%、グル
タル酸50重量%、アジピン酸30重量%であった。ま
た硝酸の含有量は、液体クロマトグラフィーの分析から
ジカルボン酸混合物に対して0.03重量%であった。
またICPによる分析から銅、バナジウム、イオウの含
有量は、ジカルボン酸混合物に対して各々4ppm、4
ppm、1ppmであった。また分光光度計で測定した
355nmの吸光係数は、0.014であった。硝酸換
算の酸素−窒素化合物の含有量は、1083ppmであ
った。このジカルボン酸混合物水溶液を水素還元反応の
原料とした。
【0064】<精製処理を行ったジカルボン酸混合物の
水素還元反応>電磁誘導式の攪拌機のついたハステロイ
製容量100mlのオートクレーブに、上記の精製ジカ
ルボン酸混合物水溶液16.1gと実施例1で調製した
触媒0.3gを仕込み、室温下窒素でオートクレーブ内
の雰囲気を置換した後、水素を2MPa圧入し、180
℃まで昇温した。180℃に達した時点で水素を圧入し
15MPaとした。この圧力で18時間水素化還元反応
を行った。反応終了後、反応液だけを抜き出し、生成し
た1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオールをガスクロマトグラフィ
ーにより定量した。オートクレーブに残った触媒に新た
に上記精製ジカルボン酸混合物水溶液16.1gを仕込
み前回と同条件で水素化反応を行った。この操作を計1
0回繰り返した。10回目に得られた1,4−ブタンジ
オール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサン
ジオールの量の総和を1回目に生成したジオール量の総
和で割った値を100倍して活性維持率とした。反応結
果を表2に示した。
【0065】
【実施例4】<精製処理を行ったジカルボン酸混合物の
水素還元反応>電磁誘導式攪拌機のついたハステロイ製
容量100mlのオートクレーブに、実施例3で用いた
のと同じジカルボン酸混合物水溶液16.1gと実施例
2で調製した触媒0.3gを仕込み、室温下窒素でオー
トクレーブ内の雰囲気を置換した後、水素を2MPa圧
入し、180℃まで昇温した。180℃に達した時点で
水素を圧入し15MPaとした。この圧力で18時間水
素化還元反応を行った。反応終了後、反応液だけを抜き
出し、生成した1,4−ブタンジオール、1,5−ペン
タンジオール、1,6−ヘキサンジオールをガスクロマ
トグラフィーにより定量した。オートクレーブに残った
触媒に新たに実施例3の精製ジカルボン酸混合物水溶液
16.1gを仕込み前回と同条件で水添反応を行った。
この操作を計10回繰り返した。10回目に得られた
1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオールの量の総和を1回目のジオー
ルの総和で割った値を100倍して活性維持率とした。
反応結果を表2に示した。
【0066】
【実施例5】<ジカルボン酸混合物の精製>アジピン酸
製造設備においてアジピン酸を晶析分離した後のろ液を
原料として精製を行った。即ち、ろ液1000gをビー
カー中で攪拌しながら常圧下、約120℃で1時間加熱
して水及び硝酸をほとんど留去した後、さらに170℃
〜175℃に30分間攪拌保持した。冷却後、アジピン
酸製造の触媒を含むジカルボン酸混合物の重量は、38
0gであった。これをイオン交換水で38重量%水溶液
とし、不溶物質を濾別した。得られたろ液にスチレンを
母体構造に持つスルホン酸系陽イオン交換樹脂(オルガ
ノ(株)製 商品名アンバーライトIR120B)30
0gを加え室温で3時間緩く攪拌後、濾過してイオン交
換樹脂を除いた。ろ液に粉末状活性炭100gを加え室
温で3時間攪拌後、濾過した後に得られたろ液にスチレ
ンを母体構造に持つ4級アンモニウム塩型陰イオン交換
樹脂(オルガノ(株)製 商品名アンバーライトIRA
900)300gを加え室温で3時間緩く攪拌後、濾過
してイオン交換樹脂を除いた。
【0067】得られた水溶液中のジカルボン酸の合計は
液体クロマトグラフィーによる分析から35重量%であ
り、各ジカルボン酸の組成はコハク酸20重量%、グル
タル酸50重量%、アジピン酸30重量%であった。ま
た硝酸の含有量は、液体クロマトグラフィーの分析から
ジカルボン酸混合物に対して0.03重量%であった。
またICPによる分析から銅、バナジウム、イオウの含
有量は、ジカルボン酸混合物に対して各々4ppm、4
ppm、1ppmであった。また分光光度計で測定した
355nmの吸光係数は、0.010であった。硝酸換
算の酸素−窒素化合物の含有量は、653ppmであっ
た。 <精製処理を行ったジカルボン酸混合物の水素還元反応
>このジカルボン酸混合物水溶液16.1gと実施例1
の触媒0.3gを用いて実施例1と同条件で水素還元反
応を10回繰り返した。結果を表2に示す。
【0068】
【実施例6】<ジカルボン酸混合物の精製>アジピン酸
製造設備においてアジピン酸を晶析分離した後のろ液を
原料に用いて精製を行った。即ち、ろ液1000gをビ
ーカー中で攪拌しながら常圧下、約120℃で1時間加
熱して水及び硝酸をほとんど留去した後、さらに170
℃〜175℃で30分間攪拌保持した。冷却後、触媒を
含むジカルボン酸混合物の重量は、380gであった。
これをイオン交換水で38重量%水溶液とし、不溶物質
を濾別した。得られたろ液にスチレンを母体構造に持つ
スルホン酸系陽イオン交換樹脂(オルガノ(株)製 商
品名アンバーライトIR120B)300gを加え室温
で3時間緩く攪拌後、濾過してイオン交換樹脂を除い
た。ろ液をビーカー中で攪拌しながら約120℃に1時
間加熱した後にさらに170℃〜175℃に30分間攪
拌保持した。冷却後、キシレン3000gを加え激しく
攪拌しながら80℃に20分間保持した。攪拌しながら
冷却後、ジカルボン酸混合物を濾別した。ジカルボン酸
混合物は、60℃真空下でキシレンを除去した。361
gのジカルボン酸混合物を得た。
【0069】得られたジカルボン酸混合物の組成は、液
体クロマトグラフィーによる分析からコハク酸20重量
%、グルタル酸50重量%、アジピン酸30重量%であ
った。また硝酸の含有量は、液体クロマトグラフィーの
分析からジカルボン酸混合物に対して0.02重量%で
あった。またICPによる分析から銅、バナジウム、イ
オウの含有量は、ジカルボン酸混合物に対して各々4p
pm、4ppm、10ppmであった。また分光光度計
で測定した355nmの吸光係数は、0.040であっ
た。硝酸換算の酸素−窒素化合物の含有量は、848p
pmであった。 <精製処理を行ったジカルボン酸混合物の水素還元反応
>このジカルボン酸混合物5.85gとイオン交換水1
0.86gと実施例1の触媒0.3gを用いて実施例1
と同条件で水素還元反応を10回繰り返した。結果を表
2に示す。
【0070】
【比較例2】<ジカルボン酸混合物の精製>アジピン酸
製造設備においてアジピン酸を晶析分離した後のろ液を
原料に用いた。ろ液1000gをビーカー中で攪拌しな
がら約120℃で1時間加熱して水及び硝酸をほとんど
留去した後、さらに170℃〜175℃で30分間攪拌
保持した。冷却後、アジピン酸製造の触媒を含むジカル
ボン酸混合物の重量は、380gであった。これをイオ
ン交換水で38重量%水溶液とし、不溶物質を濾別し
た。得られたろ液にスチレンを母体構造に持つスルホン
酸系陽イオン交換樹脂(オルガノ(株)製 商品名アン
バーライトIR120B)500gを加え80℃で3時
間緩く攪拌後、濾過してイオン交換樹脂を除いた。
【0071】得られた水溶液中のジカルボン酸の合計は
液体クロマトグラフィーによる分析から35重量%であ
り、各ジカルボン酸の組成はコハク酸20重量%、グル
タル酸50重量%、アジピン酸30重量%であった。ま
た硝酸の含有量は、液体クロマトグラフィーの分析から
ジカルボン酸混合物に対して0.03重量%であった。
またICPによる分析から銅、バナジウム、イオウの含
有量は、ジカルボン酸混合物に対して各々3ppm、1
ppm、182ppmであった。また分光光度計で測定
した355nmの吸光係数は、1.437であった。硝
酸換算の酸素−窒素化合物の含有量は、5600ppm
であった。 <精製処理を行ったジカルボン酸混合物の水素還元反応
>このジカルボン酸混合物水溶液16.1gと実施例1
の触媒0.3gを用いて実施例1と同条件で水素還元反
応を10回繰り返した。結果を表2に示す。
【0072】
【表2】
【0073】
【実施例7】電磁誘導式の攪拌機のついたハステロイ製
容量1000mlのオートクレーブに実施例1のアジピ
ン酸を晶析分離した後のろ液を精製して得たジカルボン
酸混合物175g、イオン交換水325g、実施例1の
触媒10gを仕込み、室温下オートクレーブ内の雰囲気
を窒素置換した後、水素を2Mpa圧入し、180℃ま
で昇温した。180℃に達した時点で水素を圧入し15
MPaとした。この圧力で30時間水素化還元反応を行
った。反応終了後、反応液だけを抜き出し、生成した
1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオールをガスクロマトグラフィーに
より定量した。1,4−ブタンジオール、1,5−ペン
タンジオール、1,6−ヘキサンジオールの収率は各々
89%、97%、87%であった。オートクレーブに残
った触媒に新たに実施例1のジカルボン酸混合物175
g、水325gを仕込み、前回と同条件で水素化反応を
行った。この操作を計10回繰り返した。2回目から1
0回目の収率はいずれも1回目とほぼ同じであった。ま
た、液体クロマトグラフィーによる分析の結果、δ−バ
レロラクトンとε−カプロラクトンは、0.01%以下
であった。
【0074】なお、水素と水素化反応液との気液分離
は、水素化反応終了後、オートクレーブを室温まで冷却
したのちに常圧に戻して行った。得られた1,4−ブタ
ンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオールを含む約5kgの水溶液から次の蒸留方法
により1,4−ブタンジオール及び1,5−ペンタンジ
オールと1,6−ヘキサンジオールの混合物を得た。
【0075】まず、上記水素化反応液を常圧下、109
℃に加熱し、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラ
ン、ブタノール、ペンタノール及び水の約85%を留去
した。次に残った液を12段の蒸留塔を用いて塔低温度
160℃、圧力6kPa、塔頂温度25℃の条件に蒸留
し、水及びペンタノール、ヘキサノール、γ−ブチロラ
クトンを留去した。塔低の液は、次に35段の蒸留塔を
用いて塔低温度180℃、圧力12kPa、塔頂温度9
5℃、圧力3kPaの条件下に蒸留し、1,4−ブタン
ジオール及び微量の1,5−ペンタンジオールを含む留
分を得た。
【0076】1,4−ブタンジオールを蒸留した後の塔
低の液は、7段の蒸留塔を用いて塔低温度200℃、圧
力7kPa、塔頂温度163℃、圧力6kPaの条件下
に蒸留して1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサ
ンジオールの混合物を得た。得られた1,4−ブタンジ
オールは238gで純度は98.5%であり、他の不純
物は、1,5−ペンタンジオールであり、ラクトン類は
含まれていなかった。また、得られた1,5−ペンタン
ジオールと1,6−ヘキサンジオールの混合物は866
gで純度は99.8%であり、他の不純物は1,4−ブ
タンジオールであった。1,5−ヘキサンジオール及び
1,4−ジヒドロキシシクロヘキサンが含まれていない
ことをガスクロマトグラフィーから確認した。
【0077】
【発明の効果】本発明は、アジピン酸から副生するジカ
ルボン酸混合物を原料として水素還元し、1,4−ブタ
ンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオールを製造するに際し、触媒の活性を長期間安
定に保ち高収率で目的物を製造できる方法を提供するこ
とを可能とするものである。さらに、水素還元反応から
得られたジオール混合物からポリウレタンの原料として
好適なジオールを蒸留分離する方法を提供することを可
能とするものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H006 AA02 AC41 AC46 AD11 AD17 AD32 BA11 BA16 BA23 BA26 BA55 BB31 BC10 BC11 BC37 BC51 BC52 BD10 BD60 BD70 BE02 BE20 FE11 FG28 FG29 4H039 CA60 CB40

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シクロヘキサノン及び/又はシクロヘキ
    サノールを硝酸酸化してアジピン酸を製造する際に副生
    する、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸を含むジカル
    ボン酸混合物の水溶液を、ルテニウムおよびスズを含む
    触媒を用い、水素と反応させて1,4−ブタンジオー
    ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
    ールを含むジオール混合物を得る方法であり、且つ上記
    ジカルボン酸混合物の水溶液中の硝酸含有量がジカルボ
    ン酸の合計重量に対して3重量%以下であることを特徴
    とするジオール混合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 ジカルボン酸混合物の水溶液が下記
    (1)、(2)及び(3)を満足するものであることを
    特徴とする請求項1に記載のジオール混合物の製造方
    法。 (1)ジカルボン酸混合物の水溶液中の硝酸の含有量が
    ジカルボン酸の合計重量に対して0.2重量%以下であ
    る。 (2)ジカルボン酸混合物の水溶液中の銅、バナジウム
    の含有量がジカルボン酸の合計重量に対して各々10p
    pm以下である。 (3)ジカルボン酸混合物の水溶液中のイオウ含有量が
    ジカルボン酸の合計重量に対して40ppm以下であ
    る。
  3. 【請求項3】 ジカルボン酸混合物の水溶液が下記
    (1)を満足するものであることを特徴とする請求項2
    記載のジオール混合物の製造方法。 (1)ジカルボン酸混合物の水溶液の355nmの吸光
    係数が0.1以下である。
  4. 【請求項4】 ジカルボン酸混合物の水溶液中の酸素−
    窒素結合を持つ化合物の含有量が、硝酸として換算した
    場合に2000ppm以下であることを特徴とする請求
    項2又は3に記載のジオール混合物の製造方法。
  5. 【請求項5】 ルテニウムおよびスズを含む触媒が、更
    に7族の金属から選ばれる少なくとも1種を含む触媒で
    あることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の
    ジオール混合物の製造方法。
  6. 【請求項6】 7族の金属から選ばれる少なくとも1種
    がレニウムであることを特徴とする請求項5に記載のジ
    オール混合物の製造方法。
  7. 【請求項7】 ルテニウムおよびスズを含む触媒が、更
    にルテニウム以外の8族、9族および10族の金属から
    選ばれる少なくとも1種を含む触媒であることを特徴と
    する請求項1〜6のいずれかに記載のジオール混合物の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 ルテニウム以外の8族、9族および10
    族の金属から選ばれる少なくとも1種が白金であること
    を特徴とする請求項7に記載のジオール混合物の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 ルテニウムおよびスズを含む触媒が、活
    性炭を担体とする触媒であることを特徴とする請求項1
    〜8のいずれかに記載のジオール混合物の製造方法。
  10. 【請求項10】 温度100℃〜300℃、圧力1MP
    a〜25MPaの条件下でジカルボン酸混合物の水溶液
    を水素と反応させることを特徴とする請求項1〜9のい
    ずれかに記載のジオール混合物の製造方法。
  11. 【請求項11】 ジカルボン酸混合物の水溶液が下記の
    工程を経たジカルボン酸混合物水溶液であることを特徴
    とする請求項1〜10のいずれかに記載のジオール混合
    物の製造方法。 (1)ジカルボン酸混合物の水溶液を常圧以下の圧力で
    加熱して脱水および脱硝酸した後に水を加え水溶液とす
    る工程。 (2)水溶液を陽イオン交換樹脂と接触させ、銅および
    バナジウムを除去する工程。 (3)水溶液を陰イオン交換樹脂と接触させる工程。
  12. 【請求項12】 ジカルボン酸混合物の水溶液が、請求
    項11に記載の(1)と(2)の工程間に、又は(2)
    と(3)の工程間に活性炭と接触させる工程を行ったジ
    カルボン酸混合物の水溶液であることを特徴とする請求
    項11に記載のジオール混合物の製造方法。
  13. 【請求項13】 ジカルボン酸混合物の水溶液が、下記
    の工程を経たジカルボン酸混合物の水溶液であることを
    特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のジオール
    混合物の製造方法。 (1)ジカルボン酸混合物の水溶液を常圧以下の圧力で
    加熱し、水および硝酸を留去した後に130℃〜180
    ℃の温度に加熱して脱水および脱硝酸する工程。 (2)水を加え水溶液とし、陽イオン交換樹脂と接触さ
    せ、銅およびバナジウムを除去する工程。 (3)水溶液を常圧以下の圧力で加熱して水を留去する
    工程。 (4)常圧での沸点が200℃以下の芳香族化合物を加
    え、芳香族化合物の沸点以下の温度に加熱し、再度冷却
    した後に濾別してジカルボン酸混合物を回収した後、水
    を加え水溶液とする工程。
  14. 【請求項14】 ジカルボン酸混合物の水溶液が、請求
    項13記載の(4)の工程後に、又は(2)と(3)の
    工程の間に、水溶液を陰イオン吸着性物質と接触させる
    工程を行ったジカルボン酸混合物の水溶液であることを
    特徴とする請求項13に記載のジオール混合物の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 請求項1〜14のいずれかに記載のジ
    オール混合物の製造方法において水素と反応させてジオ
    ール混合物を得た後に、下記の(1)から(5)の工程
    を行うジオール類の製造方法。 (1)ジオール混合物を含有する反応液を冷却後、常圧
    以下の条件下に該反応液から水素を分離する気液分離工
    程。 (2)水素を分離した反応液を常圧下、加熱し、水素化
    反応で副生した環状エーテル類、モノアルコール類およ
    び水を留去する工程。 (3)塔底の液を蒸留し、水及び水素化反応で副生した
    γ−ブチロラクトンを留去する工程。 (4)塔底の液を蒸留し、1,4−ブタンジオールを得
    る工程。 (5)塔底の液を蒸留し、1,5−ペンタンジオール及
    び1,6−ヘキサンジオール混合物を得る工程。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007507502A (ja) * 2003-09-30 2007-03-29 インヴィスタ テクノロジー エスアエルエル アジピン酸の乾燥
JP4683807B2 (ja) * 1999-11-05 2011-05-18 旭化成ケミカルズ株式会社 ジオール混合物の製造方法
JP2015523197A (ja) * 2012-05-15 2015-08-13 レノビア・インコーポレイテッドRennovia,Inc. 還元触媒

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