JP2001270979A - エポキシ樹脂と無機成分の複合体及びその製造方法 - Google Patents
エポキシ樹脂と無機成分の複合体及びその製造方法Info
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Abstract
ると共に、弾性率が良好なエポキシ樹脂と無機成分の複
合体、及び、その製造方法を提供する。 【解決手段】 エポキシ樹脂と無機成分の複合体は、
(a)成分にエポキシ樹脂、(b)成分にエポキシ樹脂
の硬化剤、及び、(c)成分にシリコンアルコキシドを
構成材料とするエポキシ樹脂組成物のエポキシ樹脂が硬
化したものであって、上記(a)、(b)、(c)成分
を配合したエポキシ樹脂組成物を、実質的に水分を含ま
ない雰囲気下で上記エポキシ樹脂の開環重合を先行して
進行させて1次反応生成物を得た後に、さらに、この1
次反応生成物に水分を供給してシリコンアルコキシドの
加水分解縮合反応を進行させると共に上記エポキシ樹脂
を完全硬化させたものである。
Description
ポキシ樹脂の硬化剤、及び、シリコンアルコキシドを含
有するエポキシ樹脂組成物のエポキシ樹脂を硬化させた
エポキシ樹脂と無機成分の複合体、及び、その複合体の
製造方法に関するものである。
着性等に優れ、汎用性の高い材料として用いられてい
る。しかし、例えば、エポキシ樹脂の硬化物は、高温の
条件下では、軟化して強度不足が生じる、あるいは熱膨
張係数が大きくなり信頼性に欠ける等の問題が指摘され
ている。そこで、エポキシ樹脂の硬化物に、機械的強度
や耐熱性を付与するために、エポキシ樹脂組成物中に長
繊維や無機充填材等の無機成分を添加することが多用さ
れており、この硬化物であるエポキシ樹脂と無機成分の
複合体は、電子機器、電子部品の基板等に採用されてい
る。上記複合体として、無機成分にシリコンアルコキシ
ドを用い、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂の硬化剤と共に
配合し、加熱することでシリコンアルコキシドの加水分
解縮合物を生成したものが知られている。この複合体
は、シリコンアルコキシドの加水分解縮合物がエポキシ
樹脂の硬化物中に5〜5000nmの粒子として分散し
ているものであった。
機成分の複合体にあっては、無機成分の添加量を増加す
ると、ガラス転移温度の向上、熱膨張係数の低下等の耐
熱性が高まるものの、一方、エポキシ樹脂の単体が有す
る弾性率等の柔軟性や加工容易性が低下せざるを得な
い。しかし、電子機器、電子部品の使用範囲の拡大に伴
って、ガラス転移温度の向上、熱膨張係数の低下と共
に、弾性率の向上するエポキシ樹脂と無機成分の複合体
が要望されている。
で、その目的とするところは、ガラス転移温度が向上
し、低熱膨張係数であると共に、弾性率が良好なエポキ
シ樹脂と無機成分の複合体、及び、その製造方法を提供
することにある。
樹脂と無機成分の複合体は、(a)成分にエポキシ樹
脂、(b)成分にエポキシ樹脂の硬化剤、及び、(c)
成分にシリコンアルコキシドを構成材料とするエポキシ
樹脂組成物のエポキシ樹脂が硬化したエポキシ樹脂と無
機成分の複合体において、上記(a)、(b)、(c)
成分を配合したエポキシ樹脂組成物を、実質的に水分を
含まない雰囲気下で上記エポキシ樹脂の開環重合を先行
して進行させて1次反応生成物を得た後に、さらに、こ
の1次反応生成物に水分を供給してシリコンアルコキシ
ドの加水分解縮合反応を進行させると共に上記エポキシ
樹脂を完全硬化させたものであることを特徴とする。
意研究を重ねた結果、従来の複合体は、シリコンアルコ
キシドが凝集体を形成するため、粒径が5〜5000n
mのシリコンアルコキシドの加水分解縮合物が浮遊した
状態でエポキシ樹脂が硬化物となるのに対し、上記の如
く、実質的に水分を含まない雰囲気下で上記エポキシ樹
脂の開環重合を先行して進行させた後に、水分を供給し
てシリコンアルコキシドの加水分解縮合反応を進行させ
ると、シリコンアルコキシドの加水分解縮合物が超微粒
子の状態、例えば、1nm以下の分子オーダーレベルで
均一に分散されたエポキシ樹脂と無機成分の複合体が得
られることを見出した。TEMを用いて20万倍に拡大観
察すると、従来の複合体は、樹脂の硬化物とシリコンア
ルコキシドの加水分解縮合物との間で相分離しているこ
とが観察されるのに対し、本発明の複合体は、エポキシ
樹脂の硬化物とシリコンアルコキシドの加水分解縮合物
との間で相分離がみられないものであった。そして、こ
の複合体は、従来のものと比べ、ガラス転移温度が向上
し、低熱膨張係数であると共に、弾性率が良好なもので
あることを見出し、本発明の完成に至ったものである。
の硬化剤を含む系にシリコンアルコキシドを添加する場
合、例えば、硬化剤がトリエチレンテトラアミン等の脂
肪族ポリアミン系では、硬化剤の作用でシリコンアルコ
キシドのゾル−ゲル反応が急速に進行して析出物や沈殿
物が生じる。また、例えば、硬化剤がジシアンジアミド
等の潜在硬化剤の場合、加熱によってエポキシ樹脂の硬
化前にシリコンアルコキシドのゾル−ゲル反応が急速に
進行して析出物や沈殿物が生じる。そのため、このよう
な複合体は、エポキシ樹脂の硬化物中に粒径が5〜50
00nm程度又はそれ以上のシリコンアルコキシドの加
水分解縮合物が混在するものであった。これに対し、本
発明のエポキシ樹脂と無機成分の複合体は、実質的に水
分を含まない雰囲気下でエポキシ樹脂の開環重合を先行
して進行させることにより、エポキシ樹脂の硬化物中に
シリコンアルコキシドの加水分解縮合物が超微粒子の状
態で分散したハイブリット構造の複合体となることがで
きるものである。
複合体は、請求項1記載のエポキシ樹脂と無機成分の複
合体において、上記エポキシ樹脂を完全硬化させたもの
に、上記シリコンアルコキシドの加水分解縮合反応して
形成された粒子が分散されていると共に、上記粒子の粒
子径が1nm以下であることを特徴とする。
(a)成分にエポキシ樹脂、(b)成分にエポキシ樹脂
の硬化剤、及び、(c)成分にシリコンアルコキシドを
構成材料とした複合体の製造方法において、上記
(a)、(b)、(c)成分を配合したエポキシ樹脂組
成物を、実質的に水分を含まない雰囲気下で上記エポキ
シ樹脂の開環重合を先行して進行させて1次反応生成物
を得た後に、次いで、この1次反応生成物に水分を供給
してシリコンアルコキシドの加水分解縮合反応を進行さ
せると共に上記エポキシ樹脂を完全硬化させることを特
徴とする。上記によって、エポキシ樹脂の硬化物中にシ
リコンアルコキシドの加水分解縮合物が超微粒子の状態
で分散したハイブリット構造の複合体を得ることができ
るものである。
硬化させた状態とは、エポキシ基の90%以上を開環反
応させた状態をいうものである。
項3記載の複合体の製造方法において、上記実質的に水
分を含まない雰囲気下が、水分量が0.1体積%以下の
気体であることを特徴とする。上記雰囲気で加熱反応等
を行うことにより、水分が供給されてシリコンアルコキ
シドの加水分解が進行し、相分離や加水分解物が沈降す
ることを防止することができるものである。
項3又は請求項4記載の複合体の製造方法において、上
記実質的に水分を含まない雰囲気下が、窒素ガス雰囲気
であることを特徴とする。
項3乃至請求項5いずれか記載の複合体の製造方法にお
いて、上記1次反応生成物は、エポキシ樹脂の開環重合
の進行が、エポキシ基の50%以上を開環反応させた状
態であることを特徴とする。上記によって、その後に進
行するシリコンアルコキシドの加水分解縮合物が、エポ
キシ樹脂の硬化物中に超微粒子の状態で分散させること
ができるものである。
項3乃至請求項6いずれか記載の複合体の製造方法にお
いて、上記エポキシ樹脂組成物が含有する水分量は、シ
リコンアルコキシドの加水分解に必要な理論量の20重
量%以下の状態であることを特徴とする。上記によっ
て、エポキシ樹脂組成物がエポキシ樹脂の開環重合を先
行して進行させることができるものである。
項3乃至請求項7いずれか記載の複合体の製造方法にお
いて、上記シリコンアルコキシドの加水分解縮合反応の
進行が、大気中で加熱処理を施すことであることを特徴
とする。上記によって、シリコンアルコキシドの加水分
解縮合反応の進行と同時に、1次反応生成物中に存在す
る未反応のエポキシ基の開環重合が進行するので、エポ
キシ樹脂の硬化物とシリコンアルコキシドの加水分解縮
合物が、相分離を生じない均質なものとすることができ
る。
項3乃至請求項8いずれか記載の複合体の製造方法にお
いて、上記エポキシ樹脂組成物を離型フィルムに塗布
し、窒素ガス雰囲気下で加熱して上記1次反応生成物を
得た後に、大気下で加水分解縮合反応を進行させて上記
エポキシ樹脂を完全硬化させた後に、この離型フィルム
を剥離することを特徴とする。上記によって、ガラス転
移温度が向上し、低熱膨張係数であると共に、弾性率が
良好なエポキシ樹脂と無機成分の複合体のシートを得る
ことができるものである。
と無機成分の複合体は、(a)成分にエポキシ樹脂、
(b)成分にエポキシ樹脂の硬化剤、及び、(c)成分
にシリコンアルコキシドを構成材料とするエポキシ樹脂
組成物のエポキシ樹脂が硬化したものである。
分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであり、従
来から公知のエポキシ樹脂が可能であるが、例えば、ビ
スフェノールA型、ビスフェノールF型、テトラブロモ
ビスフェノールA型、テトラフェニロールエタン、フェ
ノールノボラック、クレゾールノボラックなどのフェノ
ール系のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ポリプロ
ピレングリコール、水添ビスフェノールA型などのアル
コール系のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ヘキサ
ヒドロ無水フタル酸やダイマー酸などを原料としたグリ
シジルエステル型エポキシ樹脂;ヒダントイン、イソシ
アヌル酸、ジアミノジフェニルメタンなどのグリシジル
アミン型エポキシ樹脂;アミノフェノールやオキシ安息
香酸を原料とする混合型エポキシ樹脂;脂環式エポキ
シ;臭素化エポキシ樹脂等を挙げることができ、これら
は、単独でも又は2個以上を併用してもよい。
しては、特に限定されるものではなく、例えば、ジシア
ンジアミド等の触媒タイプ;テトラエチレンペンタミ
ン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン系;
フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂
等のフェノール化合物系等が挙げられる。上記硬化剤の
配合量は、エポキシ樹脂当量比10〜100%で用いる
ことが好ましい。上記硬化剤が、エポキシ樹脂当量比が
10%未満ではエポキシ樹脂が十分に硬化しない恐れが
あり、エポキシ樹脂当量比が100%を超えると、未反
応の硬化剤が樹脂中に不純物として存在して好ましくな
い。
ドは、下記一般式で表されるシリコンアルコキシドのモ
ノマー、または、それらを部分加水分解して得られる低
縮合物である。 一般式: Si(OR)4 (Rは炭素数1〜6のアルキル基を示
す。)、 R’Si(OR)3 (R、R’は炭素数1〜6のアルキ
ル基を示す。)、 R’R”Si(OR)2 (R、R’、R”は炭素数1〜
6のアルキル基を示す。)、 X−Si(OR)n (nは2又は3を示し、Xはアミノ
基、エポキシ基、又は、メルカプト基を示す。) 上記部分加水分解しれ得られる低縮合物は、上記シリコ
ンアルコキシドモノマーに水、触媒等を混合することに
よって得てもよい。上記シリコンアルコキシドとして
は、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエ
トキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルト
リメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチル
トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエ
トキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシ
ラン、γアミノプロピルトリメトキシシラン、γアミノ
プロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
とシリコンアルコキシドの混合を良好とするために溶媒
が用いられる。上記溶媒は、エポキシ樹脂及びシリコン
アルコキシドの種類により適宜選択されるものである
が、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチ
ルピロリドン(NMP)などのエーテル系溶媒;ジメチ
ルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(D
MA)などのアミド溶媒;アセトン、メチルエチルケト
ン(MEK)などのケトン系溶媒;メタノール、エタノ
ール、2−プロパノール、ブタノールなどのアルコール
系溶媒;メチルエチルセルソルブなどの有機溶媒;グリ
シジルメタクリレートなどの反応性希釈剤;ヘキサン、
クロヘキサンなどのハイドロカーバン系溶媒;トルエ
ン、キシレン、m−クレゾール、ベンゼン、ニトロベン
ゼンなどのアロマティック系溶媒;クロロホルム、ジク
ロロエタンなどのハロゲン系溶媒;ジメチルポリシロキ
サン、サイクロメチコーンなどのシリコーン系溶媒;そ
の他にアセトニトリル、ジオキサン、ピリジン等が挙げ
られる。
硬化促進剤が用いられる。上記硬化促進剤としては、ト
リフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンなどの有
機ホスフィン化合物;2−メチルイミダゾール、2−エ
チル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メ
チルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2
−ウンデシルイミダゾールなどのイミダゾール化合物;
その他に三級アミン、アミン塩、カルボン酸化合物等が
挙げられる。上記硬化促進剤の配合量は、エポキシ樹脂
及び硬化剤の種類により適宜決定されるものであるが、
例えば、エポキシ樹脂100重量部に対し、0.05〜
10重量部程度が適当である。
さらに、シランカップリング剤、触媒等の添加剤を添加
し、均一に混合溶解して調製されるものである。上記触
媒としては、例えば、塩酸、ルイス酸などの酸性触媒;
アンモニアなどのアルカリ触媒が挙げられる。
体の製造方法について説明する。上記複合体の製造方法
は、上記エポキシ樹脂組成物を、実質的に水分を含まな
い雰囲気下で上記エポキシ樹脂の開環重合を先行して進
行させて1次反応生成物を得た後に、次いで、この1次
反応生成物に水分を供給してシリコンアルコキシドの加
水分解縮合反応を進行させると共に、上記エポキシ樹脂
を完全硬化させる。
シ樹脂組成物を、実質的に水分を含まない雰囲気下で反
応させることにより上記エポキシ樹脂の開環重合を先行
して進行させる。
たエポキシ樹脂組成物がエポキシ樹脂の開環重合を先行
して進行させるためには、エポキシ樹脂、硬化剤、シリ
コンアルコキシド、硬化促進剤、有機溶媒等の構成材料
に含まれる水分が少ない状態であることが重要であり、
上記エポキシ樹脂組成物が含有する水分量は、シリコン
アルコキシドの加水分解に必要な理論量の20重量%以
下が好適である。
開環重合は、実質的に水分を含まない雰囲気下で行われ
るものである。この実質的に水分を含まない雰囲気下
は、水分量が0.1体積%以下の気体中が好適である。
上記雰囲気としては、窒素ガスで充満したグローブボッ
クスが例示される。なお、上記気体中の水分量が0.1
体積%以下のものは、露点温度−20℃以下と称される
ものである。上記雰囲気で加熱反応等を行うことによ
り、大気中等から水分が供給されてシリコンアルコキシ
ドの加水分解が進行し、相分離や加水分解物が沈降する
ことを防止することができる。
成物を均一に混合した後に、例えば、ポリエチレンテレ
フタラート(PET)等の離型フィルムに塗布したり、
所定の型に注入したりして、減圧或いは密封等の状態で
加熱してエポキシ樹脂の一部部分を先行して硬化反応さ
せて1次反応生成物を得ることができるものである。
環重合の進行が、エポキシ基の50%以上を開環反応さ
せた状態であることが好適である。このエポキシ基の開
環反応の状態は、FTIR等の分析機器により確認でき
るものである。上記エポキシ樹脂の開環重合の進行が、
エポキシ基の50%以上を開環反応させた状態である
と、その後に進行するシリコンアルコキシドの加水分解
縮合物が、エポキシ樹脂の硬化物中に超微粒子の状態で
分散するものである。また、上記上記エポキシ樹脂の開
環重合の進行の上限は、沈殿が起らない状態であって、
80%程度が実用的である。
次反応生成物に水分を供給してシリコンアルコキシドの
加水分解縮合反応を進行させると共に上記エポキシ樹脂
を完全硬化させたものである。上記1次反応生成物への
水分の供給は、水分を含む雰囲気、例えば大気中に取出
すことでできる。上記シリコンアルコキシドの加水分解
縮合反応の進行は、加熱すればよい。また、この加熱に
より同時に1次反応生成物中に存在する未反応のエポキ
シ基の開環重合が進行するので、エポキシ樹脂の硬化物
とシリコンアルコキシドの加水分解縮合物が、相分離を
生じない均質なものとなる。
の種類、及び、複合体に付与する特性の水準により適宜
決定されるが、80〜250℃の範囲が好ましく、10
0〜220℃の範囲がより好ましい。上記加熱する温度
が80℃未満では、シリコンアルコキシドの加水分解が
不十分で複合体の硬度が低下し、上記加熱する温度が2
50℃を超えると、エポキシ樹脂成分が分解しだす恐れ
がある。
コンアルコキシドの加水分解縮合物が超微粒子の状態で
均質に分散したものとなる。上記加水分解縮合物が超微
粒子である粒子径は、1nm以下が好適である。粒子径
が大きすぎると、複合体の強度等が低下する恐れがあ
る。
向上は、添加する無機成分の種類と配合量によると言わ
れている。そのため、エポキシ樹脂と数%のシリカ成分
とを混合した単なる複合化では、ガラス転移温度の向上
は望めないが、上記複合体は、数%程度のシリコンアル
コキシドの配合でガラス転移温度の向上ができるもので
ある。
シリコンアルコキシドの加水分解縮合物が超微粒子の状
態で分散したハイブリット構造のものである。その結
果、上記複合体は、エポキシ樹脂及びシリコンアルコキ
シドをそれぞれ単独で反応させたもののガラス転移温度
や弾性率に対し、それぞれの成分比率から算術計算で求
められる値より高いガラス転移温度や弾性率を有するも
のとなる。また、上記複合体は、エポキシ樹脂及びシリ
コンアルコキシドをそれぞれ単独で反応させたものの熱
膨張係数に対し、それぞれの成分比率から算術計算で求
められる値より低い熱膨張係数を有するものとなる。上
記複合体は、ガラス転移温度が向上し、低熱膨張係数で
あると共に、弾性率が良好なものである。
の複合体のシートを作製する方法は、例えば、上記含有
する水分量が20重量%以下のエポキシ樹脂組成物を均
一に混合し、窒素ガスで充満したグローブボックスでポ
リエチレンテレフタラート(PET)等の離型フィルム
に塗布してエポキシ樹脂の開環重合を行い1次反応生成
物を得る。この際、エポキシ樹脂の開環重合の進行が、
エポキシ基の50%以上であることを、FTIR等の分
析機器により確認しておく。次いで、1次反応生成物を
大気中に取出して加熱し、シリコンアルコキシドの加水
分解縮合反応と同時にエポキシ樹脂を完全硬化させ、そ
の後に離型フィルムを剥離することで、ガラス転移温度
が向上し、低熱膨張係数であると共に、弾性率が良好な
複合体のシートを得ることができる。
てビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成株式会社
製、YD128、エポキシ当量185)を100重量部
(以下部と記す)、(c)成分のシリコンアルコキシド
としてテトラメトキシシラン(東芝シリコン株式会社
製、TSL8114)を20部、(b)成分の硬化剤と
してテトラエチレンペンタミン(ナカライテスク株式会
社製)をエポキシ樹脂と同当量用いた。攪拌機を取り付
けたフラスコ内に上記構成材料を投入し、攪拌し、エポ
キシ樹脂組成物を得た。上記エポキシ樹脂組成物の水分
量をカールフィッシャー法で測定したところ、0.3重
量%であった。
コキシドの加水分解に必要な理論水分量を計算する。エ
ポキシ樹脂は100g、硬化剤の同当量は35g、テト
ラメトキシシランは20gとなる。このテトラメトキシ
シラン20gは、0.085モルであり、この加水分解
に必要な理論水分量は0.169モルの3.047gで
ある。理論水分量の20重量%は0.609gであり、
これは、エポキシ樹脂組成物の0.39重量%に該当す
る。実施例1は、エポキシ樹脂組成物の0.3重量%で
あったので、理論水分量の20重量%であることが確認
された。
ガスで置換されたグローブボックス内にて、上記エポキ
シ樹脂組成物をPETフィルム上に、厚み200μmと
なるよう塗布した後に、150℃1時間加熱し、エポキ
シ樹脂の開環重合を進行させた。
の熱処理を行い、シリコンアルコキシドの加水分解の進
行と共に、エポキシ樹脂の未硬化成分を硬化させて、複
合体のシートを得た。
濁は見られなかった。また、TEMで拡大観察したとこ
ろ、1nmを超える粒子は観察されなかった。
ェノールノボラック樹脂(荒川化学工業株式会社製、タ
マノール752、水酸基当量105)を用いた以外は、
実施例1と同様に配合しエポキシ樹脂組成物を得た。上
記エポキシ樹脂組成物の水分量をカールフィッシャー法
で測定したところ、0.3重量%であり、理論水分量の
20重量%であることが確認された。
シートを得た。この複合体のシートは、透明性を有し、
白濁は見られなかった。また、TEMで拡大観察したと
ころ、1nmを超える粒子は観察されなかった。
シアンジアミドを用い、この硬化剤をジメチルホルムア
ミド(DMF)に溶解し、さらに、硬化促進剤として2
−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成株式会社
製)を用いた以外は、実施例1と同様に配合しエポキシ
樹脂組成物を得た。上記エポキシ樹脂組成物の水分量を
カールフィッシャー法で測定したところ、0.3重量%
であり、理論水分量の20重量%であることが確認され
た。
シートを得た。この複合体のシートは、透明性を有し、
白濁は見られなかった。また、TEMで拡大観察したと
ころ、1nmを超える粒子は観察されなかった。
してビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成株式会
社製、YD011、エポキシ当量475)を、DMFに
溶解して用いた以外は、実施例1と同様に配合しエポキ
シ樹脂組成物を得た。上記エポキシ樹脂組成物の水分量
をカールフィッシャー法で測定したところ、0.3重量
%であり、理論水分量の20重量%であることが確認さ
れた。
シートを得た。この複合体のシートは、透明性を有し、
白濁は見られなかった。また、TEMで拡大観察したと
ころ、1nmを超える粒子は観察されなかった。
ェノールノボラック樹脂(荒川化学工業株式会社製、タ
マノール752、水酸基当量105)を用いた以外は、
実施例4と同様に配合しエポキシ樹脂組成物を得た。上
記エポキシ樹脂組成物の水分量をカールフィッシャー法
で測定したところ、0.3重量%であり、理論水分量の
20重量%であることが確認された。
シートを得た。この複合体のシートは、透明性を有し、
白濁は見られなかった。また、TEMで拡大観察したと
ころ、1nmを超える粒子は観察されなかった。
シアンジアミドを用い、この硬化剤をジメチルホルムア
ミド(DMF)に溶解し、さらに、硬化促進剤として2
−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成株式会社
製)を用いた以外は、実施例4と同様に配合しエポキシ
樹脂組成物を得た。上記エポキシ樹脂組成物の水分量を
カールフィッシャー法で測定したところ、0.3重量%
であり、理論水分量の20重量%であることが確認され
た。
シートを得た。この複合体のシートは、透明性を有し、
白濁は見られなかった。また、TEMで拡大観察したと
ころ、1nmを超える粒子は観察されなかった。
ものであるテトラメトキシシランの4量体オリゴマー
(コルコート社製、メチルシリケート51)を(c)成
分のシリコンアルコキシドとして用いた以外は、実施例
4と同様に配合しエポキシ樹脂組成物を得た。上記エポ
キシ樹脂組成物の水分量をカールフィッシャー法で測定
したところ、0.3重量%であり、理論水分量の20重
量%であることが確認された。
シートを得た。この複合体のシートは、透明性を有し、
白濁は見られなかった。また、TEMで拡大観察したと
ころ、1nmを超える粒子は観察されなかった。
内に代わり、大気中にて作業をした以外は、実施例1と
同様に行った。得られた複合体のシートは、白濁してお
り、TEMで拡大観察したところ、10μm以上の粒子
が観察された。
内に代わり、大気中にて作業をした以外は、実施例1と
同様に行った。得られた複合体のシートは、白濁してお
り、TEMで拡大観察したところ、10μm以上の粒子
が観察された。
内に代わり、大気中にて作業をした以外は、実施例1と
同様に行った。得られた複合体のシートは、白濁してお
り、TEMで拡大観察したところ、10μm以上の粒子
が観察された。
物に、さらに理論水分に相当分の水分を添加した後に、
水分量が0.1体積%以下の窒素ガスで置換されたグロ
ーブボックス内にて、実施例3と同様に作業した。複合
体のシートは、白濁すると共に、脆くなっており、他の
測定はできなかった。
物に、さらに理論水分に相当分の水分、及び、シリコン
アルコキシドの加水分解を抑制するものとして知られて
いるシランカップリング剤として3−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシランを併用した以外は、実施例3と
同様に行った。得られた複合体のシートは、透明性を有
し、白濁は見られなかったが、TEMで拡大観察したと
ころ0.1μm程度の粒子が多数観察された。
キシドに代わり、粒径2μmのシリカ粒子をエポキシ樹
脂組成物全体の7重量%となるように配合した以外は、
実施例3と同様に行い複合体シートを得た。
例5,6の複合体シートは、外観以外の特性として、ガ
ラス転移温度(Tg)、熱膨張係数、及び、高温時の弾
性率を測定した。比較例1〜4は、脆い状態で測定がで
きなかった。
度5℃/分の加熱条件で測定した。高温時の弾性率は、
DMAによる動的粘弾性を測定して200℃の弾性率を
求めた。熱膨張係数は、長さ10mm×5mmに2gの
荷重をかけて、20℃から200℃までを測定して得ら
れた熱膨張チャートから算出した。
複合体はいずれも、ガラス転移温度が向上し、低熱膨張
係数であると共に、弾性率が良好なことが確認された。
び、そのtanδのグラフを示す。図1に温度と弾性率
を表したDMAのグラフであり、図2に温度とtanδ
を表したDMAのグラフである。
し、グラフBは比較例6を示す。また、図2において、
グラフCは実施例7を示し、グラフDは比較例6を示す
ものである。図1に示す如く、グラフBの比較例6は、
ガラス転移温度である130℃以上で急激に弾性率が低
下するものであるのに対し、グラフAの実施例7は、ガ
ラス転移温度である190℃〜200℃でも弾性率が高
く、高強度を維持することが確認された。また、図2に
示す如く、グラフDの比較例6は、ガラス転移温度であ
る130℃以上で急激な軟化が生じるのに対し、グラフ
Cの実施例7は、ガラス転移温度である190℃〜20
0℃でも急激な軟化が生じないことが確認された。
成分の複合体は、エポキシ樹脂の硬化物中にシリコンア
ルコキシドの加水分解縮合物が超微粒子の状態で分散し
たハイブリット構造の複合体となることができるので、
ガラス転移温度が向上し、低熱膨張係数であると共に、
弾性率が良好である。
ガラス転移温度が向上し、低熱膨張係数であると共に、
弾性率が良好な複合体を得ることができる。
MAのグラフである。
DMAのグラフである。
Claims (9)
- 【請求項1】 (a)成分にエポキシ樹脂、(b)成分
にエポキシ樹脂の硬化剤、及び、(c)成分にシリコン
アルコキシドを構成材料とするエポキシ樹脂組成物のエ
ポキシ樹脂が硬化したエポキシ樹脂と無機成分の複合体
において、上記(a)、(b)、(c)成分を配合した
エポキシ樹脂組成物を、実質的に水分を含まない雰囲気
下で上記エポキシ樹脂の開環重合を先行して進行させて
1次反応生成物を得た後に、さらに、この1次反応生成
物に水分を供給してシリコンアルコキシドの加水分解縮
合反応を進行させると共に上記エポキシ樹脂を完全硬化
させたものであることを特徴とするエポキシ樹脂と無機
成分の複合体。 - 【請求項2】 上記エポキシ樹脂を完全硬化させたもの
に、上記シリコンアルコキシドの加水分解縮合反応して
形成された粒子が分散されていると共に、上記粒子の粒
子径が1nm以下であることを特徴とする請求項1記載
のエポキシ樹脂と無機成分の複合体。 - 【請求項3】 (a)成分にエポキシ樹脂、(b)成分
にエポキシ樹脂の硬化剤、及び、(c)成分にシリコン
アルコキシドを構成材料とした複合体の製造方法におい
て、上記(a)、(b)、(c)成分を配合したエポキ
シ樹脂組成物を、実質的に水分を含まない雰囲気下で上
記エポキシ樹脂の開環重合を先行して進行させて1次反
応生成物を得た後に、次いで、この1次反応生成物に水
分を供給してシリコンアルコキシドの加水分解縮合反応
を進行させると共に上記エポキシ樹脂を完全硬化させる
ことを特徴とする複合体の製造方法。 - 【請求項4】 上記実質的に水分を含まない雰囲気下
が、水分量が0.1体積%以下の気体であることを特徴
とする請求項3記載の複合体の製造方法。 - 【請求項5】 上記実質的に水分を含まない雰囲気下
が、窒素ガス雰囲気であることを特徴とする請求項3又
は請求項4記載の複合体の製造方法。 - 【請求項6】 上記1次反応生成物は、エポキシ樹脂の
開環重合の進行が、エポキシ基の50%以上を開環反応
させた状態であることを特徴とする請求項3乃至請求項
5いずれか記載の複合体の製造方法。 - 【請求項7】 上記エポキシ樹脂組成物が含有する水分
量は、シリコンアルコキシドの加水分解に必要な理論量
の20重量%以下の状態であることを特徴とする請求項
3乃至請求項6いずれか記載の複合体の製造方法。 - 【請求項8】 上記シリコンアルコキシドの加水分解縮
合反応の進行が、大気中で加熱処理を施すことであるこ
とを特徴とする請求項3乃至請求項7いずれか記載の複
合体の製造方法。 - 【請求項9】 上記エポキシ樹脂組成物を離型フィルム
に塗布し、窒素ガス雰囲気下で加熱して上記1次反応生
成物を得た後に、大気下で加水分解縮合反応を進行させ
て上記エポキシ樹脂を完全硬化させた後に、この離型フ
ィルムを剥離することを特徴とする請求項3乃至請求項
8いずれか記載の複合体の製造方法。
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JP2000088050A JP3807188B2 (ja) | 2000-03-28 | 2000-03-28 | エポキシ樹脂と無機成分の複合体及びその製造方法 |
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JP2001270979A true JP2001270979A (ja) | 2001-10-02 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002155127A (ja) * | 2000-11-22 | 2002-05-28 | Nippon Kayaku Co Ltd | エポキシ樹脂組成物及びそれを硬化してなる有機・無機複合体 |
JP2006191150A (ja) * | 2006-03-28 | 2006-07-20 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | 絶縁シート、金属箔付き絶縁シートおよび多層プリント配線板 |
US20200123397A1 (en) * | 2017-02-03 | 2020-04-23 | Mitsubishi Materials Corporation | Coating for forming infrared shielding film, infrared shielding film-equipped transparent substrate, and method for producing same |
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2000
- 2000-03-28 JP JP2000088050A patent/JP3807188B2/ja not_active Expired - Fee Related
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