JP2001270031A - 結露防止用外装材 - Google Patents
結露防止用外装材Info
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Abstract
4〜6μm域での分光放射率を向上させることにより、
赤外線放射率を向上させ、例えば、低温運転されるLN
Gプラントなどの配管に対して、結露防止保冷厚さを低
減し、かつ耐食性に優れた結露防止用外装材のの提供を
課題とする。 【解決手段】 金属板の少なくとも片面に、表面粗さが
中心線平均粗さで2〜20μm、うねりの平均波長が5
〜60μmであって、波長4〜6μm域での分光放射率
の最小値が0.5以上、かつ赤外線放射率が0.85以
上である有機高分子被膜を形成したことを解決手段とす
る。
Description
れ結露防止に有効な結露防止用外装材に関する。
・保冷状態はパイプの外部に巻かれる断熱材および外装
材に影響される。搬送流体がマイナス百数十℃程度の配
管の場合、外装材表面で腐食の原因になる結露が生じる
恐れがあるため、パイプ外装材の表面温度を露点以上に
保持することができるような厚みいわゆる保冷厚さ以上
の断熱材が使用される。この保冷厚さについては、例え
ば、ASTM C 680−69、VDI2055など
に試算モデルが示されているが、対流による熱伝達率を
一定とした場合、外装材表面の放射率が高いほど保冷厚
さが薄くなる傾向がある。
いないステンレス鋼板、アルミニウムめっき鋼板、アル
ミニウム板が使用されている。配管の施工上、断熱材の
厚みは薄い方が好ましいが、これらの外装材の赤外線放
射率は0.2〜0.4と低く、設計が適切でなかった場
合、昼間日陰になる部分および夜間時に表面に結露を生
じることがあった。この結露の発生によって外装材の腐
食が発生し進行すると、外装材の交換が必要になり、さ
らに断熱材部に水分が侵入した場合には、断熱効果が低
下して保冷不足になったり、配管自体の腐食も誘発した
りして、内部液体の一部が気化し輸送効率が著しく低下
するという問題があった。
雑誌「配管と装置」96年3月号2〜7ページに見られ
るように外装材に赤外線放射率0.8〜0.85程度の
塗装材を使用することが検討されている。これら塗装材
の使用により前述の外装材と比較して20〜30%程度
保冷厚さの低減を図ることができると試算されている。
従って、既存の設備・配管に対しても外装材のみを交換
することで、断熱材の厚みを変えることなく、より大き
な結露防止効果を得ることができる。
膜の主成分である有機高分子の赤外線放射特性は、図2
の分光放射スペクトルにみられるように、波長4〜6μ
mの放射率が他の波長域に比較して低く、このことは全
波長域を対象とした赤外線放射率を低下させる原因とな
っている。この理由は、有機高分子の骨格や官能基の有
する固有の振動、回転エネルギーのうち、4〜6μmの
波長域には、例えばニトリル基などの限られた赤外エネ
ルギーしか存在しないためである。
厚さに依存するので、膜厚を増加させることによって赤
外線放射率を高くすることができる。しかしながらプレ
コート鋼板においては、各種特性を満足させるため膜厚
の上限が設定され、前述の赤外線放射率をさらに大きく
することは不可能であった。そこで赤外線放射率を向上
させる手段としては、この波長領域に高放射率を示す粉
末を被膜中に含有させる方法しか見出されていなかっ
た。
て、波長4〜6μm域での分光放射率を向上させること
により、赤外線放射率を向上させ、例えば、低温運転さ
れるLNGプラントなどの配管に対して、結露防止保冷
厚さを低減し、かつ耐食性に優れた結露防止用外装材の
提供を課題とする。
明の態様は、金属板の少なくとも片面に、表面粗さが中
心線平均粗さで2〜20μm、うねりの平均波長が5〜
60μmであって、波長4〜6μm域での分光放射率の
最小値が0.5以上、かつ赤外線放射率が0.85以上
である有機高分子被膜を形成したことを特徴とする結露
防止用外装材である。
膜が例えばポリエステル系又はアクリル系の縮み塗料か
らなることを特徴とするか、前記有機高分子被膜中の平
均粒径が2〜60μmである骨材を乾燥被膜中体積含有
率で30〜80%含有することを特徴とすることが望ま
しい。
て、赤外線放射率をさらに(0.9程度以上まで)向上
させる方法として、外装材の被膜表面を表面粗さが中心
線平均粗さで2〜20μm、うねりの平均波長を5〜6
0μmとし、波長4〜6μm域の分光放射率の最小値を
0.5以上とすることが有効であることを見い出した。
波長4〜6μmの赤外線の放射率を向上させるために、
有機高分子被膜の表面形状を本発明に規定した中心線平
均粗さで2〜20μm、うねりの平均波長が5〜60μ
mとすれば効果が得られることについて、発明者らは、
顔料粒径が塗膜の隠ぺい性に影響を及ぼす場合と同様の
作用が働くためと推定している。
学特性との関係は、これまで多くの研究者によって研究
されてきた。その結果、良好な隠ぺい力や着色力を得る
ためには、最適な顔料粒径が存在することが明らかにさ
れている。最適粒径は顔料の屈折率によって変化する
が、屈折率の高いルチル型酸化チタンで光の波長の1/
2倍の粒径、屈折率の比較的低い黄酸化鉄で光の波長の
1倍の粒径である。Kirchhoffの法則より吸収率と放射
率は等しいことから、吸収率を放射率と置き換えて考え
ることが可能である。すなわち、光の効率的な反射、吸
収/放射が行われる粒径は、対象とする光の波長の少な
くとも1/2倍以上必要であることが導かれる。
粗度の大きな表面が高い放射率を示すことについては、
当然、表面粗度の大きい表面は表面積が拡大されること
によって、放射性を高めるからであると考えられるが、
それだけでは、有機高分子被膜の放射特性の中でとりわ
け波長4〜6μmの領域の分光放射率を大幅に向上する
ことを説明できない。本発明者らは、顔料粒径と光の反
射、吸収/放射特性との関係と同様の作用が被膜表面で
生じ、この作用が赤外線放射率の向上に大きく寄与する
ためであると推察する。
の領域の赤外線を放射するためには、目的波長の1/2
倍である2μm以上、20μm以下の中心線平均粗さを
有し、うねりの平均波長が5〜60μmと規定すること
で達成することが可能となる。中心線平均粗さが2μm
より小さいか、うねりの平均波長が5〜60μmでない
場合、上記の作用を得ることができないため、目的とす
る波長4〜6μmの領域の分光放射率を向上することが
できない。又、中心線平均粗さが20μmより大きいも
のは成形加工時に被膜の割れを生じやすく、対磨耗性も
劣るため実用性を満足しない。本発明の被膜表面形状を
形成することにより、波長4〜6μmの分光放射率の最
小値は平滑な表面が0.3〜0.4程度(図2参照)で
あるのに比較して、図1の分光放射スペクトルに示すよ
うに0.5以上に向上させることが可能となった。
防止に有効に働くのは、以下に説明する作用によると考
えられる。本発明の結露防止用外装材がLNGなど極低
温の流体を輸送する保冷配管の外装材として使用される
環境において、外装材表面温度は周囲環境の温度より低
い状態となる。この場合、熱の移動は周囲環境から外装
材の方向に生じることになるため、外装材の吸収率、す
なわち、放射率が高いほど外装材表面の温度は上昇し、
露点以上に保つことが容易となる。環境の温度は、LN
Gが産出される熱帯地域においては最高40℃を越える
ことが考えられる。このような高温からは主として波長
3〜50μmの赤外線が放射される。放射される赤外線
の内、よりエネルギーの大きい短波長の4〜6μmの分
光放射率を0.5以上にすることは、従来の有機高分子
被覆外装材に比較して、外装材表面温度を露点以上に保
つことに有利に働き、その結果、断熱材の厚さを減少さ
せることが可能となる。
光放射率の最小値が0.5以上を示す形状を持つ有機高
分子被膜をより容易に形成する方法を見出した。一つ
は、例えば、縮み塗料(表面張力、硬化速度の異なる2
種類以上の樹脂を組み合わせた塗料であって、焼き付け
硬化後、凹凸形状を形成する塗料)を選択し、適切な条
件で塗装・焼き付け硬化させることによって本発明に規
定する表面形状を持った被膜を形成させる方法である。
縮み塗料の樹脂系としては、特に限られるものではない
が、例えばポリエステル樹脂またはアクリル樹脂などが
あげられる。塗装条件としては、平均被膜厚として、少
なくとも12μm以上を形成することが望ましい。12
μm未満であると被膜厚に依存する赤外線放射率が下地
金属板の放射率を反映して低くなり、本発明規定の赤外
線放射率0.85以上を達成できないためである。焼き
付け硬化条件としては、公知のプレコートメタル用縮み
塗料の焼き付け条件、例えば、180〜250℃で30
〜120秒間焼き付ける方法を採用すればよい。
均粒径が2〜60μmである骨材を乾燥被膜中体積含有
率で30〜80%含有させる方法である。骨材の粒径が
2μm未満の場合中心線平均粗さが2μm以下となり、
60μmを超えるとうねりの平均波長が60μmを超え
るため、ともに本発明の規定範囲を満足しない。骨材の
乾燥被膜中体積含有率が30%未満の場合、うねりの平
均波長が60μmを超え、本発明の規定範囲を達成しな
い。一方骨材の乾燥被膜中体積含有率が80%を超える
と、被膜中に占めるバインダーの比率が小さくなり、被
膜の凝集力の不足したもろい被膜となるため実用に耐え
られなくなる。この場合の有機高分子被膜は、樹脂系が
例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、
エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、シリコ
ン樹脂、シリコン変性ポリエステル樹脂の少なくとも1
種以上を選択したプレコートメタル用塗料を使用して、
適当な焼き付け条件、例えば180〜250℃で30〜
120秒焼き付ければよい。なお、骨材の種類は、例え
ば、ガラスビーズ、シリカ粒子、ナイロンビーズ、ポリ
エステルビーズ、ポリアクリロニトリルビーズ、PTF
E粒子、アクリルビーズ等、無機物、有機物を問わな
い。
属板には、耐食性の良好なめっき鋼板、例えば、アルミ
ニウムめっき鋼板、亜鉛−アルミニウム合金合金めっき
鋼板、亜鉛めっき鋼板など、ステンレス鋼板、アルミニ
ウム板などが使用できる。
は、被膜中に赤外線高放射性材料粉末を一種以上添加し
てもよい。このような粉末としては、セラミックス粉
末、遷移元素の酸化物又は複合酸化物粉末、カーボンブ
ラックなどがある。具体的には、セラミックス粉末とし
て、TiC,TiN,TiB2,TiO,ZrCなどが
あり、遷移元素の酸化物又は複合酸化物粉末としては、
Fe3O4、MnO2,CoO,CuO,Cr2O3,Ni
Oなどがある。
いもう一方の面については被膜の有無を規定しないが、
結露による腐食防止のためには、同様に適当な被膜を形
成しておくことが望ましい。
例とともに以下に説明する。 実施例1 板厚0.5mmの溶融アルミニウムめっき鋼板の基材の
片面に、アルカリ脱脂処理後、リン酸クロメート処理を
施した。そして、顔料組成を乾燥被膜に占める割合がT
iO2(平均粒径0.23μm)50質量%、カーボン
ブラック(平均粒径0.02μm)0.5質量%である
ポリエステル樹脂系縮み塗料を乾燥後の被膜厚が20μ
mとなるよう塗装、乾燥して外装材を製造した。
実施例1と同様な操作を行い外装材を製造した。
樹脂系塗料に変更した以外は実施例1と同様な操作を行
い外装材を製造した。
樹脂系塗料に変更し、平均粒径が25μmのナイロンビ
ーズを乾燥被膜中体積含有率が30%となるよう混合し
た後、塗装、乾燥した以外は実施例1と同様な操作を行
い外装材を製造した。
樹脂系塗料に変更し、平均粒径が25μmのナイロンビ
ーズを乾燥被膜中体積含有率が80%となるよう混合し
た後、塗装、乾燥した以外は実施例1と同様な操作を行
い外装材を製造した。
樹脂系塗料に変更し、平均粒径が25μmのナイロンビ
ーズを乾燥被膜中体積含有率が20%となるよう混合し
た後、塗装、乾燥した以外は実施例1と同様な操作を行
い外装材を製造した。
樹脂系塗料に変更し、平均粒径が70μmのナイロンビ
ーズを乾燥被膜中体積含有率が50%となるよう混合し
た後、乾燥後被膜厚が65μmとなるよう塗装、乾燥し
た以外は実施例1と同様な操作を行い外装材を製造し
た。
2B仕上げ材からなる基材の片面に、アルカリ脱脂処理
後、塗布型クロメート処理液を塗布、乾燥した。そし
て、実施例1と同じポリエステル樹脂系縮み塗料を乾燥
後の被膜厚が20μmとなるように塗装、乾燥して外装
材を製造した。
基材の片面に、酸洗処理後、塗布型クロメート処理液を
塗布、乾燥した。そして、実施例1と同一顔料組成のア
クリル樹脂系縮み塗料を乾燥後の被膜厚が20μmとな
るように塗装、乾燥して外装材を製造した。
し、乾燥後被膜厚を2μmとした以外は実施例1と同様
な操作を行い外装材を製造した。
3、従来例で各々製造した外装材の被膜特性を示す。な
お、赤外線放射率は、放射計(Device & Service社製
AERD型)を用いて波長3〜30μmの範囲の全放射率を
測定して、赤外線放射率とした。また、波長4〜6μm
の分光放射率は、CI systems社製 SR IR spectroradio
meterを用いて計測した。
いずれも、表面粗さが中心線平均粗さで2μm以上で2
0μm以下、うねりの平均波長が5μm以上で60μm
以下であって、波長4〜6μm域での分光放射率の最小
値が0.5以上、かつ赤外線放射率が0.85以上であ
るという本発明の数値限定範囲に入っているが、比較例
1〜3及び従来例は上記の数値限定範囲を満足していな
い。
り、結露の有無を見る試験を行った。試験は雰囲気20
℃、相対湿度60%の屋内で行った。図3に示すように
直径150mm、長さ400mmの円筒状鋼製容器(板
厚2mm)1の底面に設けた注入口2より液体窒素を注
入し、密閉した。鋼製容器1の両底面に直径350m
m、厚さ250mmの円柱状断熱材3をそれぞれ被覆し
た。なお、断熱材にはJIS A 9514規格の保温
板1種2号に相当する硬質ウレタンフォーム成型品を切
出して使用した。続いて測定面である側面に上記と同一
の断熱材4を設定厚さに巻き付けて被覆し、この外面に
表1に示した外装材5を隙間無く巻き付け、バンド止め
して固定した。結露発生の有無の判定は、鋼製容器外面
に接触させた熱電対によって示される温度が−150℃
以下に60分以上保持されたのを確認後、外装材表面を
目視観察して行った。各外装材について断熱材厚さを減
少していき、結露の発生が起こらない最小の厚さ(結露
非発生最小断熱材厚さ)を記録した。調査結果を下記表
2に示す。
μmの分光放射率の最小値が大きくなる程、結露非発生
最小断熱材厚さは小さくなることが分かる。即ち、本発
明の範囲でない比較例1〜3、従来例の場合、結露非発
生最小断熱材厚さは大きくなるのに対して、本発明品の
範囲である4〜6μmの分光放射率が0.5以上、赤外
線放射率が0.85以上である実施例1〜6の場合に、
断熱材厚さの低減効果が得られたことが分かる。
る。 (1)請求項1に係る本発明の結露防止用外装材によれ
ば、高放射率であることから、断熱保冷材の厚さが小さ
くて済むため、LNGプラント等の設備コストの削減が
図れる。同時に、塗装鋼板を使用することにより外装材
の耐食性の向上を図ることもできる。 (2)請求項2〜請求項4のいずれか1項に係る本発明
の結露防止用外装材によれば、請求項1に規定した本発
明の結露防止用外装材を容易に得ることができる。
射スペクトルの一例を示す図である。
の一例を示す図である。
実験装置の斜視図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 金属板の少なくとも片面に、表面粗さ
が中心線平均粗さで2〜20μm、うねりの平均波長が
5〜60μmであって、波長4〜6μm域での分光放射
率の最小値が0.5以上、かつ赤外線放射率が0.85
以上である有機高分子被膜を形成したことを特徴とする
結露防止用外装材。 - 【請求項2】 前記有機高分子被膜が縮み塗料からな
ることを特徴とする請求項1に記載の結露防止用外装
材。 - 【請求項3】 前記縮み塗料がポリエステル樹脂系又
はアクリル樹脂系である請求項2に記載の結露防止用外
装材。 - 【請求項4】 前記有機高分子被膜中の平均粒径が2
〜60μmである骨材を乾燥被膜中体積含有率で30〜
80%含有することを特徴とする請求項1に記載の結露
防止用外装材。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2000087862A JP3739991B2 (ja) | 2000-03-28 | 2000-03-28 | 結露防止用外装材 |
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JP2001270031A true JP2001270031A (ja) | 2001-10-02 |
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ID=18603813
Family Applications (1)
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JP2000087862A Expired - Lifetime JP3739991B2 (ja) | 2000-03-28 | 2000-03-28 | 結露防止用外装材 |
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-
2000
- 2000-03-28 JP JP2000087862A patent/JP3739991B2/ja not_active Expired - Lifetime
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