JP2001269637A - オゾン水による流体流通経路の洗浄方法及びその装置 - Google Patents

オゾン水による流体流通経路の洗浄方法及びその装置

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JP2001269637A
JP2001269637A JP2000090717A JP2000090717A JP2001269637A JP 2001269637 A JP2001269637 A JP 2001269637A JP 2000090717 A JP2000090717 A JP 2000090717A JP 2000090717 A JP2000090717 A JP 2000090717A JP 2001269637 A JP2001269637 A JP 2001269637A
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water
ozone
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Senji Ogawara
銑二 小河原
Akira Kanbayashiyama
章 上林山
Yoshiyuki Nishimura
善之 西村
Shinichi Katsushima
眞一 勝島
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SHINKO PLANT KENSETSU KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少量のオゾン水で流体流通経路の洗浄を可能
にした洗浄方法と洗浄装置を提供すること。 【解決手段】 本発明の流体流通経路(4)のオゾン水
による洗浄法及び装置は、オゾン水を密閉状態で貯蔵す
るオゾン水貯蔵タンク(2)からポンプ(P1)を介し
て流体流通経路(4)にオゾン水を流通させた後、前記
オゾン水貯蔵タンク(2)に該オゾン水を帰還させる事
により、前記流体流通経路(4)を密閉系においてオゾ
ン水洗浄を行うもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、オゾン水を用いた
各種流体流路の洗浄方法とその装置に関するものであ
り、特に、食品流体のタンク,配管等からなる流通経路
の洗浄に最適な洗浄方法とその装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、牛乳,ビール,日本酒,ウイ
スキー,ジュース等の食品流体プラントのタンク及び配
管等からなる食品流体流路は、ボトリング等の作業の終
了時或いは種類の切り替え時には、必ず洗浄が行われて
いる。ビール等の同一品種を多量に生産する場合には、
製造設備は昼夜連続運転がなされているので、タンクや
配管等の流体流通経路(以下単に「流体流通経路」とい
う)の洗浄頻度は高くないが、牛乳のボトリングの場合
には、日々入荷する牛乳を殺菌処理して適宜成分調整を
行った後にボトリング作業が行われ、その日の作業が終
了すると、その日の内に流体流路の洗浄及び殺菌を行う
のが常である。
【0003】これらの洗浄方法としては、油脂分の多い
流体の場合には、予めアルカリ洗浄によって油脂分の分
解を行い、必要に応じて酸性水で流体流通経路を中和
し、ヨウ素その他の殺菌機能を有する洗浄剤を添加した
温水によって洗浄し、場合によっては、洗浄剤の入り込
み難い部分の殺菌を確実にするため、更に熱水を流通さ
せて洗浄,殺菌を行等の方式が採用されていた。
【0004】一方、オゾンの有する有機物の分解能力と
殺菌能力を利用したオゾン水による洗浄方法も提案され
ている。この方法は、主として食品工場の床や側溝等の
開放系において使用されており、オゾン水を散布して該
床や側溝等の洗浄と同時に空中浮遊微生物の殺菌をも目
的とした洗浄方法である。一方、閉鎖系に類似するもの
として、人工臓器の機器洗浄用にオゾン水を使用する方
法も提案されており、該臓器内の流路内にオゾン水を流
通させる方式である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】係る従来の方法におい
て、先ず、洗浄剤を用いる方式においては、原理的に洗
浄剤自体を必要とし、これが排水となって流出すること
になるので、所定の排水処理が必要となる。又、アルカ
リ洗浄を行う場合には、強アルカリ水の使用が一般的で
あり、係るアルカリ排水の中和のために副資材としての
酸性水が必要となり、更に、この排水処理も必要であ
る。加えて熱水や温水を使用する場合には、水の加熱の
ためのエネルギコストが必要となる。いずれの場合も、
大量の排水を排出したり、加熱したものを放冷するだけ
のための熱エネルギが必要となる等、地球環境保護の観
点からは、多くの改善すべき課題を有していた。
【0006】又、従来のオゾン水による洗浄法は、前述
の通り撒布が中心であり、例外的に透析装置の如き人工
臓器の洗浄に使用する事が提案されているが、機器の内
部洗浄の場合には小さな装置に限られていた。これは、
オゾン水中の残留オゾン濃度が短時間で急速に減少し、
食品プラントの配管等の大型機器類には適用し難いとの
一般的な認識に基づくものである。
【0007】本発明は、食品工業等の流体流通経路にお
ける洗浄を、無用の排水を大量に発生する事なく,エネ
ルギ消費量も少なく且つ簡便なオゾン水による流体流通
経路の洗浄方法とその装置を提供する事を目的とするも
のである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、係る観点の元
になされたものであって、密閉系においてはオゾン水中
のオゾン濃度の低下は穏やかに生じるとの知見に基づ
き、大型食品プラント等の洗浄を必要とする流体流通経
路の洗浄をオゾン水によって行うものであり、第1の方
法は、オゾン水を密閉状態で貯蔵するオゾン水貯蔵タン
クからポンプを介して前記流体流通経路にオゾン水を流
通させた後、前記オゾン水貯蔵タンクに該オゾン水を帰
還させる事により、前記流体流通経路を密閉系において
オゾン水洗浄する点にある。即ち、オゾン水を密閉系で
循環させる事により、オゾン水中のオゾン濃度の急激な
低下を防ぎつつ、オゾン水による流体流通経路の洗浄を
行うものである。
【0009】本発明の第2の方法は、オゾン水を密閉状
態で貯蔵するオゾン水貯蔵タンク中のオゾン水を、ポン
プによって昇圧して前記流体流通経路に供給し、該流体
流通経路を流通させた後、減圧部を経て該流体流通経路
から排出する様にしてなるものである。即ち、前記第1
の方法が循環方式であるのに対し、この方法は、流体流
通経路の出口でオゾン水を減圧させる事により、該流体
流通経路内を疑似密閉環境に保持してオゾン濃度の急激
な低下を防ぎつつ、オゾン水による流体流通経路の洗浄
を行うものである。
【0010】尚、使用するオゾン水のpHとしては、p
Hを7以下の中性又は弱酸性に調整しておくのが好まし
い。これは、オゾン水濃度の低下速度がpHに依存し、
中性又は酸性領域では低下速度が遅くなる現象を利用し
て上記密閉系や疑似密閉系におけるオゾン水濃度の低下
を極力抑える様になし、大型流体流通経路においても容
易に適用できる様にしている。
【0011】又、本発明で使用するオゾン水としては、
高濃度オゾン水を得易い水の電気分解法によって陽極側
に生成させたオゾン水を使用するのが好ましく、この場
合には、陰極側に生成した弱アルカリ水を、前記オゾン
水の流通前に流通させて油分をアルカリ水によって分解
しておく方法もある。
【0012】又、前記オゾン水貯蔵タンク内のオゾン水
量を、該タンク容積の80%以上に維持する様になすの
は、該タンク内でのオゾン水中のオゾンの自然放散によ
る濃度低下を抑える方法として好ましい方法である。
【0013】更に、本発明に係る前記第1の洗浄方法を
実施するための洗浄装置としては、オゾン水製造装置
と、該オゾン水製造装置で製造されたオゾン水を密閉状
態で貯蔵するオゾン水タンクと、該オゾン水タンク中の
オゾン水を前記流体流通経路の始端部に供給するオゾン
水供給用配管と、該配管に設けられた送給ポンプと、前
記流体流通経路の終端部と前記オゾン水タンクとを連通
するオゾン水帰還用配管とを有し、これにより、密閉系
オゾン水循環流路を形成してなるものである。
【0014】又、本発明に係る前記第2の洗浄方法を実
施するための洗浄装置としては、オゾン水製造装置と、
該オゾン水製造装置で製造されたオゾン水を密閉状態で
貯蔵するオゾン水タンクと、該タンク中のオゾン水を流
体流通経路の始端部に供給するオゾン水供給用配管と、
該配管に設けられた昇圧ポンプと、前記流体流通経路の
終端部に配置された減圧手段とを有してなるもので、該
減圧手段によって前記流体流通経路を疑似密閉系に保つ
ものである。
【0015】尚、前記オゾン水製造装置として水の電気
分解法による電解式オゾン水製造装置を使用し、該オゾ
ン水製造装置の陰極側に生成したアルカリ水を貯蔵する
アルカリ水タンクと、該アルカリ水タンク中のアルカリ
水を前記流体流通経路に供給するアルカリ水供給用配管
と、該配管に設けられた送給ポンプとを併設し、オゾン
水による流体流通経路の洗浄に先立ってアルカリ水によ
る油分の分解を行える様にしたものも好ましい態様であ
る。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。先ず、本発明が対象とする流体流通経路の洗浄と
は、前述の食品工業の他、染料,医薬,化粧品等におい
て原料や製品の切替えのために行う配管或いは配管とタ
ンク,ポンプ等の機器類の洗浄や、これらの工場におい
て日々の作業として行われる配管と或いは配管とタン
ク,ポンプ等の機器類の洗浄を意味し、機能としては、
単なる汚れ除去を目的とした洗浄のみならず、殺菌や脱
色,脱臭を含めて、前工程で使用した物質の影響を消去
する作用を含めた広義の意味を有している。
【0017】次に、本発明の特徴である密閉系における
オゾン水濃度の変化について説明する。図2は、初期オ
ゾン濃度20ppmのオゾン水(pH=7)をプラスチ
ック袋に充填して密閉した際のオゾン水中のオゾン濃度
の経時変化を示したグラフであり、図3は、初期オゾン
濃度15ppmのオゾン水(pH=7)を注入したプラ
スチック袋を大気開放した状態でのオゾン水濃度の経時
変化を示したグラフであり、両図から明らかな様に、密
閉系では30分経過後のオゾン水濃度は10ppm(5
0%に減少)であるのに対し、開放系では約5ppm
(1/3に減少)に減少しており、更に1時間経過後
は、密閉系では約6.7ppm(1/3に減少)である
のに対し、開放系では約1.8ppm(約1/8に減
少)に減少している。尚、この試験例では、プラスチッ
ク袋の壁面を通してオゾンが放出されているので、正確
な測定ではないが、密閉系の方が、開放系の場合よりも
オゾン水の濃度低下速度が遅い傾向にある事が理解され
る。
【0018】次に、図4は、オゾン水のpHとオゾン水
中のオゾン濃度の経時変化を示したグラフであり、同図
から明らかな通り、アルカリ領域では急速にオゾン濃度
が低下する事が分かる。即ち、中性領域及び酸性領域で
は、オゾン濃度の急激な低下を防止し得る事が推察され
る。
【0019】図5は、酸性領域でのオゾン水中のオゾン
濃度の経時変化をしめしたグラフであり、オゾン水中に
酢酸を添加してpHを4の弱酸性に調整したもので、a
は、このオゾン水をステンレス容器に充填率100%で
充填した場合の変化を示し、bは、上部を開放した三つ
口フラスコの底部にオゾン水を注入して放置した場合
(フラスコの開口部には栓をせずに開放)の変化を示
し、cは、bと同様の三つ口フラスコの底部にオゾン水
を注入し、中央の開口には栓をし、両側の開口の一方か
ら空気を流入させて他方の開口から流出する様にした場
合の変化を示している。同図から明らかな様に、密閉系
(a)では30分経過後も約4.9mol/l(減少率
約4%)であるのに対し、単なる開放系(b)では約
2.2mol/l(減少率約60%),気体流通系
(c)では約0.4mol/l(減少率約90%)とな
っている。この事から、オゾン水を弱酸性領域で密閉系
に保持しておけば、オゾンの自然分解や自然放散等によ
る自然減少速度を大幅に低減させる事が可能である事が
理解されよう。
【0020】次に、上記知見に基づく本発明の方法と装
置について説明する。図1は、本発明方法を実施するた
めの装置のフロー図を示したもので、原料水配管10よ
り原料水が電解式オゾン水製造装置1に供給され、ここ
で陽極側に供給された原料水はオゾン水として配管11
からオゾン水貯蔵タンク2に送給され、陰極側に供給さ
れた原料水は、アルカリ水となって配管12を経てアル
カリ水貯蔵タンク3に送給される。
【0021】ここで、上記電解式オゾン水製造装置1
は、特開平8−134677号等に示されている公知の
装置であって、図6にその概要を示している。即ち、耐
オゾン性のフッ素系イオン交換膜等の有機物固体電解質
膜21の一方の面に、オゾン発生触媒機能を有する貴金
属製の金網等からなる陽極電極22を該電解質膜に重ね
合わせる様にして配置し、他方の面には、同様に陰極電
極23を該電解質膜に重ね合わせる様にして配置すると
共に、両電極の外側面には、夫々チタン或いはステンレ
ス鋼等のオゾン耐蝕性を有する金属製のラス網24,2
5が、全長に亘って配置されており、両電極間に直流電
圧を印加できる様に各電極は直流電源(図示せず)に接
続されている。又、各電極22,23とラス網24,2
5とを内包する様に、外側に陽極側ジャケット30と陰
極側ジャケット40が夫々配置され、各ジャケットに
は、陽極側水流入口31,陰極側水流入口41及びオゾ
ン水流出口32,アルカリ水流出口22が夫々形成され
ている。
【0022】上記電解式オゾン水製造装置1において、
両電極間に直流電圧を印加すると共に、各水流入口3
1,41から原料水を供給しつつ電解を行うと、陽極2
2側には水の電解により生成したOHイオン(OH-
が集まり、このOHイオンは、陽極のオゾン発生触媒の
作用によってオゾンに生成されると共に直ちに水中に溶
解してオゾン水が生成する。このオゾン水は、オゾン水
流出口32から前述の配管11を経てオゾン水貯蔵タン
ク2に送給される。ここで、陽極電極22の外面近傍に
は、千鳥状に金網が互いに接合されているラス網24に
よって複雑に入り組んだ流路が形成されているので、陽
極電極外面には多数の小さな渦流が生じ、この結果、電
極面で発生したオゾンは渦流に巻き込まれて速やかに水
中に溶解するので、オゾンガスとして水流と共に流出す
るオゾン量は減少し、即ち、溶解オゾン量が増加して3
0ppm程度の高濃度オゾン水が得られる事になる。
【0023】同様に、水の電解によって生成した水素イ
オン(H+ )は、陰極電極23側の電極面に集まって水
素ガスとなり、水中から放出されるが、陰極面には水中
に微量に含まれているナトリウムイオン(Na+ )やカ
ルシウムイオン(Ca++)等のアルカリ金属イオンやア
ルカリ土類金属イオンも集まって濃縮され、陰極側の水
をアルカリ水となし、前述の水素ガスと共にアルカリ水
流出口22から前述の配管12を経てアルカリ水貯蔵タ
ンク3に送給される事になる。この様に、陰極側には、
水素ガスと共に水中に微量に含まれているアルカリ金属
イオンやアルカリ土類金属イオン(主としてNa+ )も
濃縮される結果、陰極側の水はpH9〜11或いはそれ
以上のアルカリ水が生成される事が確認されている。
【0024】尚、このpH値は、両極側に供給する水の
量の比によって異なり、陰極側に供給する水の量を陽極
側に供給する水の量よりも少なくすれば、pH値は相対
的に高くなり、逆に多くすればpH値は低くなる。
【0025】図1において、上述した電解式オゾン水製
造装置1によって製造され、オゾン水貯蔵タンク2に貯
蔵されたオゾン水は、オゾン水供給用配管13を経て洗
浄すべき流体流通経路4の始端部4aに供給される。
尚、このオゾン水供給用配管13にはオゾン水の送給ポ
ンプP1とバルブV1,V8とが配置されており、オゾ
ン水供給時には該バルブV1,V8は“開”となってい
る。因みに、オゾン水製造装置1のオゾン水配管11か
ら分岐されている配管18に配置されているバルブV7
は、この時点では“閉”となっている。
【0026】ここで、流体流通経路4は、単に配管のみ
の場合もあるが、配管とその継ぎ手及びポンプ類やタン
ク類が存在する場合もあり、本図では、これらの機器の
組み合わせ表示を省略して点線で示している。
【0027】係る流体流通経路4内を流通して内部の洗
浄,殺菌,脱色,脱臭等の作用をしたオゾン水は、該流
体流通経路4の終端部4bから排出されてオゾン水帰還
用配管15を経て前記オゾン水貯蔵タンク2に帰還して
循環使用される様になっている。尚、前記オゾン水帰還
用配管15にはバルブV5が配置されており、このバル
ブV5は“開”となっている。一方、前記流体流通経路
4の終端部4bに形成された外部排出管17に配置され
ているバルブV4は“閉”となっている。
【0028】この様に、オゾン水をタンク2−配管13
−流体流通経路4−配管15−タンク2の順に至る循環
経路内で循環させている状態では、オゾン水は密閉系内
において循環しているので、前述通り密閉系におけるオ
ゾン濃度の経時変化は小さくなっており、従って、オゾ
ンによる洗浄や脱色,脱臭等による反応に消費されたオ
ゾン以外のオゾンの減少は少なくなっている。即ち、密
閉系によるオゾン水濃度の低下抑制効果が、循環による
オゾン水の再利用を可能にし、同時に、オゾン水の循環
が系内を密閉させる事になり、相互に関連しつつ効果を
増大させていると言える。これにより、本発明において
はオゾン水の使用量を大幅に低減させる事が可能とな
る。
【0029】上記実施形態において、オゾン水製造装置
1から配管11を経てオゾン水をオゾン水貯蔵タンク2
に供給しつつ前記オゾン水による流体流通経路4の洗浄
を行う場合には、前記外部排出管17のバルブV4を僅
かに開いて、前記タンク2内に供給されるオゾン水の量
に相当する量を該外部排出管17から排出させて循環系
内のオゾン水量のバランスを取るのが望ましい。この場
合には、前記オゾン水貯蔵タンク2に液面計を設置し、
この液面計からの信号によって液面が一定に維持される
様に前記バルブV4の開度を自動調節する事も可能であ
る。
【0030】尚、油脂類や染料等を扱う流体流通経路4
の洗浄の場合には、その扱う物質の種類によっては、循
環オゾン水が次第に汚れてくる場合もあるので、この場
合には、循環オゾン水による洗浄を所定時間継続した
後、ポンプP1を停止してバルブV8を“閉”とし、バ
ルブV7を“開”として前記オゾン水製造装置1からの
未使用のオゾン水を、配管11及び配管18を経て前記
流体流通経路4内に所定量通水して仕上げ洗浄を行う事
も可能である。この場合にも、仕上げ洗浄用のオゾン水
は極めて少なくてよい事は理解されよう。
【0031】次に、本発明の他の実施形態について説明
すると、図1において、前記オゾン水帰還用配管15の
バルブV5を“閉”となし、前記排出管17のバルブV
4を僅かに“開”の状態に絞った状態となす事によっ
て、該バルブV4の流通抵抗を大きくなし、この状態
で、オゾン水供給用配管13から流体流通経路4にオゾ
ン水の供給を行い、洗浄水を外部排出管17から排出す
る実施形態である。この実施形態は、前記流体流通経路
4の経路が充分長く、オゾン水中のオゾンの消費が大き
くて循環使用の意味が小さい場合に採用される実施形態
であり、前記外部排出管17に配置されたバルブV4が
減圧弁の作用をなす結果、前記送給ポンプP1の送給圧
力は該バルブV4の流通抵抗分だけ高くなり、圧力が高
い状態に保持されたオゾン水では、オゾンの自然分解や
放散等による自然減少は抑制され、前述の密閉状態に近
い疑似密閉状態となるので、前記流体流通経路4が充分
に長い場合であっても、終端部4bまで効率よくオゾン
水による洗浄が可能となる。
【0032】次に、前記電解式オゾン水製造装置によっ
てオゾン水を製造した場合には、前述の通り、陰極側に
アルカリ水が生成するので、このアルカリ水を洗浄に使
用する場合もある。即ち、油脂分を多く含む牛乳等の流
体流通経路の場合には、オゾン水を通水する前にアルカ
リ洗浄による該油脂分の分解をしておくのが好ましいの
で、係る場合に流体流通経路のアルカリ洗浄を先行実施
する事になる。この場合には、アルカリ水貯蔵タンク4
内のアルカリ水を送給ポンプP2及びアルカリ水供給用
配管14を経て流体流通経路4の始端部4aに供給し、
該流体流通経路4内を経たアルカリ水は外部排出管17
より外部に放出する。この場合には、バルブV1,V5
は“閉”となし、バルブV2,V4を“開”としてい
る。このアルカリ洗浄によって流体流通経路4内の油脂
分の分解工程が終わると、前記バルブV2,V4は
“閉”となし、バルブV1,V5を“開”にして前述し
たオゾン水循環による洗浄を行うか、或いは、バルブV
2,V5は“閉”となし、バルブV1,V4を“開”に
して前述した疑似密閉環境によるオゾン水洗浄を行う事
になる。尚、アルカリ水のpHは、前述の通りpH11
或いはそれ以上に高める事ができるが、pH9〜11程
度で洗浄に使用するのが電解式オゾン水製造装置の陽極
側に流通させる原料水とのバランス上、好ましい値であ
る。尚、上述のアルカリ水洗浄工程においても、該アル
カリ水を循環させる実施形態を採用し得る事はいうまで
もない。
【0033】又、前記オゾン水貯蔵タンク2内のオゾン
水量は、満杯状態で循環使用する様になせば、完全に気
相との接触面を有しない密閉系となるが、係るタンク類
に液体を封入する場合は、上部に気相が存在する様にす
る事は安全上必要な事であるので、該タンク内に気相の
存在は避け難い。このため、液面変動による内圧の所定
範囲以上の変化を避けるため、気相側を圧力弁V6を介
して吸排気管2aによって大気と連通させている。この
圧力弁V6は、通常は“閉”の状態にあり、タンク内圧
が所定値以上になると弁を開いて内部のガスを大気に放
出し、内圧が大気圧以下に下がると同様に弁を開いて大
気を吸入する機能を有している。従ってオゾン水使用時
に液面が下がって吸気を行なわれると、オゾンを含有し
ない大気が前記タンク2内に流入してくるので、タンク
内気相中のオゾン分圧が下がり、該タンク2内のオゾン
水中のオゾンの蒸発を促進する事になる。そこで、タン
ク内気相の占める割合が小さい程、その影響は小さく抑
える事が可能となる。例えば、オゾン分圧ゼロ(0)の
気相が80%の状態で20ppmのオゾン水が20%存
在すると、平衡状態でのオゾン水濃度は2ppmにまで
低下し、同様に、気相50%の場合における平衡状態で
のオゾン水濃度は4ppm,気相20%の場合における
平衡状態でのオゾン水濃度は10ppmとなる。
【0034】オゾン水のタンク貯蔵開始時には、前記吸
排気管2aのバルブV6は“開”の状態にあり、オゾン
水注入による内部気体の排出を行っているが、所定量貯
蔵されてオゾン水の使用が開始されると、該バルブV6
は“閉”となるので、該タンク内へのオゾン水充填初期
のみに上述した気相の存在によるオゾン水濃度低下の影
響は大きいと言えるが、オゾン水を該タンク2内に供給
しつつオゾン水の循環洗浄を行う場合には、前記吸排気
管2aからの吸排気は不可避であるので、吸気によるオ
ゾン水濃度の低下を極力さけるため、該タンク内のオゾ
ン水量は、該タンク容積の80%以上に保つ様に制御す
るのが好ましい。
【0035】尚、前述の外部排出管17から洗浄済オゾ
ン水を排出しつつ流体流通経路4の洗浄を行う場合にお
いても、オゾン水供給配管13から流体流通経路4に送
給されるオゾン水量は、配管11からオゾン水貯蔵タン
ク2内に供給されるオゾン水量と同程度となす事によっ
て、該オゾン水貯蔵タンク2内の液面は、液相の占める
割合がタンク容量の80%以上となる様に制御するのが
好ましい。
【0036】以上の説明においては、オゾン水製造装置
として電解式オゾン水製造装置を用いた場合の例につい
て説明しているが、オゾンガス溶解法によってオゾン水
を製造する場合においても、本発明を適用できる。この
場合には、前記オゾン水貯蔵タンク2内に暴気装置を配
置し、放電法等により生成したオゾンガスを該タンク2
内に暴気して溶解させる実施形態が一般的である。
【0037】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明のオゾン水に
よる流体流通経路の洗浄方法及び装置によると密閉系或
いは前述の疑似密閉系でオゾン水を流通させる様にして
いるので、オゾン水中のオゾン濃度の自然減少速度を著
しく遅くする事ができる結果、高濃度オゾン水のオゾン
濃度を長時間に亘って保持する事が可能となり、従来一
般には適用困難とされていた食品工業等の比較的大規模
の流体流通経路の洗浄にもオゾン水が適用できる事にな
り、オゾン水による洗浄作業を工業規模にも適用可能と
した事は、特筆に値する効果である。
【0038】特に、本発明では、洗浄水としてオゾン水
のみを用いるので、排水は分解物を含有するものの、そ
の他の成分は水であり、従来法の如く各種薬剤を含有し
ていないので、排水処理が極めて容易であり、通常の排
水として排出する事も可能となる。
【0039】又、従来の薬剤を用いる洗浄法に比して格
段に洗浄水の使用量を低減する事が可能となる。因み
に、神戸市にある某酒造会社の45mの配管洗浄の場合
に、従来法では、通常水約500lによる予備洗浄の
後、特殊な薬剤を添加した洗浄液約700lを通水して
洗浄し、最後に配管内に残留した洗浄液除去のための仕
上げ洗浄水を約1000l通水し、合計約2200lの
水を使用して洗浄を行っていたが、本発明では、通常水
約500lによる予備洗浄の後、20ppmのオゾン水
約140lを循環させ通水させれば良いので、全使用水
量は約640lとなり、従来法に対して約70%の水量
節減が可能となる。この結果、水資源の節約効果は大な
るものがある。加えて、洗浄時間も、各種洗浄水の切替
え作業が不要となり且つ洗浄水通水時間も短くなるの
で、全洗浄工程に要する時間は、従来法に比して約1/
3程度に短縮する事が可能となっている。因みに、流体
流通経路4内を流通する液体が日本酒であるので、オゾ
ン水の循環洗浄のみにより洗浄可能であり、前述の仕上
げ洗浄は省略する事が可能であった。
【0040】又、油脂類を扱う流体流通経路の洗浄の場
合には、オゾン水の通水に先立ってアルカリ洗浄を行う
事が好ましいが、この場合にも、オゾン水製造装置とし
て電解式オゾン水製造装置を採用すれば、陰極側にアル
カリ水が生成するので、このアルカリ水を用いてアルカ
リ洗浄を行う事が可能となる。このアルカリ水は、水の
電解によって生成したものであり、水酸化ナトリウムや
水酸化カリウムの如き塩基性物質を加えて人工的に調整
したアルカリ水ではないので、このアルカリ水も、その
まま排水する事ができる。特に、塩酸等の酸を添加して
中和処理する必要もないので、洗浄のための副資材も全
く必要がなく、洗浄コストの低減と共に排水処理の負荷
も軽減する事が可能となる。
【0041】以上を総合すると、本発明によると、基本
的にはオゾン水のみによって流体流通経路の洗浄が可能
となり、従来法に比べて使用水量を大幅に低減できると
共に洗浄時間も大幅に短縮可能となり、更に、特殊な洗
浄剤や副資材も不要となるので、排水処理が大幅に軽減
される結果、省エネ,省資源に大きく貢献し、地球環境
保全の観点からも極めて有効な洗浄技術であり、本技術
の普及による社会的影響は大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る流体流通経路洗浄装置のフロー図
である。
【図2】密閉系におけるオゾン水濃度の経時変化を示す
グラフである。
【図3】大気開放系におけるオゾン水濃度の経時変化を
示すグラフである。
【図4】各種pHにおけるオゾン水濃度の経時変化を示
すグラフである。
【図5】密閉系と大気開放系と大気流通系におけるオゾ
ン水濃度の経時変化を示すグラフである。
【図6】本発明で使用する電解式オゾン水製造装置の要
部概略図である。
【符号の説明】
1 オゾン水製造装置 2 オゾン水貯蔵タンク 3 アルカリ水貯蔵タンク 4 流体流通経路 13 オゾン水供給用配管 15 オゾン水帰還用配管
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年1月25日(2001.1.2
5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 オゾン水による流体流通経路の洗浄方
法及びその装置
【特許請求の範囲】
【請求項】 前記陰極側に生成した弱アルカリ水を、
前記オゾン水の流通前に前記流体流通経路に流通させて
なる請求項1乃至3のいずれかに記載のオゾン水による
流体流通経路の洗浄方法
【請求項】 配管或いは配管と機器類等からなる流体
流通経路(4)のオゾン水による洗浄装置において、水の電気分解法によって陽極側にオゾン水を生成し、陰
極側にアルカリ水を生成する電解式オゾン水製造装置
(1)と、 該電解式オゾン水製造装置(1)の陽極側に生成したオ
ゾン水を密閉状態で貯蔵するオゾン水貯蔵タンク(2)
と、 前記電解式オゾン水製造装置(1)の陰極側に生成した
アルカリ水を貯蔵するアルカリ水タンク(3)と、 前記オゾン水貯蔵タンク(2)中のオゾン水を前記流体
流通経路(4)の始端部(4a)に供給するオゾン水供
給用配管(13)と、 該オゾン水供給配管(13)に設けられた送給ポンプ
(P1)と、 前記流体流通経路(4)の終端部(4b)と前記オゾン
水貯蔵タンク(2)とを連通するオゾン水帰還用配管
(15)と、 前記アルカリ水タンク(3)中のアルカリ水を前記流体
流通経路(4)に供給するアルカリ水供給用配管(1
4)と、 該アルカリ水供給用配管(14)に設けられた送給ポン
プ(P2)と、 を有してなり、 前記オゾン水貯蔵タンク(2)と前記オゾン水供給配管
(13)と前記送給ポンプ(P1)と前記オゾン水帰還
用配管(15)とにより、密閉系オゾン水循環流路を形
成してなる 事を特徴とするオゾン水による流体流通経路
の洗浄装置
【請求項】 配管或いは配管と機器類等からなる流体
流通経路(4)のオゾン水による洗浄装置において、水の電気分解法によって陽極側にオゾン水を生成し、陰
極側にアルカリ水を生成する電解式オゾン水製造装置
(1)と、 該電解式オゾン水製造装置(1)の陽極側に生成したオ
ゾン水を密閉状態で貯蔵するオゾン水貯蔵タンク(2)
と、 前記電解式オゾン水製造装置(1)の陰極側に生成した
アルカリ水を貯蔵するアルカリ水タンク(3)と、 前記オゾン水貯蔵タンク(2)中のオゾン水を前記流体
流通経路(4)の始端部(4a)に供給するオゾン水供
給用配管(13)と、 該オゾン水供給配管(13)に設けられた送給ポンプ
(P1)と、 前記流体流通経路(4)の終端部(4b)に配置された
減圧手段(V4)と、前記アルカリ水タンク(3)中のアルカリ水を前記流体
流通経路(4)に供給するアルカリ水供給用配管(1
4)と、 該アルカリ水供給用配管(14)に設けられた送給ポン
プ(P2)と、 を有してなり、 前記流体流通経路(4)を加圧下においてオゾン水洗浄
可能に構成した事を 特徴とするオゾン水による流体流通
経路の洗浄方法
【請求項前記オゾン水のpHを中性又は弱酸性に
調整してなる請求項5又は6に記載のオゾン水による流
体流通経路の洗浄装置
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、オゾン水を用いた
各種流体流路の洗浄方法とその装置に関するものであ
り、特に、食品流体のタンク,配管等からなる流通経路
の洗浄に最適な洗浄方法とその装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、牛乳,ビール,日本酒,ウイ
スキー,ジュース等の食品流体プラントのタンク及び配
管等からなる食品流体流路は、ボトリング等の作業の終
了時或いは種類の切り替え時には、必ず洗浄が行われて
いる。ビール等の同一品種を多量に生産する場合には、
製造設備は昼夜連続運転がなされているので、タンクや
配管等の流体流通経路(以下単に「流体流通経路」とい
う)の洗浄頻度は高くないが、牛乳のボトリングの場合
には、日々入荷する牛乳を殺菌処理して適宜成分調整を
行った後にボトリング作業が行われ、その日の作業が終
了すると、その日の内に流体流路の洗浄及び殺菌を行う
のが常である。
【0003】これらの洗浄方法としては、油脂分の多い
流体の場合には、予めアルカリ洗浄によって油脂分の分
解を行い、必要に応じて酸性水で流体流通経路を中和
し、ヨウ素その他の殺菌機能を有する洗浄剤を添加した
温水によって洗浄し、場合によっては、洗浄剤の入り込
み難い部分の殺菌を確実にするため、更に熱水を流通さ
せて洗浄,殺菌を行等の方式が採用されていた。
【0004】一方、オゾンの有する有機物の分解能力と
殺菌能力を利用したオゾン水による洗浄方法も提案され
ている。この方法は、主として食品工場の床や側溝等の
開放系において使用されており、オゾン水を散布して該
床や側溝等の洗浄と同時に空中浮遊微生物の殺菌をも目
的とした洗浄方法である。一方、閉鎖系に類似するもの
として、人工臓器の機器洗浄用にオゾン水を使用する方
法も提案されており、該臓器内の流路内にオゾン水を流
通させる方式である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】係る従来の方法におい
て、先ず、洗浄剤を用いる方式においては、原理的に洗
浄剤自体を必要とし、これが排水となって流出すること
になるので、所定の排水処理が必要となる。又、アルカ
リ洗浄を行う場合には、強アルカリ水の使用が一般的で
あり、係るアルカリ排水の中和のために副資材としての
酸性水が必要となり、更に、この排水処理も必要であ
る。加えて熱水や温水を使用する場合には、水の加熱の
ためのエネルギコストが必要となる。いずれの場合も、
大量の排水を排出したり、加熱したものを放冷するだけ
のための熱エネルギが必要となる等、地球環境保護の観
点からは、多くの改善すべき課題を有していた。
【0006】又、従来のオゾン水による洗浄法は、前述
の通り撒布が中心であり、例外的に透析装置の如き人工
臓器の洗浄に使用する事が提案されているが、機器の内
部洗浄の場合には小さな装置に限られていた。これは、
オゾン水中の残留オゾン濃度が短時間で急速に減少し、
食品プラントの配管等の大型機器類には適用し難いとの
一般的な認識に基づくものである。
【0007】本発明は、食品工業等の流体流通経路にお
ける洗浄を、無用の排水を大量に発生する事なく,エネ
ルギ消費量も少なく且つ簡便なオゾン水による流体流通
経路の洗浄方法とその装置を提供する事を目的とするも
のである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、係る観点の元
になされたものであって、密封系においてはオゾン水中
のオゾン濃度の低下は穏やかに生じるとの知見に基づ
き、大型食品プラント等の洗浄を必要とする流体流通経
路の洗浄をオゾン水によって行うものであり、第1の方
式は、水の電気分解法によって陽極側に生成させたオゾ
ン水を、密閉状態で貯蔵するオゾン水貯蔵タンクに供給
して貯蔵すると共に、該オゾン水貯蔵タンク内のオゾン
水を、ポンプを介して前記流体流通経路に流通させた
後、前記オゾン水貯蔵タンクに該オゾン水を帰還させる
事により、前記流体流通経路を密閉系において、オゾン
水洗浄する点にある。即ち、高濃度オゾン水を製造する
事の容易な電気分解法により得られた高濃度オゾン水を
密閉系で循環させる事により、オゾン水中のオゾン濃度
の急激な低下を防ぎつつ、オゾン水による流体流通経路
の洗浄を行うものである。
【0009】本発明の第2の方式は、水の電気分解法に
よって陽極側に生成させたオゾン水を、密閉状態で貯蔵
するオゾン水貯蔵タンクに供給して貯蔵すると共に、該
オゾン水貯蔵タンク内のオゾン水を、ポンプによって昇
圧して前記流体流通経路に供給し、該流体流通経路を流
通させた後、減圧部を経て該流体流通経路から排出する
事により、前記流体流通経路を加圧下においてオゾン水
洗浄する様にしてなるものである。即ち、前記第1の方
式が循環方式であるのに対し、この方式は、流体流通経
路の出口でオゾン水を減圧させる事により、該流体流通
経路内を疑似密閉環境に保持してオゾン濃度の急激な低
下を防ぎつつ、オゾン水による流体流通経路の洗浄を行
うものである。
【0010】尚、使用するオゾン水のpHとしては、p
Hを中性又は弱酸性に調整しておくのが好ましい。これ
は、オゾン水濃度の低下速度がpHに依存し、酸性領域
では低下速度が遅くなる現象を利用して上記密閉系や疑
似密閉系におけるオゾン水濃度の低下を極力抑える様に
なし、大型流体流通経路においても容易に適用できる様
にしている。
【0011】又、電気分解式オゾン水製造装置の陰極側
に生成した弱アルカリ水を、前記オゾン水の流通前に
記流体流通経路に流通させて、該流体流通経路内の油分
をアルカリ水によって分解しておく方法もある。
【001】更に、本発明に係る前記第1の洗浄方法を
実施するための洗浄装置としては、水の電気分解法によ
って陽極側にオゾン水を生成し、陰極側にアルカリ水を
生成する電解式オゾン水製造装置と、該電解式オゾン水
製造装置の陽極側に生成したオゾン水を密閉状態で貯蔵
するオゾン水貯蔵タンクと、前記電解式オゾン水製造装
置の陰極側に生成したアルカリ水を貯蔵するアルカリ水
タンクと、前記オゾン水貯蔵タンク中のオゾン水を前記
流体流通経路の始端部に供給するオゾン水供給用配管
と、該オゾン水供給配管に設けられた送給ポンプと、前
記流体流通経路の終端部と前記オゾン水貯蔵タンクとを
連通するオゾン水帰還用配管と、前記アルカリ水タンク
中のアルカリ水を前記流体流通経路に供給するアルカリ
水供給用配管と、該アルカリ水供給用配管に設けられた
送給ポンプと、を有してなり、前記オゾン水貯蔵タンク
と前記オゾン水供給配管と前記送給ポンプと前記オゾン
水帰還用配管とにより、密閉系オゾン水循環流路を形成
してなるものである。
【001】又、本発明に係る前記第2の洗浄方法を実
施するための洗浄装置は、前記電解式オゾン水製造装置
と、前記オゾン水を密閉状態で貯蔵するオゾン水タンク
と、前記アルカリ水タンクと、前記オゾン水供給用配管
と、前記送給ポンプと、前記流体流通経路の終端部に配
置された減圧手段と、前記アルカリ水供給用配管と、前
記アルカリ水の送給ポンプと、を有してなり、前記減圧
手段によって前記流体流通経路を疑似密閉系に保つもの
である。
【001
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。先ず、本発明が対象とする流体流通経路の洗浄と
は、前述の食品工業の他、染料,医薬,化粧品等におい
て原料や製品の切替えのために行う配管或いは配管とタ
ンク,ポンプ等の機器類の洗浄や、これらの工場におい
て日々の作業として行われる配管と或いは配管とタン
ク,ポンプ等の機器類の洗浄を意味し、機能としては、
単なる汚れ除去を目的とした洗浄のみならず、殺菌や脱
色,脱臭を含めて、前工程で使用した物質の影響を消去
する作用を含めた広義の意味を有している。
【001】次に、本発明の特徴である密閉系における
オゾン水濃度の変化について説明する。図2は、初期オ
ゾン濃度20ppmのオゾン水(pH=7)をプラスチ
ック袋に充填して密閉した際のオゾン水中のオゾン濃度
の経時変化を示したグラフであり、図3は、初期オゾン
濃度15ppmのオゾン水(pH=7)を注入したプラ
スチック袋を大気開放した状態でのオゾン水濃度の経時
変化を示したグラフであり、両図から明らかな様に、密
閉系では30分経過後のオゾン水濃度は10ppm(5
0%に減少)であるのに対し、開放系では約5ppm
(1/3に減少)に減少しており、更に1時間経過後
は、密閉系では約6.7ppm(1/3に減少)である
のに対し、開放系では約1.8ppm(約1/8に減
少)に減少している。尚、この試験例では、プラスチッ
ク袋の壁面を通してオゾンが放出されているので、正確
な測定ではないが、密閉系の方が、開放系の場合よりも
オゾン水の濃度低下速度が遅い傾向にある事が理解され
る。
【001】次に、図4は、オゾン水のpHとオゾン水
中のオゾン濃度の経時変化を示したグラフであり、同図
から明らかな通り、アルカリ領域では急速にオゾン濃度
が低下する事が分かる。即ち、中性領域及び酸性領域で
は、オゾン濃度の急激な低下を防止し得る事が推察され
る。
【001】図5は、酸性領域でのオゾン水中のオゾン
濃度の経時変化をしめしたグラフであり、オゾン水中に
酢酸を添加してpHを4の弱酸性に調整したもので、a
は、このオゾン水をステンレス容器に充填率100%で
充填した場合の変化を示し、bは、上部を開放した三つ
口フラスコの底部にオゾン水を注入して放置した場合
(フラスコの開口部には栓をせずに開放)の変化を示
し、cは、bと同様の三つ口フラスコの底部にオゾン水
を注入し、中央の開口には栓をし、両側の開口の一方か
ら空気を流入させて他方の開口から流出する様にした場
合の変化を示している。同図から明らかな様に、密閉系
(a)では30分経過後も約4.9mol/l(減少率
約4%)であるのに対し、単なる開放系(b)では約
2.2mol/l(減少率約60%),気体流通系
(c)では約0.4mol/l(減少率約90%)とな
っている。この事から、オゾン水を弱酸性領域で密閉系
に保持しておけば、オゾンの自然分解や自然放散等によ
る自然減少速度を大幅に低減させる事が可能である事が
理解されよう。
【0018】次に、上記知見に基づく本発明の方法と装
置について説明する。図1は、本発明方法を実施するた
めの装置のフロー図を示したもので、原料水配管10よ
り原料水が電解式オゾン水製造装置1に供給され、ここ
で陽極側に供給された原料水はオゾン水として配管11
からオゾン水貯蔵タンク2に送給され、陰極側に供給さ
れた原料水は、アルカリ水となって配管12を経てアル
カリ水貯蔵タンク3に送給される。
【0019】ここで、上記電解式オゾン水製造装置1
は、特開平8−134677号等に示されている公知の
装置であって、図6にその概要を示している。即ち、耐
オゾン性のフッ素系イオン交換膜等の有機物固体電解質
膜21の一方の面に、オゾン発生触媒機能を有する貴金
属製の金網等からなる陽極電極22を該電解質膜に重ね
合わせる様にして配置し、他方の面には、同様に陰極電
極23を該電解質膜に重ね合わせる様にして配置すると
共に、両電極の外側面には、夫々チタン或いはステンレ
ス鋼等のオゾン耐蝕性を有する金属製のラス網24,2
が全長に亘って配置されており、両電極間に直流電圧
を印加できる様に各電極は直流電源(図示せず)に接続
されている。又、各電極22,23とラス網24,25
とを内包する様に、外側に陽極側ジャケット30と陰極
側ジャケット40が夫々配置され、各ジャケットには、
陽極側水流入口31,陰極側水流入口41及びオゾン水
流出口32,アルカリ水流出口22が夫々形成されてい
る。
【002】上記電解式オゾン水製造装置1において、
両電極間に直流電圧を印加すると共に、各水流入口3
1,41から原料水を供給しつつ電解を行うと、陽極2
2側には水の電解により生成したOHイオン(OH-
が集まり、このOHイオンは、陽極のオゾン発生触媒の
作用によってオゾンに生成されると共に直ちに水中に溶
解してオゾン水が生成する。このオゾン水は、オゾン水
流出口32から前述の配管11を経てオゾン水貯蔵タン
ク2に送給される。ここで、陽極電極22の外面近傍に
は、千鳥状に金網が互いに接合されているラス網24に
よって複雑に入り組んだ流路が形成されているので、陽
極電極外面には多数の小さな渦流が生じ、この結果、電
極面で発生したオゾンは渦流に巻き込まれて速やかに水
中に溶解するので、オゾンガスとして水流と共に流出す
るオゾン量は減少し、即ち、溶解オゾン量が増加して3
0ppm程度の高濃度オゾン水が得られる事になる。
【002】同様に、水の電解によって生成した水素イ
オン(H+ )は、陰極電極23側の電極面に集まって水
素ガスとなり、水中から放出されるが、陰極面には水中
に微量に含まれているナトリウムイオン(Na+ )やカ
ルシウムイオン(Ca++)等のアルカリ金属イオンやア
ルカリ土類金属イオンも集まって濃縮され、陰極側の水
をアルカリ水となし、前述の水素ガスと共にアルカリ水
流出口22から前述の配管12を経てアルカリ水貯蔵タ
ンク3に送給される事になる。この様に、陰極側には、
水素ガスと共に水中に微量に含まれているアルカリ金属
イオンやアルカリ土類金属イオンも濃縮される結果、陰
極側の水はpH9〜11或いはそれ以上のアルカリ水が
生成される事が確認されている。
【002】尚、このpH値は、両極側に供給する水の
量の比によって異なり、陰極側に供給する水の量を陽極
側に供給する水の量よりも少なくすれば、pH値は相対
的に高くなり、逆に多くすればpH値は低くなる。
【002】図1において、上述した電解式オゾン水製
造装置1によって製造され、オゾン水貯蔵タンク2に貯
蔵されたオゾン水は、オゾン水供給用配管13を経て洗
浄すべき流体流通経路4の始端部4aに供給される。
尚、このオゾン水供給用配管13にはオゾン水の送給ポ
ンプP1とバルブV1,V8とが配置されており、オゾ
ン水供給時には該バルブV1,V8は“開”となってい
る。因みに、オゾン水製造装置1のオゾン水配管11か
ら分岐されている配管18に配置されているバルブV7
は、この時点では“閉”となっている。
【002】ここで、流体流通経路4は、単に配管のみ
の場合もあるが、配管とその継ぎ手及びポンプ類やタン
ク類が存在する場合もあり、本図では、これらの機器の
組み合わせ表示を省略して点線で示している。
【002】係る流体流通経路4内を流通して内部の洗
浄,殺菌,脱色,脱臭等の作用をしたオゾン水は、該流
体流通経路4の終端部4bから排出されてオゾン水帰還
用配管15を経て前記オゾン水貯蔵タンク2に帰還して
循環使用される様になっている。尚、前記オゾン水帰還
用配管15にはバルブV5が配置されており、このバル
ブV5は“開”となっている。一方、前記流体流通経路
4の終端部4bに形成された外部排出管17に配置され
ているバルブV4は“閉”となっている。
【002】この様に、オゾン水をタンク2−配管13
−流体流通経路4−配管15−タンク2の順に至る循環
経路内で循環させている状態では、オゾン水は密閉系内
において循環しているので、前述通り密閉系におけるオ
ゾン濃度の経時変化は小さくなっており、従って、オゾ
ンによる洗浄や脱色,脱臭等による反応に消費されたオ
ゾン以外のオゾンの減少は少なくなっている。即ち、密
閉系によるオゾン水濃度の低下抑制効果が、循環による
オゾン水の再利用を可能にし、同時に、オゾン水の循環
が系内を密閉させる事になり、相互に関連しつつ効果を
増大させていると言える。これにより、本発明において
はオゾン水の使用量を大幅に低減させる事が可能とな
る。
【002】上記実施形態において、オゾン水製造装置
1から配管11を経てオゾン水をオゾン水貯蔵タンク2
に供給しつつ前記オゾン水による流体流通経路4の洗浄
を行う場合には、前記外部排出管17のバルブV4を僅
かに開いて、前記タンク2内に供給されるオゾン水の量
に相当する量を該外部排出管17から排出させて循環系
内のオゾン水量のバランスを取るのが望ましい。この場
合には、前記オゾン水貯蔵タンク2に液面計を設置し、
この液面計からの信号によって液面が一定に維持される
様に前記バルブV4の開度を自動調節する事も可能であ
る。
【0028】尚、油脂類や染料等を扱う流体流通経路4
の洗浄の場合には、その扱う物質の種類によっては、循
環オゾン水が次第に汚れてくる場合もあるので、この場
合には、循環オゾン水による洗浄を所定時間継続した
後、ポンプP1を停止してバルブV8を“閉”とし、バ
ルブV7を“開”として前記オゾン水製造装置1からの
未使用のオゾン水を、配管11及び配管18を経て前記
流体流通経路4内に所定量通水して仕上げ洗浄を行う事
も可能である。この場合にも、仕上げ洗浄用のオゾン水
は極めて少なくてよい事は理解されよう。
【0029】次に、本発明の他の実施形態について説明
すると、図1において、前記オゾン水帰還用配管15の
バルブV5を“閉”となし、前記排出管17のバルブV
4を僅かに“開”の状態に絞った状態となす事によっ
て、該バルブV4の流通抵抗を大きくなし、この状態
で、オゾン水供給用配管13から流体流通経路4にオゾ
ン水の供給を行い、洗浄水を外部排出管17から排出す
る実施形態である。この実施形態は、前記流体流通経路
4の経路が充分長く、オゾン水中のオゾンの消費が大き
くて循環使用の意味が小さい場合に採用される実施形態
であり、前記外部排出管17に配置されたバルブV4が
減圧弁の作用をなす結果、前記送給ポンプP1の送給圧
力は該バルブV4の流通抵抗分だけ高くなり、圧力が高
い状態に保持されたオゾン水では、オゾンの自然分解や
放散等による自然減少は抑制され、前述の密閉状態に近
い疑似密閉状態となるので、前記流体流通経路4が充分
に長い場合であっても、終端部4bまで効率よくオゾン
水による洗浄が可能となる。
【003】次に、前記電解式オゾン水製造装置におい
ては、前述の通り、陰極側にアルカリ水が生成するの
で、このアルカリ水を予備洗浄に使用するのも有効方法
ある。即ち、油脂分を多く含む牛乳等の流体流通経路
の場合には、オゾン水を通水する前にアルカリ洗浄によ
る該油脂分の分解をしておくのが好ましいので、係る場
合には、前記流体流通経路のアルカリ洗浄を先行実施す
る事になる。この場合には、アルカリ水貯蔵タンク4内
のアルカリ水を送給ポンプP2及びアルカリ水供給用配
管14を経て流体流通経路4の始端部4aに供給し、該
流体流通経路4内を経たアルカリ水は外部排出管17よ
り外部に放出する。この場合には、バルブV1,V5は
“閉”となし、バルブV2,V4を“開”としている。
このアルカリ洗浄によって流体流通経路4内の油脂分の
分解工程が終わると、前記バルブV2,V4は“閉”と
なし、バルブV1,V5を“開”にして前述したオゾン
水循環による洗浄を行うか、或いは、バルブV2,V5
は“閉”となし、バルブV1,V4を“開”にして前述
した疑似密閉環境によるオゾン水洗浄を行う事になる。
尚、アルカリ水のpHは、前述の通りpH11或いはそ
れ以上に高める事ができるが、pH9〜11程度で洗浄
に使用するのが電解式オゾン水製造装置の陽極側に流通
させる原料水とのバランス上、好ましい値である。尚、
上述のアルカリ水洗浄工程においても、該アルカリ水を
循環させる実施形態を採用し得る事はいうまでもない。
【003】又、前記オゾン水貯蔵タンク2内のオゾン
水量は、満杯状態で循環使用する様になせば、完全に気
相との接触面を有しない密閉系となるが、係るタンク類
に液体を封入する場合は、上部に気相が存在する様にす
る事は安全上必要な事であるので、該タンク内に気相の
存在は避け難い。このため、液面変動による内圧の所定
範囲以上の変化を避けるため、気相側を圧力弁V6を介
して吸排気管2aによって大気と連通させている。この
圧力弁V6は、通常は“閉”の状態にあり、タンク内圧
が所定値以上になると弁を開いて内部のガスを大気に放
出し、内圧が大気圧以下に下がると同様に弁を開いて大
気を吸入する機能を有している。従ってオゾン水使用時
に液面が下がって吸気を行なわれると、オゾンを含有し
ない大気が前記タンク2内に流入してくるので、タンク
内気相中のオゾン分圧が下がり、該タンク2内のオゾン
水中のオゾンの蒸発を促進する事になる。そこで、タン
ク内気相の占める割合が小さい程、その影響は小さく抑
える事が可能となる。例えば、オゾン分圧ゼロ(0)の
気相が80%の状態で20ppmのオゾン水が20%存
在すると、平衡状態でのオゾン水濃度は2ppmにまで
低下し、同様に、気相50%の場合における平衡状態で
のオゾン水濃度は4ppm,気相20%の場合における
平衡状態でのオゾン水濃度は10ppmとなる。
【003】オゾン水のタンク貯蔵開始時には、前記吸
排気管2aのバルブV6は“開”の状態にあり、オゾン
水注入による内部気体の排出を行っているが、所定量貯
蔵されてオゾン水の使用が開始されると、該バルブV6
は“閉”となるので、該タンク内へのオゾン水充填初期
のみに上述した気相の存在によるオゾン水濃度低下の影
響は大きいと言えるが、オゾン水を該タンク2内に供給
しつつオゾン水の循環洗浄を行う場合には、前記吸排気
管2aからの吸排気は不可避であるので、吸気によるオ
ゾン水濃度の低下を極力さけるため、該タンク内のオゾ
ン水量は、該タンク容積の80%以上に保つ様に制御す
るのが好ましい。
【003】尚、前述の外部排出管17から洗浄済オゾ
ン水を排出しつつ流体流通経路4の洗浄を行う場合にお
いても、オゾン水供給配管13から流体流通経路4に送
給されるオゾン水量は、配管11からオゾン水貯蔵タン
ク2内に供給されるオゾン水量と同程度となす事によっ
て、該オゾン水貯蔵タンク2内の液面は、液相の占める
割合がタンク容量の80%以上となる様に制御するのが
好ましい。
【003
【発明の効果】以上説明した如く、本発明の電解式オゾ
ン水による流体流通経路の洗浄方法及び装置によると密
閉系或いは前述の疑似密閉系でオゾン水を流通させる様
にしているので、オゾン水中のオゾン濃度の自然減少速
度を著しく遅くする事ができる結果、高濃度オゾン水の
オゾン濃度を長時間に亘って保持する事が可能となり、
従来一般には適用困難とされていた食品工業等の比較的
大規模の流体流通経路の洗浄にもオゾン水が適用できる
事になり、オゾン水による洗浄作業を工業規模にも適用
可能とした事は、特筆に値する効果である。
【003】特に、本発明では、洗浄水としてオゾン水
のみを用いるので、排水は分解物を含有するものの、そ
の他の成分は水であり、従来法の如く各種薬剤を含有し
ていないので、排水処理が極めて容易であり、通常の排
水として排出する事も可能となる。
【003】又、従来の薬剤を用いる洗浄法に比して格
段に洗浄水の使用量を低減する事が可能となる。因み
に、神戸市にある某酒造会社の45mの配管洗浄の場合
に、従来法では、通常水約500lによる予備洗浄の
後、特殊な薬剤を添加した洗浄液約700lを通水して
洗浄し、最後に配管内に残留した洗浄液除去のための仕
上げ洗浄水を約1000l通水し、合計約2200lの
水を使用して洗浄を行っていたが、本発明では、通常水
約500lによる予備洗浄の後、20ppmのオゾン水
約140lを循環させ通水させれば良いので、全使用水
量は約640lとなり、従来法に対して約70%の水量
節減が可能となる。この結果、水資源の節約効果は大な
るものがある。加えて、洗浄時間も、各種洗浄水の切替
え作業が不要となり且つ洗浄水通水時間も短くなるの
で、全洗浄工程に要する時間は、従来法に比して約1/
3程度に短縮する事が可能となっている。因みに、流体
流通経路4内を流通する液体が日本酒であるので、オゾ
ン水の循環洗浄のみにより洗浄可能であり、前述の仕上
げ洗浄は省略する事が可能であった。
【0037】又、油脂類を扱う流体流通経路の洗浄の場
合には、オゾン水の通水に先立ってアルカリ洗浄を行う
事が好ましいが、この場合にも、本発明ではオゾン水製
造装置として電解式オゾン水製造装置を採用しているの
、陰極側に生成したアルカリ水を用いてアルカリ洗浄
を行う事が可能となる。このアルカリ水は、水の電解に
よって生成したものであり、水酸化ナトリウムや水酸化
カリウムの如き塩基性物質を加えて人工的に調整したア
ルカリ水ではないので、このアルカリ水も、そのまま排
水する事ができる。特に、塩酸等の酸を添加して中和処
理する必要もないので、洗浄のための副資材も全く必要
がなく、洗浄コストの低減と共に排水処理の負荷も軽減
する事が可能となる。
【0038】以上を総合すると、本発明によると、基本
的にはオゾン水のみによって流体流通経路の洗浄が可能
となり、従来法に比べて使用水量を大幅に低減できると
共に洗浄時間も大幅に短縮可能となり、更に、特殊な洗
浄剤や副資材も不要となるので、排水処理が大幅に軽減
される結果、省エネ,省資源に大きく貢献し、地球環境
保全の観点からも極めて有効な洗浄技術であり、本技術
の普及による社会的影響は大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る流体流通経路洗浄装置のフロー図
である。
【図2】密閉系におけるオゾン水濃度の経時変化を示す
グラフである。
【図3】大気開放系におけるオゾン水濃度の経時変化を
示すグラフである。
【図4】各種pHにおけるオゾン水濃度の経時変化を示
すグラフである。
【図5】密閉系と大気開放系と大気流通系におけるオゾ
ン水濃度の経時変化を示すグラフである。
【図6】本発明で使用する電解式オゾン水製造装置の要
部概略図である。
【符号の説明】 1 オゾン水製造装置 2 オゾン水貯蔵タンク 3 アルカリ水貯蔵タンク 4 流体流通経路 13 オゾン水供給用配管 15 オゾン水帰還用配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 善之 兵庫県神戸市灘区岩屋北町4丁目5番22号 神鋼プラント建設株式会社内 (72)発明者 勝島 眞一 兵庫県神戸市灘区岩屋北町4丁目5番22号 神鋼プラント建設株式会社内 Fターム(参考) 3B116 AA13 AB51 BB03 CD22 4D061 DA01 DB07 DB08 EA03 EA04 EB04 EB13 EB30

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配管或いは配管と機器類等からなる流体
    流通経路(4)のオゾン水による洗浄方法において、 オゾン水を密閉状態で貯蔵するオゾン水貯蔵タンク
    (2)からポンプ(P1)を介して前記流体流通経路
    (4)にオゾン水を流通させた後、前記オゾン水貯蔵タ
    ンク(2)に該オゾン水を帰還させる事により、前記流
    体流通経路(4)を密閉系においてオゾン水洗浄する事
    を特徴とするオゾン水による流体流通経路の洗浄方法
  2. 【請求項2】 配管或いは配管と機器類等からなる流体
    流通経路(4)のオゾン水による洗浄方法において、 オゾン水を密閉状態で貯蔵するオゾン水貯蔵タンク
    (2)中のオゾン水を、ポンプ(P1)によって昇圧し
    て前記流体流通経路(4)に供給し、該流体流通経路
    (4)を流通させた後、減圧部(V4)を経て該流体流
    通経路(4)から排出する様にしてなる事を特徴とする
    オゾン水による流体流通経路の洗浄方法
  3. 【請求項3】 前記オゾン水のpHを7以下の中性又は
    弱酸性に調整してなる請求項1又は2に記載のオゾン水
    による流体流通経路の洗浄方法
  4. 【請求項4】 前記オゾン水が、水の電気分解法によっ
    て陽極側に生成させたオゾン水である請求項1乃至3の
    いずれかに記載のオゾン水による流体流通経路の洗浄方
  5. 【請求項5】 前記水の電気分解法によって陰極側に生
    成した弱アルカリ水を、前記オゾン水の流通前に流通さ
    せてなる請求項4に記載のオゾン水による流体流通経路
    の洗浄方法
  6. 【請求項6】 前記オゾン水貯蔵タンク(2)中のオゾ
    ン水量を、該タンク内容積の80%以上に保持してなる
    請求項1乃至5のいずれかに記載のオゾン水による流体
    流通経路の洗浄方法
  7. 【請求項7】 配管或いは配管と機器類等からなる流体
    流通経路(4)のオゾン水による洗浄装置において、 オゾン水製造装置(1)と、 該オゾン水製造装置(1)で製造されたオゾン水を密閉
    状態で貯蔵するオゾン水貯蔵タンク(2)と、 該オゾン水貯蔵タンク(2)中のオゾン水を前記流体流
    通経路(4)の始端部(4a)に供給するオゾン水供給
    用配管(13)と、 該オゾン水供給配管(13)に設けられた送給ポンプ
    (P1)と、 前記流体流通経路(4)の終端部(4b)と前記オゾン
    水タンク(2)とを連通するオゾン水帰還用配管(1
    5)とを有し、 密閉系オゾン水循環流路を形成してなる事を特徴とする
    オゾン水による流体流通経路の洗浄装置
  8. 【請求項8】 配管或いは配管と機器類等からなる流体
    流通経路(4)のオゾン水による洗浄装置において、 オゾン水製造装置(1)と、 該オゾン水製造装置(1)で製造されたオゾン水を密閉
    状態で貯蔵するオゾン水貯蔵タンク(2)と、 該オゾン水貯蔵タンク(2)中のオゾン水を前記流体流
    通経路(4)の始端部(4a)に供給するオゾン水供給
    用配管(13)と、 該オゾン水供給配管(13)に設けられた昇圧ポンプ
    (P1)と、 前記流体流通経路(4)の終端部(4b)に配置された
    減圧手段(V4)と、 を有してなる事を特徴とするオゾン水による流体流通経
    路の洗浄装置
  9. 【請求項9】 前記オゾン水製造装置(1)が水の電気
    分解法によって陽極側にオゾン水を生成する電解式オゾ
    ン水製造装置であり、該オゾン水製造装置の陰極側に生
    成したアルカリ水を貯蔵するアルカリ水タンク(3)
    と、該アルカリ水タンク(3)中のアルカリ水を前記流
    体流通経路(4)に供給するアルカリ水供給用配管(1
    4)と、該アルカリ水供給用配管(14)に設けられた
    送給ポンプ(P2)と、を有してなる請求項7又は8に
    記載のオゾン水による流体流通経路の洗浄装置
  10. 【請求項10】 前記オゾン水のpHを7以下の中性又
    は弱酸性に調整してなる請求項7乃至8のいずれかに記
    載のオゾン水による流体流通経路の洗浄装置
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