JP2001269366A - 繊維強化プラスチック材及びこれを用いたキャスト材 - Google Patents

繊維強化プラスチック材及びこれを用いたキャスト材

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JP2001269366A
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gypsum
fibers
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Shoichi Nagato
祥一 長門
Kazushi Fujimoto
和士 藤本
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Nikkiso Co Ltd
Engineering System Co Ltd
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Nikkiso Co Ltd
Engineering System Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 X線を透過させることができ、また、軽量
化、薄肉化が可能なギプス材を提供する。 【解決手段】 本発明のギプス材は、患部に宛われた支
持布を硬化性接合剤により接合し硬化させて患部を固定
するためのギプス材であって、前記支持布が炭素繊維よ
り構成されている。支持布を構成する炭素繊維は、従来
の木綿繊維、ガラス繊維などと異なり、X線の透過性が
優れているため、ギプスの外部からでも患部の状態を観
察することができる。また、炭素繊維は、従来の木綿繊
維、ガラス繊維よりも強度が非常に高く、そのため、患
部の固定力も高い。従って、従来の木綿繊維、ガラス繊
維により患部を固定するときよりも、支持布のあてがう
量を少なくすることができ、これに対応して、支持布を
接合し硬化させる硬化性接合剤の量も減少させることが
できる。その結果、ギプス全体の軽量化、薄肉化などを
図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療分野の装具類
に用いる医療用支持材に適した繊維強化プラスチック材
及びこの繊維強化プラスチック材を用いた骨折時などに
患部を外部から固定するためのキャスト材に関する。
【0002】
【従来の技術】骨折や関節の炎症などの治療には、患部
をできるだけ動かさないように固定するためにギプスが
利用されている。このギプスは、種々の形状のものがあ
るが、従来では包帯と石膏とを利用したものが用いられ
ていた。この従来のギプスの使用に際しては、先ず、包
帯等を患部に巻き付け患部を支持し、その上に水を添加
した石膏を塗布し、この石膏を水和硬化させることによ
り患部の固定が行われていた。
【0003】しかし、上記従来の石膏を利用したギプス
では、石膏が重いことから、長期にわたり重たい石膏の
塊を身につけていなければならず、患者にとって負担が
大きかった。また、ギプス形成時には石膏を水和により
硬化させていたが、石膏が硬化するまでには、ある程度
の時間を要し、その間患者は患部を動かさずに保持して
いなけばならなかった。さらには、従来のギプスでは、
ギプスを切開する際に、石膏の屑が飛散して周囲を汚染
するという問題もあった。
【0004】そのため、こうした問題を解消するため
に、石膏を用いないギプス材料の開発が行われており、
このようなものはギブスに代わりキャストと呼ばれてい
る。このようなキャスト材料は、例えば、特開昭59−
197254号公報、特開平7−163649号公報、
特開平5−38349号公報、特開昭62−44259
号公報に開示されている。
【0005】これらはいずれも石膏に代えて樹脂を利用
したものであり、具体的には、特開昭59−19725
4号公報、特開平7−163649号公報及び特開平5
−38349号公報に記載されたキャスト材料では、石
膏の代わりに湿気硬化性ウレタンを硬化性接合剤として
利用している。また、特開昭62−44259号公報に
は、可視光により硬化する硬化性樹脂を用いたキャスト
材料が開示されている。
【0006】このように石膏に代えて高分子樹脂を用い
たキャストにより患部を固定する場合には、包帯などの
基材に樹脂を含浸させておき、この樹脂を含浸させた基
材を患部に巻き付けた後、樹脂を硬化させる。このよう
な樹脂を用いたキャストでは、石膏と同様の剛性を確保
するにあたり、石膏に比して重みを少なくすることがで
き、また樹脂によっては石膏よりも迅速に硬化させるこ
とができる。そのため、石膏に代えて樹脂を用いること
により、キャストを身につけなくてはならない患者の負
担の軽減が図られている。さらに、樹脂の場合、石膏の
ような微粉末状態で崩れることが少ないため、ギプス切
開時などに周囲を汚染することも防止されている。
【0007】また、医療分野の装具類に用いる医療用支
持材としては、上述したキャスト材の他に、例えば整形
外科疾患、外傷性疾患、関節炎性疾患、脈管系疾患、神
経系疾患により局所の固定又は支持あるいは免荷、変形
の矯正、機能の増進、不随運動の制御、安定性のための
支持機能付きサポータ、ブレーズ、更正装具、義肢と呼
ばれる装具の支持材が挙げられる。このような医療用支
持材に用いる繊維強化プラスチック材として、例えば炭
素繊維等の強化繊維と高融点熱可塑性樹脂とからなる繊
維強化プラスチック材が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のように樹脂を用
いたキャスト材料は、石膏を利用したギプス材料に比し
て軽量化等の面で優れたものであるが、さらに、軽量
化、薄肉化することができれば、より一層好ましい。例
えば、肘の骨折などの場合に、上記キャストにより肘が
固定されるが、このキャストの支持は、一般に首から吊
された支持布などにより行われる。このような場合、首
に負荷がかかることになるが、キャストの重みをより低
減させることができれば、この負荷を軽減することがで
きる。またキャストの薄肉化が図れれば、さらに患者の
煩わしさを軽減することもできる。
【0009】一方、上記樹脂を用いたキャスト材料は、
患部にあてがわれる包帯やガラス繊維などの支持布に樹
脂が含浸されて構成されているが、これら包帯やガラス
繊維を支持布として用いたキャスト材はX線の透過性が
低いという問題がある。従って、治療中に経過観察を行
う場合には、キャストの外から患部のX線撮影を行うこ
とができず、キャストを切開して除去しなければならな
かった。このように経過観察毎にキャストを除去するこ
とは、医師等の作業量を増やさせ、また、患者にとって
はキャストの除去設置に時間が取られることとなってい
た。また、ここで廃棄されるキャストには、高分子化合
物である樹脂が含まれるが、環境的にはこれら廃棄物を
可能な限り減少させることが好ましい。
【0010】また、上述した高融点熱可塑性樹脂を用い
た医療用支持材を、直接動物又は人体に触れるようにし
て型どりし支持具を作成した場合、火傷の危険性がある
ので、特にキャスト材として用いるには適さない。更
に、例えば義肢の作成時に、高融点熱可塑性樹脂を含有
する医療用支持材を用いる場合、高温でも変形しにくい
義肢作成用型材を使用しなければならないが、このよう
な型材の種類は限定され、更に加工し難しく高価なもの
である。このため、上述の繊維強化プラスチック材は汎
用性に欠けるという問題があった。
【0011】そこで、本発明は上記課題に鑑みてなされ
たものであり、その目的は、X線の透過性が高く、また
力学的特性を向上させつつ軽量化、薄肉化が可能なキャ
スト材及び低温にても加工可能な医療用支持材を提供す
ることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の繊維強化プラスチック材は、炭素繊維を主
体とする支持基材と高分子樹脂からなることを特徴とす
る。
【0013】上記発明によれば、支持基材を構成する炭
素繊維は、従来より使用されているガラス繊維に比べX
線の透過性が優れている。また、曲げ弾性率(剛性)等
の力学特性も綿繊維やガラス繊維に比べ格段に高いた
め、キャストや医療用装具の厚みを従来よりも薄くで
き、X線の透過性の一層の向上が図れる。その結果、キ
ャストの外部からでも患部の状態を観察し易くなる。当
該キャストを設置すれば治療するまでキャストを取り外
さなくとも経過の観察ができ、診断作業の簡略化にも役
立つ。
【0014】上述したように従来のキャストの厚みを薄
くできることで、従来のキャストの剛性を保ちながらキ
ャスト全体の軽量化を図ることができる。従って、患者
の負担を軽減でき、環境への配慮にも繋がる。また、義
肢等の医療用装具として用いる場合でも、肉薄にもかか
わらず剛性を有するため、義肢等の装着時の負担を軽減
させることができる。
【0015】また、上記発明において、前記高分子樹脂
が低融点熱可塑性樹脂あるいは反応硬化性樹脂であるこ
とを特徴とする。
【0016】このように高分子樹脂として、低融点熱可
塑性樹脂、あるいは反応硬化性樹脂を使用することで、
キャストをどこでも手軽に成形できるようになる。その
ため、救急、応急手当の際などに、好適に使用すること
が可能となる。また、医療用支持材としても、低温で加
工可能であるため、皮膚に沿わせて装具を成形すること
もでき、また型より成形する場合にも、型材の種類を問
わず、汎用性に富む。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を
説明する。
【0018】本実施形態のキャスト材は、患部にあてが
われる支持布を備え、この支持布が炭素繊維から構成さ
れている。この炭素繊維は、炭素の正6角環が編目状に
なった黒煙構造を有する繊維をいう。この炭素繊維は、
引張強度は通常の綿繊維の20倍程度であり、また通常
はガラス繊維よりも軽い。さらに、X線透過性について
も綿繊維、ガラス繊維よりも優れているため、これを用
いてキャスト材を構成することにより、キャストの上か
ら患部のX線撮影を行うことができる。
【0019】こうした炭素繊維は、大きく分けてポリア
クリルアミドを原料として作られたPAN系と、石油ピ
ッチを原料として作られたPIT系とがあるが、ここで
は、いずれの系統の炭素繊維を用いてもよい。また、炭
素繊維は種々の種類があるが、使用部位、補強する方向
に応じて選択することができる。
【0020】この炭素繊維には、単一要素として用いる
必要はなく、例えば、ガラス繊維、アラミド繊維などと
組み合わせて使用することもできる。但し、これら繊維
を組み合わせる場合には、X線透過性を妨げない範囲で
使用することが必須である。
【0021】この支持基材は、織物、編み物、組み物、
不織布あるいは一方向材等、種々の形態をとることがで
きる。その中から、患部の位置、補強する方向などを考
慮して適宜選択するがよい。例えば基材として織物を選
んだ場合、織り方、目付は患部の位置等を考慮して適宜
調整することができる。すなわち、関節などの動きの多
い部位では、関節が動かないように補強できるような織
り方を選び、かつ目付を細かくして強度を高めればよ
い。
【0022】本実施形態のキャスト材の形状は特に限定
するものではないが、帯状に構成することは好ましい形
の一つである。帯状に構成することにより、包帯のよう
に患部に巻き付けて使用することもでき、また、予め患
部の形状に適合するように適当なサイズ・形にプレカッ
トして使用することも好ましい。
【0023】本実施形態のキャスト材には、高分子樹脂
を接合剤として用いる。高分子樹脂としては、低融点熱
可塑性樹脂あるいは熱や光等の反応で硬化する硬化性樹
脂等が使用できる。低融点の熱可塑性樹脂は、例えば、
温水やドライヤー等による比較的低い温度の熱で手軽に
溶融・軟化させることができ便利である。また、溶融状
態の樹脂を含むキャスト材が患部にあてがわれた際に、
火傷の危険性も低くなる。
【0024】低融点熱硬化性樹脂としては、ポリカプロ
ラクトン等が挙げられる。ポリカプロラクトンは60℃
程度の温度があれば成形でき、冷却・固化すれば固定が
完了する。従って、簡便に利用できる救急・応急手当に
好適なキャスト材である。なお、カプロラクトンは、以
下の構造式で表される。
【0025】
【化1】 一方、反応硬化性樹脂としては、湿硬化性ウレタン樹
脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、可視光硬化性樹
脂などが使用できる。これら樹脂は、プレポリマーに
水、熱、紫外線、可視光等を加えることより、架橋重合
などを開始し硬化する。そのため、石膏における水和硬
化に比較して、硬化時間が短く、ギプス取付時の患者の
負担を減少させることができる。
【0026】また、上記高分子樹脂に生分解性の樹脂を
用いることもできる。このように生分解性の樹脂を用い
ることにより、使用後にキャスト材を廃棄する場合、樹
脂部分は生分解させて、残りの支持基材のみ処理すれば
よいことになる。このように、高分子樹脂に生分解性樹
脂を用いることによって、廃プラスチックによる環境問
題、特に複合材の廃棄の困難さを低減させることが可能
となる。このような生分解性樹脂としては、上述したポ
リカプロラクトンやポリ乳酸等が挙げられる。
【0027】これら高分子樹脂は、支持基材と別体(例
えばフィルム状、シート状)とし、使用時に支持基材と
貼り合わせて成形すればよい。取扱いを簡便にするため
に、予め支持基材に高分子樹脂を含浸等させて保持させ
ておくことが好ましい。熱可塑性樹脂を支持基材に含浸
させる方法としては、熱可塑性樹脂を基材と貼り合わせ
て、これらを熱圧プレスする等の一般的な方法が採用で
きる。本実施形態のキャスト材の使用時には、キャスト
材を加熱し、支持基材に含浸させた樹脂を溶融・軟化さ
せ、火傷をしない点まで樹脂温度が下がったところで支
持基材を患部にあてがう。この樹脂を冷却・固化させる
ことにより、患部の固定ができる。
【0028】この際、低融点熱可塑性樹脂として、特に
ポリカプロラクトンのような60℃程度の融点を持つも
のを選べば、手軽に使用できるキャスト材となる。キャ
スト材を取り外すにあたっても、低い温度でキャスト材
が軟化するため、容易に取り外しを行うことができる。
また、本実施形態において、低融点熱可塑性樹脂とし
て、例えばポリエチレン(PE、融点:約105〜12
0℃)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA、融点:
95〜130℃)、アイオノマー(融点:95℃)を用
いることができる。
【0029】高分子樹脂として紫外線又は可視光硬化性
樹脂、湿硬化性ウレタン樹脂等の反応硬化性樹脂を使用
する場合には、そのプレポリマーを予め支持基盤に含浸
させておくことが好ましい。そして、この支持基材を患
部にあてがい、紫外線もしくは可視光を照射、又はミス
を添加することで患部に固定することができる。
【0030】以上のように構成されたキャストは、支持
基材が炭素繊維で構成されているため、従来の綿繊維、
ガラス繊維に比べ力学特性に優れ、患部にあてがうため
の支持基材の量を少なくすることができ、これに伴って
高分子樹脂の量も少なくすることができる。その結果、
キャスト全体としての軽量化、薄肉化が図れ、患者の負
担が軽減されると共に、X線の透過性に優れたキャスト
材となる。
【0031】また、本実施形態の医療用支持材は、炭素
繊維を主体とする支持基材と高分子樹脂、特に上述した
ような60℃以下の低融点熱可塑性樹脂又は反応硬化性
樹脂とからなる繊維強化プラスチック材を用いることに
より、例えば義肢等を作成する際に型材を選ばず、これ
により、よりリアルに義肢用の型を作成でき、その結
果、より実物に即した義肢等を作成することができる。
【0032】本実施形態において、例えば義肢を作成す
る場合には、義肢用の型を作成し、上述の繊維強化プラ
スチック材を温水又はドライヤーで暖めながら、型の内
壁面に沿わせるように装着し、その後冷却・固化させる
ことによって、義肢を作成することができる。なお、そ
の他のサポータ等についても、上述のキャストや義肢の
作成方法に準じて、作成することができる。
【0033】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、X線を透
過性の高い炭素繊維が使用されているため、患部を本ギ
プス材により固定した場合には、キャストの上から患部
のX線診断が容易に行えるようになる。そのため、骨折
などの患部の経過観察の際に、キャストを切除する必要
がなくなる。
【0034】さらに、支持基材に使用される炭素繊維
は、曲げ剛性等の力学特性に優れていることから、キャ
ストの軽量化、薄肉化を図ることができ、患者への負担
が軽減される。
【0035】また、高分子樹脂として低融点熱可塑性樹
脂を用いることにより、低温にてキャスト材を成形する
ことができる。そのため、本キャスト材を使用すれば、
簡便に患部の固定、取り外しを行うことが可能となる。
また、例えば義肢の作成の際に型材の種類を選ばず、こ
れによりより実物に即した型を用いて義肢を容易に作成
することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素繊維を主体とする支持基材と高分子
    樹脂とからなることを特徴とする繊維強化プラスチック
    材。
  2. 【請求項2】 前記高分子樹脂が低融点熱可塑性樹脂で
    あることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化プラス
    チック材。
  3. 【請求項3】 炭素繊維を主体とする支持基材と反応硬
    化性樹脂とからなることを特徴とするキャスト材。
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