JP2001264501A - 光学材料及び光学部材 - Google Patents

光学材料及び光学部材

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JP2001264501A
JP2001264501A JP2000080664A JP2000080664A JP2001264501A JP 2001264501 A JP2001264501 A JP 2001264501A JP 2000080664 A JP2000080664 A JP 2000080664A JP 2000080664 A JP2000080664 A JP 2000080664A JP 2001264501 A JP2001264501 A JP 2001264501A
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metal
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oxide
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JP2000080664A
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Masuhiro Shoji
益宏 庄司
Shigeru Mizusawa
繁 水澤
Mitsunori Hakozaki
充徳 箱崎
Hajime Hoshi
元 星
Kazuhiko Sunakawa
和彦 砂川
Naoki Hayashi
直樹 林
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Kureha Corp
Original Assignee
Kureha Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 十分な透明性及び耐湿性を有し、且つ、白化
(曇化)を十分に抑制できる光学材料及びその製造方法
を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明による光学材料の製造方法は、下
記式(10); 【化1】 で表されるリン酸エステル化合物及び酸化第二銅を混合
する工程と、これに水を添加する工程とを備え、本発明
の光学材料は、それらの反応により得られるリン酸エス
テル銅化合物を含有して成るものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光学材料及びその製
造方法に関し、詳しくは、金属イオンに特有な特定波長
の光(特定波長光)に対する吸収特性又は発光特性を有
する光学材料、及び、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属イオンが発現する特定波長光
の吸収特性又は発光特性を利用した光学材料としては、
例えば、本出願人による特開平6−118228号公報
に記載の光学フィルターを構成する材料、また、特開平
10−212373号公報に記載のディスプレイ前面板
を構成する材料等が挙げられる。これらの光学材料は、
リン酸エステル化合物と銅イオンとを含有して成り、近
赤外光吸収特性を有するものである。前者の公報には、
銅源として有機酸又は無機酸の銅塩を用いる製造方法が
開示されている。一方、後者の公報には、銅源として水
酸化銅を含む材料の記載がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記の
従来の光学材料について検討したところ、銅イオン源と
して用いる銅塩の形態によって、得られる光学材料の性
能や特質に差異が生じること、及び、その特質に起因す
ると考えられる問題点を見出した。すなわち;
【0004】(1)銅源として酸塩を用いた場合、製造
過程において生成する酸成分の除去が望まれる。しか
し、光学材料中に若干の酸成分が残留することがあり、
このような光学材料で形成される光学部材の透光性が、
その酸成分の影響により経時的に劣化し易くなる傾向に
ある。
【0005】(2)銅源としてアルカリ塩を用いると、
製造時に発生する水分の影響により、光学材料自体、又
は、その光学材料で形成される光学部材の耐湿性が十分
ではなく、白化現象(曇化現象)が発生し易くなる。
【0006】そこで、本発明は、このような従来の問題
点に鑑みてなされたものであり、十分な透明性及び耐湿
性を有し、且つ、白化(曇化)を十分に抑制できる光学
材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、金属イオンの
分散性の観点から光学材料の金属源としては適用が極め
て困難であると考えられていた難溶解性の金属塩を用
い、リン酸エステル化合物へ金属イオンを良好に分散又
は溶解できることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明による光学材料は、上記式(1)
で表されるリン酸エステル化合物と金属酸化物との反応
により得られるリン酸エステル金属化合物を含有して成
ることを特徴とする。
【0008】このように金属源として金属酸化物を用い
ると、金属酸化物と式(1)で表されるリン酸エステル
化合物との反応において酸成分及び水分の生成量が少な
い。また、金属酸化物は、一般に工業上の利用性及び経
済性に優れており、コスト低減等の観点からも望ましい
材料である。
【0009】この金属酸化物は特に限定されず、アルカ
リ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、遷移金属酸化
物、又は、希土類金属酸化物であると好ましく、本発明
による光学材料は、これらの金属酸化物のうち、遷移金
属酸化物、又は、希土類金属酸化物を金属源とするもの
が好ましい。なお、本発明において「遷移金属」とは、
原子番号が21(スカンジウム)〜30(亜鉛)、39
(イットリウム)〜48(カドミウム)、72(ハフニ
ウム)〜80(水銀)である金属を示す。
【0010】これらの金属酸化物を構成する金属は、原
子構造に特有な吸光特性又は発光特性を有しており、種
々の光学特性が発現される光学材料が得られる。特に、
遷移金属や希土類金属は、d軌道の電子遷移によると考
えられる近赤外光吸収特性、特定波長の可視光吸収又は
発光特性を発現するので、機能性に優れた光学材料を形
成できる。
【0011】さらに、これらの金属のなかでも、ナトリ
ウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、マン
ガン、ニッケル、コバルト、銅、ネオジム、プラセオジ
ム、ユーロピウム、ツリウム、エルビウム、テルビウ
ム、ジスプロシウム、サマリウム、ホルミウム等が有用
な金属であり、特に、本発明の光学材料としては、金属
酸化物が、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、銅、ネ
オジム、プラセオジム、ユーロピウム、ツリウム、エル
ビウム、テルビウム、ジスプロシウム、サマリウム及び
ホルミウムから成る群より選ばれる少なくとも一つの金
属の酸化物であると好適である。
【0012】特に、銅は、リン酸エステル化合物に配位
又は結合されて極めて優れた近赤外光吸収特性及び可視
光透過特性を発現できる。また、ネオジム、プラセオジ
ム、ユーロピウム、ツリウム又はエルビウムは、吸収波
長の吸収ピークが大きく且つ急峻であり、波長成分の選
択性に優れると共に、蛍光の発光効率等が高い傾向にあ
る。
【0013】またさらに、本発明の光学材料は、式
(1)で表されるリン酸エステル化合物を溶解又は分散
可能な溶媒(樹脂を含む)を更に含有する液状の組成
物、又は、同リン酸エステル化合物と共重合可能な樹脂
を更に含有する樹脂組成物であるとより好ましい。この
ようにすれば、用いる溶媒や樹脂に応じた特性及び性質
が光学材料及び/又はその成形体に付与される。したが
って、これらの溶媒や樹脂を適宜選択することによっ
て、各種の用途に好適な光学材料を得ることができる。
【0014】また、本発明者らは、金属酸化物を用い、
リン酸エステル化合物へ金属イオンを良好に分散又は溶
解できる方法を見出し、本発明に到達した。すなわち、
本発明による光学材料の製造方法は、本発明の光学材料
を有効に製造する方法であって、式(1)で表されるリ
ン酸エステル化合物及び金属酸化物を混合する工程と、
金属酸化物に水を添加する工程とを備えることを特徴と
する。
【0015】金属酸化物は難溶解性のものが多く、リン
酸エステル化合物への金属の分散性が十分ではないと考
えられていたにもかかわらず、金属酸化物を水の存在下
でリン酸エステル化合物と混合することにより、金属イ
オンがリン酸エステルに良好に分散された光学材料を得
た。
【0016】ここで、金属酸化物として、亜酸化銅、酸
化第一銅、酸化第二銅、又は、三二酸化銅を用いると好
適である。安定性の観点からは酸化第二銅が優れる。一
方、亜酸化銅及び酸化第一銅は、酸化第二銅よりも反応
性が高い。また、亜酸化銅及び酸化第一銅は、大気中で
次第に酸化第二銅に酸化され、三二酸化銅は酸素を放出
し易く、実質的には酸化第二銅を含むものとなる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の光学材料及びその
製造方法の実施形態について説明する。まず、本発明の
光学材料を構成する金属酸化物、リン酸エステル化合物
について説明する。
【0018】〈金属酸化物〉本発明の光学材料を構成す
るリン酸エステル金属化合物を得るための金属酸化物と
しては、金属の種類に特に制限はないが、アルカリ金
属、アルカリ土類金属、遷移金属、若しくは、希土類金
属の酸化物、又は、それら酸化物の水和物若しくは水化
物が好ましく用いられる。これらの金属酸化物を構成す
る金属は、各金属原子の電子構造に特有な吸光特性又は
発光特性を有しており、種々の光学特性が発現される光
学材料が得られる。特に、遷移金属や希土類金属は、d
軌道の電子遷移によると考えられる近赤外光吸収特性、
特定波長の可視光吸収又は発光を発現するので、機能性
に優れた光学材料を形成できる。
【0019】具体的には、リチウム、ナトリウム、カリ
ウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウ
ム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジ
ウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コ
バルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニ
ウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パ
ラジウム、銀、カドミウム、ランタン、セリウム、プラ
セオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユー
ロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウ
ム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウ
ム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステ
ン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水
銀等の酸化物が挙げられる。
【0020】さらに、これらの金属酸化物のなかでも、
ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、
鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、銅、ネオジム、プ
ラセオジム、ユーロピウム、ツリウム、エルビウム、テ
ルビウム、ジスプロシウム、サマリウム、ホルミウム等
の酸化物がより好ましく、特に、鉄、マンガン、ニッケ
ル、コバルト、銅、ネオジム、プラセオジム、ユーロピ
ウム、ツリウム、エルビウム、テルビウム、ジスプロシ
ウム、サマリウム及びホルミウムから成る群より選ばれ
る少なくとも一つの金属の酸化物であると特に好まし
い。
【0021】特に、銅は、近赤外領域の光(近赤外光)
に対する良好な吸収特性を有している。金属酸化物とし
て銅の酸化物、すなわち、亜酸化銅、酸化第一銅、酸化
第二銅又は三二酸化銅を用いると、銅イオンがリン酸エ
ステル化合物のリン酸基に配位結合及び/又はイオン結
合し、銅イオンはリン酸エステルに囲まれた状態で光学
材料中に溶解又は分散される。そして、この銅イオンの
d軌道の電子遷移によって近赤外光が選択的に吸収さ
れ、優れた近赤外光吸収特性が発現される。これによ
り、視感度補正、測光、近赤外光及び赤外光カット、熱
線吸収、輝度調整等の各種用途に好適な光学材料を得る
ことができる。
【0022】また、ネオジム、プラセオジム、ユーロピ
ウム、ツリウム又はエルビウムは、それぞれのイオンに
特有な波長光の吸収特性及び選択性に優れている(具体
的には、吸収ピークが大きくかつ急峻である)。例え
ば、3価のネオジムイオンは、波長580nm近傍の光
をシャープに吸収する特性を有し、また、エルビウムイ
オンは波長520nm近傍の光をシャープに吸収する特
性を有している。このような希土類金属イオンを含有す
る光学材料は、可視光の防眩性に優れた光学部材を形成
でき、また、医療用或いは加工用レーザーで用いられる
レーザー光(波長約520nm)からの眼の防護性に優
れた光学部材を形成できる。
【0023】さらに、これら希土類金属のイオンは、希
土類金属イオンのなかでも、蛍光を高効率で発光した
り、レーザ発光したりするので、これら希土類金属の酸
化物を用いることにより、優れた光増幅機能を発現でき
る光学材料を形成できる。
【0024】これらの金属酸化物は、単独で又は二種以
上混合して用いられる。このとき、これらの金属酸化物
の使用量としては、リン酸エステル金属化合物を構成す
る金属イオンの光学材料中における含有割合が、好まし
くは2〜60質量%、より好ましくは5〜30質量%、
特に好ましくは10〜25質量%となるように調整され
る。この金属イオンの含有割合が2質量%未満である
と、光学材料の厚さによっては特定波長光に対する十分
な吸収特性が得られ難い傾向にある。一方、この含有割
合が60質量%を超えると、金属イオンを光学材料中に
均一に溶解又は分散させ難い傾向にある。
【0025】また、光学材料中の銅イオン及び/又は希
土類金属イオンの含量が、例えば、全金属イオン量の5
0質量%以上、好ましくは70質量%以上とすると好適
である。こうすることにより、銅イオン及び/又は希土
類金属イオンに特有な光学特性を有する光学材料を確実
に得ることができる。
【0026】〈リン酸エステル化合物〉本発明の光学材
料を構成するリン酸エステル化合物は、下記式(1)で
表されるものである。
【化3】
【0027】[式(1)中、Rは、下記式(2)、
(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)若し
くは(9)で表される基、アルキル基、アリール基、ア
ラルキル基、又はアルケニル基を示し、nは1又は2で
あり、nが1のときにRは同一であっても異なっていて
もよい。
【化4】
【0028】(式(2)〜(9)中、R11〜R17は炭素
数が1〜20のアルキル基、炭素数が6〜20のアリー
ル基又はアラルキル基を示し(ただし、芳香環を構成す
る炭素原子に結合した水素原子が、炭素数1〜6のアル
キル基又はハロゲンによって少なくともひとつ置換され
ていてもよい)、R21〜R25は水素原子又は炭素数が1
〜4のアルキル基を示し(ただし、R23、R24、R25
全て水素原子の場合を除く)、R31及びR32は炭素数が
1〜6のアルキレン基を示し、R41は炭素数が1〜10
のアルキレン基を示し、R51及びR52は炭素数が1〜2
0のアルキル基を示し、R61は水素原子又はメチル基を
示し、mは1〜6の整数を示し、kは0〜5の整数を示
し、pは2〜97の整数を示し、rは1〜10の整数を
示す。)]
【0029】これらのリン酸エステル化合物のなかで式
(9)で表される基を有するものとしては、式(9)に
おけるR61がメチル基であり、かつ、式(9)における
pが2又は3であり、且つ、式(9)におけるrが1の
もの、すなわち、下記式(10)又は式(11)で表さ
れるリン酸エステル化合物が好ましい。
【0030】
【化5】
【0031】これらのリン酸エステル化合物は、例え
ば、以下の第1の方法、第2の方法、第3の方法等のい
ずれかによって製造される。 〔第1の方法〕:この第1の方法は、無溶媒又は適宜の
有機溶剤中で、下記式(12)で表される化合物と五酸
化リンとを反応させる方法である。
【0032】
【化6】
【0033】[式(12)中、Rは、上記式(2)、
(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)若し
くは(9)で表される基、アルキル基、アリール基、ア
ラルキル基、又はアルケニル基を示す。]
【0034】すなわち、式(12)で表される化合物と
しては、下記式(13)、(14)、(15)、(1
6)、(17)、(18)、(19)若しくは(20)
で表されるアルコール、アルキルアルコール、フェノー
ル等を好ましく用いることができる。
【0035】
【化7】
【0036】(式(2)〜(9)中、R11〜R17は炭素
数が1〜20のアルキル基、炭素数が6〜20のアリー
ル基又はアラルキル基を示し(ただし、芳香環を構成す
る炭素原子に結合した水素原子が、炭素数1〜6のアル
キル基又はハロゲンによって少なくともひとつ置換され
ていてもよい)、R21〜R25は水素原子又は炭素数が1
〜4のアルキル基を示し(ただし、R23、R24、R25
全て水素原子の場合を除く)、R31及びR32は炭素数が
1〜6のアルキレン基を示し、R41は炭素数が1〜10
のアルキレン基を示し、R51及びR52は炭素数が1〜2
0のアルキル基を示し、R61は水素原子又はメチル基を
示し、mは1〜6の整数を示し、kは0〜5の整数を示
し、pは2〜97の整数を示し、rは1〜10の整数を
示す。)]
【0037】また、式(12)で表される化合物のなか
で、式(13)で表されるアルコールのうちアリール基
又はアラルキル基を有する好適な具体例としては、下記
式(21)又は下記式(22)で表されるアルコールが
挙げられる。また、式(15)で表されるアルコールの
うちアリール基を有する好適な具体例としては、下記式
(23)で表されるアルコールが挙げられる。さらに、
式(17)で表されるアルコールの好適な具体例として
は、下記式(24)で表されるアルコールが挙げられ
る。
【0038】
【化8】
【0039】なお、上述の如く、式(12)で表される
化合物にはフェノールが含まれるが、本発明では、式
(12)で表される化合物を、便宜上、総称して以下
「特定のアルコール」という。ここで、特定のアルコー
ルと五酸化リンとの反応に用いられる有機溶剤として
は、五酸化リンと反応しない有機溶剤であって、例え
ば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、
ベンゼン、トルエン、キシレン、石油スピリット等の炭
化水素系溶剤、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエ
タン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、
ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチル
エーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、ア
セトン、メチルエチルケトン、ジブチルケトン等のケト
ン系溶剤等が挙げられ、これらの中では、トルエン、キ
シレンが好ましい。
【0040】この第1の方法において、特定のアルコー
ルと五酸化リンとの反応条件は、特定のアルコールが式
(13)〜(20)で表されるアルコール(ただし、芳
香環を有するものを除く)の場合、反応温度が0〜10
0℃、好ましくは40〜80℃であり、反応時間が1〜
24時間、好ましくは4〜9時間である。また、特定の
アルコールが、フェノール、又は式(13)〜(17)
で表されるアルコールのうち芳香環を有するものの場
合、反応温度が0〜100℃、好ましくは40〜80℃
であり、反応時間が1〜96時間、好ましくは4〜72
時間である。
【0041】また、この第1の方法においては、例え
ば、特定のアルコール及び五酸化リンをモル比で3:1
となる割合で用いることにより、上記式(1)に示す水
酸基の数が2(式(1)に示すnが2)であるリン酸モ
ノエステル化合物(以下、「モノエステル」という)
と、式(1)に示す水酸基の数が1(式(1)に示すn
が1)であるリン酸ジエステル化合物(以下、「ジエス
テル」という)との割合が略1:1の混合物が得られ
る。また、特定のアルコールと五酸化リンとの割合及び
反応条件を適宜選択することにより、モノエステルとジ
エステルとの割合は、モル比で99:1〜40:60と
なる範囲内で調整される。
【0042】〔第2の方法〕:この第2の方法は、無溶
媒又は適宜の有機溶剤中で、特定のアルコールとオキシ
ハロゲン化リンとを反応させ、得られる生成物に水を添
加して加水分解する方法である。オキシハロゲン化リン
としては、オキシ塩化リン、オキシ臭化リンを用いるこ
とが好ましく、特に好ましくはオキシ塩化リンである。
また、特定のアルコールとオキシハロゲン化リンとの反
応に用いられる有機溶剤としては、オキシハロゲン化リ
ンと反応しない有機溶剤であって、例えば、ヘキサン、
シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トル
エン、キシレン、石油スピリット等の炭化水素系溶剤、
クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベ
ンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、ジエチルエーテ
ル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエ
ーテル系溶剤が挙げられ、これらの中では、トルエン、
キシレンが好ましい。
【0043】そして、特定のアルコールとオキシハロゲ
ン化リンとの反応条件は、反応温度が0〜110℃、好
ましくは40〜80℃であり、反応時間が1〜20時
間、好ましくは2〜8時間である。また、この第2の方
法においては、例えば、特定のアルコール及びオキシハ
ロゲン化リンをモル比で1:1となる割合で用いること
により、モノエステルを得ることができる。
【0044】さらに、式(14)、式(16)、式(1
7)(ただし、R23が水素原子の場合)、式(18)、
又は式(20)で表される特定のアルコールを用いる場
合には、この特定のアルコールとオキシハロゲン化リン
との割合及び反応条件を選択すると共に、反応触媒とし
ては、四塩化チタン(TiCl4)、塩化マグネシウム
(MgCl2)、塩化アルミニウム(AlCl3)等のル
イス酸触媒、副生する塩酸のキャッチ剤としては、トリ
エチルアミン、トリブチルアミン等のアミン類や、ピリ
ジン等が好ましく用いられる。
【0045】これらの反応触媒や塩酸キャッチ剤を用い
ることにより、モノエステルとジエステルとの混合物が
得られる。そして、この特定のアルコールとオキシハロ
ゲン化リンとの割合及び反応触媒を含む反応に係る条件
を適宜選択することにより、モノエステルとジエステル
との割合は、モル比で99:1〜1:99となる範囲内
で調整される。
【0046】また、上記式(13)、式(15)、式
(17)(ただし、R23がアルキル基の場合)、又は式
(19)で表される特定のアルコールを用いる場合に
は、この特定のアルコールとオキシハロゲン化リンとの
割合及び反応条件を選択すると共に、ルイス酸触媒及び
塩酸キャッチ剤を併用することにより、モノエステルと
ジエステルとの混合物が得られ、このとき、その割合が
モル比で99:1〜1:99となる範囲内で調整され
る。
【0047】ただし、特定のアルコールとしてアルキレ
ンオキサイド基の繰り返し単位数mが小さいものを用い
る場合には、得られるリン酸エステル化合物が水溶性の
ものとなるため、アミン類等の塩酸キャッチ剤を用いる
と、生成されるアミン塩酸塩を水による洗浄によって除
去することが困難となる傾向にある。以上において、反
応触媒の使用量としては、オキシハロゲン化リン1モル
に対して0.005〜0.2モル、好ましくは0.01
〜0.05モルである。
【0048】〔第3の方法〕:この第3の方法は、無溶
媒又は適宜の有機溶剤中で、特定のアルコールと三ハロ
ゲン化リンとを反応させることにより、ホスホン酸エス
テル化合物を合成し、その後、得られたホスホン酸エス
テル化合物を酸化する方法である。三ハロゲン化リンと
しては、三塩化リン、三臭化リンを用いることが好まし
く、特に好ましくは三塩化リンである。
【0049】また、特定のアルコールと三ハロゲン化リ
ンとの反応に用いられる有機溶剤としては、三ハロゲン
化リンと反応しない有機溶剤であって、例えば、ヘキサ
ン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、
トルエン、キシレン、石油スピリット等の炭化水素系溶
剤、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロ
ロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、ジエチルエ
ーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等
のエーテル系溶剤が挙げられ、これらの中では、ヘキサ
ン、ヘプタンが好ましい。そして、特定のアルコールと
三ハロゲン化リンとの反応条件は、反応温度が0〜90
℃、好ましくは40〜75℃であり、反応時間が1〜1
0時間、好ましくは2〜5時間である。
【0050】また、上記ホスホン酸エステル化合物を酸
化する手段としては、ホスホン酸エステル化合物に、例
えば、塩素ガス等のハロゲンを反応させることによりホ
スホロハロリデート化合物を合成し、このホスホロハロ
リデート化合物を加水分解する手段を利用することがで
きる。ここで、ホスホン酸エステル化合物とハロゲンと
の反応温度は0〜40℃が好ましく、特に好ましくは5
〜25℃である。また、ホスホン酸エステル化合物を酸
化する前に、このホスホン酸エステル化合物を蒸留して
精製してもよい。
【0051】この第3の方法においては、例えば、特定
のアルコール及び三ハロゲン化リンをモル比で3:1と
なる割合で用いることにより、ジエステルが高い純度で
得られる。また、特定のアルコールと三ハロゲン化リン
との割合及び反応条件を選択することにより、モノエス
テルとジエステルとの混合物が得られ、このとき、その
割合はモル比で99:1〜1:99となる範囲で調整さ
れる。
【0052】以上の第1〜第3の方法で得られるリン酸
エステル化合物の好ましい具体例としては、下記式(2
5)−a、下記式(25)−b、下記式(26)−a〜
x、下記式(27)−a〜x、下記式(28)−a〜
v、下記式(29)−a〜nで表される化合物が挙げら
れる。これらリン酸エステル化合物は、単独で又は二種
以上組み合わせて用いることができ、それらの金属化合
物における光学特性の観点からは、式(25)−b、式
(27)−a〜x、式(28)−a〜v、式(29)−
a〜nで表されるリン酸エステル化合物が好ましく、式
(28)−s〜vで表されるリン酸エステル化合物が特
に好ましい。
【0053】
【化9】
【0054】
【化10】
【0055】
【化11】
【0056】
【化12】
【0057】
【化13】
【0058】
【化14】
【0059】
【化15】
【0060】
【化16】
【0061】
【化17】
【0062】
【化18】
【0063】
【化19】
【0064】
【化20】
【0065】
【化21】
【0066】
【化22】
【0067】ここで、式(2)、(3)、(6)又は
(7)で表されるリン酸エステル化合物におけるアルキ
レンオキサイド基の繰り返し単位数mは、1〜6、好ま
しくは1〜3の整数である。このmの値が6を超える
と、例えば、後述する樹脂組成物としたときの硬度が大
幅に低下する。一方、mの値が0、すなわちアルキレン
オキサイド基が結合されていない場合には、樹脂組成物
とする場合に、金属イオンの分散性が低下する傾向にあ
る。
【0068】また、リン酸エステル化合物及びリン酸エ
ステル金属化合物の熱的安定性の観点から、mが1であ
ると特に好適である。このmが1であるアルキレンオキ
サイド基を有するリン酸エステル金属化合物は、mが2
以上の整数であるアルキレンオキサイド基を有するもの
に比して、高い熱分解温度を有する傾向がある。よっ
て、mが1であるアルキレンオキサイド基を有するリン
酸エステル金属化合物を含む組成物を熱成形する際に、
その成形温度を高めて成形加工性をより向上できる。
【0069】さらに、mが1であるアルキレンオキサイ
ド基を有するリン酸エステル金属化合物は、mが2以上
の整数であるアルキレンオキサイド基を有するものに比
して、耐湿性にも優れる傾向にある。具体的には、mが
1であるアルキレンオキサイド基を有するリン酸エステ
ル金属化合物を用いた光学材料は、高温多湿の環境下で
も可視光透過率の経時的な劣化が殆ど無いのに対し、m
が2以上の整数であるアルキレンオキサイド基を有する
ものは、経時的な劣化が比較的起こり易い傾向にある。
【0070】またさらに、式(8)におけるアルキレン
オキサイド基の繰り返し単位数kは、0〜5、好ましく
は0〜2の整数である。このkの値が5を超える場合に
は、樹脂組成物としたときの硬度が低下する傾向にあ
る。
【0071】さらにまた、式(9)におけるアルキレン
オキサイド基の繰り返し単位数rは、1〜10、好まし
くは1〜4の整数である。このrの値が10を超えるも
のは、樹脂組成物としたときの吸湿性がやや高くなり、
成形品の伸縮がやや発生し易い傾向にある。特に、長期
間の使用において、周囲環境の湿度変化による伸びや縮
みによって、例えば、表面被覆層がある場合に、その表
面被覆層の劣化が進行し易いことがある。加えて、rの
値が10を超えると、成形品の剛性又は硬度がやや低下
してしまい、必要な所望の機械的強度がやや得られ難い
傾向にある。さらに、この場合には、成形品に対して十
分な耐熱性が得られない虞がある。そして、rが1であ
ると、光学特性の経時的な劣化が殆ど無い光学材料が得
られ易い。
【0072】また、式(9)で表されるようなメタクリ
ロイルオキシアルキル基におけるアルキレンオキサイド
基がエチレンオキサイド基又はプロピレンオキサイド基
であると、pが4以上であるアルキレンオキサイド基を
有するリン酸エステル金属化合物に比して、特定波長光
の吸収特性が高められる。
【0073】なお、上述したように、特定のリン酸エス
テル化合物としては、モノエステルかジエステルが用い
られるが、式(1)において水酸基が結合していないト
リエステルは、金属イオンと配位結合及び/又はイオン
結合が可能な水酸基を有しないため、樹脂組成物とする
場合等に金属イオンを樹脂中に分散させることが困難で
ある。
【0074】また、式(2)〜(6)におけるR11〜R
17は炭素数が1〜20、好ましくは1〜10、更に好ま
しくは1〜4、特に好ましくは1〜2のアルキル基、又
は、炭素数が6〜20のアリール基若しくはアラルキル
基である(ただし、芳香環を構成する炭素原子に結合し
た水素原子が、炭素数1〜6のアルキル基又はハロゲン
によって少なくともひとつ置換されていてもよい)。ま
た、式(7)におけるR51、及び式(8)におけるR52
は炭素数が1〜20、好ましくは1〜10、更に好まし
くは1〜4、特に好ましくは1〜2のアルキル基であ
る。
【0075】これらR11〜R17、R51及びR52の炭素数
が20を超えるリン酸エステル化合物は、樹脂組成物と
した場合に、樹脂との相溶性が低下する場合があり、樹
脂中に金属イオンを分散させ難い。
【0076】さらに、式(2)におけるR21、式(3)
におけるR22、及び式(6)におけるR23〜R25は、炭
素数が1〜4のアルキル基である(ただし、R23
24、R 25が全て水素の場合を除く)。すなわち、式
(2)及び式(3)におけるアルキレンオキサイド基と
しては、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド
基等が挙げられ、式(6)におけるアルキレンオキサイ
ド基としてはブチレンオキサイド基等が挙げられる。
【0077】これらのなかでは、プロピレンオキサイド
基を有するものが好ましい。また、これらR21〜R25
炭素数が4を超える場合には、リン酸エステル化合物及
び金属酸化物、又は、リン酸エステル金属化合物を、溶
剤や樹脂中に高い割合で分散させることが困難となる。
【0078】またさらに、式(7)におけるR31、及び
式(8)におけるR32は、炭素数が1〜6、好ましくは
1〜4、更に好ましくは3〜4、特に好ましくは3のア
ルキレン基である。すなわち、アルキレンオキサイド基
(OR31、OR32)としては、メチレンオキシ基、エチ
レンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ
基、ペンチレンオキシ基、ヘキシレンオキシ基などが挙
げられ、特にプロピレンオキシ基及びブチレンオキシ基
が好ましい。
【0079】このR31及びR32の炭素数が6を超える場
合には、リン酸エステル化合物及び金属酸化物、又は、
リン酸エステル金属化合物を、溶媒や樹脂中に高い割合
で分散させることが困難である。またさらに、式(8)
におけるR41は、炭素数が1〜10、好ましくは3〜
6、更に好ましくは3〜4、特に好ましくは3のアルキ
レン基である。このアルキレン基R41の炭素数が10を
超えると、溶媒や樹脂中への分散性が低下する傾向にあ
る。さらにまた、式(9)におけるR61は水素原子又は
メチル基である。
【0080】さらにまた、金属酸化物として銅の酸化物
を用いる場合、式(1)で表されるリン酸エステル化合
物のうち、芳香環を有するリン酸エステル化合物と、芳
香環を有しないリン酸エステル化合物とを混合して用い
ると好適である。このようにすると、可視光と近赤外光
との境界にあたる波長領域(概ね波長750nm前後)
における可視光側の透過率、及びその波長領域における
近赤外光側の吸収率がともに高められた光学材料を得る
ことができる。
【0081】特に、上記芳香環を有するリン酸エステル
化合物が、式(25)−a及び/又は式(25)−b、
好ましくは式(25)−bで表される化合物であると、
近赤外光の選択吸収性、及び可視光の選択透過性により
優れると共に、後述する液状組成物を得る際に、溶剤へ
の溶解性を高めることができる。このとき、上記の芳香
環を有するリン酸エステル化合物及び/又はその銅化合
物と、芳香環を有しないリン酸エステル化合物及び/又
はその銅化合物との含有割合が、重量比で10:90〜
90:10、好ましくは40:60〜90:10、特に
好ましくは60:40〜85:15であるとより好適で
ある。
【0082】〈光学材料〉本発明による光学材料は、上
述したリン酸エステル化合物(以下、「特定のリン酸エ
ステル化合物」という)と、上述した金属酸化物との反
応により得られるリン酸エステル金属化合物を含有して
成るものである。このような光学材料の好適な実施形態
としては、例えば、以下のものが挙げられる。 [第1実施形態]:リン酸エステル金属化合物そのもの [第2実施形態]:リン酸エステル金属化合物を含有す
る液状組成物 [第3実施形態]:リン酸エステル金属化合物を含有す
る樹脂組成物 [第4実施形態]:リン酸エステル金属化合物を含有す
る粘着性組成物 以下、これらについて説明する。
【0083】〈光学材料の第1実施形態:リン酸エステ
ル金属化合物〉リン酸エステル金属化合物は、特定のリ
ン酸エステル化合物と金属酸化物とを、適宜の条件下で
接触させて反応させることにより製造される。具体的に
は、以下の第4の方法、第5の方法、第6の方法等を用
いることができる。 〔第4の方法〕:特定のリン酸エステル化合物と金属酸
化物とを混合して両者を反応させる方法。 〔第5の方法〕:適宜の有機溶剤中において特定のリン
酸エステル化合物と金属酸化物とを反応させる方法。 〔第6の方法〕:上記第4又は第5の方法において、金
属酸化物、又は、金属酸化物及び特定のリン酸エステル
化合物の混合物に水を添加し、反応させる方法。
【0084】第5の方法において用いられる有機溶剤と
しては、用いられる特定のリン酸エステル化合物を溶解
又は分散し得るものであれば、特に限定されず、例え
ば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、
メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルア
ルコール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチル
セロソルブ等のグリコールエーテル類、ジエチルエーテ
ル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエ
ーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン
類、酢酸エチル等のエステル類、ヘキサン、ケロシン、
石油エーテル等が挙げられる。また、(メタ)アクリレ
ート等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、α
−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物等の重合性を
有する有機溶剤も用いられる。
【0085】これら第4〜第6の方法のなかでは、金属
酸化物を構成する金属のリン酸エステル化合物への溶解
性又は分散性を高める観点から、第6の方法を用いるこ
とが好ましい。
【0086】このように水を添加する場合の具体的な方
法としては、特定のリン酸エステル化合物、又は、特定
のリン酸エステル化合物及び有機溶剤の混合物(各種添
加剤を含んでもよい)に金属酸化物を混合し、この混合
物に所定量の水を添加し、所定時間攪拌するといた方法
が挙げられる。このとき、特定のリン酸エステル化合物
に金属酸化物及び水を同時に加えても構わない。
【0087】この水の添加量としては、リン酸エステル
化合物由来の水酸基1モルに対して、好ましくは0.0
5〜5.0モル、より好ましくは0.10〜1.0モル
である。或いは、金属酸化物中の酸素原子(水和物又は
水化物における水分子の酸素原子を除く)1モルに対し
て、好ましくは0.30〜10モル、より好ましくは
0.50〜1.0モルである。
【0088】また、水を添加して反応させるときの条件
は、温度が、好ましくは0〜50℃で、より好ましくは
10〜30℃、或いは室温程度、反応時間が、好ましく
は5時間以上、より好ましくは10〜50時間、更に好
ましくは20〜50時間である。
【0089】〈光学材料の第2実施形態:液状組成物〉
この液状組成物は、特定のリン酸エステル化合物と金属
酸化物との反応により得られるリン酸エステル金属化合
物が、溶剤中に含有されて成るものである。液状組成物
としては、溶剤を蒸発させて生成される薄膜や薄層が、
金属イオンの吸収波長以外の波長光に対して透明なもの
であると好ましく、液状組成物自体は、透明なもの、半
透明なもの、又は、不透明なものであってもよい。
【0090】溶剤としては、水又は有機溶媒を用いるこ
とができ、有機溶媒としては、メチルアルコール、エチ
ルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコ
ール等のアルコール類、メチルセルソルブ、エチルセル
ソルブ等のグリコールエーテル類、ジエチルエーテル、
ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、アセトン、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘ
キサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピ
ル、酢酸ブチル、酢酸ブチルセルソルブ等のエステル
類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、
ヘキサン、ケロシン、石油エーテル等が用いられる。ま
た、他の溶剤として、例えば、(メタ)アクリレート等
の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、α−メチ
ルスチレン等の芳香族ビニル化合物等の有機溶媒を用い
ることもできる。
【0091】この液状組成物は、溶剤として有機溶媒を
用いる場合、前述した〔第5の方法〕又は〔第6の方
法〕によって好ましく製造される。また、予め製造した
リン酸エステル金属化合物を溶剤中に溶解又は分散させ
ることによっても調製可能である。この液状組成物に含
まれるリン酸エステル金属化合物の含有割合は、使用さ
れる溶剤の種類や、光学材料の用途や使用目的によって
異なるが、調合後の粘度の観点から、通常、溶剤100
重量部に対して、0.1〜1900重量部、好ましくは
1〜900重量部、特に好ましくは5〜400重量部と
なる範囲で調整される。
【0092】〈光学材料の第3実施形態:樹脂組成物〉
この樹脂組成物は、特定のリン酸エステル化合物と金属
酸化物との反応により得られるリン酸エステル金属化合
物が、樹脂中に含有されて成るものである。特定のリン
酸エステル化合物は、樹脂との相溶性に優れたものであ
り、金属イオンがその樹脂中に良好に分散される。樹脂
としては、特定のリン酸エステル化合物及び/又はリン
酸エステル金属化合物との相溶性又は分散性に優れる樹
脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、以下
に示すアクリル系樹脂等の樹脂を好ましく用いることが
できる。
【0093】アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリ
ル酸エステル系単量体又はそれから得られる重合体が好
ましく用いられる。(メタ)アクリル酸エステル系単量
体のうち単官能基のものの具体例としては、メチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−
プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)ア
クリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシ
ャリーブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メ
タ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート
等のアルキル(メタ)アクリレート類、グリシジル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロシキエチル(メタ)アク
リレート、2−ヒドロシキプロピル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソボル
ニル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレン(メ
タ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート等
の変性(メタ)アクリレート類、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリ
レート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレ
ート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリレー
ト、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロキシエトキシ
フェニル〕プロパン、2−ヒドロキシ−1−(メタ)ア
クリロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロパン、トリ
メチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタ
エリトリットトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリト
リットテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)
アクリレート類等が挙げられる。
【0094】なお、上記( )で囲まれた「メタ」の意
味は、アクリル酸若しくはその誘導体、及び、メタクリ
ル酸若しくはその誘導体の両方を記載する必要があると
きに、記載を簡潔にするため便宜上使用されている記載
方法であり、本明細書においても採用したものである。
【0095】また、別の樹脂としては、上記の(メタ)
アクリル酸エステル系単量体と、この(メタ)アクリル
酸エステル系単量体との共重合が可能な他の共重合性単
量体も用いられる。このような共重合性単量体の具体例
としては、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロ
イルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイル
オキシエチルフタル酸等の不飽和カルボン酸、N,N−
ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド類、スチレ
ン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、ジブロムス
チレン、メトキシスチレン、ビニル安息香酸、ヒドロキ
シメチルスチレン等の芳香族ビニル化合物等が挙げられ
る。
【0096】さらに、特定のリン酸エステル化合物との
相溶性が高い他の樹脂重合体としては、ポリエチレンテ
レフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネイト等、更には、ス
チレン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、ジブロ
ムスチレン、メトキシスチレン、ビニル安息香酸、ヒド
ロキシメチルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビ
ニル化合物の重合体が挙げられる。
【0097】ここで、樹脂を構成する単量体として単官
能性のもののみを用いる場合には、重合した成形体とし
て熱可塑性のものが得られ、単量体の一部又は全部とし
て多官能性のものを用いる場合には、熱硬化性の成形体
が得られる。よって、これら樹脂を適宜選択することに
より、使用目的、用途及び加工成形方法等に応じた光学
材料の成形体を得ることが可能となる。これらのうち、
熱可塑性のものを用いれば、重合後の再成形が容易とな
るので、成形加工性が向上される。
【0098】この樹脂組成物を調製するための具体的な
方法は、特に限定されるものではないが、以下の2つの
方法等によると好適である。
【0099】〔第7の方法〕:この第7の方法は、単量
体中に、特定のリン酸エステル化合物及び金属酸化物、
又は、両者の反応によって得られたリン酸エステル金属
化合物を含有させて単量体組成物を調製する方法であ
る。この単量体組成物は、重合されずにそのまま光学材
料として用いることができる。或いは、この単量体組成
物を更にラジカル重合処理して重合体組成物としてもよ
い。また、特定のリン酸エステル化合物及び金属酸化物
を用いる場合には、単量体組成物に所定量の水を添加す
ると、金属酸化物の溶解性が高められるので好ましい。
【0100】この方法において、単量体組成物のラジカ
ル重合処理の具体的な方法としては、特に限定されるも
のではなく、通常のラジカル重合開始剤を用いるラジカ
ル重合法、例えば、塊状(キャスト)重合法、懸濁重合
法、乳化重合法、溶液重合法等の公知の方法を利用する
ことができる。
【0101】また、単量体組成物の重合によって得られ
る光学材料の成形体の耐候性や耐熱性を向上させる観点
からは、この単量体組成物に、紫外線吸収剤や光安定剤
等の各種の高分子用添加剤を添加すると好適である。ま
た、光学材料の色調を整えるために、各種着色剤を添加
することも可能である。
【0102】紫外線吸収剤としては、例えば、p−te
rt−ブチルフェニルサリシレート等のサリシレート
系、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロ
キシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン
系、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル
−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ
ール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−オクチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、エ
チル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等
のシアノアクリレート系等の紫外線吸収剤が挙げられ
る。
【0103】また、光安定剤としては、例えば、ビス
(1,2,2,6,6ペンタメチル−4−ピペリジル)
セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペリジル)セバケート、ジ(1,2,2,6,6−
ペンタメチル−4−ピペリジル)−ブチル(3’,5’
−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロ
ネート、1−(2−(3−(3,5−ジtert−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エ
チル)−4−(3−(3,5−ジtert−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン、ポリ{(6−
{1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ}−
1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)(1,6−
{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル}
アミノヘキサメチレン)}、ポリ{{6−(モルフォリ
ノ)−S−トリアジン−2,4−ジイル}{1,6−
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ア
ミノ}ヘキサメチレン}、4−ヒドロキシ−2,2,
6,6−テトラメチル−1−ピペリジネタノールとのジ
メチルサクシネートポリマー等の各種ヒンダードアミン
系の光安定剤を用いることができる。
【0104】さらに、ラジカル重合開始剤としては、通
常の有機過酸化物系重合開始剤を用いることができ、t
ert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert
−ブチルパーオキシデカネート、tert−ブチルパー
オキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾ
エート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキ
サノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、
tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチ
ルヘキサノエート等のパーオキシエステル、ラウロイル
パーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイル
パーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、1,1−
ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,5,5−ト
リメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール等が好
ましく用いられる。
【0105】或いは、2,2−アゾビス(イソブチロニ
トリル)や2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレ
ロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−
2−カルボニトリル)等のアゾ系ラジカル重合開始剤も
好ましく用いられる。
【0106】〔第8の方法〕:この第8の方法は、樹脂
中に、特定のリン酸エステル化合物及び金属酸化物、又
は、両者の反応によって得られたリン酸エステル金属化
合物を加えて混合する方法である。この方法は、樹脂と
して熱可塑性樹脂を用いるときに利用される。具体的に
は、溶融させた樹脂中に、特定のリン酸エステル化合
物及び金属酸化物、又は、リン酸エステル金属化合物を
加えて混練する方法、樹脂を適宜の有機溶剤に溶解、
分散又は膨潤させ、この溶液に特定のリン酸エステル化
合物及び金属酸化物、又は、リン酸エステル金属化合物
を加えて混合した後、この溶液から有機溶剤を除去する
方法がある。また、上記及びのいずれの方法におい
ても、特定のリン酸エステル化合物及び金属酸化物を用
いる場合には、単量体組成物に所定量の水を添加するこ
とにより、金属酸化物の溶解性を高めることが可能であ
る。
【0107】上記の方法における混練手段としては、
熱可塑性樹脂の溶融混練法として一般に用いられている
手段、例えば、ミキシングロールによって溶融混練する
手段、ヘンシェルミキサー等によって予備混合した後、
押出機によって溶融混練する手段が挙げられる。一方、
上記の方法で用いられる有機溶剤としては、樹脂を溶
解、分散又は膨潤し得るものであれば、特に限定される
ものではなく、その具体例としては、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のア
ルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン
類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素
類、塩化メチレン等の塩素系炭化水素類、ジメチルアク
リルアミド、ジメチルフォルムアミド等のアミド化合物
等が挙げられる。
【0108】ここで、樹脂組成物におけるリン酸エステ
ル金属化合物の含有割合は、光学材料の用途又は使用目
的によって異なるが、成形性の観点から、通常、樹脂1
00質量部に対して、0.1〜400質量部、好ましく
は0.3〜200質量部、特に好ましくは1〜100質
量部となる範囲で調整される。また、樹脂組成物(光学
材料)における金属イオンの含有割合は、樹脂組成物全
体に対して、前述したように好ましくは2〜60質量%
となるように調整される。
【0109】〈光学材料の第4実施形態:粘着性組成
物〉この粘着性組成物は、樹脂組成物の一形態であっ
て、特定のリン酸エステル化合物と金属酸化物との反応
により得られるリン酸エステル金属化合物が、粘着性を
有する樹脂(以下、「粘着性樹脂」という)に含有され
て成るものである。このような粘着性樹脂としては、例
えば、粘着性を有するアクリル系樹脂、ポリビニルブチ
ラール、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はその部分鹸
化物等が挙げられる。
【0110】これらのなかで、粘着性を有するアクリル
系樹脂は、粘着成分を構成するアクリル系単量体を含有
する単量体組成物を重合処理することにより得られるも
のである。この粘着成分として用いられるアクリル系単
量体としては、アルキル基の炭素数が4〜12であっ
て、ホモポリマーのガラス転移点が−70℃〜−30℃
であるアクリル酸アルキルエステルを好適に用いること
ができ、具体的には、n−ブチルアクリレート、2−エ
チルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デ
シルアクリレート等が挙げられる。
【0111】また、その単量体組成物には、凝集成分を
構成する単量体及び改質成分を構成する単量体を含有さ
せることが望ましい。この凝集成分を有する単量体とし
ては、粘着成分として用いられるアクリル系単量体と共
重合可能なものであって、得られる共重合体のガラス転
移点を高める作用を有するものが用いられる。具体的に
は、炭素数が1〜3の低級アルキル基を有するアクリル
酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、
酢酸ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、スチ
レン等が挙げられる。
【0112】上記改質成分として用いられる単量体とし
ては、粘着成分として用いられるアクリル系単量体と共
重合可能であって、官能基を有するものが用いられる。
具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、
マレイン酸モノエステル等のカルボキシル基含有化合
物、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート等の水酸基含有化合物、アクリ
ルアミド、メタクリルアミド、N−tert−ブチルア
クリルアミド、N−オクチルアクリルアミド等の酸アミ
ド化合物、グリシジルアクリレート、グリシジルメタク
リレート等のグリシジル基含有単量体等が挙げられる。
【0113】そして、単量体組成物における各単量体の
使用割合は、用いられる単量体の種類、得られる光学材
料の使用目的等によって異なるが、通常、粘着成分とし
て用いられるアクリル系単量体が30〜95質量%、凝
集成分として用いられる単量体が5〜50質量%、改質
成分として用いられる単量体が0.1〜10質量%であ
る。
【0114】この単量体組成物を重合処理する方法とし
ては、溶液重合法及び乳化重合法を用いることができ
る。これら重合処理に用いられる触媒としては、例えば
ベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチルニトリ
ル、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過酸化物
が挙げられる。溶液重合法により単量体樹脂組成物の重
合処理を行う場合には、重合溶媒として種々の有機溶媒
を用いることができ、例えば酢酸エチル等のエステル
類、芳香族炭化水素類、ケトン類等が挙げられる。ま
た、乳化重合法により単量体組成物の重合処理を行う場
合には、乳化剤として、通常の乳化重合に使用されてい
る公知の種々のものを用いることができる。
【0115】上記のように単量体組成物を重合処理する
ことにより、粘着性を有するアクリル系樹脂がポリマー
溶液又はラテックスの状態で得られる。
【0116】本実施形態の粘着性組成物は、上記の粘着
性を有するアクリル系樹脂、ポリビニルブチラール、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体又はその部分鹸化物等の粘
着性樹脂に、特定のリン酸エステル化合物及び金属酸化
物、又は、リン酸エステル金属化合物を混合することに
より得られる。ここで、特定のリン酸エステル化合物及
び金属酸化物を用いる場合には、所定量の水を添加して
混合又は混練すると、金属酸化物の溶解性が高められる
ので好ましい。
【0117】また、この粘着性組成物には、ベンゾトリ
アゾール系、ベンゾフェノン系又はサリチル酸系の紫外
線吸収剤、その他の抗酸化剤、安定剤等を更に含有させ
ることができる。またさらに、種々の可塑剤を含有させ
ることもできる。このような可塑剤としては、リン酸ト
リクレジル、リン酸トリフェニル等のリン酸エステル系
可塑剤、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート等
のフタル酸系可塑剤、ジブチルセバケート、ブチルリシ
ノレート、メチルアセチルリシノレート、ブチルサクシ
ネート等の脂肪酸系可塑剤、ブチルフタリルブチルグリ
コレート、トリエチレングリコールジブチレート、トリ
エチレングリコールジ−2−エチルブチラート、ポリエ
チレングリコール等のグリコール系可塑剤等が挙げられ
る。
【0118】以上説明した本発明の光学材料によれば、
金属源として金属酸化物が用いられるので、金属酸化物
と特定のリン酸エステル化合物との反応において酸成分
及び水分の生成量が少ない。よって、金属源として酸塩
を用いたときのような酸成分の除去が必要なく、製造工
程が簡略化されると共に、光学材料の経時的な劣化を防
止できる。また、水分の生成量が少ないので、耐湿性を
向上でき、金属塩としてアルカリ塩を用いた場合に発生
し易い白化を十分に抑制できる。さらに、金属酸化物
は、一般に工業上の利用性及び経済性に優れている。こ
のように耐湿性が向上され且つ劣化し難く、しかも工業
的に利用し易いので、極めて耐久性及び耐候性に優れた
光学材料を低コストで実現できる。
【0119】またさらに、金属酸化物として、遷移金属
酸化物、及び/又は、希土類金属酸化物を金属源とすれ
ば、これらの各金属は、その原子構造に特有な吸光特性
又は発光特性、特に、d軌道の電子遷移によると考えら
れる優れた近赤外光吸収特性、特定波長の可視光吸収又
は発光特性を発現するので、光学的な機能性に優れた種
々の特性が発現される光学材料を得ることができる。
【0120】また、これらの金属酸化物のなかでも、ナ
トリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、
マンガン、ニッケル、コバルト、銅、ネオジム、プラセ
オジム、ユーロピウム、ツリウム、エルビウム、テルビ
ウム、ジスプロシウム、サマリウム、ホルミウム等の酸
化物を用いると、光学的な機能により優れた光学材料が
得られる。
【0121】特に、銅は、リン酸エステル化合物に配位
又は結合されて極めて優れた近赤外光吸収特性及び可視
光透過性を発現でき、視感度補正、測光、近赤外光及び
赤外光カット、熱線吸収、輝度調整等の各種用途に好適
な光学材料とすることができる。また、ネオジム、プラ
セオジム、ユーロピウム、ツリウム、エルビウム、テル
ビウム、ジスプロシウム、サマリウム及びホルミウム
は、吸収波長の吸収ピークが大きく且つ急峻であり、波
長成分の選択性に優れていると共に、蛍光の発光効率が
高い傾向にあり、或いは、レーザ発光するので、光増幅
機能を発現できる光学材料を形成可能である。
【0122】また、リン酸エステル金属化合物そのも
の、液状組成物、樹脂組成物等の各種形態の光学材料が
得られるので、それらの形態に応じた優れた特性、例え
ば、成形加工性、熱可塑性、熱硬化性、透明性、耐候
性、軽量性、粘着性、易取扱性、塗布容易性、乾燥性等
を光学材料及び/又はその成形体に付与できる。したが
って、各種の用途に適用可能な汎用性に富む光学材料が
得られる。
【0123】また、各種形態の光学材料の製造におい
て、特定のリン酸エステル化合物及び金属酸化物を混合
する工程に加え、金属酸化物に水を添加する工程を備え
ると、従来、適用が困難と考えられていた金属酸化物を
用いても、金属をリン酸エステル化合物及び/又は組成
物中へより良好に溶解又は分散できる。よって、こうす
れば、本発明の光学材料をより確実に且つ簡易に製造す
ることが可能となる。
【0124】〈光学部材〉本発明による光学材料を用い
ると、種々の用途に適応した光学部材を形成できる。光
学部材の形態としては、光学材料そのもの、透光性材料
等と組み合わせたもの、成形加工したもの等が挙げら
れ、具体的には、粉体状、液状、粘着状、塗料状、フィ
ルム状、板状、筒状、レンズ状等の種々の形態とするこ
とができる。
【0125】このような光学部材は、その優れた耐久
性、耐候性、光学特性、汎用性、経済性等により、例え
ば、CCD用、CMOS用又は他の受光素子用の視感度
補正部材、測光用部材、熱線吸収用部材、複合光学フィ
ルタ、レンズ部材(眼鏡、サングラス、ゴーグル、光学
系、光導波系)、ファイバ部材(光ファイバ)、ノイズ
カット用部材、プラズマディスプレイ前面板等のディス
プレイカバー又はディスプレイフィルタ、プロジェクタ
前面板、光源熱線カット部材、色調補正部材、照明輝度
調節部材、光学素子(光増幅素子、波長変換素子等)、
ファラデー素子、アイソレータ等の光通信機能デバイ
ス、光ディスク用素子等を構成するものとして好適であ
る。
【0126】
【実施例】以下、本発明に係る具体的な実施例について
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0127】〈実施例1〉 (1)モノマー調製:式(28)−sで表されるビス
(メタクリル酸オキシエチル)アシッドホスフェート及
び式(28)−tで表されるメタクリル酸オキシエチル
アシッドホスフェートの混合物6.45g(モル比が
1:1、酸価数280mgKOH/g)をメチルメタク
リレート43.5gに溶解混合後、α−メチルスチレン
0.5gを加え、更に金属源として酸化第二銅0.8g
(10mmol)を加え、室温で48時間攪拌した。こ
の溶液を濾過してモノマー溶液を調製した。
【0128】(2)重合用ガラスモールドの組立:直径
81mmのガラス製モールド板を二枚用意した。このガ
ラス製モールド板の一方の周縁部に環状の軟質塩ビ製パ
ッキンを配置し、更にその上から他方のガラス製モール
ド板を載せて対向配置し、両者のガラス製モールド板を
外方からクランプで押さえて保持して重合用ガラスモー
ルド(型)を組み立てた。
【0129】(3)樹脂板成形:上記(1)で調製した
モノマー溶液50gにt−ブチルパーオキシデカネート
0.5gを添加し、メンブランフィルターにて濾過した
後、この濾液を上記(2)で組み立てた重合用ガラスモ
ールド内に注入した。次いで、これをオーブン内に収容
し、40℃の一定温度で3時間、40℃から100℃の
昇温に2時間、100℃の一定温度で2時間、100℃
から70℃の降温に2時間と順次異なる温度に制御しな
がら重合固化を行った。重合終了後、重合用ガラスモー
ルドをオーブンから取り出し、クランプ、ガラス製モー
ルド板を取り外し、厚さ3mmの青色透明な樹脂板を得
た。
【0130】〈実施例2〉モノマー溶液の調製におい
て、酸化第二銅0.8gを加える際に水0.10gを更
に添加し、この混合物を室温で48時間攪拌したこと以
外は実施例1と同様にして、モノマー溶液の調製、重合
用ガラスモールドの組立及び樹脂板成形を行った。この
ときの水の添加割合は、式(28)−s及びtで表され
るリン酸エステル化合物由来の水酸基1モルに対して
0.15モル、酸化第二銅の酸素原子1モルに対して、
0.55モルである。
【0131】〈分光透過率測定〉実施例1及び2で製作
した樹脂板について、分光光度計「U−4000」
〔(株)日立製作所製〕を用いて、分光透過率を測定し
た。波長200〜900nmにおける分光透過率曲線を
それぞれ図1及び2、波長50nm毎の透過率の数値を
表1に示す。この結果より、金属酸化物として酸化第二
銅を用いた本発明の光学材料は、銅イオンに特有な優れ
た近赤外光吸収特性を発現できると共に、十分な可視光
透過特性を有することが確認された。また、実施例2の
樹脂板の方が実施例1の樹脂板よりも近赤外光吸収特性
が優れることが判明した。これより、リン酸エステル化
合物と酸化第二銅を混合して反応させる際に水を添加す
ることの優位性が確認された。
【0132】
【表1】
【0133】〈耐湿性試験〉実施例1及び2で製作した
樹脂板を、温度60℃、相対湿度(RH)90%の高温
高湿環境下に1000時間保持した。1000時間経過
後、これらの樹脂板を目視観察したところ、表面に析出
物は発生しておらず、また、白濁も全く生じておらず、
透明な状態が維持されていた。さらに、吸湿による変形
も生じなかった。また、1000時間経過後のこれらの
樹脂板に対し、上述したのと同様にして分光透過率測定
を実施したところ、分光特性に有意な変化は見られなか
った。これらの結果より、本発明の光学材料は、耐湿性
及び耐久性に極めて優れることが確認された。
【0134】〈実施例3〉モノマー溶液の調製におい
て、酸化第二銅1.3gを用いたこと以外は、実施例1
と同様にして、モノマー溶液の調製、重合用ガラスモー
ルドの組立及び樹脂板成形を行った。
【0135】〈実施例4〉モノマー溶液の調製におい
て、酸化第二銅1.3gを加える際に水0.1gを更に
添加し、この混合物を室温で48時間攪拌したこと以外
は実施例3と同様にして、モノマー溶液の調製、重合用
ガラスモールドの組立及び樹脂板成形を行った。このと
きの水の添加割合は、式(28)−s及びtで表される
リン酸エステル化合物由来の水酸基1モルに対して0.
1モル、酸化第二銅の酸素原子1モルに対して、0.3
4モルである。
【0136】〈比較例1〉金属源として水酸化銅1.3
gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、モノマ
ー溶液の調製、重合用ガラスモールドの組立及び樹脂板
成形を行った。この樹脂板に対し、上述したのと同様に
して耐湿性試験を行ったところ、1000時間経過後の
樹脂板には、白化(曇化)が生じており、また、一部に
反りが発生していた。
【0137】〈比較例2〉金属源として水酸化銅0.4
gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、モノマ
ー溶液の調製を行ったところ、モノマー溶液に白濁が生
じてしまい、透明な樹脂板を製造することができなかっ
た。
【0138】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の光学材料に
よれば、十分な透明性及び耐湿性を達成でき、且つ、白
化(曇化)を十分に抑制できる。また、本発明の光学材
料の製造方法によれば、十分な透明性及び耐湿性を有
し、且つ、白化(曇化)を十分に抑制でき、極めて耐久
性及び耐候性に優れた光学材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の樹脂板における分光透過率曲線を示
すグラフである。
【図2】実施例2の樹脂板における分光透過率曲線を示
すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 11/06 660 C09K 11/06 660 (72)発明者 箱崎 充徳 福島県いわき市錦町落合16 呉羽化学工業 株式会社錦工場内 (72)発明者 星 元 福島県いわき市錦町落合16 呉羽化学工業 株式会社錦工場内 (72)発明者 砂川 和彦 福島県いわき市錦町落合16 呉羽化学工業 株式会社錦工場内 (72)発明者 林 直樹 福島県いわき市錦町落合16 呉羽化学工業 株式会社錦工場内 Fターム(参考) 4H048 AA01 AA02 AA03 AB46 AB92 AC90 VA45 VA56 VA70 VB10 4H050 AB46 AB92 AC40 BB11 BB12 BB16 BB25 BC10 BC19 BE50 BE54 WA15 WA23 WA29 WB16 WB21 WB22

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1)で表されるリン酸エステル
    化合物と、金属酸化物との反応により得られるリン酸エ
    ステル金属化合物を含有して成ることを特徴とする光学
    材料。 【化1】 [式(1)中、Rは、下記式(2)、(3)、(4)、
    (5)、(6)、(7)、(8)若しくは(9)で表さ
    れる基、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又は
    アルケニル基を示し、nは1又は2であり、nが1のと
    きにRは同一であっても異なっていてもよい。 【化2】 (式(2)〜(9)中、R11〜R17は炭素数が1〜20
    のアルキル基、炭素数が6〜20のアリール基又はアラ
    ルキル基を示し(ただし、芳香環を構成する炭素原子に
    結合した水素原子が、炭素数1〜6のアルキル基又はハ
    ロゲンによって少なくともひとつ置換されていてもよ
    い)、R21〜R25は水素原子又は炭素数が1〜4のアル
    キル基を示し(ただし、R23、R24、R25が全て水素原
    子の場合を除く)、R31及びR32は炭素数が1〜6のア
    ルキレン基を示し、R41は炭素数が1〜10のアルキレ
    ン基を示し、R51及びR52は炭素数が1〜20のアルキ
    ル基を示し、R61は水素原子又はメチル基を示し、mは
    1〜6の整数を示し、kは0〜5の整数を示し、pは2
    〜97の整数を示し、rは1〜10の整数を示す。)]
  2. 【請求項2】 前記金属酸化物は、遷移金属酸化物、及
    び/又は、希土類金属酸化物であることを特徴とする請
    求項1に記載の光学材料。
  3. 【請求項3】 前記金属酸化物は、鉄、マンガン、ニッ
    ケル、コバルト、銅、ネオジム、プラセオジム、ユーロ
    ピウム、ツリウム、エルビウム、テルビウム、ジスプロ
    シウム、サマリウム及びホルミウムから成る群より選ば
    れる少なくとも一つの金属の酸化物である、ことを特徴
    とする請求項2記載の光学材料。
  4. 【請求項4】 前記式(1)で表されるリン酸エステル
    化合物及び金属酸化物を混合する工程と、 前記金属酸化物に水を添加する工程と、を備えることを
    特徴とする光学材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記金属酸化物として、亜酸化銅、酸化
    第一銅、酸化第二銅、又は、三二酸化銅を用いることを
    特徴とする請求項4記載の光学材料の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006009211A1 (ja) * 2004-07-21 2006-01-26 Kureha Corporation 近赤外光吸収材料及び積層体
JP2014040509A (ja) * 2012-08-21 2014-03-06 Fujifilm Corp 近赤外線吸収剤、近赤外線吸収性組成物、これらを用いた近赤外線カットフィルタ及びその製造方法、カメラモジュール及びその製造方法、ならびに、近赤外線吸収剤の製造方法
JP2016000847A (ja) * 2014-06-11 2016-01-07 Jsr株式会社 銅膜形成用組成物、銅膜形成方法、銅膜、配線基板および電子機器

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