JP2001264304A - 超音波プローブ - Google Patents

超音波プローブ

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JP2001264304A
JP2001264304A JP2000080170A JP2000080170A JP2001264304A JP 2001264304 A JP2001264304 A JP 2001264304A JP 2000080170 A JP2000080170 A JP 2000080170A JP 2000080170 A JP2000080170 A JP 2000080170A JP 2001264304 A JP2001264304 A JP 2001264304A
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delay chip
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ultrasonic probe
blocking
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Takeshi Ikeda
毅 池田
Tetsuya Ashida
哲哉 芦田
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シャープで反射波の混入の少ない超音波ビー
ムを被検査物内へ入射させることが可能であり、また、
被検査物中を伝搬してくる超音波ビームを、ビーム断面
を限定して受信することが可能な超音波プローブを提供
すること。 【解決手段】 ディレーチップ2の対物側の面2bに、
超音波を通過させる通過面3と、超音波を遮断する遮断
面4とを設ける。通過面3は、被検査物の表面と接触す
る面であって、超音波ビームWが対物側の面2bに照射
された場合に、その照射領域の一部を包含するように形
状と位置とが決定される。遮断面4は、前記照射領域の
残部を包含し、該残部に照射された超音波ビームを吸収
するようにおよび/または通過面へ向かわない方向へ反
射するように構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、物質内へ超音波を
入射させるための、および/または、物質内を伝搬して
来る超音波を受信するための超音波プローブの技術分野
に属し、特に、ディレーチップを備えた超音波プローブ
に関する。
【0002】
【従来の技術】超音波計測法は、超音波の反射、屈折、
伝搬時間などの種々の伝搬特性を利用し、被検査物の探
傷、材料定数測定などに広く用いられており、例えば、
電線の分野では、電力ケーブルを敷設したまま非破壊で
絶縁被覆部分の劣化度を診断する方法としても好ましく
応用されている。
【0003】被検査物の内部へ超音波を入射させるに
は、超音波振動子(以下、振動子ともいう)を内蔵した
超音波プローブが用いられる。超音波の入射には、被検
査物の表面に対して垂直な方向への入射(垂直入射)
や、垂直でない方向への入射(斜角入射)がある。斜角
入射には、斜め方向への入射と、被検査物の表面に沿っ
た方向への入射とが含まれている。受信の場合も、送信
の場合と原理的に同様の構成であって、超音波は送信の
場合の伝搬経路を逆にたどり、振動子(検出素子とな
る)に達し、電気エネルギーに変換される。
【0004】超音波プローブには、用途によってディレ
ーチップ(ディレーシューとも呼ばれる)が設けられ
る。ディレーチップは、振動子と被検査物との間に介在
させて伝搬時間を遅延させる部材であって、通常、振動
子を装着するための振動子装着面と、被検査物の表面に
接触・設置するための対物面とを有する。特に斜角入射
用の場合には、図8に示すように、振動子装着面22a
は、振動子21を被検査物30の表面30aに対して斜
めに保持すべく、対物面22bに対して斜面となり、楔
(くさび)状を呈する形状とされる。
【0005】図8(a)ではディレーチップ22全体が
楔状であり、図8(b)では一部が楔状であり、図8
(c)では楔状部分の先端の鋭利な部分が欠落した形状
である。これら図8(a)〜(c)から明らかなとお
り、従来のディレーチップは、いずれも対物側の面全体
が平坦な単一面22bとなっており、その面全体で被検
査物の表面30aに接触し、その面全体で超音波の入出
を行う構造となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、被検査物と直
接接触する面がディレーチップの対物側の面全体にわた
る広い面であるために、振動子からディレーチップ内に
放出された超音波は、メインビーム(ビームの中心にピ
ークとして存在する強い振動部分)に加えて、その周囲
に分布する弱い振動部分をも含んだ太いビーム状態で被
検査物内に入射する。これは受信の場合も同様であり、
被検査物中を伝搬してくるメインビームに加えて、その
周囲の弱い振動部分や、反射などで発生した雑音までも
が、ディレーチップの対物側全体からディレーチップ内
に入り込み、振動子に到達する構造となっている。
【0007】このようなディレーチップでは、メインビ
ームだけをシャープに入射させるなど、超音波を被検査
物内の特定部分に局所的に照射したい場合に対応できな
い。さらに、反射波が広く分散するために、反射経路に
よってはメインビームに反射波(遅れエコー)が混入す
るなどの問題も生じる。また、受信の場合にも、接触面
が広いために、広がった状態で被検査物中を伝搬してく
る超音波の中からメインビームだけをシャープに受信す
ることも困難である。よって、送信用・受信用のプロー
ブ間での超音波の伝搬時間や伝搬速度を計測したい場合
にも、メインビームだけで行うシャープな送信、受信が
困難である。
【0008】本発明の課題は、上記問題を解決し、シャ
ープで反射波の混入の少ない超音波ビームを被検査物内
へ入射させることが可能であり、また、被検査物中を伝
搬してくる超音波ビームをそのビーム断面を限定して受
信することが可能な超音波プローブを提供することであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の特徴を有
するものである。 (1)超音波振動子とディレーチップとを有し、ディレ
ーチップの対物側の面には、超音波を通過させる通過面
と、超音波を遮断する遮断面とが設けられ、通過面は、
被検査物の表面と接触する面であって、かつ超音波振動
子からディレーチップ内に発せられた超音波ビームが対
物側の面に照射された場合に、その照射領域の一部を包
含するように形状と位置とが決定された面であり、遮断
面は、被検査物の表面との接触面積が通過面よりも少な
くなるように形成された面であって、かつ前記照射領域
の残部を包含し、該残部に照射された超音波ビームを吸
収するようにおよび/または通過面へ向かわない方向へ
反射するように構成された面である、超音波プローブ。
【0010】(2)通過面が、超音波振動子からディレ
ーチップ内に発せられた超音波ビームのうち、少なくと
もメインビームの照射領域を包含するように形状と位置
とが決定された面である、上記(1)記載の超音波プロ
ーブ。
【0011】(3)遮断面が、被検査物の表面との面接
触が少なくなるように、かつ超音波ビームを分散的に反
射するように形成された凹凸面である、上記(1)記載
の超音波プローブ。
【0012】(4)遮断面が、被検査物の表面と接触し
ないように通過面に対して段差のついた面である、上記
(1)記載の超音波プローブ。
【0013】(5)遮断面が、上記段差のついた面に沿
ってさらに凹凸が形成された面である上記(4)記載の
超音波プローブ。
【0014】(6)通過面と被検査物の表面との接触を
妨げない厚さにて、遮断面にさらに吸音材が設置されて
いる上記(3)〜(5)のいずれかに記載の超音波プロ
ーブ。
【0015】(7)ディレーチップが、斜角入射用のデ
ィレーチップであって、通過面に対する斜面を有し、該
斜面に超音波振動子が装着されている上記(1)〜
(6)のいずれかに記載の超音波プローブ。
【0016】
【作用】本発明では、従来のようにディレーチップの対
物側全体を単一面として被検査物に全面接触させるので
はなく、対物側の面に通過面と遮断面とを設ける。ディ
レーチップと被検査物との接触面を、通過面として小面
積に限定したことによって、入出する超音波のビームの
太さが限定され、先ず、少なくともシャープなビームの
送信・受信が可能となる。
【0017】ここで重要な点は、ディレーチップと被検
査物との接触面を単に小さく限定しただけでは本発明の
課題は達成されないという点である。本発明者等の研究
によれば、例えば図7のように、ディレーチップの形状
を、振動子装着面23aから接触面23bに向かって断
面積が単調に減少する形状(円錐台状や角錐台状など)
としただけの場合、ビームは狭い出口で限定されるが、
ディレーチップ内の側面23cで有害な反射波が多量に
発生する。このような円錐台状や角錐台状を呈するディ
レーチップで発生した反射波の大部分は、最終的に狭い
出口に収束するため、音圧の点での入射効率は優れてい
るが、種々の経路を通った音波が重なって被検査物内へ
入射され、各々の音波の互いの時間的な遅れが小さいた
めに、本来必要なメインビームのパルスだけを抽出する
ことが困難となる。また、遅れエコーの影響により、本
来検出すべきエコーの位相がずれるなどの問題も生じ
る。
【0018】これに対して本発明では、ディレーチップ
と被検査物との接触面を単に小さく限定しただけではな
く、接触面(通過面)の隣に遮断面を設け、通過面以外
に照射された超音波を遮断する構成としている。遮断面
に照射されたビームは、ディレーチップ内へと反射され
るか、該遮断面で吸収される。この構成によって、本発
明による超音波プローブのディレーチップでは、出口に
反射波が収束することはなく、反射波はチップ内でより
多く反射するよう計算された経路を通ることによって十
分に減衰する。また、その一部が出口から被検査物内へ
入射されることはあっても、時間的な遅れが十分に大き
いため、必要なメインビームのパルスに重なることもな
く、抽出が困難になることもない。
【0019】反射の場合、少なくとも一度の反射でその
まま通過面に達するような反射波が無いように、好まし
くは、反射を繰り返しておよび/または分散してディレ
ーチップ内で十分に減衰するように,反射面の角度や反
射状態を選択すればよい。吸収における実質的な超音波
の減衰・消失は、超音波が遮断面を通過した後、その外
側の物質(後述の吸音材)内で行われるが、本明細書で
は、これを超音波が遮断面で吸収されると表現してい
る。遮断面での反射や吸収によって、当該超音波プロー
ブから被検査物内に入射する超音波は、ビームとしてシ
ャープであるだけでなく、ビームの成分の面でも実使用
上有害となるような反射波の含有が少ないものとなる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の超音波プローブを、斜角
入射用の態様のものを代表例として挙げ、それを送信に
用いる場合を示して説明する。振動子からディレーチッ
プ内に発せられる超音波ビームの断面形状(進行方向に
垂直な断面の形状)は、振動子の外周形状や特性などに
よって様々であるが、ここでは模式的に断面形状を四角
形とし、メインビームも断面形状を四角形として超音波
ビームの断面の中央にあるものとして説明する。
【0021】図1に一例を示すように、本発明の超音波
プローブは、ディレーチップ2と、該ディレーチップに
取り付けられた振動子1とを有する。プローブのケース
(ハウジング)や配線、その他の付帯部品は図示してい
ない。ディレーチップ2は、振動子装着面2aと対物側
の面2bとを有し、さらに、対物側の面2bは、超音波
を通過させる通過面3と、超音波を遮断する遮断面4と
を有する。同図の例では、斜角入射用として、振動子装
着面2aは、通過面3に対して鋭角をなす斜面として形
成されている。
【0022】ディレーチップの材料は、被検査物の材料
に応じて、目的の屈折が生じる界面となるよう自由に選
択してよい。公知の材料としては、アクリル樹脂、ポリ
イミド、ポリスチレン、ポリ4フッ化エチレンなどの高
分子材料が挙げられる。
【0023】通過面は、図1に示すように、ディレーチ
ップ2から被検査物へ超音波が入射できるように被検査
物の表面と接触するための面である。通過面3は、振動
子1からディレーチップ2内に発せられた超音波ビーム
Wが対物側の面に照射された場合に、その照射領域のう
ちの一部を包含(一致を含む)するように形状と位置と
が決定される。
【0024】通過面の形状と位置は、ビーム断面のどの
部分を利用するかに従って、照射領域の目的部分を包含
するように決定する。またその前提として、ビーム中の
超音波強度の分布や、ビーム断面のどの部分を対物側の
面に照射するかどうかなど、プローブ全体としての仕様
・構成なども考慮して、通過面を決定することが好まし
い。
【0025】例えば、強くシャープなビームを被検査物
へ入射させるならば、先ず、ディレーチップの対物側の
面に少なくともメインビームが照射されるようにディレ
ーチップ全体の形状、振動子のセット位置を決定し、次
に、メインビームの照射領域を包含するように通過面の
形状と位置を決定する。図2、図3は、その構成例を模
式的に示した斜視図である。これらの図では、ディレー
チップの対物側の面2bと、斜めに保持された振動子1
だけを描いており、対物側の面2b、超音波ビームの照
射領域e、メインビームの照射領域e1、通過面3の、
互いの位置関係・大小関係を例示している。
【0026】図2(a)、(b)の例では、振動子1か
ら照射されたビームWが、全て対物側の面2bに照射さ
れるように、ディレーチップと振動子とが構成されてい
る。プローブ全体を側面から見た形状としては、図6
(a)に示すような台形のものなどが挙げられる他、通
過面・遮断面以外は公知の形状であってよい。図2
(a)では、通過面3の形状(太線で表している)をデ
ィレーチップの幅全体にわたる細長いスリット状とし、
メインビームの照射領域e1を包含する位置に設定して
いる。この構成によって、メインビームを含んだ薄く幅
の広い帯状のビームが被検査物内に入射する。このよう
なビームは、電力ケーブルなどのような円柱状の被検査
物、特にその内部に円柱状の反射面を持つものに対して
広い領域の内部情報を抽出することができる。また、図
2(b)では、メインビームの照射領域e1を、ひと回
り大きな四角形の通過面3で包含し、メインビームを含
んだ細い線状のビームを被検査物内に入射させる構成と
なっている。
【0027】通過面の形状は、図2に示した例以外に
も、被検査物の外形や、被検査物中に存在する照射目標
の形状などに応じて自由に設定してよい。また、通過面
は、平面だけでなく、被検査物の表面に適合するように
湾曲した面であってもよい。
【0028】図3は、ディレーチップの形状、通過面の
位置、形状の好ましい組み合わせの一例を示している。
同図の態様では、振動子1から照射されたビームWを全
て対物側の面に照射させるのではなく、一部を側壁面2
cに照射させて制限し、残りを対物側の面に照射させ、
これをさらに通過面と遮断面とで制限している。側壁面
を制限に用いることによって、チップ内でのビームの空
間的な広がりを抑えることができる。
【0029】遮断面は、送信の場合で説明すると、振動
子からの超音波ビームが被検査物内に伝搬するのを抑制
するように形成される面である。従って、遮断面は、デ
ィレーチップの本体と被検査物との直接的な接触面積が
通過面よりも少なくなるように、好ましくは面で接触す
る部分ができる限り少なくなるように形成する。従っ
て、遮断面は、通過面に対して段差をつけて窪んだ部分
を有する面となり、図1に示すような点接触・線接触だ
けとなっている態様や、図4、図5に示すような直接的
には全く接触しない態様などが好ましいものとして挙げ
られる。これらの態様によって、受信の場合にも、通過
面を通って来た超音波だけを受信できることになる。
【0030】遮断面は、通過面に包含されなかった照射
領域の残部を包含(一致を含む)するように決定すれば
よく、例えば、図4(a)のように照射領域の残部だけ
でなく対物側の面の残部全てを遮断面とする態様や、ま
た、図4(b)のように照射領域の残部を含む重要部分
だけを遮断面とする態様などが挙げられる。
【0031】遮断面は、ディレーチップ材料と、その外
側の物質(後述の吸収材、雰囲気流体)や真空との組み
合わせを選択し、超音波の吸収および/または反射が可
能な界面として形成する。遮断面における超音波の吸収
量と反射量との割合は、ディレーチップの材料と遮断面
の外側の物質とを選択することで比較的自由に振り分け
ることができる。
【0032】遮断面での反射量をより多くする場合、遮
断面の外側は、プローブ使用時の周囲の雰囲気(空気、
水などの流体、真空)を利用してもよいし、金属材料や
高分子材料などからなる反射用部材を積極的に設けても
よい。プローブ使用時の雰囲気を利用する場合は、図1
(a)、図4(a)、(b)、図5(a)、(b)に示
すような態様となる。
【0033】遮断面で超音波を反射させる場合、上記作
用の説明で述べたとおり、少なくとも1回の反射でその
反射ビームが通過面に向かわないように、好ましくはよ
り多くの反射を繰り返して減衰するように、また分散し
て減衰するように、反射面の角度や状態を選択する。図
4(a)、(b)の例では、超音波ビームを分散的に反
射するように凹凸面が形成されている。この凹凸面は、
ストライプ状の凹凸であっても、ドット状の単発的な凹
凸の集合であってもよい。ストライプの方向や凹凸の密
度は適宜選択してよく、凹凸の個々のカーブも、ノコギ
リ波状やサインカーブ状など、好ましく分散するものを
選択すればよい。図5(a)、(b)の例では、遮断面
は、被検査物の表面と接触しないように通過面に対して
平行に段差のついた平面となっている。この平面は、通
過面と平行な面とするだけでなく、角度を適宜選択して
よい。図6(a)、(b)の例では、図5(a)、
(b)の遮断面に沿ってさらに凹凸が形成されている。
【0034】遮断面での吸収量をより多くする場合、図
1(a)、図4(c)、図5(c)に示すように遮断面
の外側に吸音材5を設ける。吸音材には、ディレーチッ
プ本体との界面において、超音波をより多く通過させる
材料であってかつ取り込んだ超音波を内部で大きく減衰
させる材料を用いる。ディレーチップ本体と吸音材との
界面には、遮断面での吸収を損なわない材料からなる接
着材を介在させてもよい。吸音材としては、コルクなど
の木材またはその集成材、各種ゴム、塩化ビニルなどが
挙げられ、必要に応じて、異なる材料を混合または積層
して設けてもよい。
【0035】吸音材は、プローブ使用時に通過面と被検
査物の表面との接触を妨げない厚さで遮断面に設ければ
よく、図1(a)、図4(c)、図5(c)に示すよう
に遮断面と被検査物の表面との間に生じる隙間を充填す
る態様の他、被検査物の表面に接触させないよう隙間を
残す態様であってもよい。
【0036】超音波プローブ全体の大きさは被検査物に
応じて異なるが、通常の用途では、振動子の設置面積は
1mm2〜1000mm2程度、対物側の面(四角形とす
る)の大きさは1mm×1mm〜10mm×50mm程
度である。そのなかで、通過面の外形をスリット状とす
るならば、スリットの短辺の長さ(送信される帯状のビ
ームの厚さを決定する)は、0.5mm〜10mm程度
である。
【0037】以上、本発明の超音波プローブを、斜角入
射用について説明したが、図6(b)に示すように垂直
入射用として形成してもよい。その場合、ディレーチッ
プは、振動子の発信面が被検査物の表面と平行に対向す
る形状とし、通過面と遮断面は、上記説明のものを適宜
組み合わせてよい。
【0038】被検査物は、超音波計測法が適用可能な対
象物であればよく、当該超音波プローブの使用法も限定
されない。シャープで雑音混入の少ない超音波ビームの
有用性を生かす一例としては、電力ケーブルを被検査物
とする劣化診断が挙げられ、その使用法については、特
開平10−300731号公報(特願平9−11233
3号)「超音波の伝搬速度の測定方法およびその装
置」、特開平11−14607号公報(特願平9−16
2824号)「超音波プローブおよびその用途」に詳細
に説明されている。
【0039】
【実施例】本実施例では、図1(a)、図1(b)、図
4(a)、図4(c)、図5(a)、図5(c)に示し
た斜角入射用の超音波プローブを製作し、また比較例と
して、図7、図8(a)に示した斜角入射用の超音波プ
ローブを製作し、各々の超音波ビームに対する制限効果
を調べた。
【0040】ディレーチップの本体部分の材料は、本実
施例、比較例共にアクリル樹脂であり、振動子装着面
は、被検査物の表面に対して45度傾いた斜面である。
振動子はチタンジルコン酸鉛からなるものであり、発信
する超音波の周波数は5MHzである。ディレーチップ
の対物側の面の形状は、図7のサンプルを除いて、いず
れも20mm×20mmの正方形である。本発明の6つ
のサンプル(図1(a)〜図5(c))における通過面
の形状、および図7のサンプルにおける接触面の形状
は、いずれも3mm(図に現れている寸法)×20mm
(紙面に垂直方向の寸法)のスリット状である。図1
(b)、図4(c)、図5(c)のサンプルで用いた吸
音材の材質は集成コルクである。
【0041】超音波の制限効果の測定方法は、各プロー
ブを計測用の薄板(厚さ0.5mm、材料ポリテトラフ
ルオロエチレン)の表面にセットし、該薄板の裏面から
小型超音波センサーによって測定するものとし、メイン
ビームにどの程度の反射波が混入しているか、遮断面
(比較例ではそれに対応する位置)の直下からどの程度
の超音波が被検査物内に入射しているかを調べた。
【0042】測定部位は、各サンプル共に2箇所であっ
て、これを本発明のサンプルで説明すると、通過面直
下でメインビームが到達するポイント、遮断面直下の
ポイント(本実施例では前記のポイントから5mm離
れた位置)の2箇所である。比較例に対しても、それに
対応する位置での測定とした。上記のポイントでは、
ディレーチップ内部で発生しメインビームに混入した反
射波成分を調べ、該反射波成分の最大振幅を、そのサン
プルのメインビームの最大振幅を100としたときの相
対値として表した。また、上記のポイントでは、その
位置で受けた超音波の最大振幅を、そのサンプルのメイ
ンビームの最大振幅を100としたときの相対値で表し
た。測定に際しては、各プローブと計測用の薄板との界
面に、グリセリン系の超音波伝搬媒質を塗布した。測定
結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】上記表1から明らかなように、本発明の超
音波プローブは、いずれのサンプルでも、メインビーム
に混入する反射成分の強度、および、メインビームの周
囲(通過面以外)で漏れて出る超音波の強度が、実使用
上問題とならない程小さい。これに対して、被検査物と
の接触面を小さくしただけの角錐台状のディレーチップ
とした図7のプローブでは、メインビームの周囲で漏れ
て出る超音波の強度はゼロ(測定不能なほど小さい)で
あるが、極めて強い反射波がメインビームに混入してい
た。また、従来の斜角入射用プローブである図8のサン
プルでは、メインビームへの反射波の混入は見られなか
ったが、極めて強い超音波がメインビームの周囲に広が
っており、シャープなビームでないことが明らかとなっ
ている。
【0045】
【発明の効果】以上のように、本発明の超音波プローブ
は、界面における超音波の反射と入射の特性を利用し、
特別な器具を利用することなく、シャープで反射波の混
入の少ない超音波ビームを被検査物内へ入射させること
ができ、また、被検査物中を伝搬してくる超音波ビーム
をそのビーム断面を限定して受信することが可能となっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の超音波プローブの構成例を模式的に示
す断面図である。
【図2】本発明の超音波プローブの構成例を模式的に示
した斜視図である。
【図3】本発明の超音波プローブの構成例を模式的に示
した斜視図である。
【図4】本発明の超音波プローブの構成例を模式的に示
す断面図である。
【図5】本発明の超音波プローブの構成例を模式的に示
す断面図である。
【図6】本発明の超音波プローブの構成例を模式的に示
す断面図である。
【図7】本発明の超音波プローブの性能を示すために、
特殊な形状のディレーチップとした、比較用の超音波プ
ローブを示す断面図である。
【図8】従来の斜角入射用の超音波プローブの構成例を
模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 超音波振動子 2 ディレーチップ 2b 対物側の面 3 通過面 4 遮断面 5 吸音材 W 超音波ビーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G047 AA08 AB03 BA02 BB02 BB06 BC07 BC11 EA10 GB27 GB36 GE01 5D019 AA02 FF03 FF05 GG03 GG04 5D107 AA16 BB05 BB09 CC02 FF01 FF02 FF09 5J083 AA02 AB18 AC19 AC28 AE06 CA14 CA16 CA20 CA38 CA50

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波振動子とディレーチップとを有
    し、 ディレーチップの対物側の面には、超音波を通過させる
    通過面と、超音波を遮断する遮断面とが設けられ、 通過面は、被検査物の表面と接触する面であって、かつ
    超音波振動子からディレーチップ内に発せられた超音波
    ビームが対物側の面に照射された場合に、その照射領域
    の一部を包含するように形状と位置とが決定された面で
    あり、 遮断面は、被検査物の表面との接触面積が通過面よりも
    少なくなるように形成された面であって、かつ前記照射
    領域の残部を包含し、該残部に照射された超音波ビーム
    を吸収するようにおよび/または通過面へ向かわない方
    向へ反射するように構成された面である、超音波プロー
    ブ。
  2. 【請求項2】 通過面が、超音波振動子からディレーチ
    ップ内に発せられた超音波ビームのうち、少なくともメ
    インビームの照射領域を包含するように形状と位置とが
    決定された面である、請求項1記載の超音波プローブ。
  3. 【請求項3】 遮断面が、被検査物の表面との面接触が
    少なくなるように、かつ超音波ビームを分散的に反射す
    るように形成された凹凸面である、請求項1記載の超音
    波プローブ。
  4. 【請求項4】 遮断面が、被検査物の表面と接触しない
    ように通過面に対して段差のついた面である、請求項1
    記載の超音波プローブ。
  5. 【請求項5】 遮断面が、上記段差のついた面に沿って
    さらに凹凸が形成された面である請求項4記載の超音波
    プローブ。
  6. 【請求項6】 通過面と被検査物の表面との接触を妨げ
    ない厚さにて、遮断面にさらに吸音材が設置されている
    請求項3〜5のいずれかに記載の超音波プローブ。
  7. 【請求項7】 ディレーチップが、斜角入射用のディレ
    ーチップであって、通過面に対する斜面を有し、該斜面
    に超音波振動子が装着されている請求項1〜6のいずれ
    かに記載の超音波プローブ。
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