JP2001262177A - ウレタン発泡体と金属面との間のきしみ音の発生を防止する処理剤およびその方法 - Google Patents
ウレタン発泡体と金属面との間のきしみ音の発生を防止する処理剤およびその方法Info
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- JP2001262177A JP2001262177A JP2000072312A JP2000072312A JP2001262177A JP 2001262177 A JP2001262177 A JP 2001262177A JP 2000072312 A JP2000072312 A JP 2000072312A JP 2000072312 A JP2000072312 A JP 2000072312A JP 2001262177 A JP2001262177 A JP 2001262177A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】油分が付着した金属面とウレタン発泡体との接
触の際にきしみ音の発生を防止するための処理剤を提供
する。 【解決手段】油分が付着した金属面にウレタン発泡体が
接触することによるきしみ音の発生を防止するために,
金属面を処理するための処理剤であって,非イオン性
の,油溶性または水溶性の界面活性剤と,該界面活性剤
を2〜15倍に希釈するための水または水溶性ワックスエ
マルジョン溶液とを有して成る。界面活性剤のHLB価は8
から10である。処理剤のpHは水の希釈の場合は7.5から
9.5で,水溶性ワックスエマルジョン溶液の場合は8.0か
ら10.0である。処理剤中のワックス含有率が18パーセン
トを越えない。
触の際にきしみ音の発生を防止するための処理剤を提供
する。 【解決手段】油分が付着した金属面にウレタン発泡体が
接触することによるきしみ音の発生を防止するために,
金属面を処理するための処理剤であって,非イオン性
の,油溶性または水溶性の界面活性剤と,該界面活性剤
を2〜15倍に希釈するための水または水溶性ワックスエ
マルジョン溶液とを有して成る。界面活性剤のHLB価は8
から10である。処理剤のpHは水の希釈の場合は7.5から
9.5で,水溶性ワックスエマルジョン溶液の場合は8.0か
ら10.0である。処理剤中のワックス含有率が18パーセン
トを越えない。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,金属面とウレタン
発泡体との接触によるきしみ音の発生を防止することに
関し,とくに油分が付着した金属面にウレタン発泡体が
接触することによるきしみ音の発生を,金属面を処理す
ることにより防止する処理剤およびその方法に関する。
発泡体との接触によるきしみ音の発生を防止することに
関し,とくに油分が付着した金属面にウレタン発泡体が
接触することによるきしみ音の発生を,金属面を処理す
ることにより防止する処理剤およびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】ウレ
タン発泡体は優れたクッション性を有し,そのため各
種,各方面で利用されている。ウレタンの使用は単独で
の場合のほか,たとえば座席シート,ベッドなど加工し
た金属フレームや金属板に組み込んで使用されている場
合も非常に多い。
タン発泡体は優れたクッション性を有し,そのため各
種,各方面で利用されている。ウレタンの使用は単独で
の場合のほか,たとえば座席シート,ベッドなど加工し
た金属フレームや金属板に組み込んで使用されている場
合も非常に多い。
【0003】しかし,ウレタン発泡体は成形品にして
も,切断品にしても材質的に滑りにくい特性を有する。
そのため,ウレタン発泡体は金属面と擦れあうと,きし
んで不快な異音を発生するという問題がある。
も,切断品にしても材質的に滑りにくい特性を有する。
そのため,ウレタン発泡体は金属面と擦れあうと,きし
んで不快な異音を発生するという問題がある。
【0004】このきしみの異音の発生は,ウレタン発泡
体を自動車などの座席のクッションとして,あるいはベ
ッドのクッションとして使用するときは,快適な使用を
阻害することから,このきしみ音の発生を防止する対策
が必要となっている。
体を自動車などの座席のクッションとして,あるいはベ
ッドのクッションとして使用するときは,快適な使用を
阻害することから,このきしみ音の発生を防止する対策
が必要となっている。
【0005】きしみ音の発生を防止するために,ウレタ
ン発泡成形後に不織布,フェルト状物などをパッチ当て
し,ウレタン発泡体と金属面とが直接接触しないように
している。
ン発泡成形後に不織布,フェルト状物などをパッチ当て
し,ウレタン発泡体と金属面とが直接接触しないように
している。
【0006】自動車用の座席では,金型を使用して発泡
成形により製造される場合が多いが,ウレタンの発泡成
形の際に,予め金型に不織布などをセットし,同時積層
成形することで,不織布を介在させ,きしみ音の発生を
防止している。
成形により製造される場合が多いが,ウレタンの発泡成
形の際に,予め金型に不織布などをセットし,同時積層
成形することで,不織布を介在させ,きしみ音の発生を
防止している。
【0007】このような不織布の介在は,有効なきしみ
音の発生を防止できるものの,製造工程が増え,全体の
コストの増加をまねく。
音の発生を防止できるものの,製造工程が増え,全体の
コストの増加をまねく。
【0008】ウレタン発泡体と金属面との間のきしみ音
は,その金属面の状態によりかなり異なるもので,たと
えばメラミン・アルキッドなどで塗装されているとき
は,きしみ音はほとんど発生しない。しかし,最近,と
くに,自動車関連ではコストの低減を図るため,特定な
ものを除き,金属フレームの塗装が廃止され,前述のよ
うに,コストのかかる不織布,フェルト類の使用によ
り,きしみ音の発生を防止せざるを得ない状況になって
いる。
は,その金属面の状態によりかなり異なるもので,たと
えばメラミン・アルキッドなどで塗装されているとき
は,きしみ音はほとんど発生しない。しかし,最近,と
くに,自動車関連ではコストの低減を図るため,特定な
ものを除き,金属フレームの塗装が廃止され,前述のよ
うに,コストのかかる不織布,フェルト類の使用によ
り,きしみ音の発生を防止せざるを得ない状況になって
いる。
【0009】不織布,フェルト類の使用の代わりに,グ
リースやワセリンなどをウレタン発泡体と金属面とが擦
れあう部分に塗布しても,きしみ音の発生を防止できる
が,乾燥後は再びきしみ音が発生する。グリースは乾燥
が遅く,きしみ音の発生の防止にある程度の効果は期待
できるものの,逆に長期間ウレタン発泡体や,金属面が
べたべたした状態が続き,その取り扱いが厄介であるば
かりか,他の部品や組立ラインを汚染し,製造現場での
使用は事実上困難となっている。
リースやワセリンなどをウレタン発泡体と金属面とが擦
れあう部分に塗布しても,きしみ音の発生を防止できる
が,乾燥後は再びきしみ音が発生する。グリースは乾燥
が遅く,きしみ音の発生の防止にある程度の効果は期待
できるものの,逆に長期間ウレタン発泡体や,金属面が
べたべたした状態が続き,その取り扱いが厄介であるば
かりか,他の部品や組立ラインを汚染し,製造現場での
使用は事実上困難となっている。
【0010】最近,ウレタン発泡体に塗布して,きしみ
音の発生を防止する「滑り剤(sliding agent)」が市
販されているが,これは非常に高価なものであるうえ
に,所期の効果を奏するためには多量の塗布が必要とな
る。さらに,この滑り剤は,乾燥が非常に遅いため,前
述同様の部品や組立ラインの汚染をまねく。これをさけ
るために,十分乾燥させてしまうと,きしみ音の発生の
防止という効果がなくなってしまう。したがって,この
滑り剤の使用用途は非常に限定されている。
音の発生を防止する「滑り剤(sliding agent)」が市
販されているが,これは非常に高価なものであるうえ
に,所期の効果を奏するためには多量の塗布が必要とな
る。さらに,この滑り剤は,乾燥が非常に遅いため,前
述同様の部品や組立ラインの汚染をまねく。これをさけ
るために,十分乾燥させてしまうと,きしみ音の発生の
防止という効果がなくなってしまう。したがって,この
滑り剤の使用用途は非常に限定されている。
【0011】本発明の目的は,上記問題を解決するため
になされたもので,その目的は,油分が付着した金属面
とウレタン発泡体との接触の際に生じるきしみ音の発生
を防止するための,非常に簡単に調製することができる
処理剤およびその方法を提供することである。
になされたもので,その目的は,油分が付着した金属面
とウレタン発泡体との接触の際に生じるきしみ音の発生
を防止するための,非常に簡単に調製することができる
処理剤およびその方法を提供することである。
【0012】本発明の他の目的は,金属面に付着した油
分が防錆油であるときも,より信頼性の高い防錆効果を
達成すると共に,確実にきしみ音の発生を防止する処理
剤およびその方法を提供することである。
分が防錆油であるときも,より信頼性の高い防錆効果を
達成すると共に,確実にきしみ音の発生を防止する処理
剤およびその方法を提供することである。
【0013】さらに,本発明の目的は,処理面が乾燥前
でも,乾燥後でもきしみ音の発生を防止する処理剤およ
びその方法を提供することである。
でも,乾燥後でもきしみ音の発生を防止する処理剤およ
びその方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の処理剤は,油分が付着した金属面にウレタン発泡体
が接触することによるきしみ音の発生を防止するため
に,金属面を処理するための処理剤であって,非イオン
性で油溶性または水溶性の界面活性剤と,該界面活性剤
を2〜15倍に,好ましくは5〜10倍に希釈するための水と
を有して成る。界面活性剤のHLB価(分子中の親水性と
疎水性の釣り合い指数をいう)は10から15である。処理
剤のpHは7.5から9.5の間にある。
明の処理剤は,油分が付着した金属面にウレタン発泡体
が接触することによるきしみ音の発生を防止するため
に,金属面を処理するための処理剤であって,非イオン
性で油溶性または水溶性の界面活性剤と,該界面活性剤
を2〜15倍に,好ましくは5〜10倍に希釈するための水と
を有して成る。界面活性剤のHLB価(分子中の親水性と
疎水性の釣り合い指数をいう)は10から15である。処理
剤のpHは7.5から9.5の間にある。
【0015】この水に代えて,水溶性ワックスエマルジ
ョン溶液で希釈することもできる。使用する水溶性ワッ
クスエマルジョン溶液は,酸化型のポリエチレン系ワッ
クスを含むワックスを,非イオン性,アニオン性,また
はカチオン性界面活性剤で乳化処理した溶液である。こ
の水溶性ワックスエマルジョン溶液により希釈した処理
剤中のワックス含有率は18パーセントを越えず,またこ
のときの処理剤のpHは8.0から10.0の間にある。
ョン溶液で希釈することもできる。使用する水溶性ワッ
クスエマルジョン溶液は,酸化型のポリエチレン系ワッ
クスを含むワックスを,非イオン性,アニオン性,また
はカチオン性界面活性剤で乳化処理した溶液である。こ
の水溶性ワックスエマルジョン溶液により希釈した処理
剤中のワックス含有率は18パーセントを越えず,またこ
のときの処理剤のpHは8.0から10.0の間にある。
【0016】界面活性剤をいずれで希釈する場合も,そ
の希釈率を2〜15倍とすると,塗布の容易性を確保でき
るとともに,必要最低の界面活性剤の溶質量6%以上を
確保することができる。また水溶性ワックスエマルジョ
ンで希釈する場合は,有効ワックスの含有量(率)を18
%以下に調整することができる。
の希釈率を2〜15倍とすると,塗布の容易性を確保でき
るとともに,必要最低の界面活性剤の溶質量6%以上を
確保することができる。また水溶性ワックスエマルジョ
ンで希釈する場合は,有効ワックスの含有量(率)を18
%以下に調整することができる。
【0017】処理剤のpHを上記所定の範囲に調整する
と,最終の処理剤の安定性,塗布,とくにスプレー性,
刷毛性,作業性および防錆効果が優れている。
と,最終の処理剤の安定性,塗布,とくにスプレー性,
刷毛性,作業性および防錆効果が優れている。
【0018】なお,水で希釈する場合,pHを7.5より小
さくして,酸性側とすると防食性が低下し,またpHを9.
5より大きくして,アルカリ性側にすると,耐食性は良
好であるが溶液の安定性が悪くなる。水溶性ワックスエ
マルジョンで希釈する場合,pHを8.0より小さくして,
中性側にすると,有効ワックス成分が分離し易くなり,
またpHを10.0より大きくして,アルカリ性が強くなる
と,耐食性が良好であるものの,人体に接触することで
皮膚に悪影響を及ぼすことになる。
さくして,酸性側とすると防食性が低下し,またpHを9.
5より大きくして,アルカリ性側にすると,耐食性は良
好であるが溶液の安定性が悪くなる。水溶性ワックスエ
マルジョンで希釈する場合,pHを8.0より小さくして,
中性側にすると,有効ワックス成分が分離し易くなり,
またpHを10.0より大きくして,アルカリ性が強くなる
と,耐食性が良好であるものの,人体に接触することで
皮膚に悪影響を及ぼすことになる。
【0019】界面活性剤のHLB価を10以下としているの
は,これを越えると親水性が強くなり,水または水溶性
ワックスエマルジョン溶液で希釈,分散させて金属面に
塗布しても「水はじき」が起こり,均一な薄い被膜の形
成ができなくなるからであり,さらに,処理剤の塗布後
の乾燥が遅れ,作業性が悪くなるほか,きしみ音の発生
防止,防錆効果も低下するからである。逆に,HLB価を8
より小さくすると,親油性が高まり,乾燥性,作業性,
およびきしみ音の発生防止のいずれも良好となり,耐食
性も向上するものの,溶液の安定性が悪く,分離の問題
が生じるからである。
は,これを越えると親水性が強くなり,水または水溶性
ワックスエマルジョン溶液で希釈,分散させて金属面に
塗布しても「水はじき」が起こり,均一な薄い被膜の形
成ができなくなるからであり,さらに,処理剤の塗布後
の乾燥が遅れ,作業性が悪くなるほか,きしみ音の発生
防止,防錆効果も低下するからである。逆に,HLB価を8
より小さくすると,親油性が高まり,乾燥性,作業性,
およびきしみ音の発生防止のいずれも良好となり,耐食
性も向上するものの,溶液の安定性が悪く,分離の問題
が生じるからである。
【0020】この処理剤を防錆油や油脂類など油分が付
着した金属面に,スプレー,刷毛塗り,ロールコートな
どで均等に塗布する。
着した金属面に,スプレー,刷毛塗り,ロールコートな
どで均等に塗布する。
【0021】塗布後,油分がほとんど粘性作用を示さな
い乳化状またはゼリー状物となり,金属面上にしっかり
と吸着し安定した非粘性薄層が形成される。この層がウ
レタン発泡体と金属面との間に介在することにより,き
しみ音の発生が防止される。
い乳化状またはゼリー状物となり,金属面上にしっかり
と吸着し安定した非粘性薄層が形成される。この層がウ
レタン発泡体と金属面との間に介在することにより,き
しみ音の発生が防止される。
【0022】本発明の処理剤は,人体に対する毒性も,
皮膚への刺激性もない。
皮膚への刺激性もない。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明者は,ウレタン発泡体とス
チール製金属面(以下,金属面という)とが擦れるとき
に生じるきしみ音が発生について研究し,その発生が金
属面(またはウレタン発泡体)に防錆油や油脂類といっ
た油分が付着した状態で,荷重をかけて滑らせたとき,
引っかかるような動き方をしたときであることを見出し
た(特願平10-237482号を参照)。
チール製金属面(以下,金属面という)とが擦れるとき
に生じるきしみ音が発生について研究し,その発生が金
属面(またはウレタン発泡体)に防錆油や油脂類といっ
た油分が付着した状態で,荷重をかけて滑らせたとき,
引っかかるような動き方をしたときであることを見出し
た(特願平10-237482号を参照)。
【0024】そして,そのきしみ音の発生は,油分が付
着した金属面を処理し,親水性の乳化状またはゼリー状
に変えることで防止でき,その処理のために,二種類の
非イオン性の油溶性と水溶性との混合界面活性剤を水に
より希釈したものを用いることができることを見出し,
前記出願において権利化をはかり,特許された(特許第
3022502号)。
着した金属面を処理し,親水性の乳化状またはゼリー状
に変えることで防止でき,その処理のために,二種類の
非イオン性の油溶性と水溶性との混合界面活性剤を水に
より希釈したものを用いることができることを見出し,
前記出願において権利化をはかり,特許された(特許第
3022502号)。
【0025】さらに,発明者は,この特許発明におい
て,非イオン性の混合界面活性剤を希釈するために使用
した水に代え,水溶性ワックスエマルジョン溶液により
希釈することで,よりいっそうの信頼性のある処理剤を
発明した(特願2000-64111)。
て,非イオン性の混合界面活性剤を希釈するために使用
した水に代え,水溶性ワックスエマルジョン溶液により
希釈することで,よりいっそうの信頼性のある処理剤を
発明した(特願2000-64111)。
【0026】しかし,両発明とも,特定のHLB価をもっ
た二種類の界面活性剤を,所定のHLB価となるように混
合割合を調整し,混ぜ合わせ,これを水または水溶性エ
マルジョン溶液で所定の希釈率に希釈し,所定のpHに調
整したものである。そのため,最適な二種類の界面活性
剤を選択し,混合割合を決め,十分に混合する操作が不
可欠となる。また,量産時の,複数の界面活性剤の取り
扱い,貯蔵,混合操作などの作業も必要となり,調製工
程の容易化,単純化が図れない。
た二種類の界面活性剤を,所定のHLB価となるように混
合割合を調整し,混ぜ合わせ,これを水または水溶性エ
マルジョン溶液で所定の希釈率に希釈し,所定のpHに調
整したものである。そのため,最適な二種類の界面活性
剤を選択し,混合割合を決め,十分に混合する操作が不
可欠となる。また,量産時の,複数の界面活性剤の取り
扱い,貯蔵,混合操作などの作業も必要となり,調製工
程の容易化,単純化が図れない。
【0027】そこで,本発明者は,一種類の非イオン性
の混合界面活性剤を,水または水溶性ワックスエマルジ
ョン溶液により希釈した処理剤も所期の効果を得ること
を発明し,以下実験例と比較して詳説する。
の混合界面活性剤を,水または水溶性ワックスエマルジ
ョン溶液により希釈した処理剤も所期の効果を得ること
を発明し,以下実験例と比較して詳説する。
【0028】本発明において使用した界面活性剤は,非
イオン性の水溶性の界面活性剤である,ポリオキシ・エ
チレン・脂肪酸ジエステル系界面活性剤(界面活性剤
A),非イオン性の油溶性界面活性剤である,ポリオキ
シ・エチレン・オレイル・エーテルおよびポリオキシ・
エチレン・セチル・エーテル系界面活性剤(界面活性剤
B),非イオン性の水溶性の高級アルコール・アルキレ
ン・オキサイド付加物界面活性剤(界面活性剤C)およ
び非イオン性の水溶性界面活性剤である,モノオレイン
酸ポリオキシ・エチレン・ソルビタン系界面活性剤(界
面活性剤D)である。この例示の界面活性剤以外の非イ
オン性の水溶性または油溶性の界面活性剤も本発明に使
用することができる。
イオン性の水溶性の界面活性剤である,ポリオキシ・エ
チレン・脂肪酸ジエステル系界面活性剤(界面活性剤
A),非イオン性の油溶性界面活性剤である,ポリオキ
シ・エチレン・オレイル・エーテルおよびポリオキシ・
エチレン・セチル・エーテル系界面活性剤(界面活性剤
B),非イオン性の水溶性の高級アルコール・アルキレ
ン・オキサイド付加物界面活性剤(界面活性剤C)およ
び非イオン性の水溶性界面活性剤である,モノオレイン
酸ポリオキシ・エチレン・ソルビタン系界面活性剤(界
面活性剤D)である。この例示の界面活性剤以外の非イ
オン性の水溶性または油溶性の界面活性剤も本発明に使
用することができる。
【0029】水のほか,本発明において希釈剤として使
用した水溶性ワックスエマルジョン溶液を表1に示す。
ワックスエマルジョンAはコールドウレタン離型剤とし
て,ワックスエマルジョンBはホットウレタン離型剤と
して,ワックスエマルジョンCは金属潤滑剤等として,
ワックスエマルジョンDは繊維,紙加工剤として,ワッ
クスエマルジョンEは繊維,紙加工剤等として市販され
ているものである。溶液A,B,CおおよびDは,酸化ポリ
エチレンワックスにパラフィン系ワックスを,それぞれ
12%,40%,37%,および35%含有するものである。
用した水溶性ワックスエマルジョン溶液を表1に示す。
ワックスエマルジョンAはコールドウレタン離型剤とし
て,ワックスエマルジョンBはホットウレタン離型剤と
して,ワックスエマルジョンCは金属潤滑剤等として,
ワックスエマルジョンDは繊維,紙加工剤として,ワッ
クスエマルジョンEは繊維,紙加工剤等として市販され
ているものである。溶液A,B,CおおよびDは,酸化ポリ
エチレンワックスにパラフィン系ワックスを,それぞれ
12%,40%,37%,および35%含有するものである。
【0030】
【表1】 表1に示したように,たとえばワックスエマルジョンA
を使用したとき,その中には固形成分が6.5%含まれ,
その固形成分の中にワックスが68%を含有することにな
る。以下で示す表2の実験例2では,たとえば5倍液140
重量のワックスエマルジョンA(ワックスエマルジョン
溶液を5倍に薄めたものを140重量)で希釈されること
から,処理剤に含まれるワックスの含有量は,((140/
5)×0.065×0.68)÷総重量(150)=0.0083(0.83%)
と計算される。
を使用したとき,その中には固形成分が6.5%含まれ,
その固形成分の中にワックスが68%を含有することにな
る。以下で示す表2の実験例2では,たとえば5倍液140
重量のワックスエマルジョンA(ワックスエマルジョン
溶液を5倍に薄めたものを140重量)で希釈されること
から,処理剤に含まれるワックスの含有量は,((140/
5)×0.065×0.68)÷総重量(150)=0.0083(0.83%)
と計算される。
【0031】この表1に示す溶液は例示であり,酸化型
のポリエチレン系ワックスを,非イオン性,アニオン
性,またはカチオン性界面活性剤で乳化処理した水溶性
ワックスエマルジョン溶液が本発明において使用するこ
とができる。この酸化型のポリエチレン系ワックスは,
炭素数が70から570で,分子量が1000から8000の炭化水
素を主成分とする酸化ポリエチレンまたはその誘導体か
らなり,分子中には,カルボキシル基および/または水
酸基を有する。この酸化型のポリエチレン系ワックスの
融点は100℃から130度である。
のポリエチレン系ワックスを,非イオン性,アニオン
性,またはカチオン性界面活性剤で乳化処理した水溶性
ワックスエマルジョン溶液が本発明において使用するこ
とができる。この酸化型のポリエチレン系ワックスは,
炭素数が70から570で,分子量が1000から8000の炭化水
素を主成分とする酸化ポリエチレンまたはその誘導体か
らなり,分子中には,カルボキシル基および/または水
酸基を有する。この酸化型のポリエチレン系ワックスの
融点は100℃から130度である。
【0032】このように,水溶性ワックスエマルジョン
溶液の主成分であるワックスを,酸化型のポリエチレン
系ワックスとしたのは,天然ワックスより融点や分子量
が高く,一般的に物性が優れ,他の合成ワックス,たと
えば,合成炭化水素や変成ワックス,水素化ワックス,
脂肪族系ワックスなどよりも一般的に人体の健康に関し
有害でなく,また非イオン系,カチオン系,アニオン系
界面活性剤での乳化処理がし易く,安定した水溶性ワッ
クスエマルジョン溶液が得られるからである。
溶液の主成分であるワックスを,酸化型のポリエチレン
系ワックスとしたのは,天然ワックスより融点や分子量
が高く,一般的に物性が優れ,他の合成ワックス,たと
えば,合成炭化水素や変成ワックス,水素化ワックス,
脂肪族系ワックスなどよりも一般的に人体の健康に関し
有害でなく,また非イオン系,カチオン系,アニオン系
界面活性剤での乳化処理がし易く,安定した水溶性ワッ
クスエマルジョン溶液が得られるからである。
【0033】さらに,酸化型のポリエチレン系ワックス
は工業的に容易に,必要量生産が可能で,しかも分子中
にカルボン酸,水酸基が付加したものが得られるため,
少量の界面活性剤の使用によって,安定な水溶性エマル
ジョン溶液が得られるものである。
は工業的に容易に,必要量生産が可能で,しかも分子中
にカルボン酸,水酸基が付加したものが得られるため,
少量の界面活性剤の使用によって,安定な水溶性エマル
ジョン溶液が得られるものである。
【0034】水溶性ワックスエマルジョン溶液はまた,
上記酸化型のポリエチレン系ワックスに,固形分で,35
%から5%,好ましくは20%から7%を含有する石油系の
パラフィン系ワックスが加わったワックスを,非イオン
性,アニオン性,またはカチオン性界面活性剤で乳化処
理した溶液であってもよい。この石油系のパラフィン系
ワックスは,炭素数が20から36の直鎖状飽和炭化水素を
主成分とし,分子量が225から450で,少量の側鎖状飽和
炭化水素,ナフテン,または芳香族のものを含んでもよ
い。この石油系のパラフィン系ワックスの融点は47度か
ら78度である。
上記酸化型のポリエチレン系ワックスに,固形分で,35
%から5%,好ましくは20%から7%を含有する石油系の
パラフィン系ワックスが加わったワックスを,非イオン
性,アニオン性,またはカチオン性界面活性剤で乳化処
理した溶液であってもよい。この石油系のパラフィン系
ワックスは,炭素数が20から36の直鎖状飽和炭化水素を
主成分とし,分子量が225から450で,少量の側鎖状飽和
炭化水素,ナフテン,または芳香族のものを含んでもよ
い。この石油系のパラフィン系ワックスの融点は47度か
ら78度である。
【0035】本発明にしたがった処理剤の実施例1〜22
および実験例1〜8を表2〜6に示す。表2〜6はさら
に,各例の溶液の分離,防錆油が付着した金属面への塗
布後の金属面における濡れ性,耐食性,きしみ音の発生
の結果を示す。
および実験例1〜8を表2〜6に示す。表2〜6はさら
に,各例の溶液の分離,防錆油が付着した金属面への塗
布後の金属面における濡れ性,耐食性,きしみ音の発生
の結果を示す。
【0036】
【表2】
【0037】実験例1は,上記特許第3022502号にした
がって,HLB価が10(親水性の上限)で,典型的な,非
イオン性の油溶性界面活性剤(B)と非イオン性の水溶
性界面活性剤(D)の混合界面活性剤を,水により15倍
に希釈し(最大の希釈率),pHを8.0となるように調節
した処理剤である。この処理剤は組成液の分離がなく,
金属面に対する濡れ性も良い。また耐食性も優れ,きし
み音もない。
がって,HLB価が10(親水性の上限)で,典型的な,非
イオン性の油溶性界面活性剤(B)と非イオン性の水溶
性界面活性剤(D)の混合界面活性剤を,水により15倍
に希釈し(最大の希釈率),pHを8.0となるように調節
した処理剤である。この処理剤は組成液の分離がなく,
金属面に対する濡れ性も良い。また耐食性も優れ,きし
み音もない。
【0038】実施例1は,実験例1と同様であるが,一
種類の界面活性剤(C)を水で希釈したものである。実
施例2は実施例1と同様であるが,pHを8.0としたもので
ある。実施例1および2の処理剤は,二種類の界面活性剤
を用いた実験例1と同じ効果を達した。
種類の界面活性剤(C)を水で希釈したものである。実
施例2は実施例1と同様であるが,pHを8.0としたもので
ある。実施例1および2の処理剤は,二種類の界面活性剤
を用いた実験例1と同じ効果を達した。
【0039】実験例2は,実施例1と同様であるが,水
の代わりにワックスエマルジョンA(表1)で希釈したも
ので,pHは7.5である。実施例3は,実験例2と同様であ
るが,pHを8.0とした。これらの例から分かるように,
水溶性ワックスエマルジョン溶液で希釈すると,水で希
釈した場合よりも,耐食性,耐きしみ音性は,優れるも
のの,pHが7.5では組成液は低温で分離する。
の代わりにワックスエマルジョンA(表1)で希釈したも
ので,pHは7.5である。実施例3は,実験例2と同様であ
るが,pHを8.0とした。これらの例から分かるように,
水溶性ワックスエマルジョン溶液で希釈すると,水で希
釈した場合よりも,耐食性,耐きしみ音性は,優れるも
のの,pHが7.5では組成液は低温で分離する。
【0040】以上の結果から,一種類の非イオン性界面
活性剤を水で希釈しても,水溶性ワックスエマルジョン
溶液で希釈しても,組成液の相分離,耐食性,耐きしみ
音に対して,二種類の非イオン性界面活性剤を水で希釈
する場合の,厳しい親水性の大きな限界のHLB価,最大
希釈率,さらに最低のpH付近においても,同等またはそ
れ以上の効果を奏する。なお,水溶性ワックスエマルジ
ョン溶液で希釈した場合,優れた耐食性,耐きしみ音
し,pHを8.0とすることで相分離もない。PHが7.5のとき
は低温で分離が生じるが,優れた耐食性,耐きしみ音性
を有しており,攪拌することで使用することができる。
活性剤を水で希釈しても,水溶性ワックスエマルジョン
溶液で希釈しても,組成液の相分離,耐食性,耐きしみ
音に対して,二種類の非イオン性界面活性剤を水で希釈
する場合の,厳しい親水性の大きな限界のHLB価,最大
希釈率,さらに最低のpH付近においても,同等またはそ
れ以上の効果を奏する。なお,水溶性ワックスエマルジ
ョン溶液で希釈した場合,優れた耐食性,耐きしみ音
し,pHを8.0とすることで相分離もない。PHが7.5のとき
は低温で分離が生じるが,優れた耐食性,耐きしみ音性
を有しており,攪拌することで使用することができる。
【0041】
【表3】
【0042】実験例3(表3)は,実験例1とは反対に,
界面活性剤のHLB価を8.0(二種類の非イオン性界面活性
剤を水で希釈する上記特許発明において,親油性が最も
強い限界)とし,希釈率を2倍(同発明において,界面
活性剤の成分が最も多い限界)とし,さらにpHが7.5
(同発明において,組成分離が生じ易い限界)とした場
合の,水による希釈例である。実施例4は実験例3と同一
条件であるが,一種類の非イオン性界面活性剤を希釈し
た例で,実施例5は実施例4と同一条件であるが,pHを7.
5から8.0へとアルカリ性側に移動させた例である。実験
例4は,実施例4と同一条件であるが,水に代えて希釈し
たワックスエマルジョンAで希釈した例である。実施例6
は,実験例4と同一条件であるが,pHを7.5から8.0へと
アルカリ性側に移動させた例である。
界面活性剤のHLB価を8.0(二種類の非イオン性界面活性
剤を水で希釈する上記特許発明において,親油性が最も
強い限界)とし,希釈率を2倍(同発明において,界面
活性剤の成分が最も多い限界)とし,さらにpHが7.5
(同発明において,組成分離が生じ易い限界)とした場
合の,水による希釈例である。実施例4は実験例3と同一
条件であるが,一種類の非イオン性界面活性剤を希釈し
た例で,実施例5は実施例4と同一条件であるが,pHを7.
5から8.0へとアルカリ性側に移動させた例である。実験
例4は,実施例4と同一条件であるが,水に代えて希釈し
たワックスエマルジョンAで希釈した例である。実施例6
は,実験例4と同一条件であるが,pHを7.5から8.0へと
アルカリ性側に移動させた例である。
【0043】以上の結果から,一種類の非イオン性界面
活性剤を水で希釈しても,水溶性ワックスエマルジョン
溶液で希釈しても,組成液の相分離,耐食性,耐きしみ
音に対して,二種類の非イオン性界面活性剤を水で希釈
する場合の,親油性の強い限界のHLB価,最小希釈率,
さらに最低のpH付近においても,同等またはそれ以上の
効果を奏する。なお,水溶性ワックスエマルジョン溶液
で希釈した場合,優れた耐食性,耐きしみ音を有し,pH
を8.0とすることで相分離もない。PHが7.5のときは低温
で分離が生じるが,優れた耐食性,耐きしみ音性を有し
ており,攪拌することで使用することができる。
活性剤を水で希釈しても,水溶性ワックスエマルジョン
溶液で希釈しても,組成液の相分離,耐食性,耐きしみ
音に対して,二種類の非イオン性界面活性剤を水で希釈
する場合の,親油性の強い限界のHLB価,最小希釈率,
さらに最低のpH付近においても,同等またはそれ以上の
効果を奏する。なお,水溶性ワックスエマルジョン溶液
で希釈した場合,優れた耐食性,耐きしみ音を有し,pH
を8.0とすることで相分離もない。PHが7.5のときは低温
で分離が生じるが,優れた耐食性,耐きしみ音性を有し
ており,攪拌することで使用することができる。
【0044】
【表4】
【0045】実験例5(表4)は,実施例2と同様である
が,水の代わりに,ワックスエマルジョンB(表1)で
希釈したものであり,実験例6はワックスエマルジョンC
で希釈したものであり,実施例7はワックスエマルジョ
ンDで希釈したものであり,実施例8はワックスエマルジ
ョンEで希釈したものである。
が,水の代わりに,ワックスエマルジョンB(表1)で
希釈したものであり,実験例6はワックスエマルジョンC
で希釈したものであり,実施例7はワックスエマルジョ
ンDで希釈したものであり,実施例8はワックスエマルジ
ョンEで希釈したものである。
【0046】実験例7(表4)は,実施例6と同様である
が,ワックスエマルジョンBで希釈したものであり,実
験例8はワックスエマルジョンCで希釈したものであり,
実施例9はワックスエマルジョンDで希釈したものであ
り,実施例10はワックスエマルジョンEで希釈したもの
である。
が,ワックスエマルジョンBで希釈したものであり,実
験例8はワックスエマルジョンCで希釈したものであり,
実施例9はワックスエマルジョンDで希釈したものであ
り,実施例10はワックスエマルジョンEで希釈したもの
である。
【0047】この結果から,pHを8.0とすると,親水性
が大きいHLB価10で,希釈率が最大の15倍の場合でも,
親油性の最も強いHLB価8で,希釈率が最小の2倍の場合
でも,組成液の相分離は生じないが,いずれの場合で
も,ワックスエマルジョンB,ワックスエマルジョンCで
希釈したときは,耐食性が低下する。
が大きいHLB価10で,希釈率が最大の15倍の場合でも,
親油性の最も強いHLB価8で,希釈率が最小の2倍の場合
でも,組成液の相分離は生じないが,いずれの場合で
も,ワックスエマルジョンB,ワックスエマルジョンCで
希釈したときは,耐食性が低下する。
【0048】水溶性ワックスエマルジョン溶液の主成分
は表1に示されているように,ワックスエマルジョンE
にはパラフィン系ワックスが含有されていないが,ワッ
クスエマルジョンDには35%,ワックスエマルジョンCに
は37%,ワックスエマルジョンBには40%のパラフィン
系ワックスが含有されている。一方,実施例7,8,9,1
0,実験例5,6,7,8の処理剤にワックスが所定量含有
している。このことから,処理剤内にワッスクが含有す
ることで,各性能は向上する傾向にあるが,パラフィン
系ワックスを35%越えて含む水溶性ワックスエマルジョ
ン溶液を使用すると耐食性が低下することがわかる。
は表1に示されているように,ワックスエマルジョンE
にはパラフィン系ワックスが含有されていないが,ワッ
クスエマルジョンDには35%,ワックスエマルジョンCに
は37%,ワックスエマルジョンBには40%のパラフィン
系ワックスが含有されている。一方,実施例7,8,9,1
0,実験例5,6,7,8の処理剤にワックスが所定量含有
している。このことから,処理剤内にワッスクが含有す
ることで,各性能は向上する傾向にあるが,パラフィン
系ワックスを35%越えて含む水溶性ワックスエマルジョ
ン溶液を使用すると耐食性が低下することがわかる。
【0049】以上の結果から,一種類の非イオン性界面
活性剤を酸化型のポリエチレン系ワックスまたはその誘
導体を乳化処理した水溶性ワックスエマルジョン溶液で
希釈した処理剤は,その処理剤の組成液の濡れ性,相分
離,耐食性,耐きしみ音に対して,二種類の非イオン性
界の混合界面活性剤を水で希釈する場合の,厳しい親水
性の大きな限界のHLB価,最大希釈率のときも,また親
油性の強い限界のHLB価,最小の希釈率のときも,優れ
たものとなる。ただし,水溶性ワックスエマルジョン溶
液に,パラフィン系ワックスが35%を越えて含まれる
と,耐食性は低下する。
活性剤を酸化型のポリエチレン系ワックスまたはその誘
導体を乳化処理した水溶性ワックスエマルジョン溶液で
希釈した処理剤は,その処理剤の組成液の濡れ性,相分
離,耐食性,耐きしみ音に対して,二種類の非イオン性
界の混合界面活性剤を水で希釈する場合の,厳しい親水
性の大きな限界のHLB価,最大希釈率のときも,また親
油性の強い限界のHLB価,最小の希釈率のときも,優れ
たものとなる。ただし,水溶性ワックスエマルジョン溶
液に,パラフィン系ワックスが35%を越えて含まれる
と,耐食性は低下する。
【0050】
【表5】
【0051】実施例11,12,13,14,15および16(表
5)は,一種類の界面活性剤を,金属面の防錆上の限界
に近い親水性の強いHLB価10,希釈率15倍,pH8.0の同一
条件に保ちつつ,水とワックスエマルジョンDの混合液
で希釈し,ワックス含有率がそれぞれ0.6,1.0,1.6,
5.1,10および18%の場合の例を示す。いずれの場合も
良好な濡れ性,耐食性,耐きしみ音性を有する。また組
成液の相分離も生じない。
5)は,一種類の界面活性剤を,金属面の防錆上の限界
に近い親水性の強いHLB価10,希釈率15倍,pH8.0の同一
条件に保ちつつ,水とワックスエマルジョンDの混合液
で希釈し,ワックス含有率がそれぞれ0.6,1.0,1.6,
5.1,10および18%の場合の例を示す。いずれの場合も
良好な濡れ性,耐食性,耐きしみ音性を有する。また組
成液の相分離も生じない。
【0052】
【表6】
【0053】実施例17,18,19,20および21(表6)
は,一種類の界面活性剤を,親油性の強いHLB価8,最小
の希釈率2倍,pH8.0の同一条件に保ちつつ,水とワック
スエマルジョンDの混合液で希釈し,ワックス含有率が
それぞれ0.6,1.0,1.6,5.1および10%の場合の例を示
す。実施例22は,ワックス含有量が18%となるようにワ
ックスエマルジョンEで希釈した例である。いずれの場
合も良好な濡れ性,耐食性,耐きしみ音性を有する。ま
た組成液の相分離も生じない。
は,一種類の界面活性剤を,親油性の強いHLB価8,最小
の希釈率2倍,pH8.0の同一条件に保ちつつ,水とワック
スエマルジョンDの混合液で希釈し,ワックス含有率が
それぞれ0.6,1.0,1.6,5.1および10%の場合の例を示
す。実施例22は,ワックス含有量が18%となるようにワ
ックスエマルジョンEで希釈した例である。いずれの場
合も良好な濡れ性,耐食性,耐きしみ音性を有する。ま
た組成液の相分離も生じない。
【0054】以上,表2ないし6から以下のことがわか
る。HLB価が8.0から10の非イオン性の一種類の界面活性
剤を,水または水溶性ワックスエマルジョン溶液で,2
〜15倍に希釈することで得られる処理剤は,所期の,濡
れ性,耐しきみ音性,耐食性を達成し,この効果は,二
種類の混合界面活性剤を水または水溶性ワックスエマル
ジョン溶液で希釈した処理剤と同等またはそれ以上であ
る。
る。HLB価が8.0から10の非イオン性の一種類の界面活性
剤を,水または水溶性ワックスエマルジョン溶液で,2
〜15倍に希釈することで得られる処理剤は,所期の,濡
れ性,耐しきみ音性,耐食性を達成し,この効果は,二
種類の混合界面活性剤を水または水溶性ワックスエマル
ジョン溶液で希釈した処理剤と同等またはそれ以上であ
る。
【0055】処理剤中には,水溶性ワックスエマルジョ
ン溶液による希釈により,ワックスがその中に含有する
が,これにより水のみの場合よりも,耐食性,耐きしみ
音性を向上させるが,しかしその含有量は18%を越えな
いことが望ましい。
ン溶液による希釈により,ワックスがその中に含有する
が,これにより水のみの場合よりも,耐食性,耐きしみ
音性を向上させるが,しかしその含有量は18%を越えな
いことが望ましい。
【0056】ここで,使用する水溶性ワックスエマルジ
ョン溶液として,種々の目的のために市販されているも
のを使用することができる。なお,市販の水溶性ワック
スエマルジョン溶液には,パラフィン系ワックスを含有
するものもあるが,このパラフィン系ワックスを過剰に
含む場合には,耐食性に著しい影響を及ぼすことから,
所定の量以下のものを使用する必要がある。
ョン溶液として,種々の目的のために市販されているも
のを使用することができる。なお,市販の水溶性ワック
スエマルジョン溶液には,パラフィン系ワックスを含有
するものもあるが,このパラフィン系ワックスを過剰に
含む場合には,耐食性に著しい影響を及ぼすことから,
所定の量以下のものを使用する必要がある。
【0057】また,処理剤のpHは,水で希釈する場合は
7.5から9.5と,水溶性ワックスエマルジョン溶液で希釈
する場合は8.0から10.0とすることで,安定な処理剤が
得られる。
7.5から9.5と,水溶性ワックスエマルジョン溶液で希釈
する場合は8.0から10.0とすることで,安定な処理剤が
得られる。
【0058】
【発明の効果】本発明にしたがって,油分が付着した金
属面に処理剤を塗布すると,金属面上に非粘性薄層が形
成され,これがウレタン発泡体と金属面との間に,介在
し,その結果きしみ音が発生しない。
属面に処理剤を塗布すると,金属面上に非粘性薄層が形
成され,これがウレタン発泡体と金属面との間に,介在
し,その結果きしみ音が発生しない。
【0059】この処理剤は,二種類の非イオン性混合界
面活性剤を使用する場合とくらべ,最適な二種類の非イ
オン性界面活性剤を選択すること,所定の割合で混合す
るという操作,複数の界面活性剤の貯蔵および取り扱い
の必要がないため,処理剤の調合操作が容易であり,こ
とのことは安価に金属面の防錆ときしみ音の発生を防止
することができる。
面活性剤を使用する場合とくらべ,最適な二種類の非イ
オン性界面活性剤を選択すること,所定の割合で混合す
るという操作,複数の界面活性剤の貯蔵および取り扱い
の必要がないため,処理剤の調合操作が容易であり,こ
とのことは安価に金属面の防錆ときしみ音の発生を防止
することができる。
【0060】また,希釈は水のみでなく,水溶性ワック
スエマルジョン溶液でも行うことができる。水溶性ワッ
クスエマルジョン溶液で希釈すると,処理剤内に含有す
るワックスル成分の相乗効果によって,いっそう優れた
作業性の高い金属面の防錆ときしみ音の発生防止ができ
る。
スエマルジョン溶液でも行うことができる。水溶性ワッ
クスエマルジョン溶液で希釈すると,処理剤内に含有す
るワックスル成分の相乗効果によって,いっそう優れた
作業性の高い金属面の防錆ときしみ音の発生防止ができ
る。
【0061】さらに,本発明にしたがうことで,金属面
に付着した油分が防錆油であっても,濡れ性が良好で,
比較的早く水分が揮散し,その取り扱いが容易となる。
そしてさらに,塗布後,未乾燥の状態でも,完全に乾燥
後であっても,防錆効果を維持しつつ,きしみ音の発生
を防止できる。
に付着した油分が防錆油であっても,濡れ性が良好で,
比較的早く水分が揮散し,その取り扱いが容易となる。
そしてさらに,塗布後,未乾燥の状態でも,完全に乾燥
後であっても,防錆効果を維持しつつ,きしみ音の発生
を防止できる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10M 145/26 C10M 145/26 // C10N 20:00 C10N 20:00 Z 30:00 30:00 Z 30:12 30:12 50:02 50:02 60:04 60:04 (72)発明者 後藤 文雄 岡山県倉敷市児島小川8丁目3番8号 難 波プレス工業株式会社内 Fターム(参考) 4H104 AA01C BA02A BA03A BB44C BB47C CA16A CB14C DA05A EA01C EB04 JA13 LA06 LA20 PA50 QA02 QA08 RA06 4J002 AE052 BB251 CH053 FD313 GH02 HA07
Claims (10)
- 【請求項1】油分が付着した金属面にウレタン発泡体が
接触することによるきしみ音の発生を防止するために,
金属面を処理するための処理剤であって,非イオン性
の,油溶性または水溶性の界面活性剤と,該界面活性剤
を2〜15倍に希釈するための水とを有して成り,前記界
面活性剤のHLB価は8から10であり,当該処理剤のpHが7.
5から9.5となる,ことを特徴とする処理剤。 - 【請求項2】油分が付着した金属面にウレタン発泡体が
接触することによるきしみ音の発生を防止するために,
金属面を処理するための処理剤であって,非イオン性
の,油溶性または水溶性の界面活性剤と,該界面活性剤
を2〜15倍に希釈するための水溶性ワックスエマルジョ
ン溶液とを有して成り,前記界面活性剤のHLB価は8から
10であり,前記水溶性ワックスエマルジョン溶液が,酸
化型のポリエチレン系ワックスを含むワックスを,非イ
オン性,アニオン性,またはカチオン性界面活性剤で乳
化処理した溶液であり,当該処理剤中のワックス含有率
が18パーセントを越えず,当該処理剤のpHが8.0から10.
0となる,ことを特徴とする処理剤。 - 【請求項3】前記酸化型のポリエチレン系ワックスは,
炭素数が70から570で,分子量が1000から8000の炭化水
素を主成分とする酸化ポリエチレンまたはその誘導体か
らなる,請求項2に記載の処理剤。 - 【請求項4】前記酸化型のポリエチレン系ワックスは,
分子中に,カルボキシル基および/または水酸基を有す
る,請求項3に記載の処理剤。 - 【請求項5】前記水溶性ワックスエマルジョン溶液は,
酸化型のポリエチレン系ワックスに,固形分で,35%か
ら5%を含有する石油系のパラフィン系ワックスが加わ
ったワックスを,非イオン性,アニオン性,またはカチ
オン性界面活性剤で乳化処理した溶液である,請求項2
に記載の処理剤。 - 【請求項6】前記パラフィン系ワックスが,固形分で,
20%から7%を含有する,請求項5に記載の処理剤。 - 【請求項7】前記石油系のパラフィン系ワックスは,炭
素数が20から36の直鎖状飽和炭化水素を主成分とし,分
子量が225から450である,請求項5に記載の処理剤。 - 【請求項8】前記石油系のパラフィン系ワックスは,側
鎖状飽和炭化水素,ナフテン,または芳香族のものを含
む,請求項7に記載の処理剤。 - 【請求項9】前記界面活性剤が5から10倍に希釈され
る,ことを特徴とする請求項1または2に記載の処理
剤。 - 【請求項10】油分が付着した金属面にウレタン発泡体
が接触することによるきしみ音の発生を防止するため
に,金属面を処理する方法であって,当該金属面に請求
項1または2に記載の処理剤を薄く塗布することから成
り,これにより油分が実質的に粘性を示さない乳化状ま
たはゼリー状になり,乾燥後に金属面に吸着した非粘性
薄層が形成される,ことを特徴とする方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000072312A JP2001262177A (ja) | 2000-03-15 | 2000-03-15 | ウレタン発泡体と金属面との間のきしみ音の発生を防止する処理剤およびその方法 |
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---|---|---|---|
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001262177A true JP2001262177A (ja) | 2001-09-26 |
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---|---|---|---|
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