JP2001260248A - カーカスプライ素材の送給方法およびそれに用いる装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数本のカーカスコードの両端部分を連結帯
により相互連結してなるカーカスプライ素材の、製造上
および構造上の利点はそのままに、カーカスコードの配
列方向、配列ピッチ等に乱れを生じさせることなく、カ
ーカスプライ素材を搬送し、そしてタイヤ成型手段へ供
給する。 【解決手段】 平行に延びる複数本のカーカスコード３
の両端部分を、カーカスコード３とほぼ直交する方向に
延びる連結帯４により相互連結して形成されるカーカス
プライ素材１をタイヤ成型手段へ送給するに当り、カー
カスプライ素材１を、それぞれの連結帯４への搬送力の
入力下で、連結帯４の延在方向へ搬送してタイヤ成型手
段６の周面上へ供給するとともに、この供給に先だって
または、供給の途中でカーカスプライ素材１を定寸裁断
して、タイヤ成型手段６の全周にわたって貼着されるカ
ーカスプライを構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、タイヤの骨格を
なすカーカス、なかでもラジアルカーカスの構成のため
のカーカスプライ素材を、それの製造工程からタイヤの
成型工程まで搬送し、そしてそれを、タイヤの成型手段
に供給するに用いて好適なカーカスプライ素材の送給方
法およびそれに用いる装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】カーカスプライ素材の製造に際する、カ
ーカスコードのいわゆるすだれ織りおよび、すだれ織り
コードに対する未加硫ゴムのコーティング等の作業を不
要とすることで、カーカスプライ素材を、大型の設備を
用いることなく簡単に、かつ低コストで製造することを
目的とした従来技術としては、たとえば特開平９−２２
６３１５号公報に開示されたものがある。

【０００３】これは、タイヤビード部のビードコアの周
りにそれぞれの側部部分を巻上げて固定されるカーカス
プライのためのカーカスプライ素材を、相互に隣接させ
て均一ピッチで平行に配置した複数本のカーカスコード
の両端部に、コードの配列ピッチを保持するための第１
帯状シートを固定するとともに、第１帯状シートの内側
で、ビードコアと対応して位置することとなる部分に、
コードの配列ピッチを保持するための第２帯状シートを
固定することにより構成し、好ましくは、第１帯状シー
トを、カーカスコードの配列方向に伸長可能なバイアス
布もしくは不織布により形成することとしたものであ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】この発明は、以上のよ
うな構造を有するカーカスプライ素材の、上述したよう
な製造上の利点はそのままに、また、すだれ織りコード
にゴムコーティングを施すことに起因するカーカスコー
ドの乱れ、ゴムコーティングコードを裁断接合してカー
カスコードの延在方向を調整することに起因するカーカ
スコード相互の重なり合い等の構造上の不都合なしに、
製造されたカーカスプライ素材を、コードの配列方向、
配列ピッチ等に乱れを生じさせることなく、タイヤの成
型工程まで搬送し、そこでそれを、タイヤ成型ドラム等
のタイヤの成型手段へ供給するカーカスプライ素材の送
給方法およびそれに用いる装置を提供する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明のカーカスプラ
イ素材の送給方法は、相互に整列させて配置されて、均
一ピッチでほぼ平行に延在する複数本のカーカスコード
の両端部分を、カーカスコードとほぼ直交する方向に延
びる連結帯により相互連結して形成されるカーカスプラ
イ素材を、タイヤ成型手段、たとえば、タイヤ成型ドラ
ム、製品タイヤの内面形状とほぼ対応する周面形状を有
するコア等へ送給するに当たって、カーカスプライ素材
を、それぞれの連結帯への搬送力の入力下で、連結帯の
延在方向へ搬送してタイヤ成型手段の周面上へ供給する
とともに、この供給に先だって、または供給の途中でカ
ーカスプライ素材を一定寸法に裁断して、タイヤ成型手
段の全周にわたって貼着されるカーカスプライを構成す
るものである。

【０００６】この方法によれば、複数本のカーカスコー
ドのそれぞれの端部分に固定もしくは固着されて、それ
らのコードの配列状態を所期した通りに保持する、布、
プラスチックシート、エラストマ等からなる連結帯それ
自体に搬送力を入力して搬送することで、カーカスコー
ドの不測の乱れ等を十分に防止することができる。また
ここでは、カーカスプライ素材を、それの搬送経路内
で、連結帯をその延在方向に均等に把持、挟持等した状
態で定寸裁断してカーカスプライとすることにより、そ
の裁断に際するコード配列等の不測の乱れ等をも有効に
防止することができる。

【０００７】ここで好ましくはカーカスプライ素材の搬
送および供給をコンベアにより行い、また好ましくは、
連結帯への搬送力の入力を、コンベアへの連結帯の拘束
により行う。

【０００８】カーカスプライ素材をコンベア、なかでも
ベルトコンベアにより搬送するときは、その素材の、カ
ーカスプライ長さに相当する距離毎の間欠的な搬送作動
によっても、その素材への局部的な応力の発生に起因す
るコード配列等の乱れを有効に防止することができ、こ
のことは、コンベアそれ自体に、連結帯をそれの長さ方
向に均等に把持、挟持等して直接的に拘束した場合によ
り顕著である。

【０００９】かかる方法において、カーカスプライ素材
もしくはカーカスプライの、コンベアからタイヤ成型手
段への乗り移りを、それの上面側から案内する場合に
は、カーカスプライ素材等を、タイヤ成型手段の周面
に、常に円滑に、かつ適正に移行させることができる。

【００１０】また、この発明の、カーカスプライ素材の
送給装置は、前述したように、相互に整列させて配置さ
れて、均一ピッチでほぼ平行に延在する複数本のカーカ
スコードの両端部分を、カーカスコードとほぼ直交する
方向に延びる連結帯により相互連結して形成されるカー
カスプライ素材を、タイヤ成型手段、たとえば、タイヤ
成型ドラム、製品タイヤの内面形状とほぼ対応する周面
形状を有するコア等へ送給するものであって、それぞれ
の連結帯と対応して位置し、連結帯に、それの長さ方向
に間隔をおいて下面側から突き刺さる複数の刺込針を具
える一対のコンベアベルトを、タイヤ成型手段の周面近
傍まで延在させて設け、これらのコンベアベルトの延在
方向の途中に、カーカスプライ素材を裁断するカッタを
配設するとともに、各コンベアベルトの先端部分に、連
結帯の、刺込針からの離脱をもたらす引き剥し手段を配
設したものである。

【００１１】この装置では、コンベアベルトに植設等し
て設けた刺込針によって、連結帯、ひいては、カーカス
プライ素材に搬送力を入力させることで、そのための機
構および構造を極めて簡単なものとすることができる。
また、刺込針を、連結帯の長さ方向に、好ましくは等し
い間隔をおいて設けることにより、その搬送力を、連結
帯に対し、それの長さ方向で十分均等に入力させること
ができるので、カーカスプライ素材の搬送およびそれの
停止のいずれに当たっても、連結帯の特定個所に局部的
な大きな応力が生じることはなく、これがだめ、たとえ
ば、連結帯それ自体が、エラストマ等の如くに伸長性を
有するものであっても、カーカスコードの配列の乱れ等
の発生を有効に防止することができる。

【００１２】そしてこのことは、一対のコンベアベルト
の一時的な停止下で、カッタ、たとえば、カーカスプラ
イ素材の一側縁から他側縁まで直線運動するナイフを作
動させることにより、そのカーカスプライ素材を切断し
てカーカスプライを形成する場合における、ナイフ外力
のそこへの作用に対しても同様であり、連結帯に突き刺
さる多数本の刺込針でその外力を分散支持することで、
カーカスプライ素材の重量をコンベアベルトをもって支
持することと相俟って、カーカスコードの乱れ等を有効
に防止することができる。

【００１３】さらにここでは、コンベアベルトにて搬送
される、たとえばカーカスプライ素材の、そのコンベア
ベルトからの離脱、直接的には連結帯の離脱を、引き剥
し手段をもって確実ならしめることで、搬送される素材
先端の、タイヤ成型手段への乗り移りを十分円滑なもの
とすることができる。

【００１４】ここで、一対のコンベアベルトを、カッタ
の配設位置の前後で二分割し、この結果として、相互に
直列配置した二対のコンベアベルトとした場合には、そ
の分割位置での、上述したようなカッタの作用に対し、
コンベアベルトの切損等のおそれを十分に除去すること
ができる。

【００１５】またここで、引き剥し手段を、コンベアと
連結帯との間に入り込む固定解離プレートにより構成し
た場合には、特別の機構部を必要とすることのない簡単
な構造をもって、連結帯を刺込針から確実に分離させる
ことができる。

【００１６】かかる装置においてより好ましくは、コン
ベアベルトの、タイヤ成型手段側の端部分と、タイヤ成
型手段の上方位置との間に、連結帯にそれの上面側から
突き刺さる複数の刺込針を具える一対の補助コンベアベ
ルトを配設して、カーカスプライ素材もしくはカーカス
プライの、コンベアベルトからタイヤ成型手段への乗り
移りをより円滑に、かつ確実に行わせる。

【００１７】また好ましくは、一対のコンベアベルトの
分割位置の前後にもまた、ほぼ同様の構成を有する、他
の一対の補助コンベアベルトを配設して、その分割部分
でのカーカスプライ素材の乗り移りもまた円滑かつ確実
なものとする。なおこの場合には、補助コンベアベルト
とカッタとの干渉を防止すべく、その補助コンベアベル
トを、カッタの作動経路に対してそれの一方側へ回避揺
動可能とする。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下にこの発明の実施の形態を図
面に示すところに基いて説明する。図１は、この発明に
係る装置の実施の形態を示す略線斜視図であり、図中１
は被送給物としてのカーカスプライ素材を示し、２は、
カーカスプライ素材１の送給手段としての、相互に同期
して作動する一対のコンベアベルトをそれぞれ示す。

【００１９】ここで、図示のカーカスプライ素材１は、
前記公開公報に開示されたものと同様に構成したもので
あり、相互に整列させて配置されてほぼ等ピッチで平行
に延びる複数本のカーカスコード３のそれぞれの端部分
を、カーカスコード３とほぼ直交する方向に延びる、た
とえば、布、プラスチックシート、エラストマ等からな
り、好ましくは伸縮性を有する連結帯４によって相互連
結し、また、両連結帯４の間のタイヤビード部に埋設し
たビードコアと対応して位置することとなる二個所で、
カーカスコード３の相互を、連結帯４とほぼ平行に延び
る補助帯５によっても連結することにより構成したもの
である。

【００２０】ここで、複数本のカーカスコード３への連
結帯４および補助帯５の取り付けは、接着、縫着等によ
って行うことができ、これにより、それらの帯４，５
は、それぞれのカーカスコード３を初期の配列姿勢に維
持して、コード配列等の乱れを防止すべく機能する。従
って、コード配列等の乱れを十分に防止し得る場合に
は、図に示すところから補助帯５を省くことも可能であ
る。

【００２１】このようなカーカスプライ素材１を、たと
えば図示しないそれの製造装置から搬送して、タイヤ成
型手段６へ送給するべく機能する一対のコンベアベルト
２のそれぞれは、上述した連結帯４のそれぞれと対応し
て位置して、カーカスプライ素材１を下面側から支持す
る。また、各コンベアベルト２は、カーカスプライ素材
１、直接的には連結帯４に搬送力を確実に入力してな
お、その搬送力の局部的な集中を防止するべく、ベルト
の延在方向に、好ましくは等しい間隔をおいて配設され
て連結帯４にそれの下面側から突き刺さる複数本の刺込
針７を具える。図２はこの突き刺さり状態を示す部分断
面図である。

【００２２】またここでは、このようなコンベアベルト
２の延在方向の途中に、たとえば門形フレームに支持さ
れて、カーカスコード３の延在方向に直線運動されるカ
ッタ８、たとえば図示のような回転刃カッタまたは固定
刃カッタ等を配設する。常時はコンベアベルト２から退
避して位置するこのカッタ８は、一対のコンベアベルト
２および刺込針７の作用によって搬送されるカーカスプ
ライ素材１に対し、カーカスプライの一枚に相当する搬
送距離毎に、コンベアベルト２の停止下でそれを作動さ
せることにより、カーカスプライ素材１をそれの全幅に
わたって裁断分離して所要のカーカスプライを構成す
る。

【００２３】ところで、カッタ８をこのように作動させ
るに際して、そのカッタ８によるコンベアベルト２の不
測の損傷等を防止するためには、カーカスプライ素材１
を、刺込針７によってベルト表面から幾分持上げて支持
することで、カッタ刃の、ベルト表面への到達を防止す
ることが好ましく、より好ましくは、カッタ８の配設位
置、いいかえれば、それの直線運動位置の前後で一対の
コンベアベルト２を二分割して、実質的には、その分割
位置にて若干の間隔をおく、二対のコンベアベルト構造
とすることで、カッタ刃の、ベルト表面への接触のおそ
れを十分に取り除く。

【００２４】そしてさらにこの装置では、各コンベアベ
ルト２の先端部分に、連結帯４の、刺込針７からの離脱
をもたらす引き剥し手段９を設け、これによって、連結
帯４、ひいては、カーカスプライ素材１もしくはカーカ
スプライを刺込針７から確実に分離させることで、それ
の、タイヤ成型手段６への円滑にして確実な乗り移りを
担保する。

【００２５】この引き剥し手段９は、たとえば、図３に
斜視図で示すように、コンベアベルト２の下端部分で、
その表面上へ突出する姿勢で固定されて、好ましくは、
先端部で厚みが漸減する形状を有する解離プレート１０
をもって構成することができ、この解離プレート１０
は、コンベアベルト２と連結帯４との間へ入り込んで、
その連結帯４に刺込針７から離隔する方向の力を作用さ
せるべく機能するとともに、幅方向の中央部に設けた溝
１１により、刺込針７の、リターン側への円滑なる走行
を許容すべく機能する。

【００２６】ところで、このように構成してなる送給装
置によって送給されるカーカスプライ素材１は、たとえ
ば図４に示すような製造装置をもって製造することがで
きる。この製造装置は、相互に平行に延びて、相対間隔
を所要に応じて調整できる一対のピン付きベルト２１
と、両ピン付きベルト２１にわたって往復運動して、繰
出したコード２２を一方のベルト２１のピン２１ａと他
方のベルト２１のピン２１ａとに交互に掛け回わす糸道
２３とを具えるとともに、それぞれのベルト２１に近接
した位置で、コード２２の上下両面から供給された連結
帯２４をコード２２に縫着するミシン２５と、補助帯２
６をコード２２に縫着する図示しないミシンとを具える
ものである。ここで、それぞれのベルト２１のピン２１
ａは、コード２２の所要の配設ピッチに応じて、たとえ
ば、図４（ｂ），（ｃ）に示すように、二列または一列
に配設することができる。

【００２７】この装置によるカーカスプライ素材の製造
は、たとえばサーボモータ２７をもって、一対のピン付
きベルト２１をともに間欠的に走行させて、ベルト２１
の停止中に、糸道２３から繰出されたコード２２を一方
のベルト２１から他方のベルト２１まで延在させるとと
もに、ベルト２１の走行中にそのコード２２を、ベルト
２１に設けた一のピン２１ａに、たとえば糸道２３の幾
分の下降変位の下に、図４（ｄ）に示すように掛け回
し、以後同様の工程を繰り返しつつ一方のベルト２１と
他方のベルト２１との間にコード２２をジグザグ状に順
次に張り渡し、この一方で、張り渡しを終えたコード２
２に対して、連結帯２４および補助帯２６のそれぞれを
上下両面から供給しながら、それらの帯２４，２６をそ
れぞれのミシンによってコード２２に縫着させることに
より行うことができ、このようにして製造されたカーカ
スプライ素材は図１に示す構成を有するものとなる。図
５はこのようにして製造したカーカスプライ素材１の横
断面構造を示す図である。

【００２８】以上のようにして製造されるカーカスプラ
イ素材１の、図１〜３に示す送給装置による、オンライ
ンもしくはオフラインでの搬送は、それぞれのコンベア
ベルト２の刺込針７の、連結帯４への下面側からの刺さ
り込みをもって、連結帯４、ひいては、カーカスプライ
素材１に、それの延在方向に十分均等に搬送力を入力し
て、一対のコンベアベルト２の、所要のカーカスプライ
長さに応じた搬送距離毎の走行および停止を繰返すこと
によって行われ、そして、そのカーカスプライ素材１の
先端側部分が、カーカスプライ長さに相当する距離だけ
カッタ８の前方側へ搬送されたときには、そのカッタ８
によるカーカスプライ素材１の裁断が行われ、これによ
り、所要の長さのカーカスプライが構成される。

【００２９】この場合、コンベアベルト２の走行および
停止に当って、カーカスプライ素材１がコンベアベルト
２から受ける力および、それの裁断に当って、そのカー
カスプライ素材１がカッタ８から受ける力はいずれも、
連結帯４への刺込針７の刺さり込みの下に、カーカスプ
ライ素材１の十分な長さにわたって分散されることにな
るので、それらのいずれに対しても、整列させて配置し
た複数本のカーカスコード３の配列等が乱されることは
ない。

【００３０】カーカスプライ素材１のこのような搬送に
よって、カーカスプライ素材１または、それから裁断さ
れたカーカスプライの先端部がコンベアベルト２の先端
部分に達したときは、前述した解離プレート１０からな
る引き剥し手段９の作用の下に、連結帯４の、刺込針７
からの確実なる分離がもたらされ、これによってコンベ
アベルト２の先端から送り出されたカーカスプライ素材
１もしくはカーカスプライは、そのコベアベルト２の先
端の極く近傍に配設されたタイヤ成型手段６、たとえば
タイヤ成型ドラムの周面上へ供給され、その全周にわた
って貼着される。

【００３１】カーカスプライ素材１もしくはカーカスプ
ライの、コンベアベルト２からタイヤ成型手段６へのこ
のような供給に際する、それの刺込針７からの分離およ
びコンベアベルト先端からタイヤ成型手段６への送り込
みのいずれにあっても、プライ素材１もしくはカーカス
プライは局部的な引張り、圧縮等の力の作用から十分に
保護されるので、複数本のカーカスコード３に配列等の
乱れが生じることはない。

【００３２】図６は、一枚のカーカスプライ１ａを、上
述したようにして、タイヤ成型手段６の全周にわたって
貼着した状態を部分的に示す略線斜視図であり、その成
型手段６の周面上で、連結帯４の切断端の相互を突き合
わせ接合した場合には、カーカスコード３の配列等の乱
れが、先の述べたように十分に防止される結果として、
非接合部分においてはもちろん、その突き合わせ接合部
においてなお、カーカスコード３の配設ピッチ等は所期
した通りに適正に維持されることになる。

【００３３】図７は他の実施形態を示す略線側面図であ
り、これは、前述した一対のコンベアベルト２を、カッ
タ８の配設位置の前後に二分割することで、相互に整列
する、実質的に二対のコンベアベルト２ａ，２ｂとした
ものであり、ここではたとえば、カーカスプライ用素材
１が、カッタ８の前方側へ所要のカーカスプライ長さに
相当する距離だけ搬送された時点で、それがタイヤ成型
手段６の周面に達するに先だってカッタ８を作動させ
て、カーカスプライ素材１を裁断することにより、所期
した通りのカーカスプライ１ａを構成することができ
る。

【００３４】図８は、上述の場合と同様にして二対のコ
ンベアベルト２ａ，２ｂを構成したところにおいて、そ
れによって搬送されるカーカスプライ素材１の先端部分
を、それの裁断に先だってタイヤ成型手段６の周面上へ
供給し、そして、カッタ８より前方側へ搬送されたカー
カスプライ素材１の長さが、所要のカーカスプライ１ａ
の長さに達したときに、カッタ８を作動させてカーカス
プライ１ａを構成し、以後は、そのカーカスプライ１ａ
の全体を成型手段６の周面に継続的に貼着する場合につ
いて示すものであり、この場合および、図７について述
べた場合のいずれにあっても、先の場合と同様に、カー
カスコード３の配列等の乱れを十分に防止することがで
きる。

【００３５】なおここで、図１に示す装置および図７，
８に示す装置のそれぞれにおいて、コンベアベルト２，
２ａからタイヤ成型手段６へのカーカスプライ素材１ま
たはカーカスプライ１ａの適正なる乗り移りを一層円滑
かつ確実ならしめるためには、たとえば、図９に略線側
面図で例示するように、コンベアベルト２ａの、タイヤ
成型手段側の端部分と、タイヤ成型手段６の上方位置と
の間に、連結帯４にそれの上面側から突き刺さる複数本
の刺込針１２を具える一対の補助コンベアベルト１３を
配設することが好ましい。

【００３６】この補助コンベアベルト１３は、コンベア
ベルト２，２ａ，２ｂとほぼ同様に機能するものであ
り、コンベアベルト２，２ａの先端部分に達したプライ
素材１もしくはカーカスプライ１ａの連結帯４に、それ
の長さ方向に均等に刺込針１２を刺し込んで、そのプラ
イ素材１もしくはカーカスプライ１ａをタイヤ成型手段
６へ送給することで、それの、タイヤ形成手段６への乗
り移りを、より円滑に、かつ確実に行わせることができ
る。ところで、この補助コンベアベルト１３からの、プ
ライ素材１もしくはカーカスプライ１ａの所要した通り
の離脱をもたらすためには、それの搬送方向の前端部分
に、先で述べたと同様の引き剥し手段を設けることが好
ましい。

【００３７】同様に、コンベアベルトを、図７および８
に示すような分割構造とする場合には、図１０に示すよ
うに、分割位置の前後にわたって延在して、連結帯４に
それの上面側から突き刺さる複数の刺込針１５を具える
他の一対の補助コンベアベルト１５を配設することが好
ましく、この補助コンベアベルト１５は、前記補助コン
ベアベルト１３と同様に機能して、カーカスプライ素材
１の、分割部分の乗り越えを円滑かつ確実ならしめるべ
く機能する。そしてこの場合にもまた、前記引き剥し手
段を設けることで、カーカスプライ素材１の、コンベア
ベルト２ａへの所期した通りの引き渡しを行うことがで
きる。

【００３８】ところで、このような補助コンベアベルト
１５を設けた場合には、両コンベアベルト間で作動する
カッタ８とそれとの干渉を防止するために、そのコンベ
アベルト１５を、カッタ８の作動経路の一方側、図に示
すところでは左側へ回避揺動可能とする。

【００３９】

【発明の効果】以上に述べたところから明らかなよう
に、この発明によれば、カーカスプライ素材の製造上お
よび構造上の利点はそのままに、製造されたカーカスプ
ライ素材におけるカーカスコードの、配列方向、配列ピ
ッチ等に乱れを生じさせることなく搬送するとともに、
それを、タイヤ成型手段に常に円滑にかつ確実に供給す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明に係る装置の実施の形態を示す略線
斜視図である。

【図２】 刺込針の作用を示す部分断面図である。

【図３】 引き剥し手段を示す斜視図である。

【図４】 カーカスプライ素材の製造装置を示す図であ
る。

【図５】 製造されたカーカスプライ素材の横断面図で
ある。

【図６】 タイヤ成型手段の周面上へのカーカスプライ
の貼着状態を部分的に示す略線斜視図である。

【図７】 他の実施の形態を示す略線側面図である。

【図８】 カーカスプライの他の構成態様を示す略線側
面図である。

【図９】 補助コンベアベルトを示す略線側面図であ
る。

【図１０】 他の補助コンベアベルトを示す略線側面図
である。

【符号の説明】

１ カーカスプライ素材 １ａ カーカスプライ ２，２ａ，２ｂ コンベアベルト ３ カーカスコード ４ 連結帯 ５ 補助帯 ６ タイヤ成型手段 ７，１２，１４ 刺込針 ８ カッタ ９ 引き剥し手段 １０ 解離プレート １１ 溝 １３，１５ 補助コンベアベルト

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 相互に整列配置されてほぼ平行に延びる
   複数本のカーカスコードの両端部分を、カーカスコード
   とほぼ直交する方向に延びる連結帯により相互連結して
   形成されるカーカスプライ素材をタイヤ成型手段へ送給
   するに当り、 カーカスプライ素材をを、それぞれの連結帯への搬送力
   の入力下で、連結帯の延在方向へ搬送してタイヤ成型手
   段の周面上へ供給するとともに、この供給に先だってま
   たは、供給の途中でカーカスプライ素材を定寸裁断し
   て、タイヤ成型手段の全周にわたって貼着されるカーカ
   スプライを構成するカーカスプライ素材の送給方法。
2. 【請求項２】 前記搬送および供給をコンベアにより行
   う請求項１に記載のカーカスプライ素材の送給方法。
3. 【請求項３】 連結帯への搬送力の入力を、コンベアへ
   の連結帯の拘束により行う請求項２に記載のカーカスプ
   ライ素材の送給方法。
4. 【請求項４】 カーカスプライ素材もしくはカーカスプ
   ライの、コンベアからタイヤ成型手段への乗り移りを、
   それの上面側から案内する請求項２もしくは３に記載の
   カーカスプライ素材の送給方法。
5. 【請求項５】 相互に整列配置されてほぼ平行に延びる
   複数本のカーカスコードの両端部分を、カーカスコード
   とほぼ直交する方向に延びる連結帯により相互連結して
   形成されるカーカスプライ素材をタイヤ成型手段へ送給
   する装置であって、 それぞれの連結帯と対応して位置し、連結帯に、それの
   長さ方向に間隔をおいて下面側から突き刺さる複数の刺
   込針を具える一対のコンベアベルトを、タイヤ成型手段
   の周面近傍まで延在させて設け、これらのコンベアベル
   トの延在方向の途中に、カーカスプライ素材を裁断する
   カッタを配設するとともに、各コンベアベルトの先端部
   分に、連結帯の、刺込針からの離脱をもたらす引き剥し
   手段を配設してなるカーカスプライ素材の送給装置。
6. 【請求項６】 一対のコンベアベルトを、カッタの配設
   位置の前後で二分割してなる請求項５に記載のカーカス
   プライ素材の送給装置。
7. 【請求項７】 引き剥し手段を、コンベアベルトと連結
   帯との間へ入り込む解離プレートにより構成してなる請
   求項５もしくは６に記載のカーカスプライ素材の送給装
   置。
8. 【請求項８】 コンベアベルトの、タイヤ成型手段側の
   端部分と、タイヤ成型手段の上方位置との間に、連結帯
   にそれの上面側から突き刺さる複数の刺込針を具える一
   対の補助コンベアベルトを配設してなる請求項５〜７の
   いずれかに記載のカーカスプライ素材の送給装置。
9. 【請求項９】 一対のコンベアベルトの分割位置の前後
   にわたって延在し、連結帯にそれの上面側から突き刺さ
   る複数の刺込針を具える他の一対の補助コンベアベルト
   を配設し、この補助コンベアベルトを、カッタの作動経
   路に対してそれの一方側へ回避揺動可能としてなる請求
   項６〜８のいずれかに記載のカーカスプライ素材の送給
   装置。