JP4301928B2 - 毛髪保持具の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、筒状体に挿入された毛髪束を所定の形状に保持することができる毛髪保持具の製造方法に関する。
特開2003−33216号公報及び国際公開第03/007752号パンフレットには、本出願人による「一端部に毛髪取り込み口を有し該毛髪取り込み口から毛髪を挿入可能な筒状体と、該筒状体の巻き上げ用の巻き上げ用糸とを備え、前記筒状体の外周面には、前記巻き上げ用糸を挿通する小孔が、スパイラル状に間欠的に設けられており、前記巻き上げ用糸は、その一端が該筒状体の他端部の近傍に止着され、前記小孔に順次挿通されて前記筒状体の外周面にスパイラル状に巻き付けられている毛髪保持具」が記載されている。また、「巻き上げ用糸は、その一端が筒状体の他端部の近傍に止着され、該筒状体を長手方向にぐし縫い状に貫通するように取り付けられている毛髪保持具」も記載されている。
これらの毛髪保持具によれば、毛髪が筒状体の内部に挿入された状態で前記巻き上げ用糸の他端を引っ張ることにより、該毛髪を該筒状体ごと巻き上げることができ、簡便な操作で毛髪の巻き上げを行うことができる。
特開2003−33216号公報 国際公開第03/007752号パンフレット
しかし、前述の構成を有する毛髪保持具を製造するには、筒状体に小孔を間欠的に設け、その後、該小孔に巻き上げ用糸を順次挿通する必要があり、その製造が容易ではない。
従って、本発明の目的は、筒状体に巻き上げ用糸を容易に取り付けることができる毛髪保持具の製造方法を提供することにある。
本発明は、一端部に毛髪取り込み口を有し該毛髪取り込み口から毛髪を挿入可能な筒状体と、該筒状体の巻き上げ用の巻き上げ用糸とを備え、該巻き上げ用糸が、該筒状体の一方の面側及び他方の面側に順次配置するように、該筒状体に貫通掛合されている毛髪保持具を製造する方法であって、前記巻き上げ用糸の挿通孔を有する両尖端針と、前記筒状体の一方の面側に配置され且つ該両尖端針を保持可能な第1針保持装置と、該筒状体の他方の面側に配置され且つ該両尖端針を保持可能な第2針保持装置とを用い、前記巻き上げ用糸を挿通した前記両尖端針を、前記第1針保持装置と前記第2針保持装置との間で、前記筒状体を貫通させて受け渡し、この動作を該筒状体における該両尖端針の貫通位置をずらしながら繰り返すことにより、前記巻き上げ用糸を、前記筒状体の一方の面側及び他方の面側に順次配置するように、該筒状体に貫通掛合する毛髪保持具の製造方法(以下、この発明を第1発明ともいう)を提供することにより前記目的を達成したものである。
また、本発明は、一端部に毛髪取り込み口を有し該毛髪取り込み口から毛髪を挿入可能な筒状体と、該筒状体の巻き上げ用の巻き上げ用糸とを備え、該巻き上げ用糸が、該筒状体の一方の面側及び他方の面側に順次配置するように、該筒状体に貫通掛合されている毛髪保持具を製造する方法であって、前記筒状体をその長手方向に蛇腹状に縮め、蛇腹状の該筒状体に、前記巻き上げ用糸を挿通した針を該筒状体の長手方向に貫通し、該針の貫通後、該筒状体を長手方向に伸ばすことにより、前記巻き上げ用糸を、前記筒状体の一方の面側及び他方の面側に順次配置するように、直線状に該筒状体に貫通掛合する毛髪保持具の製造方法(以下、この発明を第2発明ともいう)を提供することにより前記目的を達成したものである。
本発明の毛髪保持具の製造方法によれば、筒状体に巻き上げ用糸を容易に取り付けることができる。
先ず、本発明の毛髪保持具の製造方法により製造される毛髪保持具の一形態について、図面を参照しながら説明する。
本形態の毛髪保持具は、図1に示すように、一端部に毛髪取り込み口21を有し該毛髪取り込み口21から毛髪を挿入可能な扁平状の筒状体2と、該筒状体2の巻き上げ用の巻き上げ用糸3とを備え、該巻き上げ用糸3が、該筒状体2の一方の面(帯状シート4)側及び他方の面(帯状シート5)側に順次配置するように、該筒状体2に貫通掛合されているものである。
また、前記巻き上げ用糸3の一端31が前記筒状体2の他端部22近傍に止着され、該巻き上げ用糸3が該筒状体2の両側縁部に順次貫通掛合されて該筒状体2の外周面にスパイラル状に巻き付けられている。
本形態の毛髪保持具1について詳述する。毛髪保持具1は、図1に示すように、細長筒形状で、扁平な略楕円形状の断面を有する筒状体2からなる。筒状体2は、一端部21及び他端部22を有しており、各端部は開口している。一端部21は毛髪Hの取り込み口となっている。毛髪Hは、筒状体2内に取り込み口21から挿入されて保持される(図7参照)。筒状体2の長さは、処理すべき毛髪の長さに応じて適切な長さとされている。筒状体2の長さは一般に50〜600mm程度の範囲である。
毛髪保持具1を構成する筒状体2は、2枚の帯状シート4,5がそれらの両側縁部同士で接合されて形成されている。該帯状シート4,5の幅Lは、好ましくは5〜200mm、更に好ましくは10〜90mmである。
本形態の毛髪保持具1の筒状体2には、図1に示すように、その外周面に、筒状体2の巻き上げ用の巻き上げ用糸3がスパイラル状に巻き付けられている。巻き上げ用糸3は、筒状体2内に挿入された状態の毛髪を、該筒状体2ごと巻き上げる手段として用いられる。本発明において巻き上げとは、毛髪に所定のくせ付けをすること全般を意味し、本来の巻き上げに加えて例えば湾曲や屈曲なども包含される。
巻き上げ用糸3は、筒状体2の両側縁部に、それぞれ所定間隔をあけて設けられた複数の掛合孔部6に順次貫通掛合されている。
掛合孔部6は、巻き上げ用糸3が挿通できる程度の大きさがあればよい。筒状体2の長手方向に隣接する掛合孔部6間の該長手方向に沿う間隔Mは、筒状体2をスムーズに巻き上げし得るスパイラル形状に、巻き上げ用糸3を筒状体2に巻き付ける上で、好ましくは25〜300mm、更に好ましくは40〜80mmである。筒状体2の両側縁部の接合部の幅L2は、好ましくは2〜5mmである。
取り込み口21には、合成樹脂製のリング状部材及びシート部材からなる取り込み口補強部材23が設けられており、取り込み口21及びその近傍の部位が、筒状体2における他の部位よりも高剛性となされている。これによって、毛髪を取り込む際に、取り込み口21に毛髪Hや毛髪挿入具10(後述、図7参照)が引っ掛かったとしても取り込み口21が変形し難くなり、毛髪を取り込み易くなる。
帯状シート4,5を構成する材料としては、各種可撓性材料が用いられる。その例としては、不織布、多孔性又は非多孔性の樹脂フィルム、紙、金属板又はこれらの複合体などが挙げられ、具体的用途に応じて適切な材料が選択される。例えば、筒状体2内に挿入された状態の毛髪に対して筒状体2の外部から毛髪処理剤を施したいときには、該毛髪処理剤に対して透過性を有する材料を用いればよい。また、挿入されている毛髪のみに毛髪処理剤を施したいときには、該毛髪処理剤に対して非透過性を有する材料を用いればよい。本形態においては、毛髪処理剤に対して非透過性を有する不織布を用いている。
また、帯状シート同士の接合には、ヒートシール、超音波シール、接着剤、粘着テープ、縫製などが用いられ、本形態においては、ヒートシールにより接合されている。
巻き上げ用糸3は、図1に示すように、その一端31が筒状体2の他端部22近傍に止着されている。本形態においては、最も他端部22寄りに位置する掛合孔部6の位置において引き抜かれないよう止着されている。巻き上げ用糸3の固定には、ホットメルト、ヒートシール、接着剤などが用いられ、本形態においては、ホットメルトにより固定されている。
また、巻き上げ用糸3は、その他端32が筒状体2の最も取り込み口21寄りに位置する掛合孔部6の位置において、自由状態になっている。これによって、巻き上げ用糸3の他端32を引っ張ると、筒状体2は、スパイラル状に変形することになる。詳細については後述する。
巻き上げ用糸3は、これを引っ張って毛髪の巻き上げ操作を行うときに、引きちぎれない程度の強度及び巻き上げ操作を円滑に行い得る柔軟性を有していることが好ましく、この点から、各種樹脂などの合成物、木綿や麻などの天然物、レーヨンなどの半天然物、各種金属、又はこれらの複合体などから構成されていることが好ましい。また、巻き上げ用糸3は、糸状のものに限られず、例えば細長い帯状のものであってもよい。
次に、本発明(第1発明)の毛髪保持具の製造方法の好ましい一実施態様を、図1に示す形態の毛髪保持具1を製造する場合について、図2〜図6を参照して説明する。
本実施態様の毛髪保持具の製造方法は、図1に示す形態の毛髪保持具を製造する方法であって、図2及び図3に示すように、前記巻き上げ用糸3の挿通孔73を有する両尖端針7と、前記筒状体2の一方の面(帯状シート4)側に配置され且つ該両尖端針7を保持可能な第1針保持装置8Aと、該筒状体2の他方の面(帯状シート5)側に配置され且つ該両尖端針7を保持可能な第2針保持装置8Bとを用いる方法であり、前記巻き上げ用糸3を挿通した前記両尖端針7を、前記第1針保持装置8Aと前記第2針保持装置8Bとの間で、前記筒状体2を貫通させて受け渡し、この動作を該筒状体2における該両尖端針7の貫通位置をずらしながら繰り返すことにより、前記巻き上げ用糸3を、前記筒状体2の一方の面4側及び他方の面5側に順次配置するように、該筒状体2に貫通掛合するものである。
先ず、本実施態様の毛髪保持具の製造方法に用いられる、前記両尖端針7及び前記針保持装置8A,8Bを備えた製造装置について詳述する。
両尖端針7は、図2に示すように、両端が尖鋭になっており、そのため、両尖端72,71から筒状体2に貫通可能となっている。両尖端針7の長手方向中央部には、巻き上げ用糸3を挿通する挿通孔73が設けられている。
第1針保持装置8Aは、両尖端針7の上向きの尖端72及びその近傍を保持できる針保持部81Aを具備しており、筒状体2の一方の面側に配置されている。第2針保持装置8Bは、両尖端針7の下向きの尖端71及びその近傍を保持できる針保持部81Bを具備しており、筒状体2の他方の面側に配置されている。両針保持装置8A,8Bは、両尖端針7を挟んで、針保持部81Aと81Bとが対向するように上下方向に配置している。
針保持部81A,81Bは、両尖端針7を保持できれば種々の構成を採用することができ、その構成としては、機械的チャック、電磁的固定等が挙げられる。
第1針保持装置8A,第2針保持装置8Bは、上下方向(図2及び図3に示すZ−Z方向)に移動自在となっており、また筒状体2の幅方向(図3に示すY−Y方向)に移動自在となっている。針保持装置8A,8Bを上下方向及び筒状体2の幅方向に移動させる機構としては、種々の構成を採用することができるが、本実施形態においては、カム機構(図示せず)を用いている。
また、筒状体2は、筒状体移動装置(図示せず)に載置されており、該筒状体移動装置により、筒状体2の長手方向(図3に示すX−X方向)に移動可能となっている。
本製造装置においては、針保持装置8A,8Bの筒状体2幅方向(Y−Y方向)の移動と筒状体2のその長手方向(X−X方向)の移動との組合せにより、図3に示すように、両尖端針7を筒状体2における掛合孔部6対応位置に順次移動できるようになっている。
前記製造装置を用いた、本実施態様の毛髪保持具の製造方法について工程順に詳述する。
帯状シート4,5はそれらの両側縁部が全長に亘って接合され、筒状体2の長尺状素材が予め形成されている。この接合は帯状シート4,5に糸Tを通した後に行っても良い。
先ず、図4に示すように、糸T(巻き上げ用糸3の原糸)を挿通孔73に挿通した両尖端針7における上方の尖端72近傍を、第1針保持装置8Aにおける針保持部81Aで保持する。
両尖端針7を保持している第1針保持装置8A及び第2針保持装置8Bを、それぞれ筒状体2の上方及び下方に離間した状態で、筒状体2の幅方向に移動すると共に、筒状体2を長手方向に移動する。これにより、針保持装置8A、8Bが筒状体2における掛合孔部6対応位置に移動する。
次に、この状態において、第1針保持装置8Aと第2針保持装置8Bとを上下方向に接近させて、第1針保持装置8Aに保持された両尖端針7を筒状体2における掛合孔部6対応位置に貫通し、両尖端針7の下方の尖端71を筒状体2の下方側に突出させる。そして、両針保持装置8A,8Bを更に接近させ、図5(a)に示すように、両尖端針7の下方の尖端71近傍を、第2針保持装置8Bにおける針保持部81Bで保持する。
更に、図5(b)に示すように、第1針保持装置8Aの針保持部81Aによる両尖端針7の保持を解除して、第1針保持装置8Aを上方に移動させる。また、第2針保持装置8Bの針保持部81Bにより両尖端針7の下方の尖端71近傍を保持した状態で、第2針保持装置8Bを下方に移動し、糸Tと共に両尖端針7を下方に移動させる。これにより、筒状体2の下方に所定長さの糸Tが導入される。
両尖端針7を保持する第2針保持装置8B及び第1針保持装置8Aを、それぞれ筒状体2の下方及び上方に離間した状態で、筒状体2の幅方向(Y−Y方向)に移動させると共に、筒状体2を長手方向(X−X方向)に移動させる。これにより、針保持装置8A、8Bが筒状体2における斜め方向に隣接する掛合孔部6対応位置(図3参照)に移動する。該対応位置において、第2針保持装置8Bと第1針保持装置8Aとを上下方向に接近させて、第2針保持装置8Bに保持された両尖端針7を筒状体2における掛合孔部6対応位置に貫通し、両尖端針7の上方の尖端72を筒状体2の上方側に突出させる。そして、両針保持装置8A,8Bを更に接近させ、図6(a)に示すように、両尖端針7の上方の尖端72近傍を、第1針保持装置8Aにおける針保持部81Aで保持する。
更に、図6(b)に示すように、第2針保持装置8Bの針保持部81Bによる両尖端針7の保持を解除して、第2針保持装置8Bを下方に移動させる。また、第1針保持装置8Aの針保持部81Aにより両尖端針7の上方の尖端72近傍を保持した状態で、第1針保持装置8Aを上方に移動し、糸Tと共に両尖端針7を上方に移動させる。これにより、筒状体2の上方に所定長さの糸Tが導入される。
以後、上述の動作を繰り返すことにより、図1及び図3に示すように、巻き上げ用糸3(糸T)を、筒状体2の両側縁部に順次貫通掛合し、該筒状体2の外周面にスパイラル状に巻き付けることができる。
その後、筒状体2及び巻き上げ用糸3を所定の形状・長さに切断加工し、また筒状体2の一端部21に取り込み口補強部材23を取付けて補強し、取り込み口を形成して、図1に示す形態の毛髪保持具1を完成させる。
本実施形態の毛髪保持具の製造方法によれば、巻き上げ用糸3を挿通した両尖端針7を第1針保持装置8Aと第2針保持装置8Bとの間で筒状体2を貫通させて受け渡すことにより、巻き上げ用糸3を筒状体2に貫通掛合することができ、筒状体2に巻き上げ用糸3をスパイラル状に容易に巻き付けることができる。
また、針保持装置8A,8Bの移動経路を変更することにより、筒状体2における巻き上げ用糸3の配置を容易に変更することができる。例えば、筒状体に巻き上げ用糸を直線状に取り付ける場合には、針保持装置の移動経路を直線状に変更するだけで対応することができる。
更に、巻き上げ用糸3の原糸Tを連続的に供給することが容易であり、高い生産性が容易に得られる。
次に、前述の図1に示す形態の毛髪保持具の使用方法について、図7を参照しながら説明する。
本形態の毛髪保持具1は、図7に示すように、先端に毛髪のフック部11を有する毛髪挿入具10と組み合わせて用いると、毛髪保持具内への毛髪Hの挿入が容易となる。この毛髪挿入具10は、図7に示すように、細長形状の把持部12と、該把持部12の先端に取り付けられたフック部11とを備えている。フック部11は、毛髪保持具1内に挿入される毛髪Hを引っ掛けるために用いられ、変形可能になされている。
本形態の毛髪保持具1の一使用方法について、パーマネント処理を例にとり図7を参照しながら説明する。先ず図7(a)に示すように、筒状体2内に毛髪挿入具10を挿入し、毛髪挿入具10のフック部11を、筒状体2の取り込み口21から突出させる。そして、筒状体2の他端部22から、毛髪挿入具10の把持部12の端部を引き出す。
この状態下に、毛髪挿入具10のフック部11に所望量の毛髪Hを通して引っ掛ける。
次に図7(b)に示すように、筒状体2の取り込み口21付近の位置を一方の手(図示せず)で軽く押さえる。また筒状体2の他端部22から引き出されている毛髪挿入具10の把持部12の端部を他方の手(図示せず)で把持し、毛髪挿入具10を筒状体2の外に引き出す。その操作によって、フック部11に引っ掛けられていた毛髪Hが首尾良く筒状体2の筒状体2内に挿入、収納される。
次に、図7(c)に示すように、筒状体2の取り込み口21付近の位置を一方の手(図示せず)で軽く押さえる。この状態下に、筒状体2の外側面に巻き付けられている巻き上げ用糸3の一端32(自由端)を引っ張る。すると図7(d)に示すように、毛髪Hは筒状体2と共にスパイラル状に巻き上げられて、小さく纏められる。
次に、この状態を保持するために、筒状体2から引き出されている巻き上げ用糸3の根元を糸留め24で係止する。
この状態下に、筒状体2に向けて第1のパーマネント処理剤(還元剤)を付与する(図示せず)。筒状体2はパーマネント処理剤に対して透過性の材料から構成されているので、パーマネント処理剤は筒状体2を透過して毛髪に施される。
所定時間放置後、筒状体2に向けて第2のパーマネント処理剤(酸化剤)を付与し、再び所定時間放置する。これによって、筒状体2内に挿入されている毛髪Hに対して、その巻き上げ形態のパーマネントウエーブが掛けられる。その後、巻き上げ用糸3に取り付けられた糸留め24を外し、毛髪Hの巻き上げ状態を解除する。引き続き毛髪Hを筒状体2から取り出し、すすぎ洗いをし、更にシャンプー及びブローをする。
次に、本発明(第2発明)の毛髪保持具の製造方法における別の実施態様について説明する。この実施態様の製造方法により製造される毛髪保持具は、図8に示すように、一端部に毛髪取り込み口21を有し該毛髪取り込み口21から毛髪を挿入可能な扁平状の筒状体2と、該筒状体2の巻き上げ用の巻き上げ用糸3とを備え、前記巻き上げ用糸3が、前記筒状体2の一方の面(帯状シート4)側及び他方の面(帯状シート5)側に順次配置するように、該筒状体2の長手方向中央部に直線状に貫通掛合されているものである。特に説明しない点については、図1に示す形態の毛髪保持具と同様である。
本実施態様の毛髪保持具の製造方法は、図8に示す形態の毛髪保持具を製造する方法であって、図13に示すように、前記筒状体2をその長手方向に蛇腹状に縮め、蛇腹状の該筒状体2に、前記巻き上げ用糸3を挿通した針7を該筒状体2の長手方向に貫通し、該針7の貫通後、該筒状体2を長手方向に伸ばすことにより、前記巻き上げ用糸3を、前記筒状体2の一方の面4側及び他方の面5側に順次配置するように、直線状に該筒状体2に貫通掛合するものである。
先ず、本実施態様の製造方法に用いられる製造装置について説明する。
本製造装置においては、図9及び図10に示すように、製造工程上流側(図面左方)には、筒状体2を構成する一対の帯状シート4,5の原反ロール101A,101Bが上下に離間して設けられている。原反ロール101A,101Bの搬送方向は、筒状体2の幅方向に対応する。
原反ロール101A,101Bの下流側には、一対の合流ロール102A,102Bが上下に配置して設けられている。一対の合流ロール102A,102Bによれば、原反ロール101A,101Bそれぞれから導出される帯状シート4,5を合流させることができる。
合流ロール102A,102Bの下流側には、一対のシールロール103A,103Bが上下に配置して設けられている。一対のシールロール103A,103Bそれぞれの外周面には、その軸方向に亘る凸条104A,104Bが周方向に180°あけて2個設けられている。一対のシールロール103A,103B間に2枚の帯状シート4,5を通過させることにより、2枚の帯状シート4,5にそれらの幅方向に亘るシール部S,Sが搬送方向に離間して形成され、2枚の帯状シート4,5が間欠的に接合されるようになっている。このシール部Sの幅(搬送方向の長さ)は、筒状体形成時におけるシール部幅の2倍となっている。
シールロール103A,103Bの下流側には、図10及び図11に示すように一対の折込板110A,110Bが上下に離間して設けられている。図9においては、折込板110A,110Bの図示を省略している。
折込板110A,110Bは、図10に示すA−A断面(櫛歯の噛み合いが始まる箇所)視において、図11(a)に示すように、それぞれ対向する多数の櫛歯111A、111Bを備えている。上方の折込板110Aにおける下向きの櫛歯111Aと、下方の折込板110Bにおける上向きの櫛歯111Bとは、横方向には半ピッチずれており、高さ方向には先端部の位置が略一致している。
図10に示すB−B断面(櫛歯の噛み合いが終わる箇所)視において、図11(b)に示すように、折込板110Aにおける下向きの櫛歯111Aと、折込板110Bにおける上向きの櫛歯111Bとは、横方向には半ピッチずれており、横方向に隣接する櫛歯同士の間隔は、図10に示すA−A断面視における同間隔に比して狭くなっている。また、高さ方向には両櫛歯の大部分において重なり合っている。
折込板110A,110Bにおける隣接する櫛歯111A,111Bそれぞれの横方向(図9の上下方向)間隔は、正面側から背面側に向けて徐々に狭くなっている。また、折込板110A,110Bにおける対向する櫛歯111A,111Bの高さ方向(図10の上下方向)の重なりの程度は、正面側から背面側に向けて徐々に大きくなっている。
一対の折込板110A,110Bは、図11に示すように、櫛歯111A,111Bが噛み合う形態で上下方向に離間して配置されており、両折込板110A,110B間を、接合された帯状シート4,5が通過すると、その幅方向(筒状体形成時における長手方向)に蛇腹状に縮められるようになっている。
折込板110A、110B(図9では図示省略)の下流側には、図9に示すように、一対の糸保持ベルト107A,107Bがシート幅方向に離間して設けられている。糸保持ベルト107A,107Bは、図10においては図示を省略している。
一方の糸保持ベルト107Aは、図12に示すように、2個の無端ベルト107A1,107A2が上下に一体的に当接して構成されている。両無端ベルト107A1,107A2は、当接面においてシート搬送方向と同方向に移動するようになっている。
下方の無端ベルト107A1は、図9及び図12に示すように、上方の無端ベルト107A2よりも、製造工程上流側に延出している。
他方の糸保持ベルト107Bも、一方の糸保持ベルト107Aと同じ構成を有している。
糸保持ベルトの107A,107Bの最上流位置(それぞれ上方の無端ベルト107A2,107B2がない位置)におけるシート幅方向両外方には、図9に示すように、折り込まれた帯状シート4,5に糸Tを貫通可能な糸貫通装置105A,105Bが設けられている。糸貫通装置105A,105Bそれぞれには、糸巻き106A,106Bから糸Tが供給されるようになっている。糸貫通装置105A,105B及び糸巻き106A,106Bは、図10においては図示を省略している。
糸貫通装置105A,105Bそれぞれには、前記針保持装置8A、8Bが内蔵されている。針保持装置8A、8Bは、それぞれ、糸貫通装置105A,105Bから、蛇腹状に縮められたシート4、5の左右両側まで移動し(移動後の針保持装置8A、8Bを破線で示す)、針保持装置8A、8B間で針7の受け渡しを行うことができるようになっている。
一方の糸保持ベルト107Aにおいては、図9及び図12に示すように、糸貫通装置105Aの針保持装置8Aから糸貫通装置105Bの針保持装置8Bに受け渡された針7及び糸Tが所定の位置まで後退し、その状態で糸貫通装置105A側の糸Tが切断されるようになっている。そのとき、糸貫通装置105B側では針7から糸Tが外れ、糸Tは下流側へ移動し、糸Tのみが無端ベルト107A1,107A2にて狭持されるようになっている。
次の通糸位置では、前述の工程と同様に、糸貫通装置105B,105Aによって、糸貫通装置105B側から糸貫通装置105A側に針7が移動し、糸Tをシート4、5の両側で受け渡すようになっている。
他方の糸保持ベルト107Bにおいても、一方の糸保持ベルト107Aと同様に、糸Tの切断、針7の移動、糸Tの搬送が行われるようになっている。
糸保持ベルト107A,107B間であって、帯状シート4,5における折り込まれた部分の下流側には、折り込まれた帯状シート4,5を再度展開する一対のフィードロール108A,108Bが上下方向に当接して設けられている。一対のフィードロール108A,108B間に、折り込まれた帯状シート4,5を通過させることにより、該帯状シート4,5を引き延ばし、展開できるようになっている。
フィードロール108A,108Bの下流側には、一対のカットロール109A,109Bが上下方向に配置して設けられている。上方のカットロール109Aの外周面には、その軸方向に亘る切断刃が設けられており、該切断刃により、フィードロール108A,108Bで展開された帯状シート4,5のシール部Sをその中央部で切断できるようになっている。
カットロール109A,109Bの下流側においては、糸T(巻き上げ用糸3)の後処理や筒状体2の取り込み口補強部材23の接合等ができるようになっている。
次に、前述の製造装置を用いた本発明(第2発明)の毛髪保持具の製造方法における別の実施態様について説明する。
図9及び図10に示すように、上下一対の原反ロール101A,101Bとして巻回されている2枚の帯状シート4,5を、上下一対の合流ロール102A,102B間で合流させて、上下一対のシールロール103A,103B間に向けて搬送する。2枚の帯状シート4,5は、シールロール103A,103Bにより、シート搬送方向に離間し且つシート幅方向に亘るシール部Sが形成されて、その搬送方向に間欠的に接合される。
接合された帯状シート4,5は、図10に示すように、上下一対の折込板110A,110B間を通過する。その結果、帯状シート4,5は、櫛歯111A,111Bに倣って徐々に折り込まれて、図13に示すような、その幅方向に蛇腹状に縮んだ状態になる。
左右一対の糸保持ベルト107A,107B間における最上流側において、糸貫通装置105A,105Bにより、糸Tを挿通した針7が、糸貫通装置105A側から糸貫通装置105B側に向けて、図13に示すように折り込まれた帯状シート4,5を貫通し、一方の糸保持ベルト107Aにおける下方の無端ベルト107A1上に載置されると共に、糸Tが他方の糸保持ベルト107Bにおける下方の無端ベルト107B1上に載置される。この状態下で、他方の糸保持ベルト107B側において、糸Tが切断され、一方の糸保持ベルト107A側において、針7から糸Tが外れる。
その後、糸Tは、一方の糸保持ベルト107Aにおいて下方の無端ベルト107A1と上方の無端ベルト107A2との間に挟持されて、また、他方の糸保持ベルト107Bにおいて下方の無端ベルト107B1と上方の無端ベルト107B2との間に挟持されて、製造工程下流側に向けて、帯状シート4,5と等速で搬送される。
帯状シート4,5が所定距離搬送されると、糸貫通装置105B,105Aにより、糸Tを挿通した針7が、糸貫通装置105B側から糸貫通装置105Aに向けて、折り込まれた帯状シート4,5を貫通し、他方の糸保持ベルト107Bにおける下方の無端ベルト107B1上に載置されると共に、糸Tが一方の糸保持ベルト107Aにおける下方の無端ベルト107A1上に載置される。この状態下で、一方の糸保持ベルト107A側において、糸Tが切断され、他方の糸保持ベルト107B側において、針7から糸Tが外れる。
このような糸Tの挿通動作が繰り返されることにより、帯状シート4,5には、図9に示すように、その搬送方向に所定間隔をあけて糸Tが順次挿通される。
そして、折り畳まれた帯状シート4,5が一対のフィードロール108A,108B間で引き延ばされて、展開される。帯状シート4,5の展開に伴い、貫通している糸Tが帯状シート4,5の幅方向(筒状体形成時の長手方向)に沿って配置される。
展開された帯状シート4,5は、カットロール109A,109Bによりそのシール部Sが、シート幅方向に中央部に沿って切断される。
その後、糸T(巻き上げ用糸3)に所定の加工が施され、筒状体2の毛髪取り込み口21が取り込み口補強部材23で補強されて、図8に示すような、巻き上げ用糸3が、扁平状の筒状体2の幅方向中央部に直線状に、一方の面4及び他方の面5に順次配置されるように貫通掛合された毛髪保持具1が得られる。
このように、本実施態様の毛髪保持具の製造方法によれば、帯状シート4,5を幅方向(筒状体形成時の長手方向)に蛇腹状に縮め、その状態で巻き上げ用糸3を挿通した針7を帯状シート4,5に貫通し、その後、帯状シート4,5を幅方向に伸ばすことにより、巻き上げ用糸3を、扁平状の筒状体2の幅方向中央部に直線状に、一方の面4及び他方の面5に順次配置させることができる。
以上、本発明の毛髪保持具の製造方法の好ましい一実施態様について説明したが、本発明の毛髪保持具の製造方法は、前述した毛髪保持具の製造方法に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更が可能である。
第1発明の前記実施態様の毛髪保持具の製造方法においては、針保持装置をシート搬送方向には移動させていないが、第1発明においては、針保持装置をシート搬送方向にも移動させて、巻き上げ用糸を筒状体に取り付けることができる。
筒状体2の上方及び下方それぞれに複数個の第1針保持装置及び第2針保持装置を配置し、複数個の針保持装置によって両尖端針を順次リレーするように受け渡すこともできる。
第2発明の前記実施態様の毛髪保持具の製造方法においては、巻き上げ用糸を、シール部S,S間の中央部(筒状体完成時にその長手方向に沿う中央部となる位置)に1本貫通掛合しているが、糸の貫通位置は、得ようとする毛髪保持具の形態に応じて適宜変更することができる。例えば、巻き上げ用糸を、筒状体における一方の側部に片寄った位置に設けることができる。また、巻き上げ用糸を、筒状体ごとに2本以上設けることができる。例えば、巻き上げ用糸を筒状体の両側部それぞれに1本ずつ設けることができ、筒状体の両側縁部及び中央部にそれぞれ1本ずつ(計3本)設けることもできる。
非接合状態の帯状シートに巻き上げ用糸を貫通掛合してから、帯状シートを接合して、筒状体を形成してもよい。
2本以上の巻き上げ用糸を筒状体に貫通掛合した毛髪保持具を得る場合には、図2に示すような両尖端針を用い、巻き上げ用糸を挿通した両尖端針を往復動作させて、筒状体に巻き上げ用糸を効率的に貫通掛合することができる。
本発明に係る筒状体は、扁平状のものに制限されず、例えば楕円形断面のものでもよい。
図1は、本発明の製造方法により製造される毛髪保持具の一形態を示す正面斜視図である。 図2は、本発明の毛髪保持具の製造方法に用いられる両尖端針及び針保持装置を示す正面図である。 図3は、図2に示す両尖端針及び針保持装置の動きを模式的に示す斜視図である。 図4は、本発明の毛髪保持具の製造方法の一実施態様の一工程を模式的に示す正面図である。 図5は、本発明の毛髪保持具の製造方法の一実施態様の一工程を模式的に示す正面図である。 図6は、本発明の毛髪保持具の製造方法の一実施態様の一工程を模式的に示す正面図である。 図7は、図1に示す形態の毛髪保持具の一使用態様を示す模式的斜視図である。 図8は、本発明の製造方法により製造される毛髪保持具の他の形態を示す正面斜視図である。 図9は、図8に示す形態の毛髪保持具の製造方法を示す平面図である。 図10は、図8に示す形態の毛髪保持具の製造方法を示す側面図である。 図11は、上下一対の折込板の一部を示す図で、(a)は図10に示すA−A断面図、(b)は図10に示すB−B断面図ある。 図12は、糸保持ベルトを示す図で、(a)は側面図、(b)は斜視図である。 図13は、筒状体を蛇腹状に縮めた状態を示す模式的斜視図である。
符号の説明
1 毛髪保持具
2 筒状体
21 取り込み口(一端部)
22 他端部
23 取り込み口補強部材
3 巻き上げ用糸
31 一端
32 他端
4,5 帯状シート
41,42,51,52 側縁部
6 掛合孔部
7 両尖端針
71、72 尖端
73 挿通孔
8A 第1針保持装置
8B 第2針保持装置
81A,81B 針保持部
10 毛髪挿入具
11 フック部
12 把持部
H 毛髪
T 糸

Claims (1)

  1. 一端部に毛髪取り込み口を有し該毛髪取り込み口から毛髪を挿入可能な筒状体と、該筒状体の巻き上げ用の巻き上げ用糸とを備え、該巻き上げ用糸が、該筒状体の一方の面側及び他方の面側に順次配置するように、該筒状体に貫通掛合されている複数個の毛髪保持具を連続的に製造する方法であって、
    前記筒状体の一方の面及び他方の面を形成する上下一対の2枚の帯状シートを、上下一対のシールロール間に搬送し、該帯状シートの幅方向に亘るシール部を搬送方向に間欠的に形成して、2枚の該帯状シートを接合した後、
    接合された前記帯状シートを、下向きの多数の櫛歯と、該下向きの櫛歯と横方向に半ピッチずれた上向きの多数の櫛歯とを備えた上下一対の折込板間に搬送して、その幅方向に蛇腹状に縮め、
    蛇腹状の前記帯状シートの隣り合う前記シール部間それぞれに、前記巻き上げ用糸を挿通した針を幅方向に貫通し、該針の貫通後、蛇腹状の該帯状シートをその幅方向に引き延ばして展開し、
    展開した前記帯状シートを、上下一対のカットロール間に搬送し、幅方向に亘る切断刃によって前記シール部の中央部で搬送方向に間欠的に切断することにより、
    前記巻き上げ用糸を、前記筒状体の一方の面側及び他方の面側に順次配置するように、直線状に該筒状体に貫通掛合する毛髪保持具を連続的に製造する方法。
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