JP2001256885A - 電子放出素子及びその製造方法 - Google Patents

電子放出素子及びその製造方法

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JP2001256885A
JP2001256885A JP2000071192A JP2000071192A JP2001256885A JP 2001256885 A JP2001256885 A JP 2001256885A JP 2000071192 A JP2000071192 A JP 2000071192A JP 2000071192 A JP2000071192 A JP 2000071192A JP 2001256885 A JP2001256885 A JP 2001256885A
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electron
substrate
diamond film
emitting device
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English (en)
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Akira Fujishima
昭 藤嶋
Sachiko Matsushita
祥子 松下
Masaru Okuyama
優 奥山
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  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)
  • Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 放出電流が安定でかつ電流利得が大きいダイ
ヤモンド電子放出素子を提供する。 【解決手段】 電子の放出特性を著しく安定させたダイ
ヤモンド電子放出素子アレイの製造方法に関する。詳し
くは、規則的に配列されるとともに放射面高さのそろっ
たシリンダー型のダイヤモンド電子放出素子の製造方法
に関する。シリンダー上面を微細加工することにより電
流利得がさらに向上する。アレイを構成するダイヤモン
ド電子放出素子はsp2を多く含む高欠陥密度ダイヤモン
ドであり、25V/μmまたはそれ以下の低印加電界におい
て、0.1mA/mm2の電子電流密度を放射できる。特に有利
な構造は直径10μm以下の直径、高さが一定なシリンダ
ーが最密充填したアレイである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子を放出する電
子放出素子、より詳しくは、安定した電流を効率良く放
射するためのダイヤモンドの電子放出素子及びその製造
方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】電子放出素子は、印可された静電界に応
答して電子を放出する。そのようなデバイスは、表示装
置、CRTの電子銃および電子ビームリソグラフィを含
む広範囲の用途で有用である。特に将来性のある用途
は、平板型表示装置(フラットパネルディスプレイ)の
電子放出源として電子放出素子を用いることである。こ
のような先行技術に関してはハンドブック・オブ・ディ
スプレー・テクノロジー(Handbook of Display Techno
logy)、アカデミック・プレス・ニューヨーク(199
2)などに詳細に記載されている。
【0003】典型的な電子放出素子は、複数の電解放射
チップおよび陰極から離れた陽極間に置かれる。陽極お
よび陰極間に印加された電圧は、電子放出素子から陽極
に向かう電子の放射を誘発する。
【0004】ダイヤモンドは望ましい電子放出素子であ
る。ダイヤモンドは熱伝導率が20 W/cm-Kと電子デバイ
スのほかの材料中で最大であり、Siの10倍以上の値を有
する。そのため、大きな電流密度に対して放熱性に優れ
ているので、高温下で動作可能な電子デバイスが形成さ
れ得る。初期の電子放出素子は主として、Mo又はSi円盤
のような金属又は半導体の鋭く尖った構造だった。しか
し、そのような先端は作製が難しく、多くの用途に対し
持続性が不充分で、電子の放射に比較的たかい印可電界
(約100V/μm)を必要とする。それに対し、ダイヤモン
ドは構造的に安定で、負の電子親和力を持ち、そのため
に電子放射素子として魅力的である。このような先行技
術に関しては、文献"Appl.Phys.Lett., vol.41, no.10,
pp.950-952などに詳細に記載されている。
【0005】ダイヤモンドは電子放出素子として本質的
に利点を持つが、未処理ダイヤモンドに必要とされる電
圧より低い電圧で安定に放射できるダイヤモンド電子放
出素子を用いる事が非常に望ましい。たとえば、フラッ
トパネルディスプレイは典型的な場合、0.1mA/mm2の電
流密度を必要とする。もしそのような放射密度が約25V
以下の印可電圧で安定に得られるなら、低価格のCMOS駆
動回路が表示に使用できる。そのような低電界における
放射を実現するために、ダイヤモンドはこれまでN型の
半導体性にドープすることが必要だったが、それは困難
で実現性の低いプロセスであった。
【0006】一方、高欠陥密度ダイヤモンドは低電圧で
電流利得が上がるため、ドープ型に代わるダイヤモンド
電子放出素子として期待される。さらにノンドープの状
態でダイヤモンドは絶縁体であり、絶縁耐圧が大きい上
に誘電率が5.5と小さく、破壊電界が5×106Vと大きいと
言う特徴を有する。そのため、高周波で使用される大電
力用の電子デバイスとしても有望である。しかし、この
ような先行技術によればその形状制御が極めて困難であ
った。
【0007】この種の公知技術として、特開平8−22
5393号公報、特開平10−283914号公報に開
示されたものがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】図13に従来のフラッ
トパネルディスプレイの断面図を示す。フラットディス
プレイは、ダイヤモンドのエミッタ100a乃至100
cを含む陰極と、陰極から空間的に分離された陽極と、
真空状態であって陰極と陽極を分離する空間と、陽極が
形成される透明電極20と、この上に形成された発光体
層21とを備える。陰極と陽極の間の空間はシールされ
空気が排気されて真空状態である。陰極側には絶縁体2
3上に載置されたゲート電極22が設けられる。ダイヤ
モンドのエミッタ100とゲート電極22の間にはバイ
アス電圧が印加されているので、ダイヤモンドのエミッ
タ100から電子が放出されている。また、ダイヤモン
ドのエミッタ100はそれぞれ図示しない行電極に接続
されている。図示しない電源により陰極と陽極の間に電
圧が印加されると、陰極のダイヤモンドのエミッタ10
0から放出された電子が加速され、陽極に向かって移動
し、やがて発光体層21に衝突する。これにより発光体
層21が発光(図中のL)し、画像を表示することがで
きる。
【0009】前述のように従来の技術によればエミッタ
をCVD法でダイヤモンドを堆積して形成していたの
で、ダイヤモンドのエミッタ100の形状を制御するこ
とは非常に難しかった。すなわち、複数のエミッタ10
0の高さ、幅を均一に揃えることができなかった。その
ため、エミッタ100ごとにその放射電流値がばらつき
表示性能に悪影響を与えた。
【0010】特開2000−1392号公報、1393
号公報には、ダイヤモンド基板上に陽極酸化アルミナを
マスクとして載せ、プラズマエッチング処理により針状
のダイヤモンドが規則的に配列した構造体を形成する技
術が開示されている。しかしこの技術によっても、低電
圧で電流利得が上がる高欠陥密度ダイヤモンドの電子放
出素子を実現することができなかった。また、規則的な
配列は実現できても電子放出素子を所望の形状にするこ
と、例えばその高さを揃えること、先端を尖らせること
は実現できなかった。
【0011】この発明は、係る課題を解決するためにな
されたもので、安定した電流を効率良く放射するための
ダイヤモンドの電子放出素子及びその製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0012】発明者は、電子の放出特性を著しく安定さ
せたダイヤモンドアレイの製造方法を発明した。より詳
しくは、放射面高さの揃ったダイヤモンド電子放出素子
アレイの製造方法を発明した。アレイを構成するダイヤ
モンド電子放出素子はsp2を多く含む高欠陥密度ダイヤ
モンドであり、25V/μmまたはそれ以下の低印加電界に
おいて、0.1mA/mm2の電子電流密度を放射できる。特に
有利な構造は直径10μm以下の素子の直径、高さが一定
なシリンダーが最密充填したアレイであり、その放射面
は直径100nm以下の高さのそろった突起が存在する構造
で、そのようなダイヤモンドを用いる。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明に係る電子放出
素子の製造方法は、基板を用意する工程と、前記基板上
にダイヤモンド膜を形成する工程と、前記基板を除去す
る工程と、前記ダイヤモンド膜のひっくり返す工程と、
前記ダイヤモンド膜上に微粒子を所定のパターンで配列
する工程と、前記微粒子を通して前記ダイヤモンド膜に
プラズマを照射して前記ダイヤモンド膜の一部を除去す
る工程と、前記微粒子を除去する工程と、を備えるもの
である。
【0014】この発明に係る電子放出素子の製造方法
は、基板を用意する工程と、前記基板上にダイヤモンド
膜を形成する工程と、前記基板を除去する工程と、前記
ダイヤモンド膜のうち前記基板に接していた側の面上に
微粒子を所定のパターンで配列する工程と、前記微粒子
を通して前記ダイヤモンド膜にプラズマを照射して前記
ダイヤモンド膜の一部を除去する工程と、前記微粒子を
除去する工程と、を備えるものである。
【0015】好ましくは、前記ダイヤモンド膜を形成す
る工程は、化学気相成長法(CVD)を用いて前記基板
上にダイヤモンドを堆積させることにより、少なくとも
前記基板に接する部分において、sp2を多く含み電子が
放出されやすくなった高欠陥密度ダイヤモンド膜を形成
する。
【0016】好ましくは、前記微粒子を所定のパターン
で配列する工程は、毛管力と表面張力を利用した移流集
積法を用いてSiO2微粒子を二次元に配列する。
【0017】好ましくは、前記SiO2微粒子を配列する前
に、前記ダイヤモンド膜にプラズマを照射することによ
り表面の濡れ性を改質し、前記移流集積法を適用するた
めのダイヤモンド膜の接触角を調整する。
【0018】好ましくは、前記基板の少なくとも一方の
面が平坦であり、前記平坦な面に前記ダイヤモンド膜を
形成する。
【0019】好ましくは、前記ダイヤモンド膜にプラズ
マを照射する工程において、照射時間を長くすることに
より形成される電子放出素子の形状を尖らせる。
【0020】この発明に係る電子放出素子は、基板と、
前記基板上に設けられて電子を放出する複数の放出部と
を備える電子放出素子において、前記放出部がダイヤモ
ンドからなり、前記複数の放出部の先端部分はsp2を多
く含み電子が放出されやすくなった高欠陥密度ダイヤモ
ンド膜であるとともに、前記複数の放出部の高さが揃っ
ているものである。
【0021】好ましくは、前記複数の放出部の先端部分
が尖っている。
【0022】好ましくは、前記複数の放出部の先端部分
が微小な多数の円錐からなる。
【0023】
【発明の実施の形態】発明の実施の形態1.この発明の
実施の形態1について図を参照しつつ説明する。図1
は、この発明の実施の形態1に係る電子放出素子の概略
構造を示す断面図である。図1のダイヤモンド電子放出
素子10は、低電圧で安定した電流を放出することがで
きる。電子放出素子10は、導電性または半導体性の層
13を含む基板12上に成長した複数のダイヤモンドシ
リンダー11を含む。基板12はモリブデン(Mo)のよ
うな金属またはシリコン(Si)のような半導体が好まし
い。この発明の実施の形態1において、ダイヤモンド電
子放出素子10は、それぞれが直径10μm以下の、少な
くとも表面においてsp2結合を多く含む高欠陥密度ダイ
ヤモンドシリンダー11の形をとる。これは電子が放出
されやすくなるからである。ダイヤモンドシリンダー1
1は鋭いダイヤモンド点またはファセットを含むとより
有利である。
【0024】図1の電子放出素子が用いられる電子装置
としてフラットディスプレイパネルがある。図2にこの
種のフラットディスプレイパネルの断面構造の例を示
す。フラットディスプレイは、ダイヤモンドシリンダー
11を含む陰極と、陰極から空間的に分離された陽極
と、真空状態であって陰極と陽極を分離する空間と、陽
極が形成される透明電極20と、この上に形成された発
光体層21とを備える。陰極と陽極の間の空間はシール
され空気が排気されて真空状態である。陰極側には絶縁
体23上に載置されたゲート電極22が設けられる。ダ
イヤモンドシリンダー11とゲート電極22の間にはバ
イアス電圧が印加されているので、ダイヤモンドシリン
ダー11から電子が放出されている。また、ダイヤモン
ドシリンダー11はそれぞれ図示しない行電極に接続さ
れている。図示しない電源により陰極と陽極の間に電圧
が印加されると、陰極のダイヤモンドシリンダー11か
ら放出された電子が加速され、陽極に向かって移動し、
やがて発光体層21に衝突する。これにより発光体層2
1が発光(図中のL)し、画像を表示することができ
る。図1の電子放出素子10は、フラットパネルディス
プレイ以外にも、フォトニック結晶や各種電界放射デバ
イスに適用できる。
【0025】図3の電子顕微鏡写真は、マイクロ波プラ
ズマ促進化学気層成長法(CVD)および微粒子パターニン
グを利用して作製された電子放出素子の構造を示す。こ
の構造は図1で示したものと同じものである。図3
(a)からわかるように、多数のダイヤモンドシリンダ
ー11が規則正しく形成されている。図3(b)はその
拡大図(約10倍)であり、ダイヤモンドシリンダー1
1の直径が約1μmであることがわかる。
【0026】次に、この発明の実施の形態1に係る電子
放出素子の製造方法について図4及び図5を用いて説明
する。
【0027】S1:まず、ダイヤモンド膜を形成するた
めのベースとなる基板を用意する。例えば、シリコン
(Si)基板を用意する。他にも、白金(Pt)、タング
ステン(W)、モリブデン(Mo)などの基板を使用でき
る。ダイヤモンド膜を形成させるための種となるダイヤ
モンド粉をこの基板上に薄く散布する。
【0028】S2:基板上にダイヤモンド膜を形成す
る。電子放出素子基体となるダイヤモンドを成長させる
ための好ましい方法は、高品質・低欠陥ダイヤモンドを
生成するために用いられる化学気相成長法(CVD)で
ある。この発明の実施の形態1においては、(100)シリ
コン半導電性基板を用い、この上にCVD法によりダイ
ヤモンド膜を堆積させた。このときの条件は117度、1.2
×104Paであり、堆積時間は9時間である。
【0029】S3:ベースとなったシリコン基板を除去
する。この発明の実施の形態1においては、作成したダ
イヤモンド膜をシリコン基板ごと47%の弗化水素(HF)
水溶液に浸することにより、シリコン基板を除去した。
【0030】S4:得られたダイヤモンド膜の表裏を逆
にする。ダイヤモンド膜のうち、基板側のダイヤモンド
に対して以下の処理を行い、ダイヤモンドのシリンダー
型構造体を形成するためである。始めにダイヤモンドが
成長していった基板側の部分は、結晶がsp2を含み不完
全であるが、このことにより電子が放出されやすくなり
本発明のような電子放出素子として、より適するからで
ある。後にダイヤモンドが成長した部分(図5のS2に
おける上側。この面は不規則な凹凸が生じている)は、
結晶がspを含む完全なものである。この部分において
は、sp2を含む始めにダイヤモンドが成長していった基
板側の部分よりも電子の放出はされにくい。基板接触側
のダイヤモンド膜のsp2リッチな層の厚みは3μm以上
はあると考えられる。この程度の厚みがあれば、下記の
ステップS6によりこの層が完全に削られてしまうこと
はないと考えられる。
【0031】また、ダイヤモンド膜の表裏を逆にするの
は、電子放出素子のエミッタとしてのシリンダー型構造
体の高さを揃えるためでもある。ステップS1で用意し
たシリコン基板の表面は平坦であり、この基板に接して
形成されるダイヤモンド膜もまた平坦である。したがっ
て、この面に処理を施してシリンダー型構造体を形成す
れば、その高さを揃えることは容易である。これに対し
反対側の面は図5のS2等で示すように不規則な凹凸を
有するので、こちら側の面に処理を施しても高さが不揃
いな電子放出素子が得られるに過ぎない。以上のよう
に、得られたダイヤモンド膜の表裏を逆にして基板側の
面をシリンダー状に加工するため、sp2を含む高欠陥ダ
イヤモンドが電子放出部となる。電子放出部中におい
て、sp2カーボンの好ましい堆積割合は15乃至20%であ
る。
【0032】S5:ダイヤモンド膜上に酸化シリコン
(SiO2)の二次元微粒子アレイを形成する。すなわち、
ダイヤモンド膜の基板面に向いていた平らな面上に、粒
径のそろったSiO2微粒子を規則的に並べる。これが、ダ
イヤモンドシリンダー11を形成するための、いわばマ
スクとなる。なお、SiO2以外にも、ポリスチレン、PMMA
などのポリマー、金などのメタル、セラミックなどを用
いることができる。この工程は、ダイヤモンドを規則配
列したシリンダー型に成長させるために必要なものであ
る。微粒子の直径を調整することにより、ダイヤモンド
シリンダー11の間隔を任意に調整することができる。
SiO2微粒子の直径は、少なくとも10nm乃至10μm
の範囲で任意に選択できる。なお、電子放出部のシリン
ダー型構造体の直径は、以下に説明するステップS6の
処理時間を調整することにより任意に調整できる。
【0033】SiO2微粒子をダイヤモンド膜上に二次元に
配列するために、この発明の実施の形態1では、毛管力
と表面張力を利用した移流集積法を用いた。移流集積法
を適用するためにはダイヤモンド膜の接触角を調整する
必要がある。ダイヤモンドは非親水性であるため、毛管
力と表面張力が発現する溶液膜が形成されにくい。この
発明の実施の形態1では、ダイヤモンド膜に酸素プラズ
マを照射することによりダイヤモンド表面の濡れ性の改
質を行った。その結果、ダイヤモンド膜上にSiO2微粒子
を規則的に配列することができた。
【0034】S6:二次元微粒子アレイを通して酸素プ
ラズマを照射してダイヤモンド膜を部分的に除去する。
酸素プラズマは、SiO2微粒子の薄い部分、つまり微粒子
の間を通過してダイヤモンド膜に到達してこれを削って
いく。ダイヤモンド膜に形成される溝のアスペクト比
は、0乃至8程度である。やがて、ダイヤモンド膜の表
面にはシリンダー型の構造体が形成される。この発明の
実施の形態1において、上部から酸素プラズマを20Pa,1
50Wで照射した。酸素プラズマは、ダイヤモンド膜ばか
りではなく、SiO2微粒子も削り取る。酸素プラズマの照
射時間を長くするとSiO2微粒子の直径が小さくなり、そ
れにつれて隣接するシリンダー型構造体の間の隙間も広
がる。
【0035】S7:二次元微粒子アレイを除去する。ス
テップS6の酸素プラズマ照射後において、ダイヤモン
ド膜を47%HF水溶液に浸してSiO2微粒子を除去する。
【0036】以上のステップS1乃至S7の工程によ
り、シリンダー状のダイヤモンド電子放出素子のアレイ
を得ることができた。このシリンダー状のダイヤモンド
電子放出素子のアレイを図1のような導電性または半導
体性の層13を含む基板12に形成するには、引き続い
て導電性または半導体性の層を堆積させればよい。
【0037】以上のステップにより得られたダイヤモン
ド膜の特性について調べた。図6は、ラマン分光分析に
おいて、K=1332cm-1におけるダイヤモンドピークを示
し、またsp2カーボンを示す1350から1600cm-1のブロー
ドなピークも確認された。このことは、この発明の実施
の形態1のダイヤモンドアレイが高密度欠陥ダイヤモン
ドであることを示すものである。
【0038】高欠陥密度ダイヤモンドの柱は連続薄膜の
ようなほかの形状と比較して有利である。この発明の実
施の形態の工程により形成される直径10μm以下のダイ
ヤモンドシリンダーは、下の導電層からダイヤモンド中
の放射位置への電流の流れを容易にし、安定な放射が維
持できる。特に放射面高さがそろっていることから、安
定な電流を得ることができる。
【0039】以上のように、この発明の実施の形態1に
よれば、sp2を含み不完全であるがこのことにより電子
が放出されやすくなったダイヤモンド膜を電子放出素子
として用いるので、低電圧で電流を放出するダイヤモン
ド電子放出素子アレイを提供することができる。また、
電子放出素子の高さを揃えることができるので、ばらつ
きがなく安定して電流を放出するダイヤモンド電子放出
素子アレイを提供することができる。
【0040】発明の実施の形態2.上記発明の実施の形
態2のS6の工程において、さらに酸素プラズマを10P
a,150W照射してもよい。これにより得られた構造の断面
概略図を図7に示す。シリンダー上面に微小な円錐が並
んだ構造をしており、図1のダイヤモンドアレイより広
い面積を持つ。すなわち、図7のダイヤモンドシリンダ
ー31は、図1のダイヤモンドシリンダー11よりもダ
イヤモンドの放射面積が広い。図8の電子顕微鏡写真
は、この発明の実施の形態2のダイヤモンドシリンダー
31の表面を示す。シリンダー31の表面が平坦でな
く、微細な多数の尖った部分が見られる。
【0041】発明の実施の形態1の高欠陥密度のダイヤ
モンドシリンダー11によれば、下の導電層からダイヤ
モンド中の放射位置への電流の流れを容易にし、安定な
放射が維持できるとともに、放射面高さがそろっている
ことから安定な電流を得ることができた。この発明の実
施の形態2のダイヤモンドシリンダー31によれば、シ
リンダー上面に鋭い点形状を形成できるので放射電圧を
より下げることができる。
【0042】図9乃至図12は、この発明の実施の形態
1及び2により形成されたダイヤモンドシリンダーの電
子顕微鏡写真である。図9は、ステップS6の酸素プラ
ズマエッチングを60分間行って形成したダイヤモンド
シリンダーを示す。この頂部がほぼフラットであること
がわかる。図10は、同じく酸素プラズマエッチングを
90分間行って形成したダイヤモンドシリンダーを示
す。この頂部は図7のように微細な多数の鋭い突起部を
備えることがわかる。図11は、同じく酸素プラズマエ
ッチングを120分間行って形成したダイヤモンドシリ
ンダーを示す。この頂部は鋭く尖っていることがわか
る。
【0043】図12は酸素プラズマエッチングの時間経
過を示す電子顕微鏡写真である。アスペクト比を調べる
ためダイヤモンドシリンダーを斜めから見たものであ
る。同図(a)は30分経過時点を示し、(b)は60
分経過時点を示し、(c)は90分経過時点を示し、
(d)は120分経過時点を示す。ダイヤモンドシリン
ダーの(a)におけるアスペクト比は1.2乃至1.3
であり、(b)においては4.8であり、(c)におい
ては7乃至8である。(d)においてはダイヤモンドシ
リンダーは鋭く尖った円錐状である。
【0044】低い電圧でダイヤモンド電子放出素子から
効率良く電子を引き出すには、その先端を尖らせて電界
を強めることが望ましい。従来の技術では、ダイヤモン
ド電極を形成することで精一杯であり、それを所望の形
状に形成することはできなかった。しかし、この発明の
実施の形態によれば、酸素プラズマエッチングの工程を
工夫する、例えば照射時間を調整することによりダイヤ
モンド電極の形状を調整することができる。
【0045】本発明は、以上の実施の形態に限定される
ことなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内
で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内
に包含されるものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係るダイヤモンド
電子放出素子の概略断面図である。
【図2】 この発明の実施の形態1に係るダイヤモンド
電子放出素子を適用したフラットパネルディスプレイの
概略断面図である。
【図3】 この発明の実施の形態1に係るダイヤモンド
電子放出素子の電子顕微鏡写真である。
【図4】 この発明の実施の形態1に係るダイヤモンド
電子放出素子の製造工程のフローチャートである。
【図5】 この発明の実施の形態1に係るダイヤモンド
電子放出素子の製造工程の説明図である。
【図6】 この発明の実施の形態1に係るダイヤモンド
電子放出素子のラマンスペクトル図である。
【図7】 この発明の実施の形態2に係るダイヤモンド
電子放出素子の概略断面図である。
【図8】 この発明の実施の形態2に係るダイヤモンド
電子放出素子の電子顕微鏡写真である。
【図9】 この発明の実施の形態に係るダイヤモンド電
子放出素子の電子顕微鏡写真である(酸素プラズマエッ
チング:60分間)。
【図10】 この発明の実施の形態に係るダイヤモンド
電子放出素子の電子顕微鏡写真である(酸素プラズマエ
ッチング:90分間)。
【図11】 この発明の実施の形態に係るダイヤモンド
電子放出素子の電子顕微鏡写真である(酸素プラズマエ
ッチング:120分間)。
【図12】 この発明の実施の形態に係るダイヤモンド
電子放出素子の電子顕微鏡写真である(酸素プラズマエ
ッチング処理における時間経過を示す)。
【図13】 従来のダイヤモンド電子放出素子を適用し
たフラットパネルディスプレイの概略断面図である。
【符号の説明】
10 構造 11 ダイヤモンドシリンダー 12 基板 13 層 30 構造 31 広面積ダイヤモンドシリンダー

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板を用意する工程と、前記基板上にダ
    イヤモンド膜を形成する工程と、前記基板を除去する工
    程と、前記ダイヤモンド膜をひっくり返す工程と、前記
    ダイヤモンド膜上に微粒子を所定のパターンで配列する
    工程と、前記微粒子を通して前記ダイヤモンド膜にプラ
    ズマを照射して前記ダイヤモンド膜の一部を除去する工
    程と、前記微粒子を除去する工程と、を備える電子放出
    素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 基板を用意する工程と、前記基板上にダ
    イヤモンド膜を形成する工程と、前記基板を除去する工
    程と、前記ダイヤモンド膜のうち前記基板に接していた
    側の面上に微粒子を所定のパターンで配列する工程と、
    前記微粒子を通して前記ダイヤモンド膜にプラズマを照
    射して前記ダイヤモンド膜の一部を除去する工程と、前
    記微粒子を除去する工程と、を備える電子放出素子の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 前記ダイヤモンド膜を形成する工程は、
    化学気相成長法(CVD)を用いて前記基板上にダイヤ
    モンドを堆積させることにより、少なくとも前記基板に
    接する部分において、sp2を多く含み電子が放出されや
    すくなった高欠陥密度ダイヤモンド膜を形成することを
    特徴とする請求項1又は請求項2記載の電子放出素子の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 前記微粒子を所定のパターンで配列する
    工程は、毛管力と表面張力を利用した移流集積法を用い
    てSiO2微粒子を二次元に配列することを特徴とする請求
    項1又は請求項2記載の電子放出素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記SiO2微粒子を配列する前に、前記ダ
    イヤモンド膜にプラズマを照射することにより表面の濡
    れ性を改質し、前記移流集積法を適用するためのダイヤ
    モンド膜の接触角を調整したことを特徴とする請求項4
    記載の電子放出素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記基板の少なくとも一方の面が平坦で
    あり、前記平坦な面に前記ダイヤモンド膜を形成するこ
    とを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電子放出素
    子の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記ダイヤモンド膜にプラズマを照射す
    る工程において、照射時間を長くすることにより形成さ
    れる電子放出素子の形状を尖らせることを特徴とする請
    求項1又は請求項2記載の電子放出素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 基板と、前記基板上に設けられて電子を
    放出する複数の放出部とを備える電子放出素子におい
    て、前記放出部がダイヤモンドからなり、前記複数の放
    出部の先端部分はsp2を多く含み電子が放出されやすく
    なった高欠陥密度ダイヤモンド膜であるとともに、前記
    複数の放出部の高さが揃っていることを特徴とする電子
    放出素子。
  9. 【請求項9】 前記複数の放出部の先端部分が尖ってい
    ることを特徴とする請求項8記載の電子放出素子。
  10. 【請求項10】 前記複数の放出部の先端部分が微小な
    多数の円錐からなることを特徴とする請求項8記載の電
    子放出素子。
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